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HOME > 遊戯王SS一覧 > Report#49「白化」

Report#49「白化」 作:ランペル


「罠発動!!《激流葬》!!!
フィールドのモンスターを全て破壊だぁぁ!!!」

「《神光の宣告者》の効果発動!
手札から《宣告者の神巫》を墓地に送って、《激流葬》の発動を無効にして破壊よ!」
手札:1枚→0枚

虹色に翼を広げた異形の天使が、発動されたカードに向けて光線を放つ。
光線が貫通したカードは、ぼろぼろと崩れながら白い塵となって消えていく。

「いいっ加減にしろ!!?
なんでまだ手札に天使抱えてんだ!!」

醜く肥えた男が憤慨し、対面の女性に唾を散らしながら怒鳴りつける。
アリスの右手が左腕のデュエルディスクの墓地へ手札コストを送る。
どこか寂しげだったその目が殺意の目に切り替わると、左手から1枚のカードが発動される。

「お前に何もさせずに殺すために決まってんだろ?
《魔神儀の祝誕》発動。フィールドの《魔神儀-キャンドール》《魔神儀-タリスマンドラ》2体を生贄に捧げ…。
儀式召喚!

来な、《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》!」[攻4000]
手札:6枚→4枚

青白く発光する巨竜が閉鎖された空間内に姿を現す。
その雄々しき竜が矮小な男を見定める。

「カオス…MAX……!?」

「時間がねぇんだ。4000で勘弁してやるから死 ね!
バトル、《ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン》でお前にダイレクトアタック!」[攻4000]

攻撃宣言を受け、巨竜が男に狙いを定める。
巨大な翼に光のエネルギーが集約されていく。

「くっ…そ…くそ、くそ、クソクソクソクソクソォォ!!!
話がちがうだろうがあぁあああああ!??
あがっぁああああああああああああああああああ!!!!」

隅野LP:4000→0


怒りに満ち溢れた男が怒号を響かせる。
しかし、その怒号は己が体を焼き焦がす悲鳴に様変わりする。

「ぅ…」
「気分わりいなら目でも伏せとけよ…」
「ダメ…私が…私が…やってるんだから……うっ…」

アリスの眼前で繰り広げられるのは処刑。
膨大な熱量の光線で撃ち抜かれた男の体は焼き尽くされ、次第に肉が溶け落ち人の造形を為さなくなっていく。それと同時に辺りを漂う焦げた臭いと、皮膚が焼かれる不快な臭い。
日常生活で嗅ぐような機会のないその臭いは、アリスの体に拒絶反応を引き起こす。

「う……げほっ……おぇ……」

耐え切れず、その場で吐いてしまう。その合間に攻撃が終了し、デュエル終了のアナウンスが流れだす。

ピーーー


「隅野様のライフが0になりました。《同盟契約》により、勝者はアリス様及び有栖川様です。」

口元を拭ったアリスが立ち上がる。
そして、立ち上がって即座に口から唾を吐きだし始める。

「ぺっ、勘弁してくれよな…。あんたがゲロるとあたしも一緒に味わう羽目になる…」
「ごめん……なさい…」


「アリス様、有栖川様へデュエルボーナスが送られます。ご確認ください。」

アナウンスが流れると共に、自分と対戦相手の背後を塞いでいたシャッターがゆっくりと上がっていく。

「やる気があるのはいいけど、死 体見て吐くのはやめて。吐くなら見るな」
「ダメよ…。私が…殺してるんだもん。
それから目を背けるような事はしたくないわ…」
「はいはい、随分とご高尚な事でして…。けど毎回吐かれると体が衰弱する。
続くようならあんたには見せないようにするからね」

胃液の酸っぱい味が広がる口内。そして、そこから話しかけてくるもう一人の自分の言葉を受け取りながら、唾を飲み込む。

「ごめんね。殺されてる最中を見るのは…経験あんまなかったから。
もう、大丈夫。急ぎましょ…」

何とか気力を絞り出し体を動かす。
もう一人のアリスがそれを受けて、素っ気なくも返す。

「まぁ、焼き殺される瞬間なんかまず見かけないのは同意だな。
あいつが死んだからここを真っすぐ抜けられる」
「最近すごく気にかけてくれるわよね…?」
「抜かすな。ゲロ味わうのが嫌なの」

床の黒い炭と化した男を乗り越え、アリスはグリーンフロアへと向かっていく。





 -----



梨沙-LP:8000
手札   :0枚
モンスター:モンスター1体[裏]
魔法&罠 :《ゴーストリック・ハウス》 伏せ×4

ーVSー [ターン2]

白神-LP:8000
手札   :6枚
モンスター:なし
魔法&罠 :なし



《大熱波》の発動により、熱波で包まれたブラックフロア。
その効果により、梨沙の次のドローフェイズまで効果モンスターの召喚と特殊召喚が出来ない状態にある。
その中で出来る事をするべく、白神は手札からカードを発動した。

「永続魔法《白の輪廻》発動。
その発動時の効果処理で、デッキから自身をチューナーとして扱う効果を持つ魚族モンスター1体を手札に加える事が出来る。
僕はデッキから《白鰯》を手札に加える」
手札:6枚→5枚→6枚

