DRAW:１６５ その拳は疾風の如く　作：人喰い

(165)




ーーー永井 放浪による襲撃の約７時間前。


竜貴「ーーーーぜぇぇいりゃぁぁぁっっっ！！！」


竜貴「……はぁ……はぁ……」

跡部「……どうだい？ 東雲くん。
何か変わったか？」

竜貴「……いえ、全く…。
言われた通りに初日からずっと普通の稽古してますけど……。
こんなんで本当に明日の昼までに身につくんスか…？
ーーー“青龍抜闘術”の奥義が」

跡部「……ああ。
東雲くんのお爺さんも、昔この地で奥義を体得したと聞いている」

竜貴「……じっちゃんが…！」

跡部「……だから諦めずに修練を続ければ、東雲くんにもきっと奥義への道が開けるはずさ」

竜貴「……ハイ…！」
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１６５ーーー
《その拳は疾風の如く》















〜竜霊山・洞窟最奥部〜


【Side 竜貴】


竜貴【LP 8000】

放浪【LP 8000】


◉TURN:０１◉


放浪「ーーーー俺のターン」[手札 5]

放浪「…またあの時と同じ地獄を見せてやるよーーーー手札からフィールド魔法『アンデットワールド』を発動ッ！！」


《アンデットワールド/Zombie World》 †
フィールド魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、
フィールド上及び墓地に存在する
全てのモンスターをアンデット族として扱う。
また、このカードがフィールド上に存在する限り、
アンデット族以外のモンスターのアドバンス召喚をする事はできない。


竜貴「…っ…！ 来やがったな…！」

以前の俺はあのカードの前になすすべもなく敗北したんだ…ッ…！


放浪「…『不知火の隠者』を召喚ッ」[ATK 500]☆4


《不知火
しらぬい
の隠者
かげもの
/Shiranui Solitaire》 †
効果モンスター
星４/炎属性/アンデット族/攻 500/守 0
「不知火の隠者」の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分フィールドのアンデット族モンスター１体をリリースして発動できる。
デッキから守備力０のアンデット族チューナー１体を特殊召喚する。
(2)：このカードが除外された場合、「不知火の隠者」以外の除外されている
自分の「不知火」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果の発動時にフィールドに「不知火流 転生の陣」が存在する場合、
この効果の対象を２体にできる。


放浪「……隠者の効果発動。
自身をリリースし、デッキから『ユニゾンビ』を特殊召喚…ッ！」[DEF 0]☆3 チューナー


《ユニゾンビ/Uni-Zombie》 †
チューナー・効果モンスター
星３/闇属性/アンデット族/攻1300/守 0
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。
手札を１枚捨て、対象のモンスターのレベルを１つ上げる。
(2)：フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動できる。
デッキからアンデット族モンスター１体を墓地へ送り、対象のモンスターのレベルを１つ上げる。
この効果の発動後、ターン終了時までアンデット族以外の自分のモンスターは攻撃できない。


放浪「ユニゾンビの効果を発動。
俺はデッキから『馬頭鬼』を墓地へ送り、ユニゾンビのレベルを１つ上げるーーーー」

『ユニゾンビ』☆3→4

放浪「…更に墓地の『馬頭鬼』の効果…ッ！」

《馬頭鬼
めずき
/Mezuki》 †
効果モンスター
星４/地属性/アンデット族/攻1700/守 800
(1)：自分メインフェイズに墓地のこのカードを除外し、
自分の墓地のアンデット族モンスター１体を対象として発動できる。
そのアンデット族モンスターを特殊召喚する。


放浪「自身をゲームから除外し、隠者を墓地から特殊召喚…ッ」[DEF 0]☆4


竜貴「…っ……！」

放浪「ーーーレベル４の『不知火の隠者』に、レベル４の『ユニゾンビ』をチューニングッ！！」

竜貴「……レベルの合計は…８……っ！」


放浪「現れろ……ッ、レベル８ーーーーー『PSYフレームロード・Ω』ッッ！！」[ATK 2800]☆8


《ＰＳＹ
サイ
フレームロード・Ω
オメガ
/PSY-Framelord Omega》 †
シンクロ・効果モンスター（制限カード）
星８/光属性/サイキック族/攻2800/守2200
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
(1)：１ターンに１度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。
相手の手札をランダムに１枚選び、
そのカードと表側表示のこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する。
(2)：相手スタンバイフェイズに、
除外されている自分または相手のカード１枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地に戻す。
(3)：このカードが墓地に存在する場合、
このカード以外の自分または相手の墓地のカード１枚を対象として発動できる。
そのカードと墓地のこのカードをデッキに戻す。


