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45Turn マグナ ヌメンへの往訪 作:ジェム貯めナイト
日が昇ってまだ間もない時刻。就寝から目覚めた遊陽にサバス、マルチェッロは
身支度を済ませ、一晩過ごしたホテルの部屋を後にする。
「――起きてるか? さあ、行こうか」
サバスが遊無とマノンが過ごした隣の部屋をノックすると、しばらくして準備を
整えた2人が現れるとともに、一行は朝食とするためホテル内のビュッフェへと移
動した。
「……目覚めてすぐ連絡したんだが、イーサ様はパパ様――教皇ベテルギウス様
の公務に付き添うため、面会は夜まで待つこととなった」
それぞれが大皿に朝食を盛り席に揃ったところで、サバスはテーブルに揃った一
同を見渡すと、今日の予定を話し始めた。
「そっかー。お爺ちゃんも結構忙しいからね~」
「マルチェッロ。マグナ ヌメンに到着したら、オレと夜までに貯まった仕事を
片付ける。そしてマノン。お前が2人にマグナ ヌメンを案内するんだ」
「ダック!(オッケー)」
「了解ッス! 面会時刻になったら、サバスさんの分はあっしが引き継げばいい
んスね?」
マルチェッロが理解して頷くとともに、サバスは同じく頷いたマノンを見ると、
念押しするように彼女へと言い聞かせる。
「……お前がやるはずだった事務もこっちで済ませておく。お前は数か国語話せ
るから、2人が困ったらすぐに手を貸せ。絶対にトラブルを起こすんじゃねえぞ…
…?」
「う――分かった……」
「サバスさん。俺達だって学園で外国語教育は受けてたから、最低限の事は出来
ますよ」
迷惑はかけないからと、遊陽は万が一のために学園で使っていたノートや、観光
案内の本を持参してきたとサバスへ伝える。
「それは頼もしい。だが困ったら迷わずマノンを頼れ。ヒノモトの教育じゃ受け
ない言語を話す奴も、マノンに任せれば大抵何とかなる」
「分かりました。じゃあ頼むぜマノン?」
「マノンさん、案内よろしくお願いします」
案内を任されたマノンへと2人が感謝を伝えるとともに、一行は朝食へと手を付
け始め、食べ終えた一行はホテルの地下でマグナ ヌメンとの連絡用に、既に手配
されていた黒い乗用車へと乗り込む。
そして車は発進し、エスト パラティーノの市内を進むこと数十分後、徐々に周
囲の車がスピードを落とし始め、正面に渋滞の原因となっている石造りの詰所が現
れた。
「あの門の先がマグナ ヌメンだ」
「観光の本に載っていた通りだ。城壁に囲まれたあの先が、イーサ教会の総本山
にして独立国家――マグナ ヌメン」
「そうだ。そしてマグナ ヌメンもまた、エスト パラティーノ国に囲まれた包領
――“エンクレーブ”という訳だ」
秘号(こころのやみ)に囚われた精霊遊明――ユーメイが率いる秘号(エンクレ
ーブ)と、遊明の息子であり、イーサ教会の主として信徒達秘炉(ヴェリーバー)
を導くイーサとの因縁について言及したサバスは、先日の激戦を振り返りながら
ため息を着く。
「そろそろ到着ッスよ。あっしは本部での仕事に戻るため、ここでお別れっス」
教会本部への道に入ると、眼前にそびえる歴史ある美術館やその奥にある孤児院
を眺めながら、運転席のマルチェッロは後部座席へと座る遊陽達へと告げる。
「そうですか。マルチェッロさん、ここまでの運転ありがとうございました」
「俺も――特訓に付き合って頂いたこと、感謝しています!」
「どーもッス。ユーヒ――君はもっと強くなれるッスから、遊明の力――いや、
それを秘めるユームちゃんを守り抜いて見せるっスよ……!」
マルチェッロの問いかけに遊陽は頷くと、車は荘厳な雰囲気の美術館の前で停車
し、後部座席の3人が降りるとともに教会本部へと引き返す。
「それじゃ――また後でな!」
窓からサバスが呼び掛けると、去り行く車が消えるまで手を振った3人は、夜ま
でマグナ ヌメンを観光しようと早速美術館の方へ歩き始める。
「それじゃ行こっか! まずはやっぱり、美術館だよね~」
「歴史ある彫像品も沢山展示されてるんだろ? 楽しみだな」
マノンを先頭に、3人は美術館に入って広いホールの窓口で入館料を支払うと、
しばらくの間1階を見学し、やがて2階の美術品を見学しにエスカレーターへと向
かった。
「……凄いな――」
壁に飾られた数々の名画や、液晶パネルに映し出された過去の教皇就任式の映像
。そして実際に使われていたパイプオルガンに教会の鐘と、3人は館内を探索して
いく。
「これも全て――イーサお爺さま達が積み上げてきた歴史の一部……」
「えっと……確かイーサお爺ちゃんのパパが精霊遊明で、その遊明が闇に飲まれ
たのがこの前アタシ達が見たユーメイ――」
マノンがこれまでの経緯を振り返るかのように指折り数えて、全ての始まりであ
る人々が生み出した心の闇が精霊遊明に憑りついてからの出来事を思い返す。
「分離した遊明の魂は、俺達の町でもう一人の遊無に宿り、彼女の死の間際にそ
の魂と自らの力を納める器――遊無を生み出した」
「はい。遊明は私を生み出した後、その魂をあの本殿の形に変えて今に至ります
」
「つまりここに集めた美術品は、遊明の本体が行方不明になって、イーサお爺ち
ゃんがこの世界でイーサ教会を布教し始めてからの歴史そのものなんだね」
近くの展示品の側にあったガイドブックを掴み、開いて目を通したマノンは、千
年以上もの間この地で栄えてきたイーサ教会についての記述に納得したかのように
頷く。
「おや、サバスのところの……それに海外からの客人かな?」
その時だった。1階から続くエスカレーターを上がり、遊陽達がいる2階へと足
を運ばせたブロンドの波打った髪に礼服の男は、来て早々にマノンの元へと近づい
て来た。
「あ……えと、お久しぶりです。ディオゴ卿――」
男を見た瞬間にマノンが血相を変え、聞き慣れない言語で男へと丁寧な口調で返
答した事に、遊陽は疑問を抱いて2人の元へと近づいていく。
「やあ。君達は彼女の案内で見学しに来たのかな?」
「ユーヒ! アルビオンの言葉ならこの人に通じるよ!」
「あ――えっと、初めまして。ヒノモトから来た遊陽と言います……」
マノンから聞かされた通りに、遊陽は学園で習った共通言語で男へと自己紹介を
すると、男は先程とは言語を変えて再び遊陽へと話しかけてきた。
「これは失礼――彼女とは部署は違うものの、少々顔見知りなものでね……」
「ユーヒ……この人はディオゴ・ドミンゴ・デ・ソウザ卿――教皇様の側近も務
めていて、サバスの上司みたいな偉い人だよ」
緊張しがちにマノンが声を震わせながら説明するとともに、2人の元へやって来
た遊無も遊陽に倣い、共通言語でディオゴへと話しかける。
「初めまして。遊無と言います。卿――ということは、本来私達が一見すること
も叶わない御身分の方……という意味でしょうか?」
「フッ……客人よ。そう身構えなくともよい。教会の内外において、出身や立場
の違いから主従を強いるのは認められてはいない――」
「――ディオゴ卿はね、イーサ教会の教皇を選出する枢機卿の中でも、最も教皇
様に近い枢機卿なんだ……」
マノンの説明から、このディオゴという礼服の男が教会でも高位に属する身分の
者だと知り、遊陽と遊無はたちまちに畏まる。
「よい――よいのだ客人よ。吾輩は家元により舗装された聖職者への道を、何不
自由なく歩んできただけに過ぎない――」
自らを謙遜するかのように首を軽く横に振ったディオゴは、用事は済ませたと言
わんばかりに踵を返し、再び下りのエスカレーターの元へと歩き出した。
「サバスは――本部へと戻ったという事か。帰国して早々仕事熱心な男だ」
「……あの、サバス――さんは、きっとアタシ達を“置いていかない”と思いま
す――」
ディオゴの去り際にマノンが言葉を発したことで、ディオゴはその場でピタリと
止まり、緊張した面持ちのマノンへと振り返りつつ、にこやかな笑みで残念そうに
返答する。