地面に水しぶきが起こり、そこから魚が飛び上がる様に1枚のカードが飛び出し、白神の手札に収められた。

「それはこの前のデュエルでは見たことないですね~。
白神さんもデッキを新調してきたんですか!?」

「カードを1枚セットして、ターンエンドだよ」
手札:6枚→5枚

わくわくとした声で少女が質問を投げるが、それを無視して白神はターンの終わりを宣言する。

「無視しないでくださいよ!
エンドフェイズに速攻魔法《神碑の穂先》を発動です!」

「ルーン…?」

エンドフェイズに発動された聞き覚えのないカードの発動に白神が反応を見せる。

「白神さんが答えてくれませんから私も効果説明してあげませんからね!」

「(神碑カードのサーチか神碑モンスターの特殊召喚…。
それにデッキトップの除外とバトルフェイズをスキップ…?
デッキ破壊にでも切り替えたのか…?)」

即座に自身のデュエルディスクに視線を落とし、発動されたカードの効果テキストの確認を始める白神。
変わらず無視されて少ししょぼくれた少女は、効果説明を始める。

「楽しくデュエルしましょうよぉ…。
2つの効果から1つを選択して使いますよ。私はデッキから神碑カード、《解呪の神碑》を手札に加えて、白神さんのデッキトップ1枚を除外します!」
手札:0枚→1枚
白神デッキ:32枚

デッキトップへとサーチカードに対応するルーン文字が青く浮かび上がり、デッキからカードが飛び出す。


白神-LP:8000
手札:5枚


 [ターン3]


「わったしのターン!ドロー!」
手札:1枚→2枚

ドローフェイズが終了した事で、フロア内を包み込んでいた赤い熱気が消えていく。

「スタンバイですけどもう使っちゃいますよ!
《解呪の神碑》発動です!私はEXデッキから神碑モンスターをEXモンスターゾーンに特殊召喚する効果を選択!」
手札:2枚→1枚

「罠発動《マジック・ディフレクター》。
このターン、互いの装備、フィールド、永続、速攻魔法カードの効果を無効化させてもらう」

「えぇ!?なんですかそのカード!」

蜘蛛の様な機械が白神の足元に現れると、頭部が変形し緑色の電波がフロア内へと広がる。
それにより、浮かび上がった青いルーン文字がブレ始め、効果が無力化される。

「そんな効果のカード初めて見ました!
面白いじゃないですか。こうなったら下手に動かずに…。
ターンエンドです!」


梨沙-LP:8000
手札:1枚


 [ターン4]


「(伏せがあれだけあるのに動かずか…)。
僕のターン、ドロー」
手札:5枚→6枚

ドローしたカードを確認した白神は即座にそれを発動してくる。

「いいカードを引いたよ。
《ギャラクシー・サイクロン》発動。僕から見て一番右側の伏せカードを対象に破壊する」

「なら、チェーンして対象の罠発動《リトル・オポジション》!
互いの使われていない一番左端のメインモンスターゾーン2か所を指定します。
そして、お互いに指定されたゾーンへ手札かデッキからレベル2以下のモンスターを攻撃表示か裏側守備表示で特殊召喚です!」

フィールドの対応するゾーンの位置が紫色に点滅しだす。

「僕も特殊召喚できるんだね」

「そうです!ちなみにしなくても、大丈夫です!
私はデッキから《ゴーストリックの猫娘》を裏側守備表示で特殊召喚です!」[守900]

「じゃぁ僕はデッキから《フィッシュボーグープランター》を攻撃表示で特殊召喚するよ」[攻200]

オレンジ色の着物に身を包み猫耳を生やした少女がフィールドへとスライディングし、花を咲かせた丸い水槽から生えた機械の触手がうなり、向かい合うゾーンへと収まる。

「デッキから《白鰯》を墓地へ送って効果発動。
手札から《白鰯》を特殊召喚するよ」[守0]
手札:5枚→4枚

空中を白い鰯の魚群が通過したかと思うと、フィールドに1匹が取り残されるように呼び出された。

「おー、私水族館とかでしか魚の群れ見たことないです!
ではここで罠発動《ゴーストリック・パニック》!
私のセットモンスター2体を対象に、それらを表側守備表示に。
その中のゴーストリックの数だけ白神さんのモンスターを裏側守備表示に変更します」

「ここでか…!」

「私のセットモンスター2体は当然ゴーストリック!
《ゴーストリックの猫娘》と《ゴーストリックの人形》だったので、白神さんの2体のモンスターを裏側守備表示に変更です!」[守900][守1200]

裏側になっていた2体のゴーストリックがひっくり返る。そして、うまく着地した猫娘が可愛らしく威嚇のポーズを取る。すると、《白鰯》と《フィッシュボーグ-プランター》の2体が水しぶきをあげ、地面にへと潜って行ってしまった。

「この瞬間、リバースした《ゴーストリックの人形》の効果が発動されます。
エンドフェイズにフィールドのモンスターを全て裏側にしちゃいます」

「厄介だね…。
《揺海魚デッドリーフ》通常召喚。
召喚時効果で、デッキから魚族の《フィッシュボーグ-ランチャー》を墓地へ送らせてもらう」
手札:4枚→3枚

「ですが、レベル4以上のモンスターが召喚か特殊召喚された時に《ゴーストリックの猫娘》の効果で裏側守備表示になってもらいます!」

体のほとんどが骨となった魚の様なモンスターが、ゆらゆらと泳いで来る。そして、青い目を光らせると、デッキから墓地へと送るカードが飛び出した。
しかし、目の前で猫娘が威嚇すると、デッドリーフもまた地面にへと潜行する。

「カードを1枚セットして、ターンエンドだよ」

「ではでは!エンドフェイズに速攻魔法《凍てつく呪いの神碑》発動しますよ~!
私はEXモンスターゾーンに神碑モンスターを特殊召喚する効果を選択。

来て、レベル2《神碑の翼フギン》!」[守0]

