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HOME > 遊戯王SS一覧 > Report#88「死線」

Report#88「死線」 作:ランペル

白神ーLP :3500
手札    :1枚
モンスター :《海晶乙女コーラルアネモネ》[攻2000]、《ゴーティスの大蛇アリオンポス》[攻2100]、《白闘気白鯨》[攻2800]、《ゴーティスの朧キーフ》[守1500]
魔法&罠:なし

ーVSー [ターン3]

朱猟ーLP :4000
手札    :3枚
モンスター :なし
魔法&罠  :なし


 白神の攻撃を、バーンを交えながらかわした朱猟。小さなダメージであったが、それは既に弱っていた白神の身体にとって想像以上のダメージとなっていた。しかし、それでも立ち向かうべく、朱猟の展開に白神は何とか意識を向ける。

「さーて、んじゃぁくたばるまで体力温存しとけや。
俺様のターン、ドロー」
手札:2枚→3枚

 朱猟が不快な笑みと共にデッキからカードを引く。白神は荒々しい呼吸の中、効果発動を絞り出す。

「スタンバイ……フェイズ、に……《ゴーティスの妖精シフ》の、効果……発動……。
特殊召喚……出来る……」[守500]

「ほーん」

 虚空がヒビ割れ、その向こう側からクリオネ型のモンスターがウネウネとフィールドを泳ぎ始める。

「いいねぇ……一瞬駄目かと思ったが杞憂だったな?
800ライフをコストに、装備魔法《再融合》発動。墓地の融合モンスターである《捕食植物ドラゴスタペリア》を蘇らせ、こいつを装備させるぜ」
手札:3枚→2枚
朱猟LP4000→3200

 蘇生カードの発動を受け、苦痛に歪む白神の表情がより一層険しくなる。妨害効果を持ち得る《捕食植物ドラゴスタペリア》に対抗するには、このタイミングで効果を使うしか無い。

「……ぐ、《ゴーティスの妖精シフ》の……効果発動……。《ゴーティスの大蛇アリオンポス》と……シンクロする……。
 
来い……《ゴーティスの双角アスカーン》」[守0]

 優雅に泳いでいたシフが2つの緑色の円陣へと変化し、その内側をアリオンポスが潜り抜ける。眩い光と共に現れたのは、トビウオを彷彿とさせる異形の魚。その背びれに位置する部分からは、特徴的な二本の角が相手を威嚇するように伸びている。

「クハハ!こっちも呼ばせてもらうぜぇ!
蘇れ、ドラゴスタペリア!」[攻2700]

 朱猟のフィールドの地面から桃色で星の形をした花が鮮やかに芽吹く。その成長は花開くだけに留まらず、その下から花を持ち上げるように蔦が生えてくれば、それらが絡み合い腐敗臭を纏う竜を生み出す。
 腐蝕の華竜と対峙する双角の深海魚がわずかに身をしならせた。その動きが戦場に波紋を広げる跳躍の予兆となり、瞬く間に効果が解き放たれた。

「シンクロ召喚……時の効果発動。アスカーン自身と……あんたの、《再融合》を……対象に除外……。そして、素材になった……アリオンポスの効果も、発動……だ」

「除去効果か。させるかよ、ドラゴスタペリアの効果をチェーン発動し、てめぇの《ゴーティスの双角アスカーン》に捕食カウンターを置かせてもらう」

「相手が、モンスターを特殊召喚……した場合に……。《ゴーティスの朧キーフ》の効果を……発動」

 チェーン4にまで絡み合った効果の応酬。その激流の最終局面を制したのは、白神だった。

「あんたの……ドラゴスタペリアと、除外されている僕の、《ゴーティスの月夜サイクス》を対象とし……キーフと、ドラゴスタペリアは除外。
そして、サイクスを特殊……召喚だ」[守0]

 小さなキーフが、ドラゴスタペリアの目の前まで泳いで行く。それに反応し威嚇するドラゴスタペリアだが、地面から出現した《ゴーティスの月夜サイクス》へキーフ共々丸呑みにされてしまった。
 
「ちっ……《再融合》は破壊され、効果処理でアスカーンに捕食カウンターを置く」
《ゴーティスの双角アスカーン》:☆8→☆1

「アリオンポスの効果で、レベル6の《ゴーティスの陰影スノーピオス》を……サーチ。
そして……《再融合》が、なくなったから、アスカーンの効果で……自身だけ除外」
白神手札:1枚→2枚

