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HOME > 遊戯王SS一覧 > Report#6「楽しくデュエル」

Report#6「楽しくデュエル」 作:ランペル


ピー
「先行は裏野様、後攻はアリス様になります。」

デュエルを始めると先行と後攻を決めるアナウンスが流れ、私が先行になった。

「先行は梨沙ちゃんからね。さ!頑張って楽しも!」

「はっはい頑張ります!私の…ターン!」


 [ターン1]


まだ少しだけ手が震えていたが、相手がアリスさんなのもあって、デュエルはきちんとできそうだ。アリスさんの言っていたようにデュエル自体を楽しめるように、デュエルに集中する為に、自らの初期手札を確認する。

「(よし…悪くない…。)
私はモンスターをセット。そして、カードを1枚伏せて、ターンエンドです」
手札:5枚→3枚



梨沙-LP:8000
手札:3枚


 [ターン2]


「ふむふむ、まずは様子見って感じかな?それじゃ、私のターン行くね。私のターン!ドロー!」
手札:5枚→6枚


アリスさんの表情は本気でデュエルを楽しんでるように見えた。薄暗いこの空間でよくは見えないのだが、彼女の表情はとても楽し気な顔をしている。
私を励ますためにより楽しそうにしてくれているのか、本当に楽しんでいるのかは分からない…けれど、彼女を見ているだけでも元気をもらえる気がする。

「行くね。私は手札から《センジュ・ゴッド》を召喚!」[攻1400]
手札:6枚→5枚


彼女の元へ光り輝くたくさんの手のある大仏のようなモンスターが現れる。

「召喚、反転召喚に成功した時にデッキから儀式モンスター1体を手札に加えることが出来る」

「儀式?」

「そ、儀式モンスター!消費は激しいけれど、楽しいデッキだよ。
私はデッキから《竜姫神サフィラ》を手札に加えるね」
手札:5枚→6枚


儀式モンスター…私の周りで使っている人がいなかったので、少し珍しく思ってどんなモンスターが出てくるのか少し楽しみに彼女の動きを眺めていた。

「早速行くわね。儀式魔法《祝祷の聖歌》発動!
レベルが6以上になるように手札、フィールドからモンスターを生贄に捧げる…フィールドからレベル4の《センジュ・ゴッド》、手札からレベル4の《オネスト》を生贄に降臨せよ!
儀式召喚!

レベル6!世界を祝福せし竜《竜姫神サフィラ》!」[攻2500]
手札:6枚→3枚


足元に円陣が描き出され、そこへ2体のモンスターがそのレベル分の炎となって円陣へと浮かび上がる。
そして、そこからはとても綺麗な天使のような羽をもったドラゴンが姿を現す。

「わぁ…すごく、綺麗なモンスター…」

「でしょ?こんなに綺麗なモンスターと一緒に戦えるんだから、リアルソリッドビジョンも悪いもんでもないのよね」

「そう、ですよね」

「こんな所じゃなかったら、もっと楽しめ…

「………」

「あっ、ごめんね。さっき、楽しくしようって言ったばっかりなのにね…」

「いえ、そんな」

「私、こういうの下手なのよね…。私も頑張るから梨沙ちゃんも少しずつでいいから慣れていこう」

「アリスさんのおかげで、今はすごくデュエルを楽しめてる気がしてますよ」

「そ、そう?えへへ、それじゃ、気を取り直して行くね?」

「はい!」

「バトルに入るよ!《竜姫神サフィラ》でセットモンスターを攻撃!」

「セットモンスターは《ゴーストリック・キョンシー》です。そして、リバース効果を発動します」[守1800]

アリスさんのモンスターの攻撃を受けて、キョンシーがぴょんとセット状態から登場する。

「おぉ、可愛い!」

「このカードがリバースした時に、自分フィールドのゴーストリックモンスターの数以下のレベルを持ったゴーストリックをデッキから手札に加えることが出来ます。私のフィールドにはキョンシーが1体。よって、レベル1のゴーストリックを手札に加えられます」

「なるほどぉ、これはいいモンスターをセットしてたね…」

「私はレベル1の《ゴーストリック・スペクター》を手札に加えます」
手札:3枚→4枚


「でも、特に戦闘に影響はなさそうだね。キョンシーちゃんは破壊だよ」

「ですが、キョンシーが破壊されたことで手札のスペクターの効果を使えます。
スペクターは相手の効果か相手モンスターの攻撃でゴーストリックが破壊され墓地へ送られた時に、手札から裏側守備表示で特殊召喚が出来ます!」[守0]
手札:4枚→3枚


キョンシーの破壊に合わせて、スペクターがふわりとキョンシーのいた位置へと降り立ちぺたりと伏せると、セットカードとなって消えた。

「おぉ、後続が途絶えない」

「さらに、1枚ドローが出来ます」
手札:3枚→4枚


「可愛いだけじゃなくてとってもいい効果を持ってるね。私も負けないよ!エンドフェイズにサフィラの効果を発動!」

「エンドフェイズに効果を?」

「サフィラは儀式召喚したターンか、手札、デッキから光属性が墓地へ送られたターンのエンドフェイズに3つの効果から1つを選んで使うことが出来るの。
私はデッキから2枚ドローして、1枚捨てる効果を使うよ」
手札:3枚→4枚


