DRAW:２２８ 星守の騎士団　作：人喰い

(228)



【Side 結維】


《神星樹内部》
〜『王冠の間』←→『美の間』〜



鈴華「……ッ…！」

結維「……！」





星奈「───また会えたねっっ☆☆☆
“くるくる頭のおねーさん”っっ！！☆☆」


カラフルな星の装飾があしらわれた黒ローブ。肩に届くくらいの金髪を二つ結びにした幼い少女───常盤 星奈(ときわ せな)は無邪気な笑みを浮かべ、鈴華を指差し再開のご挨拶。


鈴華「───ぁ、ぁ、ぁ───…ぁ…っ…」


鈴華との身長差は約40センチ。
目の前の小さな小さな存在からかけられた言葉、しかし鈴華は返せない。
決闘機兵工場にて刻まれた恐怖が、蘇ってくる。

結維「…アンタ……何…して…」

咄嗟に結維は問う。目の前の惨状について。

星奈「？？」

星奈の足元に転がる2体の機兵───否。

───亡骸。それはもう亡骸だ。

鈴華と結維の2人が先程までデュエルをしていた相手。
兵器として利用するために機械の身体を与えられた、人間、だったモノ。

それぞれ巨大な星型の結晶で頭部を潰されており、周囲には鮮血が飛び散っていた。

星奈は目線を足元に向けると、

星奈「このおもちゃのこと？」

軽々しく、言った。

星奈「おーい。起きてー！おーきーてーっ！」

そして何を思ったかその場にしゃがみ込むと、亡骸をぺちぺちと叩き、揺らし、心音を確かめる仕草をする星奈。
当然、亡骸の反応は無い。

星奈「…だめだぁ。治らない…」

結維「……何…言ってん…の…？」

星奈「玲子さんがね、『テレビがつかなくなっちゃった時は叩いたりして強い衝撃を与えるといいよ』って教えてくれたから試してみたんだけど、ダメだったみたい…ざんねん…」

結維「…は…？」

星奈「でも…ま、いっか☆
玲子さんにまた新しいおもちゃ用意してもらおーっと☆」

結維「……っ……」

あまりの理解不能さに、結維も思わず言葉を失う。

鈴華「…結維…さん…。ダメ……この子に……っ私たちの常識は通用しない……」

鈴華の反応から、結維は目の前の少女が決闘機兵工場で鈴華に大怪我を負わせた終焉の焔・伍召焔の1人であると確信する。

結維「……ッ…そっか……アンタが」

目を細め、決闘盤と一体化した左手を構える結維。
それに気づき星奈は目線を上げ、

星奈「そういえばそっちのメガネのおねーさんははじめましてだよね！☆」

立ち上がり、ローブの裾を叩くと、


星奈「───あたしは星奈っ！
終焉の焔・伍召焔のエクシーズ担当！
《星火燎原-ｽﾀ-ﾗｲﾄ☆ﾋﾞｯｸﾞﾊﾞﾝ-》
『常盤 星奈』だよっ！☆」


無邪気な笑顔で、名乗りを上げた。

星奈「よろしくねっ！メガネのおねーさん！☆」

そして決闘盤を構え、


星奈「───きめた☆
次の“おもちゃ”はおねーさんたちにしよう♪☆」


星奈の背後で星々が煌めく。デュエルモード移行の合図だ。
しかしその時───



「─────西蓮寺ッッ！！！」


刹那。通路の奥。
鈴華を呼ぶ声が近づいてくる。

鈴華「───ッ」

星奈「…っ！」


声の正体は、デュエルポリスの隊服を身に纏った白髪の少年───『斬波 戒(ざんば かい)』。
そのすぐ後ろには、銀縁メガネをかけたツンツン頭の少年───『古宮 栗須(こみや くりす)』。