現れたのは、全身から電流を発する人型のモンスター。以前の決闘時は使って来なかったモンスターだ。

竜貴「…なんだあのモンスターは……っ…！？」


放浪「……こいつは曰く付きの精霊でな……。残忍な決闘者達に悪用され、何人もの決闘者を葬ってきた経歴を持つ…」

竜貴「…！！」

そんな危ねぇモンスターまで従えて来たってのかよ…っ…！


放浪「…俺はターンを終了する」[手札 4]


◉TURN:０２◉



竜貴「……俺のターン…！ ドローッ！」[手札 6]

放浪「ーーーこのスタンバイフェイズ、SPYフレームロード・Ωの効果発動。
除外されている『馬頭鬼』を墓地に戻す」

竜貴「…！ あいつがいる限り、強力な効果を持つ馬頭鬼を使い回せるのか……っ…」


放浪「……さぁ、かかってこいよ。もっとも、お前のデッキは墓地のモンスター、そしてシンクロ素材にも種族を指定するものが大半のはずだ…。
アンデットワールドの中で思うように動けるとは思わねぇがな…」

竜貴「………悪いが、あの時と同じと思ってもらっちゃ困るぜ……っ！」

放浪「……」

竜貴「…俺は、『ドラグニティーセナート』を通常召喚！！」[ATK 1800]☆4


《ドラグニティ－セナート》 †
効果モンスター
星４/風属性/鳥獣族/攻1800/守 600
このカード名の(1)の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：手札から「ドラグニティ」カード１枚を捨てて発動できる。
デッキから「ドラグニティ」チューナー１体を選び、
装備カード扱いとしてこのカードに装備する。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分はドラゴン族モンスターしかＥＸデッキから特殊召喚できない。
(2)：自分フィールドの「ドラグニティ」カードが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりにこのカードに装備された「ドラグニティ」カード１枚を破壊できる。


放浪「……新たなモンスターか」

竜貴「…セナートの効果発動ッ！
手札の『ドラグニティアームズーレヴァテイン』を捨て、デッキから『ドラグニティーアキュリス』をセナートに装備する！
ーーー竜装一体ッ！！」


《ドラグニティ－アキュリス/Dragunity Aklys》 †
チューナー（効果モンスター）
星２/風属性/ドラゴン族/攻1000/守 800
このカードが召喚に成功した時、
手札から「ドラグニティ」と名のついたモンスター１体を特殊召喚し、
このカードを装備カード扱いとして装備する事ができる。
モンスターに装備されているこのカードが墓地へ送られた時、
フィールド上に存在するカード１枚を選択して破壊する。


竜貴「ーーーーバトルだッ！」

放浪「……。（バトルだと…？ 攻撃力はΩの方が上ーーー何を企んでいやがる…）」


放浪「……まあ待て。このメインフェイズ終了時、PSYフレームロード・Ωの２つ目の効果を発動ッ！」

竜貴「…！」

放浪「お前の手札をランダムに１枚選び、そのカードとPSYフレームロード・Ωを、次の俺のスタンバイフェイズまで除外させてもらうーーーー」

竜貴「…何……っ…！」

その宣言と共に、Ωは一瞬で俺の眼前まで距離を詰める。

竜貴「…ッ！？」

早すぎる…ッッ…！！ 動きが全く見えなかったぞ…ッ！？

竜貴「…くっ…！！」

そして体勢を立て直す間も無く、俺の手札のうち１枚を奪い去り時空の彼方へと消えていったーーーー


手札→除外
『ドラグニティ・ドゥクス』

竜貴「…！
だがこれでお前の場はガラ空きだ……ッ…！
受けてみやがれッ…！！ セナートでダイレクトアタックッ！！」


『ドラグニティーセナート』[ATK 1800]

竜貴「…ぜぇぇりゃぁぁぁっっ！！」


セナートの攻撃が放浪に直撃するーーー

放浪「……っ…」【LP 8000→6200】

放浪は僅かに後ずさり、すぐに体勢を立て直す。

竜貴「……どうだ…っ…！
俺はこれでターンエンド…！」[手札 3]


