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Report#18「ハイエナ狩」 作:ランペル
「そこ、通りたいんだけど?」
銀髪の少年の前に、金髪にサングラスをかけた軽々しい男が立ちふさがる。
「通す訳にはいかねぇなぁ?
坊やがせっかく、安全なフロアから外に出てきてくれてるんだ。持てなさないと失礼ってもんだろ」
男は左腕に取り付けたデュエルディスクを構える。
「そっちから仕掛けたんだから、死んでも文句はなしね。
ま、死んだら文句も言えないだろうけど…」
少年も男と同様右腕のデュエルディスクを構える。
双方のディスクが特有の機械音を発すると同時に、二人の背後の道がシャッターによって塞がれる。
ザザッピー
「ただいまよりフリーエリアにてデュエルを開始します。
ルール:マスタールール
LP:4000
モード:エンカウント
リアルソリッドビジョン起動…。」
「舐めた事抜かすなよ。ここなら、お前がシステムでカバーできるものはねぇ!
純粋な運と実力で勝負が決まるんだよ」
「運も実力もないから、外でハイエナしてるんでしょ?
大人しく死にかけだけ相手してればいいのに」
「…煽りだけは一丁前だなぁおい。すぐに減らず口叩けなくしてやるよ」
「デュエル」 LP:4000
「デュエッ」 LP:4000
ピー
「先行は肥沼様、後攻は白神様になります。」
[ターン1]
「俺の先行だぁ。《強欲で金満な壺》発動!
EXデッキからランダムに6枚を裏側で除外する事で、デッキからカードを2枚ドローする。
手札:5枚→6枚
いいのを引いたなぁ。《竜の霊廟》を発動。デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へと送る。
俺はデッキから《覇王眷竜ダークヴルム》を墓地へ。
そして、自分フィールドにモンスターがいない時、墓地のダークヴルムは特殊召喚できる!」
手札:6枚→5枚
黄緑色の光沢を持った刃のような翼を広げドラゴンがフィールドへと現れた。
「ダークヴルムが召喚、特殊召喚成功時にデッキから《覇王門》ペンデュラムモンスターを手札に加える。俺は《覇王門零》を手札に加える」
手札:5枚→6枚
「ペンデュラムモンスターか」
「坊やにこのデッキが理解できるかぁ?
《EMドクロバット・ジョーカー》召喚。召喚時に《調弦の魔術師》を手札へ加える」
手札:6枚→6枚
紫色のシルクハットを被ったマジシャンのようなモンスターがフィールドへと降り立つ。
「スケール0の《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》をペンデュラムスケールにセッティング」
手札:6枚→5枚
男の右側へ青色の筒状の空間が現れそこへ0の数字とドラゴンが浮かび上がる。
「フィールド魔法《天空の虹彩》発動だ。その効果で、セッティング済の《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》を破壊する。
手札:5枚→4枚
そして、デッキから《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》を手札に加える」
手札:4枚→5枚
デッキから飛び出した1枚のカードを大げさに引き手札へと加える。
「《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》を手札から捨て、500のライフをコストに効果発動!
デッキからレベル8以下のドラゴン族ペンデュラム…《アモルファージ・ガストル》を手札へと加える!」
手札:5枚→5枚
肥沼LP4000→3500
「アモルファージ…?」
「ははぁん?さては聞いた事ねぇな?
見せてやるよ。こいつらの恐ろしい力をな!
永続魔法《アモルファージ・インフェクション》発動!
手札:5枚→4枚
こいつの効果により、俺のモンスターが戦闘・効果で破壊された時とリリースされた場合にアモルファージを手札に加える事が出来るようになった!
俺は《覇王眷竜ダークヴルム》、《EMドクロバット・ジョーカー》をリリースし…」
2体のモンスターがフィールドから消え、赤い球体と緑の球体がフィールドへと現れる。
それらが高速で回転を始めたかと思えば、突然球体が静止し、ぼんやりと何かが球体の辺りに出現し始める。
「さぁ、姿を現わせ!EXデッキより《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》を特殊召喚だぁ!!!」
2つの球体の間から、眼を光らせたドラゴンが首を震わせ、ぼやけていたそれが実体化する。
白を基調としたその体から発せられる光沢はとても神々しく、ドラゴンの一部となった2つの球体が眩く輝く。
「なんか似合わない神々しいのが出てきたね」
「ははぁ!これがゴッド!神の眼を持つ竜だ。
恐ろしさを教えてやるが、その前に《アモルファージ・インフェクション》の効果によりデッキから《アモルファージ・イリテュム》を手札へと加えさせてもらうぜ。
手札:4枚→5枚
さぁて、こっからがお楽しみ所だ。
手札からスケール0の《覇王門零》とスケール9の《ケンドウ魂 KAI-DEN》でペンデュラムスケールをセッティングだぁ!」
手札:5枚→3枚
男は2枚のペンデュラムカードを少年へと見せつけると、デュエルディスクへと2枚を一度の動きで華麗にセッティングする。
セッティングすると男の右側に丸いモンスターが0のスケールと共に、左側へ光る竹刀を背中へと携帯する剣道家のようなモンスターが9のスケールと共に、表示される。
「これにより、レベル1から8までのモンスターが同時に召喚可能になった!