鈴華「……！！」


足止めをしていた決闘機兵を打ち倒し、精霊と身体を一体化させ飛んで来た2人は、鈴華と結維を抱え猛スピードで和泉のいるであろう美の間へと向かう。

結維「…！」

鈴華「…ふたり…とも…っ！」

栗須「───西蓮寺さん！結維さんも…！無事で良かった！！」

結維「…ちょっと…！邪魔…しないでよ…！私は……ッ！アイツを───ッ」

戒「桜庭和泉が危ない…！今はヤツの相手をしている場合ではない！！」

結維「…！！」

和泉の名前を出され、結維は暴れかけていた手を止めざるを得なかった。

戒「ここは引くぞッ！最短で『美の間』へ───」

戒は速度を上げる。しかし───

星奈「───かけっこなら負けないよーっ♪☆」

声は、4人の真横から。

戒「───ッッ！！」

少女は並走しているのだ。
神鳥、そして騎雷鳥とそれぞれ《具象化(ﾄﾗﾝｽ)》した栗須と戒の2人と。

星奈「…イケメンのおにーさんははじめましてで……メガネのおにーさんはどっかで会ったっけ？
こんにちは！星奈だよーっ！☆」

戒「…バケ…モノが…！！」

栗須「…クッッッソがァ！！」

更に速度を上げる戒。栗須も必死の形相でそれに付いて行く。トップスピードだ。これ以上は肉体が保たない。

星奈「もおっ！しょたいめんの“れでぃー”にバケモノとはしつれーね！」

星奈は可愛らしく頬を膨らませたかと思うと、

星奈「───こうなったらホンキ出しちゃおっと！☆」

悪戯に笑う。
直後、星奈の周囲を旋回する3点の星々が線で結ばれ、三角形の盾の様なものを生み出した。

星奈「よっ…と☆」

そして星奈はその星の盾に飛び乗ると、サーフィンの様に乗りこなし、物凄い速さで爆走して行く。


星奈「びゅーーーーーん！！☆」



僅か2秒後。


戒「───ッ」


数メートル先に立ち塞がる星奈を前に、2人は急ブレーキをかけ立ち止まる。
通路はそこで終わっており、星奈のすぐ背後には、巨大な扉。

星奈「…きゃははは！☆
あたしの勝ちーっ！☆」

戒「……ッ…」

栗須「…くっ……そ…ッ…」

体力の消耗か《具象化(ﾄﾗﾝｽ)》は解かれ、抱えていた結維と鈴華を下ろすとその場に膝を付く戒と栗須。
対面の星奈は息ひとつ切らさずけたけたと笑っている。

結維「…ひとまずは、ありがとう。ふたりとも。
それと再開の喜びに浸りたいところではあるんだけど───」


星奈「───きゃは☆」


結維「……どうやらそういうわけにもいかないみたい」

鈴華「…あの扉…！恐らく美の間へと続くエレベーターの扉ですわ…！」

栗須「って事は！あの向こうに、和泉さんが居るって事だよな…！！」

結維の半身、『桜庭 和泉(さくらば いずみ)』。精霊を身体に取り込みやすい特異体質を持つ彼女は、各地より奪った精霊の貯蔵タンクとするため終焉の焔に攫われ、この神星樹の中央下部に位置する『美の間』へと幽閉されている。

結維「ええ…感じる…。この先に……和泉を……」

シルバの話では、和泉の身体を媒体に、《精霊合成獣-ｷﾒﾗ-》を創り出す事が終焉の焔の目的らしい。
和泉の身体に全ての精霊が送り込まれる前に、絶対に、助け出さなければならない。

結維「……進ませて……貰うわよ…」

戒「…よせ…！桜庭結維…！
その身体では…！」

結維「…自分も人の事言えないくらいボロボロなクセに」

戒「……っ…」

結維「……《具象化》って、相当体力を消耗するものだって、聞いてるけど？」

戒「………忠告だ…、死ぬぞ…」

結維「…あら、あなたが本気で人の心配をするなんて、珍しい。
……誰かさんの影響だったり？」

他人のために、平気で命を投げ出せる。
倒れるたびに何度でも立ち上がり、全力でぶつかってくる。
そんな不死鳥の精神を持った男の姿が戒の脳裏によぎる。

戒「……ッ………」

しばしの沈黙を経て、

戒「…っ………勝手にしろ。
───その代わり、絶対に勝て」

口から出たのは、確かな信頼。

結維「…合点」

結維は静かに応え、一歩を踏み出した。

結維「……あ、そういえば、あなたたちがここにいるって事は、当然その“誰かさん”も来てるのよね？」

戒「…ああ。………それがどうした」

結維「……なら、良かった」

戒「……どういう、意味だ」

結維「だって───」

たとえ、ここで全てを出し切ることになったとしても。

結維「───いえ」


───火群になら、和泉を任せられる。


結維「…なんでもないわ」


そう言いかけた言葉を、結維はそっと飲み込んだ。















◉◉◉遊戯王 Ph.X◉◉◉
───DRAW:２２８───
　　《星守の騎士団》















結維は異形と化した左腕を構え、星奈と対峙する。
全体に火傷痕の目立つその異形な左腕を見て悪く思う者はここにはいない。
結維の後ろにて見守る栗須も、戒も、そして横に並び立つ鈴華すらも。