「アリスさんの儀式モンスターもいい効果してますね」

「ふふ、ありがと。これで私はターンエンドだよ。
さ、梨沙ちゃんも頑張って!」



アリス-LP:8000
手札:4枚


 [ターン3]


梨沙「はい、行きますよ。私のターン、ドロー!」
手札:4枚→5枚


少しずつだが、いつものペースを取り戻せているような気がしていた。このままデュエルを続けることが出来れば…。

「《ゴーストリック・スペクター》を反転召喚します」[攻600]

裏側のカードが表になると同時に、バッとアリスさんを驚かすように現れ、そのままふわふわと地に足を付けた。


「ふふ、ほんと可愛いモンスター達だね♪」

「まだまだ、手札から《ゴーストリック・マミー》を召喚![攻1500]
マミーの効果でもう1体の《ゴーストリック・ランタン》を召喚!」[攻800]
手札:5枚→3枚


地から這い出して来るようにのそりと出てきたマミーに、ランタンを片手にゆらりとランタンがやって来た。

「おぉ、モンスターがたくさん!」

「ここからが本番ですよ。
私はレベル1のスペクターとランタンでオーバレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!

来て、ランク1《ゴーストリック・デュラハン》!」[攻1000]

馬に乗って颯爽と現れたデュラハン。実際に目の前に現れるデュラハンは、どこか可愛らしくも、頼りになる存在だと改めて感じられた。


「エクシーズ…」

「デュラハンの攻撃力は自身のゴーストリックカードの数×200上昇します。今、私のフィールドのゴーストリックはデュラハン含めて2体…よって攻撃力は1400です。[攻1400]
そして、デュラハンの効果を発動します。1ターンに1度、オーバーレイユニット1つを使って、モンスター1体の攻撃力をターンの終わりまで半分に出来ます」

「半分に…なるほど」

「私はアリスさんのサフィラの攻撃力を半分にします!」[攻1250]

「ありゃりゃ、こっちの攻撃力が下回っちゃったね」

「まだです。私はデュラハンを素材にオーバーレイネットワークを再構築します!」

「再構築!?」

「エクシーズ・チェンジ!

来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》!」[攻2000]

継ぎ接ぎのハートと共に羽を羽ばたかせながら駄天使がゆっくりとフィールドに登場する。
前見た時と同じ姿で、可愛らしく登場してくれた彼女を見て、先ほどのデュエルのことが思い出され、悲しそうな表情の彼女の顔がチラついていた。
しかし、駄天使はこちらへチラリと視線を向けるとウィンクをしてくれた。
そんな彼女を見ると嬉しくもあったが、どうにも胸が締め付けられるような思いがあった。


「もう1度…力を貸してね。

《ゴーストリックの駄天使》はゴーストリックエクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚することもできます。そして、駄天使の効果を発動です。オーバーレイユニットを1つ使って、デッキからゴーストリック魔法・罠カード1枚を手札に加えます」

「魔法、罠カードのサーチ効果…強力な効果ね」

「私はフィールド魔法!《ゴーストリック・ミュージアム》を手札に加えます」
手札:3枚→4枚


「なんだ、梨沙ちゃんすごいじゃない!」

「ふふ、そんなに褒めても何もありませんよ」

「あはは、それじゃこの後はこのまま攻撃に入る感じかな?」

「そうですね。バトルに…あ……

バトルに入ろうと思った所でこのデュエルのことを思い出した。このデュエルは実際にダメージが入ってしまう…このままバトルに入って攻撃してしまえば、アリスさんが痛い思いをしてしまう…。
もしかしたら、アリスさんを殺してしまうかもしれない…。

「ん?どしたの?」

「攻撃したら…アリスさんが…」

「あ、そのことね。大丈夫大丈夫!さっきも言ったと思うけど、チュートリアル中は実際にはほとんど痛みなんてないんだから。
ちょっとした刺激はあるけど、気にするようなことはないから。…私のことなんか気にしなくていいからさ。ドーン!と攻撃してきていいのよ!」

「で、でも…」

「……ありがとうね。でも、ほんとに大丈夫なのよ?少しのダメージ量なら全く痛くないぐらいなんだから」

「…分かりました。じゃぁ、バトルに入りますね」

「うんうん、その意気だ」

「バトルです!《ゴーストリック・マミー》で《竜姫神サフィラ》を攻撃します」

「おっけぇ!私も頑張っちゃうよ。墓地の《祝祷の聖歌》は自分フィールドの儀式モンスターが戦闘・効果で破壊される場合に墓地から除外して破壊の身代わりになれるの。ということで、墓地の《祝祷の聖歌》を除外してサフィラは破壊されないわ」

《祝祷の聖歌》の効果が発動されると、サフィラの周りへ光のカーテンが張られる。

「そんな効果が」

「ダメージは受けちゃうけどね」

マミーがサフィラへと、のそのそと近づき両手で殴ると、光のカーテンが砕け散る。
それと同時に溢れた衝撃がアリスさんへ向かうが、アリスさんは何ともなさそうにぱっぱと払いのけた。