俺を勝利へ導けぇ、ペンデュラム召喚!
レベル4《調弦の魔術師》!
侵されれば、過去は消え去る。虚飾竜《アモルファージ・イリテュム》!」
手札:3枚→1枚
金色に輝く音叉を手に、桃色の髪の魔法使いのモンスターと胸部にクリスタルが突き刺さったドラゴンがフィールドへと現れる。
「この瞬間、《ケンドウ魂 KAI-DEN》のペンデュラム効果、チェーンして《調弦の魔術師》の効果だ。
調弦の効果でペンデュラム召喚成功時に、デッキから《黒牙の魔術師》を特殊召喚だ。そして、KAI-DENの効果でこのカードを手札へ戻す」
手札:1枚→2枚
《調弦の魔術師》が音叉を叩くと黒いマントを靡かせた魔術師がフィールドへと現れる。
そして、剣道家が背中の竹刀を抜き、振るうと手札へと戻っていく。
「さぁて、仕上げだ…。スケール5の《アモルファージ・ガストル》をペンデュラムスケールにセッティング」
先程まで剣道家が居た位置へ、今度は背中から蠅が生えてきているドラゴンが表示される。
「きも…」
「余裕ぶってるのも今の内だ。
《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》の効果で、お前の魔法・罠の発動は俺の魔法・罠を墓地へ送ることで無効にでき、
《アモルファージ・イリテュム》の効果により、お互いにアモルファージ以外をEXデッキから特殊召喚できず、
《アモルファージ・ガストル》のペンデュラム効果により、お互いにアモルファージ以外のモンスター効果を発動できなくなっているんだよ!」
「(ん…?)」
少年は少しだけ首を傾げる。
「これがアモルファージだ!段々体を蝕まれ、いずれは自我すら崩壊させる!
坊やみたいなフロア主がどれだけ踏ん反りかえってようがなぁ!崩れちまえば無意味なんだよ!」
饒舌に男は語る。
「あー、そのモンスターの方があんたには似合ってそうだね」
「相変わらず生意気な。それじゃぁ、見せてもらおうか?
運も実力も持ち合わせてるならこんな盤面突破できるよなぁ?
ターンエンドだ!」
男は少年を煽りながらターンの終わりを宣言する。
肥沼-LP:3500
手札:1枚
[ターン2]
「まぁ、あんたも僕とデュエルするまでは死ななかったみたいだし、運もなくはないのかな?
ここまでだったみたいだけど…。
僕のターン、ドロー」
手札:5枚→6枚
「さてさて、お手並み拝見と行こうじゃないか…
突如、フィールドに巨大な水しぶきがあがる。
「な、なんだ…!?」
男がフィールドを見ると、そこには巨大な亀の怪獣が《アモルファージ・イリテュム》の首から上を口に咥えていた。
「な、なんなんだこの怪物…」
その怪獣は肥沼の顔を見るように顔を近づけてくる。
その巨大な怪獣が動くだけで、とてつもない威圧感を発している。
「ぐ……」
怪獣は口に加えていたイリテュムを吐き捨てると、少年の方へと向いた。
「いったいなにが…」
「あんたの《アモルファージ・イリテュム》をリリースして、《海亀壊獣ガメシエル》をあんたのフィールドに特殊召喚した」[攻2200]
手札:6枚→5枚
「リリース…だと!?」
「これはモンスターの召喚行為、効果の発動じゃないからガストルの効果には引っかからない。そして、アモルファージが居なくなったことで、モンスター効果封じの効果も切れた」
「く、くそ…たった1枚で…俺のロックを…」
「ちなみに、ゴッドアイズの効果もガストルで無効になってたのは知ってる?」
「は?………あ」
金髪の男はサングラスの向こうの目をぱちぱちさせている。
「要するに大したロックじゃないってことだ。でもま、おまけで使ってあげよう。
《禁じられた一滴》発動。手札の《フィッシュボーグ-プランター》《フィッシュボーグ-アーチャー》の2体を墓地へ。
手札:5枚→2枚
その効果により、墓地へ送った2体モンスターの効果を無効+攻撃力を半分にする。僕は《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》と《海亀壊獣ガメシエル》を選ぶよ」
「魔法ならゴッドアイズの効果で…」
