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HOME > 遊戯王SS一覧 > Report#9「いい性格」

Report#9「いい性格」 作:ランペル


ピー
「先行は白神様、後攻は裏野様になります。」


 [ターン1]


「僕の先行ね。じゃぁ、まずは様子見ってことで。
僕は手札から《ハンマー・シャーク》を召喚」[攻1700]
手札:5枚→4枚

彼が手札からモンスターをディスクへと召喚すると、頭がハンマーになった鮫が上空を泳いで彼のフィールドへと現れた。

「効果を使うよ。自身のレベルを1つ下げる事で、手札からレベル3以下の水属性1体を特殊召喚する。僕は手札からチューナーモンスター《フィッシュボーグ-アーチャー》を特殊召喚する」[守300]
手札:4枚→3枚

ハンマー・シャークが地面を自身の頭でとんとんと叩くと、二つの水槽のようなものを備えたロボットのモンスターがフィールドへと走りこんでくる。

「チューナーモンスター…!」

「僕はレベル3となった《ハンマー・シャーク》に《フィッシュボーグ-アーチャー》をチューニング。
シンクロ召喚。

来い、《白闘気海豚》」[攻2400]

彼の背後の地面から水しぶきを上げて、真っ白なイルカのモンスターが彼を飛び越えてフィールドへと現れる。

「わぁ、真っ白…」

「これで僕はターンエンド」



白神-LP:8000
手札:3枚


 [ターン2]


「(彼が使うのは水属性のシンクロデッキって感じかな…)私のターン、ドロー」
手札:5枚→6枚

「私は手札からフィールド魔法《ゴーストリック・パレード》を発動します!」
手札:6枚→5枚

フィールド魔法を発動すると、ゴーストリックのお屋敷が現れ、そこからたくさんのゴーストリック達が風船と共に浮かび上がった。

「なんとも…可愛らしいテーマだね」

「可愛いだけではありませんよ。パレードの効果でこのカードがある限り、相手が受けるダメージは全て0になります」

「僕が受けるダメージが0…?」

「そして、互いのフィールドに裏側守備表示モンスターしかいない場合、モンスターの攻撃は相手への直接攻撃となります。そして、相手モンスターの直接攻撃宣言毎に、私はデッキからゴーストリックカードを手札に加える事が出来ます」

「なるほどね…」

「私はモンスターと、2枚のカードをセットしてターンエンドです!」
手札:5枚→2枚



梨沙-LP:8000
手札:2枚


 [ターン3]


「僕のターン、ドロー」
手札:3枚→4枚

「手札のモンスター1体をコストに、魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動する。その効果でデッキからレベル1モンスターを特殊召喚するよ」
手札:4枚→2枚

彼がデュエルディスクを操作するとデッキから1枚のカードが飛び出す。

「僕はデッキから《鰤っ子姫》を特殊召喚」

黄色いお姫様のような魚が、可愛らしい素振りを見せながらフィールドへと降り立つ。

「(ぶりんせす…あっブリのお姫様って事か)」

面白いカード名の意味をリアルソリッドビジョンで現れたモンスターと比べて考察してみる。

「召喚、特殊召喚時に自身を除外して効果を使う。デッキからレベル4以下の魚族モンスター1体を特殊召喚する」

魚のお姫様が地面へ向けて胸びれを揺らし、まるでおいでおいでとするような素振りをして消える。
すると、地面から青く揺れる目が現れ、ほとんど骨だけの魚のようなモンスターが浮上する。

