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DRAW:241 トライブ・フォース 作:人喰い
(241)
鈴華「───動き…ませんわね」
神星樹内部、和泉が囚われている《美の間》へと繋がるエレベーターを前にして、鈴華・結維・戒・栗須の4人は頭を抱えていた。
結維「…この先に和泉がいるってのに…っ…!どうにかなんないの!?」
声を荒げる眼鏡の少女──結維は疲弊した身体で鈴華の身体を軽く揺する。あくまで、軽くだ。
それでも拳ひとつでコンクリートを砕く結維の『軽く』だ。鈴華の細い身体は今にも折れてしまいそうな程にぐわんぐわんと揺れていた。
栗須「ちょっちょちょちょちょちょいっ!!冗談抜きで西蓮寺さん死んじまうって!!」
眼鏡をかけたツンツン頭の少年──栗須が仲裁に入ると、結維は「あ、ごめん鈴華」と、意外にも素直に謝った。
鈴華「…ぜぇ…はぁ…っ…、どうにもなりませんわ…っ。このエレベーター、精霊の力で強力なプロテクトがかけられてるみたい」
結維の横暴に慣れてしまってか、はたまた怒る気力すらないからかそこには触れず、先の戦いでかなり乱れた自慢のツインアップロールをくるんっと揺らし状況を説明する鈴華。
鈴華「私の精霊──カオス・ゴッデスの力も借りて解除に当たってみたのだけれど、私の精霊を操る力が未熟なのもあって、うんともすんとも───」
戒「──なら、斬るか」
鈴華「なんでそうなりますの!?」
結維「奇遇ね。私も同じ事を考えてた」
鈴華「ダメだこの脳筋たち!」
白髪の少年──戒と結維のリアルファイトコンビによる暴走を必死で止める鈴華と、「知ーらね」といった様子で口笛を吹く栗須。
しかし流石に2人とも冗談だったようで、
戒「……本気にするな」
結維「…そーよ。第一、ここを破壊しちゃったら下の和泉も無事じゃ済まないわ」
鈴華「あなたたち2人が言うと冗談に聞こえないのよ…」
嘆息。しばしの沈黙を経て、栗須が口を開く。
栗須「……んー、にしてもよ。
人間界との通信もまた急に途絶えちまったぞ?どーすんだ?」
そう。外では既にトリシューラの攻撃によってYAGAMI本社ビルが凍りつき、内外の連絡は完全に途絶えてしまっていた。内部にいる者達は、当然その事を知る由はないのだ。
「「「「………」」」」
また沈黙。
迂回している時間も体力も無い。
打つて無しか。誰しもがそう思いかけた───その時。
びゅんっ。
音を立てて、“それ”は飛んできた。
「───」
橙色の髪に、緑を基調とした衣装を見に纏った少女の姿をした精霊。
「私に任せて」
そう言って少女は手に持った杖を構える。
すると穏やかな風が辺りを包み、肩にかけたマントが風になびく。
鈴華「……あなたは…!メアリーさんの───」
──彼女の名は、レラ。
メアリーの操る精霊のひとり───『霊獣使い レラ』。
結維「…なんであなたが…っ」
確かメアリーの話では、精霊レーダー(仮)を持つ敵の目を欺くために、レラたち精霊はメアリーと別行動していると言う話だったが───
レラ「ごめんね、詳しく説明してる時間は無いの!それより…早くしないと…っ」
言いながらレラは杖を持つ手に力を込める。
途端、エレベーターが光に包まれ、あれほど手を尽くしても開かなかった扉が音を立てて開いてゆく───
鈴華「!!」
栗須「…なぁ!?」
戒「…ッ、プロテクトをかけていた精霊達に語りかけ、ロックを解除したというのか…!?」
勿論、簡単な話ではない。
精霊獣と心を通わせる事ができる『霊獣使い』だからこそ成し得た技なのだ。
結維「…レラ、って言ったっけ……ありがとう助かった!これで、和泉のところへ…!」
レラ「はぁ……っ…はぁ…!和泉ちゃんの事は任せたわよ…!私は…メアリーを護らなきゃ…っ!」
そう言って急ぎエレベーターに乗り込むレラの目からは大粒の涙がこぼれ落ちる。
レラ「このままじゃ───メアリーが死んじゃう…っ!!」
やがて全員を乗せて、エレベーターは吸い寄せられるように下へと降りた。
神星樹の中心───《美の間》へと。
***
時は少し遡り───氷結界の龍出現と同時刻。
【Side メアリー】
〜神星樹内部・『美の間』〜
柏木 瑞希【LP 8000】
(モンスター)
『氷結界の龍 グングニール』[ATK 2500]
手札:1
墓地:ブリューナク、ユニコール、エリアル、神巫、ヌトス、異次元の精霊、反魂術
除外:クラウソラス、万華鏡
メアリー=ベイクウェル【LP 5500】
場:なし
伏せ:0
手札:1
墓地:アペライオ、コリドー、霊媒師ウィン
除外:なし
EX(表):ピリカ
メアリー「たとえアナタが!アナタの操る決闘機兵が!アナタの従える氷結界の三龍が!どれだけ強くても!!
───あの子たちは負けないよ」
◉TURN:05◉
メアリー「ワタシの…ターンっ!!」[手札 2]
メアリーは山からカードを引き、細く息を吐き、
メアリー「───ターン、エンド」
2ターン連続の、即ターンエンド。
メアリー「───」
しかし、デュエルを諦めたわけでは、決して無い。
───温存。
次のターンを生き残る事に全てを賭け、無駄なリソースを消費せずに温存する選択を取ったのだ。
瑞希「───へぇ」
瑞希も、メアリーの眼を見て一目で察し、思わず声を漏らす。
瑞希「この状況でその選択ができる人は───強い」
◉TURN:06◉
瑞希「───私のターン。ドロー」[手札 2]
静かにカードを引き、
瑞希「…でもね、おねーさん。ふたつ、誤算があるよ」
言って瑞希は、引いたカードを即座に発動させる。
メアリー「───!」
思考の余地など一切与えない。そんな意思すら感じる一手。
瑞希「儀式魔法───『影霊衣の降魔鏡』」
《影霊衣
ネクロス
の降魔鏡
こうまきょう
/Nekroz Mirror》 †
儀式魔法
「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。
「影霊衣の降魔鏡」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、
自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、
またはリリースの代わりに自分の墓地の「影霊衣」モンスターを除外し、
手札から「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。
瑞希「私は墓地から、レベル4の『影霊衣の巫女 エリアル』と『ユニコールの影霊衣』を除外し───レベル8!『ヴァルキュルスの影霊衣』を降臨させる!!」
突如現れた鏡が割れ、その中より現れし眼帯をした老戦士は身の丈程の槍を構えメアリーを睨む。
『ヴァルキュルスの影霊衣』[ATK 2900]☆8
瑞希は再び手札を使い切り、これ以上展開を伸ばす為には運が絡む。よって、
瑞希「───バトルフェイズ」
◉バトルフェイズ◉
瑞希「行くよ───ダイレクトアタック!!」
力強い宣言と共に、瑞希の場の2体がメアリーへと襲いかかった───
『氷結界の龍 グングニール』
[ATK 2500]
───ATTACK───
【LP 5500】
『メアリー=ベイクウェル』
瑞希「おねーさんの誤算、ひとつめ」
ひゅんっ、と。
音を立てて飛んでいったグングニールの氷槍が、再びメアリーの腹部に深々と突き刺さる。
メアリー「…が…ッ…ふ…ァ…ッ…!!」【LP 5500→3000】
続け様にヴァルキュルスの霊衣を纏った老戦士が槍を掲げ飛び上がる。
『ヴァルキュルスの影霊衣』
[ATK 2900]
───ATTACK───
【LP 3000】
『メアリー=ベイクウェル』
瑞希「…それはね、例えライフポイントが残ったとして───」
───刹那、一閃。
メアリー「───ッ」
振り下ろされた強力な一撃により、辺りに爆風が立ちこめる。
瑞希「───おねーさんは、デュエルを続けられない」
凍てつくような視線。
煙が晴れると、視線の先には、ひび割れた地面に倒れ伏し、ピクリとも動かない金髪の女───メアリー=ベイクウェルの姿。
メアリー「───」【LP 3000→100】
かろうじて繋がった命。しかし───
瑞希「…といっても、もう聞こえてないかな───」
メアリー「───」
返事は───無い。
瑞希「……それで、ふたつめの誤算。けどこれは私にとっちゃあ、“保険”になるんだけれど」
それでも、瑞希は続ける。
瑞希「───ヴァルキュルスの効果」
《ヴァルキュルスの影霊衣
ネクロス
/Nekroz of Valkyrus》 †
儀式・効果モンスター
星8/水属性/魔法使い族/攻2900/守1700
「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。
レベル8以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。
「ヴァルキュルスの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に自分の墓地の「影霊衣」カード1枚を除外し、
このカードを手札から捨てて発動できる。
その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・フィールドのモンスターを2体までリリースし、
リリースした数だけ自分はデッキからドローする。
瑞希「私は、場のヴァルキュルスとグングニールをリリースして───2枚ドロー!!」[手札 2]
場のモンスターを全てリリースしての、2ドロー。
妨害効果を持たない2体を残すより、次のターンを安心して迎えるための準備を優先した一手。
瑞希「更に───」
そして“自分の盤面を空けた”というこの行動は、【影霊衣】においてただの2ドロー以上の意味をもたらす───
瑞希「───墓地の『影霊衣の降魔鏡』の効果」
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。
墓地→除外
『影霊衣の降魔鏡』
『ブリューナクの影霊衣』
瑞希「降魔鏡とブリューナクをコストに、デッキから『影霊衣の万華鏡』を手札に加え、発動───」
《影霊衣の万華鏡/Nekroz Kaleidoscope》
儀式魔法
「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、
自分の手札・フィールドのモンスター1体をリリース、
またはリリースの代わりにEXデッキのモンスター1体を墓地へ送り、
手札から「影霊衣」儀式モンスターを任意の数だけ儀式召喚する。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。
瑞希「おねーさんのふたつめの誤算、それは───次のターンに展開札を残しても、私の場にはそれを上回る妨害札が並ぶ可能性があったってことだよ」
直後、瑞希のEXデッキから1枚のカードが弾き出され、墓地へと送られた。
瑞希「私が生贄とするのは───レベル4『虹光の宣告者』!!
その魂を昇華させ───降臨せよ!!『ユニコールの影霊衣』!!」
『ユニコールの影霊衣』[ATK 2300]☆4
ユニコールの着地と同時に、墓地へ送られた『虹光の宣告者』が輝きを放つ───
瑞希「『虹光の宣告者』の効果!」
(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。
瑞希「私がデッキから手札に加えるのは───『ブリューナクの影霊衣』。そのまま捨てて効果発動!」
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「ブリューナクの影霊衣」以外の「影霊衣」モンスター1体を手札に加える。
瑞希「『クラウソラスの影霊衣』を手札に加え、効果発動!」
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
瑞希「『影霊衣の反魂術』を手札に加え───発動!!」
《影霊衣
ネクロス
の反魂術
はんごんじゅつ
/Nekroz Cycle》 †
儀式魔法
「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。
「影霊衣の反魂術」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、
自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、
自分の手札・墓地から「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。
瑞希「このカードは、墓地からの儀式召喚が可能なカード…!手札の『影霊衣の術士 シュリット』を生贄に───蘇れ!!『クラウソラスの影霊衣』!!」
『クラウソラスの影霊衣』[DEF 2300]☆3
瑞希「リリースされたシュリットの効果!」
(2):このカードが効果でリリースされた場合に発動できる。
デッキから戦士族の「影霊衣」儀式モンスター1体を手札に加える。
瑞希「私がデッキから手札に加えるのは『ブリューナクの影霊衣』」
ここで既に効果を使用したブリューナクを手札に加えたのは、次のターンに備えてのことだろう。
───そう。
瑞希は次のターンが回ってくると思っている。
メインフェイズ2での怒涛の展開を経て、依然微動だにしないメアリーを前にして、尚。
メアリー「───」
まだデュエルが続くと思っているのだ。
瑞希「……私のターンはこれで終了」
故の───“保険”。
◉TURN:07◉
メアリー「───」
回ってきた、メアリーのターン。
メアリー「───」
メアリーが動く気配は、ない。
瑞希「………」
しばらくの沈黙を経て、
瑞希「……保険は、無意味に終わった…かな」
メアリーの命の灯火が尽きた事を確信し、嘆息。
瑞希「………」
ここでの目的は達成した。
この神星樹において、知識・経験共に最も優れた一番警戒すべき存在とまで口にした人物を討ち倒し、最終目標へと一歩近づいたのだ。
なのに、だ。
それなのに。
瑞希「………っ…」
足りない。
満たされない。
胸の奥に、鉛がのしかかったような感覚。
瑞希「…なんだってのよ……っ…!」
意味不明な不快感に苛立ちを覚えつつ、瑞希はそれを一刻も早く消し去るために、未だ動く気配のないメアリーの元へと早足で近づいてゆく───
一歩、
二歩、
三歩、
四歩───
───五歩。
瑞希「───!」
───その時だった。
瑞希「!!」
精霊の───気配。
瑞希「───」
瑞希は、一瞬、期待した。
上で戦っていた星奈が勝利し、降りてきたのだと。
瑞希「せ───」
しかし、精霊の“数”から、その期待はすぐに否定される事になる。
瑞希「───な…?」
足を止め、エレベーターへと視線を移した───刹那。
「ぁぁああぁああぁぁあぁあああぁあっっ!!!」
叫びながら接近してくる───何か。
否。
それはメアリーの精霊───『霊獣使い レラ』。
瑞希「───ッ」
レラ「メアリーから離れなさいっっ!!!!」
瑞希と激しい衝突を繰り広げ、一喝。
僅かに反応の遅れた瑞希は右腕に込めた精霊の力だけで受ける形となり、やや押され気味な展開。
レラ「メアリー!!メアリーっ!!しっかりして!!!メアリーっっ!!!」
レラは瑞希と交戦しながらも背後で横たわりぴくりともしないメアリーに必死で呼びかける。
瑞希「…おねーさんの精霊か…っ…!いや、それより───」
それより、だ。
瑞希が感じた精霊の気配は、一体だけではない。
レラとの攻防の最中、瑞希は再びエレベーターへと視線を戻す。
瑞希「…ッ……!」
既にエレベーターの扉は開いており、そこから数人が姿を現していた。
「───」
桜庭結維。
西蓮寺鈴華。
斬波戒。
古宮栗須。
4人は《美の間》へと足を踏み入れるなり、大量の血を流し倒れ伏すメアリーの姿に目を見開いていた。
鈴華「───メアリーさんッッ!!!!」
レラに続き口を開いたのは、鈴華。
鈴華は掠れた声で叫び、4人のうち誰よりも早く駆け出していた。
戒「…バカ…ッ!無防備に───」
結維「……ッ…!!」
メアリーの傷の具合を見て結維も血相を変えた。
が、部屋の中央には囚われの和泉の姿。
ようやく、辿り着いた。もうすぐそこにいる。和泉が。
しかしメアリーを放っておけるはずも無い。その一瞬の迷いに傍らの戒は気づいてか、
戒「…ッ…あの精霊に言われた事を思い出せ!!お前はお前のなすべき事をしろ!!」
珍しく声を荒げる戒の言葉を受け、結維は小さく「ごめん」と呟くと、視線を上へと移す。
そしてすぐに走り出した。
凍りついた木の幹に囚われた───和泉の元へと。
栗須「…戒!!俺たちは2人をカバーすんぞ!!」
戒「わかっているッ!!!」
ふたりも即座に、結維たちを援護すべく駆け出した。
一方で。
瑞希「………!!」
同時に、結維たちがここにいるという事は───星奈が負けた事を意味していた。
瑞希はその事実を重く受け止め、涙を流す。
瑞希「なに約束破ってんのよ………バカ」
瑞希は天に呟き、こぼれ落ちた涙は雪の結晶となって霧散した。
レラ「───っ」
星奈は結維と鈴華との決闘に敗れ、神星樹に吸収された。
親に捨てられ、周りにも見離され、生きる希望も何もかも失った彼女は、僅か10歳にしてこの世を去ったという事になる。
瑞希「───」
星奈の人生は、奪われてばかりだった。
だから瑞希は、“奪われた分を取り返す”事を教えた。
でなければ、不公平だ、と。
思えば。
初めて星奈を見たあの日。
瑞希は星奈に、同じく全てを失った自分を重ね合わせていたのかもしれない。
否。
否。
否否否。
全てというのは、語弊がある。
瑞希には、一つだけ、失っていないものがあった。
たった1人の───血の繋がった妹。
柏木───雫。
瑞希「───“それ”を失わない為に、他の全てを失う覚悟を決めたんでしょうが」
───直後。
レラ「───!?」
ひやり、と。
背筋が凍る感覚。
そして次の瞬間。
瑞希「───私も、もう迷わない」
囚われの和泉を中心に、《美の間》全体が氷の槍で埋め尽くされた。
***
鈴華「───ぁ」
一瞬の、出来事だった。
レラ「───」
栗須「───」
レラと栗須は、氷の槍からメアリーを庇い、倒れ───
結維「───」
和泉から発せられた攻撃のほぼ中心部にいた結維は氷柱を回避できず───
戒「───」
そして鈴華を庇い、右肩・両足・脇腹に氷槍を受けた戒は、鈴華の目の前に力なく倒れ込んだ。
鈴華「……ぁ………ぁ……戒さん…ッ…!!みんな……っ…!!」
一瞬の内に、鈴華以外の全員が倒れ、唯一意識のある精霊のレラだけが鈴華の身を案じ倒れながら手を伸ばし続けていた。
レラ「……か……はッ……!
