DRAW:２８戒めの斬波⑦禁じられた聖剣　作：人喰い

斬波 戒【LP 4000】手札:6枚

秘書【LP 4000】手札:5枚


◉TURN:０１◉


秘書「何…？ あの剣は…！？」

俺の剣と成ったカードを見て、秘書は驚きを隠せないようだった。
俺は引いたカードを横目で確認し、躊躇なくデュエルディスクのモンスターカードゾーンに弾くように置いた。


戒「……俺は、『聖騎士モルドレッド』を攻撃表示で召喚！」

カードを置いた瞬間、剣が元の雷と成り周囲に弾ける。

モルドレッド「…はぁぁああ！！」[攻 1700]


秘書「聖騎士……？（一体、それを何処で……！？）」


戒「そして手札から装備魔法、『聖剣ガラティーン』をモルドレッドに装備する！」


『聖剣ガラティーン』
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は１０００ポイントアップし、
自分のスタンバイフェイズ毎に２００ポイントダウンする。
フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、
自分フィールド上の「聖騎士」と名のついた
戦士族モンスター１体を選択してこのカードを装備できる。
「聖剣ガラティーン」のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。
また、「聖剣ガラティーン」は自分フィールド上に１枚しか表側表示で存在できない。


モルドレッド[攻 1700→2700]


戒「モルドレッドはフィールド上では効果を持たない通常モンスター扱いだが、『聖剣』を手にした時、秘めたる力が覚醒し、モンスター効果を得る！ その効果により、モルドレッドはレベルが１つ上がり、闇属性となる」

秘書「……！」

戒「更に！ １ターンに１度、自分フィールドにモルドレッド以外のモンスターがいない場合、デッキから『聖騎士』と名のついたモンスター１体を守備表示で特殊召喚できる！ 『魔聖騎士ランスロット』を特殊召喚ッ！」


ランスロット「………」[守 800]


戒「その後、聖剣ガラティーンは破壊される………駄菓子菓子！ １ターンに１度、フィールドに表側表示で存在する『聖剣』は破壊された場合、自分フィールドの『聖騎士』と名のついたモンスターに装備する事ができる！ 再びモルドレッドに装備！」


問題は、ここからだ。
ここまでは、カードの示してくれたルート通りに動いたにすぎない…。
このままターンを終わらせてしまっては、やつにワンキルされてしまう恐れがある。
今の俺の手札には、やつの行動を阻止できるカードも無ければ、この状況でこれ以上切れるカードも無い……。

戒「………」

だが、何だ……？ 自然と胸の奥から込み上げてくるーーーこの、高揚感は………！？

俺は悟ったように目を閉じ、それから心の中で静かにカウントをとる。

いち、に、さん。

三つ数えて、俺はゆっくりと目を開く。

その後の視界は、とても色鮮やかだった。

俺は今きっと、この緊張感の中で、ワクワクしているのだろう。
一歩間違えば負けてしまうという、この緊張感の中で。
先程から、手の震えが止まらない。だがこの震えは逃げ出した時に感じた震えとは全く別のもので、おそらくは武者震いというやつだろう。
俺は震える手を硬く握り締める。
同時に震えが止まり、俺の中で何かが弾ける音がした。

恐れさえ乗りこなして、俺は進化しいくんだ。


秘書「…どうかなさいましたか？ 緊張してるのでしたら、手のひらに『人』と３回書いて、それを飲み込むといいですよ」

戒「…心配は無用だ」

どの道俺には、人を飲む資格などもない。

戒「ーーー行くぞ」

それでも、戦況は変わらない。
どうする？ どうする？ どうする！？
今見える景色から得られる情報はーーー！？


ぐるぐると回る頭の中に、不意に聞き慣れた声が響いた。




『目に見えるものだけが、真実だとは限らないぞ。戒』




それは遠い日の、父の言葉だった。

ーーー目に見えるものだけが、真実ではない、か。

なるほどな。

俺は何かに導かれるように、場のモンスター２体を同じモンスターゾーンに重ねた。
デュエルディスクに雷が迸る。

秘書「！？ 何をしているの！？」

戒「生憎だが、俺にも自分が今何をしているのかがわからない。俺の中の何かが、さっきから騒いでいてなーーー」

ーーー俺を、誘うんだ。『オーバーレイネットワーク』にーーー！！

俺は僅かに頬を釣り上げ、そう言った。


戒「………新たなる境地、新たなる召喚。魅せてやる」


『キョァアアアァァァアア！！』




戒「〝オーバーレイ〟！！！」




俺は叫ぶ。雷鳥と共に。
導き出された、答えを。



戒「ーーー轟け雷鳴！ 羽ばたけ雷鳥！ …欠けること無き永遠の『劔』と成れぇぇえ！！ エクシーズ召喚！『騎雷鳥 エターナル・ブレイド』ッッ！！」


騎雷鳥『キョァアアァアアア！！』
[攻 2200]


