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Report#37「分断」 作:ランペル
穂香ちゃんがこっちに駆け足で来るのと同時に、《ゴーストリック・スペクター》がふわりと浮かびながら自分の足元までやって来てくれる。
「ありがとうスペクター。
お願いね?」
スペクターが布で隠された手を上に挙げ返事をしてくれる。角の様に少し盛り上がった頭部の部分にあたらないようにゆっくりとスペクターの背に体を預ける。
思ったよりも白い布の内側から質量を感じる。霊体という感じではなさそうだ。
デュエルディスクに置いてある《ゴーストリック・スペクター》に目が行く。
「(そう言えば、下の方に足っぽいの見えてるんだよね…。
少し気になる…ってそれどころじゃないよ!)」
イラストに足らしきものが描かれていることから、中身の存在が密かに示されている。
ほんの少し興味を惹かれながら、体の位置を少しずつ調節する。
「梨沙ちゃん大丈夫そう?」
「そうですね…今のところは…。
スペクター、浮かんでみてくれる?」
頷いたスペクターがゆっくりと地面から足を離す。徐々に体へ浮遊感が与えられていき、地面が遠ざかる。
「ちょっと…怖いけど、大丈夫そうかな…」
「お姉ちゃん痛くはない?」
「うん、スペクターがゆっくり浮かんでくれたのもあってほとんど痛くないよ。
スペクターありがと」
そう伝えるとスペクターは舌をぺろりと動かした。
「グリーンフロアへ向かうだけなら、時間自体は十分にあるわ。
ゆっくり行きましょう」
「お化けのお姉ちゃん、緑の所にはどうやって行くの?」
「ブラックエリアに戻ってそこから向かおうと思ってるけど、アリスさんはどう思いますか?」
グリーンフロアへの行き方…。エレベーターを使って対角のブラックエリアへと戻り、そこからグリーンフロアへと向かう。
自分が渚さんと穂香ちゃんと出会った時の様なルートを想定していたが、それ以外のルートがないかアリスさんへと確認してみる。
「うん、それでいいと思うわ。きっとそのルートが一番危険が少ないわ。
ここの両隣のエリアってパープルとレッドだから、必然と梨沙ちゃんの言ったルートが安全になると思うのよねぇ…」
「そっか、アリスさんのフロアは危ない人たちに囲まれてるんですね…」
「そうなのよ…油断してるとパープルの…朱猟だったかしら?
あいつに見つかるから外に出るのもヒヤヒヤよ…」
小さなため息を漏らしながら、アリスさんがフロアの出入り口の扉の元へと歩いていく。
それに穂香ちゃんが小走りでついていく。
「スペクター、お願いできるかな?」
スペクターと目が合う。視線を正面に戻したスペクターがゆっくりとアリスさん達の後を追う。
フロアの出入り口に三人が到着し、深呼吸をしたアリスさんが扉に手を触れる。
手を触れると扉がゆっくりと開かれ、フロアの外の普通の明かりがフロア内の青い照明と混ざり合う。
「よし、行きましょう。分かってると思うけど、ここからはいつ襲われてもおかしくないわ…。
最新の注意を払ってグリーンフロアを目指すわよ…!」
「はい!」
「分かったよ!」
ほんのり微笑んだアリスさんは、扉から左右の廊下を確認する。
フロアの外からは何の音もしない。完全な静寂だ。
「今の所人影はなし…。行きましょう」
扉から出て二人が正面へと歩き出す。
そして、それに続いてふわりとスペクターが追従する。
「スペクター、私掴まってるから…危なくなったら少し速く飛んでくれても大丈夫だからね」
左手よりは力の入る右手でスペクターの体を掴む。
布を被ったお化けがふわふわ浮かびながら片手を挙げて、返事を返してくれる。
「お祈りのお姉ちゃん、道は分かるの?」
「えぇ、ある程度は大丈夫よ。
今は何も起こってないから、通路が塞がれてるとかもないと思うから」
周囲を警戒しながら喋るアリスさんの通路が塞がれるという発言に引っかかりを憶える。
「え、通路が塞がれるってどういうことですか?」
「いわゆるイベントね…。悪趣味なものが多いんだけど、その時にはフリーエリアの廊下の各所のシャッターが閉じられて迷路みたいな状態にされちゃう時があるの」
「シャッター…」
「梨沙ちゃんは、フリーエリアでデュエルしたことはあったかしら?」
「はい、何回か」
「デュエルが始まる時にシャッターが降りて逃げ道が塞がれてしまうわよね。
どこでデュエルが始まってもいいように、この実験場のフリーエリアはとんでもない数のシャッターを閉じれる場所がある。上見ながら歩いたら分かるけど、曲がり角の区切りの所にはまず間違いなくシャッターが配置されてるわ」
アリスさんが上を指さす。天井に視線を向けると少し見づらいが、確かに天井の白い塗装とは少し色が異なっている部分がたくさんあるのが分かる。
「上の指示一つでこの殺風景な景色がシャッターだらけにされることもあり得るって訳よ…」
全てが白く変わり映えのしないフリーエリアはただでさえ迷いやすい。
梨沙が他の場所に向かう事が出来たのも壁伝いでエリアの端っこを伝ったからだ。シャッターを不規則に閉められようものなら、目的地にたどり着く事さえ難しくなるだろう…。
「巻き込まれたくないですね…。
そのイベントはいつ起こってるとかは分かるんですか?」
「ううん、完全に不定期。周期的なイベントはないから、完全に運営の気まぐれね」
「そうですか…」
