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HOME > 遊戯王SS一覧 > Report#27「見えない脅威」

Report#27「見えない脅威」 作:ランペル

ピー
「先行は裏野様、後攻は萩峯様になります。」


 [ターン1]


「私のターン。
モンスターとカードを1枚ずつセットして、フィールド魔法《ゴーストリック・パレード》を発動します!」
手札:5枚→2枚

フィールド魔法を発動すると梨沙の背後にたくさんの風船が飛び交い始め、多様なゴーストリック達と共にゴーストリックのお屋敷が姿を現わす。
ドレスの少女は風船につかまって飛んでいくゴーストリックを目で追って、視線が上へと向いていく。

「ほぉ、随分と可愛らしいフィールド魔法でございますね。
フィールド魔法は舞台演出としてはこれ以上ない程の盛り上がりを見せます」

「可愛いだけじゃないのがゴーストリックです。
甘く見ていると痛い目を見ますよ?
私はこれでターンエンドです」

ペストマスクの男は、その仮面の奥で上品に笑う。

「ほほ、甘く見るだなどと…とんでもありません。
エンターテインメントに重要なのは、敬意!テンポ!魅せる技術!
共演者と共に送るショー!理解の及ばぬその刹那の一瞬にこそ人々は魅了され、賞賛の嵐が巻き起こるのです!」



梨沙-LP:4000
手札:2枚


 [ターン2]


「では、お見せしましょう。わたくしのターンです。
ドロー!」
手札:5枚→6枚

男は両腕を高く上げ、勢いよくデッキからカードを引いたかと思うと、両腕を左右へ大きく広げる。

「タネも仕掛けもないマジック?存在を悟らせず魅せるのがマジック!
タネも仕掛けも忍ばせ、観客の理解の及ばぬ内に魅了する!
永続魔法《機甲部隊の防衛圏》発動致します!」
手札:5枚→4枚

男の背後に重厚感のあるキャタピラを備えた固定砲台が姿を現わす。

「マジシャンみたいな事を言われるので、てっきり魔法使い族とか使うのかと思ってましたよ」

「仰るようにマジシャンがメカメカしいものを使うのは、あまりに露骨。
仕込みがありますと言っているようなものです。ですが、デュエルという舞台においては、マジシャンのイメージとかけ離れた機械族。そこからどんな妙技が飛び出すか?そこに意識が向けられるのです。
さてお次は、《BM-4ボムスパイダー》を召喚致します」[攻1400]
手札:5枚→4枚

蜘蛛型のロボットが背後に重たそうな機械を装着してフィールドへとのそりと現れる。

「こちらカード名から察せられる通りの爆弾でございます。
ボムスパイダー効果発動。自分フィールドの機械族・闇属性である自身と、相手フィールドの表側カード1枚を対象にそれらを破壊してしまいます!」

「っ、私の《ゴーストリック・パレード》を破壊という事ですね…。
なら罠発動《ゴーストリック・オア・トリート》!」

「ほぉ!」

「ゴーストリックフィールド魔法かゴーストリックリンクモンスターがある時に、相手モンスターの攻撃を封じ、効果を無効にしてエンドフェイズに裏側守備表示にします!」

梨沙の背後に《ゴーストリック・サキュバス》と《ゴーストリックの駄天使》がカボチャ型のキャンディケースを抱えてにこにこしている。

「しかし!わたくしが2000のライフを支払う事で、いたずら少女たちは満足し得るということですね!」

「…!
そうです、あなたが2000ライフを払えばこの効果は、このカードを再びセットする効果に書き換わります」

「4000ライフである部分を逆手に取ったカードですね!
構いません。観客へのファンサービスもエンターテイナーの務め!
2000ライフ差し上げましょう!」

男は持っていた手札を両手で握りつぶす。そして、手を広げるとそこにあるはずのくしゃくしゃになったカードは存在しなかった。
黒い手袋を着けた両手を叩くと、乾いた音が響き、その両手から包装された棒付きのキャンディが4本現れる。

「え、すごい…」

「さぁ、お受け取りください!」

男はキャンディを天高く放ると、それらはそれぞれ梨沙と穂香、そしてサキュバスと駄天使の手元へと落ちてきた。

萩峯LP4000→2000


キャンディを受け取ったサキュバスと駄天使はすっと姿を消す。

「………」

手元に落ちてきたキャンディに目を向ける。至って普通の飴だ。見た目に特殊な変化は見られない。
エンターテイナーに徹底している姿で忘れそうになるが、このデュエルはダメージが現実になるもの…。相手が何をしてくるか分かったものではない。

「穂香ちゃん。危ないからたべちゃ…」

「りんごの飴だ…」

視線を少し後ろへ向けると穂香ちゃんが貰った飴を頬張っていた。

「穂香ちゃん!?」

「ご心配せずとも毒なんて入ってないですから安心してお食べくださいませお嬢様方。
演出で人を殺めるなどエンターテイナー失格ですからね!」

「だって、お姉ちゃん」

「そうは言っても…」

彼女には改めてここは何が起きてもおかしくない場所だという事を伝える必要がありそうだ…。
とにかく…今はこのデュエルに集中する。

「まぁ…大丈夫そうなら良かったよ…。
(《ゴーストリック・オア・トリート》の効果が知られていた…。単純にあの人がこのカードを知っていたのか、それとも…?
ともかく、第一段階は成功だ。やっぱり、ライフを払うコストは、自分でも相手の効果でも現実にダメージが発生していない!)」

