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HOME > 遊戯王SS一覧 > 26Turn 天上の採火

26Turn 天上の採火 作:ジェム貯めナイト

 「ねぇマルっちー! まだ着かないのー?」


 高速道路で渋滞に巻き込まれた1台のワゴン車の車内では、足首まで達する裾から伸びた足をバタつかせ、一口サイズのシュークリームを頬張る修道服姿の少女が、不満げに運転手へと問い詰めていた。


 「あっしは“マルチェッロ”ッスよ。“境階町”までもう少しだから――我慢し
てよ“マノン”ちゃん」


 アームレストへと頬杖をつきつつ、スカーレットとアイボリーの合わさったストレートの髪を指先で弄る少女――マノンの姿に、ハンドルを握るウェーブがかかった黒髪に短く顎鬚を生やした青年――マルチェッロは、呆れたように小さくため息をつく。


 「……本当にこの子が“守護霊の防人”期待の新人なんかねぇ……」

 「そうらしいねー。まあアタシは、サバスといられるなら何でもいーや」

 「君の親代わりだもんな。向こうに着いたら滞在する間お世話になる――こっちの人と顔合わせするから、ちゃんと振舞ってよ?」

 「アタシとマルっち、サバス以外に……?」

 「ヒノモト支部の弁護士さんにメイド長さん、それからマノンちゃんと年の近い――精霊の力を生まれながらにして行使する男の子だって」


 マルチェッロの挙げた面々を聞き、マノンが感嘆の言葉を口にすると次第に渋滞は動き出し、ようやくかと呟きマルチェッロがアクセルを踏むとともに、2人を乗せたワゴン車は境階町を目指して再び境階町へと進むのであった。





 「私のターン! 魔法カード《妖魔彷徨》により、手札からレベル4以下の《逆幽鬼 天邪鬼》を特殊召喚……!」


 境界町ではサバスと遊陽、遊無のデュエルが続いており、遊陽達の場に頭から1本の角を生やし、爪と牙を剝きだした小鬼が現れるとともに、自動シャッフルによりデッキトップに移動したカードを遊無は墓地に送る。


 「そして天邪鬼よりレベルと攻撃力の下回る《伸幽鬼 轆轤首》をデッキから墓地に。私は天邪鬼をリリース! 毒気を撒き散らし人々を貪り食う悪鬼――」


 場の小鬼が黒い霧に包まれ消滅すると、ガサガサと足音を鳴らしつつ蜘蛛の身体に牛の頭が生えた怪物が這った後の地面を猛毒で腐らせ、新たに姿を現す。


 「我が下に来たれ! 《蛮幽鬼 牛鬼》を“アドバンス召喚”……!」


 牛鬼攻撃力2200。


 「更に低級“幽鬼”は、私が“幽鬼”をアドバンス召喚したターンに墓地より蘇
生できる! いでませ! 妖を導く異界回廊! 蘇れ天邪鬼! そして轆轤首……!」


 遊無が指先に灯した炎を空に向けて放つと、円を描きつつ異界との間に通じた道を通り、消滅したばかりの小鬼と煙管を手にした花魁姿の妖が場に現れた。


 天邪鬼攻撃力1200。 轆轤首攻撃力1000。


 「ヒノモト・アンデットが手下を従え、ズラリと出揃いやがったか――」


 これ以上の展開を警戒し、サバスは場の伏せカードに目をやると、そのまま罠を発動させる。


 「だったらここらで使うかねぇ! 罠発動――《秘炉十字軍(ヴェリーバー・クルセイダー)》……! この時ラムの効果で手札の《秘炉乳母(ヴェリーバー ウェットナース)アルカトラズ》をリリースして、牛鬼と天邪鬼を破壊する!」


 秘炉十字軍(ヴェリーバー・クルセイダー) 通常罠
 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
 (1):自分フィールドの「秘炉」モンスター1体をリリースし、相手フィー
 ルドのモンスター2体を対象に発動できる。そのモンスターを破壊する。


