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HOME > 遊戯王SS一覧 > 9Turn  開幕! 影鬼劇場!

9Turn  開幕! 影鬼劇場! 作:ジェム貯めナイト

 「おっ! あそこで転入生がデュエルしてるぞ!」


 遊無と八千代――容姿端麗でデュエルの実力も高い八千代と、実力の未知数な転入生のデュエルとあって、同時に行われているデュエルの中では最も生徒達の注目を集めていた。


 「なあ、岡はどっちが勝つと思う?」

 「……僕は、あの転入生が彼女に勝つとは思えないって旨を“髪案”するよ」

 「だよなー。もし勝てたらそりゃ“目でタイ”ってこったな!」


 尋常でなく髪の伸びる頻度が高い特異体質の生徒――岡と、常に焼きたてのたい焼きを持ち歩いている生徒――浪花の2人も、八千代の勝利を疑わずにいた。


 「見ろよ! 遊無ちゃん――女子とデュエルしているぜ」


 中庭に訪れた遊陽達は、真っ先に気付いたカズが指差す先で、八千代とデュエルしている遊無の姿を見つける。


 「ここにいたのか。相手は――石井……」

 「どうした遊陽? ……あっ、そうだったな。石井さんねぇ……」


 八千代の姿を見た途端、遊陽が薄っすらと物憂げな表情を浮かべたのをカズは見逃さず、やれやれと肩をすくめた。


 「先輩の海女さんから聞いたのだけど、1年の石井さんって両親が有名な劇団の所属みたいよ?」

 「ああ――確か全国公演もしてるんだっけ? 昔じっちゃんに連れていってもらったなー」


 演劇とデュエル――そのどちらも一目置かれる八千代は、今まさに彼女の得意とする戦術で、遊無にデュエルの更なる一面を見せつけようとしていた。


 「リバース効果とは一体……」

 「リバース効果は、裏側から表側表示になった時発動する効果だよ! 遊無ちゃん!」


 初めて聞くモンスターの能力に困惑する遊無を見て、すかさず千夜が説明する。


 「この《影鬼団-鬼人形(マリオネット)》はリバースした時、君の下にいるモンスターの影を踏んで舞台に引き込んだのち、その力を得るのさ」

 「……!? 私の唐傘小僧が……!」


 襲い来る糸が傘の妖を絡み取ると、宙から糸で吊られた人形が両腕に巻いた糸を手繰り寄せると同時に、そのまま傘の妖を八千代の場へと招き入れた。


 影鬼団-鬼人形(マリオネット) 
 効果モンスター/リバース
 /レベル2/闇/獣戦士/攻撃力0。守備力500。
 (1):このカードがリバースした場合、相手フィールドのレベル4以下のモンスタ
 ー1体を対象に発動できる。
 このカードの攻撃力はその相手モンスターの攻撃力分アップし、その相手モン
 スターのコントロールを得る。


 影鬼団-鬼人形攻撃力0→1300。


 「厄介だねぇ……うかつに影を踏んじゃうと、石井さんの下に寝返っちゃうよ」

 「見る人みんなを魅了する劇団員――これが八千代ちゃんの魅せる“歌劇”だよっ!」


 笑原姉妹が揃って感心する中、遊無は唇を嚙み悔しげなそぶりを見せると、伏せカードを2枚場に出した。


 「私はこれでターン終りょ――」

 「その前に! 罠カード《影鬼配役(キャスティング)》を発動! このカードは私の場に鬼役を演じるモンスターがいる場合、手札からリバースモンスター1体を裏側表示で場に伏せる」


 影鬼配役(キャスティング) 通常罠
 (1):自分フィールドに元々の持ち主が相手のモンスターが存在する場合に発動で
 きる。自分の手札・墓地からレベル6以下のリバースモンスター1体を裏側表示
 で特殊召喚する。
 (2):このカードが墓地に存在する状態で、モンスターが反転召喚に成功した場合
 に発動できる。墓地のこのカードを自分フィールドにセットする。
 この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。


 「これにより私の手札より新たな団員――《影鬼団-影手技(シャドーハンド)》を板付きとして、舞台へと登板させる……!」


 再び裏側でモンスターが場に現れると、八千代にターンが回るとともに彼女は即座に伏せたモンスターを反転させ、舞台へと登壇させる。



 影鬼団-影手技(シャドーハンド)
 効果モンスター/リバース
 /レベル5/闇/獣戦士/攻撃力1500。
 (1):このカードがリバースした場合に発動する。
 自分フィールドのモンスターの数だけ、相手フィールドに「影絵トークン」(獣
 戦士族 闇 星4・攻1500/守1500)を特殊召喚する。
 (2):フィールドのこのカードを除外して発動できる。
 相手フィールドのモンスターのコントロールは元々の持ち主に戻る。


