DRAW:１０５ 零るる一滴　作：人喰い

(105)






巨乳の女子「ーーーあららー、何負けてんのよ。マサカズ」


宮本「…見ていたのか。
なに、あんなものは練習問題にすぎない。
ーーー試験用の問題は、試験当日まで温めておくものだ」

巨乳の女子「…はいはい」

宮本「…しかしわかっていたこととはいえ、自らの教え子が直接、我々の邪魔をしにこようとはな……」

巨乳の女子「あんたでもそこは悩むのねー」

宮本「無論、やりづらさなどは1%も感じない」

巨乳の女子「おや、流石っすねー。先生殿」

宮本「…それより、お前の方こそどうなんだ？」

巨乳の女子「あたし！？ あたしは別に……、大丈夫だよ？
こうなることも、まぁ薄々気がついてたしねー。戦う覚悟はとっくにできてるよ」

宮本「…そうか。ならいいのだがな」

巨乳の女子「…じゃああたし、そろそろ戻りますねー」

宮本「……ああ」


ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ…


宮本「………。戦う覚悟、か」

















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１０５ーーー
《零るる一滴》
















ーーー翌朝。


〜通学路〜


火群「ーーーなんとか来週以降の補習は免れたけど……」

明日人「少なくとも今日と明日は学校に行かなきゃなんねーなんてな……」

栗須「しかも明日の小テストで９０点以上取れなかったら来週以降も学校か……」

火群「なんとしてでも合宿は死守しねーとな……」

栗須「そうだよなぁー………、
………合宿！！！？？」

火群「…あ……」

明日人「火群くーん、ちょっとどういうことか説明してもらってもいいかな？？ いや、説明しろ？？」ﾒｷﾒｷ…

火群「いてぇ！！ 肩掴むなって！！」



〜〜〜



明日人「ーーーほぅほぅ。俺達が入院している間にそんな事が…」

栗須「…それで合宿にねぇー」

明日人「…よし、俺たちも行くぞ」

栗須「あたぼーよ！」

火群「いやちょっと待て！ 勝手に決めんなぁ！」

栗須「…でも、俺たちだって事件の当事者だぜ？ 別にそんぐらいはいいんじゃねーのか？」

明日人「戦える決闘者も多い方がいいだろ？」

火群「…わーったよ！ 一応、メアリーさんに交渉はしてみる」

明日人「…っしゃ！」

火群「…そういえば、お前達のとこにも精霊王の声は届いてたんだっけか？」

栗須「…ああ、俺達のとこにも“精霊王”って名乗る人の声は届いてたぜ。連絡先聞こうとしたら聞こえなくなっちまったけど」

明日人「俺も、『入院中なのに、んな遠出できるか！！』って言ったら聞こえなくなった」

火群「…お前ら、精霊王になんてことを…」

栗須「…ってか火群！ お前精霊王見たことあんだろ！？
美人だったか！？ 美女だったかー！？」

火群「…褐色肌で、細身で、とても綺麗な顔立ちだったと思う」

栗須「…うぉぉぉ！！ マジかぁ！ 胸は！？ 胸は！？」

火群「……控えめに言って、控えめだった」

栗須「………」

明日人「…いやそこは黙るなよ…」

火群「でも桜庭さんよりはーーー」


和泉「ーーー私よりは？」


火群「！！！！」

和泉「ねぇねぇ私よりは……何？？」

火群「……何で桜庭さんがここに…！？ ってか、い、いつから居たんすか……？」

明日人「『〜〜〜』の後からずっと居たぞ」

火群「…先に言えってぇぇぇええぇぇええっっ」

和泉「ねぇねぇねぇ聞いてるんだけど。誰の何が私の何より何だって？」


火群「うわあああぁぁあああぁあぁあ」





＊



〜黒髭中学〜




火群「…なるほど……。図書室に本を借りに行くんだ」

和泉「うん、夏休み入る前に借りた本、全部読み終わっちゃったから」

火群「確か、20冊くらい借りてたよな…。俺が一生に読むかわからんくらいの量だぞ…」

和泉「あはは、市瀬くんはもっと本読んで賢くならないとダメだね〜」

火群「…ぅ…っ」

栗須「漫画ばっか読んでても、ダメってこったな！」

明日人「…お前が言うな！」


和泉「…あははは…。じゃあ私、補習終わるまで図書室で本読んでるから、終わったら来てねっ」

火群「ああ、わかった」








〜図書室〜

【和泉side】


和泉「あ…っ！ 瑞希先輩」

瑞希「おっ、いずみんおひさー♪」

和泉「お久しぶりですっ。反帝アリーナ以来ですね…、あの後は、ちゃんと避難できたんですか…？」

瑞希「うん、なんとかねー。いずみんも、無事で良かったよー♪」

和泉「…それで先輩はどうして図書室に？」

瑞希「あたしが図書室にいちゃ悪いのかよー」

和泉「いやっ、そう言うわけじゃなくて…っ！ 先輩って、もっと外で運動してるようなイメージがあったので…」

瑞希「あはは、それ、よく言われる。
……で、図書室に来た理由なんだけどね、バレー部の部活終わりはよく来るんだー。静かだし、落ち着くし、…涼しいし！」

和泉「最後の一言で大体全て察しました…」

瑞希「…夏休み中に本借りに来るいずみんみたいな子の方が珍しいねー」

和泉「…図書委員の人や先生には怒られないんですか…先輩…」

瑞希「半分呆れられてる感じだからへーきへーき。それに本だって読んでるし」

和泉「…あははは…。
それにしても、私たちしかいないんですね」

瑞希「…まぁ、この時期はまず人なんて来ないよねー。あたしたちみたいな変人を除いて」

和泉「変人！？」

瑞希「あ、そういえば、今日は“彼”、一緒じゃないのねー？」

和泉「…ニヤニヤしないでください…。火群くんなら、今日は補習受けてます…」

瑞希「決闘は強くても、頭は弱いのねー」

和泉「…ええ、ほんっっとに……バカなんだから…」

瑞希「……♪」

和泉「…？ どうしたんですか？ 先輩」

瑞希「いや、何でもないよー♪ いずみん可愛いな、って思って」

和泉「！ からかわないでください…っ！」

瑞希「あはは！ ごめんごめんっ」

和泉「…むぅ……」

瑞希「……なんかいずみんと話してると、楽しいな」

和泉「……？」

瑞希「…ごめんっ、気にしないで。
それじゃ、私はもう充分涼んだし、そろそろ行くねー！」

和泉「…あ…っ！ ちょっと待ってください！」

瑞希「…ん？ どした？」



和泉「…瑞希先輩に…、“妹”っていますか？」



瑞希「……！」


瑞希「………いないよ」



和泉「……っ」

瑞希「…それが、どうかした？」

和泉「…いえ、私の一個下の友達に、先輩と同じ『柏木』って苗字の子がいて、もしかしたら姉妹なのかなって思って…」

瑞希「…なるほどね。私と同じ苗字って事はその子、絶対良い子に違いないねっ！」

和泉「…なんて自信満々なんだ…。
…でもその通りで、とっても良い子なんですよっ」

瑞希「…そりゃ良かった。じゃあその子とは、これからもちゃんと仲良くしてやんなよー♪」

和泉「…ええ、もちろんです！」

瑞希「……じゃ、またね！」

和泉「…はい！ お疲れ様ですっ♪」







〜〜〜






瑞希「………」


瑞希（………雫……。あんたは、本当にいい友達を持ったね）


瑞希（……お姉ちゃん、嬉しいよ）










To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１０６ いざ、合宿へ！！




＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