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HOME > 遊戯王SS一覧 > 32Turn 巻き上げる関捩

32Turn 巻き上げる関捩 作:ジェム貯めナイト

 補習期間の境階学園では、時計の針が両針とも12を指し示し、授業終了のチャ
イムが鳴ると生徒達は食堂へと向かうため、続々と教室を移動し始める。


 「おっ、遊無ちゃんも来たか」


 食堂の前で遊無と合流すると、手近な席に腰かけた遊陽達は、自ら持参した弁当
を広げた。

 食事を摂りつつ、各々がテストの内容やその予習だけではなく、テスト明けに羽
を伸ばそうと遊びの約束を取り付ける様子も窺える中、カズはしきりに辺りを見回
すと日吾に問いかける。


 「そういえば、今日はマノンさんを見かけねぇな」


 補習を受ける筈じゃ――。と訝しむカズに、入れたての茶をすすっていた日吾は
湯呑を置き、はぐらかすかのように目を逸らす。


 「マノンさんは……今日は教会のイベントに参加している」

 「だからいつもの送り迎えがなかったのか――って、そんなんでいいのかよ」

 「……彼女の母校は、実績があれば多少はね?」


 教会と繋がりの深いマノンの母校は、彼女の守護霊の防人での活躍を大いに評価
していると、マノンから聞かされた話を思い出しつつ、日吾は咄嗟に話題を変えた



 「そういえば……遊陽君と遊無さん、この後デュエルすると聞いたけど――」

 「ああ――お互い完成したデッキを試すためにな」

 「じゃあみんなで一緒に観戦しない? 2人はこの学園でも有数のデュエリスト
だろう?」


 日吾が提案したことで、タッグデュエル大会で優勝した2人がデュエルを繰り広
げると――中庭に移動した遊陽達の元には暇を持て余した多くの生徒が集まって来
た。


 「…………」


 2人がデュエルする話は現にも伝わっており、いよいよか――。と自らのD・フ
ェースに届いていた指令を読み通した現は、早速行動を開始すべく校舎へと消えて
いく。

 そして中庭では、カズ達や観客が見守る中、遊陽と遊無はお互いにD・フェース
を展開させ、デュエルの準備を整えた。


 「お前とデュエルするのは、今日が初めてだな」

 「ええ……大会で組んだ時以来の遊陽とのデュエル――」


 5枚の手札を引き、LPが表示されたD・フェースを見つめた2人は、お互いに
神社で出会ってから過ごしてきた日々を思い出しつつ、同時にデュエル開始の掛け声を上げた。


 『デュエル――』


 遊陽LP4000。 遊無LP4000。


 「遂に始まった――あの2人のデュエルが……」


 2人と最も近くで関わって来たカズと留音も真剣なまなざしで見守る中、先行を
取った遊無は、早速1枚のカードをD・フェースの液晶盤へと置く。


 「まずは私から――《飛幽鬼 烏天狗》を召喚し、場に現れた事でデッキの上から3枚を墓地へと送る」


 召喚とともに発生したつむじ風が止むと、そこには山伏姿の烏の頭をした妖が現
れ、遊無はデッキの上からカード3枚を引くと、D・フェースの墓地に送りこむ。


 飛幽鬼 烏天狗
 効果モンスター
 /闇/レベル4/アンデット/攻撃力1600。
 このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):このカードが召喚、特殊召喚した場合に発動できる。
 自分のデッキの上からカードを3枚墓地に送る。
 (2):「幽鬼」モンスターをアドバンス召喚したターンに発動できる。
 墓地のこのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れる場合、デッキの一番下
 に戻る。


 烏天狗効果(河幽鬼 兵主部 軒轅狐墳 現界の丑寅門)


 「大嶽丸以外にも、新たな“幽鬼”を――」

 「……遊陽と初めて出会った時、貴方はヨリマシ君や祭りの竜とともに絆を見せ
つけ、かつての私を葬ったあの化け物に打ち勝った――」


 カードを2枚伏せてターンを終えると、遊無はあの時の事を思い浮かべるように
目を閉じて、再び開くとターンを開始した遊陽も彼女と同じく、遊無へと抱いてい
た思いを口にする。


 「そんな貴方に勝つには、全ての“幽鬼”達を以って挑まないと……!」

 「遊無――俺は本来のお前が宿す力をデュエルに転化させ、石井や経姉――そし
て俺を超えるデュエリストへと遂げたお前を羨んでいた」


 遊陽も遊無と出会った時からこれまでの事を振り返りつつ、引いたカードを確認
すると、顔を上げ遊無を真っすぐ見据えて、手札から1枚のカードをD・フェース
の液晶盤に置こうとする。


