観察報告レポート　作：ランペル

　以下、本実験における観察レポートである。
※情報の外部への持ち出しは一切禁止とする。
違反が確認された場合には実験観察の規約に基づき、違反者の決闘実験への強制送致を施行する。


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265-0855観察報告レポート

作成者：谷渕 輝也
確認者：西澤 麻世理


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本レポートは、被験者265-0855裏野 梨沙に関する報告レポートであり、ブラックフロア投入時からの観察内容の要約も兼ねている。交流が見られた他被験者の情報に関しては、適宜記載の被験者番号参照の元、個別の報告レポートへ。


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第１章
チュートリアル



　ブラックフロア前任者273-3524（御守 巫采）の自死を受け、クラスⅢの補充が必要になった。投入済被験者内にクラスアップ該当者が居なかったため、新たに265-0855（裏野 梨沙）をクラスⅢとしてブラックフロアへ投入する事となる。記憶の一部調整と決闘実験チュートリアルを実施する。
　252-1564（朱猟 響）、270-1971（アリス）、273-0109（白神 翔）の３名がチュートリアルへ参加し、裏野 梨沙とデュエルを行った。以下、結果を記載する。

１. **朱猟 響**
　ーデュエルにて、裏野 梨沙はリアルソリッドビジョンを用いた現実にダメージの発生する実験である事を認識。
　ー★朱猟 響とのデュエルに敗北。《捕食植物キメラ・フレシア》の攻撃で右前腕部に深い噛み傷を負う。

２. **アリス**
　ー朱猟 響とのデュエル後、裏野 梨沙は恐怖状態になるが、アリスの友好的な対応と傷の手当てで精神的に回復。
　ー☆アリスとのデュエルに勝利。チュートリアル期間であった為、アリスは一時的にフロアを去る。

３. **白神 翔**
　ーアリスとの交流で精神的に持ち直し、白神 翔とのデュエルを迅速に行う。
　ー★白神 翔とのデュエルに敗北。攻撃的な姿勢が見られなかったため、ダメージはほぼ受けず。白神 翔から3000以上のダメージで命に危険が迫ると忠告を受ける。

　チュートリアル終了後、実験の概要を説明。この実験から脱出するためには、他のフロア主４名とのデュエル勝利もしくは２名の殺害、それに加えて実験内通貨１００万ＤＰの違約金が必要となる。
　裏野 梨沙は条件の厳しさに落胆するも、諦めず他の手段を模索し、脱出を目指して行動を開始する。



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第２章
ブラックフロア



　ブラックフロアから出てフリーエリアに解き放たれた裏野 梨沙。実験からの脱出と、チュートリアルで出会ったアリスとの再会を目指し探索を開始する。フリーエリア探索開始直後、《盤外召喚》された《デストーイ・シザー・タイガー》に追われる272-0825（桃谷 彩香）に遭遇。

1. **桃谷 彩香**
　ー裏野 梨沙は彼女を助けるべく、共にブラックフロアへ戻り避難。しかし、彼女は裏野 梨沙のフロア主としての立場を狙う者であり、クラスアップデュエルを挑んで来る。
　ー☆桃谷 彩香とのデュエルに勝利。攻撃を受けて右腹部に裂傷と深い刺し傷、左上腕部に3カ所の裂傷を確認。デュエル後、意識を失う。

　意識を取り戻した段階で、桃谷 彩香はフロアから姿を消していた。《人体スキャン》機能を購入し、自身の状態の確認及び右腹部の自己縫合を行う。デュエルノルマを指示した273-2502（佐藤 博史）がブラックフロアへやって来る。

2. **佐藤 博史**
　ー桃谷 彩香との交流によって疑心暗鬼に陥った裏野 梨沙は、実験の概要を把握していない佐藤 博史のデュエルの申し出を攻撃的なものと断定しデュエルを行う。
　ー☆佐藤 博史とのデュエルに勝利。《お注射天使リリー》の軽度の笑気麻酔並びに中枢神経刺激薬を含んだ攻撃を受け、異常な高揚感と幸福感を獲得。連続攻撃により佐藤 博史を脳脊髄損傷させ殺 害。デュエル終了後、薬剤の効力が切れると共に他者の殺 害という心理的重圧を受け錯乱。心身への負担から意識を失う。

