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HOME > 遊戯王SS一覧 > Report#80「始動」

Report#80「始動」 作:ランペル


「どうしてほのかにまた謝るの?」

「何回もくどいよね……。でも、ウチが穂香や梨沙……そしてアリスに心から謝りたいと思ってる事を分かって欲しいの」

 起床時間を迎える少し前。レッドフロア内で、早めに目を覚ました穂香の元へやって来た近久が頭を下げたまま話しかけていた。切迫した声色の近久に対して、穂香の表情に感情の変化は見られない。

「ほのかがお札のお姉ちゃんと一緒に行く時、ほのかがお姉ちゃんの事を嫌いだったら困るから?だから、ほのかに何回も謝ってるの?」

「……否定はできないよ。穂香の安全の為にも、ウチの事を最低限信用してもらわないとと思ったから」

「だったら大丈夫だよ。お札のお姉ちゃんの事がもし嫌いでも、お札のお姉ちゃんの言う事聞くから……」

 そう呟きそっぽを向いてしまう穂香に、腰を屈め沈痛な面持ちで再び語り掛ける近久。

「ありがとう……ウチの事を許す必要はないの。ただ、穂香が危ない時にウチは死んででも穂香を守るから!
それだけ、覚えておいてね……」

 それを言い残した近久は立ち上がり、穂香の元を離れていく。


「ないで……」


 背後より呟かれたか細い声へ誘われるように振り返った近久の先には、涙目の穂香が佇んでいた。

「ほ、穂香?どうしたの……」

 目が合うのと同時にその涙の意図を解せず、動揺するままに穂香へ問いかける近久。

「死ぬなんて言わないで……」

「……!」

「ほのかの為に死ぬとか言わないで……ほのか、そんな事されても嬉しくない……」

 近久は、自身が未だ自らを罰するという思考から抜け出せていなかった事に気づく。そして、発した不用意な言葉で、傷心の少女を更に傷つけてしまった事に罪悪感が内から沸き立つ。

「ご、ごめんなさい……!穂香の事傷つけるつもりなんかなかったのよ、ただ……」

「お札のお姉ちゃんが悪い人じゃないの分かってる。でも、やっぱりお祈りのお姉ちゃんが居なくなったのは悲しいよ……うぅ……うまく、伝えられない……」

 穂香は、懸命に己の気持ちをまとめながら近久へと伝えようと藻掻いている。複雑な感情の中で、自分がどのような結論を出しているのかを言葉として紡ぐ。

「お札のお姉ちゃんが謝りたいのは分かってるよ。それで、ほのかやお化けのお姉ちゃんの為に頑張ろうとしてくれてるのも。だけど、誰かが死ぬのは悲しいの……。だから、ほのかも頑張るから誰かの為に死ぬなんて言わないで……」

 目元に溜まった涙が今にも流れ落ちてしまいそうな穂香は、それを最後に黙ってしまう。そんな彼女の言葉で、まるで心臓を握られたかのような衝撃を受けた近久。とぼとぼと吸い込まれるように穂香の元へと近づくと、膝をつきゆっくり彼女を抱き寄せる。

「分かった……死ぬような事はしないしもう言わないよ。ウチの事、信じようとしてくれて本当にありがとう。穂香の期待に応える為、死なない様に頑張るから……!」

「うん……そっちの方がいい……」



 ---



 ピンポンパンポーン

【起床時間となりました。フリーエリアの各機能が再起動されます。また、各フロアの扉が解放されます】

ピーガチャ


 赤い光で満たされたレッドフロアへ起床時間を告げるアナウンスが流された。それは、梨沙達が脱出を目指して行動を開始する合図となる。

「もう1回だけ……」

 デュエルディスクを操作し、誰かへと通話を試みる梨沙。何度かコール音が響くも、画面に表示されるのは――

   *****
通話が正常に行われませんでした。
   *****

「繋がらない……?」

 既にこの通話は4回目であり、その全てに父親が応じることはなかった。この環境において通話に出られない可能性は、何かしらのトラブルに巻き込まれているとしか考えられない。

