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HOME > 遊戯王SS一覧 > 51Turn 最善の選択

51Turn 最善の選択 作:ジェム貯めナイト

 精霊世界の上空へと現れたユーメイと、彼が率いる5体の秘号(エンクレーブ)
の者達を確認するとともに、王宮の面々は同時に侵攻してきた魔物の群れの対処に
追われていた。


 「再び相まみえるとはな。トゥゴルカン……!」


 精霊長アラウンは王宮の通路から、ユーメイの傍らで精霊世界を見下ろす両肩か
ら龍の頭を伸ばした三つ首の龍人――ゴルイニチを見上げながら怒りを露わにする。


 「御仰殿――クイネ将軍が既に前線へと到着し、現在侵攻する魔物と交戦してい
るであります」


 御仰(ぎょこう)は宰相の勤めを果たすべく、謁見の間へと戻り、扶鷹(ふよう
)と叢林(そうりん)から伝えられた戦線の情報を頼りに戦いの指揮を執る。

 そしてアラウンも指揮所へと移動を始め、自らの力で王宮で待機する迫狗群(は
くぐぐん)達に指令を送り、魔物が押し寄せる集落へと出動させていった。


 「俺達はどうする……?」


 王宮から下層へと群れで移動する迫狗群達を見下ろしながら、遊陽達は自分達が
為すべきことについて議論する。


 「奴らの狙いは“遊明の力”宿すユームにある。彼女を隠し、身を守ることが最
優先だ」

 「いいえ、私は逃げも隠れもしません! 戦います!」


 自分だけ隠れているわけにはいかないと、遊無が戦いの意志を見せるも、サバス
は首を横に振り彼女を制止する。


 「お前さん1人では、あのユーメイには敵わない」

 「しかし……」

 「オレに考えがある。まずは周りの奴らをオレとマノン、ユーヒで撃退する! 
そして残ったユーメイをオレ達全員で叩くのが、奴らを倒せる僅かな可能性だ!」


 単独での衝突は避け、まずは5体の秘号を倒す方が先決だとサバスが提案し、イ
ーサも彼の案を了承したことで意見を纏めようとする。


 「私は認めません――」

 「遊無……!」

 「……私一人のために、皆さんや精霊達が傷付くのを黙って見ているわけには―
―」


 頑なに引こうとしない遊無に対し、遂にサバスは腕を伸ばして遊無の胸ぐらに掴
みかかると、マノンの制止も聞かず叫んだ。


 「やめて……!?」

 「わがまま言うんじゃねえ……! この戦いでのキングはお前だ! オレ達がい
くら傷付こうとも、お前さえ生き残ればオレ達の勝ちなんだよ……!」

 「――っ! 私一人残ったところで、仲間も無しに敵を討つなどできません……
!」


 マノンが仲裁に入り、渋々と遊無から離れたサバスに皆がホッとしたの束の間、
サバスは先程まで遊無を掴んでいた手を手刀に、遊無の首元を強打する。


 「サバスさん……!?」

 「――ユームには悪いと思っている……」


 気を失いその場で崩れ落ちた遊無へと謝りつつ、サバスは彼女を抱えて謁見の間
で指揮を執る御仰の元へと向かい始めた。


 「だがオレ達は、彼女が宿す力を奪われるわけにはいかない。より大きな災厄を
避けるためにも……」


 サバスの後を遊陽達は追いかけ、謁見の間で気を失った遊無を隠すよう御仰に託
すと、再び戦線へと戻ろうとする扶鷹と叢林に加え、戦いに赴く撰修(せんしゅう
)の3人の翼人と合流する。