 「そしてお前とタッグを組み、2人で優勝を勝ち取った時に思った。遊無は俺に
とって、仲間であると同時に“目指すべき目標”だと!」

 「遊陽――」

 「俺も早速、新たな仲間のお披露目だ! 《ワッショイ関捩・囃子鼓笛》を召喚
……!」


 召喚とともにキリキリと関捩を巻き上げる音が響き渡り、笛を吹きつつ手にした
鼓を一定の拍子で鳴らす――複雑な仕掛けにより自動で動く関捩人形が、実体を持
って現れた。


 ワッショイ関捩・囃子鼓笛
 効果モンスター
 /地/レベル4/機械/攻撃力1400。
 このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。
 手札からレベル4以下の「ワッショイ」機械族モンスター1体を特殊召喚する。
 この効果の発動後、このカードの表示形式を変更する。
 (2):このカードが装備されている場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動で
 きる。このカードを墓地に送り、その攻撃を無効にする。


 「祭りを“賑やか”せる、新たな仲間ですか……」

 「囃子鼓笛が現れたことで、更に手札の《関捩技師・ワッショイクロックワーカ
ー》を駆動させ、場に呼び出すとともに、関捩の緩んだ囃子鼓笛はその動きを停止
する」


 笛を吹き、鼓を打ち鳴らして祭囃子を奏でる関捩人形が動作を止めると、囃子の
音色につられて片眼鏡を掛けた人形師の老人が、杖代わりの巻き鍵をつきながら現
れる。


 関捩技師・ワッショイクロックワーカー
 効果モンスター
 /地/レベル1/機械/攻撃力100。
 このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
 (1):このカードをリリースして発動できる。デッキの上からカードを5枚めく
 り、その中からレベル4以下の「ワッショイ」機械族モンスター1体を特殊召喚
 する。この効果で特殊召喚に成功した場合、墓地のこのカードを装備魔法カード
 扱いとしてそのモンスターに装備できる。
 (2):このカードが装備されている場合に発動できる。
 装備モンスターの表示形式を変更する。この効果は相手ターンでも発動できる。


 囃子鼓笛攻撃力1400→守備力1400。


 「関捩を巻き上げ、表示形式を変更する動作を繰り返すモンスター……」

 「そしてこいつは、場の“ワッショイ関捩”1体を装備することで特殊召喚できる!」


 新たなモンスターの召喚とともに、笛を吹き鼓を鳴らす関捩人形は、自らの体の
一部を変形させていく。

 そして現れた大掛かりな関捩仕掛けは、巨大な氷塊を投入口に押し込まれ、腕を
鍵状にした関捩人形の接続によって駆動を開始し、内部の歯車で氷塊を薄く摩り下
ろし始めた。


 「締め上げる関捩は、歯車を咬合させ氷山すら摩り下ろす! 手札より現れろ―
―《関捩全旋・ワッショイアイスバーグ・シェーバー》……!」


 関捩全旋・ワッショイアイスバーグ・シェーバー
 特殊召喚・効果モンスター
 /地/レベル6/機械/攻撃力2300。
 このカードは通常召喚できない。このカードの(1)の効果でのみ特殊召喚できる
 。
 (1):このカードが手札に存在する場合、自分フィールドの「ワッショイ」機械
 族モンスター1体を対象に発動できる。このカードを手札から特殊召喚し、対象
 のモンスターを装備魔法カード扱いとしてこのカードに装備する。
 (2):「ワッショイ」モンスターをアドバンス召喚する場合、装備魔法カード扱
 いの「ワッショイ」モンスターカードを装備したこのカードは2体分のリリース
 にできる。
 (3):手札・フィールドのモンスターがリリースされた場合に発動できる。この
 カードの攻撃力を400アップする。


 「初めて見るモンスター……」

 「これが、遊陽の新しい力か……!」

 「関捩人形を接続させ駆動する――完全に関捩を締め上げた大掛かりな関捩仕掛
けこそ“関捩全旋”……! 更にクロックワーカーをリリースすることで、効果発
動!」


 新たに人形師の効果を発動させた遊陽は、デッキからめくった5枚のカードのう
ち、1枚のカードを液晶盤に置く。


 「俺が呼び出すのは、更なる“ワッショイ関捩”――《ワッショイ関捩・デリバ
ティー》だ!」


 着物の上にフリルのエプロンを着けた――背中の巻き鍵をエプロンの紐で固定し
た和風メイド姿の関捩人形が、ティーポットを片手に指名を受けて、場に訪れた。


 ワッショイ関捩・デリバティー
 効果モンスター
 /地/レベル2/機械/攻撃力0。
 (1):1ターンに1度、このカードの表示形式が変更された場合に発動できる。
 自分はデッキから1枚ドローする。
 (2):モンスターに装備されているこのカードが墓地に送られた場合、デッキか
 らカードを1枚ドローする。


