DRAW:２２５ 銃撃、狂騒　作：人喰い

(225)




【Side 火群】

〜『基礎の間』←→『美の間』〜




ニクス「ーーーーッッ。
………揺れたな」

マンティス「ああ、テメェの胸でわかった」

ニクス「私の胸を地震探査機として利用するな」

火群がカプセルに入ってから約5分後、上層にて起こった地盤崩壊による揺れは生命の樹全体に響き渡っていたーーーー

マンティス「ったく、精霊のクセにそんなデケェ乳ぶら下げやがって…よく言うぜ」

ニクス「胸肉と言ってもらいたいな」

マンティス「鳥だって認めてんじゃねェ。
……っとまぁ冗談はさて置いてよ、さっきの揺れは気になるな。近くで誰かドンパチやってんのかァ…？」

ニクス「…人間界に居るシルバなら何か状況を把握しているかもしれないが、通信妨害の影響で火群の無線機には未だ反応が無い……」

マンティス「んあ？ 通信妨害だと…？」

ニクス「…ああ、マインが外部に発生させた黒焔の影響で、人間界との連絡が取れなくなってしまっている」

マンティス「そいつはおかしいな…、どっかの誰かが外部から黒焔をぶった切ってくれたお陰で通信機能は回復したって、地上に置いてきた俺の部下は言ってたぜ」

ニクス「…なんだと…？」

マンティス「その無線機、ちょっと見せてみろ」

ニクスは渋々火群の無線機を手渡す。マンティスはそれを受け取ると、目を細め隅々までチェックし始める。

ニクス「機械、詳しいのか？」

マンティス「…ああ、クソ実家がジャンク屋だからな」

苛立ちを隠し切れない声音でマンティスは答える。

マンティス「…ああ、これ熱かなんかでフレームどころかマイク部分まで歪んじまってんな。大方、決闘中テメェが発した炎でやられちまったんだろうよ」

ニクス「…！！ 真和との決闘の際に力を出しすぎてしまった所為か…！」

マンティス「けど運が良いことに中はちゃんと生きてるし、見たところ俺の使ってる無線機と同タイプみてぇだから、パーツも持ち合わせで代用できる」

ニクス「ほう、パーツの予備まで持って来ているのか。用意周到だな」

マンティス「単身乗り込みの俺にとっちゃ
無線機はガチの生命線だからな…、なんかあった時に修理できるよう予備のパーツと工具持ってきといて良かったぜ。サービスでこいつは直してやるよ」

ニクス「…それは助かる。
そういえば、“意外と”慎重派だったな、貴様は」

マンティス「……一言余計だ。不死鳥のガキがカプセルから出て来るまでにはなんとか直しといてやる」

ニクス「……ありがとう。
……と素直に言いたいところではあるがーーー」

ニクスはくるっと振り返り続ける。

ニクス「……正直な話は、人間界の…もとい、司令室からのモニター情報を引き出すのが狙いなのだろう？」

マンティス「…カッ、本当の本当にただのサービス精神だっつの」

ニクス「……フッ、その強面でサービスなどとよく言えたものだな」

マンティス「第一、仮にだ。万が一そうだったとしてもだ。お前に断る理由は無いはずだぜ」

ニクス「ははっ、その通りだな。イタズラが過ぎた」

マンティス「……だがまぁいい線いってる。俺はただマインがブッ倒せりゃ今はそれで良い。その為に一番欲しいのは『情報』と後方からのバックアップ環境だからな」

ニクス「…それでやけに友好的だったわけか」

マンティス「俺的にもテメェらがボロクソカスみてぇにやられてたのはタイミング的にもめちゃくちゃ良かった。
元々俺一人でマインの元へ行けるなんざ思ってなかったしなァ」

ニクス「……それなのに単身乗り込んで来たのか……やっぱりお前バカだろう」

マンティス「るせぇ焼き鳥にすんぞ」

明確に殺意のこもった罵倒を交えつつ、

マンティス「ーーーマインの元まで辿り着きさえすれば、俺にはヤツを倒す為の武器がある」

含み笑いでそう言った。

ニクス「……武器…だと…？」


マンティス「…ああ、精霊を狩るついでに遺跡から発掘された、『武器』を模したカードだ。
このカードさえあれば、マインを、必ずーーーーー」
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:２２５ーーー
《銃撃、狂騒》















【Side 結維】



〜『王冠の間』←→『美の間』〜



結維＆鈴華【LP 8000】

銃機兵＆刃機兵【LP 8000】



【決闘ルール】
タッグデュエル:フィールド・ライフ共に共有

【TURN PLAYER】
銃機兵→結維→刃機兵→鈴華



銃機兵「ーーーー私ノ先攻ッ！」[手札 5]