 呼び出されたアスカーンも、深海へと潜りフィールドから消える。デッキから飛び出したカードを白神がゆっくりと引き抜けば、フィールドのサイクスが妖しく光始める。

「特殊召喚した……サイクスの効果。デッキから《アビス・シャーク》をサーチし、フィールドの魚族《白闘気白鯨》を除外する……」
手札:2枚→3枚

「攻撃表示は残さねぇってか!だが、一匹でも残ってんなら殺しようは幾らでもあるんだぜぇ?
装備魔法《捕食接ぎ木》を墓地のセファロタスネイルを対象に発動。蘇れ、《捕食植物セファロタスネイル》」[守1200]
手札:2枚→1枚

 喰われ、朽ち果てたドラゴスタペリア。その茎の断裂部に宿る残滓が、新たな芽へと変貌していく。失われた生命の代わりに、袋型の肉食植物が静かに口を開く。

「蘇生したセファロタスネイルの効果。墓地からテッポウリザードを特殊召喚し、その特殊召喚時効果で俺様は1ドロー」[守1200]
手札:1枚→2枚

 テッポウリザードが蘇ると共に破裂する尻尾の紫果実。そこから飛び出すカードを掴んだ朱猟が、それを手札と入れ替えデュエルディスクへと発動する。

「俺は1000ライフをコストに《超越融合》発動。俺のフィールドのモンスターを素材に融合し、その後素材モンスターを蘇生させるぜ」
手札:2枚→1枚
朱猟LP3200→2200

 2体の捕食者が、融合の渦へと溶け込んでいく。紫のオーラを纏い悍ましい唸り声をあげながら……それが呼び起こされた。

「《捕食植物セファロタスネイル》と《捕食植物テッポウ・リザード》で融合……。
融合召喚……!

渇きのままに喰い殺せ、レベル8《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》!」[攻2800]

 =====
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》
融合 闇 ☆8 攻2800 守2000
闇属性モンスター×2
①:このカードがフィールドのモンスターのみを素材として融合召喚に成功した場合に発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、相手フィールドの特殊召喚されたモンスターの攻撃力の合計分アップする。
②:1ターンに1度、相手フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時まで、その相手モンスターの効果は無効化され、このカードはその対象の相手モンスターの効果を得る。
③:このカードが破壊された場合に発動できる。相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、その攻撃力の合計分のダメージを相手に与える。
 =====

「(来たか……こいつのキーカード)」

 敵の主力モンスターの出現に警戒を強める白神。万全とは程遠い弱りきった身体で、破格の性能を誇るスターヴ・ヴェノムを相手取るのは一瞬の気の緩みが死に直結する。ましては、これ程に弱りきった身体では、デッドラインの3000ダメージに届かぬダメージでも死にかねない。

「そして、素材としてセファロタスネイルとテッポウリザードを攻撃表示で蘇生。さらに、レベルを4に変更だ」[攻0][攻0]

 毒竜を囲む様に蘇る2体のモンスター。そして、再びテッポウ・リザードの紫果実がゆっくりと膨らんでいく。

「蘇生したテッポウ・リザードの効果。
そして、融合召喚に成功した事で、墓地から《捕食計画》除外し、《ゴーティスの月夜サイクス》を対象とし破壊。
最後、チェーン3で融合召喚したスターヴ・ヴェノムの効果発動だ」

 連鎖する3つの効果。紫のオーラがスターヴ・ヴェノムの翼となり、その力はより強大なモノとなっていく。

「てめぇの特殊召喚されたモンスターの攻撃力の合計分、こいつの攻撃力が上昇!
んで、邪魔な骨魚を破壊。そして、1ドロー!」[攻7200]
手札:1枚→2枚

 サイクスの浮かぶ地面より、強靭な蔦が生えてきたかと思えば、瞬く間にサイクスを絡め取りバラバラに粉砕してしまう。砕けた骨が、まるで雪のようにフィールドを舞い、透き通った床下の深海へ溶け込んでいく。白神のフィールドへと残ったのは攻撃表示の《海晶乙女コーラルアネモネ》のみとなった。

「クク……攻撃力差は既に5200。これでも十分グチャグチャに出来るが、念には念だ。
レベル4の《捕食植物セファロタスネイル》とレベル4となった《捕食植物テッポウ・リザード》でオーバーレイ……。
エクシーズ召喚……!