 「そしてクロックワーカーは、墓地から専属の巻き上げ師となり、モンスターが
リリースされたことでアイスバーグ・シェーバーの攻撃力は400アップする!」


 アイスバーグ・シェーバー攻撃力2300→2700。


 「更に装備状態のクロックワーカーが関捩を巻き上げることで、デリバティーの
効果発動! 俺にカード1枚が給仕される」


 人形師の老人がメイド服の背中に付けられた巻き鍵を締め上げると、関捩人形が
動作を始め、左手で持つティーポットからカップに紅茶が注がれる。

 そして遊陽がデッキの上のカードを引くとともに、カップは消滅してメイド姿の
関捩人形は後ろへと下がり、待機状態となった。


 デリバティー攻撃力0→守備力500。


 「新たなカードで、遊陽君はより戦線を盤石としてきた――」

 「攻防兼ね合わせたこの動きで、俺のデュエルはより進化した! バトル! ア
イスバーグ・シェーバーで烏天狗を攻撃――シェービング・ブリザード……!」

 「だったら――罠カード《物の怪行脚》! デッキからレベル6の《蛮幽鬼 牛
鬼》を墓地に送り、烏天狗の攻撃力をそのレベル×200上昇させて返り討ちに…
…!」


 物の怪行脚 通常罠
 (1):自分フィールドの「幽鬼」モンスター1体を対象に発動できる。
 デッキからレベル5以上の「幽鬼」モンスター1体を墓地に送り、対象のモンス
 ターの攻撃力はターン終了時まで、この効果で墓地に送ったモンスターのレベル
 ×200アップする。


 烏天狗攻撃力1600→2800。


 「当然、使ってくるよなぁ!? だったら俺も速攻魔法《関捩咬合》で、場のデ
リバティーを攻撃力500アップの装備カードとしてアイスバーグ・シェーバーに
搭乗させる!」


 お互いに1枚ずつカードを発動させると、最終的にメイド姿の関捩人形が新たに
乗り込み、鍵状へと変えた片腕を接続したことで、遊陽の氷塊を摩り下ろす関捩仕
掛けが優位を保った。

 「そして薄く摩り下ろされた氷塊が猛吹雪となり、妖を凍り付かせるとともに遊
無へと降り注ぐ。


 関捩咬合 速攻魔法
 (1):自分フィールドの「ワッショイ」機械族モンスター1体を対象に発動でき
 る。自分フィールド・墓地の「ワッショイ」機械族モンスター1体を攻撃力50
 0アップの装備魔法カード扱いとして、そのモンスターに装備する。


 「――っ……!?」 アイスバーグ・シェーバー攻撃力2700→3200。 遊無LP40
00→3600。


 そして吹雪が止み視界が晴れると、遊陽はカードを1枚伏せてターンを終え、遊
無は制服に降りかかった氷を払いのけるとD・フェースに手を伸ばした。


 「先手を取ったのは遊陽か――」

 「私へとターンが移る前に、墓地の牛鬼をデッキの一番下に戻して罠カード《招
魂霊樹》……! デッキの上から牛鬼のレベルと同じ6枚を墓地に送るけど、その
中に“幽鬼”がいなければ全てデッキに戻す」


 突如突風が吹き荒れ、ぼんやりと現れたしだれ柳が手招きするように枝をしなら
せると、遊無は墓地から排出された牛鬼をデッキの一番下に戻す。

 そしてデッキの上から6枚をめくり、墓地に送ると、デッキに戻す処理を回避し
た事にホッと胸を撫で下ろした。


 招魂霊樹 通常罠
 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
 (1):自分の墓地のレベル6以下の「幽鬼」モンスター1体をデッキの一番下に
 戻して発動できる。そのモンスターのレベルと同じ枚数自分のデッキの上からカ
 ードを墓地に送る。この効果で墓地に送ったカードの中に「幽鬼」モンスターが
 存在しない場合、この効果で墓地に送ったカードを持ち主のデッキに戻す。


 招魂霊樹 効果(鎌鼬 飯綱 妖魔彷徨 絡新婦 招鬼拍手 神出鬼没)


 「私のターン……魔法カード《妖言惑衆》! 私の墓地に“幽鬼”は4体――よ
って4枚をデッキの上から墓地に送り、この効果で墓地に送られた“幽鬼”が2体
のため、墓地から同じレベルの《運幽鬼 朧車》を蘇らせる……!」


