DRAW:５０ 決着！選ばれし権利獲得者　作：人喰い

☆2フィールド



中村【LP 2200→0】


中村「…くっ、ここまでか…！」


明日人「中村…って言ったっけ。1回戦に火群とデュエルしてみて、どうだった？」



中村「……火群さん、最初は怖かったけど、ただデュエルを楽しむだけじゃなく、対戦相手まで楽しくさせるーーー」





☆3フィールド


剛田【LP 400→0】


剛田「ーーー俺はそんな火群ちゃんがいたからよぉ、またデュエルの楽しさを思い出せた…。お前は違うのか？」


栗須「…俺はァ！？ 別に！？ あいつの…あいつの…デュエルなんかよぉ…！ 」





☆2フィールド



明日人「そうだ、あいつは……ただ純粋で、バカなだけなんだ。でもそんなバカだからこそーーー俺はあいつの側にいるんだと思う」















遊戯王 Ph.X DRAW:５０
《決着！ 選ばれし権利獲得者》
















◉TURN:０５◉




火群「ーーーカードの効果で破壊されたガルドニクスはこのスタンバイフェイズに再びフィールドに舞い戻る！！
ーーー不滅の焔その身に纏い、墓地より来れ紅蓮の翼！！
『炎王神獣 ガルドニクス』！！」



ニクス『キァァアアアァアアァァアアア！！！』[攻 2700]





火群「そして、自身の効果により蘇ったガルドニクスは、自分以外の全てのモンスターを焼き払う！
ﾘﾊﾞｲﾊﾞﾙ・ﾌﾞﾚｲｽﾞ
《再生の業火》！！」




ニクス『…はぁぁあああ！！』



ニクスが翼を大きく振るい爆炎を巻き起こす。


レヴァテイン『……それが貴様の答えか、不死鳥』



ニクス「…あぁ、私はここで私の力を証明する…！！」



レヴァテイン（……面白くなってきたな、リュウキ）




竜貴「…レヴァテインが効果で破壊された時、レヴァテインに装備されていたモンスター1体を特殊召喚できる！ 現れろ、『ドラグニティアームズーミスティル』！』[攻 2100]



火群「…何…！（俺の手札にモンスターはいない…！ このまま攻撃するしかないか…！）」



火群「…バトルだ！ ガルドニクスでミスティルを攻撃！ 焼き貫けッ！
ーﾊﾞ-ﾆﾝｸﾞ・ｲﾚｲｻﾞ-ー
《業火炎の抹焼熱線》！！」



炎王神獣 ガルドニクス
[攻 2700]
ーーーVSーーー
[攻 2100]



火群「いっけぇえええぇえ！！」




ニクスの放った熱線がミスティルを貫くーーー！







竜貴「……ッ！」【LP 2650→2050】




火群「……ターンエンド！」



火群（…相手の手札は0枚…！場には2枚の魔法カードのみ！ それなのになんだ…？ この状況すら覆されてしまいそうなこの不安感はーーー！？）



火群【LP 3200】
場:ガルドニクス[攻 2700]
魔法:炎舞-天璣
伏せ:なし
手札:2枚


竜貴【LP 2050】
場:なし
魔法:竜の渓谷(フィールド)
竜操術(永続)
伏せ:なし



◉TURN:０９◉




竜貴「…俺の……ターンッ！！ ドロォオオォオ！！」[手札:1枚]



竜貴「…まさか、俺にこいつを使わせるとはなぁ…！ ますますこの場所を選んで正解だったぜ！ 火群！」



火群「………っ！？」




竜貴「…俺は『竜の渓谷』の効果を発動ッ！
手札の『ドラグニティーファランクス』を捨て、デッキの『ドラグニティードゥクス』を手札に加え、召喚！」[攻 1500→1700]



竜貴「ドゥクスが召喚に成功した時の効果で、墓地のファランクスをドゥクスに装備する！」


ドゥクス[攻 1700→1900]



竜貴「…そして装備されているファランクスは、1ターンに1度分離しフィールドに特殊召喚できる！ 現れろ、 “チューナーモンスター”『ドラグニティーファランクス』！！」[攻 500]