ダメ……っ…逃げて………ッ……───」
鈴華「……ッ……ッ…!」
次元が───違いすぎる。
鈴華「…っ…和泉さんに…、何をしたの…っ!?」
瑞希「───これは本当に、最終手段」
鈴華「……っ…?」
瑞希「私の精霊の力を分け与えた“いずみん”は《繭》になった。これでもう外部から《核》である“いずみん”自身に干渉はできない」
鈴華「………そん…な…」
勿論相応のリスクもあるのだが、わざわざそれを説明するほど、瑞希もお人好しではない。
瑞希「……丁度いいや、最後に君に聞きたいんだけど───星奈は、最期になんて言ってた?」
鈴華「……っ…!」
予想外の問いに鈴華は一瞬言葉を詰まらせるが、まずは目の前で気を失っている戒を部屋の端に寝かせると、震える足で瑞希の元へ向かいながら、数分前の出来事を思い出す。
鈴華「……」
無邪気な少女の、最期の言葉───
『おねーさん、最後にひとつ、お願い聞いてもらっていい?』
それを噛み締め、ゆっくりと、口を開く。
鈴華「…『友達になってくれる?』って───」
瑞希「……っ…」
瑞希は一瞬、驚いた様な顔をし、沈黙。そしてすぐに、
瑞希「…そっか。なら、安心」
そう言って鈴華の元へと足を進め、二人は2メートル程の感覚を空けて立ち止まる。
瑞希「……星奈は、“救われた”んだね」
鈴華「…それは、わかりませんわ。私達が決めていい事じゃ、無い」
瑞希「……キミの言う通りだ。じゃあ、あの子の為にも、もう終わりにしよう」
瑞希は言いながら右手を前に突き出す。
明確な殺意のこもった視線。
鈴華「───ッ」
恐怖と寒さで、足が動かない。
精霊を呼び出すだけの力も無い。
まだ意識のあるレラも鈴華を守ろうと必死にもがくが、距離にして約10メートル以上。もう、間に合わない。
瑞希「───さよなら」
死を覚悟した───その時だった。
「───ワタシのターン」
声は、瑞希の背後から。
瑞希「……ッ!!」
急ぎ振り返る。同時に。
「ドローッッ!!!!」
カードを引いた際の風圧で瑞希は大きく態勢を崩す。
精霊の力で護られている瑞希が態勢を崩されるほどの───風の力。
鈴華「…ぁ…っ…ああ…っ」
その力は、精霊の帰還により、先程までとは比べ物にならない程に増していた。
レラ「……っ…グス…っ…、まったく、ホンッット……お寝坊さんなんだから───っ」
その人物を見て、その場の誰しもが笑みを浮かべていた。
瑞希「……っ」
敵である、瑞希でさえも。
「ハロー……なんて呑気に言ってられる状況じゃ、ないみたい…ネ」
ウェーブがかった金髪ロングに、スタイルの良い長身の美女───メアリー=ベイクウェル。
血に塗れ、骨は軋み、傷だらけの身体。
それでも立ち上がった女の姿が、そこにはあった。
メアリー「ごめんね、みんな。
───デュエル続行よ」
◉◉◉遊戯王 Ph.X◉◉◉
──DRAW:241──
《トライブ・フォース》
メアリー「───ッッがほ…っ…!」
デュエル再開も束の間、咳き込んだメアリーの口元から───血。
鈴華「…!!」
レラ「メアリーっ!!」
瑞希「…ライフポイントはたったの100───立ってるのが奇跡ってレベルじゃないの」
瑞希の言う通り、メアリーにはもう本来なら立てるだけの力など残ってるはず無いのだ。
それでもメアリーを立ち上がらせたのは、義務感や使命感、そんな大それたものではなく───
メアリー「───まだちゃんと、お話してないからね」
デュエルを通して───対話をする。
ただそれだけの為に、メアリーは立ち上がった。
瑞希「ははは、恋バナでもするっての?」
以外にも乗り気な瑞希。メアリーは目を細め、
メアリー「んー、恋バナも良いけど───可愛い可愛い妹ちゃんの話が、聞きたいかな?」
そう言ってメアリーは、1枚のカードを発動させる。
メアリー「永続魔法───『霊獣の継聖』」
《霊獣
れいじゅう
の継聖
けいしょう
》 †
永続魔法
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手フィールドのモンスターの攻撃力は、
自分フィールドの「霊獣」モンスターの種族の種類×200ダウンする。
(2):手札の「霊獣」モンスター1体を相手に見せて発動できる。
そのモンスターとは種族が異なる「霊獣」モンスター1体をデッキから手札に加える。
その後、自分の手札を1枚選んで捨てる。
(3):自分フィールドにモンスターが2体以上同時に特殊召喚された場合、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの表示形式を変更する。
瑞希「…私の盤面を崩せたら、話してあげてもいーよ!」
そう言う瑞希の場には、2体の強力なモンスターが待ち受ける。
『クラウソラスの影霊衣』[DEF 2300]
『ユニコールの影霊衣』[ATK 2300]
ユニコールが存在する限り、EXデッキから特殊召喚された場のモンスターの効果は無効となり、クラウソラスはフリーチェーンでEXデッキから特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力を0にし効果を無効にできる強力な効果を持っている。
加えてメアリーのライフは残り100───かなり苦しい状況だが………
メアリー「───♪お安い御用!
手札の『精霊獣使い ウィンダ』を見せて……『霊獣の継聖』の効果発動!」
メアリーは笑う。この余裕こそが、メアリーの持ち味。
メアリー「デッキから『精霊獣 カンナホーク』を手札に加え───手札のウィンダを墓地へ!」[手札 2]
どんな困難にも、笑顔で迎え撃つ。それが、メアリー=ベイクウェルなのだ。
メアリー「『精霊獣 カンナホークを召喚ッ!」[ATK 1400]
《精霊獣
せいれいじゅう
カンナホーク/Spiritual Beast Cannahawk》 †
効果モンスター
星4/風属性/雷族/攻1400/守 600
自分は「精霊獣 カンナホーク」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「霊獣」カード1枚を除外する。
発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外されているカードを手札に加える。
瑞希「……!」
対する瑞希はメアリーの一手を受け、眉をひそめる。
それはカンナホークに召喚権を切った事への───疑問。
瑞希「…おねーさんのデッキ、さっきまでと雰囲気違うね。何かした?」
カンナホークに召喚権を切ってしまっては、それ以降の展開は続かないはず。であれば、もう一枚の手札による追加展開か、もしくは───
メアリー「すぐに分かるわ───カンナホークの効果発動!」
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「霊獣」カード1枚を除外する。
発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外されているカードを手札に加える。
メアリー「ワタシがデッキから除外するのは……このカード!」
メアリーは言いながら、左手奥に倒れるレラに目線を向け、にっこりと笑みを浮かべた。
メアリー「来てくれてサンキューね!レラ!」
レラ「…!」
メアリー「お陰で───まだ戦える」
言ってデッキから抜き出したカードは輝きを放ち、その光はメアリーとレラに新たな力を与える───
メアリー「今こそ出番よ───『精霊獣使い レラ』!!」
光に包まれたレラは装い新たに、身体も成長し、先程までの傷が嘘の様に消えていた。
レラ「これは───っ!」
瑞希「……っ…!精霊の───進化…ッ…!」
メアリー「除外されたレラの効果……発動ッ!!」
《精霊獣使い
せいれいじゅうつかい
レラ》 †
効果モンスター
星1/光属性/サイキック族/攻 100/守2000
自分は「精霊獣使い レラ」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、
その(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
手札の「霊獣」モンスター1体の召喚を行う。
(2):自分フィールドの「霊獣」カードが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりにフィールド・墓地のこのカードを除外できる。
(3):このカードが除外された場合に発動できる。
デッキから「精霊獣使い レラ」以外の「霊獣」モンスター1体を特殊召喚する。
メアリー「───レラ!お願い!チカラを貸して!」
レラ「…ええ!!一緒に戦いましょう!メアリー!!」
復活したレラが杖を構えると、メアリーの盤面に魔法陣が描き出され、その中より1人の少女が姿を現した。
メアリー「デッキから、『影霊獣使い セフィラウェンディ』を特殊召喚っ!!」
『影霊獣使い セフィラウェンディ』[ATK 1500]
瑞希「…ッ…!!カンナホーク……キミ、初動になれたんだ───」
メアリー「更にワタシは…!!場のカンナホークとセフィラウェンディを除外し───獣騎一体!!」
霊獣使いは場の精霊獣と共に除外する事で、聖霊獣騎へと合体進化する───
メアリー「───Come again!『聖霊獣騎 カンナホーク』!!」[ATK1400]
《聖霊獣騎
せいれいじゅうき
カンナホーク/Ritual Beast Ulti-Cannahawk》 †
融合・効果モンスター
星6/風属性/雷族/攻1400/守1600
「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター
自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる。
(1):1ターンに1度、自分の除外状態の「霊獣」カード2枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地に戻し、デッキから「霊獣」カード1枚を手札に加える。
(2):自分・相手ターンに、このカードをEXデッキに戻し、
自分の除外状態の、「霊獣使い」モンスター1体と「精霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
瑞希「…!」
メアリー「『聖霊獣騎 カンナホーク』の①の効果!!」
対象
『精霊獣 カンナホーク』
『影霊獣使い セフィラウェンディ』
ユニコールの影霊衣がいる状況では、EXデッキから特殊召喚されたモンスターの効果は無効となる。しかし───
メアリー「チェーンは…あるかな?」
瑞希「…無いよ。わかってる癖に」
メアリー「じゃあ───行くよ」
メアリーはニッと笑い、流れる様な動作で展開を続ける。
メアリー「カンナホークの①の効果にチェーンして、カンナホークの②の効果を発動!!」
対象
『精霊獣 カンナホーク』
『精霊獣使い レラ』
メアリー「『精霊獣騎 カンナホーク』をEXデッキに戻して2体に分離!!」
『精霊獣 カンナホーク』[DEF 600]
『精霊獣使い レラ』[DEF 2000]
メアリー「更に除外されたウェンディを墓地へ戻してデッキから『霊獣の相絆』を手札に!」[手札 2]
瑞希「…カンナホークはコストでEXデッキに戻るから、ユニコールの効果範囲外か───逃げられるのは想定内だけど、どこまで続くかなァ?」
霊獣の下級モンスターは、それぞれ1ターンに1度ずつしか特殊召喚できない誓約がある。よっていつまでも合体と分離は繰り返せない。
メアリー「……続けてカンナホークの効果でデッキの『精霊獣 ラムペンタ』を除外するわ!」
瑞希「……けどその2体で再びカンナホークを作ったとしても、除外されてる未特殊召喚はラムペンタのみ───カンナホークは分離できない!」
カンナホークが分離できなければ、ユニコールによってサーチ効果も無効となってしまう。しかし───
メアリー「そうね。その通り───今までならここで止まってた」
瑞希「───ッ」
メアリー「でも、止まるわけにはいかない」
ここでのメアリーの役目は、あくまでも時間稼ぎ。メアリーもそのつもりだった。
瑞希「なんで、そこまで───」
けれど、傷つき、倒れていった仲間たちを目の当たりにして、そんな事を言ってられる状況ではなくなった。
メアリー「ワタシは、アナタと、もっと話したい事が、話さなきゃいけない事がある」
大人の自分が、話を聞いてやらねばならないと、そう思ったのだ。
瑞希「…これ以上、話すことなんて無い!!絶対に───止め切ってみせる!!