ここには、まだ自分の知らない事が多くあるような気がして頭が痛くなる。
「まぁ、そうそう起こる事じゃないわよ。
今は、まっすぐ進むだけでエレベーターにつくと思うわ」
「オレンジ色のエレベーターだよね」
「そそ、穂香ちゃん正解よ~。よく覚えてたわね」
「横に動いて変な感じだったよ」
「なんか電車に乗ってるような感覚がしました」
「あぁ!それよ梨沙ちゃん。
あのエレベーターの乗り心地」
会話を織り交ぜながら、エレベータにへと向かう。
周囲を警戒しながら進んでいたが、誰とも遭遇することなくオレンジ色の扉のエレベーターが見える位置まで来ることが出来た。
「見えて来たわね」
「ひとまず誰にも襲われなくてよかったです…」
「あっちの方にも誰もいないよ」
一足先に右側の廊下の先を覗く穂香ちゃんが告げる。
「こっちにも居なさそう…。ひとまずブルーエリアは抜けられそうね」
エレベーターの前へと来ると、オレンジ色の扉が開かれた。その中は二人か三人入ると満員に見える広さだ。
アリスさんがスペクターとエレベーターの広さとを比較する。
「この広さだと…スペクターは乗れなさそうだね…」
「梨沙ちゃん大丈夫?立てそうかしら」
スペクターがゆっくりと地面へと着地し、こちらへ手を伸ばすアリスさんの手を取りゆっくりと立ちあがる。
「うっ……アリスさんありがとうございます。
なんとか…立て、そうです…」
立つ足が痛みで震える。アリスさんの手を借りて居なければ、立った状態を保つことは出来なさそうだった。
「申し訳ないんですけど…このまま手を貸してくれてると嬉しいです…」
「もちろんよ。ゆっくりエレベーターに乗るわよ…?」
「はい」
「ボタンはほのかが押すよ」
穂香ちゃんが先にエレベーターへ乗り込む。それに続くように私とアリスさんがゆっくりと同時にエレベーターへ乗り込む。
「スペクター、ありがとう。また助けてね」
スペクターに手を振りデュエルディスクから離す。
こちらへ手を振ってくれたスペクターは、召喚が解除され目の前から消えた。
「このどっちにも矢印が向いてるボタンだよね?」
「えぇ、穂香ちゃんお願いね」
「うん、ぽち」
声と共に左右に矢印の向いたボタンが押される。扉が閉じられエレベーターがゆっくりと前方の方向へと動き始める。
箱の中で揺られると体のバランスを保つのが難しくなり、アリスさんへと重心が傾いてしまう。
「ごめんなさい…揺れると…」
「気にしないでいいわよ。痛くはない?」
「はい、今の所大丈夫です。
無理に動かしたり何かにぶつかったりしない分にはほとんど痛くないんですけど、薬のおかげですかね」
こうやってエレベーターの移動に伴う振動程度では火傷跡に痛みが及ばない。
火傷直後は風が当たるだけ、布がこすれるだけで悶絶する程の痛みを伴っていたが、これだけ短い時間で痛みが抑えられていることに驚きを隠せない。
「薬の効果だけは高いのよね。まぁ、早い所治してまたデュエルしろってことなんだろうけど…。
でも、無理はだめよ。ひどい傷なのは間違いないんだから」
「デュエルはほのかに任せてね!」
二人から心配の気持ちを感じ取れる。その温かさにほんの少しの申し訳なさと、嬉しさが合わさる。
「二人ともありがとう。無理のない範囲で、頑張りますよ…!」
速度を落としたエレベーターが完全に静止すると、ブザー音と共に扉が開かれる。
「着きました…ね…?」
扉が開かれた先には白い無機質な廊下ではなく、人の肩から下の姿が目に入り込んできた。
「えぇ…!?」
「わぁ…!?」
互いに目の前の異常に驚きの声を上げる。後ろへ仰け反ってしまった所をアリスさんが支えてくれる。
「いっ…!」
「ちょっと…梨沙ちゃんどうしたの?
え…」
アリスさんもエレベーターの外に居た人を見つけた事で驚きの声を上げる。
視線をエレベーターの外へと戻すと、先程そこに立っていたであろう人が倒れしりもちをついていたのが見えた。
「いたた…」
そこにいた人は頭部の一部分を紫色に染めた綺麗な黒髪を伸ばした人だった。
白いシャツにセーターを着たその人の雰囲気はどこかおしとやかなものが感じられる。
「だーれ?」
「穂香ちゃん!」
咄嗟に穂香ちゃんを制止するように右腕が前に出る。
ここで出会う人がまともな人の保証はないのだ…。
「あぁ、ごめんなさいね…。皆さん大丈夫?」
最初に見た時は女性にも見えた背の高いその人の声は低い男性のものだった。
その人は手で自身のズボンを払うとこちらへ丁寧に語り掛けてきた。
「一旦…エレベーターの前から離れてくれるかしら?」
「あ、ここだと邪魔よね」
アリスさんの言葉に素直に従ったこの人はエレベーターから離れる。
アリスさんの手を借りながら、エレベーターから降り、デュエルディスクの《ゴーストリック・スペクター》を召喚する。
召喚と共に先程と同様、スペクターが召喚されふわりと目の前へと降り立つ。
「モンスター…」
何とか痛みを声に出さないようにしながらスペクターの上へと乗せてもらう。その間に穂香ちゃんもエレベーターから降りていた。
「随分たくさん乗っていたのね」
「それで?あなたの目的は何?」
アリスさんが左腕に着けたデュエルディスクを構えながら聞く。
「僕にデュエルを?あなた達3人とやる気はないのだけれど」
その人は左腕に着けたデュエルディスクを構えようとせず、逃げるでもなくその場に立っている。
「えっと、デュエルするつもりはないんですね?