「――ああ、彼ならそう言うだろうね。だけど吾輩は彼を諦めない――」
「…………」
「しかしもし、気が変わったのなら、吾輩や教皇様――そしてイーサ様は彼を歓
迎する。今の言葉はサバスにも伝えるんだ。いいね?」
ディオゴとマノンが交わす会話に、遊陽と遊無はますます疑問を浮かべていく中
、緊張した面持ちのマノンが静かに頷くと再びディオゴは歩き出した。
「それと……君達とはまた会うこととなるだろう――」
去り際に一言残してディオゴが下りていくとともに、緊張を解いたマノンが大き
なため息を着くと同時に、2人は彼女がディオゴと交わした会話の意味について問
い詰める。
「マノンさん――」
「――ディオゴ卿はね。信頼と実績のあるサバスを引き抜きたいの。“顧問団”
に――」
「顧問団……?」
「そっ……教皇様とイーサお爺ちゃんのアドバイザーにね。普通なら途中入信の
サバスじゃなれない役柄だし、守護霊の防人の皆も喜ぶだろうけど……」
自らが慕うサバスの昇進とは裏腹に、物憂げな表情のまま俯くマノン2人はどう
声を掛けていいか分からず立ち尽くすも、気持ちを切り替え再び顔を上げたマノン
は2人の元に駆け寄って腕を掴む。
「そんな事よりっ! 大体回ったことだし、次はアタシが育った孤児院に向かわない?」
「えっ……いや、俺は別にいいけど――」
「たまには顔見せに行かないと! お昼もそこで一緒すればいいし!」
マノンに促されるがまま、2人は見学も早々に美術館を後にすると、敷地を歩い
て教会本部に隣接された孤児院へとたどり着いた。
「……ここが、マノンが育ったところ――」
「いたいた――サリュー(やあ)! ベサニー……!」
孤児院の子供達が遊具で遊ぶ傍らをすり抜け、マノンが近くのシスターへと話し
かけると、小さな子供達の遊び相手を務めていた彼女はマノンに気付いて振り返る
。
「マノン! 帰ってきてたの……!?」
「遅れたらスザンナが口うるさいでしょ? あっ……この2人はアルビオンなら
通じるよーっ」
マノンと同じくらいの年をした緑髪のシスターは、遊陽と遊無に振り返り、お互
いに挨拶を交わすと2人は再びマノンの後を付いて院内へと入っていく。
「ここだよ。アタシとベサニー達に当てられた部屋」
マノンが部屋の鍵を開けて2人を中へ招くとともに、彼女や他のシスターが共同
で暮らす部屋に踏み入った遊陽と遊無は、人数分の机とベッドが備えつけられただ
けのこじんまりとした部屋を見回す。
「マノンはここで育ったんだな。“賑やか”で毎日楽しそうだ」
「まあ……ね。ベサニー達とは最初から仲良かった訳じゃないけど――」
自分のベッドに腰掛けたマノンは、立ったままの遊陽と遊無に座っていいと促す
と、2人が座るとともに再び口を開いた。
「ここって両親を事故や紛争で亡くした子ばっかりでさ、サバスだけでも親がい
たアタシはまだ幸福な方だよ」
「…………」
「それで小さい頃は年長の子から嫌がらせされたけど、サバスと約束してから言
い返したりして、次第に止んでいったな」
「そうですか――」
「あ、別に暗い話だけじゃなくて――今は一部の分かり合えなかった人以外は仲
良しだよ……!」
遊陽と遊無が口数を減らしたことにマノンは慌てふためき、すぐに笑顔を取り繕
うと2人の手を引いて、再びベサニー達が子供たちの面倒を見ている表へと2人を
連れ出す。
「あっ、マノンおねえちゃんだ……!」
「イーサン! ベサニー! アタシ達も手伝うよーっ!」
そして3人は、再び子供達と遊んでいる緑髪のシスターと年長の茶髪の少年の元
へと向かい、しばらくの間2人とともに孤児院の子供達と童心に返って遊ぶのであ
った。
「マノンにお兄ちゃん達、本当に助かったよ」
すっかり日が傾き始めた頃、茶髪の髪をした年長組の少年――イーサンは、ベサ
ニーともに今週の当番だった子供達の相手を手伝ってくれた3人へと礼を述べる。
「どういたしまして。まあ、約束の時間まで暇だったし……」
マノンの通訳を挟んで遊陽とイーサンが意思疎通を交わすと、その時道路に近い
場所で遊んでいた子供達が来客に気付いて再び騒ぎ始める。
「――やあ、やはりまた会うこととなったようだ」
「え――ディオゴ卿!?」
一同が振り返ると、子供達に両手を掴まれながら遊陽の元へ近づいて来たディオ
ゴに気付き、ベサニーとイーサンは丁重なお辞儀で彼を出迎えた。
「また――ということは、俺達の行動はお見通しという訳ですか」
「いいや。客人よ――彼女といるからには、ここに訪れるだろうと予測しただけ
だよ。吾輩も用事で早々に立ち寄っただけだ」
面を上げるようベサニーとイーサンに告げると、ディオゴは腕に付けていたD・
フェースを起動させ、懐から自らのデッキを取り出す。
「おじちゃん! デュエルするの……?」
「ああ……みんなもデュエルは好きかい……?」
ディオゴの呼びかけに、子供達がバラバラに好きだと答えると、遊陽達にデュエ
ルの相手をするようせがまれる。
「おにいちゃんたちデュエルして~!」
「ユーヒ、ユーム……ディオゴ卿はサバスが招いた貴方達に興味を示したみたい
」
「厳かな美術館では控えていたが、1戦どうだろうか? サバスが招いた客人よ
――」
余興とばかりにデュエルを申し込むディオゴに、遊陽は取り出した自身のデッキ
を見つめると、自身と同じようにD・フェースを見つめる遊無へと問いかけた。
「……掴みどころのない方だな。遊無、俺に譲ってくれ」
「はい。マルチェッロさんとの特訓の成果を見せてください」
遊無の返事を受け遊陽が前に進み出ると、2人は子供達の遊び場となっている広
場の中央を陣取り、マノン達が子供達の手を引いて観戦する中、互いにD・フェー
スへデッキをセットした。
「みんなーっ、お兄ちゃん達の邪魔をしないように観戦しような」
イーサンが子供達へと呼び掛ける中、遊陽は5枚の手札を引くと、同じくデュエ
ル開始の体制を整えたディオゴへと問いかけた。
「……貴方は俺達が訪れると知って、接近してきたのですか?」
「――正直に言えば、ああ、そうだ。吾輩や教会に勤める者でさえ辿り着けない
とされる精霊世界に行きたいなど、余程腕に自信があるか、あるいは――」
「無鉄砲――ですよね? 確かにそう思われても仕方ない。だけど“秘号(エン
クレーブ)”の力を知る俺は、俺達の町を襲った脅威を繰り返させないためにも―
―」
そして液晶盤にLP表示が浮き出るとともに。2人は遊無や子供達が見守る中、
デュエルを開始する。
『デュエル――』
Turn1 遊陽LP4000。手札5 ディオゴLP4000。手札5
「先行は譲るよ。客人――」
「特訓の成果を見せてやる! 俺は《ワッショイ関捩・デリバティー》を召喚だ
」
モンスターを液晶盤に置くと、遊陽の場には背中の巻き鍵をエプロンの紐で固定
した和風メイド姿の関捩人形が、盆を片手に現れた。
デリバティー攻撃力0。
「更に永続魔法《関捩廻旋》を発動する! このカードは1ターンに1度、俺の
“ワッショイ関捩”1体の関捩を締め上げ表示形式を変更させる! 効果発動――
」
続けて発動したカードが効力を発揮して、和風メイドを模した関捩人形は背中の
巻き鍵を回すことでどこからかティーポットを取り出し、紅茶が注がれたカップを
掲げるとともに遊陽はカードを1枚ドローする。
関捩廻旋 永続魔法
(1):1ターンに1度、自分フィールドの「ワッショイ」機械族モンスター1体を
対象として発動できる。そのモンスターの表示形式を変更する。
(2):自分フィールドの表側守備表示の「ワッショイ」機械族モンスターが攻撃
表示となった場合に発動できる。そのモンスターの攻撃力を500アップする。
「そしてデリバティーは1ターンに1度、表示形式を変更したことで俺にカード
1枚を給仕する」
「機体に取り付けられた関捩を巻くことで動力を得る“ワッショイ関捩”こそ、
遊陽が主力とするモンスターの1体――」
「更に俺は、このデリバティーを対象に手札の“このカード”の効果発動だ!