「連絡は取れなさそうか。状況の確認含めて予定通りグリーンフロアにも向かうとしよう」

 父親へ通話が繋がらず、不安そうな表情を浮かべる梨沙へ渚が横から声をかける。

「そうですね。何もないといいんですけど……」
 
「あまり深く考えすぎないように。案外寝不足で連絡に気づいてないなんてオチかもしれない。
それより、予定通りなら穂香君とは別れることになるからしっかり挨拶しとくんだよ」

 渚はそう言って梨沙の肩を軽くぽんと叩くと、後ろ姿のまま手を振りその場を離れていく。渚なりの気遣いを感じ取った梨沙から緊張がほんの少し抜ける。自分を律するべく足を小さく叩いて立ち上がった。

「最初が肝心ですもんね。よし!」

 方針の決定を改めて伝えるべく穂香の元へ向かうと、もう1人誰か居るようだった。

「お札のお姉ちゃんは、こういうの上手なの?」

「上手って訳じゃないかなぁ。なんというか成り行きというか……」

 そこには、椅子に座った穂香の髪をとかす近久の姿があった。
 
「おはようございます。2人とも、なに話してるんですか?」

 会話に混ざるべく声をかけた梨沙に2人が気づく。

「おはよう。って、梨沙はあれから起きたままよね」

「一応、少しですけど仮眠は取りましたよ」

「お化けのお姉ちゃん!今ね、お札のお姉ちゃんに髪なおしてもらってるんだよ」

「そういえば、穂香ちゃんツインテールだったよね。近久さんって髪のセット得意なんですか?」

 穂香がしていた質問と全く同じ質問が梨沙からも投げかけられると、少し困ったような表情を浮かべる近久。

「穂香にもさっき全く同じ質問されたよ……。浴衣を着ることが多いからさ。その時に髪のセットも出来た方がちっとは見栄えがいいかなってだけで、別に得意って訳じゃないよ」

 そう言いながら、近久は慣れた手つきで穂香のとかされた髪をそれぞれにまとめ上げヘアゴムで束ねる。

「はい、完成だよ」

「おぉ、痛くない。お札のお姉ちゃんありがとう!」

 梨沙が最初に出会った時のように綺麗なツインテールで纏め上げられた穂香は、頬を緩めながら左右の毛先をふわふわと揺らす。

「ふふ、可愛くしてもらえたね穂香ちゃん」

「うん!お化けのお姉ちゃんも、かわいい服綺麗になって良かったね」

 梨沙の着ている黒のワンピース状のドレスを見て穂香がそう口にする。
 彼女の着ていた服は、今までのデュエルの影響もあり赤黒い血で変色してしまっていた。しかし、梨沙が意識を失っている間に洗浄された事で、今ではまるで新品同様に綺麗な状態に戻っている。

「近久さんが洗濯してくれたお陰ですね。ありがとうございます」

「お礼なんか言って貰える立場じゃないよ……。ウチが洗った訳じゃないし、そもそも洗濯しようって言ったのは穂香なんだし」

 梨沙が意識を失った時、応急処置の後、渚と近久で梨沙をベッドへと寝かせ着替えさせた。その時に、近久は梨沙の服を捨てずに取って置き、それに穂香が口添えした事で洗浄するに至る。

「近久さんがその時に取っておいてくれたからなのもありますよ。
この服は、アリスさんがくれた服でしたから……」

 何気なく呟いた梨沙の表情に浮かぶ憂いの感情。それに釣られてか、穂香と近久の表情にも陰りが見え隠れする。梨沙は自らの左肩を右手でゆっくり握り込み、ドレスの柔らかな生地の感触を確かめた。
 今となっては、アリスから渡されたこの服は、死んでしまったアリスの形見と言っても差し支えない。

「お祈りのお姉ちゃんが、お化けのお姉ちゃんに似合うって選んでくれた服だもんね」

「うん、だから本当に2人には感謝してるんですよ」

「やめてよ……。ウチは、梨沙にお礼を言って貰える人間じゃない……」

 アリスを殺した近久へ、そのアリスがくれた服を取っていてくれた事を感謝する梨沙。いたたまれなくなって、目を伏せてしまう近久に対し、梨沙の眉が下がっていく。

「近久さん、ごめんなさい。でも、あなたの良い面と悪かった結果を全部一緒にしたりしません。あなたが、アリスさんのくれた服を捨てずに取っていてくれた事は、本当に嬉しかったんです。だから、お礼を言わせてください。
近久さんを苦しめてしまっていると思います。でも、あなたが残してくれた物に私は勇気を貰えていますよ」