ランク4、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」[攻2500]

 蘇った2体の植物が交錯しながらエクシーズ召喚の渦へと飲み込まれる。召喚の爆発と共に現れるのは、鋭い逆鱗を光らせた漆黒の竜。その突き刺すような視線が、白神の全てを奪い取らんと動き出す。

「ダーク・リベリオンの効果発動。
エクシーズ素材を2つ取り除く事で、てめぇの《海晶乙女コーラルアネモネ》の攻撃力の半分を吸収させてもらうぜぇ?」[攻3500]
《海晶乙女コーラルアネモネ》[攻1000]

 拡張していく黒竜の翼より放たれた紫色の光が、コーラルアネモネの力を奪い取り自らの糧とする。

「さぁて……。
覚悟は出来てるかよ、クソガキ!」

「…………」

 朱猟の挑発的な言動に対し、白神はただただ真っ直ぐに朱猟を睨みつける。

「せっかくだ、負けなしのクソガキにレクチャーしてやるよ。
死ぬって事の恐ろしさは、身体がぐちゃぐちゃに引き裂かれるだとか、生きたまま肉を溶かされるなんて事じゃねぇのさ。その本質は、もう誰にも会う事の出来ない孤独感。他人との繋がりが強い癖にこんな所へ居る奴は、大抵大事な人って奴らときちんとした別れ方が出来てねぇもんだ。そんで、いざ死ぬってなったら頼まれもしてねぇのに謝ってくんのさ。僕が悪かった、私が悪かったってな~?自分の意思でここへ来てるはずなのに、おかしな話だぜ」

 朱猟が獲物の恐怖心を煽るべく高説を垂れ始めた。白神はズキズキと痛む頭を押さえながら、その理不尽な言い回しに言葉を返す。

「……望まずして、ここへ来た人もいるんだよ……」

「望まずしてだ~?そういうのをバカっつうんだよ!
世の中望み通りになる事の方が少ねぇってのに、死の間際になってからそういうガキみてぇな事をみんな口走る。自分は悪くなーい、全部自分を騙した奴らが悪いって!問題の大本は、自分の無知が原因だってのになぁ?
クク……クハハハ!!!おかしくって溜まらねぇよ!楽して望みを叶えようとするから、こんな場所でぐちゃぐちゃになって死ぬんだよなー!!!」

「あんたの、くだらない話に……付き合うつもりはないよ……」

 激しくなる頭の痛みとふらつく身体が発する不快感のままに朱猟の言動を切り捨てる白神。朱猟は依然として狂った笑みを浮かべると首を倒しながら、尚も話しかけて来る。

「そうだよなぁ……。くだらない話って否定しねぇと自分が苦しくなっちまうもんなぁ?」

 朱猟の言葉が響くたびに、胸の奥がざわめく。理解しきれない嫌悪感を振り払うように、口からその意味を問いただしてしまう。

「どういう……意味……?」

「さっきも言っただろうが!
死の本質は、孤独感。当てはまらねぇ奴もいるだろうが、てめぇにはピッタリなんじゃねぇかって言ってんだよ。大事なママに黙ってこんな所に来て、後は死ぬだけだなんて悔やんでも悔やみ切れねぇだろぉ~?」

「……!」

 嫌悪感の原因を今一度理解した白神は、驚きと共に奥歯を噛みしめる。
 この男が語る言葉は、巧みに白神自身の心を揺らす。正確には、揺れざるを得ない事しか喋って来ないのだ。母親の間の抜けた行動に嫌気が差し、その問題を解決してやると意気込んで家を飛び出した。帰るだけの自信と覚悟を持っていたつもりで居たのだ。しかし、その帰る為の条件が歪んでしまった今となっては、白神と他の被験者は狂人の語るバカと何ら変わりはない。そんな……自分の愚かさまでも見透かされたような男の言葉を前に、きっと容易く呑み込まれた人間は多く居ただろう。

「てめぇが死 ねばきっと大事なママもさぞ悲しんでくれるだろうぜ?いや、んな訳ねぇか!だって、てめぇのママの所には本当の愛息子が大金手にして帰ってんだからな!クヒャハハハハハ!!!」