なら、私達行くところがあるので失礼します。二人とも行こう」
「うん」
今はあまり他の人と関わって面倒ごとに巻き込まれたくない。
遭遇した人が攻撃的な人じゃなくて良かったと内心ほっとしながらエレベーターから出て右側の廊下へ向かうようにスペクターへと頼み込む。
「深く聞くつもりはないけれど、忙しそうですね。
3人一緒に行動ってのもここではきっと珍しい」
別れ際に男性が呟く。後ろ目で見るとそれに対してアリスさんが振り返り、会話を交わす。
「お察しの通りよ。急いでるからあなたが突然デュエルを挑んでくる人じゃなくて助かったわ。
もし、あなたが危険な人じゃないならまたお話ししましょう」
アリスさんはこちらへと向き直り歩き出す。
その背後で、男の人が手元に1枚のカードを持っているのが見えた。
嫌な予感がして咄嗟に声が出た。
「アリスさん!!」
「え?」
「《ゲート・ブロッカー》召喚」
突然アリスさんが目の前から消え、代わりに巨大な一つ目を持った壁がそびえ立った。
「な、なにこれ…アリスさん…!」
「お姉ちゃん!?」
自分の声に反応して、前を向いていた穂香ちゃんも振り返り異常事態を認知する。
突然の事に穂香ちゃんと一緒に混乱するばかりだ。突如出現した壁により、私と穂香ちゃんを残して壁の向こうにアリスさんが置き去りにされてしまった。
壁を挟んでアリスさんが男性と話す声が聞こえるだけだ。
「デュエルする気がないにしてはおかしなことしてくれるわね…?」
「あなた達3人とやる気がないと言っただけだよ。
僕が用事があるのはあなただけ…《背反の魔女》」
「…アリスさんと!?スペクター…!!」
スペクターに壁へと近づいてもらい壁に触れる。文字通り壁の感触。
自分が傷だらけで弱っていることを抜きにしてもこの壁を取り除くことは出来そうにない…。
「そんな、アリスさん…!」
自分がもう少し早く異変に気づけていれば。この体が思うように動かせていれば。
アリスさんと分断されることもなかったかもしれないのにと後悔の念に駆られる。
「梨沙ちゃん。心配しなくてもいいわ。
あなたは穂香ちゃんと一緒に早くグリーンフロアに」
壁の向こう側からアリスさんの冷静な声が聞こえる。
「でも…でも…!」
「穂香ちゃんをちゃんと送り届けるんでしょう?
私は大丈夫よ。あなたより長くクラスⅢで生きてたんだから。絡まれたことだって何度もあるわ」
「アリス…さん……」
「ほら、行ってちょうだい!
他の人に絡まれても嫌でしょう?急いで!」
「お姉ちゃん……」
壁越しに無力感に打ちのめされる。だが、今やるべきことははっきりしている。
「絶対、無事で居てくださいよ。
これがお別れとか絶対に嫌ですからね!!?」
「もちろんよ。大切な友達を残していくようなことしないわ」
右手の拳をぎゅっと握りしめる。
「穂香ちゃん、スペクター行こう」
「お祈りのお姉ちゃんは…」
「アリスさんなら大丈夫!きっと、きっと大丈夫!
一緒にグリーンフロアに行って、無事に帰って元気な姿見せないと!」
「…うん、分かった!」
スペクターが進むのに合わせて穂香ちゃんが小走りで走る。
「(信じてますよ…アリスさん…)」
二人をを信じると誓った。今は3人で穂香ちゃんのノルマを達成しないといけない。
巻き込まれたら自分だってデュエルするつもりだったんだ…今はやるべきことをやるだけだ。
---
「仲が良さそうですね」
男は髪をかきあげる。
「その紫に染まった髪見てるとどこぞのイカレたやつを思い出しちゃうわね…」
「僕達は運がいい。ブラックフロアに行ったんですけど、誰も居なくてね。
次に候補だったブルーフロアに向かう所だったんです」
「あはは、それでエレベーター待ってたら標的が出て来たって訳ね」
「そういうことですね」
男はデュエルディスクを構える。
「舐めないでよね。だてにクラスⅢで長生きしてないっての!」
アリスの脳内で何かが引っかかる。
「(僕達…?)」
男が立つ側の廊下とは別方向の廊下から足音が聞こえた。
「…!?」
「みっくん…その人っすか…?」
「あぁ。さっき話した《背反の魔女》さんだよ」
背の低い金髪のショートヘアをした少年から高い声が聞こえる。
右目の下になきぼくろのある彼女は青いネクタイとシャツを着て、もう一方の廊下に立ちふさがる。
その髪の右側は男と同様一部が紫色に染められている。
「何ともでこぼこなコンビだこと…」
頬に汗が流れているのが分かる。アリスは今自分が危機に瀕していることを悟った。
「(2対1のデュエルはしたことがないわね…まず間違いなく不利な戦いになってしまう。
後ろも塞がれてるから逃げる訳にも行かない……)」
「じゃ、申し訳ないんすけど死んでもらわないと……っすね…」
歯切れ悪く彼女も左腕のデュエルディスクを構える。
「(二人でのデュエルに慣れてそうね…。それに一人で挑んでも…。
いいえ、あきらめないわ。大切な人が出来たんだもの…)」
絶望的な状況を前に深呼吸をする。その瞬間、頭に激痛が走る。
「うぁっ…!?な、なに…!?」
余りの痛みに膝をつき頭を抱える。
「な、なに…?」
「………」
頭痛にもがくアリスを前に男女はデュエルディスクを構えたまま静観する。
「(いた…い…なに、これ?
なんで突然…頭痛が…)」
頭痛に紛れて声が聞こえた。
「手を貸そうか?」
「え?」
よく聞く声が聞こえた。その声は自分の口から発せられていたものだった。
「なんなの…?」
「いらないっつっても、お前が負けたらあたしも死ぬんだ。
勝手にさせてもらうがな!」
自分の体が自分の物ではないように勝手に動き、左手の手袋が外される。
手首まで覆っていた手袋が外されると、刺し傷だらけの左手が垣間見える。
「ひっ…」
それを見たであろう金髪の彼女は表情に怯えを滲ませる。
目にすることは頭に入ってくる。意識もはっきりしているが体の主導権だけ得られない。
左手は水色のジャケットの懐へと手を突っ込みそこから、小型の機械を取り出し右腕へと装着した。
理解できない症状に加えて勝手に動くからだから、見覚えのない機械が自分の服から出てくると、何が何だか分からない。
「他の時とは違う!お前らは明確に殺意を持ってあたしを殺しに来た!そうだ!殺意を持っている!