◉TURN:０３◉



放浪「俺のターン、ドロー」[手札 5]

放浪「…このスタンバイフェイズ時、Ωはお前のカードと共に帰還するーーーー」


除外→手札
『ドラグニティードゥクス』

竜貴「…！」[手札 4]


放浪「……多少は強くなったのかも知れねぇが……届かねぇ…、俺には届かねぇ…ッ…。
……強くなってんのはこっちだって同じなんだよ…ッッ…！！」

竜貴「……ッ…！」

放浪「…俺は、墓地の馬頭鬼を除外して効果発動…ッ！
墓地から『ユニゾンビ』を蘇生させる」[DEF 0]☆3 チューナー

放浪「…ユニゾンビの効果発動…ッ！ デッキから２体目の『馬頭鬼』を墓地へ送り、レベルを１つ上げる…！」

『ユニゾンビ』☆3→4

放浪「そして墓地の『馬頭鬼』を除外し、その効果を再び発動…！ 甦れ…ッ『不知火の隠者』！！」[DEF 0]☆4


放浪「隠者の効果…！ 自身をリリースし、デッキから『妖刀ー不知火』を特殊召喚ッッ！！」[DEF 0]☆2 チューナー


《妖刀
ようとう
－不知火
しらぬい
/Shiranui Spectralsword》 †
チューナー・効果モンスター
星２/炎属性/アンデット族/攻 800/守 0
「妖刀－不知火」の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが墓地に存在する場合、チューナー以外の
自分の墓地のアンデット族モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターとこのカードを墓地から除外し、
その２体のレベルの合計と同じレベルを持つ
アンデット族Ｓモンスター１体をエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。


竜貴「…なんて展開力だ…ッ…！」

放浪「ーーー実力の差ってやつをわからせてやる……ッ…！
俺はレベル８の『PSYフレームロード・Ω』に、レベル２の『妖刀ー不知火』をチューニングッ！」

竜貴「……レベル10…ッ…まさか…っ！？」


放浪の周りを灼熱の炎が渦巻き、激しく燃え上がるーーーー


放浪「ーーー不滅の魂、炎となりて……立ち塞がる者全てを穿つ！！
シンクロ召喚！！ レベル10！
『炎神ー不知火』！！」[ATK 3500]


《炎神
ほむらがみ
－不知火
しらぬい
/Shiranui Sunsaga》 †
シンクロ・効果モンスター
星１０/炎属性/アンデット族/攻3500/守 0
アンデット族チューナー＋チューナー以外のアンデット族モンスター１体以上
自分は「炎神－不知火」を１ターンに１度しか特殊召喚できない。
(1)：このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。
自分の墓地のカード及び除外されている自分のカードの中から、
アンデット族Ｓモンスターを任意の数だけ選んでエクストラデッキに戻す。
その後、戻した数だけ相手フィールドのカードを選んで破壊できる。
(2)：自分フィールドのアンデット族モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりに自分の墓地の「不知火」モンスター１体を除外できる。


竜貴「…忘れるもんかよ……俺はこいつにやられたんだッ…！」

放浪「……『炎神ー不知火』の効果発動ッッ！
このカードが特殊召喚に成功した時、墓地及び除外されている自分のアンデット族シンクロモンスターを任意の数エクストラデッキに戻すーーーー」

竜貴「…！」

放浪「…俺はアンデットワールドの効果でアンデット族となった『PSYフレームロード・Ω』をエクストラデッキに戻させてもらう。
更にその後、戻したカードの数まで場のカードを選び破壊する…ッ…！ 俺が破壊するのは『ドラグニティーセナート』！」

PSYフレームロード・Ωの魂が青白い炎となってセナートに襲いかかる。

放浪「…っ…！」

しかし、直前でアキュリスがセナートの身代わりとなり、炎と共に消滅した。

竜貴「…セナートの効果…っ…！場のドラグニティが破壊される代わりに、このカードに装備されたカードを破壊する事ができる…！

放浪「……（前のターンに攻撃力の劣るモンスターで戦闘を仕掛けようとしたのはそのためかーーー）」

竜貴「……更に…！ 装備カードとなったアキュリスが破壊された事で効果発動！ 場のカード１枚を破壊する！！
…俺の狙いはただ一つ…！ 『アンデット・ワールド』だ！！」