　再び意識を取り戻し、殺 害した佐藤 博史に対して懺悔の姿勢を見せるも、実験施設からの脱出の姿勢は変わらず。外傷によって身体が発熱しつつも眠りにつき、再びアリスと再会する事を目指し体を休める。



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第３章
再会



　アリスとの再会を第１目標とし、再びフリーエリアの探索を開始する。ブラックエリアからグリーンエリアへの移動後、269-0141（福原 渚）及び273-1845（本導 穂香）と遭遇。

１. **福原 渚**
　ー当初友好的に会話するが、裏野 梨沙がクラスⅢである事を知った福原 渚がデュエルを挑んでくる。
　ー☆福原 渚とのデュエルに勝利。《ゴーストリックの駄天使》のダメージ量400の攻撃で強烈な寒気を感じる。様子のおかしい福原 渚を見て佐藤 博史殺 害の記憶がフラッシュバックするも、本導 穂香との交流で落ち着きを取り戻す。

　福原 渚の寒気が一時的なものであった事から、和解し情報交換を行う。アリスがブルーフロアのフロア主である可能性を知る。クラスⅢの安全度が他クラスより高い為、本導 穂香を同行させる事に。
　レッドフロアのフロア主266-4931（藤永 伊織）と遭遇。福原 渚の指示で本導 穂香を連れてその場から逃走。ブラックフロアへ戻り、《通話機能》の獲得、デッキの調整、本導 穂香へのデュエルレッスンなどを行った。
　ブルーフロアを目指しブルーエリアを探索中、《盤外発動》によって姿を消した271-4536（萩峯 塔矢）と遭遇。

２. **萩峯 塔矢**
　ー実験をエンターテイメントと称し、有無を言わさずデュエルを挑んでくる。
　ー☆萩峯 塔矢とのデュエルに勝利。《ゴーストリックの駄天使》の特殊勝利効果であれば現実へのダメージが発生しない事を突き止めるも、相手を生かすことによる再戦の可能性が示唆される。

３. **アリス**
　ーブルーフロアでアリスと再会するが、雰囲気が違い突然デュエルを挑んでくる。
　ー☆アリスとのデュエルに勝利。《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》の攻撃で重度の火傷を負う。デッキ破壊で特殊勝利し現実へのダメージを発生させずに勝利。それによって、アリスの凶暴性が緩和される。
　
　アリスは解離性同一性障害を患っており、先程まで対峙していたのはもう１人の彼女だった。デュエル後、ダメージが蓄積し倒れた裏野 梨沙を主人格アリス、本導 穂香で治療を行う。
　目を覚まし、父親の病と入院を思い出し脱出への焦燥感に駆られる。アリスと和解し協力関係を結ぶ。《通話機能》を用い、福原 渚と情報交換する。本導 穂香のグリーンフロアに対するデュエルノルマの期限が迫っている事が、彼女のデュエルディスク上にて告知された。



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第４章
グリーンフロア



　本導 穂香へ課されたデュエルノルマの期限が迫っていた。デュエルノルマを達成できなければ、デュエルディスクの機能が使えなくなり、他者から殺 害されるリスクが極端に高まってしまう。裏野 梨沙たちは急遽グリーンフロアへ向かう事を決める。火傷の影響で自力での移動が困難なため、《盤外召喚》で呼び出した《ゴーストリック・スペクター》に乗ってグリーンフロアを目指す。
　ブルーエリアからブラックエリアまで移動中、273-6262（早乙女 深月）と遭遇。デュエルの意思を示さなかったが、アリスが狙われ分断された。アリスを置いてグリーンフロアへ向かう事を優先する。
　グリーンフロアへ到着すると、273-1001（ミア ワルトナー）が待機していた。

１. **ミア ワルトナー**
ーデュエルノルマ達成のため、本導 穂香とミア ワルトナーのデュエルを見届ける。
ー☆本導 穂香がデュエルに勝利。しかし、ダメージと疲労で意識を失う。

