DRAW:２１７ 轟き、破壊せん　作：人喰い

(217)



【Side 戒】


〜生命の樹 内部・理解の間←→知恵の間〜


戒【LP 9000】

機兵【LP 2900】


戒「ーーーーやれッッ！！ アルトリウス！！！」


『聖騎士王アルトリウス』[ATK 3800]

騎士王は束ねた剣を振り下ろし、機兵を両断。斬り裂いた。


機兵「……ッッ！！！」【LP 2900→0】


戒「………これで９体目…！ 残り１体…！」

頭から縦に切り裂かれた機兵は火花を散らしながら左右に割れ、その間を潜るように１体の機兵が戒へと迫り来る。

戒「……！！」

その機兵は先ほどまで倒してきた９体の機兵とはボディのデザインも纏う焔の大きさも違い、明らかに異質だった。

機兵「……目標、確認。
私ハ瑞希様の“意思”ヲ受け創られた決闘機兵。型番は『MZK-05』」

戒「…瑞希………柏木の姉か…！」

機兵「先の連戦で貴様のデータも十分に更新デキタ……。
斬波 戒ーーーーー貴様ヲ破壊シ、ソノ精霊ヲ頂ク」

黒き焔を噴き出しながら決闘盤を構える機兵。それに対し戒も再び構え直し息を整える。

戒「…今までの雑魚共と同じという訳では無さそうだな……。
構わんーーーー斬るッッ！！」


戒【LP 8000】

機兵【LP 8000】



「「ーーーー決闘！！！」」



◉TURN:０１◉


機兵「………ククク……、斬波戒…ッ…！
貴様ノ魂ごと…破壊し尽くしてくれる…ッ！！
私ノ先攻！！」[手札 5]

戒（…この決闘機兵…意思があるのか…っ？）

まるで個としての意思を持つかのような言動に戒は眉を寄せる。対する機兵は初手を一瞬眺め、すぐに１枚のカードに指をかけた。


機兵「まずは魔法カード『チューナーズ・ハイ』を発動』ーーーーー」

《チューナーズ・ハイ/Tuner’s High》 †
通常魔法
(1)：手札からモンスター１体を捨てて発動できる。
そのモンスターと同じ種族・属性でレベルが１つ高いチューナー１体をデッキから特殊召喚する。

機兵「手札の『魔轟神ルリー』を捨て、デッキより光属性・悪魔族レベル2チューナー『魔轟神レイヴン』を攻撃表示で特殊召喚！」[ATK 1300]☆2(チューナー)

《魔轟神
まごうしん
レイヴン/Fabled Raven》 †
チューナー（効果モンスター）
星２/光属性/悪魔族/攻1300/守1000
１ターンに１度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
自分の手札を任意の枚数捨て、
その枚数分このカードのレベルをエンドフェイズ時まで上げる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
この効果によって捨てた手札の枚数×４００ポイントアップする。

機兵「更に手札カラ捨てられたルリーは自身の効果にヨリ復活する！」[DEF 400]

《魔轟神
まごうしん
ルリー/Fabled Lurrie》 †
効果モンスター
星１/光属性/悪魔族/攻 200/守 400
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、
このカードを墓地から特殊召喚する。

機兵「続けて手札カラ『魔轟神 グリムロ』を捨て、効果発動ッ！！」

《魔轟神
まごうしん
グリムロ/Fabled Grimro》 †
効果モンスター
星４/光属性/悪魔族/攻1700/守1000
自分フィールド上に「魔轟神」と名のついたモンスターが存在する場合、
このカードを手札から墓地へ送って発動できる。
デッキから「魔轟神グリムロ」以外の「魔轟神」と名のついたモンスター１体を手札に加える。


機兵「自分フィールドに『魔轟神』モンスターがいる場合、手札のこのカードを捨テル事で、デッキから『魔轟神』モンスターを手札に加エル…！！
私ガ手札二加えルのは、『魔轟神獣ケルベラル』！！」

《魔轟神獣
まごうしんじゅう
ケルベラル/The Fabled Cerburrel》 †
チューナー（効果モンスター）
星２/光属性/獣族/攻1000/守 400
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、
このカードを墓地から特殊召喚する。