まるで妖精のように小さな金髪の少女がフィールドへと飛び立つ。緑の衣装に身を包んだ彼女は背中の黒い翼を広げた。

「わぁ!フギンそんなに小さかったんだ!
え、手のひら乗れるんじゃないの??」

どうにも可愛らしいモンスターの出現にはしゃぎ始める少女。
それに対して白神は冷静に次がないかを問う。

「…それで。これでターンは終わり?」

「あーっとそうでした!まだですよー!
フギンがEXデッキから特殊召喚時に手札の《ゴーストリック・マリー》をコストに、デッキから神碑フィールド魔法、《神碑の泉》を持ってきます!」

フギンがパタパタと黒い翼を羽ばたかせながら、少女の手元までやって来るとデッキから1枚のカードを引っ張り出して渡してくれる。

「きゃー!何それ可愛い!
フギンからカード持ってきてもらいました!ありがとうねフギン!」

小さく手を振ってくれたフギンは再びぱたぱたと元のEXモンスターゾーンの位置へと戻っていく。
そんな戯れに一瞥もなく白神は自身のデュエルディスクを確認している。

「(速攻魔法の発動で、墓地の速攻魔法の回収とそれに応じたドロー…。
しかも、相手ターンにも手札から神碑を使えるようになるね…。これは神碑ってデッキのキーカードだろう…)」

サーチ先であるフィールド魔法の効果の強力さを認識する。
その間に少女もまた、デュエルディスクを操作している。

「白神さんはデュエルディスクとにらめっこですか~?
まぁいいです。最後に《ゴーストリックの人形》の効果処理で、白神さんのターンを〆るとしましょう!
フギン、猫娘、人形の3体を裏側守備表示に変更。そして、レベル2の《ゴーストリックの妖精》を裏側守備表示で特殊しょうかーん!」[守1000]

頭上をふわふわと水色のドレスが浮遊する。そして、頭上を旋回されたモンスターが軒並みフィールドから消えていく。それに混ざって蝶々の様に羽ばたく小さな光の球体もフィールドを巡遊し、セットモンスターとなって姿を隠す。

「これで私がすることは終わりです。
そして、ここから私のターンです!」


白神-LP:8000
手札:2枚


 [ターン5]


「ドロー!」
手札:1枚→2枚

ドローと共にくるんと横回転を挟んだ少女は、セットされたモンスターをめくる。

「くるんと反転召喚!《ゴーストリックの妖精》!
リバース効果発動!墓地の《ゴーストリック・パニック》を私のフィールドへ再セットですよ~」[攻900]

黄色い小さな羽を羽ばたかせながら、フィールドへと飛び出した妖精が手に持ったキャンディケインを振るう。

「もう一回くるりん!反転召喚《ゴーストリックの人形》!
こちらもリバース時の強制効果が発動。このターンの終わりにもみんな裏側です。[攻300]

行きます!今日初めてのエクシーズ召喚!
私はレベル2の《神碑の翼フギン》と《ゴーストリックの人形》でオーバーレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!

来て、ランク2《ゴーストリック・サキュバス》!」[守1200]

2体のモンスターがエクシーズ召喚の渦へと巻きこまれ爆発が巻き起こる。
フィールドへとふわふわと気だるげなサキュバスがコウモリマークの枕に身を預け、ゆっくりと降りてくる。

「どんどん行きますよー!」

そう言った少女はEXデッキが収納されている箇所からさらに1枚のエクシーズモンスターを手に取り、白神へと見せる。

「このカードは、駄天使以外のゴーストリックエクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚する事も出来ます!
《ゴーストリック・サキュバス》1体でオーバーレイネットワークを再構築!
ランクアップ!エクシーズチェンジ!

来て、ランク4《ゴーストリックの駄天使》!」[守2500]

大きな継ぎ接ぎのハートクッションに腰を置き、ゆっくりと下降してくる桃色髪の少女。白と黒が混ざった小さな羽をぱたぱたさせた黒いドレスに身を包んだ駄天使がフィールドへと降り立った。

「駄天使―!!なんか久々な感じがするね!
一緒に頑張ろうね!」

駄天使に向け手を振りながら元気な声掛けする少女へ、駄天使は笑顔で手を振り返す。

「来たね。キミのエースモンスター」

駄天使の登場に反応した白神。それを嬉しく思ったのか少女が上機嫌にエースモンスターの効果の発動を宣言する。

「お!覚えててくれてたんですね!
よーし!
行くよ駄天使!オーバーレイユニットを1つ使って効果発動!
デッキからゴーストリック魔法、罠カード1枚。《ゴーストリック・ショット》を手札に加えるよ!
トリック・プレゼント!」
手札:2枚→3枚

駄天使の周囲をゆっくり巡回する小さな継ぎ接ぎのハート。それの1つに狙いを定めた駄天使が掴み取り、被っていたシルクハットの中へと放り込む。
シャカシャカとシルクハットを振っていると、中から1枚のカードが現れそれを少女にへと手渡す。

「あーりがとう!
貰ったカードを早速使っちゃうよ。
《ゴーストリック・ショット》発動!墓地から《ゴーストリック・サキュバス》を特殊召喚だよ!」[守1200]
手札:3枚→2枚

突如としてサキュバスが地面から飛び出してくる。
それを見た駄天使が慌てて自身が座っていた大きな継ぎ接ぎハートを着地地点へと移動させる。すぐさまサキュバスはその継ぎ接ぎハートの中へぼふっと埋もれ込んだ。

「サキュバスで再び!オーバーレイネットワークを再構築!
エクシーズチェンジ!