アリス-LP:8000→7750


「ほら、全然痛くないの。気にせず、ゴーゴーよ」

「分かりました。続けて行きますね。駄天使でサフィラに攻撃です!」

駄天使から継ぎ接ぎのハートがたくさんサフィラへと向かっていくとぽんぽんと弾けていった。

アリス-LP:7750→7000


「サフィラがやられちゃったね」

「…」

「あら、まだ気にしてる?全然大丈夫だって。気にしすぎても疲れちゃうでしょ」

「あ、すいません…」

「謝る事はないって。梨沙ちゃんは優しい子ってことがよく分かったからね」

「え…そんなこと…」

「ほんとだよ?言っちゃあれだけど、あんまり人のことを気にしてくれる人ってこの世の中、なかなかいないんだからぁ。さ、続けて!」

「はい!バトルを終了して、マミーの効果を発動。1ターンに1度、裏側守備表示になれます」

「裏側に?」

「これで、裏側にした意味も分かると思いますよ。フィールド魔法《ゴーストリック・ミュージアム》を発動です!」
手札:4枚→3枚


発動すると、この薄暗い部屋がゴーストリックの美術館へと様変わりしていく。たくさんのショーケースに大きな骨の展示物など、まるで本当に美術館に来ているかのような感覚になる。

「わぁ!すごい!やっぱりフィールド魔法はいいわね!雰囲気が格段に良くなるもの!」

「ほんとですね。部屋全体が変わるのはやっぱりテンション上がっちゃいます。ミュージアムの効果で互いに裏側守備表示のモンスターには攻撃できなくなり、相手フィールドに裏側守備モンスターしかいない場合には、その攻撃が直接攻撃になります」

「ふむふむ、つまりマミーには攻撃が出来なくなったって訳ね」

「そういうことです。さらに、相手にダメージを与えたモンスターはダメージステップ終了時に裏側守備表示になります」

「攻撃するのはいいけど、そうすると次のターン反撃を喰らってしまうと…むぅ、なかなかに厄介な効果がそろってるわねぇ」

「ここはゴーストリックの潜む美術館…好き勝手なことはさせませんよ?なんて」

「ふふふ、梨沙ちゃんも楽しそうで良かった」

「私はカードを1枚伏せて、ターンエンドです!」
手札:3枚→2枚



梨沙-LP:8000
手札:2枚


 [ターン4]


「よーし、私も頑張らないとね♪私のターン、ドロー!」
手札:4枚→5枚


「私は手札から装備魔法《契約の履行》を発動するよ。
800のライフをコストに墓地の儀式モンスターを特殊召喚する。私は《竜姫神サフィラ》を特殊召喚!」[攻2500]
アリス-LP:7000→6200
手札:5枚→4枚


「梨沙ちゃんもすごいの見せてくれたし、今度は私のエースモンスター見せてあげるね」

「アリスさんのエースモンスター…?」

「うん!私が一番好きなモンスターなんだ。
まずは、《儀式の下準備》を発動!デッキの儀式魔法とそれに名前がある儀式モンスターの合計2枚を、デッキ・墓地から手札に加えるよ。私は《原初の叫喚》と《輝神鳥ヴェーヌ》の2枚を手札に加える」
手札:4枚→5枚


「一気に2枚のカードを…!」

「ふふ、まだまだ行くわよー!魔法カード《儀式の準備》発動!デッキからレベル7以下の儀式モンスター《サイバー・エンジェル-弁天-》を手札に加えて、墓地の儀式魔法《精霊の祝福》も手札に回収!」
手札:5枚→6枚


「す、すごい一気に手札が…」

「正直、自分でもびっくりするぐらいに今調子いいのよね…。まぁ、梨沙ちゃんの歓迎…というのも違うか…。
と、とにかく応援する気持ちの表れってことでね?」

「あはは、なんですかそれ」

「ふふ、まだまだ行くね。
永続魔法《昇華する魂》発動!1ターンに1度、儀式召喚に成功すれば、その生贄に使ったモンスター1体を手札に回収できるようになる効果。
手札:6枚→5枚


そして!儀式魔法《原初の叫喚》を発動!
今度はレベルが8以上になるように生贄を捧げる…
手札からレベル6の《サイバー・エンジェル-弁天-》2体を生贄に降臨せよ!
儀式召喚!

レベル8、原初なる神鳥《輝神鳥ヴェーヌ》!」[攻2800]
手札:5枚→1枚


再び魔法陣が描き出され、そこへ炎となったモンスターを生贄にとても美しく輝く鳥がその羽は羽ばたかせながら、フィールドに現れる。今まで薄暗い空間にいたのもあってか、その光に少し眩しさを感じた程だった。


「これが、私のエースモンスター。どうかな、綺麗でしょ?」

「はい…すごく綺麗で、眩しくて…かっこいいです!」

「ふふ、ありがとね。でも、ここからが本領発揮よ!
この瞬間、生贄にした弁天2体と《昇華する魂》の3枚の効果が発動するわ。弁天の効果でデッキから天使族・光属性を手札に加えることが出来る。この効果が2回分で、《マンジュ・ゴッド》と《天界王 シナト》を手札に加え、《昇華する魂》の効果で墓地の生贄に使った《サイバー・エンジェル-弁天-》を手札に回収するね」
手札:1枚→4枚


「そして、《マンジュ・ゴッド》召喚![攻1400]
効果は《センジュ・ゴッド》の儀式魔法もサーチできる版よ。私は《救世の美神ノースウェムコ》を手札に加える。
《輝神鳥ヴェーヌ》の効果発動!手札のモンスターを見せて、《マンジュ・ゴッド》のレベルをこのターン中見せたモンスターと同じにできる。さっき手札に加えたノースウェムコを見せるね」
《マンジュ・ゴッド》:☆4→☆8


「レベルの変更効果…」

「うん、おまけでもういっちょ行っちゃうね!
儀式魔法《精霊の祝福》を発動!レベルの合計が光属性儀式モンスターのレベルと同じになるように生贄を捧げて儀式召喚が出来るよ。
私はレベル8になった《マンジュ・ゴッド》を生贄に捧げる…
儀式召喚!