 朱猟が狂った笑い声と共に侮蔑と嘲笑を吐き捨てるのは、獲物の後悔や恐怖が声となって放たれる事を願っての事だ。そんな狂人に白神は荒い息遣いのままに睨みつけるのみだった。

「…………」

「行くぜ、バトルフェイズ!」

「……メインフェイズ終了時……手札の《ゴーティスの陰影スノーピオス》、効果……発動。
墓地から魚族2体……。《ゴーティスの月夜サイクス》と《ゴーティスの妖精シフ》を除外し、特殊召喚だ……」[守0]
手札:3枚→2枚

 嬉々としてバトルフェイズへ移行しようとした朱猟を引き留めるように、手札のモンスター効果を発動する白神。それによって出現する透き通った体を持ったタコのモンスターが触手をうねらせる。

「スノーピオスの効果……。スターヴ・ヴェノムがフィールドを離れる時に……除外、だ」

「ハッ!直接の除去じゃねぇなら悪足搔きにもなりゃしねぇよ!後悔のままに死 ねや。
《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》で《海晶乙女コーラルアネモネ》を攻撃!」[攻7200]

 白神の展開が無意味である事を嘲笑すると共に放たれた攻撃宣言。朱猟の言葉に呼応するかのように、毒竜が勢いよく地を蹴り飛び上がった。涎を滴らせ、飢えを満たすべく振るわれた鋭い鉤爪が、身を守ろうとするコーラルアネモネに襲いかかる。

「僕は、あんたが……狂っている事を知っている……」

 破壊されたモンスターの破片が周囲へ飛び散る。飢えが満たされない毒竜は真なる獲物を捉え、毒液を纏った鋭い牙で噛みつこうと飛び掛かって行く。

「悲鳴をあげさせる為だけに……相手を陥れようとしている事も……」

「クヒャハハハハハ!!死んだってママには会えねぇぞ!?
てめぇが行くのは、天国でも地獄でもねぇ……データのゴミ箱なんだからなぁ!!!」



 朱猟の笑い声が響く中、毒牙が白神の首元へと喰らいつく。

 一拍の間すら空けず、嚙みつく力のままに頭を振りぬく毒竜が、白神の首を嚙み千切った……。


「クヒャハハハハハハ!!


…………あぁ?」

 留まることなく響き渡る朱猟の狂った笑い声。しかし、朱猟が待ち望む悲鳴も絶叫も聞こえて来ない。ましては、白神の周囲に飛び散るのは、スターヴ・ヴェノムが宿す毒液のみで、彼の血や肉片などは一抹も飛び散っていないのだ。

「言ったはずだ……。
あんたなんかに負けてやらないって……。
ダメージ計算時に……《クリボー》を捨てて、1度だけ戦闘ダメージを、0にする」
手札:2枚→1枚

 白神の首元は白いオーラで守られており、それが薄れると背後より茶色い毛並みにくりくりとした大きな瞳を持ったモンスターがひょこっと現れた。

「ほぉん……やるじゃねぇか!まだ足搔いて俺様を喜ばしてくれる訳だ?
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》で《ゴーティスの陰影スノーピオス》を攻撃だ」[攻3500]

 薄っすらと笑みを浮かべたまま2度目の攻撃宣言を行う朱猟。翼を広げた黒竜の鋭い逆鱗が瞬く間にスノーピオスの体を射抜き、破壊する。

「気に入ったぜクソガキィ。本当の手詰まり、死の間際でてめぇがどんな声聞かせてくれるか……より楽しみになって来たってもんだ……!
俺はカードを2枚セットしてターンエンド!」
手札:2枚→0枚


朱猟ーLP:2200
手札:0枚


 [ターン4]


「僕のターン……ドロー」
手札:1枚→2枚

 デッキからドローした白神が空中へ左手を翳す。すると、虚空に2つの波紋が広がり、小さな骨だけの魚とクリオネ型のモンスターが現れ、ゆらゆらと泳ぎ始める。

「スタンバイフェイズ……。
除外されていた《ゴーティスの朧キーフ》と《ゴーティスの妖精シフ》の効果により、それぞれを特殊召喚だ……。[守1500][守500]

そのまま、メインフェイズ。水属性が居る時……手札から《アビス・シャーク》の効果発動。
自身を特殊召喚し、レベル4の魚族……《揺海魚デッドリーフ》をサーチする」[守700]
手札:2枚→1枚→2枚