  「まずは影手技を反転召喚。そしてリバース効果発動! 登壇しているモンスターと同じ人数、遊無さんの場へと《影絵トークン》を入場させる」


 蝶ネクタイと燕尾服の役者が繰り出す手わざによって、3体の動物を模った影が遊無の場に伸びると、地面から実体を持って現れた。


 影絵トークン 攻撃力1500×3。


 「そしてモンスターの反転召喚により、墓地の影鬼配役は再び場にセットする」

 「私の場に3体ものモンスターを送り付けて……どういう意図があるのでしょうか……?」

 「こういうことさ。更に影手技を除外することによって、遊無さんの下にいる鬼だったモンスター全ては役を交代し、私の下へと戻る」


 燕尾服の役者が両手を振り上げ、空中に煌びやかな光を纏った手を広げると、3体の動物を模った影は引き寄せられるようにその手の中に吸い込まれていく。


 「……これで転入生さんの場から、モンスターは消えた」

 「石井ちゃんの場に並んだモンスターの総攻撃力は7100になった。こりゃ“タイ”変だねぇ……」


 容赦ないな。と岡と浪花が八千代の場に並んだ5体のモンスターを見て、見事な腕前と褒め称える中、八千代は身を守るモンスターが寝返り無防備となった遊無へと攻撃を仕掛ける。


 「では、演目を始めようか! 早くも幕引きとなりそうだがな! 唐傘小僧で遊無さんに攻撃! 意気天衝……!」


 八千代の命を受け、僕となった傘の妖が、回転しながら遊無に襲い掛かる。


 「夜道での、雀の鳴き声にはご用心! 相手から直接攻撃を受けるこの時、《招鬼拍手》の発動です! 鬼さんこちらの手拍子によって、手札より《袂幽鬼 夜雀》との予期せぬ邂逅が待ち受けます!」


 手拍子とともに、全身が烏と見間違えるほど真っ黒な――雀に似た妖がどこからともなく現れた。

 雀の後を追って、誘われるがまま一本足で飛び跳ねながら追いかける傘の妖は、雀の妖怪から滲み出てきた濃度の濃い闇に塗りつぶされて消滅する。


 招鬼拍手 通常罠
 (1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。
 手札からレベル4以下の「幽鬼」モンスターを特殊召喚し、攻撃対象をそのモン
 スターに移し替えてダメージ計算を行う。
 (2):相手モンスターの攻撃宣言時、墓地のこのカードを除外して発動できる。
 攻撃モンスターと同じレベルになるよう、墓地の「幽鬼」モンスターを2体まで
 除外して、次の自分のターン終了時まで攻撃モンスターのコントロールを得る。


 袂幽鬼 夜雀
 効果モンスター
 /レベル4/闇/アンデット/攻撃力1700。
 このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):このカードが召喚、特殊召喚したターンの終了時に、相手フィールドの表側
 表示モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを破壊する。
 自分フィールドにレベル7以上の「幽鬼」モンスターが存在する場合、代わりに
 相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象に発動し、そのモンスターを破
 壊する。
 (2):「幽鬼」モンスターをアドバンス召喚したターンに発動できる。
 墓地のこのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れる場合、デッキの一番
 下に戻る。


 八千代LP3200→2800。


 「新たな演者はやり手のようだ。……では鬼役に選ばれたモンスターが存在することで、魔法カード《影鬼興行(アドミッション)》によって、その数だけ手札を捨ててもらおうか?」


  八千代に促されるまま、遊無が全ての手札を宙に現れたシルクハットに投げ入れると、多数の観客で賑わう劇場から、一斉にシルクハットへとお札や硬貨が降り注ぐ。


 影鬼興行(アドミッション) 通常魔法
 (1):自分フィールドに元々の持ち主が相手のモンスターが存在する場合に発
 動できる。
 相手は自分フィールドの元々の持ち主が相手のモンスターの数だけ手札を選んで
 捨てる。そしてこの効果で相手が捨てた枚数分、お互いにデッキからカードをド
 ローする。