 「……らしくないぜ。サバスさん」

 「――全くだ。オレはお前さん達に入れ込み過ぎかもしれんな」


 彼が態度を急変させたことを遊陽は心配するも、サバスはとっくに情が移ってし
まったと、彼やマノン、そして精霊長の自室に寝かせた遊無への愛着を口にする。

 そして3人はそれぞれ3人の翼人に抱えられ、王宮から魔物との戦闘が続く集落
へと飛び去って行った。





 「あんた達! こっちだよ……!」


 ユーメイ達秘号に操られし魔物が押し寄せた集落では、責任者たるダーナが精霊
達を誘導する他、森とを繋ぐ枝廊の大半を爆破し、今以上の侵攻を何とか食い止め
ようとしていた。


 「バウワウ42――43――44! あいつらを喰い千切れ……!」


 最前線で戦う将軍――クイネの指示により、数体の迫狗群がグループを形成し、
牙をむき出しにして一斉に魔物達へと飛び掛かり、爪と牙で魔物を引き裂いた。


 ――姉ちゃん! 次は南西方面が危ない――。

 「了解! 行くよ! イィプイィプ達――」


 傍らの精霊犬から伝えられたフンドの指示通り、その場を複数のグループに任せ、クイネは周囲に迫狗群達を従えながら移動しようとする。


 「――てめぇが指揮官かぁ……?」

 「――っ……!?」


 突如発生した紫に着色された煙の中から、目を閉じ宙に浮かぶ獏を従えたゴルイ
ニチの手先――夢枕 現(ゆめまくら うつつ)が笑みを浮かべながら現れた。


 「何……? あんた人間?」

 「てめぇが這いずり回ると迷惑なんでなぁ! 俺の夢に堕ちて貰おうかねぇ……
!」


 現が腕を突き上げる仕草から、クイネは直感的に危機を察して後方へと飛び退く
と、宙に浮かぶ獏は鼻先から紫の煙を放出し、最も現に近かった迫狗群の1体は眠
りに落ちてうなされる。


 「ラフラフ11……!?」

 「犬アマァ! てめぇもその犬っころみてぇにねんねしてな……!」


 そして現は拳を握りしめ、クイネへと襲い掛かる。

 彼の拳を左右に揺れてかわしつつ、クイネは右足を軸に一回転し、空中へ飛び上
がって現に回転蹴りを叩き込んだ。


 「――ちぃ……!」


 咄嗟に腕で庇った現だったが、彼を上回る獣人の身体能力によって数m後方へと
蹴り飛ばされる。


 「らあっっ……!」

 「っ……!?」


 獣の姿勢で追撃に迫るクイネが突き出した拳を現は何とか手のひらで受け止める
と、もう片方の腕を伸ばしクイネに掴みかかろうとするが、クイネは首を傾けて伸
ばした腕をかわし後方へと飛び退いた。