 「私のモンスターが……!?」


 隊列を組み現れた重厚な鎧に身を包んだ騎士達が一斉に駆け出し、2体の妖を切り捨てると、間を置かずに胸部の炉を剥き出しにした鋼鉄のペリカンが場に現れ、効果を発動する。


 秘炉乳母(ヴェリーバー ウェットナース)アルカトラズ
 効果モンスター
 /炎/レベル2/機械/攻撃力400。
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分の「秘炉」モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計
 算時、フィールドのこのカードをリリースして発動できる。その戦闘を行
 う自分のモンスターの攻撃力は、その元々の攻撃力分アップする。この効 
 果が適用されているモンスターはダメージステップ終了時に破壊される。
 (2):このカードが「秘炉」カードの効果でリリースされた場合、このカー
 ド以外の自分の墓地の「秘炉」カード5枚を対象に発動できる。そのカー
 ドをデッキに加えてシャッフルする。その後、自分はデッキから1枚ドロ
 ーする。


 アルカトラズ 効果対象(ラム エンジェル ビジー・ビー 秘炉洗礼 秘炉十字軍) 


 「俺はリリースされたアルカトラズの効果で、墓地の“秘炉”カード5枚をデッキに戻し、カード1枚をドロー」

 「だったらバトル! せめて羊1匹でも――」

 「それも通さねぇ! 罠カード《オーディネム・エピストゥラ》……! この書簡で《秘炉生贄(ヴェリーバー パルマコス)ゴート》を発注し、手札から守備表示で呼び出す」


 オーディネム・エピストゥラ 通常罠
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):手札から「秘炉」モンスター1体を特殊召喚する。このターンのエン
 ドフェイズにこの効果で特殊召喚したモンスターを持ち主の手札に戻す。
 (2):自分フィールドの表側表示の「秘炉」モンスター1体のみがリリース
 された場合、墓地のこのカードを除外し、そのモンスター1体を対象とし
 て発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。


 秘炉生贄(ヴェリーバー パルマコス)ゴート
 効果モンスター
 /炎/レベル2/機械/攻撃力200。
 このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他の「秘炉」
 モンスターを攻撃対象にできず、効果の対象にできない。
 (2):このカードがリリースされた場合、自分フィールドの「秘炉」モンス
 ター1体を対象に発動できる。このターンそのモンスターは戦闘・効果で
 は破壊されない。


 ゴート守備力1500。


 「ゴートがいる限り、他の“秘炉”を攻撃、効果対象にできねぇ。そいつの攻撃力じゃゴートを超えられねぇな」


 サバスの宣言を聞き、残る手札1枚を見た遊無はこれ以上の行動はできないと、悔しげに歯噛みし、サバスを睨みつつターンを終えた。


 「お前さんのターンが終わったことで、ゴートは手札へと帰還する」

 「このっ――遊陽! あの人に一撃でも与えてみせて……!」

 「お……おう。俺のターン!」


 思うようにデュエルが進まず、苛立ちを募らせた遊無に気圧されて遊陽はカードを引くと、早速サバスに破壊された墓地の罠カードを除外し、効果を発動する。


 「スタンバイフェイズに墓地の《神輿奉戴》を除外して効果発動。墓地のハナビダマジシャンをデッキに戻し――蘇れヨリマシ……!」


 ――おいら、またまたさんじょー! 守備力200。


 「そしてヨリマシをリリースして“アドバンス召喚”だ!」

 ――さんじょーからの、もうたいじょーなの――。


 不満げに口を尖らせるヨリマシに遊陽は悪い。と声を掛けつつ、ヨリマシのカードを再び墓地に送ると、ヨリマシは消滅していき文様が入った紫の袴を身に着け、烏帽子を被った祭事を司る青年が現れた。