メアリー「アナタが会話を拒んでも、ワタシは喋り続けるよ!アナタの本当の気持ちを引き出すまで!!」
瑞希「───っ」
本当の───気持ち。
メアリー「ワタシは、『精霊獣 カンナホーク』と『精霊獣使い レラ』の2体を───リンクマーカーにセット」
それを引き出すまで───
メアリー「───リンク召喚」
───彼女を雫と会わせるわけにはいかない。
メアリー「───Come on!リンク2!!
『聖霊獣騎 キムンファルコス』!!」[ATK 1400]
宣言と共に、緑髪の少女は大鷹を従え飛来する。
それは、死地を乗り越え覚醒した、この地での戦いを乗り越えるための力───
瑞希「……ッ…リンク…召喚…ッッ!」
メアリー「…はぁ…ッ…はァ……ッ!」
しかし慣れない召喚法は、身体にかかる負担も大きい。
鈴華「…ッ…メアリーさんっ!!」
メアリーの様子を心配した鈴華が思わず声を上げる。
鈴華「見ているだけなんて嫌……ッ…!
私にも……何か…何か───」
何か。
何か何か何か。
できる事を。
鈴華「───」
そう強く願った───その時。
鈴華「…!!」
鈴華のデッキから、淡い光が漏れる───
鈴華「…!」
鈴華は慌ててそのカードをケースから抜き出すと、カードの精霊がひとりでに実体となって鈴華の目の前に現れた。
『ガァァアアァアアァア!!!』
姿を現したのは、禍々しい見た目の黒き邪竜───
鈴華「…!?」
竜の名は───『邪竜星-ガイザー』。
瑞希「…ッ!!?『邪竜星-ガイザー』!?なんであのカードをあの子が…!?」
メアリー「…why?どういうこと…?」
瑞希「あのカードは…、元“五召焔”の1人、シンクロ担当の人が使っていたカード…!!それをどうして───」
メアリー「…それも気になるけど、今はそのカードが、なぜこのタイミングで出てきたかって事の方が、重要かもね…っ!」
メアリーとガイザーはしばしの間見つめ合い、
メアリー「───チカラを、貸してくれるのね?」
邪竜は無言で頷き、赤黒い光を放つ。
メアリー「!!」
レラ「…!」
禍々しくも力強い光はメアリーとレラを包み込み───その輝きは、戦う為の力となってEXデッキに宿った。
メアリー「───!」
そして、そのカードは、今までの霊獣における常識を覆す───
瑞希「…ッ…!!それ、マジで…言ってんの…ッ?」
メアリーのEXデッキに宿ったカード、その正体は、瑞希にもわからない。
正体不明のカードが襲いくる恐怖を、瑞希はよく知っている。
ただ、こんな想定外においても───
瑞希「───はは」
───瑞希は笑っていた。
瑞希もまた───デュエリストなのだ。
メアリー「…鈴華ちゃん!アナタから受け取った『竜星』の力……今使わせて貰うわ!」
対するメアリーも、笑みを浮かべ墓地のカードに手を伸ばす。
メアリー「ワタシは墓地の『精霊獣 カンナホーク』と『精霊獣使い ウィンダ』を除外!!」
地中より2対のエネルギーが立ち昇り、上空にて重なり合う。
レラ「───!」
やがて放たれた輝きに触れた事でレラの姿は更なる進化を遂げ、どこからともなく現れた輝竜と共に宙を舞う───
メアリー「───Are you ready?」
そしてメアリーが指を弾くと、屋内だというのに宙には無数の星々が煌めきだした。
その様子はまるで───プラネタリウム。
メアリー「───GO‼︎
あまねく照らすシューティングスター───『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』!!」
《聖霊獣騎
せいれいじゅうき
ノチウドラゴ》 †
融合・効果モンスター
星7/光属性/幻竜族/攻2400/守1900
「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター
自分のフィールド・墓地の上記のカードを除外した場合のみ特殊召喚できる。
自分は「聖霊獣騎 ノチウドラゴ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分フィールドの他の「霊獣」モンスターを相手は効果の対象にできない。
(2):自分・相手ターンに、このカードをEXデッキに戻し、
自分の除外状態の「霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは直接攻撃できない。
輝竜を従えしレラは、リンクモンスターであるキムンファルコスのリンク先へと、流星の如く舞い降りた。
『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』[ATK 2400]
鈴華「…!あの矢印には、EXからの召喚制限を解除する力があるの…!?」
この神星樹の中では本来、EXデッキから特殊召喚できるのは1体のみ───しかし、リンクモンスターの指し示すリンクマーカーの先には、例外的にEXデッキからの特殊召喚が可能となるのだ。
メアリー「そうみたい!これで窮屈な思いはしなくて済むわ!!」
瑞希「……!リンク召喚だけじゃなく…ッ…竜星の力まで手中に収めたっていうわけ…ッ?」
それだけでは、無い。
瑞希「…いや、待って───もう一つ……ッ…!でも…ッこれは───ッ!」
ノチウとは───星。
邪竜星から受け継いだ《竜星》の力と、それに呼応する様に現れた───もう一つの力が、メアリーとレラに力を貸していた。その正体は───
鈴華「…嘘…っ…!これって───」
星々を護る騎士───《テラナイト》。
瑞希「───星奈…っ…?」
震える声で、瑞希はその名を呼んだ。
鈴華たちと戦い散った、星奈の持つ《テラナイト》の力が《竜星》と混じり合い、この簡易宇宙領域は生み出されていたのだ。
瑞希「そこに、いるの───?」
無数の星々に手を伸ばす瑞希。
しかし手は届かない。
メアリー「…きっと、大好きな“お姉ちゃん”のデュエルを、見に来てくれたんじゃない?」
瑞希「───ッ」
瑞希は、涙が溢れそうになるのをグッと堪え、
瑞希「じゃあ魅せてあげるわよ!!私が最高の勝利を飾る瞬間を!!」
力強く、叫ぶ。
その様子に、一切の余裕は無い。
ただ、真剣に。
目の前のデュエルに、勝つために。
メアリー「ワタシだって、負けないわ」
対するメアリーも、この流れを崩したくはないと言った様子で、次の一手を思考する───
メアリー「───」
ノチウドラゴもキムンファルコスも、ユニコールの効果により場にいる限り、効果は無効となっている。
かと言ってバトルで破壊しようとすれば、クラウソラスによって攻撃力は0まで下げられ、メアリーのライフは尽きる。であれば───
メアリー「墓地の『影霊獣使い セフィラウェンディ』を除外し───キムンファルコスの効果ッ!」
ユニコールの影霊衣が居る状況で効果を発動したという事は、つまり───
メアリー「───自身をEXデッキに戻し、キムンファルコスのもう一つの効果!発動!」
チェーン①
『聖霊獣騎 キムンファルコス』
手札の霊獣モンスター1体を召喚する。
チェーン②
『聖霊獣騎 キムンファルコス』
除外されている『精霊獣 ラムペンタ』と『精霊獣使い ウィンダ』を守備表示で特殊召喚
メアリー「キムンファルコスはラムペンタとウィンダに分離し、手札からは『霊獣使い レラ』を召喚!!」
『精霊獣 ラムペンタ』[DEF 400]
『精霊獣使い ウィンダ』[DEF 1800]
『霊獣使い レラ』[ATK 100]
メアリー「まだよ!召喚したレラの効果と───永続魔法『霊獣の継聖』の更なる効果!」
(3):自分フィールドにモンスターが2体以上同時に特殊召喚された場合、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの表示形式を変更する。
チェーン①『霊獣使い レラ』
墓地の『精霊獣 アペライオ』を特殊召喚する。
チェーン②『霊獣の継聖』
『クラウソラスの影霊衣』の表示形式を変更する。
メアリー「『クラウソラスの影霊衣』には、Stand upして貰うわ!」
『クラウソラスの影霊衣』
守備表示→攻撃表示
[ATK 1200]
瑞希「…!クラウソラスが攻撃表示に……ッ!?」
ここに来て、大きく戦況が動いた。
高い守備力を持つクラウソラスが攻撃表示になった事で、EXから出たモンスターでなくとも、クラウソラスを倒せるラインにまで来てしまったのだ。
メアリー「更にレラの効果で墓地の『精霊獣 アペライオ』を特殊召喚!」[ATK 2300]
更には、『聖霊獣騎 カンナホーク』でサーチしたカードの存在が、瑞希に危機を感じさせるには十分すぎる程の圧を放っていた───
メアリー「続けて『精霊獣 ラムペンタ』の効果!」
《精霊獣
せいれいじゅう
ラムペンタ/Spiritual Beast Rampengu》 †
効果モンスター
星4/風属性/獣族/攻1600/守 400
自分は「精霊獣 ラムペンタ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
EXデッキから「霊獣」モンスター1体を除外し、
そのモンスターと同じ種族の「霊獣」モンスター1体をデッキから墓地へ送る。
メアリー「EXデッキから水族の『聖霊獣騎 ペトルフィン』を除外!そして同じ種族の『精霊獣 ペトルフィン』を墓地へ!」
瑞希「……!」
メアリー「『精霊獣 ラムペンタ』と『精霊獣使い ウィンダ』を除外し───獣騎一体!!」
出せる全てを出し尽くし、全員で、勝ちに行く。
メアリー「───Come on!!『聖霊獣騎 アペライオ』!!」
そして希望を胸に、人と獣は契りを結び立ち上がった。
『聖霊獣騎 アペライオ』[ATK 2600]
EXデッキからの連続召喚で軋む身体を気合いで支え、
メアリー「『精霊獣 アペライオ』の効果!」
(1):自分・相手ターンに1度、自分の墓地の「霊獣」カード1枚を除外して発動できる。
このターン中は自分フィールドの「霊獣」モンスターの攻撃力・守備力が500アップする。
メアリー「墓地のペトルフィンを除外!このターン中、場の霊獣モンスターのスタッツを強化するわ!」
『聖霊獣騎 アペライオ』[ATK 2600→3100]
『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』[ATK 2400→2900]
『精霊獣 アペライオ』[ATK 1800→2300]
『霊獣使い レラ』[ATK 100→600]
メアリー「…それだけじゃないわ。『霊獣の継聖』が場にある限り、アナタの場のモンスターの攻撃力は……場の霊獣モンスターの種族の種類x200ダウンする!」
現在、霊獣モンスターの種族の合計は───
『聖霊獣騎 アペライオ』[炎族]
『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』[幻竜族]
『精霊獣 アペライオ』[炎族]
『霊獣使い レラ』[サイキック族]
───3種類。
よって減少値は───600。
『クラウソラスの影霊衣』[ATK 1200→600]
『ユニコールの影霊衣』[ATK 2300→1700]
この600という数値は、この局面においてデュエルの命運を分けるほどに大きい。
瑞希「───ッッ!」
メアリー「───バトルフェイズ」
◉バトルフェイズ◉
メアリー「『精霊獣 アペライオ』で、『クラウソラスの影霊衣』をアタック!!」
『精霊獣 アペライオ』
[ATK 2300]
───VS───
[ATK 600]
『クラウソラスの影霊衣』
弱体化したとはいえ、唯一クラウソラスを倒せるアペライオが果敢にも襲いかかる───しかし只では倒れない。このダメージステップ時、
瑞希「───ッ『クラウソラスの影霊衣』の…ッ効果発動!!」
(2):エクストラデッキから特殊召喚された、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は0になり、効果は無効化される。
この効果は相手ターンでも発動できる。
瑞希「ノチウドラゴの攻撃力を0にし───効果を無効にする!!」
倒れる間際投げた剣はブーメランのように弧を描き、ノチウドラゴの身体に深々と突き刺さった。
『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』[ATK 2900→0]
同時にアペライオがクラウソラスを打ち倒し、防ぎきれなかったアペライオの炎が瑞希を襲う───
瑞希「───ッ!」【LP 8000→6300】
闇のデュエルによる肉体へのダメージが身を焼く中、メアリーの次の攻撃がユニコールを捉えていた。
メアリー「───『聖霊獣騎 アペライオ』!!『ユニコールの影霊衣』をアタック!!」
単身で攻撃を終えたアペライオにレラが騎乗し、今度は成長した姿となってユニコールへとその燃え盛る炎を旋風に乗せて解き放った。
『聖霊獣騎 アペライオ』
[ATK 3100]
───VS───
[ATK 1700]
『ユニコールの影霊衣』
鈴華「融合モンスターのアペライオは…本来バトルを行う時、他のカードの効果を受けない……つまり、『精霊獣 アペライオ』による攻守強化をも受けなくなってしまう───けど、今は!」
瑞希「───ユニコールによりその効果は無効となっている……ッ…」
そう、自ら展開したユニコールが融合アペライオの効果を無効化する事で、アペライオ自身の『効果を受けない』効果までも無効にし、結果、本来起こり得ないフルパワーのアペライオが誕生し、その熱風は瑞希諸共ユニコールを焼き払った───
瑞希「───っが…ッ…ァぁあ!!」【LP 6300→4900】
自慢のボディスーツもところどころ破け、白い肌が顕になる。が、気にしていられない。すぐに次が来る。
メアリー「レラ!!ダイレクトアタック!行っといで!!」
『霊獣使い レラ』
[ATK 600]
───ATTACK───
【LP 4900】
『柏木 瑞希』
瑞希の盤面が空になったこのチャンスを逃す訳にはいかない。アペライオから飛び降りたレラはガラ空きとなったフィールドを駆け抜け、か弱いながらも重たい一撃を瑞希に浴びせた。
瑞希「…ッ!」【LP 4900→4300】
これでメアリーの場で攻撃を行っていないのは攻撃力0となったノチウドラゴのみ。
攻撃は止んだ───否。
メアリー「聞かせてもらうよ。アナタのたったひとりの妹───雫ちゃんのこと」
止んでない。残り1枚の手札が何なのか、瑞希は知っている。
メアリー「ちゃんと!!アナタの口から!!」
叫び、指にかけたのは、カンナホークの効果で手札に加えていた───“切り札(ラストカード)”。
メアリー「速攻魔法発動───『霊獣の相絆』」
《霊獣
れいじゅう
の相絆
しょうばん
/Ritual Beast's Bond》 †
速攻魔法
(1):自分フィールドの表側表示の「霊獣」モンスター2体を除外して発動できる。
EXデッキから「霊獣」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。
メアリー「行くわよ───レラ!!みんな!!