結維「……震えはもう止まった？」

鈴華「……なんのことだかサッパリですわ。
それより危なっかしすぎて、今の結維さんを放っておくなんてできませんもの」

不器用ながらも信頼の言葉を交わし合い、ふたりは無邪気な悪に立ち向かう。

戒「……西蓮寺」

鈴華「何よ。戒さん、止めようったって───」


戒「───任せたぞ」


鈴華「…！」

戒からの予想外の言葉に、鈴華は思わず頬を赤らめ、

鈴華「〜〜〜っ！もうっ！言われなくたって！やってやりますわよ！」

内から溢れる感情を悟られぬよう、顔を伏せ、精一杯の虚勢を張ってみせた。
これまで一匹狼を貫いてきた、ある意味似た者同士な結維と戒。
そんな2人からの信頼の言葉が、何よりも嬉しくて。
それだけで、闘える。


栗須「おい！良いのかよ！！戒！！」

戒「……お前も身体を休めておけ。
そして信じてやれ。仲間の勝利を」

栗須「…っ…！わかってるっっつの！！
結維さん！！西蓮寺さん！！
後ろにはこの俺、古宮栗須っていう最強の切り札が控えてっからな！！
───思いっきりやってやれぇ！！」

加えて栗須の声援が響き渡り、それに後押しされるように、結維と鈴華、ふたりはまた一歩踏み出し、決闘盤を構える。


星奈「…そっちのおにーさんたちは“きゅーけー”するのー？？
あたしとしては4人まとめてでも“はんで”にすらならないけどね！☆」

軽く言ってみせる星奈。
それが虚言などでは無いという事は、その圧倒的な強さを実際に目の当たりにした鈴華、そして栗須には明らかであった。

星奈「じゃあ、おねーさんたち☆
───遊ぼっかっ！☆


結維「ええ。遊びましょう」


鈴華「あなたの気が済むまで」


幼さ故に、命の価値がわからない。
だから殺戮に躊躇が無い。

結維「───もう何も、壊させない」

自分達の大切なものを。

鈴華「───もう何も、奪わせない」

幼い少女の手がこれ以上血で汚れぬ様に。

星奈「───きゃは☆」

マインの“意思”により破壊に目覚めた、そんな彼女を。
もし。
もし、救えるとすれば。


星奈「おねーさんたちも───あたしの『夜空の一部(ｺﾚｸｮﾝ)』に加えてあげるっっ！！☆」


それは、デュエルだけだ。




「「「───決闘！！！」」」







＊　＊　＊






星奈【LP 8000】[手札:5]

結維＆鈴華【LP 8000】[手札:5]



◉TURN:０１◉


星奈「───あたしのターーンっ！！☆」[手札:5]


デュエルは星奈の先攻で始まった。
2対1の変則デュエル。結維と鈴華のフィールド・LPは共有。ターン進行は星奈→結維→星奈→鈴華→星奈→…


星奈「いっくよーっっ！☆
まずはごあいさつ！きてきて！『星因士 ウヌク』！」[ATK 1800]


《星因士
サテラナイト
ウヌク/Satellarknight Unukalhai》 †
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1800/守1000
「星因士 ウヌク」の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「星因士 ウヌク」以外の「テラナイト」カード１枚を墓地へ送る。


星奈「召喚に成功したウヌクの効果、更に手札の『星騎士 リュラ』の効果はっつどーう！☆」


《星騎士
テラナイト
リュラ》 †
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1200/守1600
このカード名はルール上「セイクリッド」カードとしても扱う。
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドに「星騎士 リュラ」以外の「テラナイト」、「セイクリッド」モンスターが召喚された場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
デッキから「テラナイト」魔法カード１枚を手札に加える。