 「政を為すは人にあり、氏神の名の下に祭りを“賑やか”せ! 現れろ《ワッショイ・グージ》……!」


 グージ攻撃力2300。


 「そっちも神に仕える神職者か。少し親近感がわくな」

 「そりゃどうも。俺はグージの効果発動! アドバンス召喚したことによりデッキの上からカード3枚をめくり――こいつを場に呼び出す!」


 遊陽はデッキの上から3番目にめくったカードを確認すると、残りのカードをデッキに戻し、選んだカードをサバスに見せつけるとそのまま場に呼び出す。


 「そのカードは……!?」

 「あれは、私が譲ったカード――」

 「現れろ! 猛毒を打ち払う菩薩の化身――《ワッショイ・ビディヤーマユーリ》……!」


 召喚とともに現れた1羽の孔雀は、折りたたんだ羽を広げ、緑色の羽一面に肘から分かれた4本の腕を持つ慈悲深き菩薩を映写させる。


 ワッショイ・ビディヤーマユーリ
 効果モンスター
 /光/レベル1/幻想魔、攻撃力0。
 このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分フィールドの属性が異なる「ワッショイ」モンスターの数まで、
 相手フィールドのモンスターを対象として発動できる。このカードがフィ
 ールドに存在する限り、そのモンスターは攻撃できず、表示形式の変更も
 できない。


 ビディヤーマユーリ守備力0


 「幻想魔族か。少し触れねぇ間に、見慣れねぇカードが増えてやがる」

 「デュエルは常に進化するもの――バトル! ワッショイ・グージでビジー・ビーを攻撃だ! デモン・ピュリフィケーション……!」


 祭りの神職者が掛け声を上げつつ笏の先端に灯った光を差し向けると、迸った閃光が鋼鉄の蜂をめがけ、空気を震わせて突き進む。


 「オレはビジー・ビーの効果発動! “秘炉”モンスターである自身をリリースすることで、その攻撃を無効にする」


 放たれた閃光は鋼鉄の蜂が呼び寄せた無数の仲間によって遮られ、打ち消されるとともに彼の場には新たに2体――鋼鉄の蜂がそれぞれ槍を構えて現れた。


 「半端な攻めじゃオレには届かねぇ。“秘炉”1体がリリースされたことで墓地の《オーディネム・エピストゥラ》を除外し、更にリリースされたビジー・ビーの効果も合わせ、デッキと墓地から新たなビジー・ビーを1体ずつ呼び寄せた」

「だがその効果は1ターンに1度きり! 続いて轆轤首で攻撃だ……!」


 煙管を手にしたまま、首を長く伸ばし鋼鉄の蜂に巻き付いた妖は、ミシミシと締め付け鋼鉄の蜂を圧壊させるとともに、手にした槍で貫かれて同時に消滅する。


 「バトルは終了。ここで俺は光属性の“ワッショイ”モンスターがいることで、ビディヤーマユーリの効果発動! 千呪眼孔……!」


 効果の発動とともに、菩薩に代わって孔雀の羽一面に閉じていた無数の目玉が一斉に開眼し、その視線が炉によって生み出されたトカゲへと注がれると、トカゲは硬直しその場で動きを止めた。


 「猛毒を払うこの眼に睨まれれば、そのモンスターはビディヤーマユーリがいる限り、攻撃と表示形式の変更を行えない」


 そのまま遊陽がターンを終えると、羽一面に無数の眼を浮かばせた孔雀の呪縛に囚われ、トカゲの姿を維持できずに炎が弱まる一基の炉をサバスは眺めつつ、無言でカードを引く。


 「……お前さんらを甘く見積もってたみてぇだ。こいつでこのデュエルを終わらせてやる……!」

 『来る……!』

 「手札から“このカード”の効果を発動し、場のサラマンダーとラムをリリース!」


 2人が身構える中、スチールウールを纏った鋼鉄の羊と一基の炉が錆びつき朽ちていくと、2体は還元されて1つに溶けあい、心臓部に炉を内包する人型の機械人形を構築していく。


 「こいつは攻撃力の合計が3000以上となるよう“秘炉”をリリースすることで降臨できる! 過酷なる地上の人々に授けられし神々の焔よ! 炉に宿りて安寧をもたらせ! 現れろ――《秘炉枢機卿(ヴェリーバー カーディナル)プロメテウス》……!」