来て、2体目の《ゴーストリックの駄天使》!」[守2500]

継ぎ接ぎハートにめり込んだサキュバスごと、大きなシルクハットが上から覆いかぶさりすっぽり隠してしまう。
しばらくすると、シルクハットが持ち上がり、その中から2体目の駄天使が姿を見せた。

「おっけー!最高!
こっちの駄天使も準備おっけー?
効果発動!オーバーレイユニットを1つ使って、今度は《ゴーストリック・ナイト》を手札に加えるよ!
トリック・プレゼント!」
手札:2枚→3枚

徐々に小さくなっていくシルクハット。その中から小さな継ぎ接ぎのハートを取り出すと、指先の上で高速回転を始めだす。すると、継ぎ接ぎのハートの糸がほどけていき中から1枚のカードがほどきだされる。

「ありがと!
よし…準備おっけ。私の新しい力!
二人とも行くよー!」

少女の掛け声に二人の駄天使が頷き応える。そして、2体のモンスターは交差しながら浮遊を始める。

「ランク4のエクシーズモンスター!
《ゴーストリックの駄天使》2体でオーバーレイネットワークを構築!
エクシーズ召喚!

未来を示して!《FNo.0 未来皇ホープ》!」[攻0]

4つの白銀の翼を広げ、2本の剣を持つ戦士がフィールドにへと顕現した。

「エクシーズモンスター同士でエクシーズ…?」

少女は白神が少し驚きを見せた事で、より嬉しくなったのかはしゃぎながらさらにEXデッキから1枚のカードを取り出す。

「どうですか!すごくないですか!?
でも、まだですよ~。さらに!未来皇ホープでオーバーレイネットワークを再構築!
エクシーズチェンジ!

未来を示して!《FNo.0 未来龍皇ホープ》!」[攻3000]

現れたのは体にも白銀の装甲を身に纏った未来皇ホープ。まるで竜と一体化したかのように巨大な白銀の翼を広げるモンスターが希望に満ち溢れたエネルギーを、剣に宿し振るう。

リアルソリッドビジョンの影響だろうか?
少女の目に、そのモンスターの姿がどこか眩しく、そして何故か疎ましく…そう感じてしまった。

「(ん…?)」

「……はい。
今度は、フィールド魔法《神碑の泉》を貼り替え発動しますよ~」
手札:3枚→2枚

モンスターから一度目を背けた少女は何事もなかったかのようにデュエルを進行する。しかし、その違和感を白神はどこかで感じ取る。

「速攻魔法《輝く炎の神碑》発動です!
EXデッキから《神碑の翼フギン》を特殊召喚!」[守0]
手札:2枚→1枚

再びフィールドへ小さな黒い翼を羽ばたかせながらフギンが参上した。

「この瞬間、フィールド魔法《神碑の泉》の効果が発動です!
神碑速攻魔法を使った時に、墓地の《輝く炎の神碑》《凍てつく呪いの神碑》《神碑の穂先》3枚をデッキに戻して~。
なんと、戻した数だけドローが出来ます!強くないですか!?
ってことで~~ドローします!」
手札:1枚→4枚

墓地より指定した3枚をデッキへと戻すとシャッフルされるデッキ。そこから陽気に少女は3枚ものカードを一気に手札へと引き込む。

「一気に3枚のドロー…確かに強力だね。
しかも、相手ターンにも使える」

「そうなんですよ!これで白神さんのターンにも速攻魔法使い放題ですからね!
残りのデッキ枚数は何枚でしょう~」

少女がにこやかに微笑む。その発言から少女の狙いが透ける。

「(やはりデッキ破壊か…。デッキ破壊のペナルティの程度が分からないな…。
普通の敗北よりダメージが重い可能性も十分あり得る……)」

「私はモンスター1体と、カードを2枚伏せます。
そして、エンドフェイズの人形の効果処理です!」
手札:4枚→1枚

エンドフェイズに移行すると共に、フィールドの頭上を水色のドレスだけが浮遊を始める。

「フィールドのモンスターを全て裏側に。そして、裏側にした数以下のレベルのゴーストリックのリクルートが行えます。
私のモンスターが全部裏側になったので、レベル3の《ゴーストリック・キョンシー》を裏側で特殊召喚です!」

ドレスの巡回と共に、フィールドからモンスターが姿を消す。その最後、顔に黄色いお札を貼られた《ゴーストリック・キョンシー》がぴょんぴょんと跳ねてフィールドへやって来て、裏側となって消える。

「これで私はターンエンドです!
モンスターゾーンが全部埋まりました!
さ、今度は白神さんのターンですよ!どんな手で来ますか!」


梨沙-LP:8000
手札:1枚


 [ターン6]


ターンが移り変わる。そこで白神が少女にへと口を開いた。

「裏野さん。よかったの?
強力な効果を持った未来龍王ホープも裏側になってしまえば、その効果を使えない」

「問題ないですよ~?
未来は自分の手で切り開きますから!」

少女がそう言い放った瞬間、白神が表情を歪める。

「裏野さん…自分から閉ざしてるようじゃ未来は掴めやしないよ…。
自分の手で切り開くって…。キミは本当にそう思ってるのかい?」

何かにイライラしている白神の言葉からは、節々にトゲがにじみ出る。
少女は白神の苛立ちの意味が分からずに、直接問いかける。

「白神さん何怒ってるんですか?
デュエルは楽しくしましょうよ!ね?」

はっとしたように白神は左手で自らの口を覆う。

「怒ってる…。あぁそっか、ごめん。
僕なんでイライラして…」

視線を下に落とした白神の顔を覗き込むように体を曲げた少女は、陽気さを絶やさない。

「怒ったり、苦しかったり、悲しかったり。そんな負に満ちたデュエルなんていらないですよ。
白神さんも楽しくデュエルしましょ!
さ、白神さんは私の盤面を突破出来ますか!?」

