DRAW:１６３ 竜霊山防衛戦　作：人喰い

(163)




〜竜霊山・洞窟〜

【Side 竜貴】


俺は跡部先生を攻撃した男を追って、竜霊山の洞窟の中まで来ていたーーー

竜貴「ーーーー洞窟の入り口…、草木で隠されてたはずなのに…焼け落ちてやがった…ッ…。
あいつはぜってぇこの中にいる…ッ！
急がねーと…ッ…この洞窟の奥には……大量の精霊が眠ってるってのにーーーーッ」


洞窟の中は光の粒子が漂っており、お陰で遠くまで見渡せる。

竜貴「……！！」

駆けていくと、程なくして大広間に出た。
辺りを包む霊気が半端じゃない。どうやらここが最奥部で間違い無いようだ。



〜竜霊山・洞窟最奥部〜


竜貴「……っ…！」

そして広間の奥の方に佇む、見覚えのある人影。
黒ローブに身を包み、刺々しい茶髪の男ーーーー

男は振り返り、右頰一面に広がる火傷の痕が俺の視界に入る。

竜貴「…忘れもしねぇ…っ…！
俺はお前をぶっ倒すために……この竜霊山に来たんだからな…ッ…！！」


ーーーー陽炎が揺れ、男は冷めた眼光を俺に突き刺すと、ようやく口を開く。




放浪「ーーーー失せろ」




男ーーーー『永井 放浪(ながい ほうろう)』は一言そう言って、岩壁に右手を付く。

竜貴「……っ……！？ 何をーーーー」


すると、周囲を取り囲む岩壁からドス黒い焔が吸い込まれるように放浪の右手に集まっていく。


竜貴「……っ…！！ お前…ッ…竜霊山に何をした…ッ…！？」

放浪「…簡単に答えると思うか？」

竜貴「……ッ…なら…っ俺と決闘だッ！ お前達の好きにはさせねぇ…ッ！！」


放浪「……チッ…、ウザいやつだぜ…。また消し炭にして欲しいみたいだな…」

竜貴「…っ……」

確かに、反帝アリーナで俺は一度こいつに負けている…。
……けど！


竜貴「…あの頃と全く同じだと思うなよ…ッ！」

全てはこの時のためーーー

放浪「……どれだけ努力したか知らねぇが、俺の相手じゃねぇ…ッ…！」


ここでぶつける……ッ…！



「「ーーー決闘！！」」



進化した俺のーーー“魂”を…ッ！！










〜竜霊山・山頂〜


跡部「………東雲くんーーーー
間違っても、奴にーーー永井放浪に決闘を挑んではいけない……ッ…！」


跡部「……奴には…、“不の精霊”が大量に取り付いている…ッ…！
ーーー君まで飲み込まれる事になるぞ……ッ……！」
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDEAW:１６３ーーー
《竜霊山防衛戦》
















〜竜霊山・山道〜


【Side 結維】


結維【LP 4000】

小次郎【LP 4000】


黒焔の巨人【LP 8000】


＊2対1の変則決闘。場、墓地、除外、ライフ共に別。
TURN:結維→黒焔の巨人→小次郎→黒焔の巨人→結維 の順。小次郎のターンから攻撃可能。


結維「ーーー私から行く…ッ…！
私のターン！」[手札 5]


◉TURN０１◉


相手は単体でも強力だった黒焔トークンの集合体……ッ…！ 決して油断はできない……！


結維「ーーー私は、永続魔法『パーシアスの神域』を発動！」


《パーシアスの神域
しんいき
/The Sanctum of Parshath》 †
永続魔法
(1)：このカードのカード名は、フィールド・墓地に存在する限り「天空の聖域」として扱う。
(2)：このカードが魔法＆罠ゾーンに存在する限り、フィールドの天使族モンスターの攻撃力・守備力は３００アップし、
フィールドにセットされた魔法・罠カードは効果の対象にならず、効果では破壊されない。
(3)：１ターンに１度、自分の墓地の天使族モンスター及びカウンター罠カードの中から、
合計３枚を対象として発動できる（同名カードは１枚まで）。
そのカードを好きな順番でデッキの上に戻す。


神域の出現と共に辺りを眩い光が包む。

黒焔「…ッッ！！」

しかし黒焔の巨人が巨大な一ツ目を見開くと、光が闇に押し返されていくーーーー

結維「…っ…！」

小次郎「……奴の闇の力はとてつもなく強大なもののようですね…」

結維「……けど、晴れない闇なんて絶対に無い…っ！
ーーー私は、『神秘の代行者 アース』を召喚！」[ATK 1000]

