DRAW:１１９ 森の怒り　作：人喰い

(119)



〜積木町・山奥〜


雫「……火群さん…っ。なんで…自分が怪我してまで私のことを助けて…っ！」

火群「…助けたかったんだ。柏木さんの事。
…だから、そんなに気にしないでいいよ」

雫「……！火群…さん……っ…！」

雫「あ、あと…、その足は…！？」

結維「…精霊と同調し、その力を脚部に集中させた。……ってところかしら？ 昨日、斬波くんが言ってたことの応用ね」

火群「…説明の手間が省けて助かるぜ、結維さん。まぁそんな感じだな。昨日軽く練習して、そん時はうまくいかなかったんだけど……」

雫「はわわわ…、ぶっつけ本番だったんですか…！？」

火群「ああ。うまくいって本当によかった……もう戻っていいぜ、ニクス」

火群が声をかけると、足の装備が炎となって消え、ニクスが精霊体に戻る。

火群「お疲れ、ニクス。来てくれてて助かった…！」

結維「……熊と交戦してた事といい、ほんっと無茶するわね…。和泉に後で絶対怒られるわよ…」

雫（…和泉さんに……っ)

火群「…うぐ……それは勘弁してもらいたいところだ……」

雫「………、あ、あの！ 和泉さんと火群さんって、一体どういうーーー」

熊「グルルァァァアッッ！！」

雫の声は熊の咆哮によって遮られる。

雫「…！」

火群「決闘が始まるみたいだな…！ 頼むぜ、クラース！！」

雫「………っ…」

火群「…それで柏木さん、今なんて…？」

雫「…いっ、いえ！ なんでもないんです！ 気にしないでください…っ」

火群「…？ わ、わかった」

雫「……」



前髪に隠れた、瞳が揺れる。
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１１９ーーー
《森の怒り》















◉TURN０１◉

熊「グルァァ！ 『俺の先攻！！』」【手札 5】

火群「！？」

栗須「熊が……ｼｬﾍﾞｯﾀｧｧｧｱｧｧｧｱｧｧ‼︎」

結維「…違う。決闘盤に翻訳機能が付いてるのよ」

結維（…すると、あれを取り付けた人物がいるって事になるけど…。
…あの熊、何か事情がありそうね）

結維「…ちょっと席を外すわ。この場は任せたわよ、ソロデュエリストさん」

ﾀﾞｯ‼︎

火群「……え…っ？ ちょっ、結維さん！？」

雫「…行っちゃいましたね…」

火群「…一体どこに行くっつーんだよ…っ」


熊「グルルァァ！ ルァァアア！『俺は、モンスターをセット！更にカードを一枚伏せ、ターンエンドだ！』」



◉TURN０２◉


明日人「ーーー俺のターン！！ ドロー！！」【手札 6】

明日人「…『ローンファイア・ブロッサム』を召喚！！」[ATK 500]


《ローンファイア・ブロッサム/Lonefire Blossom》 †
効果モンスター
星３/炎属性/植物族/攻 500/守1400
(1)：１ターンに１度、自分フィールドの表側表示の
植物族モンスター１体をリリースして発動できる。
デッキから植物族モンスター１体を特殊召喚する。


火群「…いつもの初動だ…！（すると出て来るのは、ギガプラントか…、それともティタニアルか…？)」


明日人（……俺だって…、反帝アリーナで終焉の焔の奴に負けてから、ただ無駄に過ごしてきたわけじゃねぇ…！！）



〜〜〜



ーーー1週間前。


園長「ーーー明日人、お前、そのカード……っ！」

明日人「……ああ、御守りに持ってた…大樹のカード。俺にも、その力を使うことができたんだ」

園長「…そうか……。それなら、このカード達を持っていくんだ、明日人」

明日人「…！ これは……！？」

園長「…父さんが使っていたデッキの仲間達だ」

明日人「！！」

園長「なに、心配するな！ 今の明日人には大樹の護り神様もいる。きっと使いこなせるさ」

明日人「……ありがとう。父さん」





〜〜〜


明日人「ーーーローンファイアの効果発動！！ デッキから現れろ！！『森羅の仙樹 レギア』！！」[ATK 2700]