 梨沙は真っすぐに近久を見据えてそう告げる。近久だけでなく、まっとうな感性を持つ人間ならばこんな真っすぐな感謝の言葉に耐えられなどしない。しかし、梨沙はそれを承知の上で近久へ突きつける。
 梨沙なりに、近久がもう後ろを向かないように寄り添うと共に警告している様にも思えた。

「そっ……か。
なら、梨沙の役に立てて良かったよ……!」

 詰まりかけた言葉を何とか最後まで吐き切った近久。そんな彼女に梨沙はにっと口角を持ち上げる。

「はい!」

 話が一段落したのを見た穂香が、梨沙が訪れた目的を聞き始める。

「お化けのお姉ちゃん、もう出発するの?」

「うん、もう少しでみんな出発するからまたねの挨拶に来たんだよ。
……お父さんに連絡してみたんですけど、連絡がつきませんでした。なので、予定通りのメンバーでブルーフロアとグリーンフロアの探索へ向かう事になります」

「そっか……」

 穂香に優しく話しかけ、その話に近久も交えて決定された行動方針を伝達する。連絡を受けた穂香はどこか寂しそうに呟き、近久は方針とその分けられた人員を確認していく。

「ブルーフロアには、ウチと穂香と翔。グリーンフロアには、梨沙となぎさ、学と河原さんって事ね。
でも、本当にいいの2人とも。穂香も梨沙と一緒の方がいいんじゃないの?」

 穂香と梨沙の班が分けられている事に言及し、今一度穂香と梨沙へと問いかけた。

「私としても一緒に居てあげたい気持ちしかないんですけど……」

「お姉ちゃんはお父さんとお話しないといけないから……。でも、ほのかはお父さんが怖くて……」

 父親の事が頭を過った瞬間に、体をビクビクと震わせ始めてしまう穂香に、近久は慌てて訂正する。

「ごめん……!そうね、2人ともが考えて決めた事だもんね。ウチが口を挟むべきじゃなかった。
怖がらせるつもりはなかったの……ごめんなさい……」

「ううん、ほのかが怖がりなだけだよ。でも……」

 穂香は体の震えを何とか止めると、梨沙を真っすぐに見上げる。

「気を付けてねお化けのお姉ちゃん。絶対、ほのかとまたお話してね」

 ほんの少しだけ目元を潤ませながら、梨沙を心配する声を発した穂香。梨沙は顔をほころばせながらしゃがむと、穂香の頭を優しく撫でた。

「だいじょーぶ!穂香ちゃんや、みんながお姉ちゃんに協力してくれるんだもん。何があってもまた会えるから心配しないでね」

「うん……分かった!」

 力強い言葉を受け、大きく頷いた穂香。彼女の笑みを確認した梨沙が立ち上がる。

「近久さん、いざという時穂香ちゃんの近くに居るのはあなたです。
穂香ちゃんの事、お願いできますか?」

 近久の方へ少しだけ鋭くなった目を向け、真っすぐに彼女を見据える。

「……任せて。
デュエルの事も、少しは勉強した。運だけが取り柄のウチが勉強までしたんだから、もう負ける要素なんかないって!」

 一拍置いて覚悟を持って答えた近久。後悔を内に抱えながらも、今の自分が梨沙から求められているままの答えを導き出すと共に、それらを全うするべく彼女は気丈に振舞った。
 近久の危うさは残りつつも、前を向こうとしている様を感じた梨沙がふっと笑いかけ頭を下げた。

「ありがとうございます!無理するなとは状況が状況だけに言えません……。くれぐれも気を付けてくださいね」

「梨沙の方こそ、ちゃんと勝てるように……気を付けて」

「もちろんです。みんなで勝ちますよ!」

「おー!」

 言い切る梨沙と同調するように、穂香と近久の士気も高まり、3人で掛け声を共にした。
 2人と別れた梨沙は、不意にEXデッキに収められた《ゴーストリックの駄天使》のカードを手に取る。近久とのデュエルで、血で濡れてしまったカード。丁寧にふき取りはしたものの、カードの端の方には拭い切れなかった血の跡が残ったままだった。

