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HOME > 遊戯王SS一覧 > 18Turn 夜空に咲く“賑やか”なる華

18Turn 夜空に咲く“賑やか”なる華 作:ジェム貯めナイト

 野外デュエルスペースにて続く遊陽と須浦のデュエルでは、須浦が伏せカードを発動させたことにより状況が一変する。

 宙に浮いて現れた1本のマーカーがキャップを外すと、須浦が手札からかざした《融合》のカードに変化が生じた。


 「僕はこの永続トラップ――《ヌーベル・ペインティング・マジック》を発動した。この罠は手札の《融合》に新たな価値を付加させ、発動させるカード――」


 発動された《融合》のカードは、マーカーにより効果テキストの一部が塗り潰され、新たな文言が書き加えられて再発動する。


 「馬鹿な……!? カードのテキストを書き換えただと!?」

 「この効果で行う融合は――“色を塗り替えた”相手モンスターも混ぜ合わせら
れる……!」


 ヌーベル・ペインティング・マジック 永続罠
 このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分・相手メインフェイズに手札から「融合」1枚を墓地に送って発動でき
 る。
 自分フィールドから、「マスケッチ」融合モンスターによって決められた融合素
 材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をEXデッキから融合召喚
 する。
 元々の属性が異なるモンスターが相手フィールドに存在する場合、そのモン
 スターも融合素材とする事ができる。


 「対戦相手のモンスターすら、融合に使えるカード……!?」

 「僕はグリーンインクと先輩のグージを混ぜ合わせ、再び“融合召喚”だ! 現
れろ! 《ボレーマスケッチ・シアンインク》……!」


 祭りの神職者は塗師とともに、カードに描かれた融合の渦の中へと飲み込まれていき、須浦の場には色の異なる塗料を注入した2丁の銃を構えた塗師が新たに現れた。


 ボレーマスケッチ・シアンインク
 融合、効果モンスター
 /水/レベル6/戦士/攻撃力2200。
 「マスケッチ」モンスター+炎属性または水属性モンスター
 (1):「ボレーマスケッチ・シアンインク」は自分フィールドに1体しか表側
 表示で存在できない。
 (2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は
 「風」としても扱う。
 (3):1ターンに1度、このカードがモンスターゾーンに存在する状態で自分フィ
 ールドに「マスケッチ」モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。
 自分はデッキから1枚ドローする。


 「そして融合素材となったグリーンインクの効果で、墓地のレッドインクを蘇生。更に「マスケッチ」が現れたことでシアンインクの効果で1枚ドロー。マゼンタインクの効果で墓地の《融合》を手札に戻します」

 「こっちのターンだってのに、やりたい放題してくれるぜ。バトルだ! 俺はグラトニートルでブルーインクを攻撃……!」


 銃口を下げて身を隠している塗師を発見した悪食の亀は、身の丈に合わぬほどの俊敏さで接近すると、大顎を開いて塗師を丸呑みする。

 しかし依然として銃を構えた3体の塗師と、5丁の銃口が狙いを定めている現状を変えるには程遠く、次のターンに繋げるべく遊陽はカードを2枚伏せ、ターンを終えた。


 「僕のターン! 再び《世絵画廻り》を場に再建し、レッドインクよ! 迷惑な亀を赤く染め上げろ!」


 辺りは先程のように絵画が展示されている美術館へと様変わりすると、銃を構えた塗師が放出する大量の塗料が悪食の亀へと降りかかり、全身に纏わりつく赤い塗料に苦しみもがく。


 グラトニートル攻撃力1800→1300。


 「《世絵画廻り》には、元々の属性と異なるモンスターの攻守を500下げる効果があります。更に《ヌーベル・ペインティング・マジック》の効果で、再び先輩の亀と僕のレッドインクを混ぜ合わせ、更なる融合を行います!」