 「ひゃははぁ……! いつまで持つかなぁ……!?」


 現から距離を取ったクイネは、再び眠りへと誘う煙を噴き出そうとする獏を押さ
えるよう、迫狗群へと指示を送る。

 数体で飛び掛かり、獏へと嚙みつき抵抗する迫狗群達だが、1体ずつ着実に獏が
鼻から噴き出した煙によって眠らされていく。


 「この……っ!」


 クイネは更に速度を上げて現を翻弄し、高速で迫り何度も拳を打ち込むも、激し
く動き回るほどに辺りに充満する煙を吸い込み、次第に動きを遅くしていくのであ
った。





 「ゲラ……!」


 集落の中で最も森に近い北方では、押し寄せる多数の魔物に2人の龍人――ゲラ
シモフとアネーチカが応戦していた。


 「うぉぉっ……!」


 ゲラシモフの方は、数体の魔物へと獣人すら上回る腕力で殴りかかり、吹き飛ば
した魔物が下層の大地まで堕ちていくのを眺めると、次の魔物へと掴みかかってい
く。

 そしてアネーチカもレオタードのスカートをなびかせ、黒い竜の尾を振り回しな
がら宙を舞いつつ、落下地点の魔物を黒い鱗で覆われた腕で掴み、地面へと叩きつ
けた。


 「――わっ!」


 そしてアネーチカは口を開き、灼熱の火炎を吐いて眼前で唸る数体の魔物を焼き
尽くしていく。


 「……あーしらだけじゃ、全部は無理だね」

 「そんなことは無い。ほら、次に行くぞ」


 龍人の親子が食い止めているおかげで、後方へは僅かな魔物が進出しているに留
まっている。

 かつては将軍を勤めた家柄であり、訓練によって並みの龍人や多くの精霊を上回
る力を宿すズメエヴィチ家の2人は、押し寄せる魔物の勢いを弱めるのに貢献して
いた。


 『……――』


 スチュパリデスにミダース、パズズにトモカヅキは二手に分かれ、集落へと降り
立ち辺りを見回していると、3人の翼人に抱えられた遊陽とマノン、サバスが彼ら
の前に降り立った。


 「よお、お前さんらの好き勝手にはさせねぇよ」


 遊陽とマノンがそれぞれミダース、トモカヅキと対面し、スチュパリデスとパズ
ズの元にはサバスが現れ行く手を遮る。


 『……娘はどうしたのです?』


 金色に輝く翼を持つずんぐりとした体型の翼人――ミダースは、駆け付けた3人
の気配を察しつつ辺りを見回しながら問いかけた。


 「遊無をお前達に渡すわけにはいかない」

 『――この場にいないってわけぇ~? ゴルイニチ様ぁ……!』


 深紅の翼に鳥を模した仮面で顔を覆った翼人――スチュパリデスは、その外見と
は似つかない女の声で宙に佇むゴルイニチへと叫ぶ。


 『……そうか。ならば炙り出すのみ……!』


 上空で待機する扶鷹達も呆気にとられる中、ゴルイニチはその場から急降下しな
がら両肩の龍の首を伸ばし、王宮の外壁へと叩きつける。


 「何を――」


 龍の牙が外壁を突き破り、城内へと龍の頭が侵入した次の瞬間、開いた口から吐
いた炎が城内の部屋と取り残された数人の精霊を焼き尽くしていく。


 「――っ!?」


 目の前で繰り広げられた惨劇に、遊陽は動揺するも、すぐに激しい怒りを浮かべ
て王宮へと走りだした。


 「ユーヒ……!?」

 『撰修ぅぅぅっ……!』


 マノンを置いて駆け出した遊陽の元に、同じく目頭に涙を浮かばせ怒りに打ち震
える撰修が上空から飛来し、遊陽の身体を掴んで王宮まで飛び去って行く。


 『あーあ……一人取り逃がしちゃったけど、そいつらだけはアタイらで仕留める
よ!』


 スチュパリデスは傍らのパズズ――いや、姿を変えた同じゴルイニチの手下へと
叫ぶと、2体は変化を解き放つとともにサバスを闇の瘴気渦巻く結界へと閉じ込め
る。


 『――っ!? 罠だ……!?』


 サバスが秘号の目論みに気付いたのもつかの間、マノンも彼と同じく秘号に化け
ていた老紳士とスーツの男が変化を解いたことで、闇の瘴気の中に囚われた。


 「……アタシ達をおびき出すのが狙いってわけ?」


 マノンはD・フェースを構えた2人の手下――エッダとロマンとの戦いを避けら
れないと知り、同じくD・フェースを起動させデュエルの体制へと移行した。





 「――っ、私……は――」


 精霊長の自室でソファに横たわっていた遊無は意識を取り戻し、部屋から飛び出
して辺りを見回すと、見晴らしのいい王宮の上層部を目指して走りだす。


 『逃げろ……!』


 先程の攻撃で王宮内では瞬く間に混乱が広がり、上を目指す遊無とは逆に地下の
シェルターへと急いで避難しようとしていた。


 「噓でしょ……カルちゃん――」


 遊無が通りがかったゴルイニチの攻撃で焼け焦げた部屋の前では、ミイラのよう
に全身に包帯を巻いた褐色肌のシマウマの獣人が友人の安否を知り、その場で崩れ
落ちていた。