火群「…！？ なんだ…っ？ あのカードは…！？ 今までのクラースのデッキには無かった…！」

メアリー「……ふぅん…♪『森羅』……ネ…っ♪」

明日人「続けて俺は、手札からフィールド魔法『森羅の霊峰』を発動！！」


《森羅
しんら
の霊峰
れいほう
/Mount Sylvania》 †
フィールド魔法
自分のメインフェイズ時に手札または自分フィールド上に表側表示で存在する、
植物族モンスター１体を墓地へ送って発動できる。
デッキから「森羅」と名のついたカード１枚を選んでデッキの一番上に置く。
「森羅の霊峰」のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。
また、相手のエンドフェイズ時に１度だけ、
自分のデッキの一番上のカードをめくる事ができる。
めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのカードを墓地へ送る。
違った場合、そのカードをデッキの一番上または一番下に戻す。


明日人「…『森羅の霊峰』、効果発動！ 手札の『森羅の隠蜜 スナッフ』を墓地へ送り、デッキの『森羅の神芽 スプラウト』をデッキの一番上へ！！」

熊「グルル……？」

火群「…デッキからデッキの一番上へ…？」

雫「……あれがどう絡んでくるのでしょうか…？」

明日人「すぐにわかるぜ…！ 手札から墓地へ送られたスナッフの効果発動！」


《森羅
しんら
の隠蜜
おんみつ
スナッフ/Sylvan Snapdrassinagon》 †
効果モンスター
星１/闇属性/植物族/攻 900/守 400
手札・フィールド上のこのカードが墓地へ送られた場合、
自分のデッキの一番上のカードをめくる事ができる。
めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのモンスターを墓地へ送る。
違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。
また、デッキのこのカードがカードの効果によってめくられて墓地へ送られた場合、
自分のデッキの一番上のカードをめくる事ができる。
めくったカードが植物族モンスターだった場合、そのモンスターを墓地へ送る。
違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。


明日人「…デッキの一番上をめくり、そのカードが植物族モンスターなら、墓地へ送る！！」

火群「…そういうことか…！」


デッキトップ
『森羅の神芽 スプラウト』


明日人「……俺のデッキトップは当然ッッ植物族！！ よってスプラウトは墓地へ送られる！」

メアリー「……しかもそれだけじゃ無い…わね」

明日人「ーーー更に！『森羅』のモンスターは、デッキからめくられ墓地へ送られた場合に、真価を発揮する！！」

熊「グルル…ッ！」


《森羅
しんら
の神芽
しんめ
スプラウト/Sylvan Cherubsprout》 †
効果モンスター
星１/光属性/植物族/攻 100/守 100
このカードが特殊召喚に成功した時、
自分のデッキの上からカードを２枚までめくる事ができる。
めくったカードの中に植物族モンスターがあった場合、
それらのモンスターを全て墓地へ送る。
残りのカードは好きな順番でデッキの一番下に戻す。
また、デッキのこのカードがカードの効果によってめくられて墓地へ送られた場合、
デッキから植物族・レベル１モンスター１体を特殊召喚できる。
「森羅の神芽 スプラウト」のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。


明日人「スプラウトの効果発動！ デッキから『森羅の姫芽君 スプラウト』を特殊召喚！」[DEF 100]


《森羅
しんら
の姫芽君
ひめぎみ
スプラウト/Sylvan Princessprout》 †
効果モンスター
星１/光属性/植物族/攻 100/守 100
「森羅の姫芽君 スプラウト」の(1)(2)の効果はそれぞれ１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードをリリースして発動できる。
自分のデッキの一番上のカードをめくって墓地へ送る。
その後、自分の墓地の「スプラウト」モンスター１体を選んで
自分のデッキの一番上に置く事ができる。
(2)：デッキのこのカードが効果でめくられて墓地へ送られた場合、
１～８までの任意のレベルを宣言して発動できる。
このカードを墓地から特殊召喚し、
このカードのレベルは宣言したレベルになる。


