DRAW:EX2 エンドレス・ナイト♪　作：人喰い

和泉「火群くん！ トリックオアトリート！」




カボチャの衣装に身を包んだ和泉が、そう言いながら火群の目の前に左手を差し出した。



火群「ふぇ？」



和泉「お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞーっ！」


火群「俺はイタズラの方を選ぶぜ」


和泉「…え、ちょ…っ！ なんで服脱ぎ始めてんの！」


火群「あ…いや、つい」


和泉「ってかそれより！ 早くこれに着替えて外出て街を歩こうよっ。なんたって今日は、年に一度の仮装パーティーなんだからっ！」


和泉は満面の笑みで言いながら、衣服の入った大きめの紙袋を火群の手元に強引に押し付ける。


火群「結局服は脱ぐ羽目になるんじゃないか…」
















遊戯王 Ph.X DRAW:EX2
《エンドレス・ナイト♪》















火群「ーーーわわっ！ そんな引っ張るなって！」


着替えを済まし、街へ繰り出した火群と和泉。カードの精霊のニクスと千愛も一緒だ。


火群「ただでさえ歩きづらいんだからよ…っ」


和泉「似合ってるよー(笑)。そのドラキュラの衣装」


火群（…恥ずかしいが和泉の頼みとあっちゃぁ断れないんだよなぁ）


ニクス『…あぁ…ぷくく…っ、本当に、良く…くっ笑、似合ってるぞ、火群』


千愛『…ええ。……くふっ、和泉ちゃんにも褒めっ、褒められて…嬉し、そうじゃない』




火群（あいつらぜってぇ許さねえ。
帰ったら妄想で恥ずかしい目に合わせてやる）


和泉「…ねぇ見てみて火群くん！ 私たち以外にも、仮装して歩いてる人たちがたくさんいるよっ！」


火群「…え？ あ、本当だ」



火群が見渡す先には、カボチャを始めとしハロウィンにちなんだ仮装の人で溢れかえっていた。


和泉「…わぁ…！なんだか楽しくなってきたねっ！」


火群（…最近の和泉は、良く笑うようになったな…。周りの環境の変化なのか、和泉自身の心の成長なのかはわからないけど）


千愛『…なーにニヤけてんのよ、市瀬火群』


火群「…え！？ いやなんでもない！」


ニクス『…ふふ。わかりやすいやつだな』



和泉「…？ あの人だかりは何かな…！？」


和泉に言われて火群も気付いたようで、少し立ち寄ってみた。






男「くっ……」【LP 0】


？？「さぁさぁさぁ！ 次イタズラして欲しいのは誰デスカーっ！！？」



人混みをかき分けて間から顔を出して覗いてみるとそこでは、魔女の衣装を着たウェーブがかった金髪の少女が、何やらデュエルをしているようだった。



和泉「…何、あれ…？」


ニクス『デュエルしてたみたいだな。お互いデュエルディスクをつけている』



男「次は俺が！」

男「いいや俺だね！」

男「どけ！ 俺がイタズラされる番だ！」

火群「待て！ 俺もイタズラされたい！」

男「邪魔だ！ すっこんでな！」



千愛『…なんであの馬鹿は一瞬にしてあの中に混ざってんのよ…』


和泉「…え！？ 本当だいつのまに！」


ニクス『…たく…っ』



？？「……え〜〜っと、あまりにも人数が多いので次でラストにするデスネ…」



男「…まじかぁあああ！」

男「俺だ俺だ俺だ俺だぁ！」

男「俺もロッカちゃんの魔法の召喚を体験するんだぁあ」



火群（…魔法の召喚……！？）



？？「とってもラッキーなラストのお相手は〜〜、そこのあなたに決めたデスヨーっ！」



刺された指の先にいたのは、火群だった。



火群「……え？」





ロッカ「自己紹介がまだデシタネ！ 私は『ハーリー・ロッカ』！ 中学1年生デスネ！」



火群「…えっと、『市瀬 火群』。中学2年生」



ロッカ「楽しい楽しい仮装パーティーのラストデュエル！ 残念ながら参加できなかった皆さんも、全力で楽しんでいってね！」



火群「デュエルとあらば手加減はしないぜ。…火葬パーティーにならないといいけどな…！」


和泉「年下の女の子相手に物騒だよ！ 火群くん！」


ニクス『…全く、困ったもんだ……』




「「デュエルスタンバイ！」」



火群【LP 4000】


ロッカ【LP 4000】




「「デュエル！」」




◉TURN:０１◉


火群「コイントスの結果、俺の先攻！
俺は永続魔法、『補給部隊』を発動！ このカードが場にある限り、1ターンに1度、俺の場のモンスターが破壊された場合に1枚ドローできる」