 運幽鬼 朧車
 効果モンスター
 /闇/レベル2/アンデット/攻撃力400。
 このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):このカードが召喚、特殊召喚した場合に発動できる。
 墓地の「幽鬼」モンスター1体を手札に加える。
 (2):「幽鬼」モンスターをアドバンス召喚したターンに発動できる。
 墓地のこのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れる場合、デッキの一番下
 に戻る。


 墓地(烏天狗 鎌鼬 飯綱 絡新婦)
 妖言惑衆の効果(継端草子 海彦 朧車 鬼霍騒乱)


 「朧車が場に現れた事で、墓地より海彦を手札へと移送し、朧車をリリースして
“アドバンス召喚”! その鬼は、反骨心を以って鬼狩りを襲撃する。《鬼幽鬼
鬼童丸》……!」


 ガタゴトと車輪を転がし進む鬼面の台八車が黒い霧に包まれ消滅すると、刀を持
ち牛皮を手にした大柄な鬼が遊陽の前に姿を現した。


 鬼幽鬼 鬼童丸
 効果モンスター
 /闇/レベル6/アンデット/攻撃力2400。
 (1):このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時に発動できる。
 相手の手札をランダムに1枚選んで捨てる。
 (2):相手ターンのエンドフェイズに発動できる。このカードをデッキの一番下
 に戻す。その後墓地からレベル4以下の「幽鬼」モンスター2体を特殊召喚する
 。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。


 アイスバーグ・シェーバー攻撃力3200→3600。


 「“アドバンス召喚”を許してしまった――」

 「“幽鬼”をアドバンス召喚したことで、これからが本領! いでませ――妖を
導く異界回廊!」


 遊無が指先に灯した炎を空に向けて放つと、円を描きつつ上空へと妖達の住む世
界へと続く道が通じ、墓地より4体の幽鬼が遊無の元へと馳せ参じた。


 「墓地から下級“幽鬼”――《河幽鬼 兵主部》に、鎌鼬、飯綱、烏天狗を自身
の効果で蘇らせる……!」


 飯綱攻撃力1400。 鎌鼬攻撃力1800。 烏天狗攻撃力1600。 兵主部攻撃力1100。


 「“幽鬼”の本懐――だが凌いでみせる……!」

 「それでこそ、私の好敵手! 烏天狗の効果で再びデッキの上3枚を墓地に送り
、鎌鼬が現れた事でその伏せたカードを吹き飛ばす! 陣風斬破……!」


 遊陽の伏せカードを指差し、手札に戻す鎌鼬の効果を使用するが、遊陽も伏せカ
ードを戻される前に、場の関捩仕掛けに対してそのカードを発動させる。


 「対象となった罠カード《関捩処 旅籠茶屋》を発動だ! 俺のアイスバーグ・
シェーバーは自身に装備された“ワッショイ関捩”と同じ回数、このターン戦闘で
の破壊を防げる!」


 関捩処 旅籠茶屋 通常罠
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分フィールドの「ワッショイ」機械族モンスター1体を対象に発動でき
 る。このターン対象のモンスターは、自分フィールドの装備魔法カード扱いの「
 ワッショイ」モンスターカードの枚数まで戦闘では破壊されない。
 (2):自分のメインフェイズに墓地のこのカードを除外して発動できる。
 自分の墓地からレベル5以上の「ワッショイ」機械族モンスター1体を手札に加
 える。


 「装備された関捩人形は2体――2回までは破壊を免れる」

 「たった2回――ですか、その程度で私は止められない! 飯綱でその関捩仕掛け、更に鬼童丸を対象に兵主部の効果発動……!」


 場に“幽鬼”が5体いることで、二又の狐が尾の先に生み出した5つの黒い塊を
次々に撃ち出し、直撃した関捩仕掛けの攻撃力を1つに付き400ダウンさせると
、牛皮を持つ鬼の刀は河童が頭の皿から放出した水を纏っていく。


 アイスバーグ・シェーバー攻撃力3600→1600。


 「行きます――鬼童丸でアイスバーグ・シェーバーを攻撃! 遊刃余地……!」


 バトルを宣言した遊無が場の鬼に命じると、関捩仕掛けへと牛皮が投げられ、視
界が覆われた一瞬の間に接近した鬼によって、関捩仕掛けへと刀が振り下ろされた



 「旅籠茶屋によって、2体の関捩人形が接続されているため破壊は免れる――」

 「ですが切れ味は受けて貰います! そして鬼童丸は戦闘で一撃加えるたびに、
遊陽の手札1枚を切り裂く……!」


 関捩仕掛けへと一太刀入るとともに、剥がれた破片が遊陽の元へと飛んでいき、
手札1枚を弾き飛ばすと、宙を舞ったカードは垂直に落ちて遊陽の墓地へと吸い込
まれる。


 「ぐっ……」 遊陽LP4000→3200。 墓地送り(ワッショイ・カツギテ)