ワタシはフィールドの『聖霊獣騎 アペライオ』と『霊獣使いレラを除外!!」
死の淵より蘇り、宿った力。
その内のふたつ目が───今解き放たれる。
メアリー「同胞より授かりし星の力よ!!今こそ天地を創造し───Perfectな未来を照らし出せっ!!」
EXデッキから放たれた輝きを受け、レラはその身を更に優雅に、更に絢爛に成長させてゆく───
メアリー「Come on!!リンク4!!!」
───リンク4。
そう宣言されたと同時に上空に現れた円環に、赤き矢印が4つ灯る。
瑞希「…リンク、4…ッ…!?」
そしてその円環を潜り抜け、遥か空の彼方より“それ”は舞い降りた。
メアリー「───『聖霊獣騎 レイラウタリ』!!」
豪華絢爛。金色の翼に白金の鎧を身に纏いし───聖龍。
「ガァアアアァアァアァアアァァアァアアァアアア!!!」[ATK 2600→3100]
同胞たちの思いを受け、聖龍は激しい叫びを上げた。
怒りや悲しみなど、様々な感情が入り混じった様にも聞こえるそれは、この美の間だけでなく、神星樹の各地にも響き渡る程のもので───
瑞希「…ッ……!」
室内が振動に揺れる最中、瑞希は唇を噛み拳を握る。
有利に決闘を進めていたはずが、いつの間にか追い詰められている事実に、瑞希は酷く焦っていた。
そんな中、更に追い討ちをかける様に───
メアリー「ねえ、瑞希ちゃん」
メアリーは、問う。
メアリー「───アナタ、雫ちゃんを護るために闘ってるんじゃない?」
それは、これまでのどのカードプレイングよりも───鋭利な、一手だった。
To Be Continued…
鈴華「───動き…ませんわね」
神星樹内部、和泉が囚われている《美の間》へと繋がるエレベーターを前にして、鈴華・結維・戒・栗須の4人は頭を抱えていた。
結維「…この先に和泉がいるってのに…っ…!どうにかなんないの!?」
声を荒げる眼鏡の少女──結維は疲弊した身体で鈴華の身体を軽く揺する。あくまで、軽くだ。
それでも拳ひとつでコンクリートを砕く結維の『軽く』だ。鈴華の細い身体は今にも折れてしまいそうな程にぐわんぐわんと揺れていた。
栗須「ちょっちょちょちょちょちょいっ!!冗談抜きで西蓮寺さん死んじまうって!!」
眼鏡をかけたツンツン頭の少年──栗須が仲裁に入ると、結維は「あ、ごめん鈴華」と、意外にも素直に謝った。
鈴華「…ぜぇ…はぁ…っ…、どうにもなりませんわ…っ。このエレベーター、精霊の力で強力なプロテクトがかけられてるみたい」
結維の横暴に慣れてしまってか、はたまた怒る気力すらないからかそこには触れず、先の戦いでかなり乱れた自慢のツインアップロールをくるんっと揺らし状況を説明する鈴華。
鈴華「私の精霊──カオス・ゴッデスの力も借りて解除に当たってみたのだけれど、私の精霊を操る力が未熟なのもあって、うんともすんとも───」
戒「──なら、斬るか」
鈴華「なんでそうなりますの!?」
結維「奇遇ね。私も同じ事を考えてた」
鈴華「ダメだこの脳筋たち!」
白髪の少年──戒と結維のリアルファイトコンビによる暴走を必死で止める鈴華と、「知ーらね」といった様子で口笛を吹く栗須。
しかし流石に2人とも冗談だったようで、
戒「……本気にするな」
結維「…そーよ。第一、ここを破壊しちゃったら下の和泉も無事じゃ済まないわ」
鈴華「あなたたち2人が言うと冗談に聞こえないのよ…」
嘆息。しばしの沈黙を経て、栗須が口を開く。
栗須「……んー、にしてもよ。
人間界との通信もまた急に途絶えちまったぞ?どーすんだ?」
そう。外では既にトリシューラの攻撃によってYAGAMI本社ビルが凍りつき、内外の連絡は完全に途絶えてしまっていた。内部にいる者達は、当然その事を知る由はないのだ。
「「「「………」」」」
また沈黙。
迂回している時間も体力も無い。
打つて無しか。誰しもがそう思いかけた───その時。
びゅんっ。
音を立てて、“それ”は飛んできた。
「───」
橙色の髪に、緑を基調とした衣装を見に纏った少女の姿をした精霊。
「私に任せて」
そう言って少女は手に持った杖を構える。
すると穏やかな風が辺りを包み、肩にかけたマントが風になびく。
鈴華「……あなたは…!メアリーさんの───」
──彼女の名は、レラ。
メアリーの操る精霊のひとり───『霊獣使い レラ』。
結維「…なんであなたが…っ」
確かメアリーの話では、精霊レーダー(仮)を持つ敵の目を欺くために、レラたち精霊はメアリーと別行動していると言う話だったが───
レラ「ごめんね、詳しく説明してる時間は無いの!それより…早くしないと…っ」
言いながらレラは杖を持つ手に力を込める。
途端、エレベーターが光に包まれ、あれほど手を尽くしても開かなかった扉が音を立てて開いてゆく───
鈴華「!!」
栗須「…なぁ!?」
戒「…ッ、プロテクトをかけていた精霊達に語りかけ、ロックを解除したというのか…!?」
勿論、簡単な話ではない。
精霊獣と心を通わせる事ができる『霊獣使い』だからこそ成し得た技なのだ。
結維「…レラ、って言ったっけ……ありがとう助かった!これで、和泉のところへ…!」
レラ「はぁ……っ…はぁ…!和泉ちゃんの事は任せたわよ…!私は…メアリーを護らなきゃ…っ!」
そう言って急ぎエレベーターに乗り込むレラの目からは大粒の涙がこぼれ落ちる。
レラ「このままじゃ───メアリーが死んじゃう…っ!!」
やがて全員を乗せて、エレベーターは吸い寄せられるように下へと降りた。
神星樹の中心───《美の間》へと。
***
時は少し遡り───氷結界の龍出現と同時刻。
【Side メアリー】
〜神星樹内部・『美の間』〜
柏木 瑞希【LP 8000】
(モンスター)
『氷結界の龍 グングニール』[ATK 2500]
手札:1
墓地:ブリューナク、ユニコール、エリアル、神巫、ヌトス、異次元の精霊、反魂術
除外:クラウソラス、万華鏡
メアリー=ベイクウェル【LP 5500】
場:なし
伏せ:0
手札:1
墓地:アペライオ、コリドー、霊媒師ウィン
除外:なし
EX(表):ピリカ
メアリー「たとえアナタが!アナタの操る決闘機兵が!アナタの従える氷結界の三龍が!どれだけ強くても!!
───あの子たちは負けないよ」
◉TURN:05◉
メアリー「ワタシの…ターンっ!!」[手札 2]
メアリーは山からカードを引き、細く息を吐き、
メアリー「───ターン、エンド」
2ターン連続の、即ターンエンド。
メアリー「───」
しかし、デュエルを諦めたわけでは、決して無い。
───温存。
次のターンを生き残る事に全てを賭け、無駄なリソースを消費せずに温存する選択を取ったのだ。
瑞希「───へぇ」
瑞希も、メアリーの眼を見て一目で察し、思わず声を漏らす。
瑞希「この状況でその選択ができる人は───強い」
◉TURN:06◉
瑞希「───私のターン。ドロー」[手札 2]
静かにカードを引き、
瑞希「…でもね、おねーさん。ふたつ、誤算があるよ」
言って瑞希は、引いたカードを即座に発動させる。
メアリー「───!」
思考の余地など一切与えない。そんな意思すら感じる一手。
瑞希「儀式魔法───『影霊衣の降魔鏡』」
《影霊衣
ネクロス
の降魔鏡
こうまきょう
/Nekroz Mirror》 †
儀式魔法
「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。
「影霊衣の降魔鏡」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、
自分の手札・フィールドのモンスターをリリース、
またはリリースの代わりに自分の墓地の「影霊衣」モンスターを除外し、
手札から「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。
瑞希「私は墓地から、レベル4の『影霊衣の巫女 エリアル』と『ユニコールの影霊衣』を除外し───レベル8!『ヴァルキュルスの影霊衣』を降臨させる!!」
突如現れた鏡が割れ、その中より現れし眼帯をした老戦士は身の丈程の槍を構えメアリーを睨む。
『ヴァルキュルスの影霊衣』[ATK 2900]☆8
瑞希は再び手札を使い切り、これ以上展開を伸ばす為には運が絡む。よって、
瑞希「───バトルフェイズ」
◉バトルフェイズ◉
瑞希「行くよ───ダイレクトアタック!!」
力強い宣言と共に、瑞希の場の2体がメアリーへと襲いかかった───
『氷結界の龍 グングニール』
[ATK 2500]
───ATTACK───
【LP 5500】
『メアリー=ベイクウェル』
瑞希「おねーさんの誤算、ひとつめ」
ひゅんっ、と。
音を立てて飛んでいったグングニールの氷槍が、再びメアリーの腹部に深々と突き刺さる。
メアリー「…が…ッ…ふ…ァ…ッ…!!」【LP 5500→3000】
続け様にヴァルキュルスの霊衣を纏った老戦士が槍を掲げ飛び上がる。
『ヴァルキュルスの影霊衣』
[ATK 2900]
───ATTACK───
【LP 3000】
『メアリー=ベイクウェル』
瑞希「…それはね、例えライフポイントが残ったとして───」
───刹那、一閃。
メアリー「───ッ」
振り下ろされた強力な一撃により、辺りに爆風が立ちこめる。
瑞希「───おねーさんは、デュエルを続けられない」
凍てつくような視線。
煙が晴れると、視線の先には、ひび割れた地面に倒れ伏し、ピクリとも動かない金髪の女───メアリー=ベイクウェルの姿。
メアリー「───」【LP 3000→100】
かろうじて繋がった命。しかし───
瑞希「…といっても、もう聞こえてないかな───」
メアリー「───」
返事は───無い。
瑞希「……それで、ふたつめの誤算。けどこれは私にとっちゃあ、“保険”になるんだけれど」
それでも、瑞希は続ける。
瑞希「───ヴァルキュルスの効果」
《ヴァルキュルスの影霊衣
ネクロス
/Nekroz of Valkyrus》 †
儀式・効果モンスター
星8/水属性/魔法使い族/攻2900/守1700
「影霊衣」儀式魔法カードにより降臨。
レベル8以外のモンスターのみを使用した儀式召喚でしか特殊召喚できない。
「ヴァルキュルスの影霊衣」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手モンスターの攻撃宣言時に自分の墓地の「影霊衣」カード1枚を除外し、
このカードを手札から捨てて発動できる。
その攻撃を無効にし、その後バトルフェイズを終了する。
(2):自分メインフェイズに発動できる。
自分の手札・フィールドのモンスターを2体までリリースし、
リリースした数だけ自分はデッキからドローする。
瑞希「私は、場のヴァルキュルスとグングニールをリリースして───2枚ドロー!!」[手札 2]
場のモンスターを全てリリースしての、2ドロー。
妨害効果を持たない2体を残すより、次のターンを安心して迎えるための準備を優先した一手。
瑞希「更に───」
そして“自分の盤面を空けた”というこの行動は、【影霊衣】においてただの2ドロー以上の意味をもたらす───
瑞希「───墓地の『影霊衣の降魔鏡』の効果」
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。
墓地→除外
『影霊衣の降魔鏡』
『ブリューナクの影霊衣』
瑞希「降魔鏡とブリューナクをコストに、デッキから『影霊衣の万華鏡』を手札に加え、発動───」
《影霊衣の万華鏡/Nekroz Kaleidoscope》
儀式魔法
「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、
自分の手札・フィールドのモンスター1体をリリース、
またはリリースの代わりにEXデッキのモンスター1体を墓地へ送り、
手札から「影霊衣」儀式モンスターを任意の数だけ儀式召喚する。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。
瑞希「おねーさんのふたつめの誤算、それは───次のターンに展開札を残しても、私の場にはそれを上回る妨害札が並ぶ可能性があったってことだよ」
直後、瑞希のEXデッキから1枚のカードが弾き出され、墓地へと送られた。
瑞希「私が生贄とするのは───レベル4『虹光の宣告者』!!