ロッカ「…むむ、始めっから厄介なカードを発動してきたデスヨ…」



火群「…そしてモンスターをセット！ これでターンエンドだ！」[手札:3枚]




◉TURN:０２◉


ロッカ「私のイタズラを見せてあげるデスヨ………私のターン！ ドロー！」[手札:6枚]



ロッカ「私は『魔界発現世行きデスガイド』を召喚するデスヨ！」[攻 1000]


ニクス『……！ あのカードは…！？』


火群（…ニクス？ 知ってるのか…？）


千愛『…気をつけなさい、市瀬火群。あの子のデッキ………“私たち”の時代のデッキかもしれない』


火群「ーーー！？」



ロッカ「デスガイドは召喚に成功した時、デッキからレベル3の悪魔族モンスター1体を呼んでくるデスネ！ 『魔界発現世行きバス』を特殊召喚！」[守 600]



ニクス『！！ やはりなーーー！』



男たち「さぁ、しょっぱなから来るぞ……！！」



ロッカ「ーーー行きマスヨーっ！！ 出発進行！ レベル3の魔界発現世行きバスと魔界発現世行きデスガイドでーーーオーバーレイ！！」


和泉「…！！ そんな…！」



火群「ーーーッ！」



ロッカ「ーーー夜会を統べる公爵よ、今こそ出番デスヨ！ エクシーズ召喚！
ランク３『ゴーストリック・アルカード』！！」[攻 1800]



火群「……エクシーズ召喚…！！ ロッカちゃん、それを一体どこで…！？」


ロッカ「…やはりご存知デシタカ…。私の目に狂いはなかったデスヨ！ あなたを選んで正解デシタ！」


火群「…はは、そりゃどうも…！」


和泉（…なんか火群くん、照れてる…？）



ロッカ「アルカードの効果発動！ エクシーズ素材のデスガイドを墓地へ送り、あなたの伏せモンスターを1枚破壊デスヨ！」



火群「くっ…！ ヤクシャが…！ だが、ヤクシャが破壊された事により、ヤクシャの効果で手札の『炎王神獣 ガルドニクス』を破壊！ 更に補給部隊の効果で1枚ドロー！」[手札3枚]



ロッカ「自分のモンスターを破壊……ナルホド。でも、無駄デスヨ…！
私は更に、カオスエクシーズチェンジ！
アルカードは転生して堕天使となるデスネ！
出番デスヨ！
ーーー夜会を統べる妖艶な死線！
ランク４『ゴーストリックの堕天使』！！」[攻 2000]



火群「…何…！？ エクシーズモンスターの上にエクシーズモンスターを重ねて召喚した…！？」


ロッカ「堕天使の効果！ エクシーズ素材の魔界発現世行きバスを墓地へ送り、デッキから『ゴーストリック・ハウス』を手札に加えます！
更に更に！ 墓地へ送られた魔界発現世行きバスの効果で、あなたの墓地の『炎王神獣 ガルドニクス』をデッキに戻すデスヨ！」



火群「…何だって！？」


ニクス『……くっ…！！』



ロッカ「その反応を見るに、やっぱりあなたのデッキのエースだったみたいデスネ！ でもまだ終わりませんよ！ フィールド魔法『ゴーストリック・ハウス』を発動！」


《ゴーストリック・ハウス/Ghostrick Mansion》
(フィールド魔法)このカードがフィールド上に存在する限り、 お互いのフィールド上のモンスターは、 裏側守備表示のモンスターに攻撃できず、 相手フィールド上のモンスターが裏側守備表示のモンスターのみの場合、 相手プレイヤーに直接攻撃できる。 また、このカードがフィールド上に存在する限り、 お互いのプレイヤーが受ける効果ダメージ及び、 「ゴーストリック」と名のついたモンスター以外のモンスターが プレイヤーに与える戦闘ダメージは半分になる。



ロッカ「そしてバトルフェイズ！ 堕天使でダイレクトアタックデスヨ！ 〝エンドレス・ナイトメア〟！！」



『ゴーストリックの堕天使』
[攻 2000]