星奈「リュラを特殊召喚して、ウヌクの効果で『星騎士 アルテア』を墓地に！」

決闘開始から一瞬にして、レベル4のモンスターが2体。

鈴華「…っ…！」

星奈「まだまだ！特殊召喚したリュラの効果でデッキから『天架ける星因士』を手札に！」[手札 4]

鈴華が以前相手にした時とはまるで違う展開。
再戦までの期間に力を付けていたのはこちらだけではなかったと、鈴華は痛感する。

星奈「───さぁ！いっくよーーっ！！☆
れべる4のリュラとウヌクで……“おーばーれいねっとわーく”を構築！
えくしーず召喚っ！！☆」

すかさず星奈は2体のモンスターを重ね合わせる。
たちまち2体は光り輝く星となって、星奈の周囲を旋回し始めた───


星奈「───夜空にかがやきあまねく星よっ！
きぼーの光となりてっ、星を守る道筋を照らせっ！！
出番だよっ！！『星騎士 セイクリッド・カドケウス』っ！！」


光の中より姿を現したのは、右手には大振りの猛き剣、左手には蛇の如き螺旋状の装飾が目を引く長杖をそれぞれ携えた金色の鎧を纏いし星の騎士───

『星騎士 セイクリッド・カドケウス』[ATK 2500]


《星騎士
テラナイト
セイクリッド・カドケウス》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク４/光属性/魔法使い族/攻2500/守1650
レベル４モンスター×２体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードがＸ召喚に成功した場合、
自分の墓地の「テラナイト」、「セイクリッド」カードをそれぞれ１枚まで対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。
(2)：手札・デッキから「テラナイト」、「セイクリッド」モンスター１体を除外し、
このカードのＸ素材を１つ取り除いて発動できる。
この効果は、除外したそのモンスターの召喚成功時に発動する効果と同じになる。


星奈「『星騎士 セイクリッド・カドケウス』の効果でデッキから『セイクリッド・シェラタン』を除外して、その召喚時の効果を発動っ！」

《セイクリッド・シェラタン/Constellar Sheratan》 †
効果モンスター
星３/光属性/獣族/攻 700/守1900
(1)：このカードが召喚に成功した時に発動できる。
デッキから「セイクリッド」モンスター１体を手札に加える。


星奈「その効果でデッキから『セイクリッド・カドケウス』を手札に加えちゃうよーっ！☆」[手札 5]

軽々しく言っているが、星奈はこの展開で手札を減らしていない。
それどころか更なる展開札まで抱え込んでいる事実に2人は思わず息を飲む。

星奈「続けて今持ってきたこの子の効果を発動しちゃうね！」

《セイクリッド・カドケウス/Constellar Caduceus》 †
効果モンスター
星４/光属性/魔法使い族/攻1600/守1550
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドに「セイクリッド・カドケウス」以外の
「セイクリッド」モンスターが存在する場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「セイクリッド」魔法・罠カード１枚を手札に加える。
(3)：このカードを素材として持っている「セイクリッド」Ｘモンスターは以下の効果を得る。
●このカードが光・闇属性モンスターと戦闘を行うダメージ計算前に発動できる。
そのモンスターを除外する。

星奈「手札から特殊召喚っ！」[DEF 1550]


栗須「…マジかよ…あの幼女…！！まだ展開する気満々だぜ…！！」

戒「……だが、この神星樹の中では、EXデッキから特殊召喚するモンスターは全てエクストラモンスターゾーンに置かれ、互いにそのゾーンは片方ずつしか使用できない───」

つまり、星奈側は『星騎士 セイクリッド・カドケウス』が場に出ている限り、これ以上エクシーズモンスターを並べる事はできないのだ。


星奈「そんなこと知ってるもーんっ！！
あたしは『セイクリッド・カドケウス』の効果と、手札から“そっこーまほー”『天架ける星因士』をはっつどーう！☆」


《天架
あまか
ける星因士
サテラナイト
/Satellarknight Skybridge》 †
速攻魔法
このカード名のカードは１ターンに１枚しか発動できない。
(1)：自分フィールドの「テラナイト」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターとはカード名が異なる「テラナイト」モンスター１体をデッキから特殊召喚し、
対象のモンスターを持ち主のデッキに戻す。
この効果で特殊召喚したモンスターが表側表示で存在する限り、
自分は「テラナイト」モンスターしか特殊召喚できない。