あたしの勘違いじゃないよなぁ!?それも二人がかりでだ!随分と卑怯な真似をしてくれるじゃないか!えぇ!?」
自分の口が思惑と別に勝手に喋っている。
まず間違いなく、もう一人の自分だ。
「うっ……」
突然豹変したアリスから卑怯と罵られ金髪の少女は押し黙り目線を逸らす。
それに対して黒髪の男はため息を吐き、冷たい視線をアリスへと向ける。
「何を言ってるのかね…この場所で卑怯もクソもないじゃない…」
「あああああ!!!その理屈だ!それはつまり、あたしが何しようともう文句は言えないってことだよなぁ!!!?
この人殺しどもめ!」
両手を平行に広げると、左腕につけられたデュエルディスクが起動する。
そして、それに合わせて先程右腕に着けられた機械も特有の機械音を発し始める。
「え…?」
ザザッピー
「ただいまよりフリーエリアにてデュエルを開始します。
ルール:マスタールール
LP:4000
モード:バトルロイヤル
リアルソリッドビジョン起動…。」
この場には3人しかいないのに、4つのデュエルディスクが起動を始めだす。
「なに…!?」
「え…!?なんで、二つも起動してるの…?」
明らかに眼前の二人は動揺している。
そして、その動揺はアリスも同時に感じているものだ。
「ど、どういうこと?あなた、何をしたのよ!?
それになんで今あなたが外にいるのに、私の意識がはっきりして……」
「いざって時の備えだよバーカ!
あたしの訴えを上は通してくれたみたいだ。なんせ、お前とあたしがいるんだ!
二人分デュエリストとして換算してくれてもおかしかねぇだろう。なぁ!?」
アリスが知らない間にもう一人の自分が何かの話を進めていたらしい。常に恐怖の感情が先走り他の人だけでなく自分との会話もなかなかスムーズにいかなかった彼女が、自分の危機を察知し手助けをするような言動と行動を見せている。
「何がどうなってるの…?
もしかして助けてくれようとしてるの…?あなたがそんなことするなんて、一度もなかったじゃない…!」
「知るか!あたしは何も変わっちゃいない!
変わったんだとしたらお前だよ」
「私…?」
体が今まで通り動く。視線を自分の左手にへと落とす。
傷跡だらけの左手。周りからつけられたもの…自分で傷つけた物。
何度自分を痛めつけ、命を絶とうとしたことか。
泣きながら繰り返すリストカットは、いつも寸前の所で意識が途切れていた。この子がそれを許してはくれなかったから。
誰からも救われず、理解もされない。そんな地獄の様にただ生きているだけだった。
「でも…梨沙ちゃんは……」
初めて人に純粋な善意の気持ちを向けられた。
こんな人として出来損ないの様な自分の事を、友達だと言ってくれた。
命を懸けてまた私なんかと話をしたいとそう言ってくれた。
大切な人との約束を反故にしたくない。初めて出来た友達を助けたい。
「そういう…こと…」
「お前にやりたいことが出来るなんて初めての事だ!死なせるか。
死ぬのはなぁ!あいつらの方なんだよ!!!」
瞬時に口調と声量、声色、表情、しぐさのそれらが目まぐるしく変化するアリスの所作は、周りから見ると奇人のそれと大差なかったのだろう。
彼女の前へと立ちふさがった二人は表情を強張らせている。
「み、みっくん…なんか…やばそうっすよ…」
「《背反の魔女》か…異名通りの怪人だね…」
男の人の魔女という言葉に反応して主導権が切り替わる。
「あぁぁあああ!?魔女だぁ!?
ならそれに則ってやるよ!魔女のあたしらにお前らは殺されるんだ!憐れな実験動物は鍋で煮込まれて終了だよ!」
一つの肉体に二つの人格を宿す。
それだけではなく、瞬時に人格が切り替わり体の主導権を交代し合う。
「そんなに挑発しなくてもいいわよ。デュエルで勝つだけでいいんだから」
「それじゃぁだめだ!殺意には殺意を返さないとだろうが!!?いつまた襲って来るか分かったものじゃない!!!」
瞬時の入れ替わりは体への負担と共に、恐怖、殺意、不安、歓喜、協調…。
相手の感情が自分に流れ込んでくるような不思議で少し気持ち悪い感覚がする。
「まぁ…本気出さないと死にかねないのは同意するわよ」
「襲う相手が悪かったってそこの頭の悪いバカ共に叩き込んでやるぞ!なぁ!?」
両腕に備えたデュエルディスク。右手で左のデュエルディスクから5枚を引き、左手で右のデュエルディスクから5枚のカードを引き込む。
男はそれを見て、息を吸い相方であろう金髪の少女へと声をあげデュエルディスクから5枚のカードを引き込む。
「晶(あきら)…!怯まないでよ。
約束したでしょ。生きて二人でここから出るって!」
「も、もちろんっす。みっくんと一緒に生きて出る為なら………為なら…!」
自分へと言い聞かせるように繰り返した彼女もデッキから5枚のカードを引き、アリスたちへと向きなおる。
「「デュエル!」」 LP:4000 LP:4000
「デュエル!」 LP:4000
「デュエルっす!」 LP:4000
「ありがとうスペクター。
お願いね?」
スペクターが布で隠された手を上に挙げ返事をしてくれる。角の様に少し盛り上がった頭部の部分にあたらないようにゆっくりとスペクターの背に体を預ける。
思ったよりも白い布の内側から質量を感じる。霊体という感じではなさそうだ。
デュエルディスクに置いてある《ゴーストリック・スペクター》に目が行く。
「(そう言えば、下の方に足っぽいの見えてるんだよね…。
少し気になる…ってそれどころじゃないよ!)」
イラストに足らしきものが描かれていることから、中身の存在が密かに示されている。
ほんの少し興味を惹かれながら、体の位置を少しずつ調節する。
「梨沙ちゃん大丈夫そう?」
「そうですね…今のところは…。
スペクター、浮かんでみてくれる?」
頷いたスペクターがゆっくりと地面から足を離す。徐々に体へ浮遊感が与えられていき、地面が遠ざかる。
「ちょっと…怖いけど、大丈夫そうかな…」
「お姉ちゃん痛くはない?」
「うん、スペクターがゆっくり浮かんでくれたのもあってほとんど痛くないよ。
スペクターありがと」
そう伝えるとスペクターは舌をぺろりと動かした。
「グリーンフロアへ向かうだけなら、時間自体は十分にあるわ。
ゆっくり行きましょう」
「お化けのお姉ちゃん、緑の所にはどうやって行くの?」
「ブラックエリアに戻ってそこから向かおうと思ってるけど、アリスさんはどう思いますか?」
グリーンフロアへの行き方…。エレベーターを使って対角のブラックエリアへと戻り、そこからグリーンフロアへと向かう。
自分が渚さんと穂香ちゃんと出会った時の様なルートを想定していたが、それ以外のルートがないかアリスさんへと確認してみる。
「うん、それでいいと思うわ。きっとそのルートが一番危険が少ないわ。
ここの両隣のエリアってパープルとレッドだから、必然と梨沙ちゃんの言ったルートが安全になると思うのよねぇ…」
「そっか、アリスさんのフロアは危ない人たちに囲まれてるんですね…」
「そうなのよ…油断してるとパープルの…朱猟だったかしら?
