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HOME > 遊戯王SS一覧 > Report#13「殺意の獣」

Report#13「殺意の獣」 作:ランペル

ピー
「先行は裏野様、後攻は桃谷様になります。」


 [ターン1]


「私は後攻か…」

桃谷さんが表情を変えず、呟く。

「私の先行です…。
私は、メインフェイズ1開始時に手札から《大熱波》を発動します」
手札:5枚→4枚

発動するとオレンジの熱気がフィールドを駆け巡り、フィールドを漂う空気を赤く染める。

「次の私のドローフェイズまで、お互いに効果モンスターの召喚・特殊召喚と特殊召喚が出来なくなりました」

「は?なにそれ…それじゃ梨沙さんも何も出来ないでしょ…?」

桃谷さんがこちらを睨みつけてくる。

「そうですね。でも、モンスターのセットは出来ます。
モンスターとカードを1枚伏せて、ターンエンドです」
手札:4枚→2枚



梨沙-LP:8000
手札:2枚


 [ターン2]


「遅延系?モンスター伏せるだけで何がしたいの…?」

彼女はどうにもこちらのターンが不可解だったようで、愚痴をこぼしている。

「ドロー、《魔玩具補綴》発動。デッキから《融合》とエッジインプモンスターの2枚を手札に加える。私は、《融合》と《エッジインプ・サイズ》を手札に。
手札:5枚→6枚→7枚

召喚できないんじゃやることないよ…。モンスターとカードを1枚伏せてターンエンド」
手札:7枚→5枚

不機嫌そうにカードをデュエルディスクへと伏せ、ターンエンドが宣言される。



桃谷-LP:8000
手札:6枚


 [ターン3]


「(融合…)私のターン、ドロー」
手札:2枚→3枚

ドローを終えると、辺りを覆っていた赤い熱気が薄れていく。

「反転召喚。《ゴーストリック・マミー》」

マミーが反転召喚と共に、地面から這い出して来る。

「手札から《ゴーストリック・スケルトン》を召喚します」

スケルトンがくるくる回りカタカタ音を響かせながらフィールドへと降りてくる。

「私はレベル3のマミーとスケルトンでオーバレイネットワークを構築。
エクシーズ召喚!

来て、ランク3《ゴーストリック・アルカード》」[攻1800]

地面から黒い靄が現れそこから、十字架の刻まれた棺桶がフィールドへと出現する。

「エクシーズねぇ…」

彼女は手札を確認しながら、こちらのフィールドを睨みつけてきている。

「まだです。アルカードに重ねてオーバーレイユニットを再構築します!
エクシーズチェンジ!

来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》」[攻2000]

エクシーズ召喚の爆発と共に、駄天使がウィンクしながら可愛くフィールドへと舞い降りた。

「無条件のランクアップ!?」

「このカードはゴーストリックエクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚が出来ます」

「ランクアップはやばいんだよ。召喚もしたし、使うよ。
手札の《エッジインプ・サイズ》を相手に見せて効果発動!」

「さっき手札に加えてたカード…!」

「手札とフィールドからこのカードを含むモンスターを素材にデストーイ融合モンスターを融合召喚できる。
私は、《エッジインプ・サイズ》と手札の《ファーニマル・ペンギン》で融合する。
融合召喚!

切り裂け、《デストーイ・クルーエル・ホエール》!」
手札:5枚→3枚

フィールドへとふわふわしたシャチのモンスターが現れる。

「(あ、かわいい…)」

不覚にもそう思ったのも束の間、上空から三枚の刃がそのシャチへと降り注ぎ、シャチの体を無残にも引き裂いてしまう。
横たわったシャチの体へシャチを切り裂いた刃が入り込み、切断面を刃でつなぎ合わせ、一つの異形を生み出した。

「なんて不気味なモンスター…」

どこか既視感を感じるそのモンスターは、こちらへ唸り声を向ける。

「融合召喚時に効果。互いのフィールドのカード1枚を選んで破壊する。
梨沙さんのそのエクシーズと、私のセットモンスター《ファーニマル・ウィング》を破壊するよ。さらに、融合素材になったペンギンの効果でデッキから2枚ドローして1枚捨てる。
…手札の《ファーニマル・ドルフィン》を捨てる」
手札:3枚→4枚