明日人「姫芽君の効果で、自身をリリースし、デッキの一番上をめくり墓地へ送る！」

デッキトップ→墓地
『森羅の霊峰』

明日人「更にその後、墓地の姫芽君をデッキトップへ！」

栗須「…なんじゃあれぇ！？
場と…墓地と、デッキを…っ！ ぐるぐる回ってやがるぜ！？」

メアリー「…倉川くん、あんまり目立たないけど、なかなかいいモノ持ってるじゃん…っ♪」

明日人「まだ終わりじゃ無い！ レギアの効果発動！！」


《森羅
しんら
の仙樹
せんじゅ
レギア/Sylvan Hermitree》 †
効果モンスター
星８/炎属性/植物族/攻2700/守1800
１ターンに１度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
自分のデッキの一番上のカードをめくる。
めくったカードが植物族モンスターだった場合、
そのモンスターを墓地へ送り、デッキからカードを１枚ドローする。
違った場合、そのカードをデッキの一番下に戻す。
また、デッキのこのカードがカードの効果によってめくられて墓地へ送られた場合、
自分のデッキの上からカードを３枚まで確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。


デッキトップ
『森羅の姫芽君 スプラウト』

明日人「めくったカードは俺がトップにおいた姫芽君！ 植物族モンスターのため墓地へ送り、1枚ドロー！」【手札 3→4】

明日人「姫芽君がデッキからめくられ墓地へ送られた場合、1〜8の任意のレベルへ変化し特殊召喚できる！ レベル8となって現れろ！」[DEF 100]☆1→8

メアリー「…レベル8が２体…！」

栗須「何が来るっていうんスか…！？ メアリーさん！！」

明日人「ーーー行くぜ…！ レベル8のレギアと姫芽君でオーバーレイ！！ エクシーズ召喚！！」

栗須「…！！ この間火群がやってたやつか…！！」

栗須（…それに…、俺自身も反帝アリーナであの幼女に使われてんだよな…ッ……エクシーズ召喚を…！！）


明日人「ーーー強大な力を蓄えし守護精霊よ……、その強固なる意思で大地を揺るがせ！！
現れろ！『森羅の守神 アルセイ』！！」[ATK 2300]


《森羅
しんら
の守神
もりがみ
アルセイ/Alsei, the Sylvan High Protector》 †
エクシーズ・効果モンスター
ランク８/光属性/植物族/攻2300/守3200
レベル８モンスター×２
１ターンに１度、カード名を１つ宣言して発動できる。
自分のデッキの一番上のカードをめくり、
宣言したカードだった場合、手札に加える。
違った場合、めくったカードを墓地へ送る。
また、カードの効果によって自分のデッキからカードが墓地へ送られた場合、
このカードのエクシーズ素材を１つ取り除いて発動できる。
フィールド上のカード１枚を選択して持ち主のデッキの一番上または一番下に戻す。
「森羅の守神 アルセイ」のこの効果は１ターンに１度しか使用できない。


アルセイ『………ッ…』

火群「…あれがクラースの精霊…！！ すごい貫禄だ…ッ」

雫「…そういえば、火群さんは見るの初めてなんでしたっけ。
あの方が私たちをここまで導いて来てくださったんですよっ」

火群「…！ それであんなに早く迷わずに追いついてこれたのか…！！」


アルセイ『…明日人。森の怒りの声が聞こえるか』

明日人「…ああ、あなたを通して俺にも聞こえます」

アルセイ『…抉られた木々、踏み躙られた草花に代わり、お前に力を貸そう』

明日人「…お願いしますよ…！
ーーー大先輩様！！」





To Be Continued…






《次回予告》



雫「ーーー火群さん火群さん。どうして倉川さんの事、『クラース』って呼んでるんですか？」

火群「『くらかわ』の『くら』と、『あすと』の『あす』をくっつけて『クラース』って呼んでるんだけど、なんでそう呼ぶようになったのかは覚えてないなぁ」

雫「なるほど……付き合いが長いとそういうこともあるんですね…っ。
いいですね。あだ名。
…私も呼んだり呼ばれたり……してみたかったです」

火群「…えっ、あっ…ちょ…っ、ごめん柏木さん。そういうつもりじゃ…」



雫「じっ、次回！『遊戯王Ph.X』
DRAW:１２０ 《森羅、進撃》！！」



雫「……ところで火群さん。結維さんが火群さんの事を呼ぶ時に使う『ソロデュエリストさん』というのは…？」

火群「あれは蔑称だから気にしないでくれっっ！！」





＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