やっと会えたな、雷鳥。










遊戯王 Ph.X DRAW:２８
《戒めの斬波》⑦禁じられた聖剣










秘書「…エクシーズ召喚……ですって…？」

戒「そう、これこそが俺の引き抜いた『劔』……俺の勇気の結晶だ！！」


秘書「…あれがーーー『禁じられた聖剣』ーーー！！」

戒「……エターナルブレイドの効果発動！ このカードがエクシーズ召喚に成功した時、デッキから『聖剣』と名の付いたカード１枚を手札に加える！ 俺が手札に加えるのは、『天命の聖剣』！！」


辺りをまばゆい光が包む。


秘書「くっ……！」


戒【手札:6枚】

戒「そして、手札の『聖剣 カリバーン』、『聖剣 アロンダイト』、『天命の聖剣』をエターナルブレイドに装備！」

秘書「！？ 聖剣は戦士族モンスターにしか装備できないはず…！」

戒「…確かに騎雷鳥は鳥獣族だが、場に表側表示で存在する限り、戦士族としても扱う！」

秘書「！」

もっと速く！ もっと強く！ 更なる、高みへ！


騎雷鳥『キョァアアァアアア！！』[攻 2200→2700]


戒「俺はこれでターンを終了する！」


斬波 戒【LP 4000】
場:『騎雷鳥 エターナル・ブレイド』[攻 2700]@『聖剣 カリバーン』『聖剣 アロンダイト』『天命の聖剣』
伏せ:なし/手札:2枚


◉TURN:０２◉


秘書「(伏せカードも無しに私にターンを渡した…！？ 手札誘発か、それともあの雷鳥にはまだ効果があるっつーのか…？)…私のターンです。ドロー」

秘書【手札:6枚】

戒「不公平だから言っておくが、エターナルブレイドは自分または相手のターン中に、このカードの攻撃力以下の攻撃力を持つモンスターの効果が発動された場合、自身の下に重ねられた素材を１つ取り除く事で、その発動を無効にして破壊する事ができる！ そしてその後、このカードに装備されたカード１枚を破壊する」


秘書「……っ…！」


戒「更に『天命の聖剣』の効果で、装備モンスターは１ターンに１度、戦闘及びカードの効果によっては破壊されない！」


秘書「……(かなり行動が制限されたわね…)。…手札から『テラフォーミング』を発動。『脳開発研究所』をサーチします。そして発動」

秘書が発動を宣言すると辺りが一転し、なぞの研究所のイメージ空間へと変わった。


《脳開発研究所》
フィールド魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、
通常召喚に加えて１度だけサイキック族モンスター１体を召喚できる。
この方法でサイキック族モンスターの召喚に成功した時、
このカードにサイコカウンターを１つ置く。
また、自分フィールド上のサイキック族モンスターの
効果を発動するためにライフポイントを払う場合、
代わりにこのカードにサイコカウンターを１つ置く事ができる。
このカードがフィールド上から離れた時、
このカードのコントローラーはこのカードに乗っていた
サイコカウンターの数×１０００ポイントダメージを受ける。


秘書「……『緊急テレポート』を発動。デッキから『メンタルマスター』を特殊召喚…！ そして『ガスタの静寂 カーム』を通常召喚！」

メンタルマスター[攻 100]

ガスタの静寂 カーム[攻 1700]

秘書の顔つきが、段々と険しいものになっていく。
焦っているようで、希望だけは確かに見据えている、そんな表情だ

戒「…何っ…？ この手捌き、まだ諦めていない…！」

秘書「…私は決闘者として、決闘に背は向けない…！ 前を向いてカードを切り続ける！ そう、機械のように！ メンタルマスターの効果を発動！ 800のライフコストの代わりに脳開発研究所にサイコカウンターを１つ置き、場のカームをリリースすることによって、デッキからレベル4以下のサイキック族モンスター１体を特殊召喚する！」