少女は胸を張って得意そうにする。
自身満々に自らが築き上げた盤面を自慢するデュエリストのそれだ。
白神はゆっくりと息を吐き、深呼吸してからデッキトップへと指を掛けた。

「そうだね。僕も最初はキミと最後に楽しいデュエルをしようと思ってここに来たんだ。
でも、キミのデュエル。それに向き合う姿勢が…僕の一番嫌いだった人にすごく似てるんだよ…。だから、イライラしちゃったみたいだね」

「嫌いだった人?」

「大丈夫。もう終わらせるから。
僕のターン、ドロー」
手札:2枚→3枚

少女の返事をドローで途切れさせた白神が、墓地から1枚のカードを取り出す。

「墓地の《ギャラクシー・サイクロン》を除外。キミのフィールド魔法《神碑の泉》を対象に破壊させてもらうよ」

墓地から発動された魔法カード。
それを受けた少女が高らかに上げた右手で力強くデュエルディスクの画面をタップする。

「2枚の罠カード発動!
《ゴーストリック・パニック》、永続罠《ゴーストリック・ナイト》!
ナイトがあり、私のフィールドにゴーストリックモンスターが居る限り、白神さんは反転召喚が出来ません。

そして、パニックの効果で対象に取るのは私のフィールドのモンスター全て。その効果で全部のモンスターが表側守備表示になり、《神碑の翼フギン》はフィールドのカードの破壊を、自身を除外する事で肩代わりできます!」

暗闇よりうっすらと浮かび上がるシーツのお化けとカボチャのお化け。
この罠カードの発動により、白神のモンスター全ての反転召喚が封じられる。さらに、フィールド魔法の破壊が《神碑の翼フギン》により防がれ、表となった《ゴーストリックの猫娘》と未来龍王の妨害も控えている。
決まったと言わんばかりに、満足げなどや顔を披露する少女。

しかし、それがどうしたと言わんばかりに白神がセットカードを表に返す。

「無駄だよ。

永続罠オープン、《王宮のお触れ》。
このカードがある限り、このカード以外の罠カードの効果を無効化する」

「な!?」

発動された罠カードの演出が即座に打ち切られる。
それと同時に、小さく巻き起こった星屑の竜巻が、少女の背後のフィールド魔法を打ち壊した。

「戦術としては間違ってないと思う。おかしい所はない。僕がこのカードを使うなんて予想できるわけない。だからおかしくはないんだ。
でもね。一度は閉ざされると分かってる場所に未来を託してる感じがさ。無意識の内にキミの思考がデュエルにも流れてる気がしてさ…。
もう、気持ち悪いんだよ…」

露骨な嫌悪感を露わにした白神が楽し気に笑う梨沙を睨みつける。

「なんですか~?もう勝った気になってるんですか?
まだまだこれからですよー!」

楽し気な柔らかな笑み。本人は実に楽しくデュエルをしているつもりになっているのだろう。
しかし、それが少女の心の底からの笑顔でないことは、その目を見ればすぐに分かる事だった。

「自分でもびっくりしてるよ。なんでこんなにイライラしてしまってるのかね。
僕のこのイライラは自己都合以外の何物でもないよ。人様に見せるようなものではない」

少女と初めてデュエルした時には見せたことない感情的な側面を見せる白神は、どうにか己へと言い聞かせ律する。
それに被せるように少女が、言葉を曝け出した。

「何を言ってるのか私には分からないですよ?
白神さんはイライラしててもいいですけど、デュエルは楽しくししないと!
楽しい楽しい楽しいデュエルにしないといけませんから!

ね……?」

笑っている。笑顔だ。可愛らしい少女の可愛らしい笑顔だ。
悪意など感じられない屈託のない笑顔。
ブレる事のない貼り付けられた笑顔。唯一それから独立した瞳は色を映しはしない。何ものにも染まることなく、逆に全てを染め尽くしてしまう黒。それが少女の笑顔が偽物である事を裏付ける。
そんな顔に笑顔が貼り付いたまがい物が、物足りなさそうに…物欲しそうに口を開けて何か言葉を羅列し始める…。

「私の作った厄介な罠カードを無力化しましたよ?次はどうするんですか?
まだ私のフィールドはモンスターで埋め尽くされてますよ。伏せカードも1枚残ってます。まだデュエルは続いています。何してるんですか?早くデュエルしましょ?
デュエル以外の事なんかどうだっていいですから。何を気にしているんですか?そんなのどうだっていいじゃないですか?
ほら、白神さんのエースモンスター見せてくださいよ。
熱い激戦を繰り広げてくれるモンスターを召喚してくださいよ。
かっこいいモンスター呼んでくださいよ。
綺麗なモンスター見させてくださいよ。
可愛い魚たちがたくさん居れば、まるで水族館みたいな雰囲気に浸れるんですよ?そんな気分にさせてくれるモンスターを召喚しないんですか?

何してるんですか?どうしてですか?なんで楽しそうじゃないんですか?私はこんなに楽しいですよ?ほら、すごく楽しい。
頑張って作った盤面を崩されるんじゃないかってハラハラ感。
次のターンまで生き残れないんじゃないかってドキドキ感。
もし生き残ったらどうやって白神さんにデュエルで勝つかを考えるワクワク感。
他の事考えてる暇なんかないですよ?