《神秘の代行者 アース/The Agent of Mystery - Earth》
チューナー（効果モンスター）
星２/光属性/天使族/攻1000/守 800
このカードが召喚に成功した時、
自分のデッキから「神秘の代行者アース」以外の
「代行者」と名のついたモンスター１体を手札に加える事ができる。
フィールド上に「天空の聖域」が表側表示で存在する場合、
代わりに「マスター・ヒュペリオン」１体を手札に加える事ができる。


結維「神域の効果で、場の天使族モンスターの攻守は３００アップ！」

『神秘の代行者 アース』[ATK 1000→1300]

結維「…そしてアースの召喚成功時、効果発動…っ！
場に『天空の聖域』扱いとなった『パーシアスの神域』が存在する事で、代行者の代わりにデッキから『マスター・ヒュペリオン』を手札に加える！」[手札 4]


結維「…更に、手札から魔法カード『トランスターン』を発動ッ！」

《トランスターン/Transmodify》 †
通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター１体を墓地へ送って発動できる。
墓地へ送ったモンスターと種族・属性が同じで
レベルが１つ高いモンスター１体をデッキから特殊召喚する。
「トランスターン」は１ターンに１枚しか発動できない。


結維「場のアースを墓地へ送り、デッキからレベル３の『創造の代行者 ヴィーナス』を特殊召喚！」[ATK 1600→1900]


《創造
そうぞう
の代行者
だいこうしゃ
ヴィーナス/The Agent of Creation - Venus》 †
効果モンスター
星３/光属性/天使族/攻1600/守 0
(1)：５００ＬＰを払って発動できる。
手札・デッキから「神聖なる球体」１体を特殊召喚する。


結維「……ヴィーナスの効果…！ 私は合計１５００のライフを支払い、【LP 4000→2500】デッキから３体の『神聖なる球体』を特殊召喚！」[DEF 500→800]

ライフが4000のこの形式だとヴィーナスの分のコストでさえ結構痛いわね……。

結維「ーーー出し惜しみなんてしてられない…ッ…！」

小次郎「…！」


右手を勢いよく突き出し、二つの力を掛け合わせるーーーー

結維「２体の神聖なる球体でオーバーレイッッ！
エクシーズ召喚！
ーーー来て！ ランク２、『神騎 セイントレア』！！」[ATK 2000]


《神騎
しんき
セイントレア/Sky Cavalry Centaurea》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク２/光属性/獣戦士族/攻2000/守 0
レベル２モンスター×２
(1)：Ｘ素材を持っているこのカードは戦闘では破壊されない。
(2)：このカードが相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時に
このカードのＸ素材を１つ取り除いて発動できる。
その相手モンスターを持ち主の手札に戻す。


小次郎「……！
（結維殿はエクシーズ召喚を使えるのですね……！
そして恐らく、結維殿から感じられるこの精霊の鼓動は……シンクロ召喚もーーーー）」


結維「…まだ終わらない…！
このカードは、場に天空の聖域がある時、手札から特殊召喚できる！！
来て！『死の代行者 ウラヌス』！！」[ATK 2200→2500]


《死
し
の代行者
だいこうしゃ
ウラヌス/The Agent of Entropy - Uranus》 †
チューナー・効果モンスター
星５/闇属性/天使族/攻2200/守1200
(1)：フィールドに「天空の聖域」が存在する場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。
(2)：１ターンに１度、自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「代行者」モンスター１体を墓地へ送る。
このカードのレベルは、この効果で墓地へ送ったモンスターのレベルと同じになる。


結維「ウラヌスの効果…！ デッキから『神秘の代行者 アース』を墓地へ送り、このカードのレベルをアースと同じ２に変化させる！」

『死の代行者 ウラヌス』☆５→２

結維「ーーーレベル２の『神聖なる球体』に、レベル２となった『死の代行者 ウラヌス』をチューニング！」

黒焔「……ッ…」


結維「ーーーーシンクロ召喚！
来て…っ！ レベル４…！
『虹光の宣告者』！！」[DEF 1000→1300]



《虹光の宣告者
アーク・デクレアラー
/Herald of the Arc Light》 †
シンクロ・効果モンスター
星４/光属性/天使族/攻 600/守1000
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
(1)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
お互いの手札・デッキから墓地へ送られるモンスターは墓地へは行かず除外される。
(2)：モンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、
このカードをリリースして発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
(3)：このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから儀式モンスター１体または儀式魔法カード１枚を手札に加える。


結維「カードを１枚伏せて、ターンエンドーーーー」[手札 １]




