DRAW:６１ 真炎の爆発　作：人喰い

(61)



《WDCS予選・バトルロワイヤル》

◉大まかなルール

予選の時間は『３時間』。
参加者全員は、予選開始時に反亭アリーナの敷地内のどこかにランダムで転送される。そしてそれと共に反亭アリーナの館内と館外の一帯に散らばる“1〜16の数字が書かれた16種のパスカード”(1枚ずつではなくそれぞれ複数存在)のいずれかを手にし、『セントラルホール』前の受付に戻ってきた決闘者に本戦への出場資格与えられる。セントラルホール内にて予選終了まで待機。



＊決闘の申し込みは、DUEL GEARにより半径1メートル以内の一番近い距離にいる決闘者に申し込みコードを送る事で強制的に決闘となる。


◉決闘条件と勝敗による判定

・パスカードを持っていない決闘者同士
→勝者のDUEL GEARのマップに5分間、“全てのパスカードの位置が表示される”。
敗者は10分間、“決闘の申し込みができない“。

・同数字パスカード持ち決闘者同士(ゴールしていてもしていなくても)
→敗者の持っていたカードは運営によって“会場のどこかに飛ばされる”。

・異なる数字のパスカードを持つ決闘者同士
→勝者は10分間、“他の決闘者からの決闘申し込みを受けない”。敗者のカードは“会場のどこかに飛ばされる”。


＊引き分けの場合
両者のパスカードは会場のどこかに飛ばされ、両者とも10分間決闘を行えない。



◉禁止事項
・参加者及び観客・スタッフへの暴力・暴言
・参加者から直接パスカードを奪い取る行為
・パスカードの破壊
・パスカードの譲渡
・パスカードを2枚以上所持する事


◉持ち込める物
・40〜60枚のメインデッキ
・0〜15枚のエクストラデッキ
・支給されたDUEL GEAR
・支給された決闘盤








〜セントラルホール前〜


少年「ーーー向こうも早速始まったみたいだねー。僕もようやくこのパスカードを手に入れたことだし、この間の借りを返さなきゃね…♪」


爽香「…お！ またまたパスカードを手に入れた決闘者がセントラルホールに戻ってきたよーっ！ さあパスカードの提示をお願いしまーっす！」

身長140センチ弱の小柄な少年は、笑顔で迎え入れる爽香を無視しスタスタとセントラルホールの中に入っていく。

爽香「…ってこらぁっ！ どいつもこいつも無視しないの！」

少年「…うるさいなーもう。はいこれ、パスカード『8』！」

爽香「…！ 8番ってことは……っ」

少年「知ってるよ。彼がーーー斬波戒がすでに8番のパスカードを持ってゴールしてるってこと。僕は彼と戦いに来たんだ」

爽香「…？ あなたは…一体ーーー」


ドロワ「僕は『ドロシー=ワルツ』。『ドロワ』って呼ばれてる。
“彼”にはちょっとした借りがあってね…♪」


















遊戯王 Ph.X DRAW:６１
《真炎の爆発》
















〜予選会場・森林エリア〜



火群【LP 7200】[手札 2]
場:『炎王獣 バロン』[ATK 1800]
『暗炎星-ユウシ』[ATK 1600]
(魔法・罠)
『炎王の孤島』(フィールド魔法)
伏せ:なし


マンティス【LP 8000】[手札 3]
場:『ラヴァルバル・ドラグーン』[ATK 2500]
『バトルフェーダー』[DEF 0]
伏せ:１



◉TURN:０４◉

火群「俺のターン！ ドロー！」[手札 3]

結維（…ラヴァル使いの男は、一手攻め込むと同時に“待ち”の体制に入ってる…。ここを崩せなかったら結局ジリ貧に追い込まれ、たとえ崩しても仕留めきれなければ“爆発”1枚で返せる、そんな余裕に満ちた構えだ…）

雫（…火群さん…っ！）

火群にとっておそらく最も重要なターンを迎え、火群はしばらく手札を見渡すと、

火群「…炎王の孤島の効果を発動！ 場のバロンを破壊し、デッキの『炎王獣 キリン』を手札に！」[手札 4

火群「そして場の炎王モンスターが破壊されたことで、俺は手札から炎王獣 キリンを守備表示で特殊召喚する！！」[DEF 200]