“ワッショイ関捩”を装備カードとすることで、特殊召喚! 《関捩全旋・ワッシ
ョイアイスバーグ・シェーバー》……!」
表示形式の変更が鍵となる関捩人形を装備することで、駆動し現れる大掛かりな
関捩仕掛けのモンスターを遊陽が液晶盤へと置くと、鍵状に変化させた腕を接続さ
せた茶運人形の操縦によって、大掛かりな氷を摩り下ろす関捩仕掛けが運ばれて来
た。
アイスバーグ・シェーバー攻撃力2300。
「すっげー! へんけいした……!」
「合体ロボってのは、海外でも人気みたいだな! 俺はカード1枚を伏せターン
終了」
遊陽がターンを終えるとともに、それまで黙って彼の挙動を観察していたディオ
ゴがカードを引くと、早速手札から1体のモンスターを引き抜いた。
Turn2 ディオゴ手札6
「吾輩のターン。客人――ユーヒ。君は果たして吾輩の“雷火”に耐えうるだろ
うか……?」
「来る――」
「吾輩は《秘炉信徒(ヴェリーバー シープ)ラム》を召喚する」
ディオゴが液晶盤へとモンスターを置くとともに、呼び出した一基の炉が次第に
羊の姿を模って地に足を着けると、鋼板の上から微細なスチールウールを纏ってい
く。
ラム攻撃力0。
『サバスさんと同じ――秘炉(ヴェリーバー)……!?』
初めてサバスと出会った時、遊陽と遊無を同時に相手取り完勝したサバスが使う
カードと同じだと知って、遊陽と遊無は驚愕を顔に浮かべる。
「当然でしょ。だって“秘炉”はイーサお爺ちゃんが生み出したカードだし」
「――どうした? まさか吾輩が使うカードを見て、怖気づいた訳ではあるまい
……?」
自らのモンスターを眺めて血相を変えた遊陽にディオゴは気付くと、愛想をつか
したような声色で遊陽へと語り掛ける。
「――今の俺は、あの時とは違う。何でもない。デュエルを続けよう――」
「ならば吾輩は、手札からこのカードの効果を発動する! 吾輩が呼び出したラ
ムについて、今一度教えよう。このモンスターが存在する限り、吾輩は“秘炉”の
効果によるリリースを手札からも賄えるということ――」
ディオゴは手札から発動させたモンスターと同じく、もう1体の“秘炉”を遊陽
へと見せることで、彼は突き上げた片腕に纏わせた炎を場へと解き放つ。
「吾輩は場の代わりに手札から《秘炉修道女(ヴェリーバー シスター)ビジー
・ビー》をリリース! 尊き御方を守護する聖獣よ! 双翼を広げならず者どもを
引き裂け……!」
そしてディオゴがモンスターを液晶盤へと置くことで、場には鋼鉄の炉を内包す
る聖なる加護を得た守護獣が降り立ち、翼を広げて遊陽を威圧した。
「特殊召喚だ――《秘炉守護獣(ヴェリーバー ガーディアン)グリフォン》…
…!」
秘炉守護獣(ヴェリーバー ガーディアン)グリフォン
効果モンスター
/炎/レベル6/機械/攻撃力2400。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドのレベル4以下の「秘炉」モンスター1体をリリースして
発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。その後この効果でリリースし
たモンスターの攻撃力分相手フィールドのモンスターの攻撃力をダウンさせる。
(2):このカード以外の「秘炉」モンスターが召喚・特殊召喚に成功する度に発
動する。相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力を300ダウンさせる。
「ディオゴ卿の“秘炉”は、彼に合わせた特注品だよ。ユーヒ」
「彼女の言う通り――吾輩の“秘炉”は、サバスとは少々性質が異なるのでな―
―」
マノンがポツリと呟いた一言に、サバスとは異なる戦術を使うと公言したディオ
ゴは、続けてリリースされた秘炉の効果も発動させる。
「まずは捧げられたビジー・ビーの効果発動だ。このモンスターはリリースされ
た時、デッキから同胞を呼び寄せる。2体目のビジー・ビーを特殊召喚」
ディオゴがデッキからカードを選び出すとともに、金属音が混じった羽音をたて
ながら、炉を内包する鋼鉄の蜂が場に現れた。
ビジー・ビー攻撃力1000。
「そして吾輩が“秘炉”を呼び出すごとに、グリフォンの効果が発動する! 君
のモンスターの攻守は300ダウンする! スクリーム・インティミデイト……!
」
両翼を広げた鷲と獅子の合成獣が翼を羽ばたかせて旋風を巻き起こすとともに、
氷を摩り下ろす関捩仕掛けは摩耗し動きを停止させた。
アイスバーグ・シェーバー攻撃力2300→2000。
「だが俺も、モンスターがリリースされたためアイスバーグ・シェーバーの効果
を発動だ! こいつはモンスターがリリースされるごとに攻撃力を400アップさ
せる……!」
「ささやかな抵抗か。しかしその上昇率では付け焼刃に過ぎない。グリフォンは
自身の効果でリリースした“秘炉”の攻撃力分、相手モンスターの攻撃力をダウン
させる……!」
条件を満たしたことで関捩仕掛けは氷を削る歯車を再び回転させ、勢いを取り戻
すも、ディオゴは関捩仕掛けを機能不全にするべく続けて効果を発動した。
アイスバーグ・シェーバー攻撃力2000→2400→1400。
「くっ――」
「まだだ。続けてラムをリリースすることにより、吾輩は魔法カード《秘炉秘跡
終油(ヴェリーバーサクラメントゥム・アノインティング)》を発動。これでそ
のモンスターの効果は無効となり、攻撃力はリリースした“秘炉”1体に付き10
00ダウンする……!」
ディオゴが発動させた“秘跡”の魔法カードは、氷を摩り下ろす関捩仕掛けを聖
なる油で包み込み、その能力を浄化するとともに染み込んだ油が耐久性を奪い取る
。
秘炉秘跡 終油(ヴェリーバーサクラメントゥム・アノインティング) 通常魔
法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドの「秘炉」モンスターを任意の数だけリリースし、リリー
スした数だけ相手フィールドのモンスターを対象に発動できる。ターン終了時ま
でそのモンスターの効果を無効にし、攻撃力をリリースしたモンスターの数×1
000ダウンさせる。
アイスバーグ・シェーバー攻撃力1400→400。
「ディオゴさんの“秘炉”は、サバスさんとは異なり相手の弱体化に長けている
……」
「各神父や枢機卿に与えられた“秘炉”は、イーサお爺ちゃんがそれぞれの個性
に合わせて作ったってことだね」
「そしてラムがリリースされたことで効果発動。吾輩のデッキから同名モンスタ
ー2体を手札に加え、バトルだ……!」
バトルフェイズへの移行を告げたディオゴは、まずは鷲の翼持つ合成獣に命じて
スクラップ同然になり果てた関捩仕掛けへと飛来させる。
「吾輩はグリフォンでアイスバーグ・シェーバーを攻撃――ウングラ・カペレ…
…!」
鋭い鉤爪で関捩仕掛けを掴んだ合成獣は再び宙へ飛び立つと、上空に達するとと
もに再び急降下を始め、地面スレスレで関捩仕掛けを離して大破させるとともに、
再び夕焼けに代わりつつある大空へと飛び立った。
「ぐっ……!?」
遊陽LP4000→2000。
「だが装備状態のデリバティーが墓地へ送られたことで、カード1枚をドロー!
