DRAW:１１０ 不死鳥の反撃　作：人喰い

(110)



火群【LP 8000】
(モンスター)
『炎王獣ガネーシャ』[ATK 1800]
『勇炎星ーエンショウ』[ATK 1600]
(魔法)
『炎王の孤島』(フィールド)
伏せ:1
手札:2


イカ【LP 6000】
(モンスター)
『デビル・クラーケン』[ATK 1400]
『豪雨の結界像』[DEF 1200]
『氷帝メビウス』[ATK 2600]
(魔法)
『忘却の都レミューリア』(フィールド)
『水神の護符』(永続)◉1
『水舞台』(永続)
(罠)
『潜海奇襲』(永続)
伏せ:0
手札:0



◉TURN０４◉


イカ「…！！」【手札 1】

勝ち誇った様子でカードを引く巨大イカ。
するとそのまま右触手を前に突き出し、攻撃を仕掛ける。

イカ「！！」


『氷帝メビウス』
[ATK 2600]
ーーーVSーーー
[ATK 1800]
『炎王獣ガネーシャ』


水中に身を潜めた氷帝の放った冷気によってガネーシャは凍りつき、破壊されてしまう。

火群「…くっ…！！」

ガネーシャは破壊された場合墓地のモンスターを蘇生させることができるが…、豪雨の結界像が居るせいで水属性以外の特殊召喚は封じられてる…！ どうすれば…！

和泉「…もぉーっ！ しっかりしてよぉーっ！」

火群「…わかってるって…！」

結維「…けど、『潜海奇襲』の効果で、ダメージ計算を行わずに効果で破壊されるから、ライフは守れる…！」

千愛「…長期戦になりそうね…」

イカ「……！」

『デビル・クラーケン』[ATK 1400→DEF 1600]

そしてデビル・クラーケンを守備表示に変更させると、ターンを終了させる巨大イカ。

火群「……っ」

相手も見たところ決定打は無いみたいだ…！
強力なカードを引かれる前に、なんとしてでもこの状況を突破したい…！


◉TURN０５◉


火群「…俺のターン！！ ドロー！」【手札 3】















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１１０ーーー
《不死鳥の反撃》













火群「……！ まだ足りない…！
俺はこれでターンエンド…！」【手札 3】

『水神の護符』◉2

ニクス（前のターンから炎王の孤島の効果を使えていないということは、モンスターを引けていないのか…！）


◉TURN０６◉


イカ「…！！」【手札 2】

イカはカードを引き、それを手札に加える。

火群「…っ…」

そして次に、氷帝をリリースしーーー

火群「！！」


ーーー夏に、冬が降り立つ。

イカ「！！！」

…そのモンスターは、アドバンス召喚したモンスター１体のリリースで……アドバンス召喚できるーーー！！


『凍氷帝メビウス』[ATK 2800→3000]


《凍氷帝
とうひょうてい
メビウス/Mobius the Mega Monarch》 †
効果モンスター
星８/水属性/水族/攻2800/守1000
このカードはアドバンス召喚したモンスター１体をリリースしてアドバンス召喚できる。
このカードがアドバンス召喚に成功した時、
フィールド上の魔法・罠カードを３枚まで選択して破壊できる。
このカードが水属性モンスターをリリースしてアドバンス召喚に成功した場合、
その時の効果に以下の効果を加える。
●この効果の発動に対して相手は選択されたカードを発動できない。



火群「…ここにきて最上級モンスターかよ…ッ！」

さらにその効果は…フィールドの魔法罠カードを３枚まで破壊する……！！

イカ「……！！」

イカの触手が振り払われる。
それと同時に凍氷帝は地に手を着き、地より突き出た巨大な氷柱により、炎王の孤島と、伏せカード『業炎のバリアーファイヤーフォース』が破壊されてしまう。


火群「…く…っ！！」

千愛「マズイわね……炎王の孤島が破壊された事で、場のエンショウも破壊される…！」

火群「…！」

俺の場がガラ空きになった事で、なんの躊躇いもなしにイカはモンスター全てを攻撃表示にし、総攻撃を仕掛ける。

イカ「！！！」

『デビル・クラーケン』[ATK 1400]