◉TURN:０１◉


銃機兵「…まずはこのカード……フィールド魔法、『鋼鉄の襲撃者』を発動！！」


《鋼鉄の襲撃者
ヘビーメタル・レイダース
/Heavy Metal Raiders》 †
フィールド魔法
(1)：このカードがフィールドゾーンに存在する限り、
自分の機械族・闇属性モンスターは、それぞれ１ターンに１度だけ戦闘では破壊されず、
その戦闘で自分が戦闘ダメージを受けた場合、その数値分だけ攻撃力がアップする。
(2)：１ターンに１度、自分フィールドの元々の種族・属性が機械族・闇属性のモンスターが、
戦闘または自身の効果でフィールドのカードを破壊した場合に発動できる。
手札から機械族・闇属性モンスター１体を特殊召喚する。


結維「……機械族の戦闘を補助するフィールド魔法…！」

銃機兵「更にカードを2枚伏せ、私のターンは終了ダ。
ーーーサァ、かかって来るが良イ」[手札 2]


◉TURN:０２◉


鈴華「…モンスターを召喚しない…？」

しかしあの余裕っぷりを見る限り、事故を起こしているわけじゃなさそうだ。
きっと何か策があっての事ーーーー

結維「ーーー私の…ターン！」[手札 6]

なら自分はそれを上から潰し、前に進むだけだ。

結維「機械相手に容赦はしない…ッ！
最初から全力で行くわ！！
手札から魔法カード『ロスト・サンクチュアリ』を発動！！」


《ロスト・サンクチュアリ》＊Ph.X Original Cards
通常魔法
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。このカードは自分の手札・フィールドから天使族モンスター1体を墓地に送って発動する事もできる。
①:デッキ・墓地から『天空の聖域』を発動する。モンスターを墓地に送ってこのカードを発動した場合、さらにデッキから「代行者」モンスター1体を手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は天使族モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
②:自分フィールドに「マスター・ヒュペリオン」が表側表示で存在する場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の墓地または除外されている自分の「代行者」モンスター1体を選んで手札に加える。その後、手札の「代行者」モンスター1体を召喚できる。


結維「…手札の『トリアス・ヒエラルキア』を墓地へ送り、デッキから『神秘の代行者 アース』を手札に加え…更に『天空の聖域』を発動！！」

閃光が弾け、地面が迫り上がる。
やがて現れた聖域は周囲の闇を晴らし、浄化していくーーーー

銃機兵「…ッ…！！ 忌々しいチカラだ…ッッ…！」

結維「…思考処理の時間なんて与えるもんですか…！！『神秘の代行者 アース』を召喚！！」[ATK 1000]☆2(チューナー)


《神秘
しんぴ
の代行者
だいこうしゃ
アース/The Agent of Mystery - Earth》 †
チューナー（効果モンスター）
星２/光属性/天使族/攻1000/守 800
このカードが召喚に成功した時、
自分のデッキから「神秘の代行者アース」以外の
「代行者」と名のついたモンスター１体を手札に加える事ができる。
フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、
代わりに「マスター・ヒュペリオン」１体を手札に加える事ができる。


結維「アースが召喚された時、デッキから『代行者』1体を手札に加える事ができる…！ だけど、場に天空の聖域がある時、『代行者』の代わりに聖域の主を呼ぶことができる…！！」

刃機兵「……！！」

結維「…来て！！『マスター・ヒュペリオン』！！」

デッキ→手札
『マスター・ヒュペリオン』

結維の精霊である『マスター・ヒュペリオン』。
太陽の如き輝きを放つそのカードは主人である結維の手に宿ると同時に結維の背後に姿を現出させる。


結維「……出番よ。ヒュペリオン」


ヒュペリオン『ーーーー御意』


【このカードは、自分の手札・フィールド上・墓地に存在する
「代行者」と名のついたモンスター１体をゲームから除外し、
手札から特殊召喚する事ができる。】


場→除外
『神秘の代行者 アース』


結維「ーーー失われた聖域を取り戻す為…ッ天より舞い降り“強さ”を示せっ！！！
『マスター・ヒュペリオン』！！」［ATK 2700］☆8


《マスター・ヒュペリオン/Master Hyperion》 †
効果モンスター
星８/光属性/天使族/攻2700/守2100
このカードは、自分の手札・フィールド上・墓地に存在する
「代行者」と名のついたモンスター１体をゲームから除外し、
手札から特殊召喚する事ができる。
１ターンに１度、自分の墓地に存在する
天使族・光属性モンスター１体をゲームから除外する事で、
フィールド上に存在するカード１枚を選択して破壊する。
フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、
この効果は１ターンに２度まで使用できる。