」
「かまわん。続けてビジー・ビーで直接攻撃……!」
攻撃の手を緩めず、ディオゴが即座に鋼鉄の蜂へ攻撃を命じると、羽音をたて近
付く蜂が身体を折り曲げ尻の針で遊陽を刺す。
「痛っ……!」 遊陽LP2000→1000。
「あっという間に、LPを殆ど奪われてしまった……」
「くっ、だが俺はこの直接攻撃でダメージを受けたため、罠カード《禍根相祭》
を発動だ! このカードの効果で受けたダメージ以下の攻撃力を持つデリバティー
を蘇生させ、バトルフェイズを強制終了する……!」
禍根相祭 通常罠
(1):相手モンスターの直接攻撃で自分がダメージを受けた時に発動できる。
その数値以下の攻撃力を持つ「ワッショイ」モンスター1体を自分の墓地から特
殊召喚し、そのダメージステップ終了後にバトルフェイズを終了する。
「ユーヒのファム ド メナージュ(メイド)が復帰した!」
「ほう、中々の度胸を見せてくれる。だが、この損失は手痛いぞ……?」
カードを2枚伏せ、自らを前に大幅なLP減少は破滅をもたらすとディオゴが忠
告するも、これも勝利のためだと遊陽は自らの判断を疑うことなく、デッキに手を
掛けターンを開始しようとする。
「……以前までの俺なら、これほどLPを失って平然としてはいなかった。だが
己の勝ちを信じ、冷静に戦略を実行する術を教えて貰った今の俺なら、この程度の
LP消耗に動じることはない!」
そしてカードをドローすると、引いたカードを見るなり遊陽の目つきは変わり、
ディオゴへと今一度向き直って宣言する。
「さあ、俺の反撃はここから始まる! マルチェッロさんとの特訓で得た“強さ
”を、ディオゴさんに見せてやるぜ……!」
「遊陽と私――」
「そしてアタシ、マノンが送る――」
『ビナリウス回顧録!』
マノン「サバスとマルっちが公務に向かって、アタシが育った孤児院に訪れたユー
ヒは、そこでサバスの上司――顧問団に属するディオゴ卿とデュエルを始めちゃっ
た」
遊陽「ディオゴさんが使うのは、サバスさんと同じく“秘炉(ヴェリーバー)”
だ。だがサバスさんとは扱う戦術が異なるようだ」
遊無「サバスさんはプロメテウスやヘパイストスみたいに、捧げた秘炉を攻撃力へ
と転化するけど、ディオゴさんは逆に相手モンスターを弱体化させるためリリース
を多用します」
遊陽「だが俺もこの“新しく組み上げたデッキ”なら、きっと勝てる筈だ! 次回
は俺とディオゴさんのデュエルが続き、俺の前にディオゴさんがイーサから与えら
れた“切り札”が姿を現す――」
『次回! 遊戯王Binarius(ビナリウス) -跳躍-精霊世界へ-』
マノン「遂にユーヒ達とイーサお爺ちゃんが対面する! いざ精霊世界にデパール
……!(出発)」
身支度を済ませ、一晩過ごしたホテルの部屋を後にする。
「――起きてるか? さあ、行こうか」
サバスが遊無とマノンが過ごした隣の部屋をノックすると、しばらくして準備を
整えた2人が現れるとともに、一行は朝食とするためホテル内のビュッフェへと移
動した。
「……目覚めてすぐ連絡したんだが、イーサ様はパパ様――教皇ベテルギウス様
の公務に付き添うため、面会は夜まで待つこととなった」
それぞれが大皿に朝食を盛り席に揃ったところで、サバスはテーブルに揃った一
同を見渡すと、今日の予定を話し始めた。
「そっかー。お爺ちゃんも結構忙しいからね~」
「マルチェッロ。マグナ ヌメンに到着したら、オレと夜までに貯まった仕事を
片付ける。そしてマノン。お前が2人にマグナ ヌメンを案内するんだ」
「ダック!(オッケー)」
「了解ッス! 面会時刻になったら、サバスさんの分はあっしが引き継げばいい
んスね?」
マルチェッロが理解して頷くとともに、サバスは同じく頷いたマノンを見ると、
念押しするように彼女へと言い聞かせる。
「……お前がやるはずだった事務もこっちで済ませておく。お前は数か国語話せ
るから、2人が困ったらすぐに手を貸せ。絶対にトラブルを起こすんじゃねえぞ…
…?」
「う――分かった……」
「サバスさん。俺達だって学園で外国語教育は受けてたから、最低限の事は出来
ますよ」
迷惑はかけないからと、遊陽は万が一のために学園で使っていたノートや、観光
案内の本を持参してきたとサバスへ伝える。
「それは頼もしい。だが困ったら迷わずマノンを頼れ。ヒノモトの教育じゃ受け
ない言語を話す奴も、マノンに任せれば大抵何とかなる」
「分かりました。じゃあ頼むぜマノン?」
「マノンさん、案内よろしくお願いします」
案内を任されたマノンへと2人が感謝を伝えるとともに、一行は朝食へと手を付
け始め、食べ終えた一行はホテルの地下でマグナ ヌメンとの連絡用に、既に手配
されていた黒い乗用車へと乗り込む。
そして車は発進し、エスト パラティーノの市内を進むこと数十分後、徐々に周
囲の車がスピードを落とし始め、正面に渋滞の原因となっている石造りの詰所が現
れた。
「あの門の先がマグナ ヌメンだ」
「観光の本に載っていた通りだ。城壁に囲まれたあの先が、イーサ教会の総本山
にして独立国家――マグナ ヌメン」
「そうだ。そしてマグナ ヌメンもまた、エスト パラティーノ国に囲まれた包領
――“エンクレーブ”という訳だ」
秘号(こころのやみ)に囚われた精霊遊明――ユーメイが率いる秘号(エンクレ
ーブ)と、遊明の息子であり、イーサ教会の主として信徒達秘炉(ヴェリーバー)
を導くイーサとの因縁について言及したサバスは、先日の激戦を振り返りながら
ため息を着く。
「そろそろ到着ッスよ。あっしは本部での仕事に戻るため、ここでお別れっス」
教会本部への道に入ると、眼前にそびえる歴史ある美術館やその奥にある孤児院
を眺めながら、運転席のマルチェッロは後部座席へと座る遊陽達へと告げる。
「そうですか。マルチェッロさん、ここまでの運転ありがとうございました」
「俺も――特訓に付き合って頂いたこと、感謝しています!」
「どーもッス。ユーヒ――君はもっと強くなれるッスから、遊明の力――いや、
それを秘めるユームちゃんを守り抜いて見せるっスよ……!」
マルチェッロの問いかけに遊陽は頷くと、車は荘厳な雰囲気の美術館の前で停車
し、後部座席の3人が降りるとともに教会本部へと引き返す。
「それじゃ――また後でな!」
窓からサバスが呼び掛けると、去り行く車が消えるまで手を振った3人は、夜ま
でマグナ ヌメンを観光しようと早速美術館の方へ歩き始める。
「それじゃ行こっか! まずはやっぱり、美術館だよね~」
「歴史ある彫像品も沢山展示されてるんだろ? 楽しみだな」
マノンを先頭に、3人は美術館に入って広いホールの窓口で入館料を支払うと、
しばらくの間1階を見学し、やがて2階の美術品を見学しにエスカレーターへと向
かった。
「……凄いな――」
壁に飾られた数々の名画や、液晶パネルに映し出された過去の教皇就任式の映像
。そして実際に使われていたパイプオルガンに教会の鐘と、3人は館内を探索して
いく。
「これも全て――イーサお爺さま達が積み上げてきた歴史の一部……」
「えっと……確かイーサお爺ちゃんのパパが精霊遊明で、その遊明が闇に飲まれ
たのがこの前アタシ達が見たユーメイ――」
マノンがこれまでの経緯を振り返るかのように指折り数えて、全ての始まりであ
る人々が生み出した心の闇が精霊遊明に憑りついてからの出来事を思い返す。
「分離した遊明の魂は、俺達の町でもう一人の遊無に宿り、彼女の死の間際にそ
の魂と自らの力を納める器――遊無を生み出した」
「はい。遊明は私を生み出した後、その魂をあの本殿の形に変えて今に至ります