 「――どうして……私のためにどれだけ無関係な者を……!」


 そして遊無は謁見の間がある階の通路に戻って来るとともに、身を隠しながら宙
に浮かぶユーメイの姿を窺った。


 『クク……奴らは娘を隠し、各個撃破を狙いに来たか――』


 ユーメイは外壁を破壊された王宮を見下ろしつつ、全ては思い通りだと更なる攻
撃を加えるゴルイニチを眺めながら呟くも、背後からの気配を察し、高速で接近す
る彼らを眺めた。


 『この――裏切り者ぉぉぉっっ……!』


 撰修に抱えられた遊陽は、彼が手を離すとともにゴルイニチの眼前にある円柱形
の砦へと落下し、広場となっている屋上に着地した。


 『――お前は! どれだけの精霊がお前に人生を狂わされたか……! 精霊長は
お前のせいで父を亡くした! お前の家の者は裏切り者の出身だと避けられ続けた
……!』


 彼らが受けてきた苦しみを代弁するかのように、遊陽は涙をこぼしながらもゴル
イニチへと怒りを露わにし、続けてユーメイも見上げると言葉を続けた。


 『ユーメイ! お前はマリアさんから遊明を奪い、もう一人の遊無まで消し去る
つもりか!? させねえ――俺はお前達が存在することすら許さない……!』


 遊陽は怒りを込めた表情のままD・フェースを起動させ、目の前のゴルイニチと
上空のユーメイとのデュエルに挑もうとする。


 『――お前は口強しくも、宵(よ)に道義を求めようとする』

 「何が言いたい……」

 『いいか? 世とは強者が支配するもの。この世界の者達は長きに渡り、安寧に
浸り続けた結果、本来生きとし生ける命が持つ“戦い勝ち取る意思”が希薄となり
果てた――』


 両手を広げたゴルイニチは、眼下の景色全てを見下ろしつつも、遊陽へと声だか
に自らの思想を語る。


 『この世界で宵が将軍だった頃から、こやつらは何も進歩していないようだな?
 それもそのはず――奴らは平穏などというぬるま湯に浸かっているからこそ、本
来精霊が宿す偉大な力に目覚めなんだ』

 「――何を言っているんだ……?」

 『生物とは、戦い続けることで生涯成長を続ける。勝ち残ることのみがこの世の
理――かねてより精霊どもの進化のため、宵は人間世界へ戦いを挑もうと精霊長“
だった”奴に持ち掛けた』

 「亡くなった精霊長か――」

 『だが奴は、宵の申し出を断り続けた。愚かな――奴の生み出す犬どもが宵に敵
わない時点で、奴は成長を止め堕落したのだ。ならば宵は、ユーメイ様に分け与え
られたこの力で、戦いに明け暮れ生命を進化させ続ける世界を生み出す……!』


 終わりなき戦いこそが生命を進化させる。争いの絶えない世界を生み出す事こそ
が全ての命を進歩させると語るゴルイニチに、さしもの遊陽も絶句するが、やがて
一言だけ狂気に飲まれるゴルイニチを表現する言葉を呟いた。