「…本当によく生きてたねあんた…。
《禁じられた一滴》の発動に対して、コストにしたカードと同じ種類のカードはチェーン出来ない」
「く、くそ!?」
宙に現れた聖杯から一粒の雫が地面へと滴り落ちる。
地面へと着地した雫は地面へと波紋を広げ、ゴッドアイズとガメシエルに波紋が触れると2体のモンスターは力が抜けたようにぐったりとなる。
「自分フィールドにモンスターがいない時、墓地の《フィッシュボーグ-アーチャー》は手札の《フィッシュボーグ-ドクター》をコストに特殊召喚できる」[守300]
手札:2枚→1枚
フィールドへ二つの水槽を携えたロボットが走り込んでくる。
「さらに、墓地の《フィッシュボーグ-ドクター》は自分フィールドがフィッシュボーグのみの時、墓地から特殊召喚できる」
水槽を頭部にした魚型のロボットがフィールドへと泳いでくる。
「今度はデッキトップを墓地へと送り、それが水属性なら《フィッシュボーグ-プランター》も墓地から特殊召喚できる。デッキトップは…
水属性《貪食魚グリーディス》、よって墓地からプランターを特殊召喚」
てっぺんから花を咲かせた水槽のモンスターが触手をうねうねさせながらフィールドへと現れた。
「《フィッシュボーグ-プランター》《フィッシュボーグ-ドクター》の2体にレベル3のチューナー《フィッシュボーグ-アーチャー》をチューニング。
シンクロ召喚。
来い、《飢鰐竜アーケティス》」[攻1500]
地面からぬるりと刺々した鱗が見えたかと思うと、ワニの様な魚類が水しぶきをあげながら地面から飛び出した。アーケティスは、男を見つけると威嚇するように咆哮をあげる。
「ひっ…」
「アーケティスがシンクロ召喚に成功した時に、素材に使用したチューナー以外のモンスターの数だけドローできる。デッキから2枚ドローする」
手札:1枚→3枚
「だ、だが攻撃力は1500…俺のモンスターは倒せても俺を殺すまではいかないはずだ…!」
「落ち着きなって、そんな焦らなくてもこのターンで終わらせてやるから。
《深海のディーヴァ》召喚。
召喚時の効果でデッキから《黄紡鮄デュオニギス》を特殊召喚するよ」
手札:3枚→2枚
人魚の歌姫がフィールドで歌声を披露すると、歌姫の背後から体を赤色と黄色い鱗で身を包んだ、二人組のモンスターが現れる。
二対のモンスターは持っているカサゴを思わせるギターで歌姫の歌声に音色を重ねる。
「デュオニギスが特殊召喚成功時に、自分フィールドの水属性の数だけ相手のデッキトップを除外する。
僕のフィールドのモンスターは3体だから3枚除外だ」
デュオニギスがギターから短く3度音色を響かせると、男のデッキトップから《アモルファージ・ヒュペル》《トリックスター・ヒヨス》《キュウドウ魂 HAN-SHI》の3枚が飛び上がり除外される。
「デュオニギスの更なる効果。レベル4以下の水属性のレベルをその元のレベル分上昇させる。
僕はデュオニギス自身を対象として、レベルを3つ上昇させる。
《黄紡鮄デュオニギス》:☆3→6
レベル6となった《黄紡鮄デュオニギス》にレベル2の《深海のディーヴァ》をチューニング。
シンクロ召喚。
来い、《白闘気白鯨》」[攻2800]
地面が揺れたかと思うと、少年の背後から巨大な白い鯨が地面から飛び出し、再び地面へと着水し津波を巻き起こす。
「ホエールがシンクロ召喚成功時に、相手の攻撃表示モンスターをすべて破壊する」
「なに!?」
巻き起こした津波にゴッドアイズとガメシエルが巻き込まれフィールドから姿を消す。
「くそ…だが、《アモルファージ・インフェクション》の効果でデッキから《アモルファージ・オルガ》を手札に加えさせてもらう…」
手札:1枚→2枚
「ホエールは1度のバトルフェイズに2回モンスターに攻撃でき、守備表示モンスターに攻撃する際には貫通ダメージを与える事が出来る」
「な…!?2800の2回攻撃!?」
「そっちの2体は守備力が低いね。じゃ、これで終わりかな?
バトルフェイズ」
「ま、待て、悪かったから。坊やがちゃんと強いのは分かったから。
た、頼む。見逃してくれ…」
「今更何言ってんの?