チェーン②『天架ける星因士』
対象:『星騎士 セイクリッド・カドケウス』

チェーン①『セイクリッド・カドケウス』
(2)：自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「セイクリッド」魔法・罠カード１枚を手札に加える。


星奈「えくしーずもんすたーのカドケウスをデッキに戻して───デッキから『星因士 デネブ』を特殊召喚っ！☆」[ATK 1500]


栗須「せっかく出したエクシーズモンスターをデッキに戻しちまったぞ！？」

戒「……これで必要なパーツを手札、墓地に溜めながら、再び展開の起点を作り出したというわけか…ッ…！」


星奈「カドケウスの効果で持ってくるのは───これ！『星守の騎士団(テラナイト・セイクリッド)』っ！！」

ただ、しかし当の星奈自身はそこまで深くは考えていないだろう。彼女はただ星の声に導かれるままに、踊る様にカードを切るだけだ。

星奈「まだまだいっくよーっ！
特殊召喚されたデネブの効果で『星因士 アルタイル』を手札に加えて……次はこれ！
“えーぞくまほー”『星守の騎士団(テラナイト・セイクリッド)』───はっつどーーんっ！！☆☆☆」


《星守の騎士団
テラナイト・セイクリッド
》 †
永続魔法
このカード名のカードは１ターンに１枚しか発動できず、
このカード名の(2)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードの発動時の効果処理として、
自分の手札・墓地から「テラナイト」、「セイクリッド」モンスター１体を選んで特殊召喚できる。
(2)：自分フィールドの「テラナイト」、「セイクリッド」Ｘモンスター１体を対象として発動できる。
その自分のモンスターとはランクが異なる「テラナイト」、「セイクリッド」Ｘモンスター１体を、
対象のモンスターの上に重ねてＸ召喚扱いとしてＥＸデッキから特殊召喚する。


星奈「この発動時の効果で手札から出てきて！『星因士 アルタイル』っ！！」[ATK 1700]


《星因士
サテラナイト
アルタイル/Satellarknight Altair》 †
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1700/守1300
「星因士 アルタイル」の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、
「星因士 アルタイル」以外の自分の墓地の
「テラナイト」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
この効果の発動後、ターン終了時まで「テラナイト」モンスター以外の
自分フィールドのモンスターは攻撃できない。


星奈「アルタイルの効果で墓地のウヌクふっかーつっ！」[DEF 1000]

この時点で星奈の場には、4体のモンスター。
そして───

星奈「───墓地の『星騎士 アルテア』の効果っ！！」


《星騎士
テラナイト
アルテア》 †
効果モンスター
星４/光属性/戦士族/攻1700/守1300
このカード名はルール上「セイクリッド」カードとしても扱う。
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した場合、
自分フィールドの光・闇属性Ｘモンスターの数までフィールドのカードを対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
(2)：自分フィールドに「星騎士 アルテア」以外の「テラナイト」、「セイクリッド」モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚する。
このターン、自分はＸモンスターでしか攻撃宣言できない。


星奈「アルテアもふっかーーっつ！！」[DEF 1300]

アルテアの蘇生を経て、場には5体のレベル4モンスター。

『星因士 アルタイル』[ATK 1700]

『星因士 デネブ』[ATK 1500]

『星因士 ウヌク』[DEF 1000]

『星騎士 アルテア』[DEF 1300]

『セイクリッド・カドケウス』[DEF 1550]


鈴華「……っ…！」

結維「……さて」

鬼が出るか、蛇が出るか。

星奈「───いっくよーーーっっ！！
5体のモンスターで！“おーばーれいねっとわーく”を構築！！えくしーず召喚！！☆☆☆」

星奈の従える騎士達が一斉に星となり、再び星奈の周囲で光を放つ───

戒「…ッ…！！5体のモンスターでエクシーズ召喚だと…ッ！？」


星奈「───夜空にかがやきあまねく星よっ！
きぼーの光となりてっ、星を守る道筋を照らせっ！！
またまた出番だよっ！『星騎士 セイクリッド・カドケウス』っ！！」[ATK 2500]