機兵「……レイヴンの効果発動ッ！
手札を任意の枚数捨て、捨てた枚数分レベルを上げ、1枚につき400の攻撃力を得るッ！
私が捨てるカードは2枚ーーーー」


手札→墓地
『魔轟神獣ケルベラル』
『魔轟神ルリー』

機兵「そしてレイヴンのレベル、攻撃力が上昇する！」

『魔轟神レイヴン』[ATK 1300→2100]☆2→4

機兵「……ソレダケデハ無イ！！ 再び手札から捨てられたルリー、そしてケルベラルもルリー同様、自身の効果により復活スル！！」

『魔轟神獣ケルベラル』[DEF 200]☆2(チューナー)
『魔轟神ルリー』[DEF 400]

魔神の傍に神獣は並び立ち、強烈なプレッシャーが戒を襲う。

戒「……ッ……」

戒の全身をビリビリと打ち付けるが、しかし、これ以上のプレッシャーを幾度も受けて来た戒は、この程度では動じない。


機兵「ここでカードを1枚伏せーーーーー」[手札 0]

直後、機兵のEXデッキから黒い焔が立ち昇る。

戒（このままターンを終了する訳ではなさそうだな……ッ）

機兵の場には、チューナーと、チューナー以外のモンスター。

機兵「ーーーーレベル1『魔轟神ルリー』に、レベル4となった『魔轟神レイヴン』をチューニング！！」

レベルの合計は、５。


機兵「ーーーーー魔轟招来！！
現れ出でよ…ッッ！！レベル５ーーーー
『魔轟神レイジオン』ッッ！！」[ATK 2300]


《魔轟神
まごうしん
レイジオン/Fabled Ragin》 †
シンクロ・効果モンスター
星５/光属性/悪魔族/攻2300/守1800
「魔轟神」と名のついたチューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
自分の手札が１枚以下の場合、このカードがシンクロ召喚に成功した時、
自分の手札が２枚になるまでデッキからカードをドローできる。


機兵「レイジオンの効果発動ッ！！ シンクロ召喚成功時、私ハ手札が2枚になるようにドローするッ！！」[手札 2]

戒「…なるほどな…、先にカードを伏せたのはドロー枚数を増やす為か…ッ」

機兵「ーーーー続けて行カセテ貰う…ッ！ 私はレベル5『魔轟神レイジオン』と、レベル1の『魔轟神ルリー』に、レベル2『魔轟神ケルベラル』をチューニングッ！！」

戒「…連続シンクロだと…っ！？」

薄暗き通路を暗雲が覆い、その遥か上空より雷鳴が如く轟音が鳴り響く。


機兵「魔轟天来！！！
現れ出でよ！！
我が分身にて最強の魔轟神ッ！！
レベル８ーーーーー『魔轟神ヴァルキュルス』！！！」[ATK 2900]


《魔轟神
まごうしん
ヴァルキュルス/Fabled Valkyrus》 †
シンクロ・効果モンスター
星８/光属性/悪魔族/攻2900/守1700
「魔轟神」と名のついたチューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
１ターンに１度、手札から悪魔族モンスター１体を捨てて発動できる。
デッキからカードを１枚ドローする。


戒「ーーーーッ…！」

雲を突き抜け、轟音と共に舞い降りた魔神の圧に、戒は思わず息を飲んだ。

戒「…あれは…ッ…精霊のカード…！
それに、“我が分身”……ッ…？」

一瞬驚きを見せた戒だったが、

戒「………そうか……なるほど、な」

すぐに納得したように顎を引く。
戒はこの決闘が始まってから、ひとつ疑問に思っていた。
目の前の機兵と、先程まで交戦していた恐らく量産機だと思われる9体の機兵、その差異に。

戒「……なぜ貴様にだけ感情があるのか疑問だったが、納得した」

そしてもう一つ、柏木瑞希と常盤星奈がなぜ決闘機兵の外装の設計図だけを奪い去ったのかも。

戒「…まず、終焉の焔の決闘機兵は、本来の決闘機兵なら重厚にプログラムを組まなくてはならない『思考』の部分……それを、微弱な精霊に直接機体を操らせる事で補っている。
それにより短時間による大量生産を可能にした訳だーーーーーそうだろ？」