《白闘気白鯨》で《調弦の魔術師》を攻撃」
調弦の魔術師の足元から、突然白闘気白鯨が飛び出し調弦の魔術師を吹き飛ばす。
白鯨が地面へと潜ると共に巻き起こる津波が男を飲み込む。
「くそ…!?ぐぉぽぉ!!??」
肥沼LP3500→700
勢いのある津波は人の体などいともたやすく吹き飛ばし男は水力の赴くまま、背後のシャッターへと水圧と共に叩きつけられる。
「がはっ…げほっ、い、ってぇ…げほっ…」
津波が収まると水位が上昇し、男と少年の足元が濡れる。
「ちっ…(シャッター閉まって狭いから水位が上がってるのか…靴濡れたし…)」
「みず、が…ごほっ……」
「喧嘩売る相手見誤ったね。
《白闘気白鯨》で2回目の攻撃、《黒牙の魔術師》を攻撃する。
アーケティス」
少年がアーケティスを呼ぶと、アーケティスが少年の元へとやって来る。
そして、アーケティスの上へと少年が飛び乗る。
それと同時に、少年の背後水面から白鯨が勢いよく飛び出し、地面へと着水する。
着水すると共に、巨大な水しぶきは濁流となってフィールドの黒牙の魔術師と男を飲み込む。
「うぐ…うわぁああああああ!!?」
肥沼LP700→0
シャッターによって閉鎖された狭いこの空間はあっという間に水で覆い尽くされる。
「広い場所だとここまで水が溜まるとかないからね。乗っといて正解だったな」
少年は水没したこの空間を見回しながらそう呟く。
ピーーー
「肥沼様のライフが0になりました。勝者は白神様です。」
アナウンスが流れるとほぼ同時に、先ほどまで塞がっていたシャッターがゆっくりと上昇し、勢いよく水が外へと排水されていく。
「とと…揺れるな…」
水がなくなり少年はモンスターから降りると、水滴だらけの地面はぴちゃりと音を立てる。
「ご苦労さん」
少年はそう言い、デュエルディスクからアーケティスを取りEXデッキへと戻す。それと同時にフィールドに居たアーケティスが姿を消す。
少年の目線の先には、びしょ濡れで仰向けになっている男がいた。
濁流に巻き込まれたからか、靴が脱げてたり、付けていたサングラスがなくなっている。
「死んだ?」
「………」
「…ま、一応デッドラインの3000ダメージではないし、後はあんたの体力次第って事で。僕が助ける義理ないしね」
男は意識がないのか動かない。
「せいぜい風邪ひかないように。靴濡れたのは許すから」
少年は手元のデュエルディスク上で獲得したボーナスを確認しながら男の元を後にする。
---
「イライラする…」
先程のデュエルで靴が濡れた事で、白神は機嫌を損ねている。
「ああいう奴はさ、普通に死んでいいと思うわ(積極的に殺そうとは思わんけども…)」
愚痴をこぼしながら歩いていると、目を凝らさないと壁との違いを判断できない程に目立たない白い扉の元へとたどり着く。
「やっと着いた」
白神が扉へと触れると扉が開かれる。
扉の先は先程までの廊下と同様、天井、壁、床すべてが白に塗りたくられており、照らされる照明も白いものだった。
奥の方にはソファやベッド、その隣には大きな水槽が置かれていたりと家具やインテリアが散見される。
「気持ち悪い…」
白神は即座に靴と靴下を脱ぎ棄て、ポケットのカードケースから1枚のカードを取り出し、デュエルディスクの上へと置く。
「燃やさないぐらいに乾かしといて」
脱ぎ捨てた靴と靴下の近くへ《業火の結界像》が召喚される。
白神の言葉を聞いてか、靴と靴下を中心に暖かい結界が張られる。
素足のまま白神はソファへと横になり、デュエルディスクの画面をチェックする。
「172万5000…だいぶ貯まったなぁ…」
ボーナスによって増えた自身のDPを確認した後、目を閉じ先ほどのデュエルを思い返す。
「(噂のハイエナ野郎…アモルファージでモンスター効果を封じられちゃ大抵身動きできずにやられてただろうな…ましてやライフは4000…。
犠牲者増える前にちゃんと殺しきっとくべきだったかな…)」
一拍開けて白神はため息を漏らす。
「(なんで僕が心労負ってまで他の人助けなきゃいけないんだよ…。
みんな金目的なんだ。そんな奴らがどうなろうと自業自得………)」
頭に今日ブラックフロアに来た女の子の事が過る。
「たしか…裏野さんだったか…?
(記憶がないからなのかデュエルを楽しんでたな…)」
ソファから起き上がり虚空を眺める。
「楽しいデュエル…ね…」
先程の殺し合いで一気に冷めてしまったが、彼女とのデュエルで久々に感じた胸の高鳴りは確かに覚えている。
「いい人そうだし、潰されてないといいけどなぁ…」
この環境で楽しくデュエルが出来るなんて経験はなかった。
何とも不思議な他人を少しだけ心配しながら、目を閉じ白神は眠りについた…。
*****
名前 :白神 翔
年齢 :15
クラス :Ⅲ(担当:ホワイトフロア)
被験者番号:273-0109
*****
銀髪の少年の前に、金髪にサングラスをかけた軽々しい男が立ちふさがる。
「通す訳にはいかねぇなぁ?