『豪雨の結界像』[ATK 1200]

『凍氷帝メビウス』[ATK 3000]


デビル・クラーケンの触手によって縛られ、結界像の体当たりと凍氷帝の放つ氷柱が俺に直撃する。

火群「……ぐぁぁああっっはぁッッ！！」【LP 8000→6600→5400→2400】


和泉「…ぎゃあぁぁぁ火群くんまで触手攻めされちゃってるよぉぉぉっっ」

ニクス「そ、そんな事言ってる場合か！」

鈴華「……（割とアリ、かも…？）」

雫「…あの…？ 鈴華サン…？ 若干ニヤけてますけど大丈夫ですか…？」


火群「…ぜぇーっ！ はぁーっ！
……やっと解放された……」

ライフは残り2400……次のドローで全てが決まる…！


◉TURN０７◉


火群「…俺のターン…！！ ドロー！！」【手札 4】

火群「！」

イカ「………」

火群「…俺はモンスターをセット！ 更にカードを1枚伏せ、ターンエンド！」【手札 2】

『水神の護符』◉3

火群「……そしてこの瞬間、水神の護符の効果は切れ、墓地へ送られる…！」

これで効果破壊が可能になった…！ ここから巻き返す！


◉TURN０８◉


イカ「！！」【手札 3】


イカはメインフェイズでは動かず、すぐにバトルフェイズへと移行する。

火群「……！」

そしてまずは凍氷帝でセットモンスターに攻撃を仕掛けるーーー！

火群「…それを待ってたぜ…！」

『潜海奇襲』の効果で俺のモンスターはダメージ計算を行わずに破壊されるが……。

火群「…俺のセットモンスターは『火舞太刀』！」


《火舞太刀
かまいたち
/Fencing Fire Ferret》 †
効果モンスター
星４/炎属性/獣族/攻1700/守 600
(1)：このカードが破壊され墓地へ送られた場合、
相手フィールドの表側表示モンスター１体を対象として発動する。
その相手の表側表示モンスターを破壊し、相手に５００ダメージを与える。


イカ「…！！」

火群「…この効果で俺が破壊するのはもちろんーーー豪雨の結界像！！」

火舞太刀は最後の力を振り絞り、自慢の鋭利な尻尾で結界像を真っ二つに斬り裂いた。

イカ「……！！？」【LP 6000→5500】

和泉「やったぁ！」

鈴華「…けど、まだ攻撃力3000のメビウスが残ってますわ…！ あれも突破できるの…？」

雫「…できます…っ！ 火群さんと、不死鳥さんなら…！」


◉TURN０９◉


火群「…俺のターン！！ ドロー！！」【手札2】

火群「…やっとこいつを使えるぜ……！ 待たせたな！ ニクス！！」

ニクス「……ったく、待ちくたびれたぞ」

火群「ーーー魔法発動！『炎王の急襲』！！」


《炎王の急襲/Onslaught of the Fire Kings》
通常魔法
相手フィールド上にモンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。
デッキから炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター１体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、
エンドフェイズ時に破壊される。
「炎王の急襲」は１ターンに１枚しか発動できない。


火群「ーーー現れろ！！ 勝利へ導く紅蓮の翼！！
『炎王神獣 ガルドニクス』！！」


ニクス「…力が……奥底から湧いてくる…！！ 行くぞッ！！ 火群！！」

ﾊﾞｼｭｩｩｯ‼︎

和泉「にくすさんが自力で脱出を！？」

ニクスの姿は不死鳥となり俺の場に舞い降りる。

ニクス「はぁぁああぁああっっ！！」[ATK 2700]


《炎王神獣 ガルドニクス/Fire King High Avatar Garunix》
効果モンスター
星８/炎属性/鳥獣族/攻2700/守1700
このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、
次のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚に成功した時、
このカード以外のフィールド上のモンスターを全て破壊する。
また、このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
デッキから「炎王神獣 ガルドニクス」以外の
「炎王」と名のついたモンスター１体を特殊召喚できる。


火群「反撃……開始だ！！
伏せカードオープン！ 『リビングデッドの呼び声』！ この効果で、墓地のガネーシャを復活させる！」[ATK 1800]