5つの星を束ねた星騎士は剣を天高く掲げ、その場で力強く振り払う。
風圧に肌は揺れ、押しつぶされそうなプレッシャーが結維たちを襲う。

結維「……ッ…！」

鈴華「…これ…くらい…！」

星奈「さっきは使わなかったけど、今度は使っちゃうもんねーっ！
『星騎士 セイクリッド・カドケウス』の効果っ！！」


(1)：このカードがＸ召喚に成功した場合、
自分の墓地の「テラナイト」、「セイクリッド」カードをそれぞれ１枚まで対象として発動できる。
そのカードを手札に加える。


墓地→手札
『天架ける星因士』
『星騎士 リュラ』(『セイクリッド』カードとしても扱う)

星奈[手札 5]

鈴華「これだけの展開をして、手札は変わらず5枚…！」

結維「…後続の確保まで万全って訳ね」

しかし場には5つの素材を持て余しているカドケウスのみ。
鈴華は罠による妨害を警戒するが、一方結維は、2体の素材でも出せたカドケウスをわざわざ5体もの素材を使用して出した意味を考えていた。

まだカドケウスには使用していない更なる効果があるのか、それとも───

結維「！」

しかしそこで思考は遮られた。
目の前の星騎士が、眩い光を放ち始めたのだ。

星奈「───『星騎士 セイクリッド・カドケウス』1体で……“おーばーれいねっとわーく”を再構築っ！！」

その光はやがて周囲を包み込み、弾けた。

星奈「“えくしーずちぇんじ”！！
『セイクリッド・トレミスM７』っ！！」


《セイクリッド・トレミスＭ７
メシエセブン
/Constellar Ptolemy M7》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク６/光属性/機械族/攻2700/守2000
レベル６モンスター×２
このカードは「セイクリッド・トレミスＭ７」以外の
自分フィールドの「セイクリッド」Ｘモンスターの上に重ねてＸ召喚する事もできる。
この方法で特殊召喚したターン、このカードの(1)の効果は発動できない。
(1)：１ターンに１度、このカードのＸ素材を１つ取り除き、
自分または相手の、フィールド・墓地のモンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。


姿を現すは、雄々しき翼の奥に銀河を宿した、機械の竜の様な姿をしたモンスター。

『セイクリッド・トレミスM７』[ATK 2700]

連続エクシーズも束の間、
しかしまだ、進化は、止まらない。


星奈「───『星守の騎士団』のもーひとつの効果、使うね」


(2)：自分フィールドの「テラナイト」、「セイクリッド」Ｘモンスター１体を対象として発動できる。
その自分のモンスターとはランクが異なる「テラナイト」、「セイクリッド」Ｘモンスター１体を、
対象のモンスターの上に重ねてＸ召喚扱いとしてＥＸデッキから特殊召喚する。



カチ、カチ、カチ

結維「───？」

突如、どこからともなく、鳴り響く音。

カチ、カチカチ

時計の音、だろうか。

カチカチカチカチ

だんだん音の鳴るリズムが早くなっていくのが結維にもわかる。

カチカチカチカチカチカチカチカチ。


結維「…一体、何を───」


星奈「───言ったよね♪☆
何人相手でも“はんで”にならない……って。
だって────」


少女は笑う。しかし先ほどまでの明るい笑顔ではなく、静かに、笑う。


星奈「───おねーさんたちのターンは、来ないから」


そう言うと、何度目だろうか、星奈の周囲を星々が旋回し、新たなモンスターをその場に生み出してゆく───

現れたるは、星を守る騎士。
騎士は雄々しく気高く、その身を輝かせる。




星奈「“えくしーずちぇんじ”───『星守の騎士 プトレマイオス』───」





『星守の騎士 プトレマイオス』[DEF 2600]


星守の騎士の周囲を旋回する7つの星々。それら全てがエクシーズ素材だ。
そして今、その素材となった星達がひとつ、またひとつと天高く登ってゆく───


星奈「───プトレマイオスの“おーばーれいゆにっと”7つ全てを使うことで、次のおねーさんのターンを、スキップする」




栗須「───」

戒「───」

鈴華「───」

結維「───は…？」


星奈「おねーさんたちはあたしのおもちゃなんだから、壊れるまで付き合ってよね───あたしの“でゅえる”に！☆」



───あたしだけの、“でゅえる”に。







To Be Continued…