その魂を昇華させ───降臨せよ!!『ユニコールの影霊衣』!!」
『ユニコールの影霊衣』[ATK 2300]☆4
ユニコールの着地と同時に、墓地へ送られた『虹光の宣告者』が輝きを放つ───
瑞希「『虹光の宣告者』の効果!」
(3):このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。
デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。
瑞希「私がデッキから手札に加えるのは───『ブリューナクの影霊衣』。そのまま捨てて効果発動!」
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「ブリューナクの影霊衣」以外の「影霊衣」モンスター1体を手札に加える。
瑞希「『クラウソラスの影霊衣』を手札に加え、効果発動!」
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
瑞希「『影霊衣の反魂術』を手札に加え───発動!!」
《影霊衣
ネクロス
の反魂術
はんごんじゅつ
/Nekroz Cycle》 †
儀式魔法
「影霊衣」儀式モンスターの降臨に必要。
「影霊衣の反魂術」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):レベルの合計が儀式召喚するモンスターと同じになるように、
自分の手札・フィールドのモンスターをリリースし、
自分の手札・墓地から「影霊衣」儀式モンスター1体を儀式召喚する。
(2):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
自分の墓地からこのカードと「影霊衣」モンスター1体を除外して発動できる。
デッキから「影霊衣」魔法カード1枚を手札に加える。
瑞希「このカードは、墓地からの儀式召喚が可能なカード…!手札の『影霊衣の術士 シュリット』を生贄に───蘇れ!!『クラウソラスの影霊衣』!!」
『クラウソラスの影霊衣』[DEF 2300]☆3
瑞希「リリースされたシュリットの効果!」
(2):このカードが効果でリリースされた場合に発動できる。
デッキから戦士族の「影霊衣」儀式モンスター1体を手札に加える。
瑞希「私がデッキから手札に加えるのは『ブリューナクの影霊衣』」
ここで既に効果を使用したブリューナクを手札に加えたのは、次のターンに備えてのことだろう。
───そう。
瑞希は次のターンが回ってくると思っている。
メインフェイズ2での怒涛の展開を経て、依然微動だにしないメアリーを前にして、尚。
メアリー「───」
まだデュエルが続くと思っているのだ。
瑞希「……私のターンはこれで終了」
故の───“保険”。
◉TURN:07◉
メアリー「───」
回ってきた、メアリーのターン。
メアリー「───」
メアリーが動く気配は、ない。
瑞希「………」
しばらくの沈黙を経て、
瑞希「……保険は、無意味に終わった…かな」
メアリーの命の灯火が尽きた事を確信し、嘆息。
瑞希「………」
ここでの目的は達成した。
この神星樹において、知識・経験共に最も優れた一番警戒すべき存在とまで口にした人物を討ち倒し、最終目標へと一歩近づいたのだ。
なのに、だ。
それなのに。
瑞希「………っ…」
足りない。
満たされない。
胸の奥に、鉛がのしかかったような感覚。
瑞希「…なんだってのよ……っ…!」
意味不明な不快感に苛立ちを覚えつつ、瑞希はそれを一刻も早く消し去るために、未だ動く気配のないメアリーの元へと早足で近づいてゆく───
一歩、
二歩、
三歩、
四歩───
───五歩。
瑞希「───!」
───その時だった。
瑞希「!!」
精霊の───気配。
瑞希「───」
瑞希は、一瞬、期待した。
上で戦っていた星奈が勝利し、降りてきたのだと。
瑞希「せ───」
しかし、精霊の“数”から、その期待はすぐに否定される事になる。
瑞希「───な…?」
足を止め、エレベーターへと視線を移した───刹那。
「ぁぁああぁああぁぁあぁあああぁあっっ!!!」
叫びながら接近してくる───何か。
否。
それはメアリーの精霊───『霊獣使い レラ』。
瑞希「───ッ」
レラ「メアリーから離れなさいっっ!!!!」
瑞希と激しい衝突を繰り広げ、一喝。
僅かに反応の遅れた瑞希は右腕に込めた精霊の力だけで受ける形となり、やや押され気味な展開。
レラ「メアリー!!メアリーっ!!しっかりして!!!メアリーっっ!!!」
レラは瑞希と交戦しながらも背後で横たわりぴくりともしないメアリーに必死で呼びかける。
瑞希「…おねーさんの精霊か…っ…!いや、それより───」
それより、だ。
瑞希が感じた精霊の気配は、一体だけではない。
レラとの攻防の最中、瑞希は再びエレベーターへと視線を戻す。
瑞希「…ッ……!」
既にエレベーターの扉は開いており、そこから数人が姿を現していた。
「───」
桜庭結維。
西蓮寺鈴華。
斬波戒。
古宮栗須。
4人は《美の間》へと足を踏み入れるなり、大量の血を流し倒れ伏すメアリーの姿に目を見開いていた。
鈴華「───メアリーさんッッ!!!!」
レラに続き口を開いたのは、鈴華。
鈴華は掠れた声で叫び、4人のうち誰よりも早く駆け出していた。
戒「…バカ…ッ!無防備に───」
結維「……ッ…!!」
メアリーの傷の具合を見て結維も血相を変えた。
が、部屋の中央には囚われの和泉の姿。
ようやく、辿り着いた。もうすぐそこにいる。和泉が。
しかしメアリーを放っておけるはずも無い。その一瞬の迷いに傍らの戒は気づいてか、
戒「…ッ…あの精霊に言われた事を思い出せ!!お前はお前のなすべき事をしろ!!」
珍しく声を荒げる戒の言葉を受け、結維は小さく「ごめん」と呟くと、視線を上へと移す。
そしてすぐに走り出した。
凍りついた木の幹に囚われた───和泉の元へと。
栗須「…戒!!俺たちは2人をカバーすんぞ!!」
戒「わかっているッ!!!」
ふたりも即座に、結維たちを援護すべく駆け出した。
一方で。
瑞希「………!!」
同時に、結維たちがここにいるという事は───星奈が負けた事を意味していた。
瑞希はその事実を重く受け止め、涙を流す。
瑞希「なに約束破ってんのよ………バカ」
瑞希は天に呟き、こぼれ落ちた涙は雪の結晶となって霧散した。
レラ「───っ」
星奈は結維と鈴華との決闘に敗れ、神星樹に吸収された。
親に捨てられ、周りにも見離され、生きる希望も何もかも失った彼女は、僅か10歳にしてこの世を去ったという事になる。
瑞希「───」
星奈の人生は、奪われてばかりだった。
だから瑞希は、“奪われた分を取り返す”事を教えた。
でなければ、不公平だ、と。
思えば。
初めて星奈を見たあの日。
瑞希は星奈に、同じく全てを失った自分を重ね合わせていたのかもしれない。
否。
否。
否否否。
全てというのは、語弊がある。
瑞希には、一つだけ、失っていないものがあった。
たった1人の───血の繋がった妹。
柏木───雫。
瑞希「───“それ”を失わない為に、他の全てを失う覚悟を決めたんでしょうが」
───直後。
レラ「───!?」
ひやり、と。
背筋が凍る感覚。
そして次の瞬間。
瑞希「───私も、もう迷わない」
囚われの和泉を中心に、《美の間》全体が氷の槍で埋め尽くされた。
***
鈴華「───ぁ」
一瞬の、出来事だった。
レラ「───」
栗須「───」
レラと栗須は、氷の槍からメアリーを庇い、倒れ───
結維「───」
和泉から発せられた攻撃のほぼ中心部にいた結維は氷柱を回避できず───
戒「───」
そして鈴華を庇い、右肩・両足・脇腹に氷槍を受けた戒は、鈴華の目の前に力なく倒れ込んだ。
鈴華「……ぁ………ぁ……戒さん…ッ…!!みんな……っ…!!」
一瞬の内に、鈴華以外の全員が倒れ、唯一意識のある精霊のレラだけが鈴華の身を案じ倒れながら手を伸ばし続けていた。
レラ「……か……はッ……!
ダメ……っ…逃げて………ッ……───」
鈴華「……ッ……ッ…!」
次元が───違いすぎる。
鈴華「…っ…和泉さんに…、何をしたの…っ!?」
瑞希「───これは本当に、最終手段」
鈴華「……っ…?」
瑞希「私の精霊の力を分け与えた“いずみん”は《繭》になった。これでもう外部から《核》である“いずみん”自身に干渉はできない」
鈴華「………そん…な…」
勿論相応のリスクもあるのだが、わざわざそれを説明するほど、瑞希もお人好しではない。
瑞希「……丁度いいや、最後に君に聞きたいんだけど───星奈は、最期になんて言ってた?」
鈴華「……っ…!」
予想外の問いに鈴華は一瞬言葉を詰まらせるが、まずは目の前で気を失っている戒を部屋の端に寝かせると、震える足で瑞希の元へ向かいながら、数分前の出来事を思い出す。
鈴華「……」
無邪気な少女の、最期の言葉───
『おねーさん、最後にひとつ、お願い聞いてもらっていい?』
それを噛み締め、ゆっくりと、口を開く。
鈴華「…『友達になってくれる?』って───」
瑞希「……っ…」
瑞希は一瞬、驚いた様な顔をし、沈黙。そしてすぐに、
瑞希「…そっか。なら、安心」
そう言って鈴華の元へと足を進め、二人は2メートル程の感覚を空けて立ち止まる。
瑞希「……星奈は、“救われた”んだね」
鈴華「…それは、わかりませんわ。私達が決めていい事じゃ、無い」
瑞希「……キミの言う通りだ。じゃあ、あの子の為にも、もう終わりにしよう」
瑞希は言いながら右手を前に突き出す。
明確な殺意のこもった視線。
鈴華「───ッ」
恐怖と寒さで、足が動かない。
精霊を呼び出すだけの力も無い。
まだ意識のあるレラも鈴華を守ろうと必死にもがくが、距離にして約10メートル以上。もう、間に合わない。
瑞希「───さよなら」
死を覚悟した───その時だった。
「───ワタシのターン」
声は、瑞希の背後から。
瑞希「……ッ!!」
急ぎ振り返る。同時に。
「ドローッッ!!!!」
カードを引いた際の風圧で瑞希は大きく態勢を崩す。
精霊の力で護られている瑞希が態勢を崩されるほどの───風の力。
鈴華「…ぁ…っ…ああ…っ」
その力は、精霊の帰還により、先程までとは比べ物にならない程に増していた。
レラ「……っ…グス…っ…、まったく、ホンッット……お寝坊さんなんだから───っ」
その人物を見て、その場の誰しもが笑みを浮かべていた。
瑞希「……っ」
敵である、瑞希でさえも。
「ハロー……なんて呑気に言ってられる状況じゃ、ないみたい…ネ」
ウェーブがかった金髪ロングに、スタイルの良い長身の美女───メアリー=ベイクウェル。
血に塗れ、骨は軋み、傷だらけの身体。
それでも立ち上がった女の姿が、そこにはあった。
メアリー「ごめんね、みんな。
───デュエル続行よ」
◉◉◉遊戯王 Ph.X◉◉◉
──DRAW:241──
《トライブ・フォース》
メアリー「───ッッがほ…っ…!」
デュエル再開も束の間、咳き込んだメアリーの口元から───血。
鈴華「…!!」
レラ「メアリーっ!!」
瑞希「…ライフポイントはたったの100───立ってるのが奇跡ってレベルじゃないの」
瑞希の言う通り、メアリーにはもう本来なら立てるだけの力など残ってるはず無いのだ。
それでもメアリーを立ち上がらせたのは、義務感や使命感、そんな大それたものではなく───
メアリー「───まだちゃんと、お話してないからね」
デュエルを通して───対話をする。
ただそれだけの為に、メアリーは立ち上がった。
瑞希「ははは、恋バナでもするっての?」
以外にも乗り気な瑞希。メアリーは目を細め、
メアリー「んー、恋バナも良いけど───可愛い可愛い妹ちゃんの話が、聞きたいかな?」
そう言ってメアリーは、1枚のカードを発動させる。
メアリー「永続魔法───『霊獣の継聖』」
《霊獣
れいじゅう
の継聖
けいしょう
》 †
永続魔法
このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手フィールドのモンスターの攻撃力は、
自分フィールドの「霊獣」モンスターの種族の種類×200ダウンする。
(2):手札の「霊獣」モンスター1体を相手に見せて発動できる。
そのモンスターとは種族が異なる「霊獣」モンスター1体をデッキから手札に加える。
その後、自分の手札を1枚選んで捨てる。
(3):自分フィールドにモンスターが2体以上同時に特殊召喚された場合、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの表示形式を変更する。
瑞希「…私の盤面を崩せたら、話してあげてもいーよ!」
そう言う瑞希の場には、2体の強力なモンスターが待ち受ける。
『クラウソラスの影霊衣』[DEF 2300]
『ユニコールの影霊衣』[ATK 2300]
ユニコールが存在する限り、EXデッキから特殊召喚された場のモンスターの効果は無効となり、クラウソラスはフリーチェーンでEXデッキから特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力を0にし効果を無効にできる強力な効果を持っている。
加えてメアリーのライフは残り100───かなり苦しい状況だが………
メアリー「───♪お安い御用!
手札の『精霊獣使い ウィンダ』を見せて……『霊獣の継聖』の効果発動!」
メアリーは笑う。この余裕こそが、メアリーの持ち味。
メアリー「デッキから『精霊獣 カンナホーク』を手札に加え───手札のウィンダを墓地へ!」[手札 2]
どんな困難にも、笑顔で迎え撃つ。それが、メアリー=ベイクウェルなのだ。
メアリー「『精霊獣 カンナホークを召喚ッ!」[ATK 1400]
《精霊獣
せいれいじゅう
カンナホーク/Spiritual Beast Cannahawk》 †
効果モンスター
星4/風属性/雷族/攻1400/守 600
自分は「精霊獣 カンナホーク」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「霊獣」カード1枚を除外する。
発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外されているカードを手札に加える。
瑞希「……!」
対する瑞希はメアリーの一手を受け、眉をひそめる。
それはカンナホークに召喚権を切った事への───疑問。
瑞希「…おねーさんのデッキ、さっきまでと雰囲気違うね。何かした?」
カンナホークに召喚権を切ってしまっては、それ以降の展開は続かないはず。であれば、もう一枚の手札による追加展開か、もしくは───
メアリー「すぐに分かるわ───カンナホークの効果発動!」
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「霊獣」カード1枚を除外する。
発動後2回目の自分スタンバイフェイズに、この効果で除外されているカードを手札に加える。
メアリー「ワタシがデッキから除外するのは……このカード!」
メアリーは言いながら、左手奥に倒れるレラに目線を向け、にっこりと笑みを浮かべた。
メアリー「来てくれてサンキューね!レラ!」
レラ「…!」
メアリー「お陰で───まだ戦える」
言ってデッキから抜き出したカードは輝きを放ち、その光はメアリーとレラに新たな力を与える───
メアリー「今こそ出番よ───『精霊獣使い レラ』!!」
光に包まれたレラは装い新たに、身体も成長し、先程までの傷が嘘の様に消えていた。
レラ「これは───っ!」
瑞希「……っ…!精霊の───進化…ッ…!」
メアリー「除外されたレラの効果……発動ッ!!」
《精霊獣使い
せいれいじゅうつかい
レラ》 †
効果モンスター
星1/光属性/サイキック族/攻 100/守2000
自分は「精霊獣使い レラ」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、
その(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。
手札の「霊獣」モンスター1体の召喚を行う。
(2):自分フィールドの「霊獣」カードが戦闘・効果で破壊される場合、
代わりにフィールド・墓地のこのカードを除外できる。
(3):このカードが除外された場合に発動できる。
デッキから「精霊獣使い レラ」以外の「霊獣」モンスター1体を特殊召喚する。
メアリー「───レラ!お願い!チカラを貸して!」
レラ「…ええ!!一緒に戦いましょう!メアリー!!」
復活したレラが杖を構えると、メアリーの盤面に魔法陣が描き出され、その中より1人の少女が姿を現した。
メアリー「デッキから、『影霊獣使い セフィラウェンディ』を特殊召喚っ!!」
『影霊獣使い セフィラウェンディ』[ATK 1500]
瑞希「…ッ…!!カンナホーク……キミ、初動になれたんだ───」
メアリー「更にワタシは…!!場のカンナホークとセフィラウェンディを除外し───獣騎一体!!」
霊獣使いは場の精霊獣と共に除外する事で、聖霊獣騎へと合体進化する───
メアリー「───Come again!『聖霊獣騎 カンナホーク』!!」[ATK1400]
《聖霊獣騎
せいれいじゅうき
カンナホーク/Ritual Beast Ulti-Cannahawk》 †
融合・効果モンスター
星6/風属性/雷族/攻1400/守1600
「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター
自分フィールドの上記カードを除外した場合のみ特殊召喚できる。
(1):1ターンに1度、自分の除外状態の「霊獣」カード2枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地に戻し、デッキから「霊獣」カード1枚を手札に加える。
(2):自分・相手ターンに、このカードをEXデッキに戻し、
自分の除外状態の、「霊獣使い」モンスター1体と「精霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
瑞希「…!」
メアリー「『聖霊獣騎 カンナホーク』の①の効果!!」
対象
『精霊獣 カンナホーク』
『影霊獣使い セフィラウェンディ』
ユニコールの影霊衣がいる状況では、EXデッキから特殊召喚されたモンスターの効果は無効となる。しかし───
メアリー「チェーンは…あるかな?」
瑞希「…無いよ。わかってる癖に」
メアリー「じゃあ───行くよ」
メアリーはニッと笑い、流れる様な動作で展開を続ける。
メアリー「カンナホークの①の効果にチェーンして、カンナホークの②の効果を発動!!」
対象
『精霊獣 カンナホーク』
『精霊獣使い レラ』
メアリー「『精霊獣騎 カンナホーク』をEXデッキに戻して2体に分離!!」
『精霊獣 カンナホーク』[DEF 600]
『精霊獣使い レラ』[DEF 2000]
メアリー「更に除外されたウェンディを墓地へ戻してデッキから『霊獣の相絆』を手札に!」[手札 2]
瑞希「…カンナホークはコストでEXデッキに戻るから、ユニコールの効果範囲外か───逃げられるのは想定内だけど、どこまで続くかなァ?」
霊獣の下級モンスターは、それぞれ1ターンに1度ずつしか特殊召喚できない誓約がある。よっていつまでも合体と分離は繰り返せない。
メアリー「……続けてカンナホークの効果でデッキの『精霊獣 ラムペンタ』を除外するわ!」
瑞希「……けどその2体で再びカンナホークを作ったとしても、除外されてる未特殊召喚はラムペンタのみ───カンナホークは分離できない!」
カンナホークが分離できなければ、ユニコールによってサーチ効果も無効となってしまう。しかし───
メアリー「そうね。その通り───今までならここで止まってた」
瑞希「───ッ」
メアリー「でも、止まるわけにはいかない」
ここでのメアリーの役目は、あくまでも時間稼ぎ。メアリーもそのつもりだった。
瑞希「なんで、そこまで───」
けれど、傷つき、倒れていった仲間たちを目の当たりにして、そんな事を言ってられる状況ではなくなった。
メアリー「ワタシは、アナタと、もっと話したい事が、話さなきゃいけない事がある」
大人の自分が、話を聞いてやらねばならないと、そう思ったのだ。
瑞希「…これ以上、話すことなんて無い!!絶対に───止め切ってみせる!!