あいつに見つかるから外に出るのもヒヤヒヤよ…」
小さなため息を漏らしながら、アリスさんがフロアの出入り口の扉の元へと歩いていく。
それに穂香ちゃんが小走りでついていく。
「スペクター、お願いできるかな?」
スペクターと目が合う。視線を正面に戻したスペクターがゆっくりとアリスさん達の後を追う。
フロアの出入り口に三人が到着し、深呼吸をしたアリスさんが扉に手を触れる。
手を触れると扉がゆっくりと開かれ、フロアの外の普通の明かりがフロア内の青い照明と混ざり合う。
「よし、行きましょう。分かってると思うけど、ここからはいつ襲われてもおかしくないわ…。
最新の注意を払ってグリーンフロアを目指すわよ…!」
「はい!」
「分かったよ!」
ほんのり微笑んだアリスさんは、扉から左右の廊下を確認する。
フロアの外からは何の音もしない。完全な静寂だ。
「今の所人影はなし…。行きましょう」
扉から出て二人が正面へと歩き出す。
そして、それに続いてふわりとスペクターが追従する。
「スペクター、私掴まってるから…危なくなったら少し速く飛んでくれても大丈夫だからね」
左手よりは力の入る右手でスペクターの体を掴む。
布を被ったお化けがふわふわ浮かびながら片手を挙げて、返事を返してくれる。
「お祈りのお姉ちゃん、道は分かるの?」
「えぇ、ある程度は大丈夫よ。
今は何も起こってないから、通路が塞がれてるとかもないと思うから」
周囲を警戒しながら喋るアリスさんの通路が塞がれるという発言に引っかかりを憶える。
「え、通路が塞がれるってどういうことですか?」
「いわゆるイベントね…。悪趣味なものが多いんだけど、その時にはフリーエリアの廊下の各所のシャッターが閉じられて迷路みたいな状態にされちゃう時があるの」
「シャッター…」
「梨沙ちゃんは、フリーエリアでデュエルしたことはあったかしら?」
「はい、何回か」
「デュエルが始まる時にシャッターが降りて逃げ道が塞がれてしまうわよね。
どこでデュエルが始まってもいいように、この実験場のフリーエリアはとんでもない数のシャッターを閉じれる場所がある。上見ながら歩いたら分かるけど、曲がり角の区切りの所にはまず間違いなくシャッターが配置されてるわ」
アリスさんが上を指さす。天井に視線を向けると少し見づらいが、確かに天井の白い塗装とは少し色が異なっている部分がたくさんあるのが分かる。
「上の指示一つでこの殺風景な景色がシャッターだらけにされることもあり得るって訳よ…」
全てが白く変わり映えのしないフリーエリアはただでさえ迷いやすい。
梨沙が他の場所に向かう事が出来たのも壁伝いでエリアの端っこを伝ったからだ。シャッターを不規則に閉められようものなら、目的地にたどり着く事さえ難しくなるだろう…。
「巻き込まれたくないですね…。
そのイベントはいつ起こってるとかは分かるんですか?」
「ううん、完全に不定期。周期的なイベントはないから、完全に運営の気まぐれね」
「そうですか…」
ここには、まだ自分の知らない事が多くあるような気がして頭が痛くなる。
「まぁ、そうそう起こる事じゃないわよ。
今は、まっすぐ進むだけでエレベーターにつくと思うわ」
「オレンジ色のエレベーターだよね」
「そそ、穂香ちゃん正解よ~。よく覚えてたわね」
「横に動いて変な感じだったよ」
「なんか電車に乗ってるような感覚がしました」
「あぁ!それよ梨沙ちゃん。
あのエレベーターの乗り心地」
会話を織り交ぜながら、エレベータにへと向かう。
周囲を警戒しながら進んでいたが、誰とも遭遇することなくオレンジ色の扉のエレベーターが見える位置まで来ることが出来た。
「見えて来たわね」
「ひとまず誰にも襲われなくてよかったです…」
「あっちの方にも誰もいないよ」
一足先に右側の廊下の先を覗く穂香ちゃんが告げる。
「こっちにも居なさそう…。ひとまずブルーエリアは抜けられそうね」
エレベーターの前へと来ると、オレンジ色の扉が開かれた。その中は二人か三人入ると満員に見える広さだ。
アリスさんがスペクターとエレベーターの広さとを比較する。
「この広さだと…スペクターは乗れなさそうだね…」
「梨沙ちゃん大丈夫?立てそうかしら」
スペクターがゆっくりと地面へと着地し、こちらへ手を伸ばすアリスさんの手を取りゆっくりと立ちあがる。
「うっ……アリスさんありがとうございます。
なんとか…立て、そうです…」
立つ足が痛みで震える。アリスさんの手を借りて居なければ、立った状態を保つことは出来なさそうだった。
「申し訳ないんですけど…このまま手を貸してくれてると嬉しいです…」
「もちろんよ。ゆっくりエレベーターに乗るわよ…?」
「はい」
「ボタンはほのかが押すよ」
穂香ちゃんが先にエレベーターへ乗り込む。それに続くように私とアリスさんがゆっくりと同時にエレベーターへ乗り込む。
「スペクター、ありがとう。また助けてね」
スペクターに手を振りデュエルディスクから離す。
こちらへ手を振ってくれたスペクターは、召喚が解除され目の前から消えた。
「このどっちにも矢印が向いてるボタンだよね?」
「えぇ、穂香ちゃんお願いね」
「うん、ぽち」
声と共に左右に矢印の向いたボタンが押される。扉が閉じられエレベーターがゆっくりと前方の方向へと動き始める。
箱の中で揺られると体のバランスを保つのが難しくなり、アリスさんへと重心が傾いてしまう。