坊やがせっかく、安全なフロアから外に出てきてくれてるんだ。持てなさないと失礼ってもんだろ」
男は左腕に取り付けたデュエルディスクを構える。
「そっちから仕掛けたんだから、死んでも文句はなしね。
ま、死んだら文句も言えないだろうけど…」
少年も男と同様右腕のデュエルディスクを構える。
双方のディスクが特有の機械音を発すると同時に、二人の背後の道がシャッターによって塞がれる。
ザザッピー
「ただいまよりフリーエリアにてデュエルを開始します。
ルール:マスタールール
LP:4000
モード:エンカウント
リアルソリッドビジョン起動…。」
「舐めた事抜かすなよ。ここなら、お前がシステムでカバーできるものはねぇ!
純粋な運と実力で勝負が決まるんだよ」
「運も実力もないから、外でハイエナしてるんでしょ?
大人しく死にかけだけ相手してればいいのに」
「…煽りだけは一丁前だなぁおい。すぐに減らず口叩けなくしてやるよ」
「デュエル」 LP:4000
「デュエッ」 LP:4000
ピー
「先行は肥沼様、後攻は白神様になります。」
[ターン1]
「俺の先行だぁ。《強欲で金満な壺》発動!
EXデッキからランダムに6枚を裏側で除外する事で、デッキからカードを2枚ドローする。
手札:5枚→6枚
いいのを引いたなぁ。《竜の霊廟》を発動。デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へと送る。
俺はデッキから《覇王眷竜ダークヴルム》を墓地へ。
そして、自分フィールドにモンスターがいない時、墓地のダークヴルムは特殊召喚できる!」
手札:6枚→5枚
黄緑色の光沢を持った刃のような翼を広げドラゴンがフィールドへと現れた。
「ダークヴルムが召喚、特殊召喚成功時にデッキから《覇王門》ペンデュラムモンスターを手札に加える。俺は《覇王門零》を手札に加える」
手札:5枚→6枚
「ペンデュラムモンスターか」
「坊やにこのデッキが理解できるかぁ?
《EMドクロバット・ジョーカー》召喚。召喚時に《調弦の魔術師》を手札へ加える」
手札:6枚→6枚
紫色のシルクハットを被ったマジシャンのようなモンスターがフィールドへと降り立つ。
「スケール0の《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》をペンデュラムスケールにセッティング」
手札:6枚→5枚
男の右側へ青色の筒状の空間が現れそこへ0の数字とドラゴンが浮かび上がる。
「フィールド魔法《天空の虹彩》発動だ。その効果で、セッティング済の《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》を破壊する。
手札:5枚→4枚
そして、デッキから《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》を手札に加える」
手札:4枚→5枚
デッキから飛び出した1枚のカードを大げさに引き手札へと加える。
「《超天新龍オッドアイズ・レボリューション・ドラゴン》を手札から捨て、500のライフをコストに効果発動!
デッキからレベル8以下のドラゴン族ペンデュラム…《アモルファージ・ガストル》を手札へと加える!」
手札:5枚→5枚
肥沼LP4000→3500
「アモルファージ…?」
「ははぁん?さては聞いた事ねぇな?
見せてやるよ。こいつらの恐ろしい力をな!
永続魔法《アモルファージ・インフェクション》発動!
手札:5枚→4枚
こいつの効果により、俺のモンスターが戦闘・効果で破壊された時とリリースされた場合にアモルファージを手札に加える事が出来るようになった!
俺は《覇王眷竜ダークヴルム》、《EMドクロバット・ジョーカー》をリリースし…」
2体のモンスターがフィールドから消え、赤い球体と緑の球体がフィールドへと現れる。
それらが高速で回転を始めたかと思えば、突然球体が静止し、ぼんやりと何かが球体の辺りに出現し始める。
「さぁ、姿を現わせ!EXデッキより《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》を特殊召喚だぁ!!!」
2つの球体の間から、眼を光らせたドラゴンが首を震わせ、ぼやけていたそれが実体化する。
白を基調としたその体から発せられる光沢はとても神々しく、ドラゴンの一部となった2つの球体が眩く輝く。
「なんか似合わない神々しいのが出てきたね」
「ははぁ!これがゴッド!神の眼を持つ竜だ。
恐ろしさを教えてやるが、その前に《アモルファージ・インフェクション》の効果によりデッキから《アモルファージ・イリテュム》を手札へと加えさせてもらうぜ。
手札:4枚→5枚
さぁて、こっからがお楽しみ所だ。
手札からスケール0の《覇王門零》とスケール9の《ケンドウ魂 KAI-DEN》でペンデュラムスケールをセッティングだぁ!」
手札:5枚→3枚
男は2枚のペンデュラムカードを少年へと見せつけると、デュエルディスクへと2枚を一度の動きで華麗にセッティングする。
セッティングすると男の右側に丸いモンスターが0のスケールと共に、左側へ光る竹刀を背中へと携帯する剣道家のようなモンスターが9のスケールと共に、表示される。
「これにより、レベル1から8までのモンスターが同時に召喚可能になった!