 「これ程にも多くのチップ、感謝の極みである! そしてお互いに投じられた枚数3枚をドロー。カードを2枚伏せて、1幕目はこれにて幕間としよう――」

 「でしたら団員の方にも、休息を願いましょう。夜雀が現れたターンの終了時、相手モンスター1体を破壊する効果が発動します。張り詰めた糸も、一時の降板で十分に解れることでしょう」


 災厄の兆しを運ぶ雀の妖怪に導かれ、後を付ける宙に吊るされた人形は突如夜道で巨大な鬼の顔面と遭遇し、鬼一口で飲み込まれて消滅する。


 「遊無ちゃんやるねぇー! 八千代ちゃんのペースに乗せられずに、やることキチンとやってる!」

 「モンスターが裏返ったり現れたり――複雑そうに見えますが、やっていることはデュエルです!」


 そのままの勢いで遊無はカードをドローすると、先程のドローと合わせて堅調な手札だと、すぐさま1枚目のカードを発動させる。


 「行きます! まずは魔法カード《妖魔彷徨》を発動です。このカードで手札より《伸幽鬼 轆轤首》を特殊召喚。そしてレベル・攻撃力の低い《映幽鬼 影女》をデッキより墓地へ……!」


 フィールドに不穏な気配を漂わせ、華やかな着物で着飾った花魁が姿を現すとともに手にする煙管を吸うと、着物の首元から煙が立ち昇って、頭部が胴体から離れて空高くまで首が伸びていく。


 映幽鬼 影女
 効果モンスター
 /レベル1/闇/アンデット/攻撃力0。
 このカード名の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分フィールドの「幽鬼」モンスターが戦闘・効果で破壊される場合、代わ
 りにフィールド・墓地のこのカードをデッキの一番下に戻す事ができる。
 (2):「幽鬼」モンスターをアドバンス召喚したターンに発動できる。
 墓地のこのカードを自分フィールドに特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードがフィールドを離れる場合、デッキの一番
 下に戻る。


 轆轤首攻撃力1000。


 ――また、わらわの出番とな?

 「はい――今回もお願いします。私は轆轤首と夜雀をリリース! 妖の妙技で敵を惑わし、九の尾で襲い来る者を薙ぎ払え!」


 2体の妖が黒い霧となり霧散すると、揺らめく炎を纏った九の尾を持つ狐の面をかけた美女が、妖力により宙へと浮き上がった状態で姿を現した。


 「“アドバンス召喚”! 現れて――《妖幽鬼 玉藻前》……!」


 玉藻前攻撃力2400。


 「わあ! すっごい美人なモンスターだね! お姉ちゃん!」

 「少し危険な香りがするところもいいよね。千夜ちゃん」


 口角を吊り上げ、不敵な笑みを浮かべた玉藻前の出現に、笑原姉妹は羨望の眼差しを斜狐の美女へと向ける。


 「……どうやら、その悪狐が遊無さんの元に所属する――主演女優というわけだね」

 「その美貌でどんな権力者をも惑わす“名女優”です。そして私は玉藻さんの効
果発――」

「悪いが――主演娘役は1人と決まっているのでね! 罠発動! 《アドバンス・シェード》……!」


 周囲の舞台装置から突如湧き出た黒い霧が玉藻前を覆っていくと、足先から順に玉藻前の姿は舞台の闇へと溶けて消えていく。


 ――なっ……!? くっ――おのれぇぇ……!

 「玉藻さん……!?」

 「アドバンス召喚したモンスターの演技を覆い隠して、照明の当たらぬ陰――裏側守備表示に変更する!」


 憎々しげな表情で、八千代に向け歯ぎしりする玉藻前の姿は、完全に消滅した。

 意気揚々と召喚した玉藻前を失ったことで、遊無は何度も瞬きをして衝撃を隠せずにいた。


 アドバンス・シェード 通常罠
 (1):相手がアドバンス召喚したモンスターの効果を発動した場合に発動できる。
 その効果を無効にし、そのモンスターを裏側守備表示にする。


 「でっ――ですが! アドバンス召喚自体は成立しています! いでませ! 妖を導く異界回廊……! 百鬼夜行と成りてひしめき歩け! 墓地より夜雀と唐傘小僧を蘇らせます!」