手札を捨てると共にシャチは己の尾と化した刃を駄天使へと放つ。
放たれた刃を前に駄天使は呆気なく切断され、破壊される。
駄天使を切り裂いた、刃はブーメランのように戻っていきセットモンスターへ突き刺さり破壊した。

「何するつもりかは知らないけど、もう梨沙さんは召喚は終わって、エクシーズも破壊されちゃったよね。これで、後はターンエンドになるかな?」

「罠発動です《ゴーストリック・ブレイク》!」

「うげ…何するつもり!?」

「ゴーストリック1体が戦闘・効果で破壊された時に墓地のゴーストリック2体を裏側守備表示で特殊召喚できます。墓地から《ゴーストリック・マミー》と《ゴーストリック・アルカード》を蘇生します。
加えて、アルカードが墓地へと送られたことで、墓地のゴーストリックカード…《ゴーストリックの駄天使》を手札へと加えます」

「でも、裏側の蘇生ならエクシーズは出来ないはず。今度こそターンエンドだね」

「いえ、私が召喚した《ゴーストリック・スケルトン》は、《ゴーストリック・マミー》の効果で増えていた召喚権で召喚しています。なので、まだ私には召喚権が残ってます」

「な、なにそれ!?」

「《魔界発現世行きデスガイド》召喚」
手札:2枚→1枚

黒色のバスのようなものが、フィールドへと現れそこから赤髪のツインテールの女の子が降りてくる。

「デスガイドが召喚成功時に、デッキからレベル3の悪魔族1体を特殊召喚できます。私はデッキから《魔サイの戦士》を特殊召喚します」

デスガイドが笛を吹くと、バスからサイの顔を持った獣人が槍を手に降りてくる。

「レベル3が2体…!?またエクシーズされるじゃんか!!」

「私はレベル3のデスガイドと《魔サイの戦士》でオーバレイネットワークを構築。
エクシーズ召喚!

もう一度、ランク3《ゴーストリック・アルカード》」[攻1800]

黒い靄がフィールドへと現れ、そこへ2匹のコウモリと共にアルカードが現れる。

「アルカードの効果です。オーバーレイユニットを1つ取り除いて、フィールドのセットカード1枚を破壊します」

「《大熱波》で伏せさせておいて破壊ね…でも残念」

アルカードがマントを広げると中からコウモリが現れ、伏せカードへと向かって行き伏せカードを破壊して消えていく。

「破壊されたのは、《トイポッド》。このカードは墓地へ送られた場合にデッキからファーニマルか《エッジインプ・シザー》のサーチが出来るから、《エッジインプ・シザー》を手札に加えさせてもらうわね」
手札:4枚→5枚

「伏せはブラフだったんですね…。
墓地へ送られた《魔サイの戦士》の効果でデッキから悪魔族の《ゴーストリック・フロスト》を墓地へ送ります。
そして、再びアルカードでオーバーレイネットワークを再構築。
エクシーズチェンジ!

来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》」[守2500]

再びフィールドへと舞い降りた駄天使は継ぎ接ぎのハートを抱きしめて目を瞑ってふわふわと浮かんでいる。

「ん?守備表示?」

「駄天使の効果を使います。1ターンに1度、手札のゴーストリックカードをオーバーレイユニットに補充します。手札の《ゴーストリック・リフォーム》をオーバーレイユニットに」
手札:1枚→0枚

手札を素材に追加すると、駄天使の周りをくるくると回る小さな継ぎ接ぎハートの数が1つ増えた。

「守備表示??守備表示ってことは攻撃されない訳だよね。あー守りを固めてるのね…」

そう言ってふふふと笑う桃谷さんは、どこか安心しているような見下しているようなそんな雰囲気が感じられる。

「駄天使の更なる効果です。オーバーレイユニットを1つ取り除いて、デッキからゴーストリック魔法・罠のサーチが出来ます。
私は、《ゴーストリック・ハウス》を手札に」
手札:0枚→1枚

駄天使が小さなハートをくるくると回し、カードに変えて私へと渡してくれる。

「そして、墓地へと送られた《ゴーストリック・リフォーム》を除外して効果発動!ゴーストリックエクシーズに重ねて、別のゴーストリックをエクシーズ召喚できます。
私はランク4の《ゴーストリックの駄天使》でオーバーレイネットワークを再構築!
ゴーストリックチェンジ!