 「更に! 兵主部の効果を受けた鬼童丸は、もう一太刀与えられる……!」

 「2度の攻撃で、手札2枚を破壊する気か……!?」


 再び刀を構え直した牛皮を持つ鬼が一振りすると、河童によって纏わせた水が斬
撃となって関捩仕掛けへと飛んでいく。


 河幽鬼 兵主部
 効果モンスター
 /闇/レベル4/アンデット/攻撃力1100。
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 自分フィールドの「幽鬼」モンスター1体を対象に発動できる。
 このターンそのモンスターは2回攻撃できる。
 (2):「幽鬼」モンスターをアドバンス召喚したターンに発動できる。
 墓地のこのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れる場合、デッキの一番下
 に戻る。


 「俺は装備された囃子鼓笛の接続を解除して、その攻撃を無効にする……!」

 「だったら鎌鼬の攻撃! これで旅籠茶屋の保護は剥がれ落ちる……!」


 接続を解除し、飛び出した関捩が斬撃を受け止め砕け散ると、続けて鎌鼬が放っ
た斬撃が氷塊の排出口へと直撃するとともに、当たった箇所からひび割れが広がっ
ていく。


 遊陽LP3200→3000。


 「続いて烏天狗! 妖旋逆風……!」


 続けて山伏姿の妖が猛吹雪の迎撃で全身を凍らせつつも、錫杖を突き出して関捩
仕掛けを粉砕すると、搭乗していたメイド姿の関捩人形が地面に落下し、砕かれた
関捩仕掛けの残骸が降り注いで押し潰す。


 「装備状態のデリバティーが墓地に送られたから、カードを1枚ドローする」

 「遊無さんの場には、あと2体攻撃を残した幽鬼がいる――」


 遊陽がカードを引くも、続けて残った河童と二又の狐も攻撃の体勢を取り、遊陽へと頭の皿から放出された水と怨念の塊が降り注いだ。


 「うっ……!?」 遊陽LP3000→1600→500。


 「私はカードを1枚伏せてターン終了。今度は遊陽が攻める番――だけど遊陽の
繰り出す攻撃は、全て防いでみせる……!」

 「……俺のターン! 墓地の旅籠茶屋を除外して効果発動。アイスバーグ・シェーバーを再び手札に加え、魔法カード《盂蘭盆逢》を発動だ……!」


 遊陽は引いたカードを確認すると、既に握る2枚の手札と持ち替え、発動した効
果によって再び墓地より氷塊を摩り下ろす関捩仕掛けを手札に加える。

 そして1枚の魔法カードを発動すると、空から差し込む光の中からメイド姿の関
捩人形が場に降りてくるとともに、再び運び込まれた関捩仕掛けへと接続された。


 「そしてデリバティーを装備カードとして再びアイスバーグ・シェーバーを特殊
召喚だ! そして“関捩全旋”モンスターは、関捩人形を乗せている場合そのモン
スターとともにリリースできる!」

 「装備状態のデリバティーも合わせて、1体で最上級モンスターをアドバンス召
喚できる――」


 まさか――。と、遊無や観戦する生徒が遊陽がかざそうとするカードに意識を向
けると、メイド姿の関捩人形を乗せた氷塊を摩り下ろす関捩仕掛けが消滅するとと
もに、舞い上がった粒子が竜の胴体を形作っていく。


 「俺はアイスバーグ・シェーバーを2体分としてリリース! 現れろ! 掛け声
響く祭りの竜――《ワッショイフェスタ・ドラゴン》……!」


 そしてカードが液晶盤へと置かれ、遊陽の場には金色に輝く胴体をしならせ、金
色の瞳を見開いた繁栄を司る“遊明の力”と、もう一人の遊無の力が合わさりカー
ドに宿った“祭りの竜”が顕現した。


 ワッショイフェスタ・ドラゴン攻撃力2500。


 「来た。遊陽の切り札――」

 「装備状態のデリバティーが墓地に送られたことで、カードを1枚ドロー。そし
て今引いた魔法カード《式面翁》により、ワッショイフェスタよ! シテとなり異
界との架け橋となれ!」


 宙に翁を表す面が浮かぶとともに、祭りの竜は咆哮を上げると面の元へと接近し
、垂れ下がった揚幕の中で端正な老人の面をかけるとともに、揚幕が上がると目元
を覆い顎から髭を生やした演者としての姿を披露した。