「では、改めてボムスパイダーの爆発です。
スリー、トゥー、ワン…」

カウントダウンが終わると共に、ボムスパイダーの背中に積まれた重機の蓋が開かれそこから爆弾が周囲へ飛び散る。飛び散った爆弾は梨沙の背後のお屋敷を破壊していく。

「さて、これでわたくしのフィールドからモンスターがいなくなってしまいました」

爆発の煙で萩峯のフィールドがよく見えない。突如、機械音が発せられたかと思うとフィールドを覆っていた煙がはれ、そこには白い動物のような形の機械が5種類フィールドを埋め尽くしていた。

「な、なんですかこれは?」

「世にも不思議な5体で1体のモンスター…さぁ合体です!
《機皇帝ワイゼル∞》!」[攻2500]

男の掛け声と共にそれらのモンスターがフィールドから飛び上がる。それぞれが変形し緑色に発光した丸い何かが渦巻く中央のパーツを起点に5体の機械が合体を始める。
その造形は人型のロボットであり、頭部となったパーツからは赤い光がほとばしる。

「合体モンスター…」

「さらにわたくしはレベル1の《機皇帝ワイゼル∞》を対象に、装備魔法《光学迷彩アーマー》を発動致します!」
手札:4枚→3枚

装備魔法が発動されると共に、淡い光が機皇帝ワイゼルを包みこみ始める。

「この光はさっきの…!」

「装備モンスターは相手モンスターが存在しても直接攻撃が可能になります!」

淡い光に覆われたワイゼルはその姿を完全に消してしまう。

「見えなくなっちゃった」

「(直接攻撃…攻撃力は2500ですけど、わざわざ直接攻撃してくるってことは何か仕掛けてくるはず…)」

「さぁ、バトルフェイズへと移行します。
《機皇帝ワイゼル∞》でダイレクトアタックです!まずは2500のライフを貰い受けます!」

機械の稼働音と共に虚空が不自然にぐにゃりと歪むのが分かる。

「相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札の《ゴーストリック・ランタン》の効果発動です!その攻撃を無効にして、このカードを裏側守備表示で特殊召喚します」[守0]
手札:2枚→1枚

ふわりと現れたランタンが手に持つドクロの刻まれたランタンを揺らす。すると、そこから青白い炎が虚空へ向けて放たれた。何も存在しないはずの空中で、何かに燃え移った炎だけが燃え始める。

「ファーストアタックは失敗に終わってしまいましたね。ですが、ショーはまだまだこれからです。私はカードを1枚セット致します!」
手札:3枚→2枚

空中の炎が勢いよく動いたかと思うと炎は搔き消える。

「これにてわたくしはターンを終了致します。
さぁ、あなた様のターンです!」



萩峯-LP:2000
手札:2枚


 [ターン3]


「私のターン、ドロー」
手札:1枚→2枚

「このスタンバイフェイズに《カオス・インフィニティ》を発動させます!フィールドの守備表示モンスターは全て攻撃表示となり、デッキ・墓地から機皇モンスターを効果を無効にして特殊召喚できます。
あなた様のセットモンスター全てを攻撃表示にし、デッキから《機皇枢インフィニティ・コア》を特殊召喚致します」[守0]

梨沙のフィールドにカボチャのモンスターとハープを手にした人魚のようなモンスターが現れる。そして、萩峯のフィールドへ中央が赤く、それを囲むように3つの発光した核が揺らめく機械が無機質に空中へ鎮座する。

「ちょうど良かったです。《ゴーストリック・セイレーン》のリバース効果発動!
デッキの上から2枚のカードを墓地へ送り、その中にゴーストリックカードがあればデッキからゴーストリック魔法・罠1枚を手札に加える事が出来ます。
墓地へ送られたのは《ゴーストリック・イエティ》と《ゴーストリック・リフォーム》。よって、デッキから2枚目の《ゴーストリック・リフォーム》を手札に加えます!」
手札:2枚→3枚

セイレーンが手に持つハープを奏でるとデッキから1枚のカードが飛び出す。

「そのまま、メインフェイズに入って《ゴーストリック・マリー》を召喚」[攻100]

鏡台とヒビの入った鏡がランタンの横へと降って来る。

「レベル1の《ゴーストリック・マリー》と《ゴーストリック・ランタン》の2体でオーバーレイネットワークを構築。
エクシーズ召喚!

来て、ランク1《ゴーストリック・デュラハン》」[攻1400]

青白い馬に乗ったデュラハンが梨沙を飛び越えフィールドへと降り立つ。

「そのまま、デュラハンを素材にオーバーレイネットワークを再構築!
エクシーズチェンジ!