マンティス「……？」

怪訝そうに火群を睨むマンティスには目もくれず、火群はただ淡々とカードをプレイしていく。

火群「行くぞバトルだ！ ユウシでバトルフェーダーを攻撃！」

『暗炎星ーユウシ』
[ATK 1600]
ーーーVSーーー
[DEF 0]

ユウシの拳が守備表示のバトルフェーダーを容赦なく破壊する。

マンティス「………」

火群（……そして、これが今の俺にできる最小にして最強の構えだ…っ！！）

火群「俺はモンスターをセット。 更にカードを1枚伏せてターン終了だ」[手札 1]


結維「…！？」

雫「はわわ…っ！？」

マンティス「……ほぅ」


◉TURN:０５◉


マンティス「…それがテメェの本気とはなぁ……拍子抜けだぜ」

火群「……っ」

マンティス「…俺のターン！ ドローッ！！」[手札 4]

マンティス「…このスタンバイフェイズ時、黄金櫃の封印が解かれ、『真炎の爆発』が俺の手札に加わる！」[手札 5]

火群「同時に、効果で破壊されたバロンの効果で、俺はデッキの『炎王炎環』を手札に！」[手札 2]

マンティス「…何をしようと無駄だっつってんだろ…ッ！ 俺はラヴァルバル・ドラグーンの効果を発動！ デッキの『ラヴァルのマグマ砲兵』を手札に加え、そのまま墓地へ送る！」

《ラヴァルのマグマ砲兵
ほうへい
/Laval Magma Cannoneer》 †
効果モンスター
星４/炎属性/炎族/攻1700/守 200
手札から炎属性モンスター１体を墓地へ送って発動する。
相手ライフに５００ポイントダメージを与える。
この効果は１ターンに２度まで使用できる。

マンティス「いくぜオラァ！『ラヴァル・キャノン』を召喚！」[ATK 1600]

《ラヴァル・キャノン/Laval Cannon》 †
効果モンスター
星４/炎属性/戦士族/攻1600/守 900
このカードが召喚・反転召喚に成功した時、
ゲームから除外されている自分の「ラヴァル」と名のついた
モンスター１体を選択して特殊召喚できる。

マンティス「そしてその効果で、除外されているチューナーモンスター『ラヴァル炎湖畔の淑女』を特殊召喚！」[DEF 200]

炎を纏った少女の出現と共に、マンティスの右手に炎が灯るーーーーー

マンティス「…そしてレベル4のラヴァル・キャノンに、レベル3の炎湖畔の淑女をチューニング！！」

結維「…レベル7……！」


火群「……っ！」



マンティス「ーーーーー漆黒の花よ、開けッ！ シンクロ召喚！ 現れやがれ！『ブラック・ローズ・ドラゴン』！！」


マンティスが叫び決闘盤にカードをセットすると、辺りに紅黒の薔薇が咲き乱れ、その中から紅い薔薇のような翼を羽ばたかせる一匹の竜が、茨を纏い現れる。


《ブラック・ローズ・ドラゴン/Black Rose Dragon》 †
シンクロ・効果モンスター
星７/炎属性/ドラゴン族/攻2400/守1800
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、フィールド上のカードを全て破壊できる。
また、１ターンに１度、自分の墓地の植物族モンスター１体をゲームから除外して発動できる。
相手フィールド上に守備表示で存在するモンスター１体を選択して表側攻撃表示にし、
エンドフェイズ時までその攻撃力を０にする。


黒薔薇『ァアアァアアアァアアアァアア！！！』[ATK 2400]


黒薔薇竜の咆哮と共に薔薇の花弁が舞い散り、フィールドを物凄い勢いで荒らしていく。

雫「はわわっ！？ 何ですかあれは…っ！！（…でもそれよりあのドラゴン……怒り狂っているようで、どこか寂しそうな眼をしてる……っ）」


マンティス「…ブラック・ローズの効果発動ォォ！！ このカードがシンクロ召喚に成功した時、フィールド上のカードを全て破壊する！！
〝ブラック・ローズ・ガイル〟！！」