火群【LP 4000】



火群「ぐぅぁあああっ！！」【LP 4000→2000】



和泉「…火群くん！」


ロッカ「カードを2枚伏せて、ターンエンドデスヨ♪」[手札:3枚]



和泉「…あの子、凄いよ…！ あれだけの事をしたのに、手札が全然減っていない！」



ロッカ「…楽しいパーティーはこれからデスヨ…！」




◉TURN:０３◉


火群「…俺のターン！ ドロー！」[手札:4枚]


火群「……一つ、ミスだ。俺のエースであり相棒はガルドニクスだが、こいつはデッキの中にいてもすぐに駆けつけてきてくれる！ 俺と一緒にいつだって戦ってくれる！
ーーー魔法発動！！『炎王の急襲』！！」



ロッカ「……！ …凄いな。“あなたたち”は、とても強い絆で結ばれているんだね…」



火群「…この効果により、デッキから炎属性の鳥獣・獣・獣戦士族モンスター1体を特殊召喚する！
ーーー不滅の焔その身に纏い、今舞い上がれ紅蓮の翼！！
『炎王神獣 ガルドニクス』！！」



ニクス『はぁああぁあああぁあああッッ！！』[攻 2700]




ロッカ「…わぁ、簡単に呼び出されちゃった…！」



火群「ガルドニクスの攻撃！
ゴーストリックの堕天使を焼き貫けッ！
ーﾊﾞ-ﾆﾝｸﾞ・ｲﾚｲｻﾞ-ー
《業火炎の抹焼熱線》！！」


ロッカ「…させないデスヨ！ 場のゴーストリックモンスターが攻撃対象となった時、手札の『ゴーストリック・ランタン』の効果でその攻撃を無効にするデスネ！」


火群「…くっ！」


ロッカ「そしてその後、ランタンは裏側守備表示で場に特殊召喚されマス！」[守 0]



火群「…ターンエンド！ このエンドフェイズ時、炎王の急襲の効果で特殊召喚したガルドニクス破壊され、補給部隊の効果で1枚ドロー！」[手札:4枚]




◉TURN:０４◉


ロッカ「私のターンデスヨーっ！ ドロー！」[手札:4枚]


火群「このスタンバイフェイズ時、ガルドニクスの効果発動！ カードの効果で破壊されたガルドニクスは次のスタンバイフェイズに蘇り、場のモンスターを一掃する！！」


ロッカ「…！！ やむを得ないデスネ…！ 伏せカードオープン！」


火群「墓地より現れろ、ガルドニクス！
ﾘﾊﾞｲﾊﾞﾙ・ﾌﾞﾚｲｽﾞ
《再生の業火》！！」


ガルドニクス『はああぁあ！！』[攻 2700]



ロッカ「『ゴーストリック・アウト』！！」


《ゴーストリック・アウト》
(通常罠)手札の「ゴーストリック」と名のついたモンスター１体を相手に見せて発動できる。 このターン、自分フィールド上の「ゴーストリック」と名のついたカード 及び裏側守備表示で存在するモンスターはカードの効果の対象にならず、 カードの効果では破壊されない。


ロッカ「手札の『ゴーストリック・シュタイン』を見せることで、このターン私のモンスターは効果では破壊されません！」




火群「…そう簡単にはいかないか…！」


ロッカ「私のメインフェイズ！ 『ゴーストリック・スペクター』を召喚！」☆１[攻 600]


ロッカ「更にランタンを反転召喚！」☆１[攻 800]


和泉「…お化けとカボチャ……一気にハロウィンっぽくなってきたね！！」


千愛『なに呑気に言ってるのよ和泉ちゃん…。見なさい、レベル1のモンスターが2体…！』



ロッカ「ーーーレベル1のランタンとスペクターでオーバーレイ！ 夜会を統べる首無し騎士よ、出番デスヨ！ エクシーズ召喚！
ランク１『ゴーストリック・デュラハン』！！」[攻 1000]


火群「また新たなエクシーズモンスター…！」


ロッカ「デュラハンは、場のゴーストリックモンスター1体につき、攻撃力が200上がります！ 私の場のゴーストリックモンスターは2体……よって攻撃力1400！」


火群「…だがガルドニクスには届かない…！」


ロッカ「…残念デシタネ！ デュラハンは1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ使い、場のモンスター1体の攻撃力を半分にする事ができるデスヨ！ 素材のスペクターを墓地へ送りガルドニクスの攻撃力を半分の1350に！」