デュエルに集中してもいいですし、デュエルの演出に夢を見てもいいです。
デュエルにマイナスを持ち込んでどうするんですか?楽しくないですよそんなの。
ほら、どうしちゃったんですか?早くはやく!たのしいたのしいたのしいデュエルは待ってくれません。

ね…?白神さん…?
私と楽しいデュエルを続けましょう…?」

その目は白神を人として見ている物ではない。己の歪な壊れた感情の依り代を求めた亡者の嘆きに他ならない。
それに貫かれた白神は、深いため息を再度漏らした。先ほどまで彼の言葉に備わっていた怒りの刃は既に抜け落ちている。
ため息に乗っていたのは深い悲しみだけ。

「…分かったよ。もう戻って来るつもりはないんだね。
すごく…残念だよ」

白神は再度呼吸を整え、少女へと向き直った。
明確に対戦相手を捉えた後は、デュエルに勝つだけだ。

「反転召喚《白鰯》」[攻800]

地面から水しぶきと共に白い鰯のモンスターが飛び上がった。

「お、ついに展開開始ですね!」

ぶれる事のない楽し気な声の少女が何かを言っている。

「手札の《白曼波》の効果発動。
同名モンスターがフィールドにいる墓地の《白鰯》を対象に、手札のこのカードと一緒に特殊召喚する」
手札:3枚→2枚

水面となった地面からバシャッと音を立てながら白いマンボウが打ちあがり、その口には《白鰯》がくわえられており、着地と同時に解放された。

「わ、マンボウだ!本物初めて見ました!
あれ?でも、モンスターだから本物ではない…?」

「墓地から特殊召喚した《白鰯》は自身をチューナーとして扱う。
僕は、反転召喚した《白鰯》と《フィッシュボーグープランター》の2体でリンクマーカーをセットだ。
リンク召喚。

来い、《アビス・オーバー》」[攻1500]

水面から淡く灯った光が吊るされた枝の様な物が姿を見せる。

「ん…この感じどこかで見覚えがありますね…。
なんだっけ…?」

「《アビス・オーバー》リンク召喚時手札からレベル4以下の魚族を自身のリンク先へ特殊召喚できる」

リンクモンスターの効果説明に合わせて少女は自身のデュエルディスクを確認する。

「なるほど、展開効果に除去効果も持ってるんですね。
これは強力だ~。ということは止めるしかないですね!
効果にチェーンして速攻魔法《凍てつく呪いの神碑》を《アビス・オーパー》を対象に発動です!
《アビス・オーパー》の効果をターン終了時まで無効にして、白神さんのデッキトップからカード3枚を除外しますよ!」
白神デッキ:24枚

ゆらゆらと揺れる光の元へ青いルーン文字が浮かび上がると、突如バシャっという水音と共に、あごひげで三又の矛を持ったチョウチンアンコウが水面にへと浮かび上がって来た。

「あ、チョウチンアンコウだ!思い出しましたよ!
深海魚でしたっけ?こうやって獲物が来るの待ち構えてるんですねー!」

「なら、墓地の《フィッシュボーグープランター》の効果だ。
デッキトップを墓地へ送り、水属性なら自身を墓地から特殊召喚できる。
デッキトップを墓地へ送るよ」

白神がデッキトップを墓地へ送ると、墓地からプランターが飛び出す。

「デッキトップは水属性《白棘鱏》。よって、プランターを特殊召喚だ」[守200]

うねうねとした機械触手で本体の花が咲いた水槽を支えるモンスターがフィールドへと這い出てきた。

「続いて、《揺海魚デッドリーフ》を反転召喚。
反転召喚時にも効果が使用可能。デッキから《白鰯》を墓地へ送るよ」

深海に潜行していたデッドリーフが青い目を光らせながら浮上する。

「墓地に水属性しか存在しない場合、墓地からチューナーモンスター《フィッシュボーグ-ランチャー》を特殊召喚」[守100]

背中にランチャーを背負い、中央に位置する水槽の中で虫の様な物が蠢くロボットがフィールドへと飛び出してくる。

「レベル4《揺海魚デッドリーフ》と《白曼波》、レベル2の《フィッシュボーグープランター》に、レベル1の《フィッシュボーグ-ランチャー》をチューニング。
シンクロ召喚。

来い、《氷結界の還零龍 トリシューラ》」[攻2700]

フロア内が凍てつく冷気で満たされる。
現れたのは三つ首の氷龍。赤く血走った線が体表を巡るドラゴンが叫び声をあげる。

「来ましたね…!
確かフィールドのカードの3枚除外でしたよね」

「シンクロ召喚時、相手フィールドのカード3枚を除外する。
僕はキミから見て右から2体、左から2番目の合計3体を除外する」

「よく覚えてましたね!
未来龍王とキョンシー、妖精の3体が除外されますよ~」

三つ首の龍が口に氷弾を作り出し、選ばれたカードへと放たれる。着弾した瞬間に、カードは凍り付き、瞬時に割れ跡形もなくなる。

「(これで分かってる不穏なカードは除去した。
後はさっきのターンに手札から伏せたモンスターだけだ…。)
墓地の《揺海魚デッドリーフ》を除外して、《白曼波》と2体の《白鰯》を対象に効果発動。対象カードをデッキにへと戻し、デッキから1枚ドローする」
手札:2枚→3枚