 「更に魔法カード《クロス・イリディセント》をワッショイフェスタに対して発
動だ! ワッショイフェスタはこのターン相手モンスターと戦闘する場合、攻撃力
を1000アップする……!」


 遊陽がかざしたカードによって、初夏の空に虹が架かるとともに、祭りの竜の鱗
には虹彩が差し込むことで7色の彩りが加えられた。


 クロス・イリディセント 通常魔法
 (1):自分フィールドの光属性・幻竜族モンスター1体を対象に発動できる。
 ターン終了時までそのモンスターが攻撃するダメージステップの間、そのモンス
 ターの攻撃力を1000アップする。


 「そしてワッショイフェスタは、俺の墓地の属性と種族の数だけ攻撃力を500
アップし、上級モンスターである鬼童丸の攻撃力をこのターン200ダウンさせる
! “賑やか”な催しで再び活気づけ! リバイタライズ・カーニバル……!」


 祭りの竜が更に咆哮を上げると、上空へと黄色に輝く光の球が浮かび上がると、
胴体をしならせ祭りの竜が舞い踊ると同時に、牛の皮を持つ鬼から邪気が払われて
いく。


 ワッショイフェスタ攻撃力2500→3500→4000。 鬼童丸攻撃力2400→2200。


 「だけど私には、遊陽の攻撃を凌げるカードがある――」

 「式面翁を掛けたワッショイフェスタの攻撃に対して、魔法、トラップによる迎
撃は通じない! バトルだ!」


 D・フェースへと手を伸ばした遊無に対し、掛けられた面が発する威光が場に伏
せた《葬頭河の剥脱》の発動を封じたことで、遊無は眉をしかめて伸ばした手を引
っ込めた。


 「飯綱を攻撃――“賑やか”せ! 隆盛のプロスペリティ・バースト……!」


 面を掛けた祭りの竜が金色の鱗を輝かせ、開口した口から放った光線が二又の狐
へと直撃すると、浄化の光で跡形も無く焼き払っていく。


 「っ……!」 遊無LP3600→1000。


 「式面翁の効果でモンスターを戦闘で破壊したことで、カードを1枚ドローし、
これを伏せてターン終了」

 「“関捩”の力を組み入れた遊陽君の新しいデッキ――ずっと考えていただけあ
るね」


 一連のプレイングを見事だと日吾が評すると、ターンを開始した遊無もカードを
ドローするとともに、しばらくそのカードを見つめると再び遊陽へと視線を向けた



 ワッショイフェスタ攻撃力4000→2500。 鬼童丸攻撃力2200→2400。


 「お前も強化されたデッキの力――その全てはまだ見せていない」

 「勿論――先程のターンで遊陽の手数を削り、その損耗がこのターン、命取りと
なる……!」


 遊無はデュエルを観戦しに集まったカズに留音、日吾や観客を順に見回すと、引
いたばかりのカードを眺めたのち、皆に見えるよう高く掲げた。


 「私は鎌鼬と兵主部をリリース! 見せて上げます――これが妖を束ねる3柱の
中でも、最強の鬼……!」


 2体の妖を黒い霧が覆っていくと、初夏の空はいつの間にか黒い雲で覆われ、霧
状に溶けた妖が吸い寄せられるとともに、上空から額から2本の角を生やした鬼が
降って来た。


 『これは……!?』

 「凍てつく玉屑を刃へと変え、攻め入る敵を突き倒せ! “アドバンス召喚”!
 君臨しなさい――《鬼幽鬼 大嶽丸》……!」


 遊陽達の前に膝を曲げて着地した――筋骨隆々とした校舎と同等の巨大な身体を
持ち、白目を剥いた鬼は真剣な表情で佇む遊無の後ろで、膝を伸ばして立ち上がる



 鬼幽鬼 大嶽丸
 効果モンスター
 /闇/レベル7/アンデット/攻撃力2800。
 このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分の手札から「幽鬼」モンスターを2体まで墓地に捨てて発動できる。
 この効果で捨てた枚数分、相手フィールドの魔法、トラップカードを選んで破壊
 し、破壊した枚数×400ダメージを与える。


 「マジかよ――」

 「立体映像とは思えない……凄い気迫――」


 カズ達が現れた鬼に思わず一歩足を引く中、大嶽丸は観客達を見下ろしつつ、氷
の粒子で生成した槍を両手に1本ずつ握りしめると、自らへと向き直り見上げる遊
無へと問いかけた。