 やがて神に授けられた原初の火を炉に宿す機械仕掛けの化身は、炉の炎を全身に行き渡らせ、鉄色の身体を熱して赤く染まる。


 プロメテウス攻撃力3000。


 「これは……」

 「そのモンスターこそ、サバスさんがイーサ氏に譲られた特別なカード」


 2人が見上げるほど高く――周囲の木々より巨大な機械人形を見上げる2人に、日吾は腕を組みつつ彼から知らされた入手経路を告げる。


 「こいつが力を示すのはこれからだ。リリースされたラムの効果で戻したラムを手札に呼び込み、再び魔法カード《秘炉秘跡 洗礼(ヴェリーバーサクラメントゥム・バプタイズ)》でビジー・ビーをリリースし2枚ドロー」


 デッキから即座に3枚のカードを手札に加えたサバスは、最後の鋼鉄の蜂を場に呼び出すとともに、再び鋼鉄の山羊を召喚すると、場に揃えた3体の“秘炉”をそれぞれ指差し自らの拳を突き上げた。


 「これでオレの場には“3体の秘炉”が揃った……! 今こそプロメテウスの効果を起動する時! 発動しろ――三灯火 授火……!」


 サバスが意気揚々と効果の発動を宣言すると、機械人形の身体前面を覆う鋼板が開いていき、剥き出しになった原初の炉へと3体の鋼鉄の秘炉は取り込まれ、その身を溶かしていく。


 「一体何を――」

 「プロメテウスはオレの場にいる下級“秘炉”を自らの炉に沈め、その数×1000攻撃力を上昇させる! この効果で3体以上“秘炉”を溶かした場合、更にその数だけ攻撃回数が増加する!」


 3体の秘炉を溶かした機械人形は、炉をより激しく燃焼させるとともに、背面から噴き出した炎が灼熱の翼を構成する。


 秘炉枢機卿(ヴェリーバー カーディナル)プロメテウス
 効果モンスター
 /炎/レベル8/機械/攻撃力3000。
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):攻撃力の合計が3000以上になるように、自分フィールドの「秘
 炉」モンスターをリリースして発動できる。このカードを手札から特殊召
 喚する。
 (2):自分フィールドのレベル4以下の「秘炉」モンスターをリリースして
 発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、この効果でリリー
 スしたモンスターの数×1000アップする。この効果でモンスターを3
 体以上リリースした場合、このターンのバトルフェイズ中このカードはリ
 リースしたモンスターの数まで攻撃できる。


 プロメテウス攻撃力3000→6000。


 「これでサバスさんの勝利は確定――」

 「更にリリースされたゴートの効果で、このターンプロメテウスを破壊することは不可能。バトルだ……!」


 サバスが攻撃を宣言し、炉の内部で生じた爆発が投入口から放出されると、火炎の爆風が呪眼の孔雀と祭りの神職者に襲い掛かる。


 「これが人知の及ばぬ“天上の採火”――臨界のプロメテウス・クライシス……!」

 「これが通れば――遊陽!」

 「止めてみせる! 俺は手札から《ワッショイ・Noh.Gaクリボー》を捨てて効果発動だ!」


 攻撃が2体のモンスターを焼き払い、遊陽と遊無に届く直前――2人の前に能面を掛けた球状の小さな悪魔が現れると、火炎の爆風をその身で受け止めたのち、消滅する。


 「墓地にプロメテウスと同じ属性の奥津竈馬がいることで、俺達が受けるダメージを0にする」


 ワッショイ・Noh.Gaクリボー
 効果モンスター
 /闇/レベル1/悪魔/攻撃力300。
 このカード名の(2)の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
 (1):自分の墓地に存在する属性と同じ属性の相手モンスターと戦闘する場
 合、ダメージ計算時にこのカードを手札から捨てて発動できる。その戦闘
 で発生する自分への戦闘ダメージを0にする。
 (2):このカードが墓地に存在する場合、相手モンスターの直接攻撃宣言時
 に発動できる。このカードを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこの
 カードは1ターンに1度だけ、自分の墓地に存在する「ワッショイ」モン
 スターと同じ属性のモンスターとの戦闘では破壊されない。