「こんなデュエル……もう終わらせるからね。みんな」

 思いの詰まったデッキに眠るカード達へ向けてそう声を掛けると、梨沙はフロアの入口へと歩いていく。



 ---



「………」

 ヘッドホンを装着した久能木は、壁にもたれかかりタバコを吸っていた。火のついた葉を吸い込む事で肺を煙で満たし、脳内にニコチンが巡る。ここに来るまでは嗜む程度にしか吸っていなかったタバコは、日に日に本数を増していた。だが、これを吸う事で少しでも気分が落ち着くのなら、不健康など安い代償だろう。

「………?」

 煙を吐く久能木の眼前に白神が姿を見せる。何かを言いに来たのだろうと察知した久能木は、口から離したタバコをくわえなおし、彼の口元へと視線を集中させていく。

「そろそろ出発するみたいだよ。準備は出来てるよね?」

「………」

 小さく頷き肯定の意思を伝えると、白神の方にかからないように首を横に向けて煙をゆっくりと吐き出す。

「行く前に聞かせてもらっていい?」

「………?」 

「なんで、僕にこれを渡したんだ?」

 そう言って白神は1枚のカードを取り出す。久能木の方には裏面が向けられたままだが、白神が何のカードを取り出しているのか察した久能木は、再びタバコを口にくわえる。すると、余った左手でカードを取り出した白神のポケットの方を指さす。

「もう全部伝えたとでも言いたいの?いいや、僕が渡された紙にはこれの使い方しか書いてなかったはずだ。久能木さんが僕にこれを渡す理由にも、久能木さんが脱出に手を貸す理由にもなりはしない」

「………」

 目線だけを白神の方へ残しながら、再び肺から溢れる煙を体外へ排出するべく顔を背ける久能木。そして、自らもポケットから紙を取り出すと、そこにペンを走らせる。その筆が動き終わると共に、白神の方を向いた久能木がそれを渡してきた。

   *****
備えはあった方がいいだろ
   *****

 その内容を見た白神は表情を歪めながら、紙をくしゃりと握りつぶす。

「僕が聞きたいのはそんな事じゃない。百歩譲って、僕にこれを渡したのは協力しているからって事で納得できるよ。でも、その協力をする理由が久能木さんにはないはずだ。だって、これを使ったら……」

 白神は視線を久能木から手に持ったカードへと落とす。その様を見ながら、久能木は再び紙に筆を走らせた。

   *****
俺は外に出られないし、出るつもりもない
お前も外に出ようだなんて思ってないだろ
   *****

 久能木のそのメモを見て、白神は口籠る。そんな彼を眺める久能木がくわえるタバコの灰が地面へと落ちていく。

「……確かに、外に出ようなんて思えないよ。ヤケクソでしかないんだ、どうせ外に出られないならってさ。
でも、久能木さんは違うよね?言わせてもらうけど、僕とデュエルで負ける時も、久能木さんは明らかにダメージを受ける事を恐れていたはずだ。それなのに、これを使ってる久能木さんにとって、成功しても一切メリットがない戦いに協力する事の意味が分からない。挙句に、僕にこんなカードまで渡してさ?」

 手に持ったカードをひらひらと揺らしながら、久能木を鋭い目つきで捉える白神。彼の視線を久能木はただただ静かに受け止めている。

「正直、久能木さん1人だけ行動原理が分からなくて何か裏があるんじゃないか疑ってるよ。他のみんなは何かしらそれらしい理由が分かるけど、あなたからは何も見えて来ないからね……。
何も裏がないって言いたいなら教えてくれるかな。久能木さんが何を目的にしてるのかをさ」

 久能木の行動を理解できない白神は、睨むように久能木を疑う。そんな彼の視線を受けた久能木は、驚いたように目を見開く。すると、くわえていたタバコを落とし、笑顔を見せると声なく笑い始めた。