デッキから1枚のカードを引きこむと、フィールドに存在する2体のモンスターに白神が手に取る。

「トリシューラも素材に…?
でも合計レベルは13になっちゃいますよ?」

「僕はこの2体のモンスターをリリース」

突如として消え去るフィールドの還零龍と《白鰯》。
意図の分からない行動に少女はワクワクを隠さない。

「なんですか!?何する気ですか!」

「僕はまだ通常召喚を行っていないからね。
アドバンス召喚だ。

来い、《超古深海王シーラカンス》」[攻2800]
手札:3枚→2枚

振動により地面に波紋が広がる。真っ黒な床から巨大な水しぶきと共にそれは姿を現した。
巨大な体に鋭い牙、まるで装飾が施されているかのような体表と硬い鱗。
青い宝石の様な目を光らせた巨大魚がフィールドに姿を覗かせたのだ。

「おっきなモンスターですねぇ。
海でこんなの見たら怖すぎますよ!」

シーラカンスの存在感に怯える事無く、少女は楽しそうな反応を返すばかりだ。

「シーラカンス効果発動。手札1枚を捨てて、デッキから魚族モンスターを可能な限り特殊召喚する。
デッキから《フィッシュボーグ-ランチャー》、
《白鰯》、
《貪食魚グリーディス》、
《白棘鱏》の4体を守備表示で特殊召喚する」[守100][守0][守1000][守1000]
手札:2枚→1枚

続々とフィールドにへと飛び出してくる魚族のモンスター。多種多様な見目のモンスターがシーラカンスの周囲へと集う。

「一気に4体も…!
チューナーもいますし、ここからさらにシンクロ召喚ですね!」

「…僕は、レベル2《白鰯》とレべル4《白棘鱏》にレベル3の《貪食魚グリーディス》でチューニング。
シンクロ召喚。

来い、《飢鰐竜アーケティス》」[攻1500]

素材となった3体の魚族が地面にへと潜る。しばらくすると、深い水の底から何か黒い影が浮上してくる。
フィールドへ刺々しい鱗に身を覆ったワニの様な頭部を持った魚竜が飛び出し、大きな口を開いた。

「きゃー!食べられそうです!」

完全に観客視点の少女が、恐ろしい牙を持ったアーケティスを前に楽し気な悲鳴を上げる。

「シンクロ召喚時、素材としたチューナー以外のモンスターの数だけドローが出来る。
僕はデッキから2枚ドロー」[攻2500]
手札:1枚→3枚

白神は手札に加わった2枚のカードを即座に墓地へと送り込む。

「アーケティスの効果発動。手札2枚をコストにフィールドのカード1枚を破壊できる。僕はキミのフィールドの真ん中のセットモンスターを破壊するよ」
手札:3枚→1枚

水中へと潜ったアーケティスは、対象となったセットモンスターの元まで潜行すると突如として飛び出すセットモンスターを喰らった。

「セットモンスターは~《ゴーストリック・スケルトン》でした!」

「最後だ。
レベル7の《超古深海王シーラカンス》にレベル1《フィッシュボーグ-ランチャー》をチューニング。
シンクロ召喚。

来い、《白闘気白鯨》!」[攻2800]

シーラカンスと共にランチャーが地面の深くへと潜っていく。
突如、白神の背後から巨大な白い鯨が飛び上がり着水と共に巨大な水しぶきが舞い散る。

「鯨!白神さんらしいモンスター達が並びましたね!」

巨大な2対のシンクロモンスターを前に少女は両手を高く挙げ、依然として楽しそうな素振りを見せながら、白神の次の一手を気にしている。

「バトルフェイズだ。
《白闘気白鯨》で、右のセットモンスターを攻撃」[攻2800]

白鯨が水音と共に潜行を開始する。

「セットモンスターは《ゴーストリックの猫娘》です!」[守900]

「《白闘気白鯨》が守備表示モンスターを攻撃する時、キミに貫通ダメージを与える」

地面から飛び出した白鯨の頭がセットモンスターである猫娘を弾き飛ばす。
姿を現した猫娘が少女の顔面に向かって飛んでくる。

「あいた!」

梨沙LP:8000→6100


勢いに負けた少女の体は後ろに倒れ込む。それと同時に実体化した猫娘が破壊され消失する。

「あはは!猫娘が顔にぶつかっちゃいましたね!」

倒れ込んだ衝撃などなかったかのように少女は身を起こす。

「…《白闘気白鯨》は2回までモンスターに攻撃できる。
追撃だ、《白闘気白鯨》で、残ったセットモンスターを攻撃」[攻2800]

「貫通持ち…ってことは一気に2800ダメージですか。痛いですねぇ。
セットモンスターは守備力0の《神碑の翼フギン》です!
白神さんの事ですからちゃんと覚えてると思いますけど!」[守0]

猫娘を攻撃した白鯨がそのまま次の攻撃態勢に移行する。
巨大な白い尾がセットモンスターへと放たれる。
その衝撃によりセットモンスターが破壊され、その衝撃波が少女の元まで届く。

「ぶはっ!」

梨沙LP:6100→3300


勢いよくぶつかった衝撃波は、少女の体を容易く浮かし、その場から弾き飛ばした。
しかし、それを受けても少女の意識はデュエルから離れない。

「2800ダメージ受けましたけど、残ったモンスターの攻撃力はどちらも1500です!
このターンでは、私のライフは0に出来なさそうですね?
ということはまだ私も逆転のチャンスがあるってことです!」

「チャンス?
デュエルに縋るキミにチャンスなんかある訳ないだろ?」

冷たく言い放つ白神の機嫌などまるで気にせず少女が笑う。

「なんですかそれー!まだ何か残してるってことですか!?
いいですね。すごく素敵ですよ!
まだまだ楽しく楽しく白神さんとのデュエルを楽しみ尽くさないと!」

冷たく少女を見据える白神の人差し指が、デュエルディスク上に表示される1枚のカードに触れる。

「永続魔法《白の輪廻》の効果を発動。自分のホワイト・オーラモンスターが攻撃を行ったダメージステップ終了時に発動。
《白闘気白鯨》はもう一度だけ追加で攻撃が行える」