黒薔薇『ァアアァアアアァアアアァアア！！！』


再び発せられる咆哮と、殺意を帯びた赤き薔薇が吹き荒れる中で、火群の瞳はただただ目の前のマンティスをじっと捉えて放さなかった。




＊＊＊


〜セントラルホール前〜


戒「ーーーまさか貴様らの方から俺の元へ直接出向いてくるとはな。丁度いい、探す手間が省けた」

予選ルールにより、ドロワと対峙する戒。

ドロワ「…あんたには何体もの“決闘兵”をやられてるからね。それにあんたが来たせいで大樹のカードも見送るハメになった。僕は“げきおこ”だよ」

戒「………悪事は見過ごす訳にはいかない。貴様の他にも何名か、『終焉の焔』の人間がこの大会に参加していることも知っている」

ドロワ「…ふーん。ま、フツーに考えれば僕一人で来るわけがないよねー」

戒「…ご丁寧に決闘盤の決闘録画機能を弄ってきているのは、他の人間に存在が悟られることは大した問題ではなく、決闘中の記録が残るのことが一番マズいという事か？」

ドロワ「…どーだかねー。僕たちはただ『マインの意志』で動いてる駒にしか過ぎないからねー。難しい事はよくわかんないや」

戒「…あくまで大事な情報ははぐらかすか。まぁいい、その『マインの意志』とやらで俺に断罪されてから話の続きを聞くとしよう」

ドロワ「…大した自信だね。でも、勘違いしないでほしいなぁ。僕が君と戦うために『8』のパスカードをわざわざ探してここまで来たのは『マインの意志』じゃあない」

戒「……」


ドロワ「僕の独断さ…♪」


戒「…構わんーーー斬る！」


爽香「…え、えっと、遠くで何を喋っているのかさっぱりですが、お二人ともやる気モードっぽいので早速始めましょう！
ーーーデュエルスタンバイ！！」


「「決闘！！！」」




＊＊＊




〜反帝アリーナ・1F〜



明日人「……3体のギガプラントでダイレクトアタックだ！！」


男「…ぐぃいいぅうううっっ！！」【LP 7000→0】


明日人「よしっ！ これで10分間申し込みキャンセルだ！ このままセントラルホールまで最短で向かうぞ！」

明日人（…それにしても最初から気になっていたけど、この予選のルール…なんか変じゃないか……？ 多すぎる参加者をふるい落す事が目的なら、負けたら即失格か、勝ち数に応じて本戦出場者が決まるって言われた方が緊張感も出るし、それどころか今のルールでは決闘をすることに対するメリットがあまり無い…）

明日人「…こりゃぁなにかあるな………んッッ！！？」

セントラルホール入り口が遠くに見えてきたところで、明日人は何者かに口を塞がれ近くの茂みに身体を引っ張られてしまう。

明日人（……っ！！？ 一体何だってんだ…っ！？）





＊＊＊




〜予選会場・森林エリア〜



火群【LP 7200】


マンティス【LP 8000】


◉TURN:０５◉


マンティス「……おいおい、どうなってやがんだ。俺はたった今ブラック・ローズ・ドラゴンの効果でフィールドをリセットしたはずだ………なのになんでテメェの場には壁モンスターが３体もならんでやがる…ッ」

煙が晴れると、火群の場には確かに壁モンスターが３体並んでいた。


『綿毛トークン』[DEF 0]
『綿毛トークン』[DEF 0]
『炎王獣 キリン』[DEF 200]


火群「…俺の伏せモンスター『ダンディライオン』が墓地へ送られた時、場に2体の綿毛トークンを残していくーーーー」

火群「それに加えもう１つ、ブラック・ローズの効果で場のキリンが破壊された事で、俺は手札からもう1体のキリンを特殊召喚したのさ…！」

マンティス「…チ…ッ！ 小賢しい真似を…！！」

火群「…それだけじゃない！
キリンが破壊された事で、俺はデッキから『ヴォルカニック・カウンター』を墓地へ送る！！」

炎の勢いは止まらない。
火群は続けて伏せカードをオープンさせる。

火群「…更に罠発動！！『ジェネレーション・チェンジ』！！」

マンティス「…『ジェネレーション・チェンジ』だと…？」


《ジェネレーション・チェンジ/Generation Shift》 †
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター１体を選択して破壊する。
その後、デッキから破壊したカードと同名のカード１枚を手札に加える。