「デッキから《揺海魚デッドリーフ》を特殊召喚。特殊召喚時の効果を発動」

効果発動が宣言されると、デッドリーフが不気味に揺らめき骨だけとなったひれを揺らす…。

「デッキから同名以外の魚族1体を墓地に送るよ。僕は《フィッシュボーグ-ランチャー》を墓地に。
 そして、墓地の《フィッシュボーグ-プランター》の効果を使うよ」

「あれ、そんなモンスターいつの間に…」

「さっきの《ワン・フォー・ワン》のコスト。効果でデッキトップを墓地へ送り、それが水属性モンスターなら自身を特殊召喚できる」

彼がデッキトップを引き、こちらへ引いたカードを向ける。

「デッキトップは水属性《白棘鱏》、よって墓地から《フィッシュボーグ-プランター》を特殊召喚」

タコのような触手を備えた花を咲かせた水槽のようなロボットがうねうねとフィールドに現れる。

「さらに、自身以外の墓地のモンスターが全て水属性の場合、墓地の《フィッシュボーグ-ランチャー》は墓地から特殊召喚できる」

今度は水槽の中に虫のような何かが入っているロボットが地面から飛び出してきた。

「なんか、良く分からないモンスター達ですね…」

「フィッシュボーグのこと?まぁ…そうだね。水槽の中魚ですらないもんな」

彼がそう喋ると、ランチャーがチラッっと振り返るのが見えて少しおかしくなってしまった。

「ふふ」

「そんなにおかしい?僕は手札から《白鱓》を召喚」
手札:2枚→1枚

全身が真っ白なウツボがゆらゆらとフィールドへと漂って来る。

「すごいですね。気が付けばフィールドにモンスターが5体も」

「なんか、反応が初々しいね」

「そりゃ、リアルソリッドビジョンなんてここに連れて来られてから始めて見ましたから!」

そう言うと彼はきょとんとした顔をして、少し笑った。

「ここでそんな楽しそうにしてる人初めて見たよ」

「そ、そんなに楽しそうにしてましたかね…?」

「目がキラキラだったね。ま、それだけ楽しそうに出来るなら案外長持ちするかもね」

自分でも気づかない内に嬉しそうにしていた事への少しの照れと、彼の言う長持ちと言う言葉にどこか闇を感じたが、彼は構わずデュエルを続ける様子だ。

「僕は3体の下級モンスターにレベル1のチューナーモンスター《フィッシュボーグーランチャー》をチューニング。
シンクロ召喚。

来い、《飢鰐竜アーケティス》」[攻1000]

場のモンスターが一気に4体いなくなると同時に、刺々しい鱗に長い尾を持つ巨大なワニのような魚のようなモンスターがフィールドへと現れる。

「こ、これだけ大きいと本当に食べられそうで、ちょっと怖いですね…」

始めてここで見た毒竜の姿がフラッシュバックし少し身震いする…。

「さすがに、ガチで人を食べた時はビビったよね…」

一瞬脳の処理が追い付かなかったが、彼は確かに言った…。

「人を食べ…た…?」

「さすがに殺してはないけど、腕一本ね」

平然と言いのける自分と歳がさほど変わらない彼を見て、彼もまたここの住人だという事を意識させられる。
そんな私の態度を察したのか、彼が少しため息を吐きながら続ける。

「言っとくけど、腕一本持って行ったのは不可抗力だからね。ここのルールをあまり把握する前に、対戦しちゃったらそうなっちゃっただけで」

「そんなことがあっても、白神さんはここでデュエルをしているんですか…?」

まだ出会って間もないが、そこまで悪意を感じられなかった彼へと浮かんだ疑問を投げかけた。

「そりゃ、お金は欲しいからね。それにここに居るってことはそういうことを覚悟して来てる人だと思うから、僕も遠慮なんてしないよ」

「覚悟…」

そんな覚悟が必要な場所…。どうしても、自分が何故こんな所に居るのかという疑問が巡ってしまう。

「確か記憶喪失だっけ?まぁでも、僕だって別にデュエルで人を殺したりしたい訳じゃない。勝てる状況なら、あえてダメージを減らしたりとか出来る事もあるかな」

「そう、なんですね」

「細かい事情は知らないけど、きっと何か目的があってキミもここには来てるはずだよ。少なくともこのデュエルでキミが死ぬようなことはないし、チュートリアルも終わるだろうから、またゆっくり考えればいいんじゃない?」

どこか素っ気ない雰囲気の彼から感じた確かな優しさ…。
そう、チュートリアルも3戦目。これが終わればアリスさんの言っていたようにいろいろな事が分かるかもしれない。今はまたとないリアルソリッドビジョンのデュエルを楽しもう。

「そうですね。ごめんなさい。今は白神さんとのデュエルを楽しむことにします!」

「楽しむ…ねぇ。そんなデュエルが出来るなら僕としても願ったりだ。
アーケティスの効果を発動!シンクロ召喚成功時に、素材に使用した非チューナーの数だけデッキからドローする。よって、僕はカードを3枚ドローさせてもらうよ」
手札:1枚→4枚