 遊無が指先に灯した炎を空に向けて放つと、円を描いて宙に浮かんだ炎は異界との間に道を繋いで、異空間から黒い雀と古びた傘が回廊を伝って再びその姿を現した。


 「石井――相変わらずの立ち振る舞いだな」

 「それでも遊無ちゃんの夜雀の方が攻撃力は上――いや、もしかして!」


 カズはハッとして八千代の場を見ると、遊陽が懸念する“あの時のデュエル”と同じだということを思い出し、マズい状況だと把握した。


 「それなら……! 私は夜雀で影絵トークンを攻撃!」

 「遊無――まずいっ……!」

 「私はシャドオペラ・シアターによって、呼ばれた鬼役が攻撃された時、影絵1体をリリースし効果発動! その攻撃を無効にする」


 夜雀の放った濃い闇の浸食は劇場を覆う照明にかき消され、夜雀の元へと伸びてきた影の仲から伸びてきた無数の手が、夜雀を影の中に沈めていく。


 「そしてリリースしたモンスターのレベルが攻撃モンスターより高ければ、私の下へと呼び寄せる」

 「俺の時みたいに、連れ戻そうとしたモンスターが逆に奪われてしまった……」

 「やっぱり噂通りの実力ね。遊無ちゃん、完全に石井さんの術策に嵌まってしまったわ」


 少しでも役者を減らそうとしたつもりが――八千代の場へと移動したことに遊無は悔しげなそぶりを見せると、最後の手札を伏せてターンを終えた。


 「そして再び《影鬼配役(キャスティング)》を発動! 次は墓地より鬼人形を板付きとして伏せさせてもらうよ」


 再び裏側表示で場に伏せられた団員に目をやりつつ、八千代はカードをドローすると“お待ちかね”とばかりに、手札から1枚のカードを観衆全員に見えるよう高く掲げた。


 「では――とくとご覧あれ! 影絵トークン2体をリリースすることで、我が劇団が誇る“主演役者”をセットする……!」


 2体の影絵が混ざり合い、やがてカードの裏面を形どると、フィールドに裏側表示でモンスターが伏せられた。


 「最上級モンスターをセットした……!?」

 「……これまでの彼女の戦術から、リバースモンスターであることは間違いない」

 「石井さんは“主演役者”って言ってるけど、千夜ちゃんは知ってるの……?」

 「うん、あれは間違いなく――八千代ちゃんに仕える“花形役者”だよねぇ……



 フィールドに伏せられたモンスターに対して口々に憶測が飛び交う中、八千代は更に伏せていたカードを発動させると、出演する準備を整えた歌劇に秀でた花形役者が、舞台へと満を持して登壇する。


 「罠カード《影鬼照明(ライティング)》を点灯! これにより私と遊無さんの場にいる伏せられたモンスターを攻撃表示に変更する。さあ、歓声と拍手に迎えられて今宵、“花形役者”は初登場となる!」


 次々にスポットライトの当たる舞台の中心に、きらびやかな衣装を身に着け、ふわりと折り目の広がった袖から覗く手を振りながら、男装の麗人がキリッとした佇まいで姿を現した。


 「華やかなる気品を纏いし不動の人気を誇る“花形役者”よ! 今宵も見る者全
てを虜に……! さあ出演だ! 《影鬼団長-レヴュースター》……!」


 影鬼照明(ライティング) 通常罠
 (1):自分・相手フィールドの裏側守備モンスターを2体まで対象に発動できる。
 そのモンスターを表側攻撃表示にする。
 この効果で表側表示になった「影鬼団」以外のモンスターはこのターン、効果を
 発動できない。
 (2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドの裏側守備モンスター1体を対
 象に発動できる。そのモンスターを表側攻撃表示にする。
 この効果で表側表示になった「影鬼団」以外のモンスターはこのターン、効果を
 発動できない。


 影鬼団長-レヴュースター
 効果モンスター/リバース
 /闇/レベル7/獣戦士/攻撃力2000。
 (1):このカードがリバースした場合、このカードよりレベルの低い相手フィール
 ドのモンスター1体を対象に発動できる。
 次の相手ターン終了時までそのモンスターのコントロールを得る。
 (2):このカードの攻撃力は、自分フィールドの元々の持ち主が相手のモンスター
 の数×1000アップする。


 「これが八千代さんの――歌劇を成功へと導く“主演”ですか」

 「我が劇団の“花形役者”が現れたからには、全ての観客はその虜となる! レ
ヴュースターがリバースしたことにより、効果発動! 同じく登板した遊無さんの玉藻前を、次のターンが終わるまで私の下に呼び寄せる……!」