来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》」[守2500]

棒付きキャンディを口にくわえた駄天使が、フィールドに現れた継ぎ接ぎのハートの上へゆっくりと降りその上へ座る。

「(貰ったの食べてる…)
駄天使の効果を発動します。手札のゴーストリックカード《ゴーストリック・リフォーム》をオーバーレイユニットとして補充します。駄天使、お願い!
コレクト・パッチワーク!」
手札:2枚→1枚

梨沙の放ったカードを駄天使が受け取ると、あっという間に手元からカードが消える。

「ほぉ!」

そして、駄天使が指をパチンと鳴らすとぽんっという音と共に駄天使の周囲を漂う小さな継ぎ接ぎのハートが1つ増える。

「なるほど、モンスターがエンターテイナーというのも一興。見る者はその演出の一つ一つでも飽きずに見ていられる…。これは面白いものを見せていただきました!」

萩峯は手袋越しの拍手を梨沙へ送る。

「褒めてもらってありがとうございます。でも、この子たちのショーはまだ終わりませんよ!
駄天使の第二の効果、オーバーレイユニットを1つ取り除き、デッキからゴーストリック魔法・罠1枚を手札に加えます。私は《ゴーストリック・パニック》を手札に。
トリック・プレゼント!」
手札:1枚→2枚

駄天使が周囲を漂う継ぎ接ぎのハートへ、手を招く動作をする。すると、周囲を漂っていたハートは駄天使の手元までふわりと飛んでくる。継ぎ接ぎのハートをぎゅっと握りしめると、駄天使の手の中には何も残っていなかった。
駄天使が手を握ると同時に、梨沙のデッキから1枚のカードが飛び出す。

「今日も絶好調だね。まだまだ行くよ!
墓地の《ゴーストリック・リフォーム》を除外して効果発動。駄天使の早変わりマジックです!」

ランタンとスペクターが大きな布を上空で広げ、駄天使を覆うように落とす。

「ゴーストリックチェンジ!

来て、ランク3《ゴーストリック・アルカード》」[攻1800]

駄天使を覆った布がもぞもぞと動いたかと思うと中から大量のコウモリが羽ばたき覆っていた布を持って行ってしまう。
中に居たのは駄天使ではなく、黒いマントを靡かせたアルカードだった。

「なかなか良いマジックショーです。ですが、エクシーズ召喚を重ねて一体何が目的なのでしょうか?」

「今からお披露目しますよ。アルカードで再びオーバーレイネットワークを再構築。
エクシーズチェンジ!

おかえり、《ゴーストリックの駄天使》!」[守2500]

アルカードがマントを広げエクシーズ召喚の渦へと飲まれると、爆発と共に駄天使が翼をパタパタと羽ばたかせながらフィールドへ浮かび上がる。

「駄天使の効果に同名制限はありません!オーバーレイユニットを取り除き、デッキから《ゴーストリック・アウト》を手札に加えますね」
手札:2枚→3枚

駄天使が近場の継ぎ接ぎのハートを捕まえ、指先の上でくるくると高速回転させ始める。回転する内に糸がほつれていき、ハートの中にあったカードが現れ駄天使の指先で回る。
駄天使から渡されたカードを受け取ると同時に梨沙の手元に影が集まり始める。

「ありがと!さらに、墓地へ送られた《ゴーストリック・アルカード》の効果で墓地の《ゴーストリック・ランタン》を手札に回収です。
トリック・リバイバル!」
手札:3枚→4枚

手元に集まった影は1枚のカードを形成し、形成し終わると影が流れ落ち《ゴーストリック・イエティ》が映し出された。

「実にショーに向いた演出の数々…見ているだけで楽しいというものです」

「そこには同意です。この子たちの演出はすごく気に入ってますから!
駄天使の効果を再び発動。手札の《ゴーストリック・イエティ》を自身のオーバーレイユニットとして補充します。
私はカードを1枚セットして、《ゴーストリック・セイレーン》の自身効果でセイレーンを裏側守備表示にしてターンエンドです」
手札:4枚→2枚

セイレーンがハープの音色を奏で、背中に生やした黒い翼を揺らしながらフィールドから消える。

「ならば、エンドフェイズですね。《カオス・インフィニティ》の効果で特殊召喚した《機皇枢インフィニティ・コア》はエンドフェイズに破壊されてしまいます」

空中へ鎮座していたコアは、故障を思わせる電気を走らせ赤く点灯していた中央のランプが黒くなり爆発した。爆発したが、そこへは先程まで発光していた緑の核の1つが浮遊している。

「ただ自爆するだけのモンスターを呼んだわけではないですよね?」

「ご明察!このカードは機皇帝の核、このカードの破壊により機皇帝が起動するのです。デッキより現れよ《機皇帝グランエル∞》!」[守1000]

フィールドへは、魚を模した黄土色の5つの機械が現れ、先程のワイゼルと同様に合体を始める。コアの破壊時に残っていた発光する緑の核はそのまま、呼び出されたパーツの中央部の核となり自転を始める。頭部が接続されると起動したかのように、赤い目が光り出す。