「そして、このカードの攻撃力と守備力は僕の手札の枚数×500上昇する。つまり、攻撃力が3000」[攻3000]

「3000のモンスターに2400のモンスター…一気にライフが削られてしまいそうですね…」

「でも、キミのフィールドの《ゴーストリック・パレード》、サーチ効果を持っていたはずだよね。《飢鰐竜アーケティス》の効果を発動。手札2枚をコストに相手フィールドのカード1枚を対象に破壊する。僕はキミの《ゴーストリック・パレード》を破壊する」
手札:4枚→2枚

「そうはいきません。罠発動《ゴーストリック・アウト》!
手札の《ゴーストリック・マミー》を見せる事で、このターン自分のゴーストリックカードと裏側守備表示モンスターに対象耐性と破壊耐性を付与します」

「まぁ、そう簡単には破壊させてくれないよね」

アーケティスが長い尾を振るい水色の衝撃波を放つが、ゴーストリック・アルカードが現れその衝撃波をマントでかき消す。

「それじゃ、墓地のデッドリーフの効果。自身を除外して墓地の魚族3体をデッキに戻して1枚ドローする。僕は墓地の《ハンマー・シャーク》《鰤っ子姫》《マーメイド・シャーク》の3体をデッキに戻すよ」
手札:2枚→3枚

「バトルに入ろうかな。パレードの効果で確か直接攻撃になるんだよね?《白闘気海豚》でダイレクトアタック」[攻2400]

「では、相手の直接攻撃宣言時に《ゴーストリック・パレード》の効果を発動します。デッキからゴーストリックカードを手札に加えます。私は《ゴーストリック・マリー》を手札に加えます」
手札:2枚→3枚

館から黄色い風船が1つ私の元へととんできて割れる。

「攻撃自体は止まらないね?それじゃ、2400のダメージだ」

ドルフィンがこちらへと泳いで向かって来、私の少し手前で大きくジャンプし地面へと潜った。その時に大きく波が起こり私に向かって波が押し寄せた。

「わ…!」

梨沙-LP:8000→5600


「今回はそんな感じか。大丈夫?」

思ったよりも冷たい水を体に浴びて、驚きと冷えが体を襲っている。

「ごほ、ごほ…冷たい…こういう感じの…ダメージの受け方もあるんですね…」

「攻撃方法に関してはランダムで制御不能」

「ごほ、そうなんですね…。ですがダメージを受けたことで、先程手札に加えた《ゴーストリック・マリー》の効果を使います。手札から捨ててデッキからゴーストリックモンスターを裏側守備表示で特殊召喚します!」
手札:3枚→2枚

「そういうことね…。それで直接攻撃か。でも、ダメージは痛いはずだ。《飢鰐竜アーケティス》でダイレクトアタック」[攻2000]

「この瞬間、再びパレードの効果と、手札の《ゴーストリック・フロスト》の効果を発動します。相手の直接攻撃宣言時に、このカードを手札から特殊召喚して、相手の攻撃モンスターを裏側守備表示にします!」
手札:3枚→2枚

「僕のモンスターを裏側に…?」

屋敷から大きな雪玉が転がってきて、アーケティスを踏み潰す。そして、雪玉の中からフロストがにょきっと出てくると私のフィールドへと戻ってきて寝転がりセットされる。

「パレードの効果で《ゴーストリックの猫娘》を手札に加えます」
手札:2枚→3枚

「裏側の状態を駆使するゴーストリック…厄介そうだ。メイン2に入る。永続魔法《白の救済》発動。
手札:3枚→2枚

その効果で1ターンに1度、墓地の魚族モンスター1体を手札に回収できる。僕は墓地の《白棘鱏》を手札に回収してターンエンドだよ」
手札:2枚→3枚



白神-LP:8000
手札:3枚


 [ターン4]