俺を勝利へ導けぇ、ペンデュラム召喚!
レベル4《調弦の魔術師》!
侵されれば、過去は消え去る。虚飾竜《アモルファージ・イリテュム》!」
手札:3枚→1枚
金色に輝く音叉を手に、桃色の髪の魔法使いのモンスターと胸部にクリスタルが突き刺さったドラゴンがフィールドへと現れる。
「この瞬間、《ケンドウ魂 KAI-DEN》のペンデュラム効果、チェーンして《調弦の魔術師》の効果だ。
調弦の効果でペンデュラム召喚成功時に、デッキから《黒牙の魔術師》を特殊召喚だ。そして、KAI-DENの効果でこのカードを手札へ戻す」
手札:1枚→2枚
《調弦の魔術師》が音叉を叩くと黒いマントを靡かせた魔術師がフィールドへと現れる。
そして、剣道家が背中の竹刀を抜き、振るうと手札へと戻っていく。
「さぁて、仕上げだ…。スケール5の《アモルファージ・ガストル》をペンデュラムスケールにセッティング」
先程まで剣道家が居た位置へ、今度は背中から蠅が生えてきているドラゴンが表示される。
「きも…」
「余裕ぶってるのも今の内だ。
《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》の効果で、お前の魔法・罠の発動は俺の魔法・罠を墓地へ送ることで無効にでき、
《アモルファージ・イリテュム》の効果により、お互いにアモルファージ以外をEXデッキから特殊召喚できず、
《アモルファージ・ガストル》のペンデュラム効果により、お互いにアモルファージ以外のモンスター効果を発動できなくなっているんだよ!」
「(ん…?)」
少年は少しだけ首を傾げる。
「これがアモルファージだ!段々体を蝕まれ、いずれは自我すら崩壊させる!
坊やみたいなフロア主がどれだけ踏ん反りかえってようがなぁ!崩れちまえば無意味なんだよ!」
饒舌に男は語る。
「あー、そのモンスターの方があんたには似合ってそうだね」
「相変わらず生意気な。それじゃぁ、見せてもらおうか?
運も実力も持ち合わせてるならこんな盤面突破できるよなぁ?
ターンエンドだ!」
男は少年を煽りながらターンの終わりを宣言する。
肥沼-LP:3500
手札:1枚
[ターン2]
「まぁ、あんたも僕とデュエルするまでは死ななかったみたいだし、運もなくはないのかな?
ここまでだったみたいだけど…。
僕のターン、ドロー」
手札:5枚→6枚
「さてさて、お手並み拝見と行こうじゃないか…
突如、フィールドに巨大な水しぶきがあがる。
「な、なんだ…!?」
男がフィールドを見ると、そこには巨大な亀の怪獣が《アモルファージ・イリテュム》の首から上を口に咥えていた。
「な、なんなんだこの怪物…」
その怪獣は肥沼の顔を見るように顔を近づけてくる。
その巨大な怪獣が動くだけで、とてつもない威圧感を発している。
「ぐ……」
怪獣は口に加えていたイリテュムを吐き捨てると、少年の方へと向いた。
「いったいなにが…」
「あんたの《アモルファージ・イリテュム》をリリースして、《海亀壊獣ガメシエル》をあんたのフィールドに特殊召喚した」[攻2200]
手札:6枚→5枚
「リリース…だと!?」
「これはモンスターの召喚行為、効果の発動じゃないからガストルの効果には引っかからない。そして、アモルファージが居なくなったことで、モンスター効果封じの効果も切れた」
「く、くそ…たった1枚で…俺のロックを…」
「ちなみに、ゴッドアイズの効果もガストルで無効になってたのは知ってる?」
「は?………あ」
金髪の男はサングラスの向こうの目をぱちぱちさせている。
「要するに大したロックじゃないってことだ。でもま、おまけで使ってあげよう。
《禁じられた一滴》発動。手札の《フィッシュボーグ-プランター》《フィッシュボーグ-アーチャー》の2体を墓地へ。
手札:5枚→2枚
その効果により、墓地へ送った2体モンスターの効果を無効+攻撃力を半分にする。僕は《ゴッドアイズ・ファントム・ドラゴン》と《海亀壊獣ガメシエル》を選ぶよ」
「魔法ならゴッドアイズの効果で…」
「…本当によく生きてたねあんた…。