銃機兵「……精霊ノ…カード…ッ！」

結維「ーーー更に！！ 墓地の『ロスト・サンクチュアリ』を除外して効果発動ッ！！


②:自分フィールドに「マスター・ヒュペリオン」が表側表示で存在する場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の墓地または除外されている自分の「代行者」モンスター1体を選んで手札に加える。その後、手札の「代行者」モンスター1体を召喚できる。


結維「この効果で除外されたアースを手札に加え、再び召喚！！」[ATK 1000]☆2(チューナー)

結維「召喚成功時の効果で、私はデッキから『死の代行者 ウラヌス』を手札に…！！」[手札 5]

太陽の神と代行者が並び立つと共に、聖域を覆う光もより一層強くなりーーー

鈴華「これで結維さんの場には、チューナーとチューナー以外のモンスターが揃いましたわ…！」

結維の従えるモンスター2体とも、結維の指示を聞くまでもなく自分たちの役目を理解しているのだろう、光を纏いそれぞれレベルと同じ数の星となって列を成した。

結維「…レベル8の『マスター・ヒュペリオン』にーーーレベル2の『神秘の代行者 アース』をチューニング！！」

列を成した星々は光の輪を潜り、その輝きは加速するーーーーー


結維「…聖域は蘇るーーー…太陽神の名の下にッッ！！
シンクロ召喚！！ 来て…っ…！！ レベル10ーーーー
『太陽神 ヒュペリオン・アル・メギド』！！」[ATK 3000]☆10


《太陽神 ヒュペリオン・アル・メギド》＊Ph.X Original Cards
シンクロ・効果モンスター
星１０/光属性/天使族/攻 3000/守 2400
天使族チューナー+「マスター・ヒュペリオン」
このカード名の①②③の効果は、それぞれ１ターンに１度しか使用できない。
①:このカードがS召喚に成功した場合に発動できる。自分のデッキ・墓地から「天空の聖域」を発動する。フィールドに「天空の聖域」が存在する場合には代わりにデッキから１枚ドローする。
②:自分メインフェイズに、手札及びデッキから「代行者」モンスター１体を墓地へ送り発動できる。このカードは次の自分のスタンバイフェイズ時まで、この効果を発動する為に墓地へ送った「代行者」モンスターの元々のカード名と効果を得る。その後、フィールドのカードを１枚選んで破壊できる。
③:S召喚したこのカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時に発動できる。自分の墓地の「マスター・ヒュペリオン」１体を手札に加える。


銃機兵「…シンクロ召喚…！ やはり来たカ…！！」


結維「…シンクロ召喚成功時、アル・メギドの効果により、1枚ドロー！！」[手札 6]

鈴華「……結維さん、流石ですわ。ここまでの展開で手札が減っていない…！」

結維「…こんなもんじゃないわよ鈴華！！
続けて2つ目の効果発動！！


②:自分メインフェイズに、手札及びデッキから「代行者」モンスター１体を墓地へ送り発動できる。このカードは次の自分のスタンバイフェイズ時まで、この効果を発動する為に墓地へ送った「代行者」モンスターの元々のカード名と効果を得る。その後、フィールドのカードを１枚選んで破壊できる。


デッキ→墓地
『創造の代行者 ヴィーナス』


発動の宣言と共に、空の彼方から金星と思わしき惑星（サイズ自体はかなり小さくなっており、直径70センチほど）が現れ、太陽神の周囲を旋回する。

結維「これで次の私のスタンバイフェイズまでアル・メギドは金星の力をーーーヴィーナスの力を得た…ッ…！」

刃機兵「……更にそれだけではナイ…、我々の場のカードを1枚選び破壊する事ができる。実に強力な効果だ」

結維「…説明の手間が省けて助かるわ。
伏せカードを破壊！！」


場→破壊
『銃砲撃』


鈴華「…！ 『銃』……っ…？」

結維「……どうやらそれがデッキのキーとなるカードだったみたいね…悪いけど破壊させてもらったわ」

銃機兵「………」

結維「…このまま押し切る…！！ アル・メギドが得たヴィーナスの効果発動！！」


《創造
そうぞう
の代行者
だいこうしゃ
ヴィーナス/The Agent of Creation - Venus》
(1)：５００ＬＰを払って発動できる。
手札・デッキから「神聖なる球体」１体を特殊召喚する。