」
「つまりここに集めた美術品は、遊明の本体が行方不明になって、イーサお爺ち
ゃんがこの世界でイーサ教会を布教し始めてからの歴史そのものなんだね」
近くの展示品の側にあったガイドブックを掴み、開いて目を通したマノンは、千
年以上もの間この地で栄えてきたイーサ教会についての記述に納得したかのように
頷く。
「おや、サバスのところの……それに海外からの客人かな?」
その時だった。1階から続くエスカレーターを上がり、遊陽達がいる2階へと足
を運ばせたブロンドの波打った髪に礼服の男は、来て早々にマノンの元へと近づい
て来た。
「あ……えと、お久しぶりです。ディオゴ卿――」
男を見た瞬間にマノンが血相を変え、聞き慣れない言語で男へと丁寧な口調で返
答した事に、遊陽は疑問を抱いて2人の元へと近づいていく。
「やあ。君達は彼女の案内で見学しに来たのかな?」
「ユーヒ! アルビオンの言葉ならこの人に通じるよ!」
「あ――えっと、初めまして。ヒノモトから来た遊陽と言います……」
マノンから聞かされた通りに、遊陽は学園で習った共通言語で男へと自己紹介を
すると、男は先程とは言語を変えて再び遊陽へと話しかけてきた。
「これは失礼――彼女とは部署は違うものの、少々顔見知りなものでね……」
「ユーヒ……この人はディオゴ・ドミンゴ・デ・ソウザ卿――教皇様の側近も務
めていて、サバスの上司みたいな偉い人だよ」
緊張しがちにマノンが声を震わせながら説明するとともに、2人の元へやって来
た遊無も遊陽に倣い、共通言語でディオゴへと話しかける。
「初めまして。遊無と言います。卿――ということは、本来私達が一見すること
も叶わない御身分の方……という意味でしょうか?」
「フッ……客人よ。そう身構えなくともよい。教会の内外において、出身や立場
の違いから主従を強いるのは認められてはいない――」
「――ディオゴ卿はね、イーサ教会の教皇を選出する枢機卿の中でも、最も教皇
様に近い枢機卿なんだ……」
マノンの説明から、このディオゴという礼服の男が教会でも高位に属する身分の
者だと知り、遊陽と遊無はたちまちに畏まる。
「よい――よいのだ客人よ。吾輩は家元により舗装された聖職者への道を、何不
自由なく歩んできただけに過ぎない――」
自らを謙遜するかのように首を軽く横に振ったディオゴは、用事は済ませたと言
わんばかりに踵を返し、再び下りのエスカレーターの元へと歩き出した。
「サバスは――本部へと戻ったという事か。帰国して早々仕事熱心な男だ」
「……あの、サバス――さんは、きっとアタシ達を“置いていかない”と思いま
す――」
ディオゴの去り際にマノンが言葉を発したことで、ディオゴはその場でピタリと
止まり、緊張した面持ちのマノンへと振り返りつつ、にこやかな笑みで残念そうに
返答する。
「――ああ、彼ならそう言うだろうね。だけど吾輩は彼を諦めない――」
「…………」
「しかしもし、気が変わったのなら、吾輩や教皇様――そしてイーサ様は彼を歓
迎する。今の言葉はサバスにも伝えるんだ。いいね?」
ディオゴとマノンが交わす会話に、遊陽と遊無はますます疑問を浮かべていく中
、緊張した面持ちのマノンが静かに頷くと再びディオゴは歩き出した。
「それと……君達とはまた会うこととなるだろう――」
去り際に一言残してディオゴが下りていくとともに、緊張を解いたマノンが大き
なため息を着くと同時に、2人は彼女がディオゴと交わした会話の意味について問
い詰める。
「マノンさん――」
「――ディオゴ卿はね。信頼と実績のあるサバスを引き抜きたいの。“顧問団”
に――」
「顧問団……?」
「そっ……教皇様とイーサお爺ちゃんのアドバイザーにね。普通なら途中入信の
サバスじゃなれない役柄だし、守護霊の防人の皆も喜ぶだろうけど……」
自らが慕うサバスの昇進とは裏腹に、物憂げな表情のまま俯くマノン2人はどう
声を掛けていいか分からず立ち尽くすも、気持ちを切り替え再び顔を上げたマノン
は2人の元に駆け寄って腕を掴む。
「そんな事よりっ! 大体回ったことだし、次はアタシが育った孤児院に向かわない?」
「えっ……いや、俺は別にいいけど――」
「たまには顔見せに行かないと! お昼もそこで一緒すればいいし!」
マノンに促されるがまま、2人は見学も早々に美術館を後にすると、敷地を歩い
て教会本部に隣接された孤児院へとたどり着いた。
「……ここが、マノンが育ったところ――」
「いたいた――サリュー(やあ)! ベサニー……!」
孤児院の子供達が遊具で遊ぶ傍らをすり抜け、マノンが近くのシスターへと話し
かけると、小さな子供達の遊び相手を務めていた彼女はマノンに気付いて振り返る
。
「マノン! 帰ってきてたの……!?」
「遅れたらスザンナが口うるさいでしょ? あっ……この2人はアルビオンなら
通じるよーっ」
マノンと同じくらいの年をした緑髪のシスターは、遊陽と遊無に振り返り、お互
いに挨拶を交わすと2人は再びマノンの後を付いて院内へと入っていく。
「ここだよ。アタシとベサニー達に当てられた部屋」
マノンが部屋の鍵を開けて2人を中へ招くとともに、彼女や他のシスターが共同
で暮らす部屋に踏み入った遊陽と遊無は、人数分の机とベッドが備えつけられただ
けのこじんまりとした部屋を見回す。
「マノンはここで育ったんだな。“賑やか”で毎日楽しそうだ」
「まあ……ね。ベサニー達とは最初から仲良かった訳じゃないけど――」
自分のベッドに腰掛けたマノンは、立ったままの遊陽と遊無に座っていいと促す
と、2人が座るとともに再び口を開いた。
「ここって両親を事故や紛争で亡くした子ばっかりでさ、サバスだけでも親がい
たアタシはまだ幸福な方だよ」
「…………」
「それで小さい頃は年長の子から嫌がらせされたけど、サバスと約束してから言
い返したりして、次第に止んでいったな」
「そうですか――」
「あ、別に暗い話だけじゃなくて――今は一部の分かり合えなかった人以外は仲
良しだよ……!」
遊陽と遊無が口数を減らしたことにマノンは慌てふためき、すぐに笑顔を取り繕
うと2人の手を引いて、再びベサニー達が子供たちの面倒を見ている表へと2人を
連れ出す。
「あっ、マノンおねえちゃんだ……!」
「イーサン! ベサニー! アタシ達も手伝うよーっ!」
そして3人は、再び子供達と遊んでいる緑髪のシスターと年長の茶髪の少年の元
へと向かい、しばらくの間2人とともに孤児院の子供達と童心に返って遊ぶのであ
った。
「マノンにお兄ちゃん達、本当に助かったよ」
すっかり日が傾き始めた頃、茶髪の髪をした年長組の少年――イーサンは、ベサ
ニーともに今週の当番だった子供達の相手を手伝ってくれた3人へと礼を述べる。
「どういたしまして。まあ、約束の時間まで暇だったし……」
マノンの通訳を挟んで遊陽とイーサンが意思疎通を交わすと、その時道路に近い
場所で遊んでいた子供達が来客に気付いて再び騒ぎ始める。
「――やあ、やはりまた会うこととなったようだ」
「え――ディオゴ卿!?」
一同が振り返ると、子供達に両手を掴まれながら遊陽の元へ近づいて来たディオ
ゴに気付き、ベサニーとイーサンは丁重なお辞儀で彼を出迎えた。
「また――ということは、俺達の行動はお見通しという訳ですか」
「いいや。客人よ――彼女といるからには、ここに訪れるだろうと予測しただけ
だよ。吾輩も用事で早々に立ち寄っただけだ」
面を上げるようベサニーとイーサンに告げると、ディオゴは腕に付けていたD・
フェースを起動させ、懐から自らのデッキを取り出す。
「おじちゃん! デュエルするの……?」