機兵「……」

機兵は答えない。

戒「……そしてお前の中には、その微精霊の代わりに強力な精霊のカードが埋め込まれているって訳だ」

人間界にて今回の作戦の指揮を取るシルバはおそらくその事実を知っていたはずであろう。
しかしその事実を皆に話さなかったのは、自分達が本来なら救わなければならないはずの精霊達と闘って消滅させなければならないという事実に気づいた者が、戦い辛さを覚えてしまうことを恐れての事だというのが、戒の推測だった。

機兵「……ご名答ーーーーー流石は斬波 戒と言ッタところカ……」

機兵は言いながら、機械音を鳴らし両腕を広げる。

機兵「ーーーーー最優先で追ってきて正解だった」

優先順位。
この場合は、栗須のいる部屋の見張りよりも、戒の始末の方が上だったということ。

そしてその理由。

機兵「……貴様は我々が相手をするにあたって、一番に警戒すべき相手……何故ナラ、最も“こちら側に近い存在”だからな…ッ！」

戒「……！」

機兵「……私には見える……貴様の内に眠る“心の闇”が…ッ……」

ヴァルキュルスは悪魔的に笑い言い放つ。
戒はその意味を考え僅かに表情を曇らすが、

戒「……ッ…、動揺を誘うつもりか知らんが、貴様の思惑には乗らない…！」

右手を振り払い、目の前の魔神をキッと睨んだ。

機兵「ククク…ッ…良い目だ……。
おっと、お喋りはこのくらいにシテおこうか…！
ーーーーヴァルキュルスの効果発動ッ！！
手札の悪魔族モンスター、『魔轟神クルス』を捨て、私はデッキから1枚ドローする！！」[手札 2]

引くや否や、墓地に送られたクルスが怪しげな光を放つ。

機兵「……クルスの効果発動！！」

《魔轟神クルス/Fabled Krus》
効果モンスター
星２/光属性/悪魔族/攻1000/守 800
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、自分の墓地からこのカード以外の
レベル４以下の「魔轟神」と名のついたモンスター１体を選択して特殊召喚する。

機兵「手札から捨てられた事で、墓地のレイヴンを復活させる！！」[ATK 1300]☆2 チューナー

まだ機兵の手は止まらない。
流れるように手札の1枚に指をかける。

機兵「……更に…！ このカードは『魔轟神』1体の生贄により召喚できる最上級モンスター…！！
レイヴンを生贄に、現れよ！！『魔轟神ディアネイラ』！！！」

『魔轟神ディアネイラ』[ATK 2800]

不敵に笑う2体の魔神。その攻撃力は双方3000近く。
後ろには1枚の伏せカードを構え、

機兵「…私のターンはこれで終了だ」[手札 1]

機兵はターンの終了を宣言した。















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:２１７ーーー
《轟き、破壊せん》















◉TURN:０２◉


戒「……俺のターン！！」[手札 6]

戒「ーーーーー『聖騎士モルドレッド』を召喚ッ！！」

『聖騎士モルドレッド』[ATK 1700]

《聖騎士
せいきし
モルドレッド/Noble Knight Medraut》 †
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1700/守1000
(1)：このカードはモンスターゾーンに存在する限り、通常モンスターとして扱う。
(2)：このカードが「聖剣」装備魔法カードを装備している限り、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードはレベルが１つ上がり闇属性になる。
●１ターンに１度、自分フィールドにこのカード以外のモンスターが存在しない場合に発動できる。
デッキから「聖騎士モルドレッド」以外の「聖騎士」モンスター１体を守備表示で特殊召喚し、
自分フィールドの装備魔法カード１枚を選んで破壊する。