結維＆鈴華【LP 8000→6500】


『神聖なる球体』[DEF 500]

『神聖なる球体』[DEF 500]

『神聖なる球体』[DEF 500]


結維「…このままエクシーズ召喚って言いたいところだったけど、どういうわけかこの『生命の樹』の内部ではEXデッキから特殊召喚できるのは互いに1体まで……ったく、やりにくいわね」

文句を垂れながらも、結維はすかさず次の一手に手をかける。

結維「手札の『死の代行者 ウラヌス』を特殊召喚！！」


《死
し
の代行者
だいこうしゃ
ウラヌス/The Agent of Entropy - Uranus》 †
チューナー・効果モンスター
星５/闇属性/天使族/攻2200/守1200
(1)：フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)：１ターンに１度、自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「代行者」モンスター１体を墓地へ送る。
このカードのレベルは、この効果で墓地へ送ったモンスターのレベルと同じになる。


結維「バトルフェイズ！！ ウラヌスでダイレクトアタック…ッッ！！」


『死の代行者 ウラヌス』[ATK 2200]


漆黒の光が銃機兵へと放たれたその瞬間。機兵の前に現れる巨大な影ーーー

ーーー否、要塞。

巨大な要塞の如きモンスターが、機兵を守るべく立ち塞がったのだ。

結維「…ッ……！」

鈴華「……あれはーーーー」



『機動要犀 トリケライナー』[DEF 2800]


銃機兵「……『機動要犀 トリケライナー』。
このカードは、相手が3体以上のモンスターを特殊召喚したターンに手札カラ特殊召喚デキル。残念だったなサクラバ ユイ。オマエの攻撃は、我々には届かなイ」


《機動要犀
きどうようさい
トリケライナー/Trifortressops》
効果モンスター
星６/闇属性/機械族/攻1600/守2800
(1)：相手が３体以上のモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したターンに発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、他のカードの効果を受けず、
お互いのスタンバイフェイズ毎に守備力が５００ダウンする。
この効果は相手ターンでも発動できる。


鈴華「…守備力2800でカードの効果を受けないモンスター…っ！！」

結維「けどカードの効果を受けないって事は、フィールド魔法『鋼鉄の襲撃者の効果も受けないという事。戦闘破壊耐性は付与されていない…それなら…！！」

モンスターの数が変動した事で、ウラヌスの攻撃を中断する事もできるのだが、しかし、

結維「…中断なんて、しないわ」

結維はきっぱりと断言。

鈴華「せ、せやかて、ウラヌスの攻撃力じゃ、トリケライナーには届かな……あっ！」

何故か関西弁の混じる鈴華もそこでハッとし、結維の手札に目線を移す。
結維はそのうちの1枚に指をかけ勢いよく引き抜き叫ぶ。

結維「…届…ッッかせる…！！！
手札の『ジュラゲド』の効果発動！！」


《ジュラゲド/Juragedo》 †
効果モンスター
星４/闇属性/悪魔族/攻1700/守1300
このカード名の(1)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分・相手のバトルステップに発動できる。
このカードを手札から特殊召喚し、自分は１０００ＬＰ回復する。
(2)：このカードをリリースし、
自分フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力を次のターンの終了時まで１０００アップする。
この効果は相手ターンでも発動できる。


結維「このカードを特殊召喚し、ライフを1000回復する！！」【LP 6500→7500】

銃機兵「……ッ！」

結維「…そして攻撃続行！！ ウラヌスでトリケライナーを攻撃！！」


『死の代行者 ウラヌス』
[ATK 2200]
ーーーVSーーー
[DEF2800]
『機動要犀 トリケライナー』


結維「…このダメージステップ開始時、ジュラゲドの効果発動ッ！！ 自身をリリースし、ウラヌスの攻撃力を1000ポイント上昇させる！！」


『死の代行者 ウラヌス』[ATK 2200→3200]


