DRAW:８９ VS黒焔トークン　作：人喰い

(89)



ーーー黒焔トークン襲来のおよそ3時間前。




シルバ【LP 3800】

火群【LP 2500】


シルバ「ーーーここまでだな。超戦士 カオス・ソルジャーでダイレクトアタック！！
〝天地・双滅斬〟！！！」


『超戦士カオス・ソルジャー』[ATK 3000]


火群「ーーー！！！ …がぁぁあっっっ！！！」【LP 2500→0】



【Winner:シルバ】







火群「……対戦、ありがとうございました…！ シルバさん…っ！」

シルバ「……なぜエクストラデッキを使わなかった？」

火群「…えっ、っと……それは……」

シルバ「…決闘中、お前のエクストラデッキから炎が噴き出すのを見たが…」

火群「…まだうまく、思い通りに扱えないんです。これ、父さんに貰ったカードなんですけど……まだ１枚しかイラストも効果もわからなくて」

シルバ「ーーー！！ お前の父親は何者だ……？」

火群「…？ えと、カードデザイナーをやってて、『市瀬 義久(いちせ よしひさ)』って言います」

シルバ「…義久……か」

シルバ（ーーーこれも一つの、運命…か）


火群「…どうしたんですか？」

シルバ「…いや、気にするな。それよりこの“金色に輝く枠のカード”……数々の次元を渡り歩いた俺ですら見たことのないカードだ」

火群「…！！」

シルバ「…このカードが覚醒した時、どんな状況だったのか、聞いてもいいか」

火群「……それが、実はあんまりその時のことを思い出せなくて……」

シルバ「………ふむ…」

火群「…最初にそのカードのイラストが浮かび上がった時は、決闘中にいきなり真っ白い空間でニクスと二人っきりになったと思ったら、いつの間にかこの『炎王神獣 ガルド・イモータル』のカードだけ使えるようになってたんだ…」

シルバ「………なるほどな。精霊との同調が、覚醒の鍵なのかもしれないな…。興味深い」

火群「……あ、そうだ。マインとの決闘の時、最初はガルド・イモータルもまた白紙に戻っちゃってたんだけど、ニクスと想いをシンクロさせたら、またイラストが浮かび上がったんだ」

シルバ「…そしてそれからは浮かび上がったままを維持している訳か……。
しかし、イラストもテキストも浮かび上がっていても思う通りに扱えないようでは、これからの戦いでは間違いなく戦力外だ。この一カ月の間に完璧に使いこなせるようにしておくんだな」

火群「…ぅぐ……、はい…っ！」


シルバ「………このモンスター…“ライズモンスター”というのか…。
“ライズ”という単語には、『上昇』や『舞い上がる』、『飛び立つ』と言った意味がある。
“RISE”ーーーその意味に恥じぬよう、お前自身も、更なる高みへと登って行け。それだけの力が、お前と不死鳥にはあるはずだ」


火群「ーーーハイッ！！」

ニクス『…私達はまだまだ強くなれる。これほど嬉しいこともないな…っ！』


シルバ「……だが、きっかけもなくいきなりパワーアップなどできないことは承知している。
ーーーこのカードを受け取れ」

火群「！！」

火群が受け取ったのは、10枚程のカードの束だった。

シルバ「……数々の次元を旅する中で手に入れたカード達だ。どれもお前のデッキに相性のいいものを用意した。その中から好きに使ってデッキを強化するといい」

火群「…！！ これーーーエクシーズモンスターまで…！！？
…本当にいいんですか…！？」

シルバ「…お前は“ライズモンスター”の他にEXデッキのモンスターを持っていないだろ。俺からの餞別だ。貰っておけ」

火群「ありがとうございます！！」

シルバ「……長々とすまなかったな。エクシーズ召喚と、ライズ召喚。
二つの召喚法をうまく使えるように、今日は時間いっぱいここの決闘者と実戦経験を積んでいけ。以上だ」

火群「…わかりました！！ 本当にありがとうございます！」

シルバ「気にするな。感謝されるためにやってる訳じゃないんでな。
なんてことはない、ただのーーー気まぐれだ」
















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:８９ーーー
《VS黒焔トークン》
















時刻は戻りーーー

〜YAGAMI本社ビル・B2F広間〜


【火群side】

◉TURN０１◉

火群「…行くぜ俺の先攻！！」【手札5】

…結局今日は7戦して2勝しかできなかったけど、それでも確実に強くなったって自信はある…！！
シルバさんが渡してくれた新しい仲間もいるしな…！


黒焔「………」

それにしても不気味だ…！ 使うデッキもわからない以上、下手に動くわけにはいかないか…！？ ならーーー

火群「…さっそく出番だぜ…！ 俺は、『炎王獣 ガネーシャ』を召喚！！」[ATK 1800]


《炎王獣 ガネーシャ》
星4　炎属性 獣戦士族　ATK/1800 DEF/200
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードがフィールドに存在し、モンスターの効果が発動した時に発動できる。その発動を無効にし、このカード以外の自分の手札・フィールドの炎属性モンスター1体を選んで破壊する。
②:このカードが破壊され墓地へ送られた場合、「炎王獣 ガネーシャ」以外の自分の墓地の炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
その特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズ時に破壊される。


火群「…カードを1枚伏せて、ターンエンドだ！！」【手札 3】

◉TURN０２◉

黒焔「…ワタシノターン、ドロー」【手札 6】


黒焔「…ワタシハ、『終末の騎士』ヲ召喚」[ATK 1400]


《終末
しゅうまつ
の騎士
きし
/Armageddon Knight》 †
効果モンスター（準制限カード）
星４/闇属性/戦士族/攻1400/守1200
(1)：このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。
デッキから闇属性モンスター１体を墓地へ送る。