「ああ……みんなもデュエルは好きかい……?」
ディオゴの呼びかけに、子供達がバラバラに好きだと答えると、遊陽達にデュエ
ルの相手をするようせがまれる。
「おにいちゃんたちデュエルして~!」
「ユーヒ、ユーム……ディオゴ卿はサバスが招いた貴方達に興味を示したみたい
」
「厳かな美術館では控えていたが、1戦どうだろうか? サバスが招いた客人よ
――」
余興とばかりにデュエルを申し込むディオゴに、遊陽は取り出した自身のデッキ
を見つめると、自身と同じようにD・フェースを見つめる遊無へと問いかけた。
「……掴みどころのない方だな。遊無、俺に譲ってくれ」
「はい。マルチェッロさんとの特訓の成果を見せてください」
遊無の返事を受け遊陽が前に進み出ると、2人は子供達の遊び場となっている広
場の中央を陣取り、マノン達が子供達の手を引いて観戦する中、互いにD・フェー
スへデッキをセットした。
「みんなーっ、お兄ちゃん達の邪魔をしないように観戦しような」
イーサンが子供達へと呼び掛ける中、遊陽は5枚の手札を引くと、同じくデュエ
ル開始の体制を整えたディオゴへと問いかけた。
「……貴方は俺達が訪れると知って、接近してきたのですか?」
「――正直に言えば、ああ、そうだ。吾輩や教会に勤める者でさえ辿り着けない
とされる精霊世界に行きたいなど、余程腕に自信があるか、あるいは――」
「無鉄砲――ですよね? 確かにそう思われても仕方ない。だけど“秘号(エン
クレーブ)”の力を知る俺は、俺達の町を襲った脅威を繰り返させないためにも―
―」
そして液晶盤にLP表示が浮き出るとともに。2人は遊無や子供達が見守る中、
デュエルを開始する。
『デュエル――』
Turn1 遊陽LP4000。手札5 ディオゴLP4000。手札5
「先行は譲るよ。客人――」
「特訓の成果を見せてやる! 俺は《ワッショイ関捩・デリバティー》を召喚だ
」
モンスターを液晶盤に置くと、遊陽の場には背中の巻き鍵をエプロンの紐で固定
した和風メイド姿の関捩人形が、盆を片手に現れた。
デリバティー攻撃力0。
「更に永続魔法《関捩廻旋》を発動する! このカードは1ターンに1度、俺の
“ワッショイ関捩”1体の関捩を締め上げ表示形式を変更させる! 効果発動――
」
続けて発動したカードが効力を発揮して、和風メイドを模した関捩人形は背中の
巻き鍵を回すことでどこからかティーポットを取り出し、紅茶が注がれたカップを
掲げるとともに遊陽はカードを1枚ドローする。
関捩廻旋 永続魔法
(1):1ターンに1度、自分フィールドの「ワッショイ」機械族モンスター1体を
対象として発動できる。そのモンスターの表示形式を変更する。
(2):自分フィールドの表側守備表示の「ワッショイ」機械族モンスターが攻撃
表示となった場合に発動できる。そのモンスターの攻撃力を500アップする。
「そしてデリバティーは1ターンに1度、表示形式を変更したことで俺にカード
1枚を給仕する」
「機体に取り付けられた関捩を巻くことで動力を得る“ワッショイ関捩”こそ、
遊陽が主力とするモンスターの1体――」
「更に俺は、このデリバティーを対象に手札の“このカード”の効果発動だ!
“ワッショイ関捩”を装備カードとすることで、特殊召喚! 《関捩全旋・ワッシ
ョイアイスバーグ・シェーバー》……!」
表示形式の変更が鍵となる関捩人形を装備することで、駆動し現れる大掛かりな
関捩仕掛けのモンスターを遊陽が液晶盤へと置くと、鍵状に変化させた腕を接続さ
せた茶運人形の操縦によって、大掛かりな氷を摩り下ろす関捩仕掛けが運ばれて来
た。
アイスバーグ・シェーバー攻撃力2300。
「すっげー! へんけいした……!」
「合体ロボってのは、海外でも人気みたいだな! 俺はカード1枚を伏せターン
終了」
遊陽がターンを終えるとともに、それまで黙って彼の挙動を観察していたディオ
ゴがカードを引くと、早速手札から1体のモンスターを引き抜いた。
Turn2 ディオゴ手札6
「吾輩のターン。客人――ユーヒ。君は果たして吾輩の“雷火”に耐えうるだろ
うか……?」
「来る――」
「吾輩は《秘炉信徒(ヴェリーバー シープ)ラム》を召喚する」
ディオゴが液晶盤へとモンスターを置くとともに、呼び出した一基の炉が次第に
羊の姿を模って地に足を着けると、鋼板の上から微細なスチールウールを纏ってい
く。
ラム攻撃力0。
『サバスさんと同じ――秘炉(ヴェリーバー)……!?』
初めてサバスと出会った時、遊陽と遊無を同時に相手取り完勝したサバスが使う
カードと同じだと知って、遊陽と遊無は驚愕を顔に浮かべる。
「当然でしょ。だって“秘炉”はイーサお爺ちゃんが生み出したカードだし」
「――どうした? まさか吾輩が使うカードを見て、怖気づいた訳ではあるまい
……?」
自らのモンスターを眺めて血相を変えた遊陽にディオゴは気付くと、愛想をつか
したような声色で遊陽へと語り掛ける。
「――今の俺は、あの時とは違う。何でもない。デュエルを続けよう――」
「ならば吾輩は、手札からこのカードの効果を発動する! 吾輩が呼び出したラ
ムについて、今一度教えよう。このモンスターが存在する限り、吾輩は“秘炉”の
効果によるリリースを手札からも賄えるということ――」
ディオゴは手札から発動させたモンスターと同じく、もう1体の“秘炉”を遊陽
へと見せることで、彼は突き上げた片腕に纏わせた炎を場へと解き放つ。
「吾輩は場の代わりに手札から《秘炉修道女(ヴェリーバー シスター)ビジー
・ビー》をリリース! 尊き御方を守護する聖獣よ! 双翼を広げならず者どもを
引き裂け……!」
そしてディオゴがモンスターを液晶盤へと置くことで、場には鋼鉄の炉を内包す
る聖なる加護を得た守護獣が降り立ち、翼を広げて遊陽を威圧した。
「特殊召喚だ――《秘炉守護獣(ヴェリーバー ガーディアン)グリフォン》…
…!」
秘炉守護獣(ヴェリーバー ガーディアン)グリフォン
効果モンスター
/炎/レベル6/機械/攻撃力2400。
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドのレベル4以下の「秘炉」モンスター1体をリリースして
発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。その後この効果でリリースし
たモンスターの攻撃力分相手フィールドのモンスターの攻撃力をダウンさせる。
(2):このカード以外の「秘炉」モンスターが召喚・特殊召喚に成功する度に発
動する。相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力を300ダウンさせる。
「ディオゴ卿の“秘炉”は、彼に合わせた特注品だよ。ユーヒ」
「彼女の言う通り――吾輩の“秘炉”は、サバスとは少々性質が異なるのでな―
―」
マノンがポツリと呟いた一言に、サバスとは異なる戦術を使うと公言したディオ
ゴは、続けてリリースされた秘炉の効果も発動させる。
「まずは捧げられたビジー・ビーの効果発動だ。このモンスターはリリースされ
た時、デッキから同胞を呼び寄せる。2体目のビジー・ビーを特殊召喚」
ディオゴがデッキからカードを選び出すとともに、金属音が混じった羽音をたて
ながら、炉を内包する鋼鉄の蜂が場に現れた。
ビジー・ビー攻撃力1000。
「そして吾輩が“秘炉”を呼び出すごとに、グリフォンの効果が発動する! 君
のモンスターの攻守は300ダウンする! スクリーム・インティミデイト……!