来て、ランク1《ゴーストリック・デュラハン》!」[攻1200]

梨沙の後ろから、デュラハンが梨沙を飛び越えてフィールドへと現れる。

「え!?攻撃表示?守りを固めるんじゃないの…!?」

「(さっきから、やけに攻撃表示に反応している…。何をそんなに焦ってるんだろう…)
桃谷さんは何にそんなに怯えてるんですか?」

そう問いかけると、彼女はなんとも忌々しそうにこちらを睨みつけ言い放つ。

「は?怯えてる…?誰が???いいからさっさとデュエル続けなさいよ!」

彼女から仕掛けてきたデュエルだというのにどうにも情緒が不安定だ。

「…安心していいですよ。私は守りを固めるだけですから。デュラハンを素材にオーバーレイネットワークを再構築。
エクシーズチェンジ!

三度、ランク4《ゴーストリックの駄天使》」[守2500]

「へ?またそのモンスター?」

「駄天使の効果です。オーバーレイユニットを取り除いて、《ゴーストリック・アウト》を手札に加えます。さらに、墓地へ送られたデュラハンの効果で、墓地の《ゴーストリック・フロスト》を手札に。
手札:1枚→2枚→3枚

フィールド魔法、《ゴーストリック・ハウス》を発動です」
手札:3枚→2枚

梨沙の背後へ、大きなゴーストリックのお屋敷が出現する。

「ハウスの効果で、互いに相手フィールドの裏側モンスターに攻撃できず、裏側モンスターしか存在しない場合は、攻撃が直接攻撃になります。さらに、私が受けるすべての効果ダメージと、ゴーストリック以外の戦闘ダメージは半分になります。
最後に、カードを1枚伏せてターンエンドです」
手札:2枚→1枚



梨沙-LP:8000
手札:1枚


 [ターン4]


「え、エンド?」

「はい、私はこれでターンエンドです」

「あんだけ動いて?」

「さっきからなんですか?このデュエルは桃谷さんから始めたのに、気分の浮き沈みが激しいじゃないですか」

「あはは、そりゃそうでしょ。私は梨沙さんを殺しに来たんだから、逆を言えば殺されるかもしれない。
その相手が訳の分からない遅延カード使って、攻撃できるようになったターンで展開を始めたんだから、ワンキルを警戒しなきゃでしょ。
私はさっきの《エッジインプ・サイズ》しか妨害がなかったんだから…」

さっきまでの動揺の原因が判明したが、今の桃谷さんは先程までと打って変わって上機嫌だ。

「確かに私はターンエンドしましたが、デュエルの決着がついた訳ではないですよね?」

「ううん、もう決着はついてる!
私が展開出来て、私が攻撃できるターンが渡った時点でね!!!」

「な!?」

「蓋を開けてみたらワンキルも出来ないようなデッキなんだね。そんなんでここを生き残れると思ってるの?
というか、なんで梨沙さんのレベルで、いきなりクラスⅢに入れて貰えたんだろうね?見せしめ?
まぁ私としては、リスクが減ってばんばんざいだけどね!
私のターン!ドロー!」
手札:5枚→6枚

「桃谷さん…私もなんでこんな所に居るのか分かりません…。
桃谷さんはなんでクラスⅢ?になりたいんですか…?」

彼女の目的は何か、話し合いでまだ解決できることはないだろうか。その希望にかけて問いかけると彼女は露骨に不快感を露わにし、こちらをキッと睨んだ。

「何も知らないからってムカつくね…。でも、その方が好都合だから我慢してあげる。もう梨沙さんと喋れるのも最後だし。
手札から《ファーニマル・ドッグ》を召喚」
手札:6枚→5枚