 「これで3体目の融合モンスター!? 須浦の奴、容赦ねえな……」


 再び手札の《融合》を墓地に送った須浦は、塗料に塗れた亀と塗師を1つに混ぜ合わせ、黄色の塗料が注入されたタンクを背負う新たな塗師へと変化させる。


 「3度目の“融合召喚”です! 現れろ――《ボレーマスケッチ・イエローイン
ク》……!」


 ボレーマスケッチ・イエローインク
 融合、効果モンスター
 /風/レベル6/戦士/攻撃力2400。
 「マスケッチ」モンスター+風属性または炎属性モンスター
 (1):「ボレーマスケッチ・イエローインク」は自分フィールドに1体しか表
 側表示で存在できない。
 (2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は
 「炎」としても扱う。
 (3):1ターンに1度、このカードがモンスターゾーンに存在する状態で自分フィ
 ールドに「マスケッチ」モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。
 デッキから「マスケッチ」モンスター1体を手札に加える。


 「噂に違わない――見事な戦術を描くな。須浦……」

 「マゼンタインクの効果でカードを1枚ドローし、シアンインクの効果で墓地の《融合》を手札に加える。3体のボレーマスケッチによる総攻撃を受ければ、先輩はひとたまりもありませんよ」


 そしてバトルフェイズに突入した須浦は、最初に混ぜ合わせたマゼンタ色の塗料を充填する塗師に命じると、銃口を向けられた祭りの稚児は恐怖で大粒の涙を浮かべる。


 「くっ……罠カード《催事警備》を発動! 相手モンスター1体に付き、全ての相手モンスターの攻撃力を400下げる――」


 遊陽と稚児の前に法被を纏った祭りの警らを担当する集団が立ちはだかるも、援護射撃とばかりに残る塗師も銃口を向けて、3体が同時に放出した塗料の奔流が警らや稚児とともに、遊陽を飲み込んでいく。


 「ぐっ……!?」 遊陽LP4000→2800→1800。


 マゼンタインク攻撃力2000→800。 イエローインク攻撃力2400→1200。 シアンインク攻撃力2200→1000。


 「うわぁ……辺り一面インク塗れだぜ」


 攻撃の余波により、遊陽の全身や館内の床や壁を色鮮やかに染めた塗料が落ちていくのを眺める須浦は、物足りなさそうに俯いて小さくため息を着く。


 「だが俺の「氏子」が破壊されたため、墓地の《催事警備》を除外して効果発動! デッキの上3枚の中から《ワッショイ華景・マムフラワー》を手札に加える――」

 「何とか耐えたようですが――やはり先輩が相手でも、インスピレーションが浮かぶことはなかった」


 バトルを終えた須浦は、新たなモンスターを呼び入れ反撃の糸口を探る遊陽を牽制するかのように、再び《融合》を発動して3体の塗師を混ぜ合わせていく。


 『更に融合だと……!?』

 「再び《融合》の発動により、僕のインクで先輩を“白く”染め上げましょう!
 3体のボレーマスケッチを融合させます!」


 D・フェースから収納されている“融合モンスター”を取り出し、遊陽に見せつ
けると3枚の融合モンスターはその到達点である世界を白に彩る塗師へと、その姿を変えていく。


 「ここから先、何者にも侵されはしない。並々と注がれし“バケツの光”よ! 
白き奔流で全ての階層を塗り潰せ……! “融合召喚”――《ボレーマスケッチ・
ホワイトインク》……!」


 ボレーマスケッチ・ホワイトインク
 融合、効果モンスター
 /光/レベル7/戦士/攻撃力2800。
 カード名の異なる「マスケッチ」融合モンスター×3
 (1):「ボレーマスケッチ・ホワイトインク」は自分フィールドに1体しか表
 側表示で存在できない。
 (2):このカードがEXモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドの
 モンスターの属性は「光」になる。
 (2):このカードがEXモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドの
 光属性モンスターの効果は無効化される。


 「来たな……須浦君の切り札――」

 「遊陽のフィールドが――白く染められていく……!?」


 3連結された巨大なマスケット銃を携え、背負ったタンクに光を構成する三原色の塗料を注入した塗師が周囲に塗料を振り撒くと、遊陽の足元に生まれた水溜まりから白い瘴気が立ち昇る。


 「融合モンスターであるホワイトインクは、モンスターゾーンから独立した“EXモンスターゾーン”に出すことが可能。そしてホワイトインクが君臨する限り、完全なる光に先輩のモンスターを染め上げ、全ての個性は白日の下より追放される」