「グランエルの攻撃力と守備力は私のライフポイントの半分の数値分アップします。現段階では私のライフが少ないため、真価は発揮していませんがね。
そして、機械族が破壊されたことで《機甲部隊の防衛圏》の効果も発動。墓地から破壊された《機皇枢インフィニティ・コア》をそのまま手札にへと回収致します」
手札:2枚→3枚

デュエルディスクの墓地から出てきたカードをそのまま引いたかと思うと、その手に収めたはずの手札は即座に行方をくらます。そもそも先程から萩峯は手札を持っていないのだ。

「すごいですね…すぐに手札が消えて…。(飴をばら撒いた時から手札を持っている様子がない…。全部使い切った訳ではないはずだし、隠してる…?)」

指摘された萩峯はペストマスクに覆われた顔を梨沙の方へと向ける。

「目に見えないものと言うのは、どうしても思考から外れがちなのです。ですが、確かにそれはそこに存在する。見えないだけで、存在しているのです。マジックもデュエルも全てそうです。
あるはずのない場所から突然現れたものに人々は驚きを感じるのです。
さぁ、続いてはわたくしのターンですね!」



梨沙-LP:4000
手札:2枚


 [ターン4]


「ドローさせていただきます」
手札:3枚→4枚

デッキから引いたカードを一瞥する。右手を素早く動かすと、ドローしたカードが右手からなくなり、そのすぐ後に1枚のカードが萩峯の右手に現れる。

「わたくしは手札より《機皇枢インフィニティ・コア》を召喚致します」
手札:4枚→3枚

再びフィールドへ核となるモンスターが中央の赤いランプを点灯させながら浮遊する。

「インフィニティ・コアは召喚、特殊召喚に成功した際にデッキから機皇と名のつく魔法か罠カードを手札に加える事が出来ます。わたくしはデッキより永続魔法《機皇創出》を手札にへと持ってきます。
手札:3枚→4枚

そのまま《機皇創出》発動です。発動時、今度はデッキより機皇モンスターを手札に加える事が出来ます。デッキより《機皇兵廠オブリガード》を手札へ」
手札:4枚→4枚

手札へと加えたカードを即座にデュエルディスク上へと発動する。

「《機皇創出》の更なる効果です。手札1枚をコストに、自分フィールドのモンスター1体を破壊してしまいます」
手札:4枚→3枚

「自分のモンスターを破壊…?
そうか、さっきの効果ですね…」

「察しの良い方は演者としてもスムーズに事を運べるのでうれしい限りです。インフィニティ・コアがカード効果で破壊された時、このターン1体のモンスターでしか攻撃できなくなる代わりに自分フィールドに存在しない属性の機皇帝を呼ぶことが出来るのです」

フィールドのグランエルから、砲撃がコアに向けて放たれる。着弾したコアは小さな爆発を繰り返し、中央の赤いランプが消灯した瞬間に木っ端みじんに砕け散った。

「ここで3つの効果が発動です。
《機皇枢インフィニティ・コア》の効果によりデッキから機皇帝を。
《機甲部隊の防衛圏》の効果により墓地のインフィニティ・コアを手札へ。
《機皇創出》の効果により、あなた様の先ほどのターン伏せたセットカードを対象に破壊致します」

「セット除去効果ですか。ならチェーンして対象のセットカード《ゴーストリック・パニック》を発動します!私のセットされた《ゴーストリック・セイレーン》を対象にそのモンスターを表側守備表示に変更。それがゴーストリックなら、相手モンスターを選んで裏側守備表示に変更します!」

セット状態のセイレーンが捲られフィールドへ現れた瞬間に突風が吹き、萩峯のフィールドの《機皇帝ワイゼル∞》の合体が解除されフィールドから消える。

「裏側ですか…ですが、反転召喚すればそれまでです」

「でも、装備していた《光学迷彩アーマー》はこれで墓地へ送られました。もう直接攻撃は出来ません」

「仰る通り、ワイゼルは直接攻撃が行えなくなりました。
ですが、まだ手はあるのです。効果処理により、あなたの《ゴーストリック・パニック》を破壊致します!」

発動され表になったパニックが破壊される。その後、萩峯がインフィニティ・コアの破片を一片拾い上げたかと思えば、それは瞬く間に1枚のカードへと早変わりした。
フィールドには、青色の昆虫を模した機械のパーツが5つ現れる。

「別の機皇帝…ですね」

「3体目となりますね。合体せよ《機皇帝スキエル∞》!」[攻2200]

他の機皇帝同様中央のパーツには無限の文様と、その中で緑の核が自転しだす。5体のパーツは今まで登場した機皇帝同様合体し始めるが、今までの人型に近い造形とは異なり、鳥を思わせる合体を終えたそのモンスターからは、鳥の鳴き声が再生された。

「こっちもリバースしたセイレーンの効果です。デッキトップを2枚墓地へ送ります。墓地へ送られたのは《魔界発現世行きデスガイド》と《ゴーストリック・ナイト》です。
ゴーストリックカードがあったので、デッキから《ゴーストリック・ショット》を手札に加えます」
手札:2枚→3枚