ジュラゲドの力を得たウラヌスの光弾は機動要犀に命中し、爆散。跡形も無く消し飛んだ。


結維「…続けてヒュペリオン・アル・メギドでーーーー」


直接攻撃を仕掛けようとしたその瞬間。


刃機兵「ーーーー『破壊』、シタナ」

不敵に呟くは、刃を纏った機兵。
銃を纏った機兵も、深く頷きながら口を開く。

銃機兵「ーーーークク、まさか機動要犀をこうも容易く突破してくるとは……。ダガ、これも想定済みだ」


晴れゆく爆風の隙間から、銃口が顔を覗かせる。


三つの、銃口が。

結維「……ッ…！」


銃機兵「このカードは、自分フィールドの闇属性・機械族モンスターが戦闘、効果で破壊された場合に、手札から特殊召喚されるーーーーー」

鈴華「…っ！」

銃機兵「ーーーー出陣セヨ……ッッ！！『デスペラード・リボルバー・ドラゴン』ッッ！！」[ATK 2800]☆8


《デスペラード・リボルバー・ドラゴン/Desperado Barrel Dragon》 †
効果モンスター
星８/闇属性/機械族/攻2800/守2200
(1)：自分フィールドの機械族・闇属性モンスターが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：１ターンに１度、自分・相手のバトルフェイズに発動できる。
コイントスを３回行う。
表が出た数までフィールドの表側表示モンスターを選んで破壊する。
３回とも表だった場合、さらに自分はデッキから１枚ドローする。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
(3)：このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
コイントスを行う効果を持つレベル７以下のモンスター１体をデッキから手札に加える。




結維「……！！！」

鈴華「…っなんて威圧感……！」

三つの首に三つの銃身。その禍々しく威圧的な機械龍を前に二人は思わず息をのむ。


銃機兵「……我々は精霊のカードこそ保持していないが、先程までオマエが闘っていた雑兵共とは訳が違ウ…！！ それを今カラその身に刻み込んでヤロウ！！
デスペラードの効果発動！！！」


(2)：１ターンに１度、自分・相手のバトルフェイズに発動できる。
コイントスを３回行う。
表が出た数までフィールドの表側表示モンスターを選んで破壊する。
３回とも表だった場合、さらに自分はデッキから１枚ドローする。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。


銃機兵「…コイントスを3回行い、表の数だけ表側表示のモンスターを破壊スル！！」

鈴華「……コイントス…？ 運試しって事？」

銃機兵「そのはずだったガ、オマエがワタシの伏せカードを破壊してくれたおかげで、殲滅の未来は確実となった」

結維「…なん…ですって…！？

銃機兵「墓地の『銃砲撃』の効果！！」


《銃砲撃
ガン・キャノン・ショット
/Proton Blast》 †
永続罠
(1)：１ターンに１度、コイントスを行う効果が発動した場合、
その効果で表が出た数によって以下の効果を適用する。
●１回以上：相手に５００ダメージを与える。
●２回以上：相手フィールドのカード１枚を選んで破壊する。
●３回以上：相手の手札を確認し、その中からカード１枚を選んで捨てる。
(2)：コイントスを２回以上行う効果が発動した時、
墓地のこのカードを除外して発動できる。
そのコイントスの結果を全て表が出たものとして扱う。


銃機兵「墓地のこのカードを除外し、2回以上のコイントスをーーーー全て表にスル！！！」

結維「……コイントスの結果を…っ全て表に…ッ…！？」

機械龍の三つ首ーーー三つの銃身のシリンダーが回り、銃弾が装填される。

銃機兵「…これは闇のゲーム……。この銃撃ーーーダメージは無くとも、その弾丸はプレイヤーにも襲いかかるーーーー絶望を身に刻めェェ！！」

結維「……ッッ！！」


銃口が結維の場のモンスター達に向けられ、轟音と共に銃弾が放たれる。


ウラヌス、神聖なる球体に加え、ヒュペリオンまでもが撃ち貫かれ、その弾丸は勢いを殺さぬまま結維へと向かう。

結維「……ッ…！！」

結維は歯を食いしばり、目を見張り、来るなら来いと言わんばかりに銃弾を待ち受ける。
避けようにも、正直なところ立って決闘しているのがやっとで、咄嗟の回避ができるほどの体力は既に残っていなかったのだ。


しかしそこで、ぐらりと。
結維の視界が斜めに傾く。

結維「…！？」

意識はまだしっかりしている。気を失いかけたというわけではない。けれど間違いなく身体は斜めに倒れかかっている。

誰かに突き飛ばされたのだ。

誰に？いやそんなのわかりきってる。
鈴華だ。

じゃあなんのために？いやいやそれもわかりきっている。
自分を助けるためだ。

地に手を突き顔を上げた結維の視界には、結維の元へ真っ直ぐに飛び込んだ姿勢のままその身に銃弾を受ける、鈴華の姿。



結維「────鈴華ァあァぁッッッ！！！！」



手札からの奇襲。不意を突くような一撃。
想定していなかったわけじゃない。
しかし、甘かった。
焦ってしまった。
その甘さが、焦りが、今の事態を招いている。

護るつもりが護られて、どうしようもない不甲斐なさが胸をえぐった。






To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:２２６ 銃剣、乱舞






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