メアリー「アナタが会話を拒んでも、ワタシは喋り続けるよ!アナタの本当の気持ちを引き出すまで!!」
瑞希「───っ」
本当の───気持ち。
メアリー「ワタシは、『精霊獣 カンナホーク』と『精霊獣使い レラ』の2体を───リンクマーカーにセット」
それを引き出すまで───
メアリー「───リンク召喚」
───彼女を雫と会わせるわけにはいかない。
メアリー「───Come on!リンク2!!
『聖霊獣騎 キムンファルコス』!!」[ATK 1400]
宣言と共に、緑髪の少女は大鷹を従え飛来する。
それは、死地を乗り越え覚醒した、この地での戦いを乗り越えるための力───
瑞希「……ッ…リンク…召喚…ッッ!」
メアリー「…はぁ…ッ…はァ……ッ!」
しかし慣れない召喚法は、身体にかかる負担も大きい。
鈴華「…ッ…メアリーさんっ!!」
メアリーの様子を心配した鈴華が思わず声を上げる。
鈴華「見ているだけなんて嫌……ッ…!
私にも……何か…何か───」
何か。
何か何か何か。
できる事を。
鈴華「───」
そう強く願った───その時。
鈴華「…!!」
鈴華のデッキから、淡い光が漏れる───
鈴華「…!」
鈴華は慌ててそのカードをケースから抜き出すと、カードの精霊がひとりでに実体となって鈴華の目の前に現れた。
『ガァァアアァアアァア!!!』
姿を現したのは、禍々しい見た目の黒き邪竜───
鈴華「…!?」
竜の名は───『邪竜星-ガイザー』。
瑞希「…ッ!!?『邪竜星-ガイザー』!?なんであのカードをあの子が…!?」
メアリー「…why?どういうこと…?」
瑞希「あのカードは…、元“五召焔”の1人、シンクロ担当の人が使っていたカード…!!それをどうして───」
メアリー「…それも気になるけど、今はそのカードが、なぜこのタイミングで出てきたかって事の方が、重要かもね…っ!」
メアリーとガイザーはしばしの間見つめ合い、
メアリー「───チカラを、貸してくれるのね?」
邪竜は無言で頷き、赤黒い光を放つ。
メアリー「!!」
レラ「…!」
禍々しくも力強い光はメアリーとレラを包み込み───その輝きは、戦う為の力となってEXデッキに宿った。
メアリー「───!」
そして、そのカードは、今までの霊獣における常識を覆す───
瑞希「…ッ…!!それ、マジで…言ってんの…ッ?」
メアリーのEXデッキに宿ったカード、その正体は、瑞希にもわからない。
正体不明のカードが襲いくる恐怖を、瑞希はよく知っている。
ただ、こんな想定外においても───
瑞希「───はは」
───瑞希は笑っていた。
瑞希もまた───デュエリストなのだ。
メアリー「…鈴華ちゃん!アナタから受け取った『竜星』の力……今使わせて貰うわ!」
対するメアリーも、笑みを浮かべ墓地のカードに手を伸ばす。
メアリー「ワタシは墓地の『精霊獣 カンナホーク』と『精霊獣使い ウィンダ』を除外!!」
地中より2対のエネルギーが立ち昇り、上空にて重なり合う。
レラ「───!」
やがて放たれた輝きに触れた事でレラの姿は更なる進化を遂げ、どこからともなく現れた輝竜と共に宙を舞う───
メアリー「───Are you ready?」
そしてメアリーが指を弾くと、屋内だというのに宙には無数の星々が煌めきだした。
その様子はまるで───プラネタリウム。
メアリー「───GO‼︎
あまねく照らすシューティングスター───『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』!!」
《聖霊獣騎
せいれいじゅうき
ノチウドラゴ》 †
融合・効果モンスター
星7/光属性/幻竜族/攻2400/守1900
「霊獣使い」モンスター+「精霊獣」モンスター
自分のフィールド・墓地の上記のカードを除外した場合のみ特殊召喚できる。
自分は「聖霊獣騎 ノチウドラゴ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
自分フィールドの他の「霊獣」モンスターを相手は効果の対象にできない。
(2):自分・相手ターンに、このカードをEXデッキに戻し、
自分の除外状態の「霊獣」モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは直接攻撃できない。
輝竜を従えしレラは、リンクモンスターであるキムンファルコスのリンク先へと、流星の如く舞い降りた。
『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』[ATK 2400]
鈴華「…!あの矢印には、EXからの召喚制限を解除する力があるの…!?」
この神星樹の中では本来、EXデッキから特殊召喚できるのは1体のみ───しかし、リンクモンスターの指し示すリンクマーカーの先には、例外的にEXデッキからの特殊召喚が可能となるのだ。
メアリー「そうみたい!これで窮屈な思いはしなくて済むわ!!」
瑞希「……!リンク召喚だけじゃなく…ッ…竜星の力まで手中に収めたっていうわけ…ッ?」
それだけでは、無い。
瑞希「…いや、待って───もう一つ……ッ…!でも…ッこれは───ッ!」
ノチウとは───星。
邪竜星から受け継いだ《竜星》の力と、それに呼応する様に現れた───もう一つの力が、メアリーとレラに力を貸していた。その正体は───
鈴華「…嘘…っ…!これって───」
星々を護る騎士───《テラナイト》。
瑞希「───星奈…っ…?」
震える声で、瑞希はその名を呼んだ。
鈴華たちと戦い散った、星奈の持つ《テラナイト》の力が《竜星》と混じり合い、この簡易宇宙領域は生み出されていたのだ。
瑞希「そこに、いるの───?」
無数の星々に手を伸ばす瑞希。
しかし手は届かない。
メアリー「…きっと、大好きな“お姉ちゃん”のデュエルを、見に来てくれたんじゃない?」
瑞希「───ッ」
瑞希は、涙が溢れそうになるのをグッと堪え、
瑞希「じゃあ魅せてあげるわよ!!私が最高の勝利を飾る瞬間を!!」
力強く、叫ぶ。
その様子に、一切の余裕は無い。
ただ、真剣に。
目の前のデュエルに、勝つために。
メアリー「ワタシだって、負けないわ」
対するメアリーも、この流れを崩したくはないと言った様子で、次の一手を思考する───
メアリー「───」
ノチウドラゴもキムンファルコスも、ユニコールの効果により場にいる限り、効果は無効となっている。
かと言ってバトルで破壊しようとすれば、クラウソラスによって攻撃力は0まで下げられ、メアリーのライフは尽きる。であれば───
メアリー「墓地の『影霊獣使い セフィラウェンディ』を除外し───キムンファルコスの効果ッ!」
ユニコールの影霊衣が居る状況で効果を発動したという事は、つまり───
メアリー「───自身をEXデッキに戻し、キムンファルコスのもう一つの効果!発動!」
チェーン①
『聖霊獣騎 キムンファルコス』
手札の霊獣モンスター1体を召喚する。
チェーン②
『聖霊獣騎 キムンファルコス』
除外されている『精霊獣 ラムペンタ』と『精霊獣使い ウィンダ』を守備表示で特殊召喚
メアリー「キムンファルコスはラムペンタとウィンダに分離し、手札からは『霊獣使い レラ』を召喚!!」
『精霊獣 ラムペンタ』[DEF 400]
『精霊獣使い ウィンダ』[DEF 1800]
『霊獣使い レラ』[ATK 100]
メアリー「まだよ!召喚したレラの効果と───永続魔法『霊獣の継聖』の更なる効果!」
(3):自分フィールドにモンスターが2体以上同時に特殊召喚された場合、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの表示形式を変更する。
チェーン①『霊獣使い レラ』
墓地の『精霊獣 アペライオ』を特殊召喚する。
チェーン②『霊獣の継聖』
『クラウソラスの影霊衣』の表示形式を変更する。
メアリー「『クラウソラスの影霊衣』には、Stand upして貰うわ!」
『クラウソラスの影霊衣』
守備表示→攻撃表示
[ATK 1200]
瑞希「…!クラウソラスが攻撃表示に……ッ!?」
ここに来て、大きく戦況が動いた。
高い守備力を持つクラウソラスが攻撃表示になった事で、EXから出たモンスターでなくとも、クラウソラスを倒せるラインにまで来てしまったのだ。
メアリー「更にレラの効果で墓地の『精霊獣 アペライオ』を特殊召喚!」[ATK 2300]
更には、『聖霊獣騎 カンナホーク』でサーチしたカードの存在が、瑞希に危機を感じさせるには十分すぎる程の圧を放っていた───
メアリー「続けて『精霊獣 ラムペンタ』の効果!」
《精霊獣
せいれいじゅう
ラムペンタ/Spiritual Beast Rampengu》 †
効果モンスター
星4/風属性/獣族/攻1600/守 400
自分は「精霊獣 ラムペンタ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
EXデッキから「霊獣」モンスター1体を除外し、
そのモンスターと同じ種族の「霊獣」モンスター1体をデッキから墓地へ送る。
メアリー「EXデッキから水族の『聖霊獣騎 ペトルフィン』を除外!そして同じ種族の『精霊獣 ペトルフィン』を墓地へ!」
瑞希「……!」
メアリー「『精霊獣 ラムペンタ』と『精霊獣使い ウィンダ』を除外し───獣騎一体!!」
出せる全てを出し尽くし、全員で、勝ちに行く。
メアリー「───Come on!!『聖霊獣騎 アペライオ』!!」
そして希望を胸に、人と獣は契りを結び立ち上がった。
『聖霊獣騎 アペライオ』[ATK 2600]
EXデッキからの連続召喚で軋む身体を気合いで支え、
メアリー「『精霊獣 アペライオ』の効果!」
(1):自分・相手ターンに1度、自分の墓地の「霊獣」カード1枚を除外して発動できる。
このターン中は自分フィールドの「霊獣」モンスターの攻撃力・守備力が500アップする。
メアリー「墓地のペトルフィンを除外!このターン中、場の霊獣モンスターのスタッツを強化するわ!」
『聖霊獣騎 アペライオ』[ATK 2600→3100]
『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』[ATK 2400→2900]
『精霊獣 アペライオ』[ATK 1800→2300]
『霊獣使い レラ』[ATK 100→600]
メアリー「…それだけじゃないわ。『霊獣の継聖』が場にある限り、アナタの場のモンスターの攻撃力は……場の霊獣モンスターの種族の種類x200ダウンする!」
現在、霊獣モンスターの種族の合計は───
『聖霊獣騎 アペライオ』[炎族]
『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』[幻竜族]
『精霊獣 アペライオ』[炎族]
『霊獣使い レラ』[サイキック族]
───3種類。
よって減少値は───600。
『クラウソラスの影霊衣』[ATK 1200→600]
『ユニコールの影霊衣』[ATK 2300→1700]
この600という数値は、この局面においてデュエルの命運を分けるほどに大きい。
瑞希「───ッッ!」
メアリー「───バトルフェイズ」
◉バトルフェイズ◉
メアリー「『精霊獣 アペライオ』で、『クラウソラスの影霊衣』をアタック!!」
『精霊獣 アペライオ』
[ATK 2300]
───VS───
[ATK 600]
『クラウソラスの影霊衣』
弱体化したとはいえ、唯一クラウソラスを倒せるアペライオが果敢にも襲いかかる───しかし只では倒れない。このダメージステップ時、
瑞希「───ッ『クラウソラスの影霊衣』の…ッ効果発動!!」
(2):エクストラデッキから特殊召喚された、
フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
ターン終了時まで、そのモンスターの攻撃力は0になり、効果は無効化される。
この効果は相手ターンでも発動できる。
瑞希「ノチウドラゴの攻撃力を0にし───効果を無効にする!!」
倒れる間際投げた剣はブーメランのように弧を描き、ノチウドラゴの身体に深々と突き刺さった。
『聖霊獣騎 ノチウドラゴ』[ATK 2900→0]
同時にアペライオがクラウソラスを打ち倒し、防ぎきれなかったアペライオの炎が瑞希を襲う───
瑞希「───ッ!」【LP 8000→6300】
闇のデュエルによる肉体へのダメージが身を焼く中、メアリーの次の攻撃がユニコールを捉えていた。
メアリー「───『聖霊獣騎 アペライオ』!!『ユニコールの影霊衣』をアタック!!」
単身で攻撃を終えたアペライオにレラが騎乗し、今度は成長した姿となってユニコールへとその燃え盛る炎を旋風に乗せて解き放った。
『聖霊獣騎 アペライオ』
[ATK 3100]
───VS───
[ATK 1700]
『ユニコールの影霊衣』
鈴華「融合モンスターのアペライオは…本来バトルを行う時、他のカードの効果を受けない……つまり、『精霊獣 アペライオ』による攻守強化をも受けなくなってしまう───けど、今は!」
瑞希「───ユニコールによりその効果は無効となっている……ッ…」
そう、自ら展開したユニコールが融合アペライオの効果を無効化する事で、アペライオ自身の『効果を受けない』効果までも無効にし、結果、本来起こり得ないフルパワーのアペライオが誕生し、その熱風は瑞希諸共ユニコールを焼き払った───
瑞希「───っが…ッ…ァぁあ!!」【LP 6300→4900】
自慢のボディスーツもところどころ破け、白い肌が顕になる。が、気にしていられない。すぐに次が来る。
メアリー「レラ!!ダイレクトアタック!行っといで!!」
『霊獣使い レラ』
[ATK 600]
───ATTACK───
【LP 4900】
『柏木 瑞希』
瑞希の盤面が空になったこのチャンスを逃す訳にはいかない。アペライオから飛び降りたレラはガラ空きとなったフィールドを駆け抜け、か弱いながらも重たい一撃を瑞希に浴びせた。
瑞希「…ッ!」【LP 4900→4300】
これでメアリーの場で攻撃を行っていないのは攻撃力0となったノチウドラゴのみ。
攻撃は止んだ───否。
メアリー「聞かせてもらうよ。アナタのたったひとりの妹───雫ちゃんのこと」
止んでない。残り1枚の手札が何なのか、瑞希は知っている。
メアリー「ちゃんと!!アナタの口から!!」
叫び、指にかけたのは、カンナホークの効果で手札に加えていた───“切り札(ラストカード)”。
メアリー「速攻魔法発動───『霊獣の相絆』」
《霊獣
れいじゅう
の相絆
しょうばん
/Ritual Beast's Bond》 †
速攻魔法
(1):自分フィールドの表側表示の「霊獣」モンスター2体を除外して発動できる。
EXデッキから「霊獣」モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。
メアリー「行くわよ───レラ!!みんな!!