結維「…なるほど、それでキリンを破壊しもう一枚のキリンを手札に加え、続けて自身の効果で特殊召喚……！」

場→破壊
『炎王獣 キリン』

デッキ→手札
『炎王獣キリン』


《炎王獣
えんおうじゅう
キリン/Fire King Avatar Kirin》 †
効果モンスター
星３/炎属性/獣族/攻1000/守 200
自分フィールド上に表側表示で存在する
「炎王」と名のついたモンスターがカードの効果によって破壊された場合、
このカードを手札から特殊召喚できる。
また、このカードが破壊され墓地へ送られた場合、
デッキから炎属性モンスター１体を墓地へ送る事ができる。



火群「ーーー破壊されたキリンの効果で、俺が墓地へ送るのは、2体目の『ヴォルカニック・カウンター』だ！」

マンティス「……ッッ！」

雫「…はわわ…っ！？ なんだかたくさんの効果処理が行われて凄いことになってます…っ」

結維（火群が墓地に送ったのは、墓地から除外して自分の受けた戦闘ダメージを相手にも与える『ヴォルカニック・カウンター』。場のもう一体のキリンが破壊されて3枚目のカウンターを墓地へ送ることができれば、受けた戦闘ダメージを3倍にして返すことができるけど……)


マンティス「…どんなに壁を並べたところで、関係ねぇ！ こいつで終焉だ……」

怒りに満ちた表情で繰り出されるは、火群もよく知る、マンティスにとっての、炎属性デッキにとっての、“切り札”ーーーーー


マンティス「魔法発動ォォ！！ 『真炎の爆発』ァァア！！」



《真炎
しんえん
の爆発
ばくはつ
/Rekindling》 †
通常魔法
自分の墓地から守備力２００の
炎属性モンスターを可能な限り特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは
このターンのエンドフェイズ時にゲームから除外される。




マンティス「この効果で俺は墓地の守備力200の炎属性モンスターを復活させる！！現れろッ！」


マンティスが『真炎の爆発』のカードを高く掲げると、空中をいくつもの火の玉が小爆発を起こしながら旋回し、割れた大地からマンティスのモンスターが5体現れる。


『ラヴァル・ランスロッド』☆6[ATK 2100]

『ラヴァル炎湖畔の淑女』☆3チューナー[DEF 200]

『ラヴァル炎樹海の妖女』☆2チューナー[DEF 200]

『ラヴァルのマグマ砲兵』☆4[DEF 200]

『ラヴァル炎火山の侍女』☆1チューナー[DEF 200]



火群「……来い…ッ！」


マンティス「……ヴォルカニック・カウンター2枚重ねで牽制したつもりだろうが、圧倒的爆発力の前では無力って事をさっさと教えてやるよ……」

火群「…っ！？」


マンティス「レベル4ラヴァルのマグマ砲兵に、レベル1ラヴァル炎火山の侍女をチューニング！！
シンクロ召喚！！レベル5『ラヴァル・ツインスレイヤー』！！」[ATK 2400]




《ラヴァル・ツインスレイヤー/Laval Dual Slasher》 †
シンクロ・効果モンスター
星５/炎属性/戦士族/攻2400/守 200
チューナー＋チューナー以外の炎属性モンスター１体以上
自分の墓地に存在する「ラヴァル」と名のついたモンスターの数によって、
このカードは以下の効果を得る。
●２体以上：このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、
もう１度だけ続けて攻撃する事ができる。
●３体以上：このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。




雫「…守備貫通の2回攻撃…！？」


火群「…っ…！！」

マンティス「更に、墓地のブラックローズを除外し、手札から『インフェルノ』を特殊召喚！！」


《インフェルノ/Inferno》 †
効果モンスター
星４/炎属性/炎族/攻1100/守1900
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の炎属性モンスター１体をゲームから除外して特殊召喚する。
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、
相手ライフに１５００ポイントダメージを与える。