「も、もう一回攻撃ですか!?」

効果の発動に反応した白鯨が水の中へと潜り始める。

「《白闘気白鯨》でダイレクトアタック」[攻2800]

フィールドから姿を消した白鯨。
それはすぐさま白神の背後から高く高く飛び上がる。薄暗いフロアだが、うっすらと照らされる照明が巨大な鯨の体で隠され、下から見上げる少女に真っ黒な鯨の陰だけがくっきりと見える。

「わぁ……すごいなぁ……」

ゆっくりと少女がその陰を目で追う。
その巨大な陰はすぐさま眼前の地面にへと衝突した。しかし、地面は鯨の巨体を柔軟に受け止め、そこから生み出された水が津波となって少女を襲い掛かる。

「わ…!!!」

梨沙LP:3300→500


少女が驚嘆の声を言いきる前に、その口の中へと濁流が流し込まれる。
少女を飲み込んだ津波が、そのままの勢いでフロアの壁にへと叩きつけられた。
当然、飲み込まれた少女もまた壁にへと叩きつけられることとなるはずだ。

水が引くと少女は壁にもたれかかったまま動かない。

「………」

それを静かに見ていた白神は、動かない少女から目を逸らす。


「げほっ…」


少女の咳き込む声が耳に届き、すぐにそちらへと視線を戻す。
すると、あれだけのダメージを受けたにも関わらず少女は立ち上がり、白神の方へと向き直るのだ。

「よいしょー。案外津波に巻き込まれても死なないんですね?
でもまさか、永続魔法にそんな効果があったなんて!
私もまだまだですね~。さ!白神さん!このデュエルは私の負けですけど、まだ終わってませんよ!ダイレクトアタックして、ゲーム終了まで見届けないと。
白神さんとのデュエルは最初の時も思いましたけど、すごく楽しいですから。
まだまだ、続けたいです。さ、とどめ刺してください!」

そう嬉々として口を動かしながら少女はゆっくりと白神の方にへと近づいてくる。しかし、その足取りや挙動はどこかぎこちなく、先程のダメージで体に負傷を抱えたのは目に見えて明らかだった。

「痛みが…ないようには見えないけど…?
そんなによろよろ歩いて…痛みを我慢してまでキミは何を言っているんだ…?」

「我慢?我慢ってどういうことですか?
さ、どんな攻撃を見せてくれますか?」

意味が分からないと言った風に少女は喋る。その左腕は、不格好に巻かれていた包帯が解け、津波に飲み込まれた影響か赤い血がとめどなく流れ出しているというのに。

「痛く…ないの?
その傷…普通じゃないよ…?」

白神は恐る恐る血を流す少女にへと尋ねた。
それを少女は優しい笑みで少年へと返す。

「痛い訳ないじゃないですか~!
そんなことどうでもいいですから、ほら!白神さん!
早く攻撃しましょ!どうやってデュエルが終わるかも私楽しみにしてるんですから!
ほら!はーやーく!」

己の体がどのような状態になっているかなどそっちのけで、少女はデュエルのフィナーレを気にしている。
それと対峙する白神の額から一筋の汗が流れ落ちた。

「……きついって…」

「白神さ~ん?」

一言そう漏らした後、白神は少しの間口を閉ざした。
彼が一体何を考えているのかは分からない。そして、その沈黙の意味を少女が理解する事はない。
顔色が悪くなっていき、それと共に視線も下にへと下がっていく白神。
そんな彼にはあっけらかんとした少女の声が不規則に投げかけられるばかりだ。

「白神さんってば~」

何度目かの声掛けでようやく白神は口を開いた。
しかし、それは目の前の少女に対するものではない。ぽつぽつと自分の頭の中で考えていたものが、口から無意識に零れ落ちるような。そんなか細く、まるで何かを自分に言い聞かせているかのような言葉が漏れ聞こえてくる…。

「考えても…仕方ないだろ…そんなこと。
僕が決めた事なんだ。
金さえあれば…どうとでもなるんだから…。
後は外に出るだけ。それだけ。もう少しだ。

今更なんだ…?邪魔だ…邪魔なんだよ…。

僕の邪魔をするな!!!」

漏れ出した思考は突如怒号となってフロア内へと響き渡る。一体誰に向けた言葉なのか。その答えは白神しか知らない。
そんなことは少女にとっては些細な事だ。論外と言ってもいい。
少女は俯く銀髪の少年にへと左腕を差し伸べる。

「誰も邪魔なんかしてないですよ~?
ほら、白神さん?」

顔をあげた少年の目に映るのは、優しい少女の笑顔だ。
傷だらけの左腕から赤黒い鮮血を滴らせ…自分を見つめるその瞳の奥底。
漆黒そのものが…どこまでも広がっていた。

「…っアーケティス!!
ダイレクトアタックだ!!!」[攻1500]

攻撃宣言が下った。白神から発せられた上ずり声高に叫ばれたそれには、明らかに焦燥が紛れ込んでいる。

ワニの様な頭部を持つアーケティスが優雅に空中を泳ぎ、攻撃対象へと向かう。
それを招き入れるかのように少女はデュエルディスクを着けた左腕をアーケティスにへと向ける。


その左腕をアーケティスの巨大な口が飲み込んだ。


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