脳開発研究所[◉０→１]

秘書の頭上にある謎の装置に、エネルギーが蓄積される。

戒「…させない！ エターナルブレイドのモンスター効果を発動！ エクシーズ素材を１つ取り除く事で、その効果を無効にし破壊する！〝インフィニティ・リジェクション〟！！」


騎雷鳥『キョァアアァアアア！』


秘書「……っ…！」

戒「…その後、エターナルブレイドに装備された『聖剣 アロンダイト』を破壊する」

秘書「…まだよ！ 脳開発研究所の効果により、１ターンに１度、脳開発研究所にサイコカウンターを１つ置き、手札のサイキック族モンスター１体を召喚する事ができる！ チューナーモンスター『サイガール』を通常召喚！」

サイガール[攻 500]

脳開発研究所[◉１→２]

秘書「更に、手札から『簡易融合』を発動！ ライフを1000払い、エクストラデッキから『音楽家の帝王』を特殊召喚！」

秘書「くぅぅ…う…っ！」【LP 4000→3000】



秘書「……レベル５、魔法使い族モンスター『音楽家の帝王』に、レベル２、チューナーモンスター『サイガール』をチューニング！ 気高き魔導師……内に秘めし魔力を掌握し、すべてを滅せよ！ シンクロ召喚！ 来なさい、『アーカナイト・マジシャン』！！」



アーカナイト・マジシャン[攻 400]


戒「……来たか…！ シンクロ召喚…！！」

秘書「アーカナイトマジシャンがシンクロ召喚に成功した時、自身に魔力カウンターを２つ置く。そしてアーカナイトマジシャンは、自身に置かれた魔力カウンター１つにつき、攻撃力が1000ポイントアップする」


アーカナイト・マジシャン[攻 400→2400][◉０→２]


秘書「そしてアーカナイトマジシャンのモンスター効果を発動…！ 場の魔力カウンターを１つ取り除く事で、相手フィールド上のカードを１枚破壊する！」

戒「…くっ…！ エターナルブレイドのモンスター効果を忘れたのか！？ エクシーズ素材を１つ取り除く事で、このカードよりも攻撃力が低いモンスターの効果を無効にし破壊する！〝インフィニティ・リジェクション〟！」


騎雷鳥『キョァアアァアアア！』


戒「…エターナルブレイドに装備された『聖剣 カリバーン』は破壊される」

騎雷鳥 エターナル・ブレイド[攻 2700→2200]


秘書「…これで素材は無くなった。いくわよ。戒サマ…！」

秘書【手札:１枚】

戒「…あの1枚の手札で、一体何を……！？」


秘書「ーーー手札から魔法カード、『ミラクルシンクロフュージョン』を発動！」


《ミラクルシンクロフュージョン》
通常魔法
自分のフィールド上・墓地から、
融合モンスターカードによって決められた
融合素材モンスターをゲームから除外し、
シンクロモンスターを融合素材とするその融合モンスター１体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
また、セットされたこのカードが
相手のカードの効果によって破壊され墓地へ送られた時、
自分はデッキからカードを１枚ドローする。


秘書「私の墓地の魔法使い族モンスター『音楽家の帝王』と、魔法使い族シンクロモンスター『アーカナイト・マジシャン』をゲームから除外！」

戒「……っ！」

秘書「ーーー極限まで高められし魔力をもって、仇なすものを撲滅せよ！ 融合召喚！『覇魔導師 アーカナイト・マジシャン！！」


覇魔導師『覇ぁあぁああぁぁあああッッ！！』[攻 1400]


戒「今度は融合召喚か…ッ」


秘書「…覇魔導師アーカナイトマジシャンが融合召喚に成功した時、自身に魔力カウンターを２つ置く。そして自身に置かれた魔力カウンター１つにつき、攻撃力が1000ポイントアップする…！」


覇魔導師 アーカナイト・マジシャン[攻 1400→3400][◉０→２]


戒「攻撃力3400だと…！？」


秘書「…バトル！ アーカナイトマジシャンで、エターナルブレイドを攻撃！〝ビッグバン・マジック〟！！」


『覇魔導師 アーカナイト・マジシャン』[攻 3400]
ーーーVSーーー
『騎雷鳥 エターナル・ブレイド』[攻 2200]


