今までの話が丸分かり！　第一章のあらすじ　作：ジェム貯めナイト

※以下の内容には２４Turnまでの話が含まれます。
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○第一章のあらすじ


　ヒノモト国の都会から離れた自然豊かな町――境界町でカードの精霊と暮らす少年、那由他遊陽（なゆた ゆうひ）は、ある日町の小高い山の上にそびえる神社でこの町に恵みをもたらしていた“遊明の力”の器である少女――刹那遊無（せつな ゆうむ）と出会う。


神社に祀られていた精霊――“遊明”の繁栄をもたらす力を狙い、秘号（エンクレーブ）と名乗る人々の心の闇が生み出した怪物と戦いを繰り広げる中、遊明の力は器である遊無へと移され、再び遊無は生前の肉体を得る。


彼女が宿す精霊をこの世界に現界させるほど強大な霊力と、遊明の力が合わさり生まれた“繁栄を司る竜”《ワッショイフェスタ・ドラゴン》が秘号（エンクレーブ）の１体――スチュパリデスを撃ち破り、遊無は遊陽の家へとお世話になる。


遊陽の仲間、更には彼の通う学園の生徒達との交流で、元の記憶を奥底に封じられ遊明に霊力を捧げるのみだった遊無も、次第に人間らしさを取り戻していく。


しかしある時、仲間達がそれぞれ生を謳歌し、今を輝かせるのを見て遊無はふと、自らの存在意義に迷いを生じさせる。その時自らの中から“生前の遊無の人格”が遊無の身体を乗っ取り、遊明と交わした責務に殉ずべく遊無を元の遊明に霊力を注ぐだけの器に戻そうとするが、遊陽の説得もあり、２人を信じて遊無の心へと戻って行った。


一方ヒノモトより遠く離れた半精霊の老人――イーサを主とした宗教を国教に定める都市国家――マグナ ヌメンでは、遊無の主人格が現れた事による霊力の乱れを観測したヒノモトの者から報告が伝えられていた。


ヒノモトからの報告を受け、イーサは自らの“精霊の力”による予見が不安定なことを憂いつつも、長年追い求める“あの方”に近付くべく、精霊が関わる事象を解決へと導く自らの精霊の力を分け与えし守護霊の防人（ゲニウス・カストゥディーズ）に所属する男――サバスを仲間の守護霊の防人――マノンとともに、境界町へと派遣するのであった。


○主要人物


那由他遊陽（なゆた ゆうひ）
カードの精霊であるヨリマシと心通わせる少年。“賑やか”が口癖で祭りとデュエルを愛する。遊明の力とそれを宿す遊無を秘号（エンクレーブ）から守るべく、戦いに身を投じる。使用デッキは【ワッショイ】


刹那遊無（せつな ゆうむ）
遊明をこの世界に留まらせるため、自らに秘められし強大な霊力を捧げる器の少女。神社での戦いで遊明の力を受け継いだことにより人の肉体を再び得た。自らを救い出した遊陽に絶大な信頼を寄せる。使用デッキは【幽鬼】


遊無の主人格
非常に稀な精霊を見る者の中でも、遥か未来まで遊明をこの世界に現界させ続けられるひと際高い霊力を宿した存在。古めかしい言葉遣いで話す。名前を知られる事は弱みと考えているため、本当の名前は彼女とその精霊、そして遊明しか知らない。


ワッショイ・ヨリマシ
遊陽とともに暮らす祭りを“賑やか”せる氏子の精霊。身なりと同様に精霊としてはまだ幼く、たどたどしい言葉遣いで話す。他の精霊からはその身に不釣り合いな強大な霊力を秘めていると称される。もう一人の遊無からは遊陽の先祖である“遊壱”と推察され“吾が友”と呼ばれている。


光の精霊 遊明
遥か昔に精霊世界から境界町となる土地に降り立った精霊。ある事情で繁栄を司る力を消耗し消滅する間際、もう一人の遊無の身体に宿り霊力を得る代わりに境界町を繁栄させた。境界町の神社に座して遊無に遊明の力を移し、遊陽へと自らに代わり彼女を守るよう頼んだ。


妖幽鬼 玉藻前
遊無が遊明の力を使い使役する秘号（エンクレーブ）の配下だった精霊。見麗しくも高圧的で、精霊の中でも強力な力の持ち主。彼女に勝る２体の幽鬼とともに数多の幽鬼を従えた“禍津幽行”の徒党を組み、人間世界で悪行の限りを尽くしていた。