 「それって――あのモンスターを何とかしないと、遊陽は場のモンスターの効果を使えないってことじゃん……!」


 カードを2枚伏せターンを終えた須浦は、場を制圧する白い塗師の能力を目の当たりにして、更なる苦境に立たされた遊陽へと問いかける。


 「僕の布陣は完璧です。それでもまだ、足搔くというのですか?」

 「……そうだな。状況は明らかに、俺の不利だ――」


 現状を思い知り呟いた遊陽の言葉に、カズ達もこれまでか。と肩を落とすも、言葉とは裏腹に力強くドローしたカードを見た遊陽は、逆転の目が訪れたと自信満々に言い切った。


 「来た……! だがどんなに追い詰められようと、カードを引く手を止めない限り、たった1枚のドローからでも“賑やか”な世界は描き出せる! 見せてやるぜ須浦――これが“俺だけの独創性”だ……!」


 そう言うと先程手札に加えた新たなモンスターの召喚により、美術館の上空に一筋の光線が打ち上がると、万雷が轟き無数の菊の華が一斉に咲き乱れる。


 「まずは《ワッショイ華景・マムフラワー》を召喚だ!」


 ワッショイ華景・マムフラワー
 効果モンスター
 /炎/レベル2/炎/攻撃力500。
 (1):このカードが炎属性モンスターの効果の対象になった場合に発動できる。
 このカードを破壊する。その後相手フィールドの表側表示のモンスター1体を選
 んで破壊し、相手に500ダメージを与える。
 (2):自分のモンスターが攻撃する場合、墓地のこのカードを除外して発動でき
 る。その戦闘で自分が受ける戦闘ダメージは0になり、デッキから攻撃モンスタ
 ーの元々の攻撃力より低い攻撃力のレベル4以下の「ワッショイ」モンスター1
 体を特殊召喚する。


 「今見せてやる。俺は場のマムフラワーを対象に破壊することで、手札の“このカード”の効果を発動するぜ! 彩りの造詣深き魔術師の調合により、千紫万紅の華よ――鮮やかに咲き誇れ……!」


 遊陽が手札から1枚のカードをかざすと、打ち上がる菊の花火玉が止み、半纏を纏い頭に手拭い――腰に道具袋をぶら下げた華を調合する魔術師が、右手に花火玉を握りしめて現れた。


 「現れろ! 化合物の魔術師――《ワッショイ・ハナビダマジシャン》を特殊召喚……!」


 ワッショイ・ハナビダマジシャン
 効果モンスター
 /炎/レベル7/炎/攻撃力2500。
 このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
 (1):このカードが手札に存在する場合、自分フィールドの「ワッショイ」炎属性
 モンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターを破壊しこのカード
 を手札から特殊召喚する。
 (2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。
 そのモンスターの元々のレベル×300のダメージを相手に与える。


 「これが遊陽の新しい切り札……!」

 「……しかし白く塗り潰され、《世絵画廻り》により攻撃力は500ダウンします」


 ハナビダマジシャン攻撃力2500→2000。


 「……本来なら炎纏ったモンスターから対象にとられたマムフラワーが着火し、お前のモンスターを破壊してダメージを与えるところだったが――」

 「塗料で湿気たことにより、打ち上げは失敗のようですね」


 足元から噴き上がった塗料で濡れた花火玉を投げ捨てるも、意気消沈することなく化合物の魔術師は続けざまに遊陽が発動させたカードに合わせて、鬱憤を晴らすかのように周囲へと大量の花火玉を出現させる。


 「だったら、フィールド魔法《繚乱の一斉散華》を発動だ! 夜空に次々と打ち上がる華景により、俺の華景達は攻守を300アップする!」


 手のひらへと指先に付着させた薬品で魔法陣を描いた化合物の魔術師が、拳に纏わせた火花を周囲に浮く花火玉へと振り撒いたことにより、着火した花火玉が連続で打ち上がり、美術館の空に華景が次々と咲き乱れる。


 繚乱の一斉散華 フィールド魔法
 (1):自分フィールドの「ワッショイ」炎族モンスターの攻撃力・守備力は300
 アップする。
 (2):1ターンに1度、「ワッショイ」炎族モンスターを含む自分フィールドのモ
 ンスター全てを破壊する。
 その後、この効果で破壊したモンスターと種族のみが同じで属性が異なる「ワッ
 ショイ」モンスターを破壊した数まで特殊召喚する。