《禁じられた一滴》の発動に対して、コストにしたカードと同じ種類のカードはチェーン出来ない」
「く、くそ!?」
宙に現れた聖杯から一粒の雫が地面へと滴り落ちる。
地面へと着地した雫は地面へと波紋を広げ、ゴッドアイズとガメシエルに波紋が触れると2体のモンスターは力が抜けたようにぐったりとなる。
「自分フィールドにモンスターがいない時、墓地の《フィッシュボーグ-アーチャー》は手札の《フィッシュボーグ-ドクター》をコストに特殊召喚できる」[守300]
手札:2枚→1枚
フィールドへ二つの水槽を携えたロボットが走り込んでくる。
「さらに、墓地の《フィッシュボーグ-ドクター》は自分フィールドがフィッシュボーグのみの時、墓地から特殊召喚できる」
水槽を頭部にした魚型のロボットがフィールドへと泳いでくる。
「今度はデッキトップを墓地へと送り、それが水属性なら《フィッシュボーグ-プランター》も墓地から特殊召喚できる。デッキトップは…
水属性《貪食魚グリーディス》、よって墓地からプランターを特殊召喚」
てっぺんから花を咲かせた水槽のモンスターが触手をうねうねさせながらフィールドへと現れた。
「《フィッシュボーグ-プランター》《フィッシュボーグ-ドクター》の2体にレベル3のチューナー《フィッシュボーグ-アーチャー》をチューニング。
シンクロ召喚。
来い、《飢鰐竜アーケティス》」[攻1500]
地面からぬるりと刺々した鱗が見えたかと思うと、ワニの様な魚類が水しぶきをあげながら地面から飛び出した。アーケティスは、男を見つけると威嚇するように咆哮をあげる。
「ひっ…」
「アーケティスがシンクロ召喚に成功した時に、素材に使用したチューナー以外のモンスターの数だけドローできる。デッキから2枚ドローする」
手札:1枚→3枚
「だ、だが攻撃力は1500…俺のモンスターは倒せても俺を殺すまではいかないはずだ…!」
「落ち着きなって、そんな焦らなくてもこのターンで終わらせてやるから。
《深海のディーヴァ》召喚。
召喚時の効果でデッキから《黄紡鮄デュオニギス》を特殊召喚するよ」
手札:3枚→2枚
人魚の歌姫がフィールドで歌声を披露すると、歌姫の背後から体を赤色と黄色い鱗で身を包んだ、二人組のモンスターが現れる。
二対のモンスターは持っているカサゴを思わせるギターで歌姫の歌声に音色を重ねる。
「デュオニギスが特殊召喚成功時に、自分フィールドの水属性の数だけ相手のデッキトップを除外する。
僕のフィールドのモンスターは3体だから3枚除外だ」
デュオニギスがギターから短く3度音色を響かせると、男のデッキトップから《アモルファージ・ヒュペル》《トリックスター・ヒヨス》《キュウドウ魂 HAN-SHI》の3枚が飛び上がり除外される。
「デュオニギスの更なる効果。レベル4以下の水属性のレベルをその元のレベル分上昇させる。
僕はデュオニギス自身を対象として、レベルを3つ上昇させる。
《黄紡鮄デュオニギス》:☆3→6
レベル6となった《黄紡鮄デュオニギス》にレベル2の《深海のディーヴァ》をチューニング。
シンクロ召喚。
来い、《白闘気白鯨》」[攻2800]
地面が揺れたかと思うと、少年の背後から巨大な白い鯨が地面から飛び出し、再び地面へと着水し津波を巻き起こす。
「ホエールがシンクロ召喚成功時に、相手の攻撃表示モンスターをすべて破壊する」
「なに!?」
巻き起こした津波にゴッドアイズとガメシエルが巻き込まれフィールドから姿を消す。
「くそ…だが、《アモルファージ・インフェクション》の効果でデッキから《アモルファージ・オルガ》を手札に加えさせてもらう…」
手札:1枚→2枚
「ホエールは1度のバトルフェイズに2回モンスターに攻撃でき、守備表示モンスターに攻撃する際には貫通ダメージを与える事が出来る」
「な…!?2800の2回攻撃!?」
「そっちの2体は守備力が低いね。じゃ、これで終わりかな?
バトルフェイズ」
「ま、待て、悪かったから。坊やがちゃんと強いのは分かったから。
た、頼む。見逃してくれ…」
「今更何言ってんの?