 「……“修羅”だ――」

 『お前が望むのならば、デュエルを受けてやろう。あの器の娘を守りたければ、
お前も戦いの中で進化し勝ち取って見せるがよい』


 遊陽の元まで降りてきたゴルイニチは、腕のD・フェースを起動させ遊陽を倒す
べく立ちはだかる。


 『もう――やめて……!』


 その時だった。遊陽は声が聞こえた王宮の最上部を見上げると、そこでは遊無が
D・フェースを起動させユーメイへと呼びかけていた。


 「貴方達は……私一人のためなら屍の山すら築こうとする……!」


 怒りのこもった表情のまま自らユーメイの前に現れ、他者への危害を防ごうとする遊無に対し、ユーメイは宙に浮いたまま遊無の立つ王宮の広場まで移動する。


 「遊無――」

 「私は逃げも隠れもしない! 今この場で貴方を倒し、遊明を解放して見せる…
…!」


 瞬きを繰り返した一瞬の間に、本来の彼女と同じく瞳を赤くした遊無は、全ての
因縁に決着を着けるべく、ユーメイにデュエルを挑もうとする。


 『――よかろう。このデュエルで輝光(きこう)から遊明が預けた力をこの手に
納めてみせよう……!』


 もう一人の自分の力を表在化させ、戦いの意志を見せる遊無へとユーメイはD・フェースを起動させることで答え、遊陽と遊無――ゴルイニチとユーメイの戦いが幕を開けた。


 『デュエル――』


 Turn1 遊陽LP4000。手札5 ゴルイニチLP4000。手札5

     遊無LP4000。手札5 ユーメイLP4000。手札5


 『宵から進めよう。手札の“プロリファレイツ”を見せることで、魔法カード《
ヴァルネラビリティー・アタック》を発動。デッキから2体目、3体目の《プロリ
ファレイツ・ワナクライ》を宵とお前の場に導く――』


 ゴルイニチが手札のモンスターを見せることで、遊陽が立つ砦に絡み合った配線
で構築された巨大なワームが巻き付いた。


 ヴァルネラビリティー・アタック 通常魔法
 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
 (1):手札の「プロリファレイツ」モンスター1体を相手に見せて発動できる。
 デッキから見せたモンスターの同名モンスター2体を選びお互いのフィールドに
 守備表示で特殊召喚する。


 プロリファレイツ・ワナクライ
 効果モンスター
 /闇/レベル7/サイバース/攻撃力2100。
 このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):「プロリファレイツ・ワナクライ」は自分のモンスターゾーンに1体しか
 表側表示で存在できない。
 (2):手札のこのカードを相手に見せて発動できる。このカード以外の手札の「
 プロリファレイツ」モンスター1体を相手フィールドに守備表示で特殊召喚する
 。
 (3):このカードが「プロリファレイツ」モンスターの効果で特殊召喚に成功し
 た場合に発動する。お互いは自身の魔法&罠ゾーンのカードの数×200ダメー
 ジを受ける。


 ワナクライ守備力0。


 「お互いの場にだと……?」

 『お前の場にくれてやることなど、さして影響などない。更に手札のワナクライ
を見せ効果発動。宵の“プロリファレイツ”は手札から見せることで、他の“プロ
リファレイツ”をお前に送りつけるのだ』


 砦に巻き付いたワームは全身に絡まる配線の一部を解き、新たにもう1体の配線
が絡まり成り立つワームを遊陽の元に生み出した。


 プロリファレイツ・コードレッド
 効果モンスター
 /闇/レベル7/サイバース/攻撃力2300。
 このカード名の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):「プロリファレイツ・コードレッド」は自分のモンスターゾーンに1体し
 か表側表示で存在できない。
 (2):手札のこのカードを相手に見せて発動できる。このカード以外の手札の「
 プロリファレイツ」モンスター1体を相手フィールドに守備表示で特殊召喚する
 。
 (3):このカードが「プロリファレイツ」モンスターの効果で特殊召喚に成功し
 た場合に発動する。このカードのコントローラーは自分フィールドのモンスター
 1体のコントロールを相手に移す。その後自分はこの効果で相手に移したモンス
 ターのレベルと同じ枚数、デッキの上からカードを墓地に送る。


 『お前の元で、宵の“プロリファレイツ”は悪意のプログラムを起動させる。コ
ードレッドの効果により、コードレッドを宵に返して貰おう』

 「押し付けておいて取り立てる気か……」

 『そして宵の元に戻ったコードレッドのレベル分――7枚をデッキの上より破壊
する……!』


 配線絡まり成るワームが電子音に似た咆哮を上げるとともに、遊陽のD・フェー
スが点滅し発動された効果の処理を促す。


 墓地送り(霽レ粧飾 ハヤシフルート 筆操人形 オフィリタリー・ラプトル 
喪服蝶 関捩櫛比 グラトニートル)