 《アビス・シャーク》の出現と共に、デッキから飛び出したカードをそのままデュエルディスクへと叩きつける白神。その召喚により、フィールドへ青い目を揺らす骨だけの魚が浮上した。

「《揺海魚デッドリーフ》を召喚……。その効果で、デッキから《フィッシュボーグ-ランチャー》を墓地へ……送る」[攻1500]
手札:2枚→1枚

 懸命に展開を続ける白神が、痙攣し始めた指先で2体のモンスターを掴み取る。限界が近づいている事を予感し、とにかく眼前の狂人を打ち倒すべく……ただひたすらにデュエルを続けているのだ。

「レベル4《揺海魚デッドリーフ》に……レベル2《ゴーティスの妖精シフ》で、チューニング。
シンクロ……召喚。

来い、《白闘気砂滑》」[攻2000]

 滑り込むようにフィールドへと現れる鯨を彷彿とさせる丸みを帯びた体。しかし、その大きさはイルカの様であり、真っ白な体がうねれば大きな水飛沫が起こる。

「ポーポイズの、効果発動。墓地からレベル4以下の魚族である……《ゴーティスの妖精シフ》を特殊召喚する」[守500]

 巻き起こった水飛沫に誘発され、《ゴーティスの妖精シフ》もフィールドへ打ち上がる。ぱたぱたと翼を羽ばたかせるように翼足を動かすクリオネが、再び2つの緑の円陣へ姿を変えた。

「レベル5《アビス・シャーク》、レベル2《ゴーティスの朧キーフ》に……レベル2の《ゴーティスの妖精シフ》をチューニング。
シンクロ召喚……。

……来い、《飢鰐竜アーケティス》」[攻1500]

 地面から水飛沫と共に勢い良く飛び出すのは、巨大な鰐を彷彿とさせる海洋類。外敵を威嚇する様に鋭い鱗を備え、獲物を喰らわんと大きく吠える。

「アーケティスのシンクロ召喚時、効果発動。チューナー以外の素材だけ……カードをドロー」
手札:1枚→3枚

 引き込んだカードをチラリと確認した白神。すぐさま引いた2枚を右手へ渡すと、再びデッキトップへと左手の指先を重ねる。

「墓地の《フィッシュボーグ-プランター》効果発動。デッキトップを墓地へ、送り……水属性なら蘇生出来る。デッキトップは……水属性の《鰤っ子姫》。よって、プランターを特殊召喚。
さらに、墓地に……水属性しか居ない事で、《フィッシュボーグ-ランチャー》も墓地から特殊召喚だ……」[守200][守100]

 花を咲かせた水槽と、昆虫を収める水槽をそれぞれ備えた2体の機械がフィールドへと飛び出す。

「レベル6の……《白闘気砂滑》に、レベル1《フィッシュボーグ-ランチャー》を……チューニング。
シンクロ召喚。

来い……《白闘気一角》」[攻2500]

 ポーポイズがランチャーの作り出した緑の円陣を潜り抜け、地面へと水飛沫をあげながら潜る。入れ替わる様に現れたのは、巨大な角を備えた真っ白なイッカクだ。

「シンクロ……召喚時、墓地から魚族の《ゴーティスの妖精シフ》を特殊召喚……!」[守500]

 モノケロスの鳴き声に呼ばれ、水面より再びシフが飛び上がる。呼び出したシフと2体のモンスターをディスクから白神が取り上げれば、クリオネが2つの円陣を紡ぎ出す。

「レベル7……《白闘気一角》、レベル2《フィッシュボーグ-プランター》に、レベル2の《ゴーティスの妖精シフ》を、チューニング……!」

 地面に波紋を残しながら、水中へと潜行した3体の素材モンスター達。突如、広がっていく波紋の動きがピタリと止まる。

「レベル11……デカブツが来やがるなぁ!」

「シンクロ召喚。

来い、《氷結界の還零龍 トリシューラ》!」[攻2700]

 白神の背後より突き抜ける凍てつく冷気。瞬く間に床が凍ると、悍ましい赤い線を体中に走らせた三ツ首の極寒の龍が氷上に足を着け顕現する。

「トリシューラの効果発動。シンクロ召喚成功時、相手フィールドのカード3枚を……除外する事が出来る。
チェーンが……ないなら、あんたの《スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン》と……2枚の伏せカードを除外させてもらう」