火群「そしてバトルだ！ ガネーシャで、デビル・クラーケンを攻撃！」

『炎王獣ガネーシャ』
[ATK 1800]
ーーーVSーーー
[ATK 1400]
『デビル・クラーケン』

火群「水舞台の効果でデビル・クラーケンは戦闘では破壊されないが……戦闘ダメージは受けてもらうぜ！」

イカ「！！」【LP 5500→5100】


火群「…続いて、ガルドニクスの攻撃！！ 攻撃対象はーーー凍氷帝メビウス！！」

イカ「……！？」

鈴華「…どういうこと…！？ 攻撃力は向こうの方が上ですし…おまけに潜海奇襲の効果で破壊されてしまいますわよ…！？」

和泉「……破壊……、そっか…！ それでいいんだよ…！」


ニクスは凍氷帝に向け火炎放射を放つが、凍氷帝はそれを水中に身を潜めかわす。そして両手から放たれた猛吹雪によりニクスの翼は凍りついていく。

ニクス「……！！」

火群「ーーーニクス、やれるな？」

ニクス「…ああ…ッ！」
この程度の氷で……ッ」

火群「俺たちの炎が…ッ！！」

ニクス「私たちの心が…！！」



火群・ニクス「凍ると思うなァァッッ！！！」


ｺﾞｫｵｫｵｵｫｵｫｫｵｵｫｫｯｯ‼︎


イカ「…！！？？」

和泉「ニクスさんの凍りついた羽が……燃えて…っ！」

千愛「……全く、あの二人には驚かされるばっかりね…っ」


翼は燃え上がり、ニクスは空高く舞い上がる。


火群「ーーーリミット解放！！ コード『ガルドニクス』！！」


火群「ーーー朽ちること無き恒久の翼、今こそ解き放てッ！ 不滅の焔が敵を穿つ！」

大地を割り、溶岩とともに現れたニクスの周りを、眩い光を放つ無数の粒子が覆い、ニクスを新たな姿へと作り変えていく。

そして不死鳥は光を纏い舞い上がる。

火群「ーーー〝ライズ召喚〟！！！
現れろ！！『炎王神獣 ガルド・イモータル』！！」[ATK 2700]


《炎王神獣 ガルド・イモータル》＊Ph.X Original Cards
ライズ・効果モンスター
星９/炎属性/鳥獣族/攻 2700/守 1700
ライズコア「炎王神獣 ガルドニクス」
【自分フィールド上のモンスターが破壊された場合】自分のライフが3000以下なら、ライズコアに指定されたモンスターを自分のフィールド・墓地から１体選び、そのモンスターをライズコアとしてライズ召喚する。
このカード名のカードは自分フィールド上に１体しか表側表示で存在できず、このカード名の①③の効果は、１ターンに１度しか発動できない。
①このカードが破壊されエクストラデッキに送られた場合、攻撃力を１０００アップさせて特殊召喚する。
②このカードの①の効果で特殊召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のカードを２枚まで選択して発動できる。選択したカードを破壊し、破壊した自分のカードの数まで、相手フィールド上のカードを選んで破壊する。
③自分及び相手のスタンバイフェイズ時にこのカードがエクストラデッキに表で存在する場合、このカードを守備表示で特殊召喚する。



火群「…ガルド・イモータルで、もう一度メビウスを攻撃！！」


イカ「！！！」

ニクスは上空から急降下して凍氷帝へ襲いかかるが、またしても水中からの奇襲によって、一度は解凍した翼が再び凍りつく。

イカ「……ッ！！」

ニクス『「なんどやっても同じこと」…とでも言いたそうだな…ッ！」

イカ「…！？」

火群「破壊されたガルド・イモータルの効果発動！！ ガルド・イモータルは破壊されエクストラデッキに送られた場合、攻撃力を１０００アップさせて特殊召喚される！！
〝フレイミング・イン・モータル〟！！」

ニクスは両翼を再び燃え上がらせ、メビウスの眼前へと立ち尽くす。

ニクス「……」[ATK 2700→3700]