「は……?何がおかしいんだよ……まさか、ほんとに何か企んで……」

 疑いを強める白神に向けて、再び何かを書き込み始めていた久能木よりメモが突き出された。白神がそれをそっと受け取ると、久能木は床に落としたタバコの火を足で踏み消し、白神の横を通って歩いて行ってしまう。

「お、おい!?」

 咄嗟に振り返り彼を呼び止めるが、耳の聞こえない彼は止まることなくそのまま歩き続ける。苛立ちを感じながらも、とにかく受け取ったメモに目を通し始める白神。

   *****
お前と同じで、役に立ちたい人がいるだけ
自分が損してでも、役に立ちたい人がお前にもいるだろ?
   *****

 白神はメモを読むと、黙りこくる。そして、再びメモへと目を通しながら感情を零した。

「なんだよ……それ……」

 役に立ちたい人。
 久能木が記したその言葉には、きっとそれ以上の意味はないだろう。彼は自分自身よりも、その誰かの意思を尊重しているという事だ。
 しかし、その文字を読み取った瞬間に白神の脳裏へ過った人物。狂った実験へ参加しながらも、日常の断片を持ち続け、誰かの為だなどと平和ボケした行動を続ける彼女……。

「違う……」

 白神の中で培われた価値観が悲鳴を上げる。自分の幸福を追い求めるべく凝り固まった思考と渦巻く感情が、自問自答を誘発し白神の脳内を埋め尽くす――――

 僕は僕の為だけに行動している。自分が損してでも誰かの役に立つ?そんな事をしたって足元を掬われるだけだ。それどころか、その役に立とうとした人を危険に晒す可能性だってあるじゃないか。人が心の中で何を考えてるかなんて、誰にも分からない。自分に危険が迫れば、他人など騙すし、奪うし、殺しだってする。あるいは、楽が出来るからという理由だけで暴挙に走る人間だっているんだ。
 だからこそ、明確に自分にとって得な行動をしている人間にこそ信頼という言葉が価値を生む。益のない行動はいずれ自身の破滅を招く。誰かを助けるなんてのも、その先で自分が得する為でしかない。報酬を得られるとか、いい評価が貰えるだとか、気分が良くなるとか……。益の存在しない、慈愛だとか優しさなんてモノは人の認識を簡単に歪める。大切な誰かが危ないってだけで、冷静に物事を考えられない。冷静でなくなっていい事なんて1つも存在しなかった。稚拙な振り込め詐欺に騙される間抜けもいるし、無用な混乱と争いの火種を生み出したバカもいる。
 僕は誰かの為に行動しない。そんな優しい人は騙されるし、奪われるし、殺される。自分の何もかもを失って得られる幸福など存在しないんだ。だからこそ、僕がこの脱出計画に乗ったのもヤケクソでしかない。この不愉快な気分を少しでも収めたいから。そもそも、こんな行動を起こして一体誰が救われるというんだ。ここに居る人間は、外に出たからって居場所は戻らない。外の人間は、ただ同然で金を得られる手段を失う。観測者は、実験が継続できなくなり、技術の発展も遅れる。誰も幸せにならない選択だからこそ、それに同調した。ヤケクソだ。ヤケクソでしかない。決して誰かの為などではないはずだ。
 益のない行動の果てに幸福なんて存在しない……。


「翔君!大丈夫ですか?」


「……!梨沙さんか、何?」

 突如梨沙に声を掛けられた白神は、驚きながらもすぐ様冷静に彼女の声掛けへと応じる。

「何って、久能木さんを呼びに行った翔君が戻ってこないから様子を見に来たんです。
何か……あったんですか?」

 梨沙は不安そうな表情を浮かべながら、白神を見つめる。

「別に……行こうか」

 素っ気なくそう返した白神が、手にしていたカードをフードのポケットに仕舞い梨沙の横を通り抜けてフロアの入口へと歩いていく。しかし、少し歩いた所で白神は立ち止まると、振り返ることなく梨沙へと質問を投げた。

「梨沙さんはさ。ここから出ることで、誰かが幸せになるって……思ってるの?」

「幸せですか?うーん、難しい質問ですね……。
……ここに居る皆さんが幸せになれるかは正直分かりません。でも、皆さんが幸せになれる方法を全力で探すつもりですよ。
それに、この実験が終わればこれ以上ここに来て不幸になる人は居なくなります。そういう意味では、これからここに来る人は幸せになるかもしれませんね」