 「だったら3度目の攻撃――お前さんらに直接攻撃する……!」

 「それも止める! デュエル中に1度だけ、俺達が直接攻撃された時に墓地のNoh.Gaクリボーは復活し、1度だけ墓地にある属性のモンスターとの戦闘による破壊を防ぐ!」


 墓地より蘇った小さな悪魔は再び放たれた爆炎を受け止め、炎を弾いて健在な姿を見せると、このターン2人を倒せなかったにも拘らず、サバスは賞賛の拍手を送ると2枚のカードを伏せてターンを終えた。


 「見事だ。2人がかりとは言え、この攻撃を凌いだのは“あいつ”以来だな。エンドフェイズにこのターン4種類の「秘炉」を捧げたことで《モーン・アルムス》により、カード4枚をドロー」

 「手札6――サバスさんの優位は変わらないよ。さあどうする……?」


 そして遊無のターンが訪れると、モンスターを召喚するとともに、口をすぼめて曲げた一つ目の顔に、一本足で立つ全身が赤い体毛に覆われた妖が現れた。


 「私は諦めない! 《鍛幽鬼 一本踏鞴》を召喚!」


 鍛幽鬼 一本踏鞴
 効果モンスター
 /闇/レベル4/アンデット/攻撃力1500。
 このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。
 自分はデッキの上からカードを1枚めくる。そのカードが「幽鬼」モンス
 ターだった場合、そのモンスターを特殊召喚する。
 (2):「幽鬼」モンスターをアドバンス召喚したターンに発動できる。
 墓地のこのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れる場合、デッキの
 一番下に戻る。


 「一本踏鞴の効果でデッキの一番上が“幽鬼”なら、場に呼び寄せる!」

 「賭けに出たか。だがそう簡単にデッキが答えてくれると思うなよ?」

 「引いて見せる。力を貸して――“もう一人の私”……」

 デッキの一番上に指をかけ、祈りを込めつつ遊無が引いたカードを確認すると、そのカードをサバスに見せるとともに、色鮮やかな着物を身に纏う“斜国の妖狐”は狐の耳を揺らしつつ、場に姿を現す。


 「……妖の妙技で敵を惑わし、襲い来る者を薙ぎ払え! 私が引いたのは《妖幽鬼 玉藻前》……!」


 玉藻前攻撃力2400。


 ――先程の恨み、晴らさせて貰うぞ――。

 「更に永続魔法《軒轅狐墳》! これで決める――玉藻前でプロメテウスを攻撃……!」

 「……しかし遊無さんのモンスターは、攻撃力で下回る――」

 「私の“幽鬼”が戦闘する時に《軒轅狐墳》の効果で、攻撃力はそのレベル×200上昇する……! これなら――」


 玉藻前のレベルは7――1400の攻撃力を得てプロメテウスを上回ったことで、玉藻前が手のひらに生成した猛毒を1つに合わせ、狐の姿に変えて機械人形へと突っ込むもサバスは動じず、伏せていたカードを発動させる。


 「玉藻前の攻撃! 殺生吐附子……!」

 「オレが通すとでも思ったか? バトルフェイズに発動した《軒轅狐墳》の効果に対して、カウンター罠《神々の鋳塊》! その効果を無効にし、同じ種類の《秘炉秘跡 洗礼(ヴェリーバーサクラメントゥム・バプタイズ)》を墓地から回収する」


 サバスの方が上手だったと――遊陽が制止を叫ぶも間にあらず、元の攻撃力に戻った玉藻前へと再び原初の炉が発した爆炎が襲い掛かり、焼き尽くしていく。


 神々の鋳塊 カウンター罠
 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
 (1):自分フィールドに「秘炉」モンスターが存在し、バトルフェイズ中に
 魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。その効果を無効
 にする。その後自分の墓地から無効にしたカードと同じ種類(魔法、トラ
 ップ、モンスター)の「秘炉」カード1枚を手札に加えることができる。