ワタシはフィールドの『聖霊獣騎 アペライオ』と『霊獣使いレラを除外!!」
死の淵より蘇り、宿った力。
その内のふたつ目が───今解き放たれる。
メアリー「同胞より授かりし星の力よ!!今こそ天地を創造し───Perfectな未来を照らし出せっ!!」
EXデッキから放たれた輝きを受け、レラはその身を更に優雅に、更に絢爛に成長させてゆく───
メアリー「Come on!!リンク4!!!」
───リンク4。
そう宣言されたと同時に上空に現れた円環に、赤き矢印が4つ灯る。
瑞希「…リンク、4…ッ…!?」
そしてその円環を潜り抜け、遥か空の彼方より“それ”は舞い降りた。
メアリー「───『聖霊獣騎 レイラウタリ』!!」
豪華絢爛。金色の翼に白金の鎧を身に纏いし───聖龍。
「ガァアアアァアァアァアアァァアァアアァアアア!!!」[ATK 2600→3100]
同胞たちの思いを受け、聖龍は激しい叫びを上げた。
怒りや悲しみなど、様々な感情が入り混じった様にも聞こえるそれは、この美の間だけでなく、神星樹の各地にも響き渡る程のもので───
瑞希「…ッ……!」
室内が振動に揺れる最中、瑞希は唇を噛み拳を握る。
有利に決闘を進めていたはずが、いつの間にか追い詰められている事実に、瑞希は酷く焦っていた。
そんな中、更に追い討ちをかける様に───
メアリー「ねえ、瑞希ちゃん」
メアリーは、問う。
メアリー「───アナタ、雫ちゃんを護るために闘ってるんじゃない?」
それは、これまでのどのカードプレイングよりも───鋭利な、一手だった。
To Be Continued…
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122 | DRAW:22 戒めの斬波①戒め | 1703 | 2 | 2013-06-24 | - | |
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173 | DRAW:26 戒めの斬波⑤恐怖 | 1795 | 1 | 2013-08-20 | - | |
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92 | DRAW:29戒めの斬波⑧覇王バルバロス | 1577 | 0 | 2013-10-27 | - | |
108 | DRAW:30 戒めの斬波⑨-開闢- | 1564 | 1 | 2014-01-10 | - | |
179 | DRAW:31 強くなるために | 1715 | 0 | 2014-01-17 | - | |
144 | DRAW:32美味!神秘の中華料理デッキ | 1785 | 2 | 2014-02-18 | - | |
78 | DRAW:33 “弱さ” | 1583 | 1 | 2014-03-27 | - | |
99 | DRAW:34 焔の中で… | 1629 | 0 | 2014-05-01 | - | |
100 | DRAW:35 One Hand Red | 1567 | 0 | 2014-06-16 | - | |
92 | DRAW:36 枯れない決闘者 | 1828 | 1 | 2014-07-31 | - | |
152 | DRAW:37 ファイア・ブロッサム | 1752 | 1 | 2014-09-20 | - | |
119 | DRAW:38 不穏の幕開け | 1698 | 2 | 2015-01-06 | - | |
99 | DRAW:39 〝断罪の剣〟 | 1628 | 0 | 2015-01-17 | - | |
121 | DRAW:40 〝戒めの剣〟 | 1558 | 0 | 2015-03-19 | - | |
95 | DRAW:41 戦火の残光 | 1597 | 1 | 2015-03-26 | - | |
101 | DRAW:42 開幕! 夏の権利戦! | 1597 | 0 | 2015-04-03 | - | |
125 | DRAW:43 再来!ゴブ突ビート! | 1449 | 0 | 2015-05-02 | - | |
126 | DRAW:44 打ち破れ! 使い魔ロック | 1483 | 0 | 2015-06-07 | - | |
98 | DRAW:45 シムルグの神風! | 1554 | 2 | 2015-06-17 | - | |
150 | DRAW:46 フレグランス・ストーム | 1453 | 1 | 2015-08-01 | - | |
78 | DRAW:47 旋風のドラグニティ! | 1396 | 1 | 2015-08-22 | - | |
62 | DRAW48 竜騎アームズーレヴァテイン | 1460 | 0 | 2015-09-23 | - | |
88 | DRAW:EX2 エンドレス・ナイト♪ | 1380 | 1 | 2015-10-31 | - | |
78 | DRAW:49 秘められし力、竜鳥激突! | 1307 | 0 | 2015-11-06 | - | |
166 | DRAW:50 決着!選ばれし権利獲得者 | 1454 | 0 | 2015-11-15 | - | |
97 | DRAW:51 ほつれた糸 | 1407 | 0 | 2015-12-20 | - | |
147 | DRAW:52 二枚の羽 | 1465 | 0 | 2016-01-31 | - | |
139 | DRAW:53 左支右吾 | 1350 | 1 | 2016-02-24 | - | |
137 | DRAW:54 それぞれの想い | 1406 | 5 | 2016-02-29 | - | |
116 | DRAW:55 開戦! WDCS予選 | 1417 | 1 | 2016-05-21 | - | |
119 | DRAW:56 闘いの伝導 | 1357 | 0 | 2016-05-30 | - | |
158 | DRAW:57 復讐を映す儀水鏡 | 1425 | 1 | 2016-06-10 | - | |
132 | DRAW:58 クロス・デュエル | 1435 | 2 | 2016-06-15 | - | |
158 | DRAW:59 動き出す終焉 | 1547 | 0 | 2016-06-17 | - | |
154 | DRAW:60 豪炎の決闘 | 1491 | 1 | 2016-06-24 | - | |
120 | DRAW:61 真炎の爆発 | 1428 | 0 | 2016-07-30 | - | |
160 | DRAW:62〝不滅の焔〟 | 1554 | 2 | 2016-08-20 | - | |
104 | DRAW:63 強襲、煉獄の悪魔 | 1537 | 0 | 2016-08-31 | - | |
128 | DRAW:64 崩落の彼方 | 1396 | 2 | 2017-01-09 | - | |
155 | DRAW:65 精霊達の鎮魂歌 | 1371 | 0 | 2017-01-11 | - | |
171 | DRAW:66 復讐に揺らぐ陽炎 | 1501 | 0 | 2017-01-24 | - | |
161 | DRAW:67 思いを乗せた拳 | 1399 | 0 | 2017-02-24 | - | |
138 | DRAW:68 左腕の代償 | 1423 | 0 | 2017-02-27 | - | |
81 | DRAW:69 迫る脅威 | 1313 | 0 | 2017-03-07 | - | |
192 | DRAW:EX4 30000の感謝 | 1525 | 1 | 2017-03-16 | - | |
105 | DRAW:70 光と影、右と左 | 1296 | 0 | 2017-03-22 | - | |
148 | DRAW:71 代償を負う者 | 1277 | 0 | 2017-03-25 | - | |
129 | DRAW:72 枯れない意思 | 1202 | 0 | 2017-04-01 | - | |
143 | DRAW:73 森羅の守神 | 1310 | 0 | 2017-04-07 | - | |
180 | DRAW:74 灯る魔光焔 | 1367 | 0 | 2017-04-18 | - | |
126 | DRAW75Perfect Tierra | 1273 | 1 | 2017-04-27 | - | |
207 | DRAW:76 RISE-ライズ- | 1445 | 0 | 2017-04-30 | - | |
129 | DRAW:77 昇る光柱 | 1267 | 0 | 2017-05-01 | - | |
192 | DRAW:78 “精霊王”ルナ光臨 | 1597 | 0 | 2017-05-02 | - | |
151 | DRAW:79 終結を告げる意思 | 1370 | 0 | 2017-05-05 | - | |
144 | DRAW:80 -My Dream- | 1290 | 0 | 2017-05-07 | - | |
152 | DRAW:81 集結、選ばれし決闘者達 | 1338 | 0 | 2017-05-18 | - | |
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139 | DRAW:90 VS黒焔トークン②地縛 | 1168 | 1 | 2017-06-15 | - | |
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142 | DRAW:96 VS黒焔トークン⑧逆境 | 1260 | 0 | 2017-06-25 | - | |
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156 | DRAW:104 割り切れぬ想い | 1150 | 0 | 2017-07-22 | - | |
148 | DRAW:105 零るる一滴 | 1313 | 0 | 2017-07-23 | - | |
99 | DRAW:106 いざ、合宿へ!! | 1119 | 3 | 2017-07-26 | - | |
126 | DRAW:107 海だぁあぁぁあっっ!! | 1116 | 0 | 2017-08-04 | - | |
136 | DRAW:108 忍び寄る魔手 | 1151 | 0 | 2017-08-07 | - | |
163 | DRAW:109 潜海の巨大烏賊 | 1362 | 0 | 2017-08-14 | - | |
180 | DRAW:110 不死鳥の反撃 | 1246 | 0 | 2017-08-18 | - | |
122 | DRAW:111 食材トレジャー! | 1069 | 0 | 2017-08-23 | - | |
157 | DRAW:112 食事、そして体力テスト | 1187 | 0 | 2017-08-27 | - | |
165 | DRAW:113 湯煙の果てに | 1087 | 0 | 2017-09-07 | - | |
112 | DRAW:114 町長、現る | 1050 | 0 | 2017-09-08 | - | |
138 | DRAW:115 意地の衝突 | 1067 | 0 | 2017-09-12 | - | |
156 | DRAW:116 混沌なる叫び | 1089 | 0 | 2017-09-15 | - | |
165 | DRAW:117 森林に潜む影 | 1147 | 0 | 2017-09-19 | - | |
124 | DRAW:118 WILD FANG | 1085 | 0 | 2017-09-20 | - | |
133 | DRAW:119 森の怒り | 1069 | 0 | 2017-09-25 | - | |
124 | DRAW:120 森羅、震撃 | 1135 | 0 | 2017-10-06 | - | |
133 | DRAW:121 牙獣の咆哮 | 1177 | 0 | 2017-10-08 | - | |
172 | DRAW:122 揺れるマインド | 1189 | 0 | 2017-10-11 | - | |
164 | DRAW:123 変わらないはずなのに | 1315 | 0 | 2017-10-17 | - | |
133 | DRAW:124 神鳥に迫る影 | 1104 | 0 | 2017-10-21 | - | |
153 | DRAW:125 死の風吹き荒ぶ | 1143 | 0 | 2017-10-24 | - | |
159 | DRAW:126 騎雷鳥VS黒神鳥 | 1184 | 0 | 2017-10-26 | - | |
151 | DRAW:127 疾風迅雷 | 1134 | 0 | 2017-10-27 | - | |
135 | DRAW:128砕ける“へーじょーしん” | 1086 | 0 | 2017-10-28 | - | |
141 | DRAW:129 姉と妹 | 1028 | 0 | 2017-11-02 | - | |
172 | DRAW:130 楽な気持ちで | 1092 | 0 | 2017-11-07 | - | |
157 | DRAW:131 桜の庭 | 1166 | 0 | 2017-11-13 | - | |
147 | DRAW:132 儀水鏡に映る炎 | 1100 | 0 | 2017-11-16 | - | |
149 | DRAW:133 導いた答え・明くる道 | 1171 | 0 | 2017-11-20 | - | |
140 | DRAW:134 告白 | 1118 | 0 | 2017-11-21 | - | |
79 | DRAW:135 “影”の襲撃 | 999 | 0 | 2017-11-26 | - | |
114 | DRAW:136 堕ち影の蠢き | 954 | 0 | 2017-12-02 | - | |
127 | DRAW:137 “堕ちてきた者たち” | 913 | 0 | 2017-12-08 | - | |
137 | DRAW:138 音を立てて砕ける心 | 1127 | 0 | 2017-12-09 | - | |
113 | DRAW:139 燃え滾るは友が為 | 1090 | 0 | 2017-12-10 | - | |
169 | DRAW:140 届いた光 | 1006 | 0 | 2017-12-12 | - | |
68 | DRAW:141 受けた傷は深く | 896 | 0 | 2017-12-19 | - | |
81 | DRAW:142 這い寄る終焉 | 1070 | 0 | 2017-12-21 | - | |
103 | DRAW:143 “毎日”を守るために | 1125 | 0 | 2017-12-22 | - | |
150 | ◉キャラ紹介◉Side火群*6/12更新 | 1335 | 0 | 2017-12-28 | - | |
93 | DRAW:144 竜霊山での出会い | 979 | 0 | 2017-12-31 | - | |
76 | DRAW:EX5光の速さで今年を振り返る | 945 | 2 | 2017-12-31 | - | |
76 | 年、明けてました | 944 | 1 | 2018-01-03 | - | |
146 | DRAW:145 実力伯仲 | 995 | 0 | 2018-01-04 | - | |
84 | DRAW:146 拮抗勝負 | 981 | 0 | 2018-01-05 | - | |
52 | DRAW:147 真剣勝負の行方 | 845 | 0 | 2018-01-07 | - | |
76 | DRAW:148 眠る霊魂達 | 860 | 0 | 2018-01-10 | - | |