 ――この大嶽丸、求めに応じ現れた――。

 「今回貴方が果たす役目は、このターンで遊陽にとどめを刺す事。過剰な攻撃は
許可しません」


 遊無を指差し現れた鬼へと遊無が役割を与えるとともに、残る手札1枚を墓地に
送り、現れた鬼が秘めし効果の発動を宣言した。


 「私は手札の海彦を捨てることで、大嶽丸の効果発動! 捨てた枚数分相手の魔
法、罠カードを凍てつかせる! 紫焔降雪……!」


 両手に氷の槍を握りしめる大嶽丸が妖力を発揮すると、上空の黒い雲から猛毒を
含んだ雪が降り始め、伏せカードに触れた瞬間、端から順に溶け落ちていく。


 「その伏せカードを破壊すれば、遊陽――貴方に400ダメージが与えられる…
…!」

 「なら、罠カード《ヒステリカル・ストレングス》だ……! 俺への効果ダメー
ジが発生した時、その倍の数値がワッショイフェスタの力となり、奮い立たせる!



 猛毒に蝕まれる前に――。と、遊陽が伏せたカードを発動させたことで、溶け落
ちた伏せカードが飛び散り遊陽のLPを蝕むと、祭りの竜は舞い上がる火の粉によ
って力を増大させていく。


 ヒステリカル・ストレングス 通常罠
 (1):自分にダメージを与えるモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した場
 合、自分フィールドのモンスター1体を対象に発動できる。このカードの発動後
 自分が受けたダメージの倍の数値分対象のモンスターの攻撃力をアップする。


  ワッショイフェスタ攻撃力2500→3300。 遊陽LP500→100。


 「……正に火事場の馬鹿力――といったところか」

 「――っ……!?」


 突如遊無がその場でしゃがみ込み、荒い息遣いを繰り返しつつ何とか平静を取り
戻そうとする中、一体何が――。と観戦する生徒達の間にざわめきが広がっていっ
た。


 「どうしたんだ遊無ちゃん……?」

 「火事――まさかもう一人の……!?」

 「……大丈夫。今は私や遊陽さん達がいる――」


 自らの精神の奥底で、同じく胸を押さえ苦しむもう一人の自分自身を視た遊無は
、震える手を押さえて再び立ち上がると、もう一人の自分にも聞こえるよう自らを
振るい立たせようとする。


 「もう私は1人じゃない! 遊陽――貴方があの時差し伸べてくれた手のおかげ
で、私はこれ程沢山の繫がりを得ることができた」


 “目指すべき目標”だと称した遊陽の期待に答えてみせる――。と、このターン
“アドバンス召喚”したことによって、再び自らの指先に妖の炎を宿した遊無は、
手を突き上げて再び異界との間に道を繋げる。


 「私は“幽鬼”のアドバンス召喚によって、墓地から《鍛幽鬼 一本踏鞴》を蘇
らせる。今日に至り伝わりし、3つの精霊の力――日吾さん! 貴方に宿る力、そ
れは初代常盤家当主から受け継がれし“探知”の精霊の力――」


 日吾に宿る精霊の力――その始まりの者を遊無が挙げると、日吾は頷き、出征し
たサバス達の事を思い浮かべながら呟く。


 「ああ、そしてサバスさん達には、マリアさん由来の“光”の精霊の力――」

 「遊陽、貴方にも宿った力は発現していた。情は人の為ならず――かつての私が
遊壱さんへと掛けた、人と人を結びつける“所縁(ゆかり)”の精霊の力は、巡り巡って貴方へと宿り、私を救ってくれた」


 遊無の熱弁に、遊陽はあの時自らと遊壱が生まれ変わったヨリマシだけが、神社
へとたどり着き遊無と出会えた理由を察する。


 「俺とヨリマシに宿る“所縁”の精霊の力が、もう一人の遊無と精霊遊明が生み
出した遊無と巡り会わせてくれた――」


 遊無との出会いを思い出し、遊陽が自らに宿る“もう一人の遊無”に由来する力
を知覚すると同時に、異界との間に道を繋いだ回廊から、鉄を打つ妖が大嶽丸に付
き従うように飛び出してきた。