レベル8、《救世の美神ノースウェムコ》!」[攻2700]
手札:4枚→2枚


魔法陣へとセンジュ・ゴッドが8つの炎となって移された後に、綺麗な女性が魔法陣から現れ、持っていた杖を振るった。

「儀式モンスターが…3体…」

「ちょっと、張り切りすぎちゃったかな…?
儀式召喚に成功したことで、ヴェーヌとノースウェムコの効果をそれぞれ使うね。ヴェーヌの効果で手札・フィールドのモンスターがリリースされたことで墓地の《マンジュ・ゴッド》を手札に加える。
そして、ノースウェムコの効果で生贄にしたモンスターの数、つまりは《マンジュ・ゴッド》の1体分、自分フィールドのカードを選ぶ。私は永続魔法《昇華する魂》を選ぶよ。これで、ノースウェムコは《昇華する魂》が存在する限り、効果で破壊されなくなった」
手札:2枚→3枚


「アリスさん…すごいですね…」

「いやいや、ほんとに今日は調子が良かっただけだって。普段はこんなに儀式モンスターが並ぶことなんてないよ」

「だとしてもすごいですよ。こんなにすごいのは初めて見ました!」

「そんなに言われると照れちゃうよ?さて、バトルに入ろうかな」

「バトル…」

「大丈夫?ダメージはホントに弱くなってるから、試してみないとね?」

「はい」

「どうしても無理そうだったら、言ってね。じゃぁ、行くよ?
バトル、《竜姫神サフィラ》で《ゴーストリックの駄天使》ちゃんを攻撃!」

サフィラが光の波動を纏って駄天使へと近づいて行った。


「駄天使…ごめんね」

前回のデュエルが再び思い出されてつい、駄天使へ声を掛けてしまった。私の声に反応してか、駄天使が振り向き笑顔で私に手を振ってくれる。その健気な様に目頭が熱くなった。
サフィラが私に手を振ってくれる駄天使をその光の羽で優しく包み込んだ。


「あっ…」

「戦闘時にも優しさを持って、ね。さすが、サフィラ!私とは大違い」

梨沙-LP:8000→7500


優しくフィールドから退場した駄天使を見ての、罪悪感はすごく薄かった。駄天使も優しく私に手を振ってくれていた。


「どうかな…?梨沙ちゃん、痛くなかった?」

「あ、はい…何ともない程に…」

駄天使のことで頭がいっぱいだったのもあってか、体への痛みは全く気にならなかった。というよりかは、痛みがあったかも分からない程。

「そっか!それは良かった。でも、ダイレクトアタックはさすがにきついかもしれないから…やめた方がいいかな?」

「いえ、攻撃するのであれば攻撃してください!」

アリスさんがここまで私のことを思って、手を差し伸べてくれる。
私のモンスター達も私の為にと頑張ってくれている。
そして、アリスさんの本気で楽しそうなデュエルを見ていると、私自身もデュエルをとても楽しんでいることを確信できた。本気のデュエルには本気で向かい合いたい…今の私からは恐怖という感情は消えうせ、ただ純粋に楽しみたいという思いが、心から湧き上がって来ている!

「え、大丈夫かな?」

「はい、駄天使やゴーストリックのみんなも私を応援して、力を貸してくれてますし、アリスさんのおかげで今すごくデュエルが楽しいんです!
アリスさんとは本気で戦って、楽しいデュエルをしたいんです」

「そっか。それじゃ、攻撃しちゃうよ!」

「はい!受けて立ちます!
私がダメージを受けたことで、フィールド魔法《ゴーストリック・ミュージアム》の効果でサフィラは裏側守備表示になってもらいます」

「むぐ、そういえばその効果があったわね…」

「さらに、駄天使が破壊されたことでオーバーレイユニットになっていた《ゴーストリック・デュラハン》の効果を発動します!このカードが墓地へ送られた時に、墓地のゴーストリックカードを手札に加えます。
私は《ゴーストリック・ランタン》を手札に加えます」
手札:2枚→3枚


「リカバリーもばっちりって訳ね…けど、ダメージは与えさせてもらうわよ!《輝神鳥ヴェーヌ》でダイレクトアタック!」[攻2800]

「相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札の《ゴーストリック・ランタン》の効果を発動します!」

「さっき手札に加えたカード!?」

「その攻撃を無効にして、このカードを裏側守備表示で特殊召喚します」
手札:3枚→2枚


「無効に…やられたわね。
(ノースウェムコで攻撃がまだ出来るけど、攻撃してダメージを与えると裏側守備表示になって、破壊耐性が消えてしまう…。攻撃してしまってもいいけど…。)
なら、私はこれでターンエンドにするよ」



アリス-LP:6200
手札:3枚


 [ターン5]


「私のターン!ドロー!」
手札:2枚→3枚


アリスさんのエースモンスター《輝神鳥ヴェーヌ》、それに加えて2体の儀式モンスターが私の前に立ちふさがる。

「(でも、まだまだ巻き返せる!)
私は《ゴーストリック・マミー》を反転召喚!」

セット状態のカードからマミーが這い出して来る。本当にミイラのような動きをしてくれるのを見ると、より愛着が湧いてくる。

「マミーの効果で私はゴーストリック1体を召喚できます。《ゴーストリック・スケルトン》を召喚!」
手札:3枚→2枚


カタカタと音をたてながら、鎌を持ったスケルトンがふわりとフィールドへ降り立つ。

「私はレベル3のマミーとスケルトンでオーバレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!