 ハナビダマジシャン攻撃力2000→2300。


 「しかしまだ、ホワイトインクの攻撃力には届かない……!」

 「ここからが本領だ! 手札のロッキーを墓地に送り効果発動! ハナビダマジシャンの攻撃力を500アップし、お前に500ダメージを与える!」


 再び化合物の魔術師が拳から迸る火花で現れた円筒に点火させ、発射された花火玉が須浦の懐に勢いよく飛び込むと、破裂により飛び散る火花が全身に引火する。


 「ぐっ――熱っ……!」 須浦LP4000→3500。 攻撃力2300→2800。


 『攻撃力がホワイトインクに並んだ……!』

 「バトルだ! 俺はハナビダマジシャンでホワイトインクを攻撃……!」 


 須浦が地面を転がり燃え移った火花が収まると、化合物の魔術師は再び火花を右の拳に纏わせて、白い塗師へと接近するとともに拳を振り被る。


 「くっ……罠カード《スタビリティ・イーゼル》! この画架が支えることで、ホワイトインクはこのターン全ての破壊から防がれる……!」


 スタビリティ・イーゼル 通常罠
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分フィールドの「マスケッチ」モンスター1体を対象として発動でき
 る。そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで、相手フィールド
 の元々の属性が異なるモンスターの数×400ダウンし、このターン戦闘・効
 果では破壊されない。
 (2):自分のEXモンスターゾーンの「マスケッチ」モンスターが相手によってフ
 ィールドを離れた場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。
 EXデッキからそのモンスターとはカード名が異なる「マスケッチ」モンスター
 1体をEXモンスターゾーンに特殊召喚する。


 「……だが耐性と引き換えに、ホワイトインクはこのターン色を塗り替えたモンスター1体に付き、攻撃力を400ダウンする」


 真っ白なキャンバスを支える画架に背を預け、白い塗師は降りかかる火花に白い塗料を放出して消火するも、残量を大幅に減らしたことで一時的に力を消耗する。


 ホワイトインク攻撃力2800→2400。


 「しかしハナビダマジシャンが攻撃力で上回った! 破壊できなくてもこの一発は受けてもらうぜ? 融かせ――コンパウンド・マジック……!」


 腕を交差して防御の体勢を取った白い塗師に拳が振り下ろされると、殴打の衝撃により、白い塗師は後方へと後ずさりする。


 「くっ……」 須浦LP3500→3100。


 「遊陽が須浦を押し返した……!?」

 「これが祭りの空を彩る――千紫万紅の“華景”だぜ」


 遊陽がターンを終えると、跪いていた須浦は立ち上がり、制服に着いた土埃を払うと、薄っすらと笑みを浮かべてカードをドローする。


 「須浦君の様子が変わった――」

 「今のは効きましたよ。少し先輩を見直しましたが――それでも勝つのは僕です! ホワイトインクを対象に罠カード《リフィル・インク》を発動! 更にホワイトインクに装備魔法《調色装弾(パレット・バレット)》を装備!」


 新たに白の修正液が充填され、発動された装備魔法により白の塗師が掲げた銃に塗料を充填した追加の外付け弾倉が装着されると、一度に斉射する塗料の量が劇的 に増えることとなった。


 調色装弾(パレット・バレット) 装備魔法
 このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
 (1):自分フィールドの「マスケッチ」融合モンスター1体を対象として発動
 できる。
 墓地の「マスケッチ」モンスターを3体まで選び、装備カード扱いとしてそ
 のモンスターに装備する。
 (2):装備モンスターの攻撃力はこの効果で装備したモンスターの属性×100
 0アップし、装備モンスターと同じ属性としても扱う。


 「墓地から三体の光の色を装填し、注いだ色と同じ属性を得てその数ごとに攻撃力を1000アップする……!」


 ホワイトインク攻撃力2800→5800。


 『攻撃力5800だと……!?』

 「その魔術師の攻撃力は2800――大量の塗料を浴びせればそれで終わりだ! ホワイトインクの攻撃――フルイド・ホワイティッシュ……!」


 3連結されたマスケット銃から、追加の弾倉も使い切るほど膨大な量の白き奔流が放出されて、化合物の魔術師を真っ白に染め上げようと勢いよく迫り来る。


 「防いでみせる――罠カード《神輿奉戴》を発動! ハナビダマジシャンへの攻撃を無効にする!」


 宙に現れた神輿が発する波動が塗料の洪水を押し戻し、濡れることなく攻撃を凌いだ化合物の魔術師が得意げに親指を立てる中、須浦は取り乱すことなく次なる手を打つ。


「この攻撃で塗り残しても、再度修正すれば済むことです! 《リフィル・インク》の効果を受けたホワイトインクは、色を塗り替えたホワイトインクとハナビダマジシャンの分だけ新たに色が補充されます!」