放浪「……！」

アキュリスから外れた武装が周囲に飛び散り、腐敗した空間一帯に突き刺さる。
その攻撃によりフィールドは崩壊し、元の洞窟に戻っていくーーーー


放浪「……チッ、だがまだ俺には召喚権が残っている…、『不知火の武士』を通常召喚！！」[ATK 1800]☆4

《不知火
しらぬい
の武士
もののふ
/Shiranui Samurai》 †
効果モンスター
星４/炎属性/アンデット族/攻1800/守 0
「不知火の武士」の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：自分の墓地のアンデット族モンスター１体を除外して発動できる。
このカードの攻撃力はターン終了時まで６００アップし、
このターンこのカードがモンスターと戦闘を行った場合、
そのモンスターはダメージ計算後に除外される。
この効果は相手ターンでも発動できる。
(2)：このカードが除外された場合、
「不知火の武士」以外の自分の墓地の「不知火」モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを手札に加える。


放浪「…レベル４の『不知火の武士』に、レベル４の『ユニゾンビ』をチューニングッ！」

竜貴「……連続でシンクロ召喚を……ッ…」


放浪「ーーー不屈の魂煌めかせ、戦を統べる焔を燃やせッ！！ シンクロ召喚！！ レベル8
『戦神ー不知火』！！！」[ATK 3000]


《戦神
いくさがみ
－不知火
しらぬい
/Shiranui Shogunsaga》 †
シンクロ・効果モンスター
星８/炎属性/アンデット族/攻3000/守 0
アンデット族チューナー＋チューナー以外のアンデット族モンスター１体以上
自分は「戦神－不知火」を１ターンに１度しか特殊召喚できない。
(1)：このカードが特殊召喚に成功した場合、
自分の墓地のアンデット族モンスター１体を除外して発動できる。
このカードの攻撃力はターン終了時まで、
除外したモンスターの元々の攻撃力分アップする。
(2)：フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、
除外されている自分の守備力０のアンデット族モンスター１体を対象として発動できる。
そのモンスターを墓地に戻す。


竜貴「…このモンスターは……っ…！」

放浪「……戦神の効果発動！
墓地の『不知火の武士』を除外し、エンドフェイズ時まで戦神の攻撃力を1800上昇させる…ッ！」

『戦神ー不知火』[ATK 3000→4800]

放浪「ーーーーバトルだ…！！
戦神ー不知火でセナートを攻撃…ッ…！！
〝不知火流奥義・紅蓮双破斬〟！！」


『戦神ー不知火』
[ATK 4800]
ーーーVSーーー
[ATK 1800]
『ドラグニティーセナート』


戦神による炎を纏った一太刀目がセナートを切り裂き、二太刀目が俺に振り抜かれる。

竜貴「……がっっぐぁふぁ…ッッ！！」【LP 8000→5000]

放浪「地獄の様な痛みにもがき苦しめ…ッ！
炎神ー不知火でダイレクトアタックッ！！
〝不知火流奥義・紅蓮爆砕刃〟！！


炎神の放った一太刀はとても熱く、重い一撃だった。
それでいて速く、一瞬のうちに俺の腹部を切り抜いた。


竜貴「……ぅぁ…ッッがぁぁぁあぁっっっ！！！」【LP 5000→1500】


竜貴「…ぁぁ……ぅ…が…ぁ…っ…！」

あまりの激痛に膝をつく。

熱い。

痛い。

死にそうだ。

死ぬのか…？

俺が……？


放浪「……ハッ。やっぱこんなもんかよ。ライフは残っても身体が耐えきれなかったみてぇだな…」

竜貴「……ぅ……ぐ…ッ……」

身体が……動…かねぇ……っ…！

放浪「…黒焔の巨人がここの精霊の力を封じ込めてるうちに、さっさと精霊のカードだけでも頂いておくか…」


竜貴「……っ…」

それに……、俺の周りに邪悪な霊気まで感じやがる……。これは、放浪から俺に流れて来てんのか…？

竜貴「……」

負の感情に押しつぶされそうだーーーー

くそ……っ…。

ここまで来てーーーー




To Be Continued…






《次回予告》




「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１６６ ロスト・サンクチュアリ






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