「ごめんなさい…揺れると…」
「気にしないでいいわよ。痛くはない?」
「はい、今の所大丈夫です。
無理に動かしたり何かにぶつかったりしない分にはほとんど痛くないんですけど、薬のおかげですかね」
こうやってエレベーターの移動に伴う振動程度では火傷跡に痛みが及ばない。
火傷直後は風が当たるだけ、布がこすれるだけで悶絶する程の痛みを伴っていたが、これだけ短い時間で痛みが抑えられていることに驚きを隠せない。
「薬の効果だけは高いのよね。まぁ、早い所治してまたデュエルしろってことなんだろうけど…。
でも、無理はだめよ。ひどい傷なのは間違いないんだから」
「デュエルはほのかに任せてね!」
二人から心配の気持ちを感じ取れる。その温かさにほんの少しの申し訳なさと、嬉しさが合わさる。
「二人ともありがとう。無理のない範囲で、頑張りますよ…!」
速度を落としたエレベーターが完全に静止すると、ブザー音と共に扉が開かれる。
「着きました…ね…?」
扉が開かれた先には白い無機質な廊下ではなく、人の肩から下の姿が目に入り込んできた。
「えぇ…!?」
「わぁ…!?」
互いに目の前の異常に驚きの声を上げる。後ろへ仰け反ってしまった所をアリスさんが支えてくれる。
「いっ…!」
「ちょっと…梨沙ちゃんどうしたの?
え…」
アリスさんもエレベーターの外に居た人を見つけた事で驚きの声を上げる。
視線をエレベーターの外へと戻すと、先程そこに立っていたであろう人が倒れしりもちをついていたのが見えた。
「いたた…」
そこにいた人は頭部の一部分を紫色に染めた綺麗な黒髪を伸ばした人だった。
白いシャツにセーターを着たその人の雰囲気はどこかおしとやかなものが感じられる。
「だーれ?」
「穂香ちゃん!」
咄嗟に穂香ちゃんを制止するように右腕が前に出る。
ここで出会う人がまともな人の保証はないのだ…。
「あぁ、ごめんなさいね…。皆さん大丈夫?」
最初に見た時は女性にも見えた背の高いその人の声は低い男性のものだった。
その人は手で自身のズボンを払うとこちらへ丁寧に語り掛けてきた。
「一旦…エレベーターの前から離れてくれるかしら?」
「あ、ここだと邪魔よね」
アリスさんの言葉に素直に従ったこの人はエレベーターから離れる。
アリスさんの手を借りながら、エレベーターから降り、デュエルディスクの《ゴーストリック・スペクター》を召喚する。
召喚と共に先程と同様、スペクターが召喚されふわりと目の前へと降り立つ。
「モンスター…」
何とか痛みを声に出さないようにしながらスペクターの上へと乗せてもらう。その間に穂香ちゃんもエレベーターから降りていた。
「随分たくさん乗っていたのね」
「それで?あなたの目的は何?」
アリスさんが左腕に着けたデュエルディスクを構えながら聞く。
「僕にデュエルを?あなた達3人とやる気はないのだけれど」
その人は左腕に着けたデュエルディスクを構えようとせず、逃げるでもなくその場に立っている。
「えっと、デュエルするつもりはないんですね?
なら、私達行くところがあるので失礼します。二人とも行こう」
「うん」
今はあまり他の人と関わって面倒ごとに巻き込まれたくない。
遭遇した人が攻撃的な人じゃなくて良かったと内心ほっとしながらエレベーターから出て右側の廊下へ向かうようにスペクターへと頼み込む。
「深く聞くつもりはないけれど、忙しそうですね。
3人一緒に行動ってのもここではきっと珍しい」
別れ際に男性が呟く。後ろ目で見るとそれに対してアリスさんが振り返り、会話を交わす。
「お察しの通りよ。急いでるからあなたが突然デュエルを挑んでくる人じゃなくて助かったわ。
もし、あなたが危険な人じゃないならまたお話ししましょう」
アリスさんはこちらへと向き直り歩き出す。
その背後で、男の人が手元に1枚のカードを持っているのが見えた。
嫌な予感がして咄嗟に声が出た。
「アリスさん!!」
「え?」
「《ゲート・ブロッカー》召喚」
突然アリスさんが目の前から消え、代わりに巨大な一つ目を持った壁がそびえ立った。
「な、なにこれ…アリスさん…!」
「お姉ちゃん!?」
自分の声に反応して、前を向いていた穂香ちゃんも振り返り異常事態を認知する。
突然の事に穂香ちゃんと一緒に混乱するばかりだ。突如出現した壁により、私と穂香ちゃんを残して壁の向こうにアリスさんが置き去りにされてしまった。
壁を挟んでアリスさんが男性と話す声が聞こえるだけだ。
「デュエルする気がないにしてはおかしなことしてくれるわね…?」
「あなた達3人とやる気がないと言っただけだよ。
僕が用事があるのはあなただけ…《背反の魔女》」
「…アリスさんと!?スペクター…!!」
スペクターに壁へと近づいてもらい壁に触れる。文字通り壁の感触。
自分が傷だらけで弱っていることを抜きにしてもこの壁を取り除くことは出来そうにない…。
「そんな、アリスさん…!」
自分がもう少し早く異変に気づけていれば。この体が思うように動かせていれば。
アリスさんと分断されることもなかったかもしれないのにと後悔の念に駆られる。
「梨沙ちゃん。心配しなくてもいいわ。
あなたは穂香ちゃんと一緒に早くグリーンフロアに」
壁の向こう側からアリスさんの冷静な声が聞こえる。
「でも…でも…!」
「穂香ちゃんをちゃんと送り届けるんでしょう?