「私のターン、ドロー」
手札:2枚→3枚

「セットしていた《ゴーストリックの雪女》と《ゴーストリック・キョンシー》を反転召喚します」

首にマフラーを巻いた可愛らしい女の子が私の背後からちらりとフィールドを覗き込むと、フィールドへと歩いて出てくる。
そして、キョンシーはぴょんと跳ねる。

「キョンシーのリバース効果です。自分フィールドのゴーストリックの数以下のレベルのゴーストリック1体を手札に加える事が出来ます。私のフィールドにゴーストリックは2体。よって、レベル1の《ゴーストリック・ランタン》を手札に加えます」
手札:3枚→4枚

効果発動を宣言すると、キョンシーがフィールドを見渡し2回ぴょんぴょんと跳ねる。

「フィールドにゴーストリックがいる場合、ゴーストリックは表側で召喚が行えます。手札から《ゴーストリック・マミー》を召喚です」
手札:4枚→3枚

マミーが地面から這い出てきて頭をぽりぽりと掻く。

「表側でいる場合?てことは、フィールドに他のゴーストリックがいないとそいつらは召喚できないのか」

「そう言う事です!」

「それまた扱い辛い…」

「みんな隠れんぼが好きなんですよ。さらに、マミーの効果で私はもう1体ゴーストリックを召喚できます。《ゴーストリックの猫娘》を追加召喚!」
手札3枚→2枚

猫耳の女の子がフィールドへと降り立ち、くるっとターンした。

「そして、私はレベル3のマミーとキョンシーでオーバレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!

来て、ランク3《ゴーストリック・アルカード》!」[攻1800]

お屋敷の頂上から、黒い人影がフィールドへと舞い降り、マントを靡かせアルカードがフィールドへと現れた。

「エクシーズか」

「アルカードの効果を使います。オーバーレイユニットを1つ使い、フィールドのセットカード1枚を破壊出来ます。私は白神さんの裏側モンスターを破壊します!」

アルカードがセットカードを指さすと、2匹のコウモリがセットカードへと近づき、そのまま掴んで高い所へ持って行ってしまう。
それを私と白神さんは目で追ってしまう。

「どこまでいくんだ…?」

「遠くに連れて行っちゃいましたね…」

「ふ…」

「ふふ」

二人して少し笑ってしまった。

「それで?アーケティスは破壊できても、まだ僕のフィールドには《白闘気海豚》がいる。今度はそっちのレベル2、2体で何か出すのか?」

「その通りです。行きますよ。
私はレベル2の雪女と猫娘でオーバレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!

来て、ランク2《ゴーストリック・サキュバス》!」[攻1400]

眠そうに眼をこする赤髪の女の子がフィールドへととぼとぼと歩いて来て、到着した途端コウモリ模様の抱き枕を抱えて眠ってしまう。

「(かわいい…。)サキュバスの効果で、オーバーレイユニットを1つ使い、フィールドのゴーストリックの合計攻撃力以下のモンスター1体を破壊出来ます!」

「結構除去効果持ちが多いね」

「さらに、破壊したモンスターゾーンは自分フィールドにゴーストリックモンスターが表側で居る限り、使用できなくなります」

「ゾーン封じもあるのか…」

サキュバスが大きなあくびをすると、相手のドルフィンも眠ってしまう。そこで、サキュバスが持っていた抱き枕をドルフィンへ投げると、爆発しドルフィンを破壊した。そして、抱き枕に描かれていたコウモリがそのモンスターゾーンへと移り使用不能になった。

「だけど、《白闘気海豚》は戦闘・効果で破壊されても墓地の水属性を除外する事で、蘇生できる。僕は墓地の《白鱓》を除外してドルフィンを攻撃表示で特殊召喚するよ」[攻2400]

再びフィールドへ真っ白なイルカが浮上する。

「墓地のモンスターを除外して特殊召喚…」

「そう、そしてこの効果に発動制限はない。つまり墓地に水属性がいる限りは、何度破壊されてもこいつは蘇る」

「厄介ですね」

「これでフィールドのエクシーズ出来る素材のモンスターは居なくなった。2体のモンスターの攻撃力は僕のドルフィンには及ばない。まだ何かあるのかな」

「まだですよ!私は《ゴーストリック・サキュバス》、《ゴーストリック・アルカード》のそれぞれでオーバーレイネットワークを再構築します!」

「何やらまだ動けそうだね」

「ゴーストリックはここからが本番です!
来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》!」[攻2000][攻2000]