　眠る本導 穂香に対し《盤外召喚》された《寄生虫パラサイド》が、頭に寄生しようと現れた。何とかそれを払いのけた所で、本来のグリーンフロアのフロア主252-0103（裏野 晃啓）が姿を現す。

２. **裏野 晃啓**
　ー本導 穂香を、従属させようとしてくる彼へ自身が娘だと告げる裏野 梨沙。しかし、彼はそれに嫌悪感を示し、偽物と断定。殺 害を目的にデュエルを挑んでくる。
　ー☆裏野 晃啓とのデュエルに勝利。《盤外発動》の効力により毒成分を含む《B・F－必中のピン》の２００ダメージを受け、中毒症状で身体麻痺、衰弱、意識混迷に陥る。

　そんな状況で尚、父親を殺そうとする素振りを見せず、意識を失っている本導 穂香の身の安全を懇願しながら卒倒。裏野 梨沙の利他的行動により、彼女が自分の娘である可能性を見いだし始める裏野 晃啓。



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第５章
錯綜



　裏野 梨沙が中毒症状により意識を失った後、別れていたアリスがグリーンフロアを訪れ裏野 梨沙を救出していた。しかし、彼女の解毒と引き換えに本導 穂香は裏野 晃啓の手に渡ってしまう。アリスは裏野 梨沙をブラックフロアまで送った後、本導 穂香を救出しようと行動するが、就寝時間と重なり一時断念せざるを得なくなった。

　ブラックフロアで目を覚ました裏野 梨沙。実験からの脱出の一番強いモチベーションであった父親との再会が、彼女にとって最悪な形で実現した。精神的ショックを受けた彼女は、焦燥感と共に自傷行為を始める。左前腕部へ《盤外召喚》された槍を突き刺し貫通させる。重度の精神的ショックと強烈なストレスに晒された事で、裏野 梨沙は痛覚を一時的に喪失。その喪失の認知をきっかけに精神崩壊を引き起こし、発狂。左前腕部の重症を放置したまま、笑顔と共にデッキ構築を始める。

１. **白神 翔**
　ーフリーエリアにてイベントが発生している事をきっかけに、エスケープを遂行するべく行動を始めた白神 翔。彼はクラスⅢとのデュエルを目的としブラックフロアを訪れる。生気の抜けた裏野 梨沙は笑顔を見せながら、白神のデュエルに応じる。
　ー★白神 翔とのデュエルに敗北。《白気闘白鯨》の攻撃を受け、左上腕部打撲、両大腿部挫傷を確認。また、左前腕部の傷が悪化し出血多量。《飢鰐竜アーケティス》の攻撃を受け、左肩へ大きな噛み傷を確認。

　傷だらけの身体でありながら、笑顔でデュエルに没頭する裏野 梨沙から狂気を感じ取った白神 翔。傷の治療と止血剤を使用する。彼に諭され裏野 梨沙は、本当はまだ脱出を諦めたくない事と、この実験の悪質さを許せない事を宣言。

　白神 翔と共にグリーンフロアまで移動する。グリーンフロアへ到着すると、アリスが本導 穂香とデュエルを終えていた。ダメージを与えず勝利すれば、本導 穂香をアリスの身柄と交換で裏野 晃啓から取り戻せるというルールの元行われていたデュエル。しかし、アリスを裏野 晃啓の元へ行かせたくない本導 穂香は自爆特攻を行い敗北。
　事前に定めたルールの元、裏野 晃啓が本導 穂香を殺 害しようとしていたのを、白神 翔の《盤外発動》、《トラップ・スタン》によって阻止する。

２. **裏野 晃啓**
　ー裏野 梨沙が父親を説得しようとするが、デュエルのやり方を教えてくれたという発言を受け、裏野 晃啓は失意と共に激高。裏野 梨沙に挑もうとするデュエルを白神 翔が引き受け、白神 翔と裏野 晃啓のデュエルを見届ける。
　ー☆白神 翔がデュエルに勝利。しかし、勝利直前で裏野晃啓の適用する《盤外発動》の効力により毒成分を含む《アリジバク》の１０００ダメージを受け、倒れてしまう。