私は大丈夫よ。あなたより長くクラスⅢで生きてたんだから。絡まれたことだって何度もあるわ」
「アリス…さん……」
「ほら、行ってちょうだい!
他の人に絡まれても嫌でしょう?急いで!」
「お姉ちゃん……」
壁越しに無力感に打ちのめされる。だが、今やるべきことははっきりしている。
「絶対、無事で居てくださいよ。
これがお別れとか絶対に嫌ですからね!!?」
「もちろんよ。大切な友達を残していくようなことしないわ」
右手の拳をぎゅっと握りしめる。
「穂香ちゃん、スペクター行こう」
「お祈りのお姉ちゃんは…」
「アリスさんなら大丈夫!きっと、きっと大丈夫!
一緒にグリーンフロアに行って、無事に帰って元気な姿見せないと!」
「…うん、分かった!」
スペクターが進むのに合わせて穂香ちゃんが小走りで走る。
「(信じてますよ…アリスさん…)」
二人をを信じると誓った。今は3人で穂香ちゃんのノルマを達成しないといけない。
巻き込まれたら自分だってデュエルするつもりだったんだ…今はやるべきことをやるだけだ。
---
「仲が良さそうですね」
男は髪をかきあげる。
「その紫に染まった髪見てるとどこぞのイカレたやつを思い出しちゃうわね…」
「僕達は運がいい。ブラックフロアに行ったんですけど、誰も居なくてね。
次に候補だったブルーフロアに向かう所だったんです」
「あはは、それでエレベーター待ってたら標的が出て来たって訳ね」
「そういうことですね」
男はデュエルディスクを構える。
「舐めないでよね。だてにクラスⅢで長生きしてないっての!」
アリスの脳内で何かが引っかかる。
「(僕達…?)」
男が立つ側の廊下とは別方向の廊下から足音が聞こえた。
「…!?」
「みっくん…その人っすか…?」
「あぁ。さっき話した《背反の魔女》さんだよ」
背の低い金髪のショートヘアをした少年から高い声が聞こえる。
右目の下になきぼくろのある彼女は青いネクタイとシャツを着て、もう一方の廊下に立ちふさがる。
その髪の右側は男と同様一部が紫色に染められている。
「何ともでこぼこなコンビだこと…」
頬に汗が流れているのが分かる。アリスは今自分が危機に瀕していることを悟った。
「(2対1のデュエルはしたことがないわね…まず間違いなく不利な戦いになってしまう。
後ろも塞がれてるから逃げる訳にも行かない……)」
「じゃ、申し訳ないんすけど死んでもらわないと……っすね…」
歯切れ悪く彼女も左腕のデュエルディスクを構える。
「(二人でのデュエルに慣れてそうね…。それに一人で挑んでも…。
いいえ、あきらめないわ。大切な人が出来たんだもの…)」
絶望的な状況を前に深呼吸をする。その瞬間、頭に激痛が走る。
「うぁっ…!?な、なに…!?」
余りの痛みに膝をつき頭を抱える。
「な、なに…?」
「………」
頭痛にもがくアリスを前に男女はデュエルディスクを構えたまま静観する。
「(いた…い…なに、これ?
なんで突然…頭痛が…)」
頭痛に紛れて声が聞こえた。
「手を貸そうか?」
「え?」
よく聞く声が聞こえた。その声は自分の口から発せられていたものだった。
「なんなの…?」
「いらないっつっても、お前が負けたらあたしも死ぬんだ。
勝手にさせてもらうがな!」
自分の体が自分の物ではないように勝手に動き、左手の手袋が外される。
手首まで覆っていた手袋が外されると、刺し傷だらけの左手が垣間見える。
「ひっ…」
それを見たであろう金髪の彼女は表情に怯えを滲ませる。
目にすることは頭に入ってくる。意識もはっきりしているが体の主導権だけ得られない。
左手は水色のジャケットの懐へと手を突っ込みそこから、小型の機械を取り出し右腕へと装着した。
理解できない症状に加えて勝手に動くからだから、見覚えのない機械が自分の服から出てくると、何が何だか分からない。
「他の時とは違う!お前らは明確に殺意を持ってあたしを殺しに来た!そうだ!殺意を持っている!
あたしの勘違いじゃないよなぁ!?それも二人がかりでだ!随分と卑怯な真似をしてくれるじゃないか!えぇ!?」
自分の口が思惑と別に勝手に喋っている。
まず間違いなく、もう一人の自分だ。
「うっ……」
突然豹変したアリスから卑怯と罵られ金髪の少女は押し黙り目線を逸らす。
それに対して黒髪の男はため息を吐き、冷たい視線をアリスへと向ける。
「何を言ってるのかね…この場所で卑怯もクソもないじゃない…」
「あああああ!!!その理屈だ!それはつまり、あたしが何しようともう文句は言えないってことだよなぁ!!!?