来て、ランク3《ゴーストリック・アルカード》![攻1800]

フィールドに黒い影が浮かび上がり、そこから黒と赤のマントを靡かせながらアルカードが降り立つ。
そして、降り立つと同時に2匹の小さなコウモリが彼のマントから飛び出し、彼の周りで羽ばたいている。

「また新しいエクシーズモンスター…なかなかにかっこいいモンスターだね!」

「私もアリスさんに負けてられないですからね。行きますよ、《ゴーストリック・アルカード》の効果を発動します。
1ターンに1度、オーバーレイユニット1つを使って、相手フィールドのセットカード1枚を破壊します!」

「セットカードの破壊!?」

「私が対象とするのは裏側守備表示になっている《竜姫神サフィラ》です!」

アルカードが指をパチンと鳴らすと、セット状態のサフィラを影が覆い尽くし破壊した。

「なるほど、セットカードの除去かぁ…。さすがにテーマと相性のいい効果してるわね」

「まだまだ行きます。私はアルカードを素材にオーバーレイネットワークを再構築!
エクシーズ・チェンジ!

来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》!」[攻2000]

「お、またその子だね。これで互いのエースモンスター同士が並んだって感じかな!」

「そうですね。駄天使は私のデッキのエースモンスターです!ゴーストリックの戦い方を見せてあげますね!」

駄天使へ目を向けると、彼女はいつものようにこちらに優しい笑顔を向けて手を振ってくれる。

「(負けられないよね。)
私は駄天使の効果でオーバーレイユニットを1つ使って、デッキから《ゴーストリック・パニック》を手札に加えて、そのままバトルに入ります!」
手札:2枚→3枚


「なるほど、でも攻撃力は私のモンスターのどちらにも届いてないね。何を見せてくれるのかな?」

「速攻魔法《月の書》を発動します。フィールドのモンスター1体を裏側守備表示に変更します!これでアリスさんの《救世の美神ノースウェムコ》を裏側守備表示に変更しますね」
手札:3枚→2枚


「ノースウェムコが裏側に…(これで破壊耐性もなくなっちゃったか。)
でも、私のフィールドにはまだ《輝神鳥ヴェーヌ》が残ってるよ!」

「永続罠を発動です。《ゴーストリック・ロールシフト》!」

「永続罠…」

「このカードは1ターンに1度、バトルフェイズ中に2つの効果から1つを使うことが出来ます。
私は私のフィールドの裏側守備表示モンスターを表側攻撃表示にする効果を使って、《ゴーストリック・ランタン》を攻撃表示に!」[攻800]

「わざわざ低い攻撃力のランタンを攻撃表示に…?」

「まだ効果は終わっていません。この効果で表側にしたモンスターがゴーストリックモンスターだった場合、相手モンスター1体を裏側守備表示に変更します!」

「な!それじゃ…」

「私は《輝神鳥ヴェーヌ》を裏側守備表示に!」

「これで私のフィールドには裏側のモンスターしか…」

「そうです。そして、フィールド魔法《ゴーストリック・ミュージアム》の効果で相手フィールドに裏側表示のモンスターしかいない場合は、直接攻撃ができます!」

「なるほど…これがゴーストリックデッキの戦い方って訳ね…。
(見た目とは裏腹にいやらしい動きしてるじゃない)」

「行きますよ!《ゴーストリック・ランタン》でダイレクトアタック!」[攻800]

ランタンの持つランタンから小さな炎がアリスさんへと向かう。

「うぐぐ、そのまま喰らうわね」

アリス-LP:6200→5400


「《ゴーストリック・ミュージアム》の効果でランタンは裏側守備表示になります。続けて《ゴーストリックの駄天使》でダイレクトアタック!」[攻2000]

駄天使がひらりと一回転して、継ぎ接ぎのハートをアリスさんめがけて放り投げ、弾け飛ぶ。

「いたた」

アリス-LP5400→3400


「駄天使もランタン同様、ミュージアムの効果で裏側守備表示になります。バトルを終了して、カードを1枚伏せて。ターンエンドです!」
手札:2枚→1枚



梨沙-LP:7500
手札:1枚


 [ターン6]


「いい感じにやられちゃったわね。でも、私もまだまだ負けないからね!
私のターン、ドロー!」
手札:3枚→4枚


「まずは、さっき裏側にされちゃったヴェーヌとノースウェムコを表側にするわね」

裏側になっていたモンスターが表になることで、先ほどの2体のモンスターが姿を現す。

「そして、《マンジュ・ゴッド》を召喚![攻1400]
効果はさっきと一緒ね。デッキから《精霊の祝福》を手札に加えるわね」

「(儀式魔法を手札に…このままヴェーヌの効果でレベルを合わせて儀式召喚。よし、ここね。)
私はこの瞬間、罠カード《ゴーストリック・パニック》を発動します!」

「ここで罠カード…!?」

「パニックの効果で私の裏側守備表示モンスターを好きな数だけ表側守備表示にします。そして、その中の表になったゴーストリックモンスターの数まで相手モンスターを裏側守備表示にすることが出来ます。
私はランタンと駄天使の2体を表側守備表示にして、アリスさんの2体の儀式モンスターをもう一度裏側にしちゃいます!」