火群「…チューナー……？」




突如、辺りが眩しい光に包まれるーーー




火群「……くっ…！？」



ニクス『火群！ 油断するな！』




竜貴「…楽しかったぜ！ お前とのデュエル…！」


火群「…！？ まだ！ 終わってないぞ！ 俺たちのデュエルは！」




竜貴「“竜騎一体”！！ 行くぜーーー新たな境地へ！
ーーーレベル４『ドラグニティードゥクス』に、レベル２『ドラグニティーファランクス』をチューニング！！」



光に包まれた空間の中で、竜貴の2体のモンスターを囲うように２つの光の輪が現れ、６つの星と共にそのモンスター達は新たなモンスターへと姿を変えるーーー！





竜貴「ーーー同調せし竜騎士よ、フィールドに舞い降り仇なす者に裁きを！ シンクロ召喚！！
誇り高き雷の牙！『ドラグニティナイトーヴァジュランダ』！！」




ヴァジュランダ『ジュゥィィラァアァアアア！！！』[攻 1900]





火群「！！？」


ニクス『……シンクロ召喚…？ なんだアレは…！？』



火群「ニクス、お前でもわからないのか…！？」


ニクス『……あぁ。
なるほど、これもレヴァテインが言っていた事と関係があるのか…っ！』





竜貴「…ヴァジュランダがシンクロ召喚に成功した時、効果発動！ 墓地の『ドラグニティーアキュリス』を装備！」


ヴァジュランダ[攻 1900→2400]



竜貴「…これで決まりだ！ ヴァジュランダのもう一つの効果発動！！ ヴァジュランダに装備されたアキュリスを墓地へ送る事で、ターン終了時まで攻撃力を倍にする！！
〝バーサク・ライジング〟！！」


竜がアキュリスを喰らうと、騎士の持つ投槍が大きく形を変え、雷を纏い発光している。



ヴァジュランダ『ジュゥィィラァアァアアア！！！』[攻 1900→3800]


竜貴「更に、装備されているアキュリスが墓地へ送られた事により、場のガルドニクスを破壊する！！」



火群「ーーーッ！！」


ヴァジュランダに喰われた時に外れたアキュリスの槍が、物凄い速さでガルドニクスの腹部を貫くーーー！




ニクス『…がふ…ッ…、ぐ……ぁああああ！！』



火群「………ニクスッッ！！」



ニクス『……火群…！ 絶対に、このまま……終わる、ものか……！』





竜貴「終幕だぜッ！ ヴァジュランダで、プレイヤーにダイレクトアタック！！
ーーー貫き滅せよ！！〝滅槍雷牙・ヴァジュ=ランダ〟！！」




ドラグニティナイトーヴァジュランダ
[攻 3800]


火群【LP 3200】







火群「ーーー本気だった。俺達は本気で戦った。楽しむ事も……忘れるくらいに」



なのに。




ヴァジュランダの投擲した雷槍が火群へ直撃したのは、火群がそう呟いた直後だった。



竜貴『……これで朽ちるなよ…！ 市瀬火群ーーー必ず上まで上がってこいッ！！」





火群【LP 3200→0】



winner☆東雲 竜貴☆






ガルドニクスと一緒ならどんな相手にも負けないって思ってた。
でも、世界どころかこの町にさえ、俺より強いやつがまだまだたくさん居る。
今日、俺達はそれを痛感した。















＊＊＊









和泉「…負けちゃったのは残念だけど、出場権利は獲得できたんだからいいんじゃないっ？ 市瀬くん」



カードショップ『カナリア』での権利戦を終えた帰り道、権利獲得者4人のうち『火群』『明日人』『栗須』の3人に和泉を加えた4人は帰りを共にしていた。



火群「あぁ、それもそうだな…っ」


明日人「…でも悔しいけど俺達一敗者3人は、あの『竜貴』ってやつにはまだ及ばないって訳だからな…！ こんなんじゃ本戦どころか予選を突破できるかすら怪しいぜ？」


明日人（…俺だってやられっぱなしは悔しいからな…！）




栗須「ま、俺があいつと戦ってたら俺は負けなかったけどな！
……ってか火群とあいつのデュエルは結局どういう風に決着が付いたんだ？ 白く光ったとこまでは見てたんだけどよぅ」