この人殺しどもめ!」
両手を平行に広げると、左腕につけられたデュエルディスクが起動する。
そして、それに合わせて先程右腕に着けられた機械も特有の機械音を発し始める。
「え…?」
ザザッピー
「ただいまよりフリーエリアにてデュエルを開始します。
ルール:マスタールール
LP:4000
モード:バトルロイヤル
リアルソリッドビジョン起動…。」
この場には3人しかいないのに、4つのデュエルディスクが起動を始めだす。
「なに…!?」
「え…!?なんで、二つも起動してるの…?」
明らかに眼前の二人は動揺している。
そして、その動揺はアリスも同時に感じているものだ。
「ど、どういうこと?あなた、何をしたのよ!?
それになんで今あなたが外にいるのに、私の意識がはっきりして……」
「いざって時の備えだよバーカ!
あたしの訴えを上は通してくれたみたいだ。なんせ、お前とあたしがいるんだ!
二人分デュエリストとして換算してくれてもおかしかねぇだろう。なぁ!?」
アリスが知らない間にもう一人の自分が何かの話を進めていたらしい。常に恐怖の感情が先走り他の人だけでなく自分との会話もなかなかスムーズにいかなかった彼女が、自分の危機を察知し手助けをするような言動と行動を見せている。
「何がどうなってるの…?
もしかして助けてくれようとしてるの…?あなたがそんなことするなんて、一度もなかったじゃない…!」
「知るか!あたしは何も変わっちゃいない!
変わったんだとしたらお前だよ」
「私…?」
体が今まで通り動く。視線を自分の左手にへと落とす。
傷跡だらけの左手。周りからつけられたもの…自分で傷つけた物。
何度自分を痛めつけ、命を絶とうとしたことか。
泣きながら繰り返すリストカットは、いつも寸前の所で意識が途切れていた。この子がそれを許してはくれなかったから。
誰からも救われず、理解もされない。そんな地獄の様にただ生きているだけだった。
「でも…梨沙ちゃんは……」
初めて人に純粋な善意の気持ちを向けられた。
こんな人として出来損ないの様な自分の事を、友達だと言ってくれた。
命を懸けてまた私なんかと話をしたいとそう言ってくれた。
大切な人との約束を反故にしたくない。初めて出来た友達を助けたい。
「そういう…こと…」
「お前にやりたいことが出来るなんて初めての事だ!死なせるか。
死ぬのはなぁ!あいつらの方なんだよ!!!」
瞬時に口調と声量、声色、表情、しぐさのそれらが目まぐるしく変化するアリスの所作は、周りから見ると奇人のそれと大差なかったのだろう。
彼女の前へと立ちふさがった二人は表情を強張らせている。
「み、みっくん…なんか…やばそうっすよ…」
「《背反の魔女》か…異名通りの怪人だね…」
男の人の魔女という言葉に反応して主導権が切り替わる。
「あぁぁあああ!?魔女だぁ!?
ならそれに則ってやるよ!魔女のあたしらにお前らは殺されるんだ!憐れな実験動物は鍋で煮込まれて終了だよ!」
一つの肉体に二つの人格を宿す。
それだけではなく、瞬時に人格が切り替わり体の主導権を交代し合う。
「そんなに挑発しなくてもいいわよ。デュエルで勝つだけでいいんだから」
「それじゃぁだめだ!殺意には殺意を返さないとだろうが!!?いつまた襲って来るか分かったものじゃない!!!」
瞬時の入れ替わりは体への負担と共に、恐怖、殺意、不安、歓喜、協調…。
相手の感情が自分に流れ込んでくるような不思議で少し気持ち悪い感覚がする。
「まぁ…本気出さないと死にかねないのは同意するわよ」
「襲う相手が悪かったってそこの頭の悪いバカ共に叩き込んでやるぞ!なぁ!?」
両腕に備えたデュエルディスク。右手で左のデュエルディスクから5枚を引き、左手で右のデュエルディスクから5枚のカードを引き込む。
男はそれを見て、息を吸い相方であろう金髪の少女へと声をあげデュエルディスクから5枚のカードを引き込む。
「晶(あきら)…!怯まないでよ。
約束したでしょ。生きて二人でここから出るって!」
「も、もちろんっす。みっくんと一緒に生きて出る為なら………為なら…!」
自分へと言い聞かせるように繰り返した彼女もデッキから5枚のカードを引き、アリスたちへと向きなおる。
「「デュエル!」」 LP:4000 LP:4000
「デュエル!」 LP:4000
「デュエルっす!」 LP:4000
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更新情報 - NEW -
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Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。




今まで意識の内で協力することがなかった彼女の2人の人格でしたが、人知れずその命を救っていた模様。人を傷つけた彼女と、人を救った彼女、命がかかったこの状況においては、その2つの人格がともに戦うことが叶うのですね…。
そして文字通り分断されてしまった彼女たち。梨沙さんとほのかちゃんの方も心配ですね。依然としてノルマへの時間は刻々と迫っているわけでしょうから。
次回も楽しみにしています!執筆頑張ってください! (2023-11-16 22:04)
力を合わせる事が今までなかった彼女たちは、アリスの心境の変化と危機的状況に陥ったことで初めて協力が果たされました!裏アリス自体は自死を止めてたりと、裏ではいろいろ手を回してはいましたが、協力というよりは自分への危険の回避という側面が強かったのでしょう。1つの体で2人分のデュエルが出来るという、この実験においても彼女の特性が強みとなる時が来ました!いざ、共闘して敵を打ち破らん!
分かれることになってしまった梨沙と穂香も危険な状態には変わりありませんので、せめて無事グリーンフロアまで辿りつくのを願うばかりです…。
次回はアリス達の共闘デュエルの予定ですので、ぜひお楽しみに! (2023-11-16 23:13)