「もう一度裏側に!?梨沙ちゃんなかなかやるじゃない…」

「《輝神鳥ヴェーヌ》のレベル変更効果に墓地のモンスターの回収効果は厄介ですからね。ここで止めさせてもらいました」

「なるほどね…それじゃぁ、私は《トレード・イン》を発動するわ。手札のレベル8モンスター《天界王 シナト》を捨てて、デッキから2枚ドローするね!」

「妨害されてもすぐに手札交換で次の手を考えれてる…。すごい…」

「いやいや、ヴェーヌが裏側にされてだいぶ困ってるよ?いいカードを引けたのは不幸中の幸いだけどね!」

そう言ってアリスさんは笑顔を見せ、手札から1枚のカードを発動した。

「私は儀式魔法《精霊の祝福》を発動!
手札からレベル6の《サイバー・エンジェル-弁天-》とフィールドのレベル4の《マンジュ・ゴッド》を生贄に降臨せよ!
儀式召喚!

レベル10!世界を守護せし女神《サイバー・エンジェル-美朱濡》!」[攻3000]
手札:4枚→1枚


足元に円陣が浮かび上がり、神々しい天使のモンスターが6枚の翼のような羽衣のようなものをなびかせて現れた。

「レベル10…!強力なモンスターが出てきましたね」

「引きが良かったのよね。よし、美朱濡の儀式召喚に成功したことで3つの効果を発動するわ!
まず、素材に使ってリリースされた《サイバー・エンジェル-弁天-》の効果でデッキから、天使族・光属性モンスターを手札に加えることが出来、永続魔法《昇華する魂》の効果で墓地の儀式召喚に使用した素材1体を手札に戻すことが出来る。
最後に《サイバー・エンジェル-美朱濡》が儀式召喚に成功した時、相手のEXデッキから特殊召喚されたモンスターを全て破壊し、破壊した数×1000のダメージを相手に与える事が出来る!」

「破壊効果…なら、このカードを発動します。トラップカード《ゴーストリック・アウト》!」

「2枚目のトラップカード…」

「手札からゴーストリックモンスター…《ゴーストリックの人形》を相手に見せることで発動が出来ます。このターン、自分フィールドのゴーストリックカード及び裏側守備表示のモンスターは効果では破壊されなくなり、効果の対象にならなくなります!」

「ということは…梨沙ちゃんの駄天使ちゃんは破壊出来ない…。やるじゃない!
でも、他の2つの効果は処理させてもらうわね。《昇華する魂》の効果で墓地の《マンジュ・ゴッド》を手札に回収。そして、弁天の効果でデッキから《サイバー・エンジェル-荼吉尼-》を手札に加えるわね」
手札:1枚→3枚


「バトルフェイズに入るよ。美朱濡で駄天使ちゃんを攻撃!」

美朱濡が両手を掲げその手から光の波動を駄天使へと向け、駄天使が破壊される。

「駄天使…」

「駄天使ちゃんは守備表示だから戦闘ダメージは発生しない。ミュージアムの効果で美朱濡が裏側守備表示になることはないわよね」

「そうですね。でも、駄天使のオーバーレイユニットになっていた《ゴーストリック・アルカード》の効果を使います。このカードが墓地へ送られたことで墓地のゴーストリックカード1枚を手札に加えることが出来ます。
私は墓地の《ゴーストリック・スペクター》を手札に加えます」
手札:1枚→2枚


「(レベル1モンスターの回収…次のターンでエクシーズ召喚ね…)
私はこれでターンエンドよ」



アリス-LP:3400
手札:3枚


 [ターン7]


「私のターン、ドロー!」
手札:2枚→3枚


「(このターンでアリスさんを倒すことは出来ない…。このままだと、アリスさんの儀式モンスター2体も攻撃してくる…なら…)
私は手札からモンスター1体セット」
手札:3枚→2枚


「モンスターをセット?」

「バトルに入り、永続罠、《ゴーストリック・ロールシフト》の効果を使います!」

「…!」

「自分の裏側守備表示モンスターを対象に、そのモンスターを攻撃表示にします。私がセットしたモンスターは前のターンに手札に加えた《ゴーストリック・スペクター》」[攻600]

「ゴーストリックだった場合には相手のモンスターを裏側守備表示に…ってことね?」

「そういうことです!私はアリスさんの《サイバー・エンジェル-美朱濡》を裏側守備表示にします」

スペクターがくるんとセット状態のカードから表になると共に、美朱濡へ風が吹き、裏側セットのカードとなって、ソリッドビジョンが消える。

「そして、メインフェイズ2です。私のフィールドのスペクターとランタンでオーバレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!

もう一度来て、ランク1《ゴーストリック・デュラハン》![攻1000]
さらに、そのままオーバーレイネットワークを再構築!
エクシーズ・チェンジ!