 狙いをつけた三つ首の龍の口元へと冷気が集まっていく。その効果発動を受け、朱猟もまたデュエルディスクを叩き反撃に出る。

「チェーンするに決まってんだろうが!罠発動、《捕食植物蘇生》!
俺様の墓地から捕食植物1体を特殊召喚させてもらうぜ。蘇れ、《捕食植物セファロタスネイル》」[攻1300]

 朱猟のフィールドに小さな蕾が芽吹く。それは瞬く間に成長し、毒々しい袋型の人喰い植物へと変貌するのだ。

「攻撃表示のこいつは戦闘破壊されず、戦闘ダメージを半減させる効果を持つ!
さぁて、このターンで俺様を殺せんのかよ?」

 挑発的な構えを崩さない朱猟。冷たく鋭い白神の視線が、セファロタスネイルに向けられると、トリシューラの口元に氷弾が形成された。

「この効果は対象を取らない効果……。あんたが効果を使ったなら、発動した伏せカードへの狙いをセファロタスネイルに変えれば良いだけだよ……」

「……あぁ!?」

「やれ、トリシューラ……!」

 白神が声を振り絞り言い放つ。その瞬間に放たれた3つの氷弾が、朱猟のフィールドの伏せカードと芽吹いたばかりのセファロタス。そして、毒竜を捉え、着弾と共に真っ白な冷気を帯びた白い煙が閉鎖空間内を満たし、一気に空間内の温度を下げる。

「クク……クハハ!
やってくれるじゃねぇかクソガキィ!!?」

 氷の粒子を纏った煙が晴れれば、標的となった3枚は凍りついており、朱猟の笑い声と共に崩壊し砕け散っていく。

「スターヴ・ヴェノムは、破壊しなければ……除去効果は発動しない……」

「だがなぁ!俺様のダーク・リベリオンを倒すには、てめぇのモンスター共の攻撃力じゃ足りねぇんだよ!たとえ、墓地の魚で500ぽっち強化しようとも、こっちのドロソ・フィルムヒドラで相殺されるから意味ねぇんだわ!」

 薄ら笑いを浮かべながら朱猟が、残されたダーク・リベリオンの背後で吠える。白神は、その不愉快な喚き声によって頭に痛みが走り、表情を歪めながらも呆れたように手札2枚を墓地へと送り込む。

「ぐ……。
それさ、本気で言ってんの……?
手札2枚を捨てて、《飢鰐竜アーケティス》の効果、発動。あんたの《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を対象に、破壊する」
手札:3枚→1枚

「なにぃ……?」

 素早く遊泳し黒竜の傍まで近づくアーケティス。巨大な口を大きく広げたかと思うと、朱猟の目の前で黒竜に喰らいつき破壊する。

「この、瞬間……墓地へ送られた《ブライニグル》の効果。
トリシューラを対象に、攻撃力を……ターン終了時まで1000アップだ」[攻3700]

 凍てつく冷気を漂わせるトリシューラの足元から、真っ白の氷が地面そのものを凍らせる。その極寒の冷気は、朱猟の足にまで及び、狂人が逃げ出すのを完全に封じた。

「1000の上昇……オイオイ、足まで凍らされちまったら冷てぇだろうが」

「蔦のお返しさ……。
これで、あんたが墓地のドロソフィルム・ヒドラの効果を使ったとしても……デッドラインは、免れない……。
ぐぅ……」

 そこまで言い終えた白神はふらつくと、頭を押さえながら膝をつく。空間内が急激に冷却された事で、血管が収縮し響く痛み。荒い呼吸で冷たい空気を吸い込みながら、今一度眼前の敵を見据える。
 狂人の口角は歪に持ち上がったままだ。今にも倒れそうな状況でここまでの展開に持ち込んだ。相手は手札とフィールドに何もない。墓地のカードは既に全て確認し、《捕食植物ドロソフィルム・ヒドラ》以外に発動が可能なカードはない。このまま、トリシューラで攻撃されれば確実に死ぬというのに……。

 何がそんなに可笑しいのか?