 最初こそ考え込んでいたものの、話し始めた梨沙ははきはきと言葉を発していた。彼女が謳うのはいずれも他者の幸福を前提とした発言なのだ。
 白神はため息と共に梨沙へ反発する。

「その中に……梨沙さんの幸せは入ってるの?昨日の夜には、自分が幸せになれなくてもいいって言ってたよね?」

 振り返る白神は、鋭い目つきで梨沙を見遣っていた。その真剣さに梨沙は、驚くと共に小さく微笑む。
 
「突き詰めれば自分の為ですよ。誰かの為になればより嬉しいですけど、私はこの実験が嫌で嫌で仕方ないんです。
だから、この実験を終わらせる事……それが、今の私が得られる最大限の幸せなんだと思います。というか、そう思うことにしてます!」

 彼女のこじつけたような幸福論。白神は、面と向かった彼女へ耐えられず、俯きながら呟く。
 
「なにそれ……そんなの……」

「翔君が私を助けてくれた時に言ってくれた事ですよ。やりたい事をやってみたらいいって。私が望む全部は叶わないかもしれません……。でも、やりきってそれでも叶わないなら仕方ないって納得できると思うんです。
もちろん、こんな実験してる人達に負ける気なんかないですけどね!?」

「……」 

 白神は押し黙る。あまりにもか細い希望を掴み取ろうとする彼女を突き動かしているモノは、友達の無念を晴らす事やこの実験への反抗心のようなモノだとばかり考えていた。しかし、彼女が希望を捨てない思考の一端に、自分が彼女に掛けた言葉も影響している事に気付かされる。
 忘れかけていた日常を感じ取った梨沙の壊れる様を見たくなかったというただただ自己満足的な思考の元、彼女を治療し話しかけた。自分勝手な選択に過ぎなかった自分の言葉が、自分自身の幸せも顧みず戦おうとする梨沙を生み出す一端になっている事。

 そんな、他者の為なら損得抜きに行動出来る梨沙の弱くも強い価値観に白神は魅力を感じていた。

「そうか……」

 白神は突如安堵したようにそう言葉を零した。

「憧れ……そう憧れだ。この気持ちは憧れだ。
決して、誰かの為だなんて好意的な気持ちじゃなかった……所詮は憧れの対象に過ぎない」

「へ?何の話ですか?」

 突然独白を始めた白神に首を傾げる梨沙。その様を見てふっと笑みを零す白神。

「はは、気にしないで。誰かの為に自分を奮い立たせる梨沙さんはすごいねってだけの話だからさ」

「な、なんで突然そんな事……」

 突然褒め言葉を渡された梨沙は、喜びの感情よりも困惑が勝っているようで、何と返すべきかとあわあわしている。

「ほら行くよ。こんな実験終わらせるんでしょ?」

「そうですけど……え?さっきの話結局なんだったんですか!?」

 そう口にすると、足早にフロアの扉へと向かい始める白神。解消されない困惑をそのままに梨沙がそれを追いかける。

「(他人の幸福だなんて足枷……僕には扱えない。僕のデュエルは、僕だけの為にある。それが結果的に、誰かを殺そうが、誰かの役に立とうが知った事じゃない。
僕は負けない。負けてやるもんか……)」

 これからの戦いに臨むべく、己の自我を保ち直した白神。梨沙との会話で見せていた笑顔はすぐ様収められ、白神がレッドフロアの扉の前へと到着する。

「白神君、何か気になることでもあったのかい?」

 遅れた白神に事情を伺う渚に、白神は素っ気なく返す。
 
「特に何も、待たせて悪かったよ」

 謝罪を口にした白神はチラリと渚の奥に立つ久能木を視界の端に捉える。あれから、まだ少ししか経っていないというのに、彼は既に新しいタバコへ火をつけていた。

「………」

 少し遅れて梨沙も、集まったみんなの元へ合流する。

「翔君、置いて行かないでくださいよ……」

「置いて行く程の距離でもないでしょ?」

「いやまぁそうですけど……!
ふぅ、これで全員集まりましたよね?」

「もちろんさ。彼で最後だったからね」

 その場に全員の顔ぶれが揃う。全員の顔をゆっくりと見回した梨沙が、全員に向けて声を掛ける。

「皆さん、安否確認の方法は大丈夫そうですか?」

 梨沙の問いかけに合わせて、渚がその方法を今一度周知する。
 
「一応、確認しておこうか。今から、ブルーフロアとグリーンフロアに向かって班を分ける。それぞれ、到着し次第もう1つの班のリーダーへ通話を行い安否確認をする。ブルーフロア班のリーダーは白神君だ。では穂香君、グリーンフロア班のリーダーは誰かな?」