」
両翼を広げた鷲と獅子の合成獣が翼を羽ばたかせて旋風を巻き起こすとともに、
氷を摩り下ろす関捩仕掛けは摩耗し動きを停止させた。
アイスバーグ・シェーバー攻撃力2300→2000。
「だが俺も、モンスターがリリースされたためアイスバーグ・シェーバーの効果
を発動だ! こいつはモンスターがリリースされるごとに攻撃力を400アップさ
せる……!」
「ささやかな抵抗か。しかしその上昇率では付け焼刃に過ぎない。グリフォンは
自身の効果でリリースした“秘炉”の攻撃力分、相手モンスターの攻撃力をダウン
させる……!」
条件を満たしたことで関捩仕掛けは氷を削る歯車を再び回転させ、勢いを取り戻
すも、ディオゴは関捩仕掛けを機能不全にするべく続けて効果を発動した。
アイスバーグ・シェーバー攻撃力2000→2400→1400。
「くっ――」
「まだだ。続けてラムをリリースすることにより、吾輩は魔法カード《秘炉秘跡
終油(ヴェリーバーサクラメントゥム・アノインティング)》を発動。これでそ
のモンスターの効果は無効となり、攻撃力はリリースした“秘炉”1体に付き10
00ダウンする……!」
ディオゴが発動させた“秘跡”の魔法カードは、氷を摩り下ろす関捩仕掛けを聖
なる油で包み込み、その能力を浄化するとともに染み込んだ油が耐久性を奪い取る
。
秘炉秘跡 終油(ヴェリーバーサクラメントゥム・アノインティング) 通常魔
法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドの「秘炉」モンスターを任意の数だけリリースし、リリー
スした数だけ相手フィールドのモンスターを対象に発動できる。ターン終了時ま
でそのモンスターの効果を無効にし、攻撃力をリリースしたモンスターの数×1
000ダウンさせる。
アイスバーグ・シェーバー攻撃力1400→400。
「ディオゴさんの“秘炉”は、サバスさんとは異なり相手の弱体化に長けている
……」
「各神父や枢機卿に与えられた“秘炉”は、イーサお爺ちゃんがそれぞれの個性
に合わせて作ったってことだね」
「そしてラムがリリースされたことで効果発動。吾輩のデッキから同名モンスタ
ー2体を手札に加え、バトルだ……!」
バトルフェイズへの移行を告げたディオゴは、まずは鷲の翼持つ合成獣に命じて
スクラップ同然になり果てた関捩仕掛けへと飛来させる。
「吾輩はグリフォンでアイスバーグ・シェーバーを攻撃――ウングラ・カペレ…
…!」
鋭い鉤爪で関捩仕掛けを掴んだ合成獣は再び宙へ飛び立つと、上空に達するとと
もに再び急降下を始め、地面スレスレで関捩仕掛けを離して大破させるとともに、
再び夕焼けに代わりつつある大空へと飛び立った。
「ぐっ……!?」
遊陽LP4000→2000。
「だが装備状態のデリバティーが墓地へ送られたことで、カード1枚をドロー!
」
「かまわん。続けてビジー・ビーで直接攻撃……!」
攻撃の手を緩めず、ディオゴが即座に鋼鉄の蜂へ攻撃を命じると、羽音をたて近
付く蜂が身体を折り曲げ尻の針で遊陽を刺す。
「痛っ……!」 遊陽LP2000→1000。
「あっという間に、LPを殆ど奪われてしまった……」
「くっ、だが俺はこの直接攻撃でダメージを受けたため、罠カード《禍根相祭》
を発動だ! このカードの効果で受けたダメージ以下の攻撃力を持つデリバティー
を蘇生させ、バトルフェイズを強制終了する……!」
禍根相祭 通常罠
(1):相手モンスターの直接攻撃で自分がダメージを受けた時に発動できる。
その数値以下の攻撃力を持つ「ワッショイ」モンスター1体を自分の墓地から特
殊召喚し、そのダメージステップ終了後にバトルフェイズを終了する。
「ユーヒのファム ド メナージュ(メイド)が復帰した!」
「ほう、中々の度胸を見せてくれる。だが、この損失は手痛いぞ……?」
カードを2枚伏せ、自らを前に大幅なLP減少は破滅をもたらすとディオゴが忠
告するも、これも勝利のためだと遊陽は自らの判断を疑うことなく、デッキに手を
掛けターンを開始しようとする。
「……以前までの俺なら、これほどLPを失って平然としてはいなかった。だが
己の勝ちを信じ、冷静に戦略を実行する術を教えて貰った今の俺なら、この程度の
LP消耗に動じることはない!」
そしてカードをドローすると、引いたカードを見るなり遊陽の目つきは変わり、
ディオゴへと今一度向き直って宣言する。
「さあ、俺の反撃はここから始まる! マルチェッロさんとの特訓で得た“強さ
”を、ディオゴさんに見せてやるぜ……!」
「遊陽と私――」
「そしてアタシ、マノンが送る――」
『ビナリウス回顧録!』
マノン「サバスとマルっちが公務に向かって、アタシが育った孤児院に訪れたユー
ヒは、そこでサバスの上司――顧問団に属するディオゴ卿とデュエルを始めちゃっ
た」
遊陽「ディオゴさんが使うのは、サバスさんと同じく“秘炉(ヴェリーバー)”
だ。だがサバスさんとは扱う戦術が異なるようだ」
遊無「サバスさんはプロメテウスやヘパイストスみたいに、捧げた秘炉を攻撃力へ
と転化するけど、ディオゴさんは逆に相手モンスターを弱体化させるためリリース
を多用します」
遊陽「だが俺もこの“新しく組み上げたデッキ”なら、きっと勝てる筈だ! 次回
は俺とディオゴさんのデュエルが続き、俺の前にディオゴさんがイーサから与えら
れた“切り札”が姿を現す――」
『次回! 遊戯王Binarius(ビナリウス) -跳躍-精霊世界へ-』
マノン「遂にユーヒ達とイーサお爺ちゃんが対面する! いざ精霊世界にデパール
……!(出発)」
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同シリーズ作品
イイネ | タイトル | 閲覧数 | コメ数 | 投稿日 | 操作 | |
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58 | 1Turn 幽明を賑わす者 | 637 | 0 | 2022-11-11 | - | |
57 | 2Turn 掛け声響く祭りの竜 | 548 | 2 | 2022-11-12 | - | |
53 | 幕間 亡国の斜狐 | 489 | 0 | 2022-11-13 | - | |
57 | 3Turn 幽“零”少女 | 482 | 0 | 2022-11-18 | - | |
56 | 4Turn 複翅キ テイクオフ! | 402 | 0 | 2022-11-19 | - | |
48 | 5Turn 竜舞う花伝 | 341 | 0 | 2022-11-20 | - | |
45 | 6Turn 還流の海人 | 457 | 0 | 2022-11-25 | - | |
43 | 7Turn 繋がる異界 | 511 | 1 | 2022-11-26 | - | |
54 | 幕間 遊楽の休日 | 475 | 0 | 2022-11-27 | - | |
51 | 8Turn 境階の学び舎 | 426 | 0 | 2022-12-01 | - | |
52 | 第一章 キャラクター紹介 | 412 | 0 | 2022-12-02 | - | |
52 | 9Turn 開幕! 影鬼劇場! | 412 | 0 | 2022-12-03 | - | |
63 | 10Turn 花形役者と斜国の悪狐 | 470 | 0 | 2022-12-04 | - | |
39 | 11Turn 陶酔へと誘う酒処 | 362 | 0 | 2022-12-09 | - | |
54 | 12Turn 特別への自覚 | 379 | 0 | 2022-12-10 | - | |
41 | 13Turn 波間に揺らめく波止場 | 378 | 0 | 2022-12-16 | - | |
40 | 14Turn 命育む赤き血汐 | 445 | 0 | 2022-12-17 | - | |
57 | 幕間 遊無 落第の瀬戸際 | 419 | 1 | 2022-12-24 | - | |