 「デッキ破壊――戦いを求める割にはセコい戦術を使うじゃねぇか」

 『争いとは戦場に立つ前から、既に大勢が決しているのだ。そして宵はワナクライとコードレッドをリリース……!』


 砦に絡まる2体のワームが消滅していき、早速現れるのかと遊陽が身構える中、
宙に浮くゴルイニチの元に無数の配線が集まっていく。


 「来るか――」

 『一から万へ――増殖する悪意は情報を蚕食する! “アドバンス召喚”! 宵
の分身――《プロリファレイツ・マイドゥーム》……!』


 やがて絡まる配線は1体の巨大なワームへと姿を成し、大地へ降り立つとその巨
体を伸ばし、ゴルイニチを取り巻きながら遊陽へと電子音に似た咆哮を上げた。


 プロリファレイツ・マイドゥーム
 効果モンスター
 /闇/レベル8/サイバース/攻撃力3000。
 (1):このカードは、レベル8以下のモンスターとの戦闘では破壊されず、レベ
 ル8以下のモンスターの効果では破壊されない。
 (2):相手のデッキ・フィールドからモンスターが墓地へ送られる度に発動する
 。ターン終了時までこのカードの攻撃力を300アップする。その後相手に30
 0ダメージを与える。


 「現れてしまった。闇の秘号――」


 遊陽はカードを1枚伏せターンを終えたゴルイニチの下で、複雑に絡まった全身
の隙間から伸ばした配線を揺らす巨大なワームが電子音に似た鳴き声を上げる姿に
たじろぐ。


 『――天子(われ)は魔法カード《検式の埠頭》を発動。天子はデッキより《N
o.A V(ノーサライズ ベッセル)ブロック》を墓地へ送る――』


 ユーメイがデッキを取り出し、1枚のカードを選び出し墓地へ送るとともに、遊
無のデッキの上からカード5枚が映像となり開示される。


 『そして娘のデッキの上5枚の中から、モンスターを2体まで墓地へ送らせる。
《洗幽鬼 小豆研》と《予幽鬼 海彦》を墓地へ送ってもらおう』

 「私にモンスターの墓地送りを強いるカードですか……」


 検式の埠頭 通常魔法
 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
 (1):デッキから「No.A V」モンスター1体を墓地に送る。その後相手のデ
 ッキの上からカードを5枚までめくり、その中からモンスターを2体まで墓地に
 送ることができる。


 『ここからが“No.A V”の本領発揮だ。《モニタリング・アイピーセック》
を発動。この永続魔法は娘の墓地からモンスターを場に引きずり出す』


 発動されたカードから錨が垂らされ、宙に生じた空間の穴から遊無が操る“幽鬼
”が鎖に縛られた状態で浮かんできた。

 
 モニタリング・アイピーセック 永続魔法
 このカード名の(1)の効果は1ターンに2度まで使用できる。
 (1):相手の墓地からレベル7以下のモンスター1体を対象として発動できる。
 そのモンスターを相手フィールドに特殊召喚する。その後相手はそのモンスター
 のレベル×100LPを失う。
 (2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分の特殊召喚された「N
 o.A V」モンスターの効果の発動に対して相手は魔法・罠・モンスターの効果
 を発動できない。


 『蘇生した小豆研のレベルは3――よって300LPを支払ってもらおう』


 遊無LP4000→3700。


 『そして我が“箱舟”は浮上する……!』

 「っ!? 何を……!?」


 遊無の元にモンスターが現れたことで、ユーメイの元へ異空間から長方形の形状
をした一隻の箱舟が出現した。


 No.A V(ノーサライズ ベッセル)ブロック
 効果モンスター
 /光/レベル7/サイバース/攻撃力0。
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):このカードが墓地から特殊召喚した場合に発動できる。手札から「No.A
  V」モンスター1体を墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローする。
 (2):このカードが墓地に存在し、相手フィールドにレベル7以下のモンスター
 1体が召喚、特殊召喚された場合に発動できる。そのモンスターの効果をターン
 終了時まで無効にし、墓地のこのカードを特殊召喚する。