「緑の班は、お化けのお姉ちゃん。だから、ほのか達が青い所に着いたら、お姉ちゃんに連絡するんだよね」

 穂香がしっかりと答えた事で、笑みを見せた渚が続ける。
 
「正解だよ。
フロアへ向かう最中に他被験者からの襲撃を含めたトラブルが起きる可能性は大いにある。フロアに到着したらこの機械のライトの点滅を確認し次第、相手の班のリーダーへ通話連絡。リーダーに繋がらなければ、他の班員へ片っ端から連絡して情報共有に努めてほしい」

 渚はそう言って、手に持つ小型のランプのついた機械のボタンを押す。すると、白神、穂香、近久の3人が持っている同様の機械のランプが点滅し始めた。

「到着したらこの機械で連絡して、機械が点滅してたら到着し次第連絡すればいい訳ね」

 近久が渚に習い機械のボタンを押すと、残った梨沙達4人の手元でランプが一定時間点滅を始める。

「その通り。
《通話機能》は、相手に繋がるまでコール音が響く。加えて、一度の通話時間にも制限があるから繋ぎっぱなしというのも無理だからね。それに原理は知らないけど、昔《盤外発動》を活用して通話状態の被験者を探し出すような奴も居た事がある。いろいろな観点から通話は安全を確保してから行うのが一番危険の少ない方法だろうという判断だよ」

「了解しました。皆さんも大丈夫そうですか?」

 渚の説明を受け、河原が頷きながら確認を取る。彼の言葉に全員が頷いた事で、梨沙がフロアの扉の前へと立つ。

「行きましょう。
私達の手で、この実験を終わらせてやります……!」

 そう宣言すると共にフロアの扉に触れる。機械音が響くと共に開かれた扉から、フリーエリアへと踏み出した梨沙に全員が続いていく。赤い光が絶えず照らしていた部屋から出たことで、視界が一瞬眩む。すぐ様鮮明になってくると、視界に入ってくるのは前方と左右へ延びる無機質な白い廊下。

「では、翔君達も十分注意してくださいね」

「言われずとも。そっちも精々死なないように……」

 双方が向き合う最後の会話を交わし、白神達のグループ3人は、廊下を左側に向かいブルーフロアを目指していく。

「お化けのお姉ちゃん、またね……!」
 
 白神に続いていく穂香が、振り返りながら手を振る。彼女に手を振り返し、精一杯の笑みで彼女を見送った梨沙。

「行こうか梨沙君」

「はい、お父さんに何かあってもいけませんから急ぎましょう……」

 早歩きで、梨沙達4人もグリーンフロアを目指し、廊下の右側へ向かって歩き始めた。





 -----





「今のところ……人の気配はないわね」

「そうだね。でも油断だけはしないでよ」

「ここを曲がった先が……青いところに行けるとこだよね?」

 白神達のグループは、レッドエリアとブルーエリアの境目である廊下が直線上に位置する場所まで到達していた。穂香の発言を受け、先頭を歩く白神が曲がり角の先を伺い警戒する。そして、背後を警戒する最後尾の近久。