　裏野 梨沙が懸命に思いを伝え続けた事で、裏野 晃啓は彼女が娘である事を何とか信じる。白神 翔へ解毒剤を渡し、敵対関係の解消に至る。裏野 晃啓を交え、本導 穂香を従属させた手段や、入院しているはずの父親がここに居る意味を含めた親子の話のつじつまを合わせるべく話し合う。
　その中で、父親と裏野 梨沙の時間軸に関する認識が食い違っている事が判明。２２６５年にここへ来たと口にする裏野 梨沙に対し、白神 翔が既に現代は２２７３年である事を告げる。この時間軸の乱れの原因はすぐに解明できるものではないと判断し、ひとまず全員で休息を取る事にした。

　その後、レッドフロアにて何者かのクラスアップが行われたアナウンスが鳴り渡る。



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第６章
真実



　アナウンスからしばらくして、意識を失っていた本導 穂香が目を覚ます。裏野 晃啓に対し怯えていたものの、アリスと共に落ち着かせる。福原 渚より通信が入り、レッドフロアのフロア主へクラスアップしたのは福原 渚であった。彼女は裏野 梨沙達へ、この実験に関して重要な事実を知った事を告げ、レッドフロアへ来るように誘導する。その際に、護衛役として貫名という人物の名を挙げた。

　裏野 梨沙達は、その要求に疑問を感じながらも脱出の為、福原 渚の待つレッドフロアへと向かう事を決める。グリーンフロアへ272-4832（貫名 惇志）が福原 渚に頼まれた護衛役として訪問してくる。

１. **貫名 惇志**
　ー彼の指示の元、一時的に１人でフリーエリアへと出た裏野 梨沙へ貫名 惇志が格付けを求めデュエルを挑んでくる。
　ー☆貫名とのデュエルに勝利。《魔弾の射手マックス》の攻撃を受け、左肩へ銃創を確認。《ギャラクシー・ウェーブ》を活用した少量のバーンダメージによって、致命傷を与える事なく勝利した。

　デュエル終了後、貫名 惇志を危険な相手と判断したアリスと白神 翔は臨戦態勢を取る。敗北した事で、貫名 惇志は素直に降伏し自身のデュエルディスクを放棄する。彼の降伏により話は収まったものの、相手を生かすデュエルの危険性を白神 翔から説かれてしまう裏野 梨沙。相手を殺さない選択に対し、アリスとも意見が衝突する。しかし、他者を傷つけずデュエルする裏野 梨沙の意思をアリスも汲み取ると共に、それが彼女らしさでもあると肯定する姿勢を見せた。

　貫名 惇志の案内の元、裏野 梨沙、アリス、本導 穂香、白神 翔の４名がレッドフロアを目指す。レッドフロア目前で、272-9692（飛竜 碧人）と遭遇する。貫名 惇志が彼の相手をし、裏野 梨沙達４名はレッドフロアへと到着する。
　福原 渚は裏野 梨沙達を出迎えると共に、自身の協力者である271-3374（久能木 学）、273-8723（近久 沙苗）、273-V-0006（河原 知秀）を紹介した。そして、久能木 学の《番外発動》の効力により、裏野 梨沙達の物理的な傷が完全に修復されていく。
　自身が裏野 梨沙達の敵でない事を示した福原 渚は、貫名 惇志を護衛役として送り込んだ理由と、実行しようとしている計画、知り得たこの実験の真実を語っていく。実験離反者の河原 知秀から得た実験の真実とは、この実験へ参加しているほぼ全ての被験者が、人間の人格をコピーしたデータである事だった。それと共に、外への脱出を諦めこの実験施設で安全に暮らしていく為に、危険な被験者を処刑して回るという計画を話す。

２. **久能木 学**
　ーこの真実に白神 翔が激高し、エスケープの条件を満たすべく裏野 梨沙の制止も聞かず、福原 渚へデュエルを挑む。しかし、間に久能木 学が入り込む事でそれを防がれてしまい、白神 翔と久能木 学がデュエルを行う。
　ー☆白神 翔がデュエルに勝利する。帰る場所を奪われた真実に絶望しながらも、殺 害によるメリットがないとして再戦の危険性がないように久能木 学を殺 害しない範囲でダメージを与えた。

