DRAW:１３２ 儀水鏡に映る炎　作：人喰い

(132)



【火群side】


火群【LP 8000

雫【LP 8000】


火群「……」

まだ、見えてこない…。まるで霧の中を歩いているみたいだ。

この決闘の中で、本当に見えてくるのだろうか……“新たな道”ってやつがーーー


◉TURN０１◉


火群「ーーー俺の、ターン！」【手札 5】


火群「…俺は、モンスターをセット。
更に、カードを3枚伏せて、ターンエンド…！」【手札 1】

火群（…柏木さんのリチュアデッキは、ガストクラーケによるピーピングハンデスを主にアドバンテージを取るデッキだ…！
伏せられるカードは全部伏せてハンデスを回避していくしかねぇ…！）


◉TURN０２◉


雫「…随分と消極的ですね…っ！
それではこちらから行かせてもらいますよ…っ！ 私のターン！」【手札 6】

雫「ーーー私は儀式魔法『リチュアの儀水鏡』を発動しますっ！」


《リチュアの儀水鏡/Gishki Aquamirror》
儀式魔法
「リチュア」と名のついた儀式モンスターの降臨に必要。
自分の手札・フィールド上から、儀式召喚するモンスターと
同じレベルになるようにモンスターをリリースしなければならない。
また、自分のメインフェイズ時に墓地のこのカードをデッキに戻す事で、
自分の墓地の「リチュア」と名のついた儀式モンスター１体を選択して手札に戻す。


雫「私は手札の『シャドウ・リチュア』をリリースし、儀式召喚…っ！！」


《シャドウ・リチュア/Gishki Shadow》 †
効果モンスター
星４/水属性/海竜族/攻1200/守1000
水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、
このカード１枚で儀式召喚のためのリリースとして使用できる。
また、手札からこのカードを捨てて発動できる。
デッキから「リチュア」と名のついた儀式魔法カード１枚を手札に加える。


雫「…前までの私と同じだと思っていたら、痛い目みますよ…っ！ 火群さん！
ーーー来てください…っ！！
レベル10『イビリチュア・ジールギガス』！！」[ATK 3200]



《イビリチュア・ジールギガス/Gishki Zielgigas》 †
儀式・効果モンスター
星１０/水属性/水族/攻3200/守 0
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
１ターンに１度、１０００ライフポイントを払って発動できる。
デッキからカードを１枚ドローし、お互いに確認する。
確認したカードが「リチュア」と名のついたモンスターだった場合、
フィールド上のカード１枚を選んで持ち主のデッキに戻す。


大地を突き破り、蒼き巨人は姿を現す。
巨人は悪魔の様な翼を広げ、巨大な角をぐるりと一周振り回し、周囲に水飛沫を上げた。

火群「…！！ いきなりレベル10の儀式モンスター……っ！？」

その威圧感に俺は思わず気圧される。
それも束の間、柏木さんの口から効果の発動が宣言された。

雫「…ライフを1000払い、ジールギガスの効果を発動します！
私はデッキからカードを１枚ドロー！」【LP 8000→7000】【手札 4】

火群「…！」

雫「その後ドローカードをお互いに確認します」


『ヴィジョン・リチュア』


雫「…そして、ドローしたカードが『リチュア』モンスターだった場合、場のカード１枚をデッキに戻します！」

火群「なに…！？」

雫（…おそらく、伏せてあるカードの大半はハンデスを回避する為に伏せた魔法カードのはず…！ その内１枚でも失ったら、かなり厳しいのではないでしょうか…っ！）

雫「火群さんの場に伏せられた魔法・罠カードをデッキに戻します！！」

蒼き巨人は地面に拳を打ち付ける。
すると、大地が割れ吹き出した水流が俺の場の伏せカード１枚を巻き上げた。

火群「…くっ…！」

ニクス『…「炎王の急襲」がデッキに戻されたか…っ…！
雫のやつ、反帝アリーナで闘った時とはデッキタイプを大幅に変えて来ているようだ……気を抜くなよ、火群…ッ！』

火群「…ああ！」















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１３２ーーー
《儀水鏡に映る炎》















雫「ーーーまだまだ行きますよ…っ！ 手札の『ヴィジョン・リチュア』を捨てて、効果発動です！」


《ヴィジョン・リチュア/Gishki Vision》 †
効果モンスター
星２/水属性/海竜族/攻 700/守 500
水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、
このカード１枚で儀式召喚のためのリリースとして使用できる。
また、手札からこのカードを捨てて発動できる。
デッキから「リチュア」と名のついた儀式モンスター１体を手札に加える。


雫「私はデッキから、２枚目の『イビリチュア・ジールギガス』を手札に加えます！」

雫「…更に、手札から魔法カード『サルベージ』を発動します！」


《サルベージ/Salvage》 †
通常魔法
自分の墓地の攻撃力１５００以下の水属性モンスター２体を選択して手札に加える。


雫「この効果で墓地の『シャドウ・リチュア』と『ヴィジョン・リチュア』を手札に！」【手札 5】

雫「続けて、手札の『シャドウ・リチュア』を捨てて効果発動っ！ デッキから『リチュアの儀水鏡』を手札に加えて、発動しますっ！」

火群「…連続で儀式召喚を…！！ 出てくるモンスターが大型になっても、その展開力はやっぱり変わってないか…！」

雫「…『ヴィジョンリチュア』リリースして、儀式召喚！！
再び出て来てください…っ！
レベル10『イビリチュア・ジールギガス』！！」[ATK 3200]


火群「……ッ！ ジールギガスが……２体…！」

ニクス『…再び効果を使われては、ライフを大幅に削られてしまう…！』

火群「…けど、場のカードをデッキに戻すには、『リチュア』モンスターを引かなきゃいけない…！ 確率はそこまで高くないはずだ…！」

雫「…ふっふっふ、甘いですよ、火群さんっ！」

火群「……！？」

雫「ーー『リチュア・アバンス』を召喚っ！」[ATK 1500]


《リチュア・アバンス/Gishki Avance》 †
効果モンスター
星４/水属性/魔法使い族/攻1500/守 800
１ターンに１度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
デッキから「リチュア」と名のついたモンスター１体を選んでデッキの一番上に置く。


雫「そしてアバンスの効果を発動しますっ！
…この効果で、私はデッキの『シャドウ・リチュア』を、デッキの一番上に置きます」

火群「…！ リチュアモンスターをデッキの上に…！」

雫「…再びジールギガスの効果を発動して、１枚ドローします！」【LP 7000→6000】【手札 2】


『シャドウ・リチュア』


火群「…ドローカードは、さっきアバンスの効果でトップに置いたシャドウ・リチュア…！」

雫「…この間の倉川さんの決闘からヒントを得て、私のデッキは進化したんです…っ！
さぁ、今度はセットモンスターにデッキへ帰ってもらいます！」

火群「…くっ…！！」

地を這う水流によって伏せていたモンスター『炎王獣 ヤクシャ』までもがデッキに戻されてしまう。

雫「ーーバトルですっ！ 『リチュア・アバンス』でダイレクトアタック！」

『リチュア・アバンス』[ATK 1500]

火群「…ぅぐっ…！」【LP 8000→6500】

雫「…続いて、２体のジールギガスで攻撃しますっ！」

『イビリチュア・ジールギガス』[ATK 3200]

『イビリチュア・ジールギガス』[ATK 3200]


火群「……！！」

２体の蒼き巨人はゆっくりと俺の前まで歩み寄り、大きく振り上げた巨大な角に水を纏う。

ニクス『ーーー火群っっ！！』

そして力強く、振り落とす。

ﾄﾞｺﾞｫｫｵｫｵｯｯ‼︎


火群「ーーーッッ！！」【LP 6500→3300→100】

火群「…なんとか首の皮一枚繋がったか…っ！」

ニクス『ヒヤヒヤさせるな…っ』

雫「…ターンエンドです。火群さんの番ですよ♪」


◉TURN:０３◉


火群「…俺の…ターン…！」

俺の手札は『炎王神獣 ガルドニクス』１枚のみ…。そして伏せカードも『炎王炎環』と『リビングデッドの呼び声』…、墓地が無い今単体では意味をなさない。

火群「……」

やっぱり、雫さんの決闘に応えるためには……このドローに全てがかかってる…！
でも……引けんのか…？ この状況を打破できるカードを…？ たった一枚のドローで……。


雫「ーーー火群、さんっ」

火群「……？」

雫「…えっと…、うまくは言えないのですが、、、」

火群「……っ…」

雫「…その、難しく考える必要は……無いと思いますよ？」

火群「……難しく……考える……」

確か前に、ニクスにも言われたっけ…。

雫「…少なくとも、反帝アリーナで私に勝った火群さんは、どんなピンチでも笑っていました…っ」

火群「…！」

雫「…私の知ってる火群さんは……
どんなときだって、どんなことだって。
全部“楽しい”に変えてくれるーーーそういう人です」


火群「ーーーッッ」

どこまでも素直に。
思ったことを、思ったまま。
楽しい事を、全力で！！

火群「……そういえば、そうだったよな…」

走って、走って。見つけようと思っても仕方のないことだったのかもしれない。
目の前の道は、自分で作り上げるものだからーーー。

火群「ーーーようやく、見えたぜ」

霧がかかったような視界が、晴れていく。
その先にはどこまでも続く、まっ白な景色。

雫「…っ♪」

ニクス『……何度でも失敗しろ。何度でも転べ。
…その度に立ち上がり、成長するのが私たちだ』

火群「……ありがとう。二人とも」

一言礼を言い、再びデッキの上に指先を乗せた瞬間、思わず口元が釣り上がる。

火群「…そうだよ…っ！ これだよこれ…！！
この瞬間がめちゃくちゃ楽しいんだ…！！」

雫「……私も、楽しみです。
……火群さんがこのドローで、どんなカードを引くのか」

ニクス『……さぁ、カードを引け。火群』

火群「………ああ！ 俺のターン！！
ドローッッ！！」


ｺﾞｵｫｫｵｵｫｵｵｫｵｵｯｯ‼︎!



右手に灯った炎が、鏡に映り激しく揺れた。







To Be Continued…






《次回予告》


メアリー「…不死鳥くんと眼鏡ちゃん！ 二人の関係が大きく動く！？ 次回も見逃せないわっ！！」



メアリー「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１３３《導いた答え・明くる道》！」


メアリー「お楽しみにぃっ！」


栗須「……ところでメアリーさんは、彼氏いr」

メアリー「ん？？」

栗須「…いや、彼氏とかいr」

メアリー「あ”？？？」



＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