来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》!」[守2500]

「守備表示…?」

「このターンではアリスさんを倒せません。なので、今は守りを固めます。駄天使の効果を発動。
オーバーレイユニットを1つ使って、デッキから《ゴーストリック・ナイト》を手札に加えます」
手札:2枚→3枚


「守りを固める…そのカードは防御カードって訳ね」

「ふふ、すぐに分かりますよ。私はカードを1枚伏せてターンエンドです!」
手札:3枚→2枚



梨沙-LP:7500
手札:2枚


 [ターン8]


「行くよ。私のターン、ドロー」
手札:3枚→4枚


「このスタンバイフェイズに永続罠を発動します!《ゴーストリック・ナイト》」

「このタイミングで防御カードを?」

「《ゴーストリック・ナイト》がフィールドに存在し、自分フィールドにゴーストリックモンスターが表側で存在している限り、アリスさんは反転召喚が出来ません!」

「は、反転召喚が出来ない!?」

「これで、アリスさんの3体の儀式モンスターは裏側守備表示のままです」

「なるほど…ね。これで私の儀式モンスターが無力化って訳ね。でも、その条件は梨沙ちゃんのフィールドにゴーストリックが存在している限りなのよね?」

「え、そうです…けど…」

「ふふふ、なら私もまだ頑張れるわね!手札からフィールド魔法《祝福の教会ーリチューアル・チャーチ》を発動するよ!」

フィールド魔法が発動すると共に、アリスさん側の背景に教会が現れ中央にスポットライトが向けられている。

「アリスさんも、フィールド魔法を…」

「ふふ、リチューアル・チャーチの効果を使うよ。1ターンに1度、墓地の魔法カードをデッキに戻すことで、その戻した数と同じレベルの天使族・光属性モンスターを墓地から特殊召喚できる!
私は墓地の魔法カード4枚をデッキへと戻し、墓地の《センジュ・ゴッド》を特殊召喚![守1000]
さらに、《マンジュ・ゴッド》を召喚![攻1400]
もう説明しなくても分かるよね?デッキから儀式魔法《機械天使の儀式》を手札に加える」

「(新しい儀式魔法…また強い儀式モンスターが出てくる…!)」

「儀式魔法《機械天使の儀式》を発動!フィールドの《センジュ・ゴッド》と《マンジュ・ゴッド》を生贄に降臨せよ!
儀式召喚!

レベル8、《サイバー・エンジェル-荼吉尼-》!」[攻2700]
手札:4枚→2枚


足元に円陣が浮かび上がり、4つの手を持ち、前2つで錫杖を、後ろ2つでそれぞれ剣を持った女性のモンスターが現れた。

「つ、つよそう…」

「強いわよぉ?このカードで梨沙ちゃんを倒しちゃうかもなんだから!
まず《昇華する魂》の効果で、《マンジュ・ゴッド》を手札に加えるよ」
手札:2枚→3枚


そして、《サイバー・エンジェル-荼吉尼-》の効果を発動!儀式召喚に成功した時、相手は自分のフィールドのモンスター1体を選んで墓地へ送らないといけないよ!」

「私が…!?」

「そ、梨沙ちゃんが自分で墓地へ送るモンスターを選べるよ。…といっても、梨沙ちゃんのフィールドには1体しかいないけれどね…」

「…駄天使…ですね」

駄天使に手を振り、にっこりと手を振り返してくれる駄天使を墓地へと送る。

「これで、梨沙ちゃんのフィールドにゴーストリックモンスターはいなくなった…これで私は反転召喚が出来るってことだよね」

「まだです。駄天使と共に墓地へ行った《ゴーストリック・デュラハン》の効果で、墓地の《ゴーストリック・ランタン》を手札に加えます」
手札:2枚→3枚


「ランタン1体で防ぎきれるかな?行くよ反転召喚!
《救世の美神ノースウェムコ》![攻2700]
《輝神鳥ヴェーヌ》![攻2800]
《サイバー・エンジェル-美朱濡》!」[攻3000]

先ほどまで裏側だったことで姿を潜めていたアリスさんの儀式モンスター達が一気にフィールドへと立ち並ぶ。

「バトルフェイズに入るよ。改めてだけど、受けるダメージがさっきより大きいと思うけど…大丈夫そう?」

「大丈夫です。私はアリスさんのおかげで、今全力のデュエルをしています。
遠慮なんかせずにアリスさんも全力で向かってきてください!」

「そっか…うん!余計な事聞いちゃったね。行くよ、バトルフェイズ!
《救世の美神ノースウェムコ》でダイレクトアタック!」

「そのまま受けます…!」

ノースウェムコが杖を振るい、私の元へ魔法の攻撃がやってくる…。

「ぐっ……!

攻撃が私の胸へとぶつかる…。

「確かに衝撃はありますけど…痛くは…ないですね…」

梨沙-LP:7500→4800


「ほっ、大丈夫そうで私も安心した~。それじゃ、まだまだ続けるよ」

「その前に、私がダメージを受けたことで《ゴーストリック・ミュージアム》の効果が適用されます」

「ふふ、そうね。ダメージステップ終了時にノースウェムコは裏側になるよ。でも、まだまだ行くよ!
《サイバー・エンジェル-荼吉尼-》でダイレクトアタック!」

荼吉尼が後ろの2対の剣をこちらへ向け振るうと、光の刃となって私の元へと届いた…

「ぐぁ…!