セイレーンがハーブの音色を奏でると、デッキから1枚のカードが飛び出す。

「おや?わたくしのモンスターを裏側にしなくても良かったのですか?」

「インフィニティ・コアの効果でこのターンあなたはモンスター1体でしか攻撃できない。《光学迷彩アーマー》も墓地へ送られましたからね」

「なるほど、このターンは生き残れると…そう判断されたのですね…」

ペストマスク越しに萩峯のくくくという笑い声が漏れ聞こえる。

「一瞬の油断が命取り!あなた様のその選択が敗北へ、死へと誘うのです!
残された時間…わたくしのショーを冥途の土産にぜひ!!!
反転召喚せよ機皇帝ワイゼル!」

フィールドから消えたワイゼルが再び合体しフィールドへと現れた。

「私はワイゼルとグランエル…2体の機械族モンスターをリンクマーカーへセット致します!」

地面へ正方形と8方向に向く三角形が浮かび上がる。萩峯から見て、右下と左下に位置する三角形へとワイゼルとグランエルが吸い込まれていく。

「リンク召喚…!?」

「何が起こるか分からないのがデュエル。盤面などほんの少しすれば全く別の物へと変貌するのです。
リンク召喚!

LINK2《プラチナ・ガジェット》」[攻1600]

地面から白金の球体が出現し、その中に収容されたロボットが展開され、地面へと足をつける。

「《プラチナ・ガジェット》は1ターンに1度、手札からレベル4以下の機械族モンスター1体を特殊召喚する事が出来ます!わたくしは手札より《機皇兵廠オブリガード》を特殊召喚致します」
手札:4枚→3枚

《プラチナ・ガジェット》が両腕を掲げるとフィールドへ両肩と胸の部分へハッチを備えた機械の兵隊が降り立つ。

「オブリガードの効果です。自分メインに自身を破壊する事で、デッキより2体の機皇兵を特殊召喚できます。わたくしはデッキより《機皇兵ワイゼル・アイン》《機皇兵スキエル・アイン》の2体を呼び出します!」[守0][守1000]

オブリガードの体から電気が漏れ出すと共に、両肩のハッチが開かれる。開かれたハッチからワイゼルとスキエルを模した小さな機械兵を放出すると共にオブリガードはその身を爆散させた。

「わたくしは2体のレベル4ワイゼル・アインとスキエル・アインの2体でオーバーレイネットワークを構築。
エクシーズ召喚!

ランク4《スプリガンズ・メリーメイカー》」[守2000]

金色の装甲に身を包んだ人型が腕に装着したカラフルなロケットランチャーの弾頭を梨沙へと向ける。

「ではでは…あなた様も実践された事と同じことを、わたくしもしてみようかと思います」

「私と同じことを?」

萩峯はEXデッキから1枚のカードを取り出す。

「このカードは1ターンに1度、スプリガンズエクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚する事ができます」

「…駄天使と同じ!」

「その通りです!メリーメイカーを素材にオーバーレイネットワークを再構築!
エクシーズチェンジ!

ランク8《ギガンティック“チャンピオン”サルガス》」[攻2800]

こちらへと向けていたロケットランチャーを上空へと向け放つ。縦横無尽に宙を動き回るランチャーは一定の時間後、同時にカラフルな爆発を巻き起こす。
爆発の煙により、金色のモンスターの姿が見えなくなる。
煙がはれるとそこには、先程の金色とは打って変わって赤い装甲を纏ったモンスターがチャンピオンベルトの様な装備を腰に巻き付け、こちらへ眼光を向ける。

「一気にランク8まで…」

「サルガスがエクシーズ素材を持っている場合、1ターンに1度デッキよりスプリガンズおよびセリオンズカード1枚を手札に加える事が出来ます。
わたくしはデッキより《セリオンズ“キング”レギュラス》を手札へと加えます」
手札:3枚→4枚

サルガスが腰に巻き付けたベルトを天へと放る。するとそれを赤い大きな手が掴み取る。
その巨体が地面へと着地すると同時に砂煙が巻き起こる。フィールドへ獅子を模した機械獣人がサルガスの放ったベルトを巻き付け、赤いマントは靡かせながら咆哮をあげる。

「“キング”レギュラスの効果。自身を特殊召喚し、墓地の機械族《BM-4ボムスパイダー》を装備致します」[攻2800]

「モンスターを並べてもあなたが攻撃できるのはモンスター1体です。どうやってこのターンで勝つつもりですか?」

「とっておきは最期まで取っておきましょう。
《機皇帝スキエル∞》を対象に速攻魔法《無許可の再奇動》を発動致します。手札かデッキより対象モンスターに装備可能な機械族ユニオンモンスターを装備致します」
手札:3枚→2枚