 ブロック守備力2300。


 『“No.A V”は相手が呼び出したレベル7以下のモンスターの効果をこのタ
ーン無効にすることで、墓地から浮上する』

 「……ですがその効果の発動に対し、こちらも場に現れた小豆研の効果を――」

 『逃しはせん! 《モニタリング・アイピーセック》が発動している限り、特殊
召喚した“No.A V”の効果の発動に輝光(きこう)はチェーンできない』


 通常はターンプレイヤーのユーメイから発動し、それにチェーンすることで小豆
研の効果の発動は無効化される前に効力を発揮する。

 しかし箱舟の効果発動にチェーン不可となったことで、小豆研の効果ダメージを
与える研磨反響の効果は、宙へと浮かぶ箱舟が輝くとともに封じられた。


 『そして場に現れたブロックの効果により、手札から《No.A V(ノーサライ
ズ ベッセル)フィルタ》を墓地へ送り2枚をドロー!』


 更にユーメイは先程の永続魔法の効果を繰り返し、遊無の墓地から毛むくじゃら
で尾びれが3本生えた予言獣を復活させる。


 『《モニタリング・アイピーセック》の効果は、1ターンに2回まで使える。娘
の墓地からもう1体のモンスターを蘇らせ、墓地へ送ったばかりの《No.A V(
ノーサライズ ベッセル)フィルタ》を浮上させる……!』


 幽鬼の召喚を検出し、再びユーメイの元に長方形の箱舟のモンスターが異空間か
ら現れ、先に現れた箱舟とともに宙を航行する。


 No.A V(ノーサライズ ベッセル)フィルタ
 効果モンスター
 /光/レベル7/サイバース/攻撃力0。
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):このカードが墓地から特殊召喚した場合に発動できる。相手フィールドの
 カード1枚を選んで持ち主の手札に戻す。
 (2):このカードが墓地に存在し、相手フィールドにレベル7以下のモンスター
 1体が召喚、特殊召喚された場合に発動できる。そのモンスターの効果をターン
 終了時まで無効にし、墓地のこのカードを特殊召喚する。


 フィルタ守備力2400。遊無LP3700→3500。


 『そしてフィルタが蘇ったことで効果発動。小豆研を手札に戻して貰おう』

 「バウンス効果……それよりも、これでモンスターが2体――」

 『天子はブロックとフィルタをリリース! 救済の箱舟よ。全てを洗い流し、混
沌とした世界に櫂を導くべく漕ぎだせ……!』


 2隻の箱舟が光で包まれ消滅していくとともに、ユーメイが1体のモンスターを
召喚したことで、箱舟を構成する船体が空中で組み合わさっていき、やがてそれは
船首に1人の人物を括りつけた巨大な箱舟へと変形していく。


 『“アドバンス召喚”! 光の“秘号”――《No.A V(ノーサライズ ベッセ
ル)ユーメイ》……!』


 ユーメイ攻撃力3000。


 「あれは――遊明……!?」


 遊無が召喚された巨大な箱舟を見上げ、その船首に囚われた両手足に枷をしたユ
ーメイと同じ顔立ちをした精霊――遊明に気付くと、目を閉じた彼へと呼びかける



 「遊明……! 秘号に飲まれないで……!」

 『無駄だ。この肉体は天子が完全に掌握した』


 カードを2枚伏せターンを終えたユーメイは、宙に浮かぶ箱舟の秘号へと手を伸
ばし、拳を握りしめるとともに全身から波動を発する。


 『……!?』


 ユーメイが放った攻撃は、集落の北方に押し寄せる魔物達を狂暴化させ、侵攻を
防ぎ続けているゲラシモフとアネーチカへと一斉に襲い掛かった。


 「ゲラ……!?」

 「これまでか――」


 度重なる連戦に、これまで戦い続けた2人も大幅に体力を消耗している。

 お互いをかばい身を縮こませる2人だったが、その時どこからか飛んできた閃光
弾が彼らと魔物の間で炸裂し、辺りが眩い光で包まれやがて収まるとともに、2人
の前には多数の獣人や翼人が立ちはだかっていた。