「クク、まさか……ここまでやってくれるたぁ思わなかったぜ?
どうやら俺様の負けみてぇだな。クハハハ!負けるなんざいつぶりだよ、オォイ!?」

「はぁ……はぁ……」

 狂人は自身のデュエルディスクの裏側を、何かを確かめる様に指でなぞりながら自嘲的にそう口にする。こいつは気が狂っている。他人の痛みなど気にする事無く、挙句は心さえも抉り取ろうとして来るのだ。そんなおかしな人間だから、自分が死ぬ瞬間だろうとも、正常な反応を見せるはずがない。

「(クソ、考えても仕方ない……。ここまで来て倒れでもしたら、それこそ本末転倒じゃないか……)
バトル……フェイズ……」
 
 白神の肉体はとうに限界を超え、今すぐにでも床に倒れてしまいそうだった。だが、倒れる前に目の前で不吉な笑みを浮かべる男は、倒しておかなければならない。無差別に害意を振りまく狂人から、自分自身の身を守る為……ついでに他者の安全の為に……。

「終わりだ……。
《氷結界の還零龍 トリシューラ》で、ダイレクト……アタック……!」[攻3700]

 攻撃宣言によって、トリシューラが黄色い眼を光らせながら咆哮をあげた。効果発動時と同様に、三つ首それぞれが口元へと冷気を集中させ氷塊を作り出していく。先程よりも、より鋭く、より冷たく……殺傷力の高い真っ白な槍のような氷塊がゆっくりと生成されて行くのだ。

「クク……クハハ……!
負けはするがよぉ……勝ち逃げさせる訳にはいかねぇよなぁ!!!」

「……!」

 朱猟は右手を翳しながら、そう声高に叫ぶ。警戒を強める白神は今一度気を引き締め、朱猟の行動に注力する。

 しかし……その瞬間に放たれた氷結の槍が、翳された朱猟の右腕に真っすぐ突き刺さりそのまま肩まで貫通し弾ける。

「ガァッ……!!?」

 悶絶の声を落とし、広がった真っ白な冷気が朱猟の姿を覆い隠す。しかし、弾けた肉片と大量の血が飛び散った事で、朱猟が攻撃を防いだ訳ではない事を白神は悟った。

「はぁ……はぁ……」

 苦痛に喘ぐ肉体が安らぎを求め、自然と視線が眼前から足元へと落ちた。やり切ったという脱力感から両腕の力が抜けていくのを感じながらも、確かな手応えを覚えた白神が、警戒を解き息をふぅーっと吐き切っていく。
 その視界の端で、赤い何かが滴っている。

「……あ?
……ぐ……ぁ、ぁぁああああ!!!?」

 白神は意図せずして声を……否、絶叫をあげた。
 右掌の中心から肩に向かって一直線の風穴が空けられており、まるで花でも咲いたかのように腕が縦に割けてしまっている。当然、そこからはどくどくと大量の血が流れ落ち、白神の意識は飛びかける。

「グヒャハバァハハハハハハ!!!
いてぇだろぉ!?なぁ!?いてぇだろうがぁ!!!」

 飛びかけた意識は、前方から轟くまごうことなき狂った笑い声で引き戻された。どこを押さえるべきかも分からず、懸命に割けた右腕をまとめて押さえて呻く白神の前方には、白神と同じように右腕が割けぼたぼたと血を流しながらも勝ち誇ったかのような笑みを浮かべる朱猟の姿があった。

「ふぅ……ぐぅ……お前……なん、で……」

 自分自身も狂人と同じように腕が割けてしまっている。だからこそ、なおさら理解の追いつかない白神の傍で、攻撃対象を追撃しようと還零龍が咆哮と共に氷を蹴り飛び上がった。

「人殺しがよぉ!人を呪わば穴2つって言うだろうが!
俺が殺されんなら、てめぇも巻き添えなんだよ!」

「ぐ……ふざ、……け……」

「クビャハハ!!!
勝ったと思っただろ!?戦況の読めてねぇバカを殺せると思っただろ!?
あぁ、その通りだ!だがな、てめぇも死ぬんだよ!てめぇの除外した《狂痛化》の効果が適用されてる以上なぁあああ!!!」

「は……ぐぁ……」

 痛みで床を眺める事しか出来ないでいた白神。この意味不明な状況を必死に理解しようと、痛みと痛みが重なり合う脳内を巡らせる。

「(除外……伏せカード……)」

 脳裏で過ったのは、つい先程《氷結界の還零龍 トリシューラ》の効果で除外した3枚の内の1枚。発動される事も無く消え去った1枚の伏せカードの存在に白神は気づいた。

「ぐ……ぅ……」

 白神は割けた右腕を庇うのを止め、左手でデュエルディスクを操作すると共に、朱猟の除外されたカードを確認する。この状況に陥ってしまった原因を探る事……。何よりも、1人のデュエリストとして……何をされたのかを理解したかった……。