３. **近久 沙苗**
　ーアリスと福原 渚が会話していると、突如アリスの様子がおかしくなりもう１つの人格が表出。福原 渚を敵と断定し、デュエルを仕掛けるが、近久 沙苗が間に入り、アリスとのデュエルを受け持った。
　ー★アリスがデュエルに敗北する。相手を生かす選択も視野に持っていたもう１人のアリスに対し、懺悔の感情を抱きながらも、既に殺 人に手を染めた事で強迫観念に駆られた彼女はアリスを殺 害してしまう。

　裏野 梨沙は、混乱の中皆が争い始めてしまった事を嘆きつつも、福原 渚の計画を拒絶し、脱出の為への協力を申し出るべくデュエルを挑む。

４. **福原 渚**
　ー福原 渚は、自分達がデータである以上外に出る事は自 殺と変わりないと裏野 梨沙の要求を跳ね除ける。それと共に、ありもしない希望を追い求める彼女を危険視し排除するべくデュエルへ応じた。
　ー☆福原 渚とのデュエルに勝利。裏野 梨沙は、《盤外発動》、《大捕り物》の効力により福原 渚のデュエルディスクを奪い、さらに《盤外召喚》した《ゴーストリック・スケルトン》で命を脅かす事で、再戦を挑まれる可能性を潰した。これにより、話し合いに持ち込み自らの想いを福原 渚へと伝え、彼女からデュエルの意思を奪った。

　デュエルを終えた白神 翔と近久 沙苗が、裏野 梨沙達の元へ合流する。そこで、アリス殺 害の話を聞き、事実を受け入れられず、アリスの元へ向かった裏野 梨沙。福原 渚は、近久 沙苗のアリスを殺害した行動を咎めこそしないものの、さらに裏野 梨沙を殺害するべく動き始める彼女を止める。しかし、殺 人によって強迫観念に駆られていた近久 沙苗は、福原 渚のどっちつかずな態度に激高すると共に、福原 渚を殺 害しようとする。

５. **近久 沙苗**
　ーアリスの死 体を前に涙する裏野 梨沙へデュエルを仕掛けた近久 沙苗。自らが殺めた人の死に価値を与えようとする近久 沙苗へ、裏野 梨沙は嫌悪感を示すと共にデュエルを始めた。
　ー☆近久 沙苗とのデュエルに勝利。《花札衛－雨四光－》の効果ダメージを複数受け、全身に無数の針傷と断続的な出血状態を確認。結果として、負の感情を実験そのものへと向け、アリスを殺した近久 沙苗へ寄り添う姿勢を見せた裏野 梨沙。その行動に、近久 沙苗は涙すると共に自らの罪を正面から受け止め始める。

　近久 沙苗とのデュエルで失血状態に陥った裏野 梨沙は、意識を失ってしまう。それから丸１日意識を失っており、目を覚ますとアリスの死という現実と向き合い、今一度涙した。
　目が覚めてから裏野 梨沙グループと福原 渚グループとで集まり、河原 知秀より実験脱出の実現性と方法を教わる。人格データである裏野 梨沙達が外に出る方法は、ＡＩ用ロボットへと人格データを移植する事のみであった。また、これらの実験を外の世界では認知度の高い企業《メモリアリティ》が、謝礼のある慈善事業として行っていた事を知らされる。

　過酷な現実を前にしても、裏野 梨沙は外へ脱出を目指し続ける事を宣言。そんな彼女を知るその場に居た被験者も同調し、実験からの脱出を目指し被験者達が目的を統一していく。





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以下、添付資料

＃2273-9.20
00:17:36



「ごめんねお姉ちゃん……」

「え？何か謝るような事したっけ穂香ちゃん」

「ほのかが怖がりだから、お姉ちゃんと一緒に行けないから……」

「……気にしないの。穂香ちゃんがお父さんと関わって怖い思いをしたのは本当の事。だから、グリーンフロアに行きたくないって思うのは当たり前だよ。それは恥じる事でも、私に謝るような事でもないの。私の方こそ、穂香ちゃんと一緒に居られなくてごめんね」