 『ぐっ……!?』 遊陽&遊無LP3200→2600。


 「天界の金属で製造された炉が、猛毒に侵されることはねぇ!」

 「くっ――私のターンが終わる時、《軒轅狐墳》を墓地に送ることで破壊された玉藻前を蘇生できる……!」


 ターンが終わるとともに、上質な着物に焦げ跡を残したまま、再び玉藻前が息を乱しつつ蘇ると、後は頼んだ。と言わんばかりに遊無は遊陽へと視線を注ぐ。


 「ごめん……私だけじゃ力不足だった」

 「だが伏せカード1枚を使わせた。お前だけじゃ無理でも俺達“ビナリウス”なら――俺のターン……!」


 引いたカードを確認すると同時に、小さな悪魔と隻眼の鉄を打つ妖が消滅し、上空の雲を裂き金色に輝く長い胴体をした竜が雲間から接近してきた。


 「俺は一本踏鞴とNoh.Gaクリボーをリリース! 現れろ、掛け声響く祭りの竜! 《ワッショイフェスタ・ドラゴン》……!」


 日吾にサバス――遊無が固唾を飲んで見守る中、遊陽の呼び出した金色に輝く鱗を持つ胴体と、金色の瞳を持つ“祭りの竜”の降臨に日吾が驚き、サバスは狼狽えた様子で竜を見上げる。


 ワッショイフェスタ・ドラゴン 攻撃力2500。


 「これ程の力を秘めた精霊が――」

 「これは――“ユーメイの力”は、災厄をもたらすものではないのか!?」

 「だから言ってるだろ! この竜こそが遊明と、もう一人の遊無の力が結び付きカード化した精霊だ! ワッショイフェスタの効果発動……!」


 祭りの竜が黒い色をした球を出現させるとともに、球から放出された霊力が祭りの竜を包んでいき、機械人形はその力を吸収されていく。


 「俺の墓地に闇属性のみがいることで、ワッショイフェスタの攻撃力は500アップし、悪魔とアンデットがいることでレベル8のプロメテウスは攻撃力を計400ダウンさせる! “賑やか”な催しで活気づけ! リバイタライズ・カーニバル……!」


 ワッショイフェスタ攻撃力2500→3000。 プロメテウス攻撃力3000→
2600。


 「うぅっ……!」

 「遊無……!?」


 祭りの竜が出現してから、顔を俯かせ頭を押さえる遊無を視界に捉えた遊陽は、先日の出来事を脳裏に浮かべるとともに、遊無へと駆け寄ろうとする。


 「私に――“吾”に構わず攻撃を――」

 「もう一人の遊無――またワッショイフェスタを通じて……バトル!」


 再び遊無から主導権を得ようとするもう一人の遊無を尻目に、遊陽はバトルを宣言すると祭りの竜で機械人形へと攻撃を仕掛ける。


 「今度こそその機械人形だけは倒してやる……! ワッショイフェスタでプロメテウスを攻撃……! これが俺と遊無の全力――“賑やか”せ! 隆盛のプロスペリティ・バースト……!」


 祭りの竜の金色の鱗がより輝きを増して、口元に波動が収束すると、撃ち出した光線が機械人形を貫こうと迫り、やがて直撃したかに思えた。


 「ば……馬鹿な――」


 だが破壊されたのは、墓地から蘇った鋼鉄の山羊――ふとサバスの場に目をやると、“秘炉”が炉全体で段階的に還元され製造される様子を描いた1枚のカードが発動されていた。


 「……お前さんの攻撃宣言に合わせ、罠カード《製銑術-4Fe+3CO2》を発動していた。このカードで墓地のアルカトラズをデッキに戻し、同じレベルのゴートを蘇生した」



