DRAW:１３５ “影”の襲撃　作：人喰い

(135)




ニクス「……火群たち、わだかまりは消えたようだな」

千愛「………ええ、そうね」

ヒュペリオン『…お前たちは手助けをしていないのか？』

ニクス「…ああ、ここに来てからは、必要以上に私たち精霊を頼らせていない」

千愛「……和泉たちには、人間同士の友好関係をもっと築いて貰いたくて、私たちは基本的に出しゃばらないようにするって決めていたのよ」

ヒュペリオン『……ふむ。なるほどな…』

ニクス「…途中ヒヤヒヤしたが、この様子ならうまくいきそうだな」

千愛「…ええ……」

ヒュペリオン『……だが…、気づいているか？ お前たち』

ニクス「……！ 精霊王の力が…弱まって来ている事か…っ」

千愛「もちろん気づいてるわ。引き続き、警戒を怠らないようにしないとね」

ヒュペリオン『ワタシも小惑星を旋回させ警戒態勢に入る。この町が襲われる事が無いとも言いきれない』

ニクス「ーーー何もなければ…良いのだがな…」
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１３５ーーー
《“影”の襲撃》















ーーー翌日。


メアリー「ーーーえーっ！！ シルバさん、もう行っちゃうんですか！？」

シルバ「……ああ。急な招集がかかってな。すまないが、今日のところは子供達を頼んだぞ、ベイクウェル」

メアリー「アイアイサ！」

シルバ「…これが訓練メニューだ」

メアリー「…ハイ！ って…っかなりハードっすね…」

シルバ「…仕上げを急がなくてはならない理由ができたんだ。皆には、今日のうちになるべく完成に近づけ、翌日にはしっかりと身体を休めるように言っておいてくれ」

メアリー「…了解！」





………





メアリー「ーーーと、言うわけで！ 今日は自分の決闘をモノにできるまで死ぬ気で決闘よっっ！！」

アーミーくん「「「ギランっ」」」


火群「…そうこなくっちゃな…！！」

和泉「火群くん、燃えてるね〜。
でも張り切りすぎて余計なミスしなければいいけどっ」

火群「だ、大丈夫だって！」


鈴華「……ねぇねぇ雫」

雫「…どうしたんですか？ 鈴華サン」

鈴華「あの二人、何かあった？」

雫「……サァ？ ワタシハナニモシリマセンヨ？」

鈴華「露骨に怪しすぎますわっ！」

結維「鈴華にはまだ早いって事よ。ねー、雫」

雫「ネー」

鈴華「キィーっっ！ 私を除け者にしないでよぉっ！」


栗須「……おいおめーら！ イチャイチャしてんじゃねーぞ！」

火群・和泉「「してないしっっ！！」」


栗須「……明日人もなんとか言ってやれよ。このまま黙って取られちまっていいのか？」

明日人「は？ 何のことだよ？」

栗須「火群を」

明日人「俺はホモじゃねぇっ！」

鈴華「………！！」

明日人「おいコラそこのチョココロネ、反応すんなっ！」



戒「……いつまでも騒がしい連中だ…」

メアリー「…けど、馬鹿みたいに笑い合ったこの時間が、この一瞬が、みんなにとって何より劣る事無いーーー大きな力になるのよ」

戒「……それがこの合宿を計画した本当の理由……か。
……俺には…、理解できません」



明日人「それより決闘だ決闘！
俺たちは、まだまだ強くならないといけないみたいだからな…！」



「「デュエルスタンバイ！！」」


「「決闘！！」」





戒（…俺はこれ以上、他人と馴れ合ってはいけない……。
これは、大切なものを護れなかった俺のーーー“戒め”だ）





＊＊＊





？？？「……使えないなぁ……。せっかく僕が玩具にしてあげたっていうのに、一瞬でやられちゃうなんて」

？？？「…マイン様が言うには、そろそろ頃合いみたいだし、また軽く挨拶にでも行こうかな…♪」





＊＊＊




【SIDE 火群】


〜休憩時間〜


栗須「ーーー！！」


火群「どうした？ 栗須」

栗須「……いや、なんだかわかんねぇけど…、寒気が……」

明日人「風邪か？」

栗須（……まるで、昨日あいつに会った時みたいに、一瞬身体が動かなくなった…。けど今はなんともねぇ。気のせい……か…？）


栗須「…そういや、戒のヤローはまた1人でどっか行っちまって…。相変わらず友情を深める気はねーみてーだな。キザなヤローだぜ」

火群「…あいつの場合は、なんか違う気がする」

明日人「どういう事だ？」

火群「…なんつーか、他人を傷つけないように、無理して他人から遠ざかっているっていうかさ……」

俺がそうだったから、そう思うだけなのかもしれない……けど。

火群「…ちょっと散歩してくる」

栗須「…あっ、おい！ 火群！？」


火群「………っ…」


あいつがもし俺と同じならーーー。


なんとかしてやりたい。そう思っちまうんだ。





＊＊＊




【SIDE 戒】


〜積木町・路地裏〜


戒「………」

精霊王は言った。決戦の日まで、終焉の焔と人間界の決闘者との抗争は禁ずる、と。

戒「……なのに、だ」

YAGAMI本社での一件といい、昨日の古宮の件といい…、奴らは攻撃の手を緩める気が無い。
そして精霊王はその事実に当然気づいているはずだ。しかし手を打たない。それはなぜだ…？

戒「…あまり考えたく無いが、精霊王の力が弱まってきているという事なのか…？」

その上、終焉の焔もそれに気づき始めているとしたら……ッ。


戒「ーーー！！！」


刹那。


まだ昼間だと言うのに、急に辺りが暗くなる。

戒「……ッ…！！」

この感覚は知っている。

心臓を縛り付けられるような…果てしない不快感とプレッシャー…！！

ーーー俺はこいつを斬る為に、今まで剣を磨いてきたんだ…ッ！！



？？？「ーーーやぁ、久し振り」



決闘盤を構え、目の前の“敵”の名を呼ぶ。



戒「ーーー『ジャラン=カルディーネ』ッッ！！」


ジャラン「………良い敵意だ。斬波 戒」

“敵”も漆黒のローブの中から決闘盤を取り出し装着する。


ジャラン「…しかしマナーがなってないね。ーーー今日は特別に、僕が相手してあげるよ」



頰を吊り上げ、“影”は笑う。











To Be Continued…






《次回予告》


鈴華「…全く、2人してワタシを子供扱いして…っ」

結維「だって鈴華、まだ下の毛も生えてないじゃない」

鈴華「生えてますわよっっ！！ 薄いだけで！！」



雫「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１３６《堕ち影の蠢き》っ」



雫「次回もお楽しみにっ、ですっ」


雫「…ところで鈴華さん、どうしたんですか…？ そんなに大量のワカメを買ってきて……」

鈴華「ほっといてよっ！！」





＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