「ううん、お姉ちゃんはお姉ちゃんのお父さんとお話しないとだから。ほのか分かってる。
でも……」

「不安だよね……。大丈夫！穂香ちゃんの事をお願いできるようにブルーフロアには翔君、お兄ちゃんも一緒に行ってくれるから！」

「お兄ちゃんデュエル強いんでしょ？お姉ちゃん達と一緒じゃなくていいの？」

「強いからこそだよ。お兄ちゃんが穂香ちゃんと一緒に居てくれるから、私も少しだけ安心できるんだ」

「そっか、分かったよ。
……ねぇ、お兄ちゃんって何のカード使ってるの？」

「カード？簡単に言うなら～水……？
いや、魚かな」

「お魚？」

「そ、お魚のカードをいっぱい使ってるよ」

「じゃぁ、お魚のお兄ちゃんだね」

「あ、あだ名の話ね。そういえば、なんで使ってるカードからあだ名を決めてるの？
私もお化けだし、アリスさんもお祈りだったよね」

「うーん、あんまりうまく言えないと思うけど……。
見た感じよりも、その人がどんな人かが分かる名前にしたいの」

「外見より内面みたいな感じ……？」

「たぶん。
見た目っていろいろ隠せちゃうから」

「穂香ちゃんのあだ名の法則が思っていた以上に深かった……。あれ、でも……」

「でも、なんとなくだよ。お姉ちゃん達は使ってるカードだから、その人の好きなものかもしれないって思ってるだけ」

「好きなものか……全員には当てはまらないかもしれないけど、少なくとも私はその通りだね」

「お化けのお姉ちゃんはやっぱりお化けが好きなんだ。
お化けって怖くないの？」

「怖いかぁ、あんまり考えた事なかったかも。
私、小さい時にお母さんが病気で死んじゃったの。それで、お父さんが寂しそうにしててね。その度に、お化けが居たらお父さんもお母さんと会えるのになぁって思ってた。私がお化けの事好きなのは、それが原因かも？」

「死んだ人と会えるかもって事なんだね。
…………お化けがいるなら、お祈りのお姉ちゃんとも会えるのかな？」

「……分かんない。でも、分からないからこそアリスさんは私たちを応援してくれてる気がするし、アリスさんの為に頑張ろうって思える気がする。もう会えなくたって、私達がアリスさんと一緒に過ごした時間は確かなものだから！」

「……うん。ほのかも出来る事を頑張るよ！」

「その意気だ！
ほら、穂香ちゃんは寝てないでしょ？少しでも休んどこ」

「分かった。お姉ちゃんは、ご飯少しでも食べて元気になってね。
おやすみなさい」

「ありがと、おやすみなさい」





「さすがに何か食べとかないとね……。
食欲がなくても、好きな物ならきっと食べられる！糖分は疲労回復にうってつけだし！」

「……んん！？
げほっ、げほっ、なん……どろ？」



「はは…………。
ロボットにならなくたって、どんどんロボットに近づいてるじゃんか……」



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　添付資料参照の元、柏餅を吐き出し味を確かめるように何度も咀嚼している事から、裏野 梨沙は味覚障害に陥っている可能性が考えられる。以下に、味覚障害の原因と考えられる要因について記載する。

１. 精神的ストレス
　ーアリスの死亡を含め、被験者は極度の精神的ストレスを受け続けている。このストレスが味覚障害の一因である可能性は高い。
　
２. 大量出血による亜鉛不足
　ー被験者は複数のデュエルにおいて大量の出血を経験している。亜鉛は血液中に含まれており、出血によって失われることがある。長期間の出血や大量の出血が続く場合、体内の亜鉛レベルの低下を引き起こす可能性がある。
　ー亜鉛は味覚や嗅覚に関与しているため、亜鉛不足が味覚障害に繋がることが考えられる。



　現段階における265-0855観察報告は以上である。
　前例のない集団行動及び実験崩壊の恐れも考えられる為、より一層の観察強化並びに朱猟 響等への直接排除の指令も検討していく。