 製銑術-4Fe+3CO2 通常罠
 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
 (1):墓地の「秘炉」モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスター
 と同じレベルになるよう墓地の「秘炉」モンスターをデッキに戻し、その
 モンスターを墓地から特殊召喚する。


 「サバスさんのゴートは、他の“秘炉”への攻撃と効果を防ぐ――」

 「お前さんらにこれ以上の手は残されていねぇ。オレの手札にはラムと2体の下級“秘炉”がある。次のオレのターン、プロメテウスの効果と攻撃でオレの勝ちだ」


 サバスがそう締め括った途端、頭を押さえて座り込んでいた遊無は再び立ち上がった。


 「……異国の者よ。其処許はこの力が災厄をもたらすと申したな」

 「もう一人の遊無――」

 「憑依――いや、これはユーム自身……?」


 遊無が身に纏う雰囲気そのものを別人へと様変わりさせたことに、サバスは戸惑うもすぐに彼女へと返答する。


 「ああ……オレや守護霊の防人は、世界各地を奔走しその力から人々を守っていた」

 「其処許の感じたものは、正しくもあり、間違いでもある」


 もう一人の遊無はサバスの方に歩み出し、彼の元までやって来ると腕を上げるが、彼女より頭一つ分以上の背丈をした彼の頭まで手が届かず、代わりに心臓の位置へと手を置いた。


 「むっ……んっ、其処許は恵まれた体格をしているな」

 「っ……!? これは――」


 しばらくして、サバスの脳裏にはもう一人の遊無を通じて、轟々と燃える小さな集落が浮かび上がるとともに、その上空を旋回する炎を纏った鳥の化け物が浮かび上がった。


 「僕にも感じる――遊陽君は……?」

 「俺もだ……これはもう一人の遊無の記憶……?」


 日吾と遊陽も、サバスが見ている景色を彼と同じく体験する。


 「……これは吾が精霊と遊明の力によって、精霊の力持つ吾儕達に見せている“吾の記憶”――」


 記憶の中の鳥の化け物が口から火炎を吐くとともに、集落を炎で包み込む光景に、サバスは化け物から伝わる気配に覚えがあると、身を屈めて日吾とともにもう一人の遊無へと尋ねた。


 「オレ達が戦ってきた害なす精霊は、この鳥と同じ力を発していた。お前さんは一体……?」

 「……ひしひしと伝わって来る。精霊の力の引き出し方――まさか貴女は――」

 「……“常盤”の子孫よ。吾儕が察した通り、吾はかつて“常盤”の門を叩き、
精霊の力の扱いを学んだのち、この地の守護を命じられた」


 突然明かされた事実に、日吾は信じられない。といった表情で、口を開けたまま自らとの縁を指摘したもう一人の遊無を見つめる。


 「もう一人の遊無は――日吾の遠縁……」

 「最も吾が宿す精霊の力を恐れ、常盤の者は吾を遠ざけ、この地に左遷したわけだが……そして吾は“闇”に敗れ、這々の体でこの地に逃げ延びた遊明の魂を受け入れた」

 「その“闇”とは――」

 「其処許らの言う“ユーメイの力”――それは闇に敗れ、身体を乗っ取られた“遊明自身”が発する力というわけだ」


 もう一人の遊無がD・フェースを操作し、デュエルの中断をサバスに申告すると、最早戦う意味は無いと悟ったサバスはその申し出を了承し、場に現れた機械人形と斜国の妖狐、そして祭りの竜は消滅していく。