ニクス『くっ…！』[攻2700→1350]



火群「…ニクス！」


ロッカ「バトルフェイズ！ デュラハンでガルドニクスを攻撃！ 〝闇魔剣一閃〟！」


『ゴーストリック・デュラハン』
[攻 1400]
ーーーVSーーー
[攻 1350]
『炎王神獣 ガルドニクス』



火群「…ぐっ…！」【LP 2000→1950】

火群「補給部隊の効果で1枚ドロー…！」[手札 5枚]


ロッカ「これで終わりデスヨーっ！ 堕天使でダイレクトアタック！」


火群「…まだ終わらない！ ガルドニクスのもう一つの効果！ ガルドニクスがバトルで破壊され墓地へ送られた時、デッキから炎王獣を1体特殊召喚できる！ 現れろ！ 炎王獣 ヤクシャ！」[守 200]



ロッカ「…ふふっ、やっぱり私の目に狂いはなかったデスネ。最高に楽しいデスヨ？ 火群サン…！」


火群「…ああ、俺も楽しい！」


ロッカ「…堕天使でヤクシャを攻撃！
覚めない悪夢をーーー！
〝エンドレス・ナイトメア〟！！」


『ゴーストリックの堕天使』
[攻 2000]
ーーーVSーーー
[守 200]
『炎王獣 ヤクシャ』



火群「…破壊されたヤクシャの効果で、手札の『炎王獣 バロン』を破壊！」



ロッカ「…メインフェイズ2に移行し、堕天使の効果発動！ 素材のアルカードを墓地へ送り、デッキから、『ゴーストリック・パニック』を手札に加えます！
そして墓地へ送られたアルカードの効果で、墓地のランタンを回収！ 1枚伏せてターンエンドデスヨ！」[手札:4枚]



◉TURN:０５◉



火群「俺のターン！！ ドロー！」[手札:5枚]


火群「このスタンバイフェイズ時、効果で破壊されたバロンの効果で、デッキから『炎王炎環』を手札に！」[手札:6枚]



ロッカ「…あの、火群サン」


火群「……ん？」


ロッカ「…私、こんな緊迫したデュエル初めてデスヨ！ 毎ターン毎ターン驚かされます！」


火群「…そりゃ驚かされるで言ったらこっちの台詞だぜ」


ロッカ「…できればこの時間が終わらないでほしい………なんて！ 冗談デスけどね！ 私、勝ちますし！」


火群（エクシーズ召喚を使ったり、この子は一体何者なんだろうな…）


火群「…俺だって負けない！ 背負ってるものがあるからな！
魔法発動、『死者蘇生』！！
墓地より現れろ！
『炎王神獣 ガルドニクス』！！」


ロッカ「…来るデス……っ！！ 受けて立ちマスヨ！」



火群・ニクス『「うぉおおぉおおおぉっっ！！！」』











ーーー〜ーーー〜ーーー



ーーー〜ーーー〜ーーー〜ーーー〜ーーー








ロッカ【LP 2600→0】


ロッカ「…くぁーっ！ 負けましたーっ！ 完敗デスヨー！
…強いんデスネ、アナタ」

和泉「…結構な長期戦だったね…」


火群「…ふぅ、やったか…！ 楽しかったデスヨ！」


和泉「火群くん、移ってる移ってる」



ロッカ「…良ければまたデュエルして欲しいデスヨ…！ 火群サン…！」


和泉「……っ？」


火群「…え、あ、あいや、こ…こちらこそ、よろしく」



和泉「……む〜…っ」


ニクス『はぁ……』


千愛『…やれやれね』



和泉
ニクス「『『デレデレすんなーーーっ！！』』」
千愛



ｽﾊﾟｧｧﾝ!!



火群「痛ッッ！ 暴力はいけねぇって！ ロッカちゃんもなんか言ってやってくれってーーーあれ？」


火群が辺りを見回しても、ロッカの姿は何処にもなかった。



和泉「…あれーーー？」


火群「一体、何だったんだ…？ あの子はーーー」























ロッカ「…ハッピーハロウィン♪
あなたたちの“今夜”が、大切な一夜になりますようにーーー」






To Be Continued…