彼女はそう言ってデュエルを再開してしまった。私を殺すための作業を始めたのだ。
一旦和解などという選択肢は捨てて、デュエルに集中しよう。万が一の事も考えて、覚悟を決めないといけない。
負けてしまえば、それまでなのだから…。

「ドッグの召喚時にデッキから《ファーニマル・ベア》を手札に加える」
手札:5枚→6枚

フィールドへぬいぐるみのような犬が走り込んでくる。

「《ファーニマル・ベア》の効果で、自身を手札から捨てて、デッキから《トイポッド》をフィールドにセットする。
手札:6枚→5枚

そして、即発動。墓地から《ファーニマル・ウィング》の効果発動。自分フィールドに《トイポッド》が存在する場合に、墓地のこのカードと《ファーニマル・ベア》を除外して1枚ドロー出来る。
手札:5枚→6枚

さーらに!《トイポッド》を墓地へと送ることで、デッキからもう1枚ドローが出来る」
手札:6枚→7枚

「(一気に手札が…)」

「《トイポッド》が墓地へと送られた事で、デッキから《ファーニマル・ペンギン》を手札に加える。
手札:7枚→8枚

さぁーて、そっちにたくさんカードがあるみたいだけど。それも全部なくなっちゃえば、梨沙さんを守る術はなくなるよね?」

「ど、どういうこと…?」

「教えてあげるね。梨沙さんがここに居るのがふさわしくないってことを!!
《融合》を発動!フィールドの《ファーニマル・ドッグ》、手札の《ファーニマル・ペンギン》《ファーニマル・キャット》《ファーニマル・オウル》《エッジインプ・シザー》の5体で融合する!
融合召喚…!

切り裂け、《デストーイ・シザー・タイガー》!」[攻2500]
手札:8枚→3枚

不気味な笑い声と共に、虎のぬいぐるみのような異形が姿を現す。

「そ、そのモンスターは…!?」

明らかに見覚えのあるそれは、先ほどまで梨沙たちが追われ、ここへと戻ることになったきっかけの異形だった。

「見覚えあるよね?純粋な人だったら、私の事助けてくれるかなと思ってやったんだけどさ…。
梨沙さんがとぉ~っても優しかったおかげで、安全にここまで来ることが出来たよ。ありがとうね」

そう言った彼女は歪んだ笑顔を私へと向けてきた。

「桃谷さん…」

「お礼に少しでも苦しまないように殺してあげる。
《デストーイ・シザー・タイガー》が融合召喚成功時に効果発動!融合召喚の素材に使用したモンスターの数まで、フィールドのカードを対象に破壊できる!」

「素材の数だけ破壊ですか…」

「そ!素材に使ったのは5体のモンスター。梨沙さんのフィールドのカードも全部で5枚。ぴったりだね!私は全部のカードを対象に取るよ。
おまけに、素材に使った《ファーニマル・ペンギン》と《ファーニマル・キャット》の効果も使っとくね~」

お腹を切り裂いた鋏を大きく開きながら、異形がこちらへと駆け寄って来る。

「させません…!罠発動《ゴーストリック・アウト》!」

「さっきサーチしてたやつ…なにそれ」

「手札の《ゴーストリック・フロスト》を相手に見せて発動できます。このターン、自分のゴーストリックカード及び裏側守備表示モンスターは相手の効果の対象にならず、相手の効果で破壊されません」

「破壊耐性…!?めんどくさい事してくれるじゃん」

異形が鋏でフィールドのカードを切り裂こうとするが、黒い靄が梨沙のフィールドを包み込む。異形は鋏で切断したが、そこには何もなくなっていた。

「キャットの効果で墓地の《融合》を手札に。ペンギンの効果で2枚ドローして…《ファーニマル・ドッグ》を捨てるよ。
手札:3枚→4枚→5枚

梨沙さんあがいても無駄なんだよ?フィールド魔法でライフが実質16000あっても意味ないんだよ。上から蓋してあげるから。
《魔玩具補綴》発動。デッキから《融合》、《エッジインプ・チェーン》手札に加える」
手札:5枚→6枚

フィールド魔法をアウトの耐性をすり抜ける方法でどかされない限りは、彼女の言うように私のライフは実質16000ある。そのライフをこのターンで削りきるつもりなのだろうか…?