 花形役者が大げさな身振り手振りで観戦する生徒達に向け、アピールするとともに、見えない糸で操られるかのように玉藻前は光が失われた虚ろな瞳で、八千代の下に誘われるがまま移動してしまう。


 「た……玉藻さんまで――」

 「いかがかな? 遊無さんのモンスター達は、次々と私が魅せる歌劇の虜となったようだ。そしてファンの声援は、役者たるレヴュースターの力となる!」


 歓声を送る妖達にも手を振りながら、花形役者はスポットライトを独り占めにして、ますます華やかに舞台を彩っていく。


 「続いて《影鬼団-鬼人形》を反転召喚。先程と同じく、私が選ぶのは唐傘小僧だ!」

 「くっ……寝返る前に、唐傘小僧に対して罠カード《落暉蹂践》を発動です!
唐傘小僧のレベル分、デッキの上からカードを墓地に送ります。……墓地に《境幽 雲外鏡》のみが送られたことで、唐傘小僧は守備表示に――」


 再び襲い来る糸に絡め取られ、傘の妖は身動きの取れないまま八千代の場へと連れ去られる。


 「反転召喚したことで、墓地の影鬼配役を再び場にセット。レヴュースターの攻撃力は、元々の所有者が相手のモンスター1体に付き、1000アップする。3体を魅了したことでその声援により、レヴュースターの攻撃力は――」


 レヴュースター攻撃力2000→5000。


 「攻撃力5000……!? 最早ここまでか――」

 「あのモンスター……とんでもない“タイ”役を果たしたな!」

 「……あの転入生、よくやった方だよ」


 カズや浪花に岡と――次々と勝負あった。との声がちらほらと聞こえてくる。

 フィールドにカードのない遊無がこの一斉攻撃を耐えきれないと、他のデュエルの観戦に移る生徒が増える中、遊陽はまだ、遊無に可能性は残されていると信じていた。


 「何か手掛かりはあるはずだ。信じればデッキは答えてくれるはず――」

 「いやいや、流石の遊無ちゃんでもこれは――」

 「俺達は何か見落としている。きっと逆境を跳ね返すような戦術を、遊無はまだ残しているはずだ」


 カズは遊陽の考えに倣って、改めて遊無の様子を確認する。

 確かに彼から見ても遊無の表情には、まだ敗色濃厚の焦りは浮かんでいなかった。


 「……ここが正念場となりますね――」


 八千代の下に反旗を翻した妖達と、彼女の切り札である花形役者を前にして、遊無は一度目を閉じ深呼吸をする。

 そして再び目を開けた遊無の日没後の夜空を思わせる――青味がかかった瞳には、必ず凌いで見せる。と八千代を見据え、彼女に勝つという決意が宿りつつあった。





 「遊陽と――」

 「遊無の――」

 『二人はビナリウス!』


遊陽「石井のリバース効果とコントロール奪取に、遊無は苦戦しているみたいだな」

遊無「八千代さんのモンスターの華やかさに惹かれ、玉藻さん達が次々と寝返りましたが、きっと逆転の可能性は残されているはずです!」

遊陽「では今回は石井について。普段は冷静沈着、学業も演劇も評価が高い才色兼備な彼女だが、デュエルとなると“影鬼団”の魅せる世界観に嵌まり込むみたいだな」

遊無「遊陽さん……八千代さんに対してはやたらと褒めちぎっていますね。千夜さん曰く“支配人”モードとなった八千代さんは、仰々しい身振り手振りで劇団を盛り立てる支配人になりきり“エンタメデュエル”を行います」

遊陽「そんな石井のデッキコンセプトは文字通り“影鬼”! 裏側表示で場に潜ん
だ“影鬼団”を踏むと、たちまち石井の場へと鬼役として連れ去られてしまうぜ」

遊無「そして歴代シリーズでも数回しか行われなかった“アドバンスセット”で場
に現れ、照明を浴びてその姿を現した“影鬼団長-レヴュースター”は、私の呼び
出した玉藻さんすらその虜としてしまう誰しもが憧れる“花形役者”ですね」

遊陽「そうして奪われた玉藻前達を引き連れ、遊無へと攻撃を仕掛ける石井だったが、遊無もこのままやられるはずもなかった。次回で遊無と石井のデュエルも決着を迎えるぜ」


  『次回! 遊戯王Binarius(ビナリウス) -花形役者と斜国の悪狐- お楽しみに!』
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