戒「更に！ 手札の『天命の聖剣』をモルドレッドに装備！」

《天命
てんめい
の聖剣
せいけん
/Noble Arms of Destiny》
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターは１ターンに１度だけ、戦闘及びカードの効果では破壊されない。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、
自分フィールド上の「聖騎士」と名のついた
戦士族モンスター１体を選択してこのカードを装備できる。
「天命の聖剣」のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。
また、「天命の聖剣」は自分フィールド上に１枚しか表側表示で存在できない。

騎士の手に剣が宿り、その手からは邪気が溢れ出す。

戒「…聖剣を手にしたモルドレッドは闇属性となり、レベルが１つ上がる」

『聖騎士モルドレッド』光→闇 ☆4→5

戒「そしてモルドレッドは効果モンスター扱いとなり効果を得る！
モルドレッドの効果発動ッ！！ デッキから『聖騎士』モンスター1体を特殊召喚する！！」

モルドレッドは聖剣を掲げるが、

機兵「クク…！」

突如、モルドレッドに雷撃が襲いかかる。

戒「……！？」

睨む視線の先で、機兵は怪しげに肩を揺らしながら宣言した。
傍には、オープンされた伏せカード。

機兵「ーーーー手札を1枚捨て、カウンター罠『天罰』を発動させて貰った。
これにより、貴様のモルドレッドの効果を無効にし破壊スル！！」

《天罰
てんばつ
/Divine Wrath》 †
カウンター罠
手札を１枚捨てて発動する。
効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。

戒「……！！」

暗雲より放たれた雷が激しい音を立ててモルドレッドに直撃。
しかし、

戒「ーーーーッ…！ だが、天命の聖剣の効果によりモルドレッドは1ターンに1度、破壊されない！！」

天罰による衝撃を聖剣で受け切り、なんとか振り払うモルドレッド。
次の手に移ろうとする戒だったが、機兵の足元からは、怪しげな瘴気が立ち昇る。

機兵「ーーーーマダだ。
『天罰』のコストにより手札から捨てられた『魔轟神獣キャシー』の効果発動！！」

《魔轟神獣
まごうしんじゅう
キャシー/The Fabled Catsith》 †
チューナー（効果モンスター）
星１/光属性/獣族/攻 800/守 600
このカードが手札から墓地へ捨てられた時、
フィールド上に表側表示で存在するカード１枚を選択して破壊する。


機兵「この効果により、モルドレッドには今度こそ消えてもらうッッ！！」

瘴気はみるみるうちにモルドレッドを覆い尽くし、天命の効力を失ったモルドレッドは破壊されてしまう。

戒「…チッ…！
そう簡単に倒れるものか…！！！
俺は手札から魔法カード『聖騎士伝説の終幕』を発動ッ！！」


《聖騎士伝説
せいきしでんせつ
の終幕
しゅうまく
/Last Chapter of the Noble Knights》 †
通常魔法
「聖騎士伝説の終幕」は１ターンに１枚しか発動できない。
(1)：相手フィールドにモンスターが存在し、
自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地の、「聖騎士」モンスター１体と
そのモンスターが装備可能な「聖剣」装備魔法カード１枚を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚し、その装備魔法カードを正しい対象となるそのモンスターに装備する。


戒「…この効果で墓地のモルドレッドをーーーーー」

言いかけたところで、違和感。

戒「…グ……が…ッ……！？
何だ……っ…これは……ッ…！？」

今度は戒の身体を瘴気が覆う。
そして喉元を抑え唸る戒の口からは、無意識に言葉が発せられた。

戒「…この効果で……相手は手札を1枚選び…、捨てなければならないーーーーー」

自分の思考とは無関係に自分の口から放たれたその言葉に不快感を覚えながらも、対面で不気味に笑う魔轟神ディアネイラを戒は睨む。

戒「……貴様の…仕業か…ッ…！」

機兵「ーーーーククク、その通りだ。
『魔轟神ディアネイラ』の効果ーーーーー

《魔轟神
まごうしん
ディアネイラ/Fabled Dianaira》 †
効果モンスター
星８/光属性/悪魔族/攻2800/守 100
このカードは「魔轟神」と名のついたモンスター１体を
リリースして表側攻撃表示でアドバンス召喚できる。
このカードが自分フィールド上に表側表示で存在する限り、
相手が発動した通常魔法カードの効果は
「相手は手札を１枚選んで捨てる」となる。
この効果は１ターンに１度しか適用できない。