明日人「俺もそれは気になってた。急にデュエルが終わってたんだよな」



火群「…え？ あ、はは、実は俺もよく覚えてないんだよな…？」



和泉「…なんで疑問系だし〜？」




そんなことを話しながら途中の分かれ道で明日人と栗須と別れ、残った火群と和泉はポツポツと帰路を歩く。




火群「…じゃあ、俺、こっちだから。また、来週な！ 和泉！」



和泉「あ、待って…っ！ …火群、くん」



火群「…どうした？」


和泉「今日の…決勝戦、さ。
どんな思いでデュエルしてた……？」



火群「……？ 俺は……負けられない、これは負けていい試合じゃない、絶対に勝つぞって思いでーーー」



和泉「………今日の火群くん……少し、怖かっ…た」



火群「ーーーッ」



和泉「………ごめんっ、えと、」





火群「………ってんだよ」



和泉「…っ…！？」





火群「………誰のために戦ってると思ってんだよッ！！」



和泉「…え？ えっ…！？」



千愛『…ちょっと、市瀬火群…！？』


ニクス『………火群』




火群「ーーーごめん。もう帰るよ、またな」


ニクス『…っ待て！ 火群！』










火群（俺は……！！ 俺は…ッ！！）


火群は無我夢中で走り、気がつくと自宅に辿り着いていた。



火群「…はぁ……っ！ はぁ…！」


息を切らしながら家の鍵を開け、自宅のベッドに横たわる。



火群「…何やってんだよ、俺は……ッ！」



後を追って来たニクスも窓から身を乗り出し、火群の部屋へと足を踏み入れる。



ニクス『………火群』



火群「………ニクス、今、実体化できるか？」



ニクス『…？ どうしたんだ急に』


そういいつつ、ニクスは霊体から人間の姿へと実体化する。


ーーー瞬間。



ニクス「ーーーっ！？」



火群はニクスに抱きついた。


ニクス「…っおい！ 火群ーーー！？」


ニクスは一瞬何が起こったのかわからず混乱していたが、すぐに何かを悟り、胸に顔をうずめすすり泣く火群の頭を優しく撫でた。






火群「…勝てなかった……っ！ 全力で戦ったのに！ 本気だったのに！ うぅ……っ、ぁぁ…っ！」




ニクス「…あぁ、私も悔しい。だが、お前はよく戦ったよ」



火群「……それだけじゃぁ…ない…。
関係…無い、和泉にも…っやつ当たりして…ッ！ どうすりゃ、いいん…だよぉ…」



ニクス「…確かにあれはよくなかったな。今すぐにでもーーーちゃんと謝りに行ったほうがいいんじゃないか？」



火群「………」


火群をそっと抱きしめながらニクスは続ける。



ニクス「ーーー二度と手放したくない、お前にとって大切な存在なのだろう？」




火群「ーーーッ」














＊＊＊





ーーー気がつくと火群はまた走り出していた。和泉にちゃんと謝るために。
だが程なくして、予想外な人物との邂逅によりその足を止めることとなる。

それは、傷だらけの警官服を身に纏った白髪の男ーーー






火群「……っ戒！！」



火群は思わず足を止め、その男の名前を呼んだ。




戒「………」




『斬波 戒(ざんば かい)』。
この男もまた、市瀬火群の物語を動かす重要な歯車なのである。













To Be Continued…






〜おまけ〜



. . 人人人.人人人.人人人.人人人.
＜教えて！ スッキーせんせー！＞
. . Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y



◉このコーナーは、読者のみんな(少数)から寄せられた質問(多分無い)に、『美 好先生(以下スッキー先生)』が一刀両断！ 快刀乱麻の回答をしていくコーナーだ！
質問が無い場合は、キャラ紹介や自問自答をしていく痛々しいコーナーになるから気をつけな！(ドン☆)
＊質問をいただいた時点で、本SSに載せる事を承諾したものと見做します。あらかじめご了承ください。
匿名希望の場合は言ってくださいね！



質問待ってるぜ！！(切実)






好「さてさて、今日は火群と決勝を戦ったこの男の紹介だぁああ(≖□≖`)





『東雲 竜貴(しののめ りゅうき)』
・年齢:16歳(高2)
・誕生日:7月28日
・身長:167cm/56kg
・外見:前髪は真ん中分け(黒髪)、後ろは束ねている。
・使用デッキ
【ドラグニティ】
・主な使用カード
『ドラグニティアームズーレヴァテイン』
『ドラグニティナイトーヴァジュランダ』
『ドラグニティードゥクス』
『竜の渓谷』

・『カナリア』での権利戦にて、準決勝では明日人、決勝戦では火群と戦った黒髪高校に通う高校2年生。カードの精霊を見ることができ、自身にも竜騎士のカードの精霊『ドラグニティアームズーレヴァテイン』を宿している。
デッキ構築の段階から防御札はほとんど入れず、相手の攻撃を受けてからすかさずカウンターを浴びせる戦術を得意とする。使用デッキの【ドラグニティ】も、そんな竜貴のデュエルスタイルに非常にマッチしたデッキであると言えるだろう。
権利戦では“奥の手”のシンクロ召喚を使用して火群を破ったが、彼は一体どこでこの召喚方法を会得したのだろうか……。











《次回予告》


片羽は“強さ”を望み、もう片羽は“優しさ”を望んだーーー




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:５１ ほつれた糸




「ほ、むら……くん…？」