◉TURN:０２◉


黒焔「我ノターン…ッ！ カードヲドロースル…」[手札 6]


黒焔「ーーー相手フィールドノモンスターノ数ガ、自分ノモンスターノ数ヨリ多イ場合、コノカードハ手札カラ特殊召喚デキル…！
現レヨ！『ヴェルズ・マンドラゴ』！！」[DEF 1450]


《ヴェルズ・マンドラゴ/Evilswarm Mandragora》 †
効果モンスター
星４/闇属性/植物族/攻1550/守1450
(1)：相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、
このカードは手札から特殊召喚できる。


モンスターの出現と共に、辺りの瘴気が僅かに濃くなっていくのを肌で感じて小次郎に目配せをする。

結維「……っ…」

恐らく決闘が長引く程、この空間にいる私たちは危険…！
そして相手もそれをわかった上で受け身の立ち回りをして来るはずーーーー


小次郎「…」ｺｸﾘ

小次郎も状況を理解しているようで、私の目線に気づき無言で頷く。そして「任せてくれ」と言わんばかりに軽く笑みを浮かべてみせた。

結維「…！」




黒焔「ーーー更ニ、『ヴェルズ・カストル』ヲ召喚！」[ATK 1750]


《ヴェルズ・カストル/Evilswarm Castor》 †
効果モンスター
星４/闇属性/戦士族/攻1750/守 550
このカードが召喚に成功したターン、
自分は通常召喚に加えて１度だけ
「ヴェルズ」と名のついたモンスター１体を召喚できる。


結維「……っ」

効果を発動せずにレベル４のモンスターを２体展開してきた……！

小次郎「………レベル４が２体ーーーー」

結維「……来る…っ！」



黒焔「ーーーー暗黒ニ焼カレヨ…ッッ！
２体ノモンスターデ、オーバーレイッ！！」

周囲を囲う火柱が更に激しさを増し、瘴気もより一層濃くなってゆくーーーー


黒焔「ーーーエクシーズ召喚ッ！
今コソ現レヨ…ッ！ ランク４！
『ヴェルズ・バハムート』！！」[ATK 2350]


《ヴェルズ・バハムート/Evilswarm Bahamut》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク４/闇属性/ドラゴン族/攻2350/守1350
「ヴェルズ」と名のついたレベル４モンスター×２
１ターンに１度、このカードのエクシーズ素材を１つ取り除き、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター１体を選択して発動できる。
手札から「ヴェルズ」と名のついたモンスター１体を捨て、
選択した相手モンスターのコントロールを得る。


闇の中より黒龍が現れるーーー。
そして黒龍の冷たき視線を受け、全身が氷漬けになったかのような寒気が私たちを襲う。

結維「……ッ…」

小次郎「……周囲には灼熱の炎……内側からは極寒が攻め立ててくる…っ…！
立っているだけで気が狂いそうだ…っっ…！」


苦しむ私たちを嘲笑うように黒焔の巨人は次々とプレイを続ける。

黒焔「ーーー『ヴェルズ・バハムート』ノ効果発動…ッッ！
コノカードノX素材ヲ１ツ使イ、貴様の場ノ『虹光の宣告者』ノコントロールヲ奪ウ！！」

黒龍の瞳が赤く光り輝き、虹光の宣告者を確かに捉えた。

黒焔「虹光の宣告者ヨーーー我等ガ侵略ノ糧トナレ…！！」


結維「…させない…っ！！
虹光の宣告者の効果発動ッ！」

視線が捉えたその瞬間、虹光の宣告者の姿が激しく発光し、一瞬、闇を包み込む。

黒焔「…！」


結維「……自身をリリースする事で、モンスター効果・魔法・罠の発動を無効にし、破壊するっ！！
ーーー光の中に消えなさいッ！」

虹光の宣告者がリリースされると同時に、黒龍は虹色の光に包まれ消滅した。


黒焔「………ホゥ…。ヴェルズ・バハムートガ簡単ニヤラレルトハナ……」

小次郎「……見事です、結維殿…っ！
（……しかし…、これはーーーー）」

結維「……っ…」


間違いない……虹光の宣告者の効果を“使わされた”……。絶対に使わざるを得ない状況を作られたんだ…っ。

そしてそういう立ち回りをされたということは…、すぐに次が……来る…っ！


結維「……来なさいよ…っ…！
まだこんなものじゃないでしょう…っ…？」


ここからがーーー正念場ね……っ！




黒焔「…クク…ククク……ッ…！」



黒焔の巨人は不気味に嗤う。

熱く燃える、冷たき瞳で。






To Be Continued…






《次回予告》




「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１６４ 侵略の三龍






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