《白闘気白鯨》で《調弦の魔術師》を攻撃」
調弦の魔術師の足元から、突然白闘気白鯨が飛び出し調弦の魔術師を吹き飛ばす。
白鯨が地面へと潜ると共に巻き起こる津波が男を飲み込む。
「くそ…!?ぐぉぽぉ!!??」
肥沼LP3500→700
勢いのある津波は人の体などいともたやすく吹き飛ばし男は水力の赴くまま、背後のシャッターへと水圧と共に叩きつけられる。
「がはっ…げほっ、い、ってぇ…げほっ…」
津波が収まると水位が上昇し、男と少年の足元が濡れる。
「ちっ…(シャッター閉まって狭いから水位が上がってるのか…靴濡れたし…)」
「みず、が…ごほっ……」
「喧嘩売る相手見誤ったね。
《白闘気白鯨》で2回目の攻撃、《黒牙の魔術師》を攻撃する。
アーケティス」
少年がアーケティスを呼ぶと、アーケティスが少年の元へとやって来る。
そして、アーケティスの上へと少年が飛び乗る。
それと同時に、少年の背後水面から白鯨が勢いよく飛び出し、地面へと着水する。
着水すると共に、巨大な水しぶきは濁流となってフィールドの黒牙の魔術師と男を飲み込む。
「うぐ…うわぁああああああ!!?」
肥沼LP700→0
シャッターによって閉鎖された狭いこの空間はあっという間に水で覆い尽くされる。
「広い場所だとここまで水が溜まるとかないからね。乗っといて正解だったな」
少年は水没したこの空間を見回しながらそう呟く。
ピーーー
「肥沼様のライフが0になりました。勝者は白神様です。」
アナウンスが流れるとほぼ同時に、先ほどまで塞がっていたシャッターがゆっくりと上昇し、勢いよく水が外へと排水されていく。
「とと…揺れるな…」
水がなくなり少年はモンスターから降りると、水滴だらけの地面はぴちゃりと音を立てる。
「ご苦労さん」
少年はそう言い、デュエルディスクからアーケティスを取りEXデッキへと戻す。それと同時にフィールドに居たアーケティスが姿を消す。
少年の目線の先には、びしょ濡れで仰向けになっている男がいた。
濁流に巻き込まれたからか、靴が脱げてたり、付けていたサングラスがなくなっている。
「死んだ?」
「………」
「…ま、一応デッドラインの3000ダメージではないし、後はあんたの体力次第って事で。僕が助ける義理ないしね」
男は意識がないのか動かない。
「せいぜい風邪ひかないように。靴濡れたのは許すから」
少年は手元のデュエルディスク上で獲得したボーナスを確認しながら男の元を後にする。
---
「イライラする…」
先程のデュエルで靴が濡れた事で、白神は機嫌を損ねている。
「ああいう奴はさ、普通に死んでいいと思うわ(積極的に殺そうとは思わんけども…)」
愚痴をこぼしながら歩いていると、目を凝らさないと壁との違いを判断できない程に目立たない白い扉の元へとたどり着く。
「やっと着いた」
白神が扉へと触れると扉が開かれる。
扉の先は先程までの廊下と同様、天井、壁、床すべてが白に塗りたくられており、照らされる照明も白いものだった。
奥の方にはソファやベッド、その隣には大きな水槽が置かれていたりと家具やインテリアが散見される。
「気持ち悪い…」
白神は即座に靴と靴下を脱ぎ棄て、ポケットのカードケースから1枚のカードを取り出し、デュエルディスクの上へと置く。
「燃やさないぐらいに乾かしといて」
脱ぎ捨てた靴と靴下の近くへ《業火の結界像》が召喚される。
白神の言葉を聞いてか、靴と靴下を中心に暖かい結界が張られる。
素足のまま白神はソファへと横になり、デュエルディスクの画面をチェックする。
「172万5000…だいぶ貯まったなぁ…」
ボーナスによって増えた自身のDPを確認した後、目を閉じ先ほどのデュエルを思い返す。
「(噂のハイエナ野郎…アモルファージでモンスター効果を封じられちゃ大抵身動きできずにやられてただろうな…ましてやライフは4000…。
犠牲者増える前にちゃんと殺しきっとくべきだったかな…)」
一拍開けて白神はため息を漏らす。
「(なんで僕が心労負ってまで他の人助けなきゃいけないんだよ…。
みんな金目的なんだ。そんな奴らがどうなろうと自業自得………)」
頭に今日ブラックフロアに来た女の子の事が過る。
「たしか…裏野さんだったか…?
(記憶がないからなのかデュエルを楽しんでたな…)」
ソファから起き上がり虚空を眺める。
「楽しいデュエル…ね…」
先程の殺し合いで一気に冷めてしまったが、彼女とのデュエルで久々に感じた胸の高鳴りは確かに覚えている。
「いい人そうだし、潰されてないといいけどなぁ…」
この環境で楽しくデュエルが出来るなんて経験はなかった。
何とも不思議な他人を少しだけ心配しながら、目を閉じ白神は眠りについた…。
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名前 :白神 翔
年齢 :15
クラス :Ⅲ(担当:ホワイトフロア)
被験者番号:273-0109
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