覇魔導師『覇ぁあぁああぁぁあああッッ！！』


騎雷鳥『キョァアアァアアアア！！』


戒「……天命の聖剣の効果で、１ターンに１度、装備モンスターは破壊されない！」

秘書「…でも、戦闘ダメージは受けてもらう！」


戒「…ぐぁああぁっああッッ！！」【LP 4000→2800】


秘書「…メインフェイズ２へ移行し、覇魔導師の効果発動！ １ターンに１度、場の魔力カウンターを１つ取り除く事で、相手フィールド上のカード１枚を破壊する！ 対象はエターナルブレイド！」

覇魔導師 アーカナイト・マジシャン[攻 3400→2400][◉２→１]


騎雷鳥『キョァアアァアアアッッ！！

バリィィン！


戒「くっ！」


秘書「…ターンエンド」


秘書【LP 3000】
場:『覇魔導師 アーカナイト・マジシャン』[攻 2400][◉１]
F魔法:『脳開発研究所』[◉２]
伏せ:なし/手札:なし

斬波 戒【LP 2800】
場:なし
伏せ:なし/手札:2枚


◉TURN:０３◉


戒「…負けるわけにはいかない………俺のターン！ ドロー！！」

戒【手札:３枚】

俺の全力を、ここでぶつける！

戒「俺は、『聖騎士 アルトリウス』を召喚！」


アルトリウス『…ぉぉおぉお！』[攻 1800]
通常モンスター


戒「そしてこのカードは、自分の場に光属性の通常モンスターがいる場合、手札から守備表示で特殊召喚できる！ 現れろ、『聖騎士 ガウェイン』！」


ガウェイン『…ふん…っ！』[守 500]


秘書「…レベル４モンスターが２体…！ エクシーズ召喚か…！」


戒「２体のモンスターでオーバレイ！ ーーー円卓の主よ、迷える騎士たちに光を示せ！！ エクシーズ召喚！『聖騎士王 アルトリウス』！！」


アルトリウス『…うぉおおおぉおおッッ！』[攻 2000]


戒「アルトリウスがエクシーズ召喚に成功した時、自分の墓地の『聖剣』を三種類まで選び、このカードに装備する！！『聖剣 ガラティーン』『聖剣 カリバーン』『天命の聖剣』をアルトリウスに装備！」

聖騎士王 アルトリウス[攻 2000→3500]


戒「…更に、アルトリウスのエクシーズ素材を１つ取り除き、効果発動！ 場の聖剣の数まで、フィールド上の魔法、罠カードを破壊する！ 脳開発研究所を斬り裂けぇぇ！！」


アルトリウスが剣を振り払うと、研究所がいくつもの破片に分断されバラバラになり、崩れ落ちた。
それと同時に、秘書の頭の上で蓄積されていたエネルギーが秘書に向け弾け飛ぶ。


秘書「くぅぅ…ぁぁああっっ！！」【LP 3000→1000】


戒「……今ここで、過去を終わらせよう。俺はもう、昨日までの俺じゃあ無いんだ。それを証明してやる…！」

秘書「……っ…！」

戒「バトルだ！ 聖騎士王 アルトリウスで、覇魔導師 アーカナイト・マジシャンを攻撃！ 唸れぇ！！〝キングダム・セイバー〟ッッ！！！」


『聖騎士王 アルトリウス』[攻 3500]
ーーーVSーーー
『覇魔導師 アーカナイト・マジシャン』[攻 2400]


戒＆アルトリウス「『うぉおおおぉおおおぉおおおッッッ！！！」』





秘書「ーーーっっっ！！！」【LP 1000→0】ピーッ！



秘書（…婦警さん。あんたの助けたこの子は、とんでもないーーー天才ですよ）





winner☆斬波 戒☆





ーーー-ーーー-ーーー-ーーー-ーーーTo Be Continued…




《次回予告》


「ーーー剣を抜け。戒。決闘者ーーー否、“血統者”同士の闘いに、これ以上の言葉など必要ない」



次回、遊戯王 Ph.X
DRAW:２９戒めの斬波⑧覇王バルバロス



＊タイトルは、予告なく変更させていただく場合があります。