「ユニオン?」

「モンスターの身でありながら装備魔法として扱われるモンスター郡、それがユニオン。変形し合体せよデッキより《マシンナーズ・ピースキーパー》を装備です!」

フィールドへ赤い3つの車輪を付けた小さなロボットが現れ、それは形を組み換えスキエルの下方に備えられた砲台へと取り付けられた。

「ここで機皇帝スキエルのモンスター効果を発動!自身に装備されているモンスターを墓地へと送ることで、このターン直接攻撃を可能にします!」

「また直接攻撃効果!?」

合体したピースキーパーが砲台となっていたパーツごとスキエル本体との連結が外される。そして、青いノミのような機械昆虫がフィールドへと現れ変形し、先程まで砲台が設置されていた部分へレーザー砲となって合体する。

「随分と直接攻撃が好きみたいですね」

「わたくしが対峙するのは観客であり共演者であるあなた様です。
しかと目に焼き付けてくださいませ!あなた様の最期を彩る華々しいフィナーレを!」

萩峯は腰のあたりにあった両腕を高く掲げる。すると、彼の背後から突然連射の花火が打ちあがり始める。色とりどり、様々な模様を描く花火は閉鎖されたこの空間内を美しく彩る。

「さぁ、参りましょう!
バトルへと移行し、《機皇帝スキエル∞》でダイレクトアタックです!」

スキエルのレーザー砲にエネルギーが溜まっていくのが分かる。
ふと萩峯の方へ視線を戻すと、彼は先程まで何もなかった右手へ1枚のカードを持っているのが分かった。

「(カード…やはりバトルフェイズ中に何かしてくる気ですね…。)
演出に気を取られて忘れましたか?私がこのカードを回収していることを!相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札の《ゴーストリック・ランタン》の効果を発動!
相手モンスターの攻撃を無効にし、このカードを裏側守備表示で特殊召喚しますよ」

「忘れる?そんな訳ありません。あなた様の防御札《ゴーストリック・ランタン》は既に意味を成していない。
《セリオンズ“キング”レギュラス》効果を発動致します!
相手がカード効果を発動した時、セリオンズカードである自身を墓地へと送ることで、その効果を無効にします!これであなた様を守る術はなくなりました!
ダメージ計算時に…

「まだ攻撃宣言時です!相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札の《ゴーストリック・フロスト》の効果を発動します。攻撃モンスターを裏側守備表示に変更して、このカードを裏側守備表示で特殊召喚!」[守100]
手札:3枚→2枚

手札に出現させたカードを発動しようとする萩峯に対し、手札の《ゴーストリック・フロスト》の効果発動を宣言する事で防ぐ。

「な、2体目!?」

スキエルが巨大なレーザーを梨沙へと向けて照射する。しかし、そのレーザーは直前で梨沙の目の前へ降って来た巨大な雪玉に阻まれてしまう。

「フロスト、お願いね」

梨沙の足元に現れたフロストは、頷くと元気いっぱいに目の前の巨大な雪玉を蹴り飛ばす。蹴り飛ばされた雪玉は勢いよく転がりながらスキエルの元へと到達する。雪玉の圧力に押されたスキエルは合体していた連結が解除され雪の下敷きとなってフィールドから姿を消す。

「2段構えの防御ですか…。素引きで引いたフロストをずっと手札に隠していたのですね…」

「あなたもその手札のカード…恐らく攻撃力を上げるカードですよね」

「く、くく…マジシャンともあろうものが…手品のタネがバレているとは…」

右手でペストマスクの仮面を抑えると己を嘲笑するように笑い出す。その手には先ほど発動しようとしていたカードは既になかった。

「でも花火綺麗だったよ」

梨沙の後方から穂香が声をあげる。

「ふふ、そうだね。確かに花火やあなたがした他の演出はショーと言えるものですね」

「なにを…」

「あなたが魅せてくれたショーは死の恐怖を少し遠ざけてくれました。ですが、あなたの殺意は本物です。それを許すつもりはありません」

「くく、ではここからあなた様がわたくしに勝つと?わたくしのショーはまだ終わらない!ショーのフィナーレはあなた様の驚愕と拍手喝采で終わらなければなりません!まだ、まだまだまだまだまだまだ!!!
まだ完璧ではないのですよ!カードを1枚セットしてわたくしはこれでターンを終了致します!」
手札:2枚→1枚

早口にまくし立てた萩峯は突如右手に出現したカードをデュエルディスクへとセットし、ターンの終わりを宣言する。



萩峯-LP:2000
手札:1枚


 [ターン5]


「私のターン、ドロー!
手札:2枚→3枚

メインフェイズに入ります。裏側のフロストをリンクマーカーにセット!」

「裏側モンスターをリンク素材に!?」

地面へと浮かび上がったリンクマーカーの下矢印へ飛び起きてきたフロストが転がり込む。

「初めてのリンク召喚!