「《融合》はつどう!《エッジインプ・チェーン》と《ファーニマル・オクト》で融合。
融合召喚!

刻め!《デストーイ・ハーケン・クラーケン》!」[攻3100]
手札:6枚→3枚

フィールドへ触腕に巨大な刃を備えたイカのぬいぐるみのような異形が姿を現す。

「墓地に行った《エッジインプ・チェーン》の効果でデッキから《魔玩具融合》を手札に加えて、オクトの効果で除外されてる《ファーニマル・ウィング》とベアを墓地へ戻す。
手札:3枚→4枚

ここで、《デストーイ・クルーエル・ホエール》の効果も発動!
エクストラから《デストーイ・チェーン・シープ》を墓地へと送って、ハーケン・クラーケンの攻撃力を自身の元の攻撃力の半分アップさせる!」[攻4200]

「攻撃力…4200…」

「まだ終わってあげないよ。確実に殺してあげないと梨沙さんが可哀そうだから。
《融合》発動。《デストーイ・クルーエル・ホエール》と《ファーニマル・シープ》で融合…。
融合召喚!

切り裂け、《デストーイ・サーベル・タイガー》!」[攻3700]
手札:4枚→2枚

今度は体を大きなサーベルで一突きにされた先ほどとは色の違う虎の異形がフィールドへと現れた。

「サーベル・タイガーが融合召喚成功時に、墓地からデストーイ1体を蘇生できる。私は墓地から《デストーイ・クルーエル・ホエール》を蘇らせる」[攻4200]

「(モンスターが増える度に、モンスター達の攻撃力が上がってる…?)」

「《魔玩具融合》発動。フィールド・墓地からモンスターを除外してデストーイ融合モンスターを融合召喚する!《エッジインプ・チェーン》と《ファーニマル・ドッグ》を除外して融合…。
融合召喚!

弾けろ、《デストーイ・デアデビル》!」[攻4900]

赤を基調とした、ぬいぐるみの悪魔のようなモンスターがフォークのような武器を持って、じたばたしている。

「クルーエル・ホエールの効果は、同名制限がない。エクストラから《デストーイ・シザー・ウルフ》を墓地に送って、今度は《デストーイ・デアデビル》の攻撃力を自身の元の半分アップ。
よって、デアデビルの攻撃力は1500アップ!」[攻6400]

「攻撃力6400…!?」

「《デストーイ・シザー・タイガー》の効果で、私のデストーイはフィールドのファーニマル及びデストーイの数×300攻撃力がアップする。今フィールドには5体だから、全員が1500アップするよ。
さらにさらに、《デストーイ・サーベル・タイガー》の効果で全員攻撃力が400アップ!」

《デストーイ・シザー・タイガー》[攻3800]
《デストーイ・サーベル・タイガー》[攻4300]
《デストーイ・クルーエル・ホエール》[攻4500]
《デストーイ・ハーケン・クラーケン》[攻5200]
《デストーイ・デアデビル》[攻6400]

黄色いオーラで全体強化の入ったデストーイモンスター達の威圧感は凄まじいものだ。
その攻撃力からは疑いようのない殺意を感じ取れる…。

「さぁ梨沙さん?覚悟はいいかしら。
バトルフェイズに入る!
《デストーイ・シザー・タイガー》で、《ゴーストリックの駄天使》を攻撃!」[攻3800]

シザー・タイガーが駄天使へと近づき、お腹の巨大な鋏で駄天使を無残に切断する…。

「駄天使…。
墓地へ送られた《ゴーストリック・アルカード》の効果で、墓地から《ゴーストリック・スケルトン》を手札に加えます」

「今更、そんなモンスター手札に加えて何になるのかなぁ?
確か、そのフィールド魔法の効果で裏側しかいない時は直接攻撃になるんだよね?」

「はい、私が受けるダメージは半分になりますが」

「あれ、算数苦手なのかな?
《デストーイ・サーベル・タイガー》でダイレクトアタック」[攻4300]