マンティス「レベル4のインフェルノに、レベル3のラヴァル炎湖畔の淑女をチューニング！！
ーーーシンクロ召喚！！ レベル7『エンシェント・ゴッド・フレムベル』！！」[ATK 2500]


《エンシェント・ゴッド・フレムベル/Ancient Flamvell Deity》 †
シンクロ・効果モンスター
星７/炎属性/炎族/攻2500/守 200
炎属性チューナー＋チューナー以外の炎族モンスター１体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、
相手の手札の枚数分まで相手の墓地の
カードを選択してゲームから除外する。
このカードの攻撃力は、この効果で除外したカードの数×２００ポイントアップする。


マンティス「シンクロ召喚時の効果発動！！ お前の手札は1枚だけ……だが今はそれで十分だ…！！ お前の墓地のヴォルカニック・カウンターを除外する！！」

火群「なん……だと…！？」

マンティス「1枚除外した事で、エンシェント・ゴッド・フレムベルの攻撃力が200上昇！」[ATK 2500→2700]

マンティス「…まだ終わりじゃねぇ…！ 俺は、レベル6のラヴァル・ランスロットに、レベル2のラヴァル炎樹海の妖女をチューニング！！
ーーー熱き波濤を超え、現れやがれ！シンクロ召喚！炎の鬼神、《クリムゾン・ブレーダー》！」[ATK 2800]


《クリムゾン・ブレーダー/Crimson Blader》 †
シンクロ・効果モンスター
星８/炎属性/戦士族/攻2800/守2600
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
(1)：このカードが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。
次の相手ターン、相手はレベル５以上のモンスターを召喚・特殊召喚できない。


マンティス「そして、場より墓地へ送られた妖女の効果により、俺の墓地の『ラヴァル』一体につき、俺の場の全ての『ラヴァル』の攻撃力を200ポイントアップさせる！！」

次女x3
妖女
淑女
キャノンx2
マグマ砲兵
ドラグーン
ランスロット


マンティス「俺の墓地の『ラヴァル』は10体……よってラヴァル・スレイヤーの攻撃力は2000上昇する！！」[ATK 2400→4400]

火群「攻撃力4400の…守備貫通2回攻撃だと……！？」

マンティス「……ダンディライオンを伏せた事が仇となったようだな……覚悟しやがれ！！！」

墓地のヴォルカニック・カウンターは1体。受けたダメージを反射できるのは1回分のみ。

火群「考えろ考えろ考えろ考えろ…！！！」

その他に墓地で発動できる効果は無く、伏せカードもない。
残り1枚の手札も、この状況では発動できない『炎王炎環』のみーーーー

火群「考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろっっっ！！！」


結維「…ソロデュエリストさん！！！」

雫「…火群さんっっ！！！」

火群（……くっ……そおおぉおおおッッ！！！）


マンティス「ーーーバトルフェイズ！！」



マンティスがバトル宣言をしたその時ーーー



『ーーーーー火群！！！』



火群を呼ぶ声があった。


火群「………ニクス…？」


その声は火群の決闘盤ーーーーーエクストラデッキから、光を発し送られていた。


火群「……っ！」


この時、火群の目の前の光景は全て止まって見え、まるでこの場に自分一人しかいないような感覚に陥ってしまう。



ーーー否。



『ひとりじゃない』



火群の横にはニクスが居て、後ろには結維と雫の声があって。

ーーーそして遠くには、和泉の想いもあって。





ニクス「……全く、父上殿めーーー粋な計らいを…。
さぁ、火群」


ニクスは火群にそっと手を伸ばす。


火群「…ああ」


火群は小さく頷き、その手を掴む。





ニクス「諦めるな」



火群「…っそうだな」






ニクス「ーーー何度死のうが蘇る」



火群「ーーー何度倒れても立ち上がる」





それがーーー





俺
たち“不死鳥”だッッ！！！
私














To Be Continued…











《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:６２ 〝不滅の焔〟



ーーー“想い”を受けて、不死鳥はさらなる高みへ昇華する。