黒焔「終末の騎士ノ効果ヲ発動」

火群「…この瞬間！ 炎王獣ガネーシャの効果を発動！！ 終末の騎士の効果を無効にして、手札のキリンを破壊する！」【手札 2】

火群「…更に、破壊されたキリンの効果で、デッキの『炎王神獣 ガルドニクス』を墓地へ！」

黒焔「……カードヲ二枚伏セテ、ターンエンド」【手札 3】

◉TURN０３◉


火群「…俺のターン！ ドロー！！」【手札 3】

火群「俺は、『炎王獣 バロン』を召喚！」[ATK 1800]

火群「更に手札から永続魔法『炎舞ー天枢』を発動！」

《炎舞
えんぶ
－「天枢
テンスウ
」/Fire Formation - Tensu》 †
永続魔法
このカードがフィールド上に存在する限り、
自分のメインフェイズ時に１度だけ、
自分は通常召喚に加えて獣戦士族モンスター１体を召喚できる。
また、このカードがフィールド上に存在する限り、
自分フィールド上の獣戦士族モンスターの攻撃力は１００ポイントアップする。


バロン[ATK 1800→1900]
ガネーシャ[ATK 1800→1900]


火群「…天枢の効果で、手札の『炎王獣 ヤクシャ』を召喚！」[ATK 1800→1900]

火群「…バトルだ！！ ガネーシャで終末の騎士を攻撃！」


『炎王獣 ガネーシャ』
[ATK 1900]
ーーーVSーーー
[ATK 1400]
『終末の騎士』


黒焔「……ッッ…！！」【LP 8000→7500】

ホムラ「…続いてヤクシャでダイレクトアタック！！」

『炎王獣 ヤクシャ』[ATK 1900]

黒焔「……ッッ！！」【LP 7500→5600】

火群「…次はバロンで攻撃！！」

『炎王獣 バロン』[ATK 1900]


黒焔「…コノ瞬間、速攻魔法『終焉の焔』ヲ発動……！」

《終焉
しゅうえん
の焔
ほのお
/Fires of Doomsday》 †
速攻魔法
このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外では
モンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
(1)：自分フィールドに「黒焔トークン」
（悪魔族・闇・星１・攻／守０）２体を守備表示で特殊召喚する。
このトークンは闇属性以外のモンスターのアドバンス召喚のためにはリリースできない。


火群「終焉の焔…！ 組織の名前と、同じ……っ」

『黒焔トークン』[DEF 0]x２

火群「バロンでトークンを一体撃破！！
これでターンエンドだ…！！」


攻撃を防ぐ為に二体のトークンを使ってこなかったって事は、一体はアドバンス召喚の為のリリースにするつもりか…！？

ニクス『…気を抜くなよ、火群…っ！ 奴の手札からは、私たちのいるこの次元のものではない…ただならぬ気配を感じる…！！』

火群「なんだって…っ！？」


◉TURN０４◉


黒焔「ワタシノターン、ドロー」【手札 4】


黒焔「ワタシハ、フィールド魔法『古の森』ヲ発動！！」


《古
いにしえ
の森
もり
/Ancient Forest》 †
フィールド魔法
このカードの発動時に、フィールド上に守備表示モンスターが存在する場合、
そのモンスターを全て表側攻撃表示にする。
この時、リバース効果モンスターの効果は発動しない。
また、このカードがフィールド上に存在する限り、
攻撃を行ったモンスターをバトルフェイズ終了時に破壊する。


黒焔「古の森ノ効果ニヨリ、発動時ニ場ノ守備モンスターハ全テ攻撃表示トナル」


『黒焔トークン』[ATK 0]


黒焔「更に、手札ノ『ダーク・クリエイター』ヲ捨テ、手札ノ『ハードアームドドラゴン』ヲ特殊召喚…！！」[DEF 800]

《ハードアームドラゴン/Hardened Armed Dragon》 †
効果モンスター
星４/地属性/ドラゴン族/攻1500/守 800
(1)：このカードは手札のレベル８以上のモンスター１体を墓地へ送り、
手札から特殊召喚できる。
(2)：このカードをリリースして召喚したレベル７以上のモンスターは
効果では破壊されない。


火群「……！！」

黒焔「……我ガチカラノ前ニヒレ伏セ…ッッ！！
『黒焔トークン』ト、『ハードアームドドラゴン』ヲリリース……アドバンス召喚！！！」

火群「……！ 何が来る…！！？」



黒焔「ーーー深キ眠リヨリ目覚メ、降臨セヨ！！！
『地縛神 Ａｓｌｌａ ｐｉｓｃｕ』！！！」[ATK 2500]



《地縛神
じばくしん
Ａｓｌｌａ
アスラ
ｐｉｓｃｕ
ピスク
/Earthbound Immortal Aslla piscu》 †
効果モンスター
星１０/闇属性/鳥獣族/攻2500/守2500
「地縛神」と名のついたモンスターはフィールド上に１体しか表側表示で存在できない。
フィールド魔法カードが表側表示で存在しない場合このカードを破壊する。
相手はこのカードを攻撃対象に選択できない。
このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
また、フィールド上に表側表示で存在するこのカードが、
このカードの効果以外の方法でフィールド上から離れた時、
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊し、
破壊したモンスターの数×８００ポイントダメージを相手ライフに与える。


ニクス『……！！！』

火群「……ッッ…なんなんだよ…っ、このモンスターは…ッ！！？」


ニクス「…やはり…ッ！！ あれはこの世界には存在しないはずのカード…！ 気を引き締めていけ！ 火群！！
恐らくは……いや、間違いなく、ここからが本番だッ！！」






To Be Continued…






《次回予告》




次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:９０ VS黒焔トークン②地縛




＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