サーベル・タイガーが刃をむき出しにこちらへと全速力で向かって来る。
今回のデュエルは、チュートリアルではない。つまり、ダメージはチュートリアルの比ではないものになるだろう…。
《ゴーストリック・ハウス》の効果でダメージが半減されるとは言え、2000近いダメージだ。
痛みで冷静さを欠くことだけは避けないといけない…。

既に目の前まで来ていたサーベル・タイガーを前に衝撃に備え奥歯を噛み締める。

「ぐ、うわぁぁぁぁ!!!」

梨沙LP8000→5850


タックルの衝撃と共に、口元の刃が梨沙の右腹部の肉を抉り取り、体を後ろへ吹き飛ばす。

「い、いたい……」

耐える事は出来たが、刃に抉り取られた腹部から出血している。
何とか傷口を手で押さえ立ち上がると前方から彼女の声が聞こえる。

「大丈夫、もうすぐ終わるからね。
《デストーイ・クルーエル・ホエール》でダイレクトアタック」[攻4500]

クルーエル・ホエールが尾をこちらへと振るうと3つの刃がこちらへと飛んでくる。

「(やばい…あれは生身で受けちゃだめだ…)」

咄嗟にデュエルディスクを付けている左腕でその攻撃を受け止めるが、抑えきれない衝撃で弾かれてしまい左の二の腕を刃が肉を削りながら掠める。

「…!!?ああああああああ」

梨沙:LP5850→3600


切れ味のよいその刃は私の肉を綺麗に3つに割いて、鮮血をあたりへ散らす。

「う…ぐぅ…」

今まで受けた事のない場所への大きな傷で、右腕で左腕を抑える。それに加えて腹部もズキズキと痛む。

「私ってそういう趣味はないんだけど…梨沙さんいい声してるよね」

桃谷さんは、私の様を見て不敵に微笑んでそう告げる。

「次は一番攻撃力が高いからもっと痛いかもね!
《デストーイ・デアデビル》でダイレクトアタック!」[攻6400]

「(ここ…?いや、さっきから攻撃力が低い順に攻撃してたのに…。
6400なら、ライフは残る………耐えなきゃ…きっとここが勝負の分かれ目になる)」

デアデビルが金切声をあげながら、フォークを持ちながらこちらへとどたばた走り込んでくる。

「(6400…3200…フォーク…)」

ふらふらと右往左往しながらこちらへ全速力で向かって来るデアデビルにどんな攻撃をされるのか予想し切れず、体が震え始める。

「(こわい…こわい…今使えば…)」

ダメージへの恐怖から自然と手が手札の1枚へと伸びていく。


「(ダメ…!
勘だけど、ここで残されているデアデビルより低い攻撃力のハーケン・クラーケンは効果をまだ何も使っていない…。
私がデアデビルに防御カードを使ったとしても、ハーケン・クラーケンが私を仕留める何かを持っているかもしれない…」

デアデビルの尻尾が梨沙の右手首を縛り上げ上空へと引き上げる。

「な、防げな…

焦って手札を地面に散らしてしまうが、それを気にする間もなくデアデビルの持つフォークが、勢いよく先程傷つけられた右腹部へ深く突き刺さる。

「が!?!????」

刺された瞬間は以外にも痛みをあまり感じなかった。
だが、デアデビルから解放され地面へ落ちた衝撃で、脳が刺されたことを認識したらしい。急激に右腹部が熱くなり、そこからだんだんと私が理解できる痛みに変わっていった…。

「あ、ぐぅ…」

右手で傷口を抑え右手に温もりを感じる。見ずとも、血まみれなのが分かる。

「…血みどろは私も見慣れてないよ…梨沙さん。もう終わるからね。
《デストーイ・ハーケン・クラーケン》でダイレクトアタックするよ」[攻5200]