 「この一本踏鞴が現れた事で、私のデッキの一番上が“幽鬼”なら場に呼び出せ
る。この1枚にこのデュエルの命運を託します……!」

 「ああ! 引けるものなら引いてみろ! 遊無……!」


 遊陽を含めたその場にいる者全員が、遊無の挙動を注視する中、目を閉じたまま
遊無はカードを引くと、目を見開きそのカードを高々と掲げる。


 「私が引いたのは――《豹幽鬼 仙狸》! バトル! 私は鬼童丸でワッショイ
フェスタを攻撃――」


 新たに山猫の妖を呼び出した遊無が攻撃を宣言するとともに、牛皮を持つ鬼は刀
を片手に祭りの竜へと向かって行く。


 「攻撃力は遊陽君の方が上……!」


 ワッショイフェスタ攻撃力3300。 鬼童丸攻撃力2400。


 「返り討ちだ! 隆盛のプロスペリティ・バースト……!」


 迫る鬼に祭りの竜は火の粉を纏った光線を発すると、牛皮持つ鬼は跡形もなく消
え去り、その攻撃力を超過した衝撃が遊無を襲う。


  「っ……!」 遊無LP1000→100。


 『お互いに、残りLP100……!』

 「私がダメージを受けた時、仙狸の効果で大嶽丸を対象に効果発動! 私が受け
た痛みは力となり、大嶽丸を奮い立たせる……!」


 豹幽鬼 仙狸
 効果モンスター
 /闇/レベル2/アンデット/攻撃力100。
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分が戦闘・効果でダメージを受けた場合、自分フィールドの「幽鬼」モ
 ンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで
 自分が受けたダメージの数値分アップする。
 (2):「幽鬼」モンスターをアドバンス召喚したターンに発動できる。
 墓地のこのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れる場合、デッキの一番下
 に戻る。


 大嶽丸攻撃力2800→3700。


 「……身を切って勝機を掴んだか。やっぱりお前は、目指すべき俺の目標――」

 「これで終わりです! 大嶽丸でワッショイフェスタを攻撃――六花槍剣……!



 このデュエル最後の攻撃宣言が為されるとともに、大嶽丸の背後に無数の雪の結
晶が浮かび上がると、生成した交差する氷の刀や槍が切っ先を祭りの竜へと向け、
数十もの刀や槍が飛び交い鱗を貫通して次々と貫いていった。


 遊陽LP100→0。


 「勝ったのは――遊無さん……」


 決着が着くと2体の精霊は消滅し、静寂が中庭を包む中、遊陽の元へと歩み寄り
差し出した手に遊陽は応じる。


 「俺の――負けだ。だけど次こそは勝ってみせる……!」

 「お待ちしています。私も遊陽さんに追われる気分を、もう少し味わいたいから
――」

 「ああ……だったら俺はともに並び、そしてその時こそ言うんだ――」


 遊無と向き合い、彼女の日没後の夜空のような青味がかった瞳をジッと見つめる


 そして遊無も遊陽の夕焼け色を思わせる瞳を覗き込み、2人がしばし見つめ合う
中、歪んだ笑みを顔に張り付けた1人の生徒が、目から光の消えた数人の生徒とと
もに中庭へと訪れた。


 「よお――」

 『夢枕(さん)……?』

 「……てめぇらがお遊びしてる間に、こいつらは俺の従順な僕となったぁ! さ
あ、こっちに来てもらおうか? 器の女ぁ……!」


 遊無へと手を突き出し、投降を促す現と、彼の背後で無表情のまま突っ立ってい
る複数の生徒に、遊陽達は様子がおかしい――。とお互いに顔を見合わせる。

 そしてデュエルが終了しても、晴れることのない黒雲が更に広がっていくことが
、遊陽達に事態が悪い方向へと傾きつつあることを実感するに至らせるのであった






 「遊陽と――」

 「遊無の――」

 『二人はビナリウス!』


遊無「どちらが勝ってもおかしくないデュエル――ですが今回は私が勝たせて頂き
ました」

遊陽「あと少し、お前に届かなかった。……しかし“所縁”の精霊の力の事、いつ
気付いたんだ……?」

遊無「私の精神世界で“もう一人の私”と交わした会話から、遊壱さんの出生を知
り、掛けられた加護こそ私自身が持つ“所縁”の精霊の力だと思い浮かんだのです


遊陽「俺がお前と遊明がいるあの場所に何気なく足を運んでいたのも、同じ力同士
惹かれたから……?」

遊無「もしかしたらあの出会いも、必然だったのかも――」

遊陽「いいや、俺は自らの意志で、助けを求めるお前のとこまで辿り着いたんだ。
精霊の力とか関係なく、ただお前を――」

遊無「……ありがとう。探知に光、そして所縁の現代に伝わる精霊の力。その力を
宿す私達や日吾さん、更には学園の仲間達が、夢枕さんの力に飲まれた仲間を救う
ために戦いを始める――」


 『次回! 遊戯王Binarius(ビナリウス) -夢に堕ちる仲間-』


遊陽「遂に本性を現した夢枕。そして夢枕の元に訪れたのは、秘号……!?」

遊無「どうか皆、無事でいて――次回、それぞれのデュエルが始まる」
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ジェム貯めナイト
なぜ、2人が遊無の元へとたどり着けたのか。なぜ彼女を視認できたのか。
1話の伏線を遂に回収して、いよいよ本格的な闇のデュエルの始まりです! (2023-07-17 11:27)

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