 「……オレ達が追うべきは、闇に堕ちた遊明――」

 「理解を示したなら、この竜を通じ、再び現れた甲斐があった」


 祭りの竜の消滅により、もう一人の遊無は目を閉じて遊無の中へと帰っていくと、再び目を開けた遊無は自らのD・フェースを覗き込み、今まで起きていたことを理解する。


 「私と遊陽さん――“ビナリウス”の力を合わせても、この人のLPを1すら削れなかった……」


 もう一人の遊無を呼び出していた反動か――脱力して倒れこもうとする遊無をサバスは支えると、駆け寄って来た遊陽に改まって告げる。


 「……真の敵が判明したからには、お前さんの言う通り、その精霊の処遇は不本意だが――様子見とする」

 「サバスさん……」

 「お前さんらも同じ敵と戦っていたわけだ。いきなりの非礼――この通り詫びる」


 遊無の身体を遊陽に預け、サバスはその場で背を曲げ謝意を伝えると、再びD・フェースを操作し教会の関係者と思われる人物と連絡を取る。


 「……オレだ。丁度着いたばかりか」


 電話の相手へとサバスは申し訳なさそうに用件を伝えると、通話を切り再び遊陽と遊無に向き直る。


 「しばらくすれば迎えが来る。家まで送ってやるよ。それとヒューゴ、オレ達もそのまま滞在する家へと向かうぜ」

 「マルチェッロさん、この町に到着したのですね」


 サバスの申し出を2人は了承すると、やがて到着したワゴン車へと4人は乗り込み、先程までデュエルを行っていた公園を後にしたのであった。





 「おはよう、カズさん」


 数日後。登校途中にカズと合流した遊陽と遊無は3人で学園の前まで向かうと、校門前に停車した1台の見慣れたワゴン車を見かけ、まさか――。と2人して駆け寄って行く。


 「セ マニフィーク(素晴らしい)! ヒノモトのエ コール(学校)も立派だね。ヒューゴ!」

 「このくらい普通だよ。……あ、遊陽君と遊無さん」


 ワゴン車から遊陽達とは異なる制服を着込んだマノンと日吾が降りると、駆け寄って来た遊陽と遊無に気付いた日吾は、2人へと手を振って答える。


 「昨日聞いた急に来ることとなった“交流生”は、日吾の事だったのか」

 「僕たち以外に、もう一人来るそうだけどね」

 「貴方達がヒューゴから聞いた! ユーヒにユーム……!」


 両手を広げ、2人に駆け寄ったマノンはガシッ。と自らのセーターを押し上げる双丘に2人の顔を押し付けると、周囲の男子生徒も何事かと思わず振り向く中、カズは日吾へと問いかける。


 「交流生――日吾って言ったか? その人は……?」

 「アタシはマノン! 2人はもうサバスと会ったなら、これで分かるでしょ?」


 2人を解放し、マノンは右手を顔にかざすと、彼女のヘーゼル色をした右目は金色へと変化し、顔の右半分には文様が浮かび上がる。


 『守護霊の防人……!』

 「アタシとヒューゴはしばらくここに通うから、仲良くしようよ? 同じく精霊の力を使う者同士――」


 マノンの目の色は元に戻り、顔の文様が薄れていくと、日吾の手を引き学園へと駆け出す彼女の姿を戸惑いながら首を傾げるカズと同様に、2人は言葉を失い立ち尽くすのであった。





 「僕、日吾と――」

 「アタシ! マノンの――」

 『ビナリウス回顧録!』


日吾「遊陽君と遊無さん、健闘したけどやはりサバスさんは凄かった……」

マノン「へぇーっ、サバスと戦ったんだ。まあサバスなら、2人程度なんてガイシューイッショクだよ!」

日吾「たった一人でプロメテウスのあの攻撃を凌いだと聞いた君ですら、まだまだサバスさんに届かないくらいだからね」

マノン「ビアン トゥレドゥ ジュエ コンメーム(それにしても2人はよくやった)……」

日吾「ひとまず和解した僕達は、もう一人の遊無さんが伝えた真実の通り、闇に堕ちた精霊――遊明の闇を打ち破ることを目標とすることに」

マノン「次回はアタシ達と、もう一人のなんだか怪しげな“転入生”が学園で過ごす日常が描かれるよーっ!」


 『次回! 遊戯王Binarius(ビナリウス) -幕間 3人の交流生-』


マノン「ルイネに貰ったヒトモト・ガトー(和菓子)美味しい~!」

日吾「仲良くなったはいいけど、昼食にお菓子はよくないよ。それでは次回にお会いしましょう」
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