機兵「ーーーー1ターンに1度、貴様が発動シタ通常魔法の効果は、『相手は手札を1枚選んで捨てる』となる…！
更に私の手札は0枚……よって全くもって無意味な効果とナッタ訳ダ」

戒「……っ…」

ディアネイラの効果は1ターンに1度強制で通常魔法の効果を書き換える永続効果。
戒が先に通常魔法を発動させていたなら、機兵は手札のキャシーを捨てなければならなかった。
そうなればキャシーの強制効果で機兵は自分のモンスターを破壊しなければならず、天罰のコストすら失っていたのだ。

戒「…これほどのリスクを背負ってまでその盤面で構えられるとはな……ただの機械とは違うって訳か」

機兵「…時には思い切った勝負に出る事も必要ダ……勝利を得ル為にはな……」

戒「……俺はこれでターンを終了する」[手札 3]


◉TURN:０３◉


機兵「私のターン！！」[手札 1]


機兵は引いたカードを横目で確認。
軽く表情を強張らせると、すぐに右手を突き出し、

機兵「ーーーーバトルだ！！
ディアネイラでダイレクトアタック！！」

『魔轟神ディアネイラ』[ATK 2800]

闇を纏い放たれた球体は戒に直撃し、闇のゲームによる衝撃が戒に痛みを与える。

戒「がぁぁぁッッ！！」【LP 8000→5200】

間髪入れずに、機兵は叫ぶ。

機兵「ーーーーヴァルキュルスによる攻撃！！ 〝魔轟・雷天破〟ッ！！！！」


『魔轟神ヴァルキュルス』[ATK 2900]


雷が降り注ぎ、突き刺すような痛みが戒を襲った。

戒「…ぐ…ッ…ァァァァッッ！！！！」【LP 5200→2300】

痛みに耐えながら、戒はある日の事を思い出す。
それは、今から約二年前に黒髭町で行われた決闘大会の決勝戦。
その日、火群との決勝戦に敗北した戒の内に秘めた“雷鳥”の精霊が暴走したのだ。

戒（……あの時は、俺の弱さが周りを巻き込み、市瀬にも迷惑をかけた…）

その時の痛みと、今の痛みは、まるで違う。

戒「…この程度の痛み……ッッ…！！」

一人で振り払えない様では、心から“強くなりたい”と誓ったあの日の自分に馬鹿にされてしまうだろう。

戒は伏せていた顔を上げ、機兵を睨む。

機兵「……ッ…」

獣の様なその眼光に機兵は思わず気圧され後ずさるが、すぐにまた薄気味悪く笑い、

機兵「……クク………やはり良い眼だ…ッ……！
私はこれでターンエンド」[手札 1]


◉TURN:０４◉


戒「俺のターンッ！！ ドロー！！」[手札 4]

戒「ーーーー『聖騎士ペリノア』を召喚！！」[ATK 1900]

《-/Noble Knight Pellinore》
日本語訳
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1900/守 500
このカード名の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードに装備されている「聖剣」装備魔法カード１枚と相手フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
その後、自分はデッキから１枚ドローする。
このターン、このカードは攻撃できない。


機兵「…ほぅ……、ヤハリ新たなカードもデッキに組み込んで来ていたか…」

戒「……更に、『聖剣アロンダイト』をペリノアに装備！！」


《聖剣
せいけん
アロンダイト/Noble Arms - Arfeudutyr》 †
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
１ターンに１度、装備モンスターの攻撃力を５００ポイントダウンし、
相手フィールド上にセットされたカード１枚を選択して破壊できる。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、
自分フィールド上の「聖騎士」と名のついた
戦士族モンスター１体を選択してこのカードを装備できる。
「聖剣アロンダイト」のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。
また、「聖剣アロンダイト」は自分フィールド上に１枚しか表側表示で存在できない。