 =====
《狂痛化》 通常罠
このカード名の①の効果は1ターンに1度しか発動できない。
①:相手ターンに、以下の効果から1つを選択して発動できる。●このターン、自分が受ける全てのダメージは半分になり、ダメージはお互いのプレイヤーが受ける。●自分LPが相手LPよりも少ない場合に発動できる。このターン、自分が受ける戦闘ダメージは倍になり、ダメージはお互いのプレイヤーが受ける。
②:セットされているこのカードが相手の効果でフィールドから離れ、墓地へ送られた場合または除外されたターン、自分が受ける戦闘ダメージはお互いのプレイヤーが受ける。
 =====

「く…………そぉ……ぐぅぅ……」

 発動を介さず、除去された時にのみ適用される受動的な罠。朱猟がこのカードを発動さえすれば、まず間違いなく次のターンまで繋げたはずである。だが、この男は敢えて発動せず除外を許した。狂人にとって、デュエルの勝利など最初から意味を持たなかった……。たとえ自分が死ぬ事になろうとも、より最適な方法で白神に絶望を与え、その果てにある悲鳴を追い求めているだけなのだ……。
 後悔など、痛みによって一瞬で塗りつぶされた。うずくまる白神に対して、遠くから朱猟が心底楽しそうに嘲笑う声が響く。

「そら!人様にてめぇがどんな残酷な事しようとしてたか噛み締めろや!そんで、後悔と絶望の果てに最高の悲鳴……を、ガッぁ!?」

「ウっ!?ご、ぁ……!?」

 白神が感じたのは凄まじい衝撃と、腹部が引き裂かれる感覚。衝撃のままに弾き飛ばされ、身体が背後のシャッターへと叩き付けられる。
 ガシャンとシャッターの揺れる音が、段々とスローモーションの様に響き始める。白神は自分の身に起きている出来事を、とてもゆっくりと感じ取っていた。訪れているであろう確実な痛みさえも、既に知覚出来ていない。朦朧とする意識の中、左手は傷口を抑えるでもなくパーカーのポケットの中へと伸びる。溢れ出ているであろう血の海を掻き分け、必死に探し出す。

 そこにある1枚のカードを、手にする為。

「グギャヒァ”ヤ”ハ”ハッァ”ァ”ァ”……げぁ……

「ぁ……が…………ぶ……

 ぐしゃりという音だけが耳に届いた。
 凄まじい力で何かが潰される。
 視界の半分が潰えるとすぐに何も見えなくなった。
 
 間に合ったかなど……分からない。
 願わくば、こんな苦しみ……今も脱出を夢見る彼女には味あわせたくはない。
 

朱猟LP2200→0

白神LP3500→0


 トリシューラの凍てつく咆哮が閉鎖空間内を満たすと共に、アナウンスがデュエルの終結を告知する。


ピーーー


「朱猟様、白神様共にライフが0になりました。本デュエルは引き分けです。」

 もたれ掛かっていたシャッターが持ち上がる事で、2つが後ろへと倒れる。
 右腕が割け、腹を引き裂かれ、顔の左半分とそこへ続くように左上半身が潰された2つ。そこから流れ落ちる新鮮な血液が、床に触れると瞬時に凍り付く。生気の断絶を告げるように、白い霜が赤い血の表面を覆い尽くしていくのだ……。
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グレイ
アリスといい白神といい最期まで梨沙の事想ってくれてるいい人に囲まれてるや (2025-05-10 18:58)
ランペル
グレイさん閲覧及びコメントありがとうございます!

最期の瞬間まで梨沙が想われるのも、彼女がこの実験においては異質に映る程に優しさを周りへ与えて来たからでしょうね。
いい人程すぐ逝ってしまうんや…(元凶) (2025-05-10 21:45)
ヒラーズ
お久しぶりです。
ゴーティスvs捕食植物という、環境で暴れまくったカテゴリ同士の勝負は燃えますね。
ですが、いい人ほど、先逝くものです。
引き分けになってしまい、両者命尽きるとは切なき事…。 (2025-05-11 22:28)

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