50 | 15Turn 供養と円寂の儀 | 460 | 0 | 2023-01-14 | - | |
69 | 16Turn 石の塔が崩れる時 | 352 | 0 | 2023-01-27 | - | |
52 | 17Turn 盤上のアーティスト | 483 | 0 | 2023-02-12 | - | |
45 | 18Turn 夜空に咲く“賑やか”なる華 | 434 | 0 | 2023-02-21 | - | |
54 | 19Turn タッグデュエル大会 開幕! | 522 | 0 | 2023-03-09 | - | |
39 | 20Turn ウフトカビラ&サギラ | 424 | 1 | 2023-03-15 | - | |
49 | 21Turn 岡と浪花 花よりたい焼き | 355 | 0 | 2023-03-21 | - | |
60 | 22Turn 徹頭徹尾の覚悟 | 450 | 1 | 2023-03-24 | - | |
45 | 23Turn ビナリウス対バウンティフル | 384 | 0 | 2023-04-12 | - | |
43 | 24Turn 決着と新たな予兆 | 364 | 1 | 2023-04-13 | - | |
58 | 今までの話が丸分かり! 第一章のあらすじ | 425 | 0 | 2023-04-14 | - | |
42 | 25Turn 異国からの訪問者 | 363 | 0 | 2023-05-26 | - | |
33 | 26Turn 天上の採火 | 251 | 0 | 2023-06-02 | - | |
45 | 幕間 3人の交流生 | 338 | 0 | 2023-06-04 | - | |
72 | 27Turn 魘夢の魔族 | 325 | 0 | 2023-06-10 | - | |
40 | 28Turn 羅漢の竜王 | 281 | 0 | 2023-06-21 | - | |
43 | 29Turn 聖夜のマノン | 353 | 0 | 2023-06-25 | - | |
37 | 幕間 もう一人の遊無 | 295 | 2 | 2023-06-28 | - | |
39 | 第二章 キャラクター紹介 | 324 | 1 | 2023-07-01 | - | |
67 | 幕間 闘諍の予兆 | 361 | 0 | 2023-07-06 | - | |
36 | 30Turn 狂課金(ミダース) | 282 | 0 | 2023-07-10 | - | |
64 | 31Turn 舞い上がる不死鳥の輪舞 | 418 | 0 | 2023-07-14 | - | |
51 | 32Turn 巻き上げる関捩 | 338 | 1 | 2023-07-17 | - | |
45 | 33Turn 夢に堕ちる仲間 | 393 | 0 | 2023-07-22 | - | |
37 | 34Turn 友を取り戻せ! | 293 | 0 | 2023-07-30 | - | |
33 | 35Turn 堕ちた雷と涙雨の天河 | 321 | 0 | 2023-08-03 | - | |
34 | 36Turn 伝えたい言葉 | 308 | 1 | 2023-08-11 | - | |
31 | 37Turn 夢を喰らう獏 | 255 | 0 | 2023-08-26 | - | |
31 | 38Turn 深淵のトモカヅキ | 244 | 0 | 2023-09-03 | - | |
84 | 39Turn 最遠のパズズ | 332 | 0 | 2023-09-11 | - | |
27 | 40Turn 所縁が結ぶ絆 | 234 | 0 | 2023-09-18 | - | |
26 | 41Turn 活火激発の鍛人(かぬち) | 244 | 0 | 2023-09-22 | - | |
27 | 42Turn 巣林一枝のブルーバード | 188 | 0 | 2023-09-23 | - | |
32 | 今までの話が丸分かり! 第二章のあらすじ | 291 | 1 | 2023-09-24 | - | |
27 | 43Turn 次の関係(ステップ)へ | 256 | 0 | 2023-10-20 | - | |
33 | 44Turn 竜の駒 大洋を統べる | 321 | 0 | 2023-10-22 | - | |
38 | 45Turn マグナ ヌメンへの往訪 | 232 | 0 | 2023-10-26 | - | |
31 | 46Turn 跳躍-精霊世界へ | 241 | 0 | 2023-10-29 | - | |
45 | 幕間 強化訓練と異界の住人 | 289 | 0 | 2023-11-02 | - | |
39 | 47Turn 精霊世界 マースの森で | 230 | 0 | 2023-11-05 | - | |
35 | 祝一周年! 今後の展望など | 297 | 0 | 2023-11-11 | - | |
29 | 48Turn 精霊長アラウン | 187 | 0 | 2023-11-15 | - | |
31 | 第三章 キャラクター紹介 | 242 | 1 | 2023-11-16 | - | |
43 | 49Turn 下される審判 | 278 | 0 | 2023-11-20 | - | |
23 | 50Turn 猟犬従えし灰の王 | 241 | 0 | 2023-11-28 | - | |
30 | 幕間 精霊世界の平生 | 298 | 0 | 2023-12-07 | - | |
24 | 51Turn 最善の選択 | 207 | 0 | 2023-12-18 | - | |
28 | 52Turn 立ちはだかる使者達 | 244 | 0 | 2023-12-28 | - | |
27 | 53Turn 怨嗟積り秘号と成す | 218 | 0 | 2023-12-30 | - | |
28 | 54Turn 遊明の力 | 228 | 0 | 2024-01-02 | - | |
27 | 今までの話が丸分かり! 第三章のあらすじ | 278 | 0 | 2024-01-03 | - | |
13 | お久しぶりです。 | 74 | 0 | 2024-11-10 | - | |
3 | お知らせ。 | 36 | 0 | 2024-11-20 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/10/25 新商品 SUPREME DARKNESS カードリスト追加。
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- 11/21 14:40 デッキ ディフォーマー
- 11/21 14:25 デッキ ドローテスト【怪盗コンビEvil★Twin】2024/11
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- 11/21 11:23 評価 5点 《聖騎士ジャンヌ》「突撃した際に何故か打点が下がり、やられてよ…
- 11/21 11:21 評価 3点 《アクア・マドール》「 何気にイラストの画質が良好な一枚。あと…
- 11/21 11:15 評価 2点 《女剣士カナン》「 何故かは分からないが、希少性が高いカードら…
- 11/21 11:13 評価 4点 《ヴァイロン・ヴァンガード》「破壊にしか対応していないくせに戦…
- 11/21 11:10 評価 6点 《究極竜騎士》「 いわゆる『乗っただけ融合』のミームを作り出し…
- 11/21 09:19 評価 9点 《深淵の結界像》「【キマイラ】のおもちゃ 《幻獣魔王バフォメ…
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