地面へとうつ向いていた顔を相手フィールドへと向ける。
ハーケン・クラーケンが右の触腕の巨大な刃を私へ大きく振り上げるのが見えた。

「これでおしまい。さようなら、裏野梨沙さん」

血まみれの右手で床に散らばった手札から1枚を引き込み相手へ見せる。

「ごーす、トリック・ふろすとの…効果を使います…」

何とか声を振り絞り、効果の発動を宣言する。

「ここで効果発動…?」

「あいての…ちょくせつこうげきの時に…攻撃モンスターを裏側にして、このカードを裏側で………とくしゅ、召喚します」
手札:2枚→1枚

震える手で何とかデュエルディスクへ、《ゴーストリック・フロスト》を置く。
リアルソリッドビジョンの音がフィールド上で聞こえ、何もなければハーケン・クラーケンが裏側になったのだろうが、出血でめまいがしてきた私はフィールドに目を向けられない。

「足掻いてどうするの?すごく苦しいでしょ?梨沙さんのターンになっても、残りライフ400で何が出来るの?
《デストーイ・デアデビル》は相手によってフィールドを離れたら、墓地のデストーイの数×500ダメージを与える効果がある。私の墓地には最低でも2体のデストーイがいるから、デアデビルが除去されたら1500ダメージは確定」

回らない頭で、桃谷さんの言っている効果を無理やり頭に詰め込む。

「苦しむ時間は短い方がいいと思うよ。使っちゃったものは仕方ない、早くターンエンドしよ。私も人殺すのは早く終わらせたいし…」

そう言って、梨沙から目線を外す。


「もう…勝った、気、なんですね…」

俯いた梨沙の言葉に桃谷は驚いたように彼女を見遣る。

「え…?」

「まだ、ライフが残りました…。死ぬほど、痛いです。血が出て…たぶん貧血も…かな」

「ここから、どうやって私のライフを8000削るつもりなの?
デュエルが長引けば長引くほど、梨沙さんも血が出て頭が回らなくなる。こっちのフィールドを全破壊とかしようとしても、デアデビルの効果があるんだよ?」

「分かりません…けど…」

血だまりの中から、梨沙が桃谷へ視線を向ける。

「やってみないと…分かりませんから…」

「………策はなさそうだね…。引き次第?やれるもんならやってみてよ。
私はあなたを殺して、ここのフロア主になる…。絶対にね。
ターンエンド」



桃谷-LP:8000
手札:1枚

「(手札には…スケルトンのみ…次の引きで何か逆転の手を引き込まないと…
このまま死ぬことになる…)」
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15 Report#36「ノルマ達成目指して」 166 2 2023-11-10 -
15 Report#37「分断」 196 2 2023-11-15 -
29 Report#38「旅立ち」 237 0 2023-11-20 -
17 Report#39「幼き力」 191 2 2023-11-25 -
10 Report#40「囚われし者」 151 0 2023-11-30 -
16 Report#41「傍に居てくれるから」 214 2 2023-12-05 -
21 Report#42「どうして?」 228 1 2023-12-10 -
13 Report#43「拒絶」 142 0 2023-12-15 -
19 Report#44「不信」 182 2 2023-12-25 -
13 Report#45「夜更かし」 156 2 2024-01-05 -
10 Report#46「緊急回避」 147 0 2024-01-10 -
22 Report#47「狂気」 175 2 2024-01-20 -
12 Report#48「判断」 94 2 2024-01-30 -
25 Report#49「白化」 144 0 2024-02-10 -
23 Report#50「諦め切れない」 162 2 2024-02-20 -
16 Report#51「錯綜」 125 2 2024-03-01 -
17 Report#52「計画」 147 2 2024-03-05 -
19 Report#53「決意」 126 2 2024-03-10 -
14 Report#54「抜け道」 123 2 2024-03-15 -
17 Report#55「死の栄誉」 157 2 2024-03-25 -
23 Report#56「灼熱の断頭」 172 2 2024-03-30 -
21 Report#57「憧れの主人公」 130 0 2024-04-05 -
18 Report#58「記憶にいない娘」 101 2 2024-04-20 -
14 Report#59「蝕みの鱗粉」 111 4 2024-04-25 -

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