139 | DRAW:149 近づく狂気 | 1008 | 0 | 2018-01-12 | - | |
132 | DRAW:150 Sisters | 1122 | 0 | 2018-01-13 | - | |
69 | DRAW:151 真夜中の決闘 | 939 | 0 | 2018-01-19 | - | |
86 | DRAW:152 進撃、文具のサイボーグ | 954 | 0 | 2018-01-25 | - | |
77 | DRAW:153 裁きの答案返却 | 888 | 0 | 2018-01-27 | - | |
156 | DRAW:154 理科室の攻防 | 957 | 0 | 2018-02-01 | - | |
73 | DRAW:155 衝突と協力 | 934 | 0 | 2018-02-06 | - | |
77 | DRAW:156 森羅の鎮神 | 913 | 0 | 2018-02-08 | - | |
65 | DRAW:157 教師として | 991 | 1 | 2018-03-11 | - | |
84 | DRAW:158《連立方程式》 | 979 | 0 | 2018-03-23 | - | |
68 | DRAW:159 炎の料理人・美 好 | 896 | 0 | 2018-03-24 | - | |
77 | DRAW:160 誰が為に | 942 | 0 | 2018-03-26 | - | |
64 | DRAW:161 苦しき決着 | 917 | 0 | 2018-03-28 | - | |
76 | DRAW:162 霊山に墜つる火柱 | 975 | 0 | 2018-03-31 | - | |
115 | DRAW:163 竜霊山防衛戦 | 908 | 0 | 2018-04-11 | - | |
132 | DRAW:164 侵略の三龍 | 1091 | 0 | 2018-04-12 | - | |
122 | DRAW:165 その拳は疾風の如く | 1024 | 0 | 2018-04-14 | - | |
80 | DRAW:166 ロスト・サンクチュアリ | 986 | 0 | 2018-04-23 | - | |
142 | DRAW:167 神槍の導き | 1067 | 0 | 2018-04-26 | - | |
135 | DRAW:168 ドラグニティ・ドライブ | 964 | 0 | 2018-04-27 | - | |
61 | DRAW:169 魂宿る拳 | 908 | 0 | 2018-04-28 | - | |
126 | DRAW:170 機械仕掛けの防衛戦 | 907 | 0 | 2018-04-29 | - | |
144 | DRAW:171 夜空を照らす一等星 | 980 | 0 | 2018-05-01 | - | |
151 | DRAW:172 影の霊衣を纏う者 | 994 | 0 | 2018-05-03 | - | |
103 | DRAW:173 絶望の淵 | 876 | 0 | 2018-05-05 | - | |
123 | DRAW:174 私の中の白と黒 | 905 | 0 | 2018-05-06 | - | |
143 | DRAW:175 女神の微笑み | 992 | 0 | 2018-05-10 | - | |
106 | DRAW:176 星戦の行方 | 1050 | 0 | 2018-05-12 | - | |
86 | DRAW:177〝生命の焔〟 | 881 | 0 | 2018-05-26 | - | |
74 | DRAW:178 炎は奔る | 949 | 0 | 2018-05-28 | - | |
135 | DRAW:179 ネロ | 986 | 0 | 2018-06-01 | - | |
95 | DRAW:180 最悪の再会 | 964 | 0 | 2018-06-06 | - | |
130 | DRAW:181 氷獄の霊槍 | 955 | 0 | 2018-06-10 | - | |
126 | DRAW182 Past Reflect | 957 | 0 | 2018-06-13 | - | |
161 | DRAW:183 闘いの跡 | 1130 | 0 | 2018-06-24 | - | |
92 | DRAW:184 -YAGAMI- | 1042 | 0 | 2018-06-29 | - | |
82 | DRAW:185 -Qliphort- | 959 | 0 | 2018-07-06 | - | |
187 | DRAW:186 命を懸けた決闘 | 1109 | 0 | 2018-07-18 | - | |
109 | DRAW:187-Infernoid- | 1115 | 0 | 2018-07-22 | - | |
98 | DRAW:188 -Mine- | 1113 | 0 | 2018-08-03 | - | |
406 | DRAW:189 第10のクリファ | 1402 | 0 | 2018-08-09 | - | |
85 | DRAW:190 悪魔が産まれた日 | 1127 | 0 | 2018-08-20 | - | |
119 | DRAW:191 -Diabolos- | 1231 | 0 | 2018-08-24 | - | |
90 | DRAW:192 今できること | 821 | 0 | 2018-09-03 | - | |
131 | DRAW:193 今できること②距離 | 931 | 0 | 2018-09-13 | - | |
107 | DRAW:194 今できること③決意 | 894 | 0 | 2018-09-16 | - | |
121 | DRAW:195 今できること④意思 | 877 | 0 | 2018-09-27 | - | |
68 | DRAW:196 今できること⑤家族 | 807 | 0 | 2018-10-02 | - | |
108 | DRAW:197 炎花-ホノカ- | 992 | 0 | 2018-10-07 | - | |
91 | DRAW:198 あの日の衝動 | 998 | 0 | 2018-10-09 | - | |
113 | DRAW:199 〝破滅の焔〟 | 860 | 0 | 2018-10-18 | - | |
134 | DRAW:200〝破壊と創造〟 | 1057 | 2 | 2018-11-11 | - | |
123 | 2章幕間① 願いは地に、祈りは天に | 971 | 0 | 2018-11-12 | - | |
62 | 2章幕間② 前へ | 851 | 2 | 2018-11-15 | - | |
81 | 2章幕間③ 戒めの記憶 | 965 | 0 | 2018-11-21 | - | |
66 | 2章幕間④ 断罪と陽炎 | 832 | 0 | 2018-11-27 | - | |
109 | 2章幕間⑤ 約束の朝 | 804 | 0 | 2018-12-04 | - | |
116 | 2章幕間⑥ その手は届かない | 968 | 0 | 2018-12-12 | - | |
73 | DRAW:201 不死鳥の精神 | 926 | 0 | 2018-12-22 | - | |
67 | DRAW:202 Sephiroth | 853 | 0 | 2019-01-05 | - | |
55 | DRAW:203 ユニコーンの煌めき | 903 | 0 | 2019-01-07 | - | |
67 | DRAW:204 ただ一つの突破口 | 985 | 0 | 2019-01-13 | - | |
78 | DRAW:205 栄光の間 | 903 | 0 | 2019-01-19 | - | |
97 | DRAW:206 選んだ道は… | 818 | 0 | 2019-01-25 | - | |
67 | DRAW:207命を燃やせ!-爆炎同調- | 920 | 0 | 2019-01-30 | - | |
108 | DRAW:208〝エクストラ・マジック〟 | 924 | 0 | 2019-02-06 | - | |
86 | DRAW:209 最後の授業 | 961 | 0 | 2019-03-04 | - | |
93 | DRAW:210 -LINK- | 808 | 0 | 2019-03-27 | - | |
127 | DRAW:211 精霊との絆 | 999 | 0 | 2019-04-04 | - | |
88 | DRAW:212 限界 | 666 | 0 | 2019-04-16 | - | |
87 | DRAW:213 神鳥の来寇 | 697 | 0 | 2019-05-02 | - | |
88 | DRAW:214 烈風の覇者 | 734 | 0 | 2019-05-26 | - | |
82 | DRAW:215 ハニートラップ | 730 | 0 | 2019-06-15 | - | |
131 | DRAW:216 大切な友達だから | 789 | 0 | 2019-06-20 | - | |
98 | DRAW:217 轟き、破壊せん | 923 | 0 | 2019-07-22 | - | |
91 | DRAW:218 混沌の大渦 | 860 | 0 | 2019-08-14 | - | |
81 | DRAW:219 正義の味方 | 763 | 0 | 2019-10-01 | - | |
85 | DRAW:220 正義の味方② | 792 | 0 | 2019-12-13 | - | |
80 | DRAW:221 正義の味方③ | 684 | 0 | 2020-02-01 | - | |
58 | DRAW:222 再来の火柱 | 667 | 0 | 2020-02-22 | - | |
74 | DRAW223 NEXT→My turn | 673 | 0 | 2020-03-23 | - | |
76 | DRAW224 Hand to Hand | 566 | 0 | 2020-05-01 | - | |
75 | DRAW:225 銃撃、狂騒 | 692 | 0 | 2020-05-02 | - | |
45 | DRAW:226 Two Hundred | 488 | 0 | 2022-12-14 | - | |
27 | DRAW:227 魂のバトン | 346 | 0 | 2022-12-28 | - | |
55 | 明けまして10周年(10周年‼︎⁇) | 509 | 2 | 2023-01-03 | - | |
40 | DRAW:228 星守の騎士団 | 420 | 0 | 2023-01-11 | - | |
39 | DRAW:229 涙は星屑と消ゆ | 436 | 0 | 2023-01-24 | - | |
52 | DRAW:230 託された竜魂 | 548 | 0 | 2023-02-14 | - | |
36 | DRAW:231 ひとりぼっちの流星群 | 398 | 0 | 2023-02-28 | - | |
45 | DRAW:232 失われし力、星霜を重ね | 534 | 0 | 2023-03-17 | - | |
32 | DRAW:233 ヨゾラ ノ イチブ | 401 | 1 | 2023-06-23 | - | |
27 | DRAW:234 氷結界の三龍 | 314 | 0 | 2023-07-19 | - | |
26 | DRAW:235 正義と悪を映す水鏡 | 351 | 0 | 2023-08-15 | - | |
29 | DRAW:236 氷魔の龍VS氷魔の鏡 | 241 | 0 | 2023-08-26 | - | |
23 | DRAW:237 枯れないゴールキーパー | 258 | 0 | 2023-09-08 | - | |
28 | DRAW:238黙示録の獣機王“キング” | 262 | 0 | 2023-09-23 | - | |
22 | DRAW:239 凍る渓谷!氷獄の鼓動 | 262 | 0 | 2023-11-03 | - | |
44 | DRAW:240 天龍雪獄!放て魂の一撃 | 456 | 0 | 2023-11-27 | - | |
21 | DRAW:241 トライブ・フォース | 246 | 0 | 2024-01-07 | - | |
26 | DRAW:242 “白き神判” | 266 | 0 | 2024-02-23 | - | |
42 | DRAW:243 龍祖、氷臨 | 271 | 0 | 2024-03-21 | - | |
22 | DRAW:244〝永遠の焔〟 | 228 | 0 | 2024-05-17 | - | |
27 | DRAW:245 勇者に、微笑みを | 231 | 0 | 2024-06-20 | - | |
20 | DRAW:246 永炎のダークフェアリー | 147 | 0 | 2024-07-30 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/11/23 新商品 TERMINAL WORLD 2 カードリスト追加。
- 12/05 09:56 評価 5点 《クリフォート・アクセス》「総合評価:他のクリフォートと比べる…
- 12/05 09:51 評価 7点 《クリフォート・アーカイブ》「総合評価:リリースコストに使い、…
- 12/05 09:49 評価 7点 《クリフォート・ゲノム》「他のカードのリリースコストに使いバッ…
- 12/05 09:39 ボケ カオス・ソルジャー -宵闇の使者-の新規ボケ。Sin カオス・ソルジ…
- 12/05 08:11 評価 10点 《トロイメア・マーメイド》「 MDで遂に復活する事が確定した…
- 12/05 08:04 評価 5点 《極夜の騎士ガイア》「《カオス・ソルジャー -宵闇の使者-》の…
- 12/05 03:09 評価 7点 《E・HERO エアー・ネオス》「詳細不明だが公式から黒歴史扱…
- 12/05 00:14 評価 6点 《エルシャドール・ウェンディゴ》「風のエルシャドール。憑依元は…
- 12/05 00:11 一言 ここまで解除するならモルモやブルホーンも緩和してほしかった……
- 12/05 00:01 掲示板 SS始めてみた
- 12/04 23:56 評価 9点 《エルシャドール・シェキナーガ》「地のエルシャドール。憑依元は…
- 12/04 23:32 評価 8点 《エルシャドール・アノマリリス》「水のエルシャドール。憑依元は…
- 12/04 23:06 評価 6点 《甲化鎧骨格》「がっちり描き込まれたメカイラストが特徴の汎用シ…
- 12/04 20:06 一言 クリスマスシーズンですからね 昨年もOCGを他所に征竜緩和したり会局…
- 12/04 19:49 評価 9点 《混沌空間》「除外すればする程カウンターが載せられて、4つ以上…
- 12/04 19:18 評価 10点 《騎士皇プリメラ・プリムス》「このカード自体は文句無しの10点…
- 12/04 18:51 評価 5点 《かなり魅湧な受注水産》「速攻魔法かと思いきや通常魔法……。 マ…
- 12/04 18:37 評価 6点 《宵星の閃光》「後攻1ターン目に捲くり札として使うには心もとな…
- 12/04 17:23 評価 2点 《ミクロ光線》「場のモンスター1体の守備力を0にする通常罠。 攻…
- 12/04 17:09 一言 MDの新レギュでもドラグーン釈放決定、(※あちらはアナコンダが使える) …
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