ピンクの髪を揺らしながら、二人の駄天使が一緒にフィールドへと登場した。

「(攻撃力はまだ足りてない…打点強化か?)」

「2体の駄天使の効果を使います。オーバレイユニットを使い、デッキからゴーストリック魔法・罠カードを手札に加える事が出来ます。その効果が二回分…デッキから《ゴーストリック・パニック》《ゴーストリック・ナイト》の2枚を手札に加えます!」
手札:2枚→4枚

2体の駄天使が小さな継ぎ接ぎのハートを指先でくるくると回すと、それがカードへと変わり私へと渡してくれた。

「ありがとう。さらに、先程素材として取り除いて墓地へ送られた《ゴーストリック・アルカード》の効果を発動です。墓地のゴーストリックカード1枚を手札に加える事が出来ます。私は墓地の《ゴーストリック・アウト》を手札に加えます!」
手札:4枚→5枚

「(あれは確か、防御用のカードか…)」

「罠を発動です。《ゴーストリック・リフォーム》!自分フィールドの《ゴーストリック・パレード》を手札へと戻し、手札・デッキからフィールド魔法1枚を発動できます。私はデッキから《ゴーストリック・ハウス》を発動します」
手札:5枚→6枚

《ゴーストリック・イエティ》と《ゴーストリック・シュタイン》が大きな赤いハート模様の幕を、背後のお屋敷へとかぶせ、魔女の合図と同時に幕が取り除かれる。すると、先程の楽し気な雰囲気が抑えられたお屋敷へと変化する。

「あれ、楽しそうな雰囲気やめちゃってもいいの?」

「これからは、ゴーストリック達が脅かす時間です。手札から《死者蘇生》を発動します。墓地から《ゴーストリックの猫娘》を特殊召喚!」[守900]
手札:6枚→5枚


両手をばんざいした状態で楽しそうに猫娘がフィールドへと走りこんでくる。

「下級の蘇生…?」

「すぐ分かりますよ。最後に、セットしていた《ゴーストリック・フロスト》を反転召喚」[攻800]

雪玉を構えたフロストがフィールドへと現れる。

「バトルに入ります!墓地から罠発動《ゴーストリック・リフォーム》!」

「さっき使った罠か」

「このカードを墓地から除外し、自分フィールドのゴーストリックエクシーズ1体を素材にカード名の異なるゴーストリックモンスターをエクシーズ召喚できます!
私はランク4の《ゴーストリックの駄天使》でオーバーレイネットワークを再構築!
ゴーストリックチェンジ!

来て、ランク1《ゴーストリック・デュラハン》!」[攻1000]

イエティとシュタインが今度は白と水色な大きな布を駄天使に被せ、もう一人の駄天使の合図と共に布を取ると駄天使が消え、デュラハンが現れていた。

「マジックみたいな感じになりましたね!」

演出の良さについ興奮してしまい、白神さんへと語り掛けてしまう。

「面白い演出だね。でも、出てきたはいいけどそのモンスターの攻撃力ではドルフィンの攻撃力には及ばない。どうするつもりかな?」

やれやれといった雰囲気で私の次の戦略を問いかけてくる。

「ふふ、デュラハンの攻撃力はフィールドのゴーストリックカードの数×200アップします。これは自身も該当するので、攻撃力は2000です!そして、そのままデュラハンでドルフィンを攻撃します」[攻2000]

攻撃宣言と共に、デュラハンの馬が嘶き、ドルフィンへと突撃する。

「攻撃力は足りていないが…?」

「ダメージ計算前に《ゴーストリック・デュラハン》の効果を発動します!オーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスター1体の攻撃力をターン終了時まで半分にします!」

「なるほどね」

馬が再びドルフィンへ向けて嘶く。

「これでドルフィンの攻撃力をデュラハンが上回りました!戦闘破壊です」

剣を突き立てたデュラハンがそのままドルフィンに突撃し、ドルフィンを突き破った。その瞬間、ドルフィンは風船のように破裂して破壊された。

白神-LP:8000→7200


「見方によっては結構グロテスクだね。でも、忘れてないよね。
ドルフィンは墓地の《フィッシュボーグ・アーチャー》を除外して蘇生する」[攻2400]