梨沙-LP:4800→2100

「でも、ちょっとびっくりしちゃいますね…」

静かにアリスさんへと微笑みかける。

「私も最初はびっくりしたわね。でも、まだ終わらないわ!」

「こっちもです。《ゴーストリック・ミュージアム》の効果でアリスさんの荼吉尼は裏側守備表示に!」

「《輝神鳥ヴェーヌ》でダイレクトアタック!

「相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札から《ゴーストリック・ランタン》の効果です。攻撃を無効にして、このカードを裏側守備表示で特殊召喚!」[守0]

「(これで《ゴーストリック・ロールシフト》の発動条件が揃ってる…でも関係ない!)
最後の攻撃だよ。《サイバー・エンジェル-美朱濡》でダイレクトアタック!!」

「まだ負けませんよ!《ゴーストリック・ロールシフト》の効果を発動します。先ほどセットした《ゴーストリック・ランタン》を対象に…

「チェーンして手札から速攻魔法!《サイクロン》を発動!」

「《サイクロン》!?」

「これで、ロールシフトは破壊されて効果が適用されなくなる…」

「…チェーンして、手札の《ゴーストリック・フロスト》の効果を発動!」

「な、まだ手札にいたの!?」

「フロストもランタンと同じで相手の直接攻撃宣言時に発動が出来ます。攻撃モンスターを裏側守備表示にして、このカードを裏側守備表示で特殊召喚します!」[守100]

「二段構えの防御…このターンで倒せると思ったけど、そう思うようにはいかないものね」

美朱濡の攻撃の瞬間、フロストがおっきな雪玉を美朱濡へと投げ、美朱濡はひっくり返ってそのままセットされた。そして、フロストもこちらのフィールドで寝そべってセットされた。

「《サイクロン》の効果でロールシフトは破壊ね。私はこれでターンエンド」



アリス-LP:3400
手札:1枚


 [ターン9]


「私のターン!ドロー」
手札:1枚→2枚



「…!」

「その顔は…何かいいカードを引いたみたいね」

「はい、いいカードを引きました!」

「ふふ、もしかして私負けちゃう?」

「このデュエル勝たせてもらいますよ。セットされているランタンとフロストを反転召喚!」[攻800][攻800]

セット状態からランタンの光を放ちながらランタンがふわふわと現れ、のそりと雪の塊からフロスト這い出してきた。

「ランタンとフロストでオーバレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!

ランク1《ゴーストリック・デュラハン》!」[攻1000]

颯爽と馬に乗ったデュラハンが剣を振るいながら駆けつけてくれる。

「デュラハン…確か攻撃力を半分にする効果を持っていたわね」

「デュラハンの攻撃力はフィールドのゴーストリックカードの数×200アップします、私のフィールドには今デュラハンを含めて3枚。よって攻撃力は1600です。[攻1600]
そして、デュラハンの効果を使います!オーバーレイユニットを1つ使って、《輝神鳥ヴェーヌ》の攻撃力をこのターン半分にします」[攻1400]

「ヴェーヌが戦闘で破壊されても、まだ私のライフは残ってるよ!」

「まだです。《ゴーストリックの人形》を召喚!」[攻300]
手札:2枚→1枚


可愛らしい服に身を包んだ人形がゆっくりと立ってフィールドに現れる。

「そして、これで最後。魔法カード《死者蘇生》を発動します!」
手札:1枚→0枚

「ふふ、それがいいカードね」

「私の墓地から《ゴーストリックの駄天使》を特殊召喚します!」[攻2000]

柔らかいピンクの髪を靡かせながら、翼を羽ばたかせ、フィールドへ駄天使が降り立つ。

「これで準備は完了です」

「……私の計算だとデュラハンの攻撃力が2000になってて、それを含めて全員で攻撃してもまだ私のライフは残ってるみたいね」

「いいえ。このターンで私が勝ちます!」

「このターンで…何を見せてくれるのかな?」

アリスさんが優しい笑みをこちらへと向けてくれている。

「バトルに入ります。《ゴーストリックの人形》で《輝神鳥ヴェーヌ》を攻撃します!」

「え!?なんで人形で攻撃なの!?」

人形が手に持つ3色の花からヴェーヌへ花びらを飛ばす。しかし、ヴェーヌが羽ばたくと花びらと共に人形は吹き飛ばされてしまう。

「人形…ごめんね」

梨沙-LP:2100→1000


「そう…なるよね。梨沙ちゃんがダメージを受けただけで…ダメージ…?」

「ふふ、私に戦闘ダメージが発生したことでフィールド魔法《ゴーストリック・ミュージアム》の効果です!」

「あっ…!」

「ダメージを与えたモンスターはダメージステップ終了時に裏側守備表示になります!」

光輝くヴェーヌがフィールドからいなくなる。

「人形が居なくなったことで、デュラハンの攻撃力は1800になりましたが、これでアリスさんにダイレクトアタックが出来ます」[攻1800]

「これはやられたわね」

「行きます!《ゴーストリック・デュラハン》と《ゴーストリックの駄天使》でダイレクトアタックです!」

攻撃宣言と同時にデュラハンの馬が駆け出し、アリスさんに向けて遠くから剣を振るい紫色の衝撃がアリスさんへと到達する。

「ふふ…」

アリス-LP:3400→1600


その後、駄天使が継ぎ接ぎのハートをアリスさんへふわふわと飛ばすと、可愛らしく紫色のハートの煙を作りながら爆発した。

「うわぁー!」



アリス-LP:1600→0



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