お祭り開催、LINK1《ゴーストリック・フェスティバル》!」[攻0]

梨沙の背後へゴーストリックのお屋敷がそびえはじめる。そして、周囲は小さな白いお化けたちが無数に巡回し、屋敷の入り口にはたくさんのジャック・オー・ランタンが怪しく光りながら、降って来る。

「おー、すごい楽しそうだね」

「お祭り騒ぎってやつです。ゴーストリックのお祭り、いたずらもし放題ってことです!」

萩峯はペストマスクのレンズ越しに《ゴーストリック・フェスティバル》を見遣る。

「(フィールド魔法があると、全モンスターに直接攻撃付与…。駄天使2体でわたくしのライフは0になる…。《リミッター解除》も無意味…)」

「セイレーンの効果で、自身を裏側守備表示に変更です」

セイレーンが地面に現れたカボチャへ肘を置きくつろぐとフィールドからいなくなる。

「《ゴーストリック・ショット》発動です!手札、墓地からゴーストリック1体を特殊召喚できます。私は墓地の《ゴーストリックの猫娘》を特殊召喚!」
手札:3枚→2枚

フィールドへ箒を持った《ゴーストリックの魔女》が降り立つ。魔女は足元に置いてある小さなカボチャをゴルフボールに見立てて箒でショットを放つ。本来であれば、前方へと飛んでいくはずのカボチャは魔女の真上へと飛んでいき、それをキャッチするべく《ゴーストリックの猫娘》が飛び上がる。
そして、猫娘が着地すると同時にセットされていたセイレーンが捲りあがりフィールドに現れる。

「特殊召喚後、裏側のゴーストリックを攻撃表示に変更できます。私は先程セットしたセイレーンを攻撃表示に変更してそのままリバース効果を発動です!」

デッキトップから《ゴーストリック・キョンシー》と《闇の誘惑》が墓地へと落ちる。

「よし、墓地に落ちたカードにゴーストリックカードがあるので、デッキから《ゴーストリック・ハウス》を手札に加えます。
手札:2枚→3枚

そして、駄天使の効果を発動。オーバーレイユニットを取り除いてデッキから3枚目の《ゴーストリック・ショット》を手札に加えますよ」
手札:3枚→4枚

「気を抜きましたね!この瞬間、《ギガンティック“チャンピオン”サルガス》の効果を発動致します。フィールドのエクシーズ素材が取り除かれた時、あなた様の《ゴーストリックの駄天使》を手札にへと戻します!」

「抜いてませんよ!罠発動《ゴーストリック・オア・トリート》!
効果対象はサルガスです」

「っ…!フェスティバルを先にリンク召喚したのは発動条件を満たすため…!」

「あなたのライフは2000。もうこのカードの効果をお菓子で防ぐことはできません!」

背後のお屋敷から黒い影が、サルガスへと飛びつく。緑に怪しく光る目を血走らせた狼男が口の鋭い牙を光らせ咆哮する。すると、周囲を浮遊する白いお化け達が、対象であるサルガスの体を突き抜ける。お化けが体を突き抜けると同時に、サルガスは膝をつき俯く。

「(まずい…ハウスが発動されて直接攻撃が…)」

「私は駄天使の効果を発動。手札の《ゴーストリック・ハウス》をオーバーレイユニットに補充します」
手札:4枚→3枚

萩峯は明らかに動揺し、挙動不審になる。

「何故…何故《ゴーストリック・ハウス》を発動しないのですか。それで、もう1体駄天使をエクシーズ召喚すればわたくしのライフが尽きるというのに…」

「ふふ、きっと私のカードの効果を把握できる術があるんですよね?私が何を狙っているか…気になってるなら駄天使の効果をもう一度確認してみてくださいよ」

「駄天使の効果…」


  ーーー
《ゴーストリックの駄天使》
エクシーズ 闇 R4 攻2000 守2500
このカードは「ゴーストリックの駄天使」以外の自分フィールドの「ゴーストリック」Xモンスターの上に重ねてX召喚する事もできる。
このカードが持っているX素材の数が10になった時、自分はデュエルに勝利する。
①:1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから「ゴーストリック」魔法・罠カード1枚を手札に加える。
②:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。手札の「ゴーストリック」カード1枚をこのカードの下に重ねてX素材にする。
  ーーー


「っ…!?」

萩峯はフィールドの駄天使の周囲を漂う継ぎ接ぎのハートの数を数え始める。

「エクシーズ素材が6…まさか?」

「そうです。私が狙っているのは駄天使のオーバーレイユニットが10個になったことによる特殊勝利!特殊勝利なら相手への現実のダメージが発生しないかもしれない。確証はありませんが、試すには十分な方法です!」

「ダメージが発生しない?何を言っているのですか?
まさかわたくしにダメージを与えないようにデュエルを…?」

「そうです。もう人をデュエルで傷つけるのは嫌です。
あなたがエンタメと称して、人を殺すような人でも殺すつもりはありません」

萩峯はその場にしばらく立ち尽くした後に、笑い始める。

「くくく、何を……そんなことをして何になる?
ショーが盛り上がるのはいつだって命を懸けたすれすれのやり取り!命の危機に瀕したそんな刹那の瞬間にこそ、真の驚愕が驚嘆が!本当の驚きがあるんだ!それこそ人を虜に…