 リフィル・インク 通常罠
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分フィールドの「マスケッチ」モンスター1体を対象に発動できる。
 このターンそのモンスターはフィールドの元々の属性が異なるモンスターの数だ
 け攻撃できる。
 (2):自分の「マスケッチ」モンスターを対象にする相手の効果が発動した場合、
 墓地のこのカードを除外して発動できる。
 その効果を無効にし、フィールドの元々の属性が異なるモンスターの数×1000
 ダメージを相手に与える。


 「よって2回目の攻撃が可能――再びハナビダマジシャンを攻撃! フルイド・ホワイティッシュ――レタッチ……!」

 「だったら――墓地のロッキーを除外して、この戦闘で受ける俺へのダメージを無効にするぜ……!」


 即座に充填された塗料が再び放出され、洪水の如く押し寄せ化合物の魔術師は白の奔流に流されて消滅するも、再び円筒から発射された花火玉の破裂により、飛び散る火花が押し寄せる塗料の勢いを和らげる。

 そして拡散した火花が2人に降りかかった。


 『熱っ……!』 遊陽LP1800→1300。 須浦LP3100→2600。


 「……須浦君の攻撃を耐えきるとは――」

 「だが遊陽君の切り札は……あっけなくやられてしまったぜ」

 「僕はこれでターン終了。このホワイトインクの前には全てが白く染められると、十分理解できたでしょう?」


 全てのモンスターを光に染め上げ、その効果を無力化する白の塗師が健在なまま――再び遊陽にターンが回って来た。


 「……遊陽君の場からモンスターは消え、手札も使い切った。次のドローに全てが掛かっている」


 勝利への渇望と同時に見る者を“賑やか”すデュエルを描こうと――祈りを込め
て遊陽はデッキに手を掛ける。


 「遊陽君……須浦君や俺らを魅せてくれるだろうか?」

 「浪花先輩――あいつならきっとやれます! 部活を体験して、みんなの“好き”に対する情熱に多く触れた今のあいつなら――」


 遊陽を心配する岡と浪花に対して、この数日で遊陽が経験したことを振り返りながら、カズは遊陽へと声援を送る。


 「遊陽! この数日でお前が見たものを思い出せ……!」

 「ここ数日……そうだ。俺が見てきたものは――」


 部活体験でクラスの仲間達と過ごした日々を思い出した遊陽は、それぞれが自らの所属する部で意欲的に活動に打ち込んでいた姿を振り返り、カードをドローすると須浦に語り掛ける。


 「そういう――ことか! 須浦! 世の中とは目や耳だけで触れるもんじゃない。五感全てで世界に触れた時、そこには“賑やか”で豊かなみんなの感情が溢れかえっている」

 「……文字通り、僕の視野が狭いと言いたいのですか?」

 「人の持つ心には、相手と直接相対した時こそ感じるものがある。人との触れ合いは自分の創造力を豊かにする力があるんだ!」


 墓地の《神輿奉戴》を除外して効果を発動すると、化合物の魔術師は遊陽のデッキへと戻って行き、世代を超え受け継がれていく神輿に込められた想いに惹かれ、墓地から新たな世代の稚児が祭りを受け継ぐべく――場を“賑やか”しに再び現れた。


 「俺は今引いた《ワッショイ華景・クラッカー》を召喚。そして発動している《繚乱の一斉散華》の効果発動だ! 俺の華景を含む全てのモンスターを、属性が異なる同族へと受け継がせる!」


 ワッショイ華景・クラッカー
 効果モンスター
 /炎/レベル2/炎/攻撃力500。
 (1):このカードが炎属性モンスターの効果の対象になった場合に発動できる。
 このカードを破壊する。その後相手フィールドの表側表示のカード1枚を選んで
 その効果をターン終了時まで無効にし、相手に500ダメージを与える。
 (2):モンスターが戦闘を行う場合、墓地のこのカードを除外して発