 「2人とも! 助けに来たぜ……!」


 両手のヌンチャクを振り回すカラスの翼人が2人へ呼び掛けるとともに、両手に
かぎ爪をはめた大柄なクマの獣人が魔物の群れへと突っ込んでいった。


 「皆さん――」

 「他は粗方片付いた。……今まで構ってやれなくて悪かった。今からはあんた達
龍人も俺達の仲間さ」


 宙に浮くカラスの翼人とは別に、集落で暮らす獣人のリーダー格である顔周りに
たてがみを生やしたライオンの獣人が2人の元に歩み寄ると、軽く頭を下げつつこ
の場所への侵攻を防ぎ続けていたことに感謝を示す。


 「ここは我々に任せて、お二人は王宮に避難してください……!」

 「――ありがとう。行こう、アネーチカ」


 ゲラシモフは獣人を束ねるライオンの獣人と、彼の従者を務める額から2本の枝
分かれした角を生やしたシカの獣人に礼を言い、アネーチカとともに王宮を目指し
移動し始めた。


 「……魔物達も徐々に撃退され始めている」

 「後は貴方達を退けるだけ。私達は負けない。遊明は必ず救いだして見せる……
!」


 状況の好転を知るとともに、遊陽と遊無は勝ち誇った表情でゴルイニチとユーメ
イを打倒すると、より一層の決意を見せる。

 ゴルイニチとユーメイはそれぞれの場に並び立つ無数の配線が絡まり成したワー
ムと、船首に遊明を縛り付けた箱舟を見上げつつ、2人の攻勢を退けると意志を露
わにした。

 全ての元凶たる2人との戦い――彼らを打ち破るべく、遊陽と遊無はカードを引
くと、互いに引き当てた自らの切り札で果敢に彼らへと挑むのであった。





 「俺と遊無――」

 「そしてアタシ、マノンが送る――」


 『ビナリウス回顧録!』


遊陽「秘号は俺達を惑わす陽動として、今まで倒した秘号に仕えていた僕を変化させて引き連れ、進軍してきた」

マノン「アタシとサバスは足止めされて、2人が直接対峙するのを許してしまった
。サバス……やっぱり強大なユーメイの力に焦っちゃったのかな――」

遊無「サバスさんが危惧するのも分かりますが、私は囚われた遊明を救い出したい
。あの者を倒すことで私を生き永らせてくれた恩に報いたいのです」

遊陽「だがユーメイと裏切り者のゴルイニチは、これまで戦った誰よりも強い。2
人の使う“プロリファレイツ”に“No.A V(ノーサライズ ベッセル)”は、奴
らが扱うことで鬼に金棒と言える力を発揮する」

遊無「“No.A V”とはモンスターの効果を無効化する共通効果を持つ箱舟――
召喚を検知して墓地から浮上し、そのモンスターの効果を無効化してしまいます」

遊陽「対して“プロリファレイツ”は相手の場に送り付け、コントローラーのデッ
キを破壊することで戦力を削ぎつつ切り札のマイドゥームの効果を誘発させるワー
ム達だ」

マノン「どっちも面倒そう。待ってて2人とも! 邪魔するあの人達なんてすぐに
倒してみせるから……!」


 『次回! 遊戯王Binarius(ビナリウス) -立ちはだかる使者達-』


マノン「貴方達にアタシとサバスは止められないよ! 一瞬で終わらせてあげる。
そして2人を助けに行くんだ……!」
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