商本 一斗（しょうもと かずと）
遊陽の友人で周りからはカズと呼ばれている。遊陽に負けず劣らず賑やかで、常に相手を思いやる優しい性格から留音に思いを寄せられている。実家は農家でよく手伝いをしている。使用デッキは【複翅キ】


塰里 留音（あまり るいね）
一斗の幼馴染で実家は漁師と海女漁を営んでいる。付き合いの長く自身に特別優しい一斗へと恋心を抱いている。食べることと合唱部で歌うことが好き。使用デッキは【深層環姫】


サバス・バジャダレス
ESA教会が本部を置く都市国家マグナ ヌメンで、精霊に関わる事象を解決へと導く守護霊の防人（ゲニウス・カストゥディーズ）に属する男。教会では神父として信徒に優しく職務を誠実にこなすが、人に害なす精霊にはイーサより授かりし精霊の力とデュエルで完膚なきまでに打ちのめす。使用デッキは【秘炉（ヴェリーバー）】


光の精霊 イーサ
ESA（ユーロピアン・スピリット・アドレイション）教会の祖であり、世界の平和を祈る老人。実年齢は千年を超える。
精霊界に迷い込んだ人間の母と精霊の父から生まれたため、精霊界とこの世界を行き来できる他、精霊の力を信徒に分け与えることもできる。人間、精霊界ともに代理人を置き、双方の世界の未来を予見し、行く末を見守る観測者を勤めている。


マノン・ラヴァンディエ
マグナ ヌメンにてESA教会の修道女を務める少女。サバスと同じく守護霊の防人に属しており、まだ配属されて間もないがその成長性は将来サバスを追い抜くとも称される。陽気で掴みどころのないその性格は度々サバスの悩みの種となっている。使用デッキは【C・S・Ë（クリスノーエル）】


○作中用語


境階町
この物語の舞台であり、都会の喧騒とはほど遠い静かな港町。
毎年小高い山の上にそびえた神社で執り行われる祭り――跨境祭が町の名物。また海岸の岩場方面は伝統的な海女漁が、山側では高低差を生かした棚田での稲作が行われている。
駅前は商業施設が集中しており、遊陽達の通う境階学園の生徒達も、放課後は商業施設まで遊びに来ることから、町で一番の賑わいをみせる。


デュエルモンスターズ
今最も注目を集めている遊戯。
ドラゴンや魔法使い。悪魔に天使と、様々なモンスターが描かれたカードを駆使して、相手のＬＰ（ライフポイント）を先に０にした方が勝利となるカードゲーム。このカードゲームで対戦する者はデュエリストと呼ばれる。
その人気は衰えることを知らず、プロとして活躍するデュエリストも多い。
その発祥には謎が多く、宇宙の始まりは一枚のカードから創造されたとも言われる。


デュエルモンスターズの精霊
世に出回るデュエルモンスターズのカードには、精霊界より訪れた精霊が宿るカードが極々稀に存在すると言われており、その存在を感知できる特定の人物だけが見たり会話することもできる。
遊陽の持つワッショイ・ヨリマシもカードの精霊であり、他のカードの精霊の意思を翻訳して伝えることができる。


D・フェース
タブレットPC状の携帯端末で、デュエルの用途のみならず一般にも普及している。アームカバーと接続することでデュエルディスクとなり、立体映像（ソリッドビジョン）を駆使した迫力のあるデュエルが可能となる。


マグナ ヌメン
エスト・パラティーノ国の内陸部に存在する小さな都市国家。ESA教を国教とし、孤児院や格安の大衆食堂だけでなく、来賓のための高級ホテルなど寄付と最低限の利益でのみ国家運営をしている。サバスはマグナ ヌメンの神学院で学んで神父となり、マノンは孤児院の出身でもある。


守護霊の防人（ゲニウス・カストゥディーズ）
イーサによって精霊の力を与えられた者達の相称。ESA教会の治安維持活動を行う部門に属しており、主な仕事はイーサに与えられた力とデュエルで人間界へと迷い込んだ悪事を働く精霊から現界するための霊力を奪い、元の世界に送り返すこと。


精霊世界
デュエルモンスターズの精霊達が住む世界。現在は外敵から精霊達を守るべく、精霊長の取り決めで精霊が多く集まる地区では精霊長の力を宿す警備犬が悪意を察知し、早々に撃退するように取り決められている。


秘号（エンクレーブ）
長きに渡り人々が抱いて来た“心の闇”が生み出した者達の相称。町の神社で遊陽達を襲ったスチュパリデスは炎を司る。秘号を束ねる者の意志により、遊無に移された遊明の力を奪おうと、遊陽達の前に立ちはだかる。