効果が発動されると、再び白いイルカが地面から飛び上がり、地面へと潜っていった。

「デュラハンの効果はもう使ったから、これで攻撃は出来なくなったね」

「そうですね。ドルフィンが居れば、私はもう攻撃できていません」

「何か引っかかるね…」

彼は違和感を感じてフィールドを見渡す。先ほど潜ったはずのドルフィンが浮かんでこない。
そして、猫耳の少女の回りを青い鬼火が漂っている。

「《ゴーストリックの猫娘》の効果。このカード以外のゴーストリックがいる状態で、レベル4以上のモンスターが召喚・特殊召喚された時にそのモンスターを裏側守備表示にします!」

「なに!?」

「その効果により、白神さんのドルフィンは蘇生と同時に裏側表示になりました。表側にならない限り、海面に出てくることはありませんよ」

「その効果が狙いでさっきの《死者蘇生》か…」

「そうです!シンクロが得意な白神さんのデッキには、結構刺さる効果なんじゃないでしょうか?」

無垢な笑顔を白神へと向ける。

「ふっ、それを素でやってるならキミ結構いい性格してるよね」

「えへへ、これで白神さんのフィールドには表側モンスターが居なくなりました。フィールド魔法《ゴーストリック・ハウス》はパレードと同様、お互い相手フィールドに裏側モンスターしかいない場合には、攻撃が全て直接攻撃になります。そして、このカードはパレードと違い白神さんへのダメージが0になるデメリット効果はありません。さらに、ゴーストリックの戦闘ダメージ以外のダメージ全てが互いに半減されます!」

「自分はゴーストリックで通常通りダメージを与えられて、相手はゴーストリックじゃないからすべてのダメージが半減すると…。やっぱいい性格してるわ」

「ということで、残りのモンスター全てでダイレクトアタックです!」

「防ぐすべてはないからそのまま受けるよ」

フロストが雪玉を白神さんへ投げつけ、駄天使は継ぎ接ぎのハートを白神さんへと飛ばし、可愛く爆発した。

白神-LP:7200→4400


「チュートリアルじゃなかったら、結構これも痛そうだね」

「あ、だ、大丈夫ですか…?」

「チュートリアルじゃなかったらって言ったろ。攻撃は終わりかな」

「そうですね。メインフェイズ2に入ります。先ほどと同様、《ゴーストリック・デュラハン》に重ねて《ゴーストリックの駄天使》をエクシーズ召喚します!」[守2500]

3体目の駄天使がフィールドへと現れる。

「あれかい?その子はもしかしなくとも過労死枠になるのかな」

「え、エースモンスターと言ってください!」

駄天使もどこか苦笑いしているように見えた…。

「効果発動です。オーレバーレイユニットを取り除いて、デッキから《ゴーストリック・ブレイク》を手札に加えます。
手札5枚→6枚

さらに、墓地へと送られたデュラハンの効果で、墓地から《ゴーストリックの駄天使》をEXデッキに回収します」

「ほら、使いまわす気まんまんじゃん」

「そういうデッキなんですから仕方ないじゃないですか。それを言うなら、白神さんもドルフィンを使いまわしてることになりません?」

「おっと、それもそうだ」

「ふふ、次は白神さんのターンですよ。《ゴーストリック・フロスト》の効果で自身を裏側守備表示に。カードを4枚セットして、ターンエンドです」
手札:6枚→2枚



梨沙-LP:5600
手札:2枚


 [ターン5]


「盤面が固いね…。僕のターン、ドロー」
手札:3枚→4枚

「このスタンバイフェイズに永続罠《ゴーストリック・ナイト》を発動します!」

「スタンバイに?」

「自分フィールドにゴーストリックモンスターが存在する限り、相手モンスターは反転召喚が行えません!」

「な…反転召喚も縛るつもりか!?」

「これで、《白闘気海豚》を表にすることも出来ず、《ゴーストリックの猫娘》の効果で白神さんが呼び出すレベル4以上のモンスターは全て裏側守備表示になります!」

「(除去カードは引けたが…さっきサーチしていた防御カードがある…。
根本の解決にはならないな…)

さて、どうしたものか…」
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