火群「更に…！ 自身の効果で復活したガルド・イモータルの効果！！ 俺の場のガネーシャとリビングデッドの呼び声を破壊し、デビル・クラーケンとメビウスを破壊する！！
〝イモータル・フレイム〟！！」

ニクスが両翼を勢いよく振り払うと、無数の炎弾がフィールド内に降り注ぎ、弾けた。

イカ「ッッ！！！」


和泉「…凄い…っ！ 花火みたい…っ♪」

結維「の割には随分低いとこで弾けてるけどね…」



火群「そんでこいつでダメ押しだ…！ 破壊されたガネーシャの効果発動！ 墓地のバロンを特殊召喚！」[ATK 1800]

火群「そしてバトルフェイズはまだ継続中…！！ バロンでダイレクトアタック！！」

『炎王獣バロン』[ATK 1800]

バロンは双刃で触手に斬りかかる。

イカ「……ッッ！！」【LP 5100→3300】

この攻撃によって触手が緩んだ隙を見て、すかさず結維さんとチアガールが脱出する。
そしてそれぞれ近い位置にいた柏木さん、西蓮寺さんを救出し、浅瀬に落ちたのが見えた。

結維「…ぷはっ！ あとは和泉だけよ！ 頼んだわ、火群！」

火群「任せろっ！！ こいつで焼きイカになっちまいな…！！
ガルド・イモータルの攻撃！！
ﾊﾞ-ﾆﾝｶﾞﾙﾄﾞ・ｲﾝ・ﾓ-ﾀﾙ
〝不死鳥の滅焔翼〟！！！」


『炎王神獣 ガルド・イモータル』[ATK 3700]


ニクスの放った螺旋状の焔を纏った熱線は、巨大イカの全身を炙り包み込んだ。


イカ「〜〜〜ッッ！！！」【LP 3300→0】



◉Winner◉
-市瀬 火群-





和泉「ーーーへ？」


決着も束の間、巨大イカが倒れたことによって和泉の身体は中に投げ出される。

火群「ーーー和泉っっ！！」

和泉「ひゃぁああぁぁあっっ！？」

俺は決闘盤を外して駆け出す。

火群「ぉぉおおぉぉぉおっっ！！」

そして和泉の真下まで行き水面に落ちるギリギリのところで和泉を支えーーーられる程の筋力が俺には無かったため、二人揃って激しく水飛沫を上げながら海中に沈み込んだ。

火群「ーーーッッ！！」

和泉「っっっ！！！」



結維「…！ ちょっと！？ 二人ともーーー！？」

雫「はわわわ…っ！ 派手に落ちましたよ！？」

鈴華「…あ、あれを見てください！ 何か浮かんできますわ！」

千愛「…浅瀬に流れてきてるわね…。どっちかしら」

ニクス「…どちらでも構わん！ 助けるぞ！」

ﾊﾞｯ‼︎

ニクス（軽い…！？）

千愛「…ちょっとにくす…っ、あなたが持ち上げてるのって……」




火群・和泉「…ぷはぁっ！！」

和泉「…ちょっと火群くんっ！ あそこはカッコ良く支える場面でしょーっ！？」

火群「ごめん和泉…」

ｼﾞｬﾊﾞｼﾞｬﾊﾞ…

結維「…あ、普通に無事だったみたいね」

ニクス「！！ 待て火群！ こっちに来てはいけない！！」

火群「…？」

ｼﾞｬﾊﾞｼﾞｬﾊﾞ…

ニクスの忠告を聞いた時にはもう遅かった。
水の深さが膝ぐらいのところに差し掛かる頃で、5メートル程先の砂浜にいる皆は目を丸くしてこちらを見ている。
そしてニクスが手に持っている“それ”が、現状を理解するには充分すぎる情報だった。

俺の腰回りを涼しい海風が吹き抜ける。

ニクスが絶望的な表情で握り締めているものは間違いなく紛れも無く、俺の海パンだった。

俺の隣で足を進める和泉もその事実に気づいたようで、その場でフリーズする。


[守備表示→攻撃表示]


意識せず発生したその表示形式の変更は、見るもの全てを凍りつかせた。

和泉「……〜〜〜っっっ！！！」

その日の海は鮮血に染まったとかそうでないとか。






To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１１１ 束の間の休息




＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