「よし……こっちは異常なさそうだ」

「ウチの方も大丈夫そう。イベントだっけ?それが終わってる影響もあるかもしれないね」

 曲がり角を曲がり歩く一行。エリアの境目である曲がり角が見えてくる位置まで進んでいく。

「穂香、調子は大丈夫そう?」

「うん、疲れてないよ。休まなくても大丈夫」

 調子を伺う近久と穂香が小さく会話を交わした。その様をチラリと横目で見遣る白神。

 後ろへ少し振り返り喋る黄緑髪の少女。
 覗き込むように少女へ話しかける浴衣の女性。

 その後ろの曲がり角から、機敏で小さな何かが飛び出した。

「……!?」

「あ……?」
 
 白神は咄嗟に、近久の腕を引き寄せると自身の後ろ側に向けて勢いよく引っ張る。突然の出来事に対応できなかった近久は白神と場所が入れ替わるように穂香の前へ倒れこむ。

「何するのよ翔!?」


ザザッピー
「ただいまよりフリーエリアにてデュエルを開始します。
ルール:マスタールール
LP:4000
モード:エンカウント
リアルソリッドビジョン起動…。」


 それは一瞬の出来事だった。
 倒れた近久が体を起こし声を上げると共に、先程まで自分が居た場所へシャッターが下ろされ、デュエル開始のアナウンスが鳴り響いたのだ。

「はぁ……!?」

「お兄ちゃん!?」

 シャッターのこちら側には、近久と穂香しかいない。つまり、このシャッターの向こう側に白神が取り残され、何者かからデュエルを挑まれてしまっている。

「気にしなくていいから、急いでその子を連れてブルーフロアへ行け!
死なすなよ!」
 
「そんな、翔!?」

 シャッターの向こうから白神の声が響く。シャッターを叩き付け、向こう側に居る彼が自分の身代わりとなった事を悔やむ近久。

「ごめんなさい……ウチが気づかなかったばかりに……」

 警戒を怠った訳ではない。確かに、先程まで誰の気配もしなかったし、何かが動いている様にも思えなかった。だが、実際問題白神は誰かからデュエルを挑まれてしまった。背後からの奇襲は、近久の失態に他ならない。

「気にしなくていいって言ったでしょ。現に、今も僕の目の前には誰もいない」

「は?誰もいないって……」

「それより急いでここを離れてよ。これが何かの罠かもしれない。そうだとしたらその子が一番危ないだろ。心配しなくてもすぐ対処して追いつくからさ」

 白神の淡々とした状況分析を受け、はっとした近久は自分がすべき選択を決める。

「穂香、少しでいいから走ろう」

「でも、お魚のお兄ちゃんは……」

「翔が困るのは、自分が負ける事よりウチ達がここに残って殺されること!だから、ウチらがやることは翔を信じて、ブルーフロアで彼を待つことなの!」

 穂香と目線を合わせ力強く言い切った近久が手を伸ばしてくる。穂香はシャッターを数秒見つめるも、こくりと頷き近久の手を掴む。

「よし!」
 
 穂香の手を握り返した近久は、彼女を引くようにブルーフロアを目指し走り去っていく。



 -----



「……行ったか」

 背後のシャッターの向こうから人の気配が消えた事を確認した白神。小さなため息と共に、今一度眼前の光景を認識する。
 そこには、本来いるはずの対戦相手がどこにも見当たらない。しかし、自身の背後を含め完全にシャッターで閉鎖されたこの空間内は、デュエルが始まる合図に他ならない。

「(姿を消してる……?いや、なんの気配も感じない……ここにいないのは間違いないか)」

 誰もおらずとも起動する自身の右腕のデュエルディスク。それを構え、姿の見えない誰かに向けて声を上げていく。

「どんな手を使ったのか知らないけど、随分と卑怯だね。そもそもデュエルは始められるのか?」

 対戦相手の存在しないデュエル続行の可能性を問うた白神。だが、答えを示すのはアナウンスであった。


ピー
「先攻はワルトナー様、後攻は白神様になります。」


 [ターン1]


 アナウンスにより先攻、後攻の決定と共に存在しない対戦相手の名が告げられた。

「(ワルトナー?)……相手はここに居ないってのにデュエルは続行か。
もう何でもありだな」

 苦言を零しながらも、デッキから5枚のカードを勢いよく引き込む白神。

「誰か知らないけど相手になってあげるよ。僕のデュエルは、僕だけのデュエルだ。どんなデュエルだって負ける気なんかない。
相手が誰か分からなくたって勝たせてもらうよ……!」

 声高に叫ばれた彼の声を開始のゴングとし、デュエルが始められた。

 「デュエル!」   LP:4000
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