「でも、あなたは今少なからず驚いているはずですよ」

「……………は?」

「相手を傷つけなくたって、人を殺さなくたって…。
デュエルで人を驚かす事は出来る!魅了する事が出来る!
デュエルにはそれだけの力があるんです!」

梨沙は胸にあてた右腕を大きく振るい、ガッツポーズし力説する。
それを目にした萩峯はペストマスクで隠された顔を右手で覆う。

「く、くくく…いいでしょう。
なら見せてくださいませ。あなた様の魅せるエンターテインメントを!
既に《ゴーストリックの駄天使》の素材を補充する効果は使っている。
あなた様の手札は、前のターン無効にされ残ったままの《ゴーストリック・ランタン》。
先程サーチした《ゴーストリック・ショット》の2枚とドローしたカード1枚のはず。
ここからどうやって4つのエクシーズ素材を増やすというのですか?」

「よく覚えてますね…。
その通りです!そのドローした1枚、フィールド魔法《ゼアル・フィールド》発動です!」
手札:3枚→2枚

「素材を補充する効果を持っていますが、それはエクシーズ召喚成功時の効果。既にフィールドに居る駄天使には何の影響もない!」

「墓地から《ゴーストリック・リフォーム》を除外して効果発動です!」

「それは…!」

「前のターンも使ったので説明はいりませんよね?
2回目のゴーストリックチェンジ!

来て、ランク3《ゴーストリック・アルカード》」[攻1800]ORU7


駄天使が被っているシルクハットを上空高くへと投げる。駄天使が指をパチンと鳴らすと、上空へと投げられたシルクハットは巨大化し、落ちてきた時には、駄天使をすっぽりと覆い隠してしまう。
ゆっくりとシルクハットが持ち上がり、どこかへと飛んでいくと中に居たはずの駄天使は赤く目を光らせたアルカードに入れ替わっていた。

「最後のエクシーズ召喚です。
アルカードでオーバーレイネットワークを再構築。
エクシーズチェンジ!

来て、《ゴーストリックの駄天使》!」[守2500]ORU8

三度目となる駄天使のエクシーズ召喚が行われ、ピンクの髪の毛を揺らしながらフィールドへとふんわり降り立つ。

「この瞬間に《ゼアル・フィールド》の効果を発動です。エクシーズ召喚成功時、そのモンスターにEXデッキか墓地からエクシーズモンスターをオーバーレイユニットとして追加する事が出来ます。
私はEXデッキの《ゴーストリック・デュラハン》を素材に追加です!」ORU9

上空から黄色い光の玉が駄天使の前へと降りてくる。駄天使はそれを捕まえて手を開くとそれは、一瞬の内に継ぎ接ぎのハートとなって駄天使の周りを回り始める。

「あと1つ…」

「くく…まさか本当に…」

ドレスの少女と、ペストマスクの男は、梨沙の次の一手へと意識を集中する。

「墓地の《ゴーストリック・ショット》の効果発動!墓地から除外し、墓地の《ゴーストリック・フロスト》を駄天使のオーバーレイユニットに追加します!」ORU10

継ぎ接ぎのハートは魔女が振りかぶった箒により、駄天使の元へと打ち込まれ、それを駄天使が受け取る。
すると、周囲をゆっくりと巡遊していた継ぎ接ぎのハートが駄天使の手元の継ぎ接ぎのハートにへと吸収され、ピンクと紫だった継ぎ接ぎのハートは赤一色のハートへと変化した。

「行くよ、駄天使!」

梨沙の呼びかけに駄天使は応え、手の中にある赤いハートをフィールドの中央へとゆっくり放る。
駄天使は満面の笑みでウィンクを萩峯に送る。その瞬間、赤いハートがはじけ周囲を赤い煙と黄色い小さなお化け達が埋め尽くす。

「(お願い……!)」

相手へダメージがない事をひたすらに願い、両手を合わせて握り込む。


ピーーー



煙が晴れると、対戦相手の萩峯はその場へと倒れこんでいた。
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コングの施し
ついにEXウィン達成!LPを削る状況を放棄し、不殺のデュエルに徹する…。ここでEXウィンが体へのダメージに変換されないとなれば、これからの彼女の闘い方もかなり変わってくるでしょうね。命を奪わず、かつデュエルを楽しめるものにする…実に彼女らしいと思います。
倒れ込んでますが、結局ダメージは入ってしまっているのか、同時に動いてるであろう他の登場人物たちの動向も気になるところです。
次回も楽しみに待ってます! (2023-09-26 15:59)
ランペル
コングの施しさん閲覧及びコメントありがとうございます!

梨沙の試したかったEXウィン達成です。デュエルすれば相手を傷つけてしまう…。この事実が梨沙の行動意欲の減退につながっていましたので、もしこれで相手へのダメージがなければ梨沙のここでのデュエルスタイルには大きな希望が見える事でしょう。
楽しくが一番です!(切実。
デュエルに敗北した萩峯が地面へと倒れてしまいましたが、果たして特殊勝利によるリアルダメージの裁定は…。他の被験者達も各自行動しているので、次回以降もお楽しみにして頂けると幸いでございます! (2023-09-26 19:18)

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