戒「…ペリノアの効果発動！！ 場の聖剣と、表側表示のモンスター1体を破壊する！！
俺が破壊するのは、アロンダイト、そして『魔轟神ディアネイラ』ッ！！」

馬に乗った騎士の洗練された一撃はディアネイラを斬り裂き、破壊した。

戒「そしてデッキから1枚ドロー！！」[手札 3]

同時に破壊されたアロンダイトは地中にて光り輝く。

戒「…アロンダイトは破壊されても、再び場の聖騎士に装備する事ができる…！！
ペリノアの手に再び宿れ！」

『聖騎士ペリノア』[ATK 1900]@聖剣アロンダイト

機兵「…ディアネイラは破壊されたが、召喚権も使い、残ったのは破壊耐性もない騎士が1体……」

戒「……」

機兵「墓地の騎士と剣を除外し『聖騎士エクター・ド・マリス』を特殊召喚したとしても、エクター・ド・マリスのレベルは５……レベル４のペリノアとエクシーズ召喚はできまい」

淡々と、機兵は続ける。

機兵「…それとも『同胞の絆』で展開して来るか……？ 最も、残り2300のライフで、2000のライフコストを払い、敗北の未来へのカウントを進める勇気が貴様にあるとは思えないがなァ…！！
クハハハファ！！！」

高々に笑い声を上げる機兵。
しかし戒は動じない。

ペリノアの効果で引き寄せた1枚のカードを発動させた。


戒「…この程度で、止まりはしない。
俺が選ぶのは、勝利の未来だッ！！
ーーーーー魔法発動！！『Heritage of the chalice』ッ！！」

《-/Heritage of the Chalice》
日本語訳
通常魔法
このカード名の(1)(2)の効果は１ターンに１度、いずれか１つしか使用できない。
(1)：自分のデッキ・墓地から「聖騎士」モンスター１体または「聖剣」カード１枚を選んで手札に加える。
(2)：このカードが墓地に存在し、
「聖剣」装備魔法カードを装備した自分の「聖騎士」モンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。
墓地のこのカードを手札に加える。

戒「この効果で俺はデッキから『聖騎士コルネウス』を手札に加える！！」

機兵「…ッ……！！ またデータに無いカードを…！！」

戒「…まだだ！！俺は手札から、『聖騎士コルネウス』を特殊召喚！！」[DEF 2000]


《-/Noble Knight Custennin》 †
日本語訳
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1000/守2000
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は１ターンに１度しかできない。
(1)：自分フィールドに「聖剣」装備魔法カードが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)：フィールドのこのカードを素材としてＳ・Ｘ・リンク召喚した「聖騎士」モンスターは以下の効果を得る。
●この特殊召喚に成功した場合に発動できる。
このターン自分は通常召喚に加えて１度だけ、
自分メインフェイズに「聖騎士」モンスター１体を召喚できる。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分は「聖騎士」モンスターしかＥＸデッキから特殊召喚できない。

機兵「……何…ッ…！」

戒「ーーーーコルネウスは場に聖剣がある場合、手札から特殊召喚できる。読みが甘かったな、ヴァルキュルス」

言いながら左手を突き上げ、拳を握る。
戒の場にはレベル4のモンスターが2体。

戒「2体のモンスターでオーバーレイ！！
エクシーズ召喚ッッ！！」

光は交わり、剣は重なる。
やがて新たな騎士王は、神々しい光を放ちながら姿を現した。


戒「ーーーーー掲げよ聖剣！！ 円卓の主よ！！ 今こそ立ち上がり、暗き世界に光を灯せッ！！
現れろッッ！！
ランク４ーーーー『神聖騎士王コルネウス』！！！」


『神聖騎士王コルネウス』[ATK 1500]


新たな騎士王の降臨と共に暗き通路内には光が溢れ、暗雲も晴れてゆくーーーーー


戒【LP 2300】
(モンスター)
『神聖騎士王コルネウス』[ATK 1500]
伏せ:0/手札:2

機兵【LP 8000】
(モンスター)
『魔轟神ヴァルキュルス』[ATK 2900]
伏せ:0/手札:1


戒「…ヴァルキュルスーーーー勝負はここからだッ…！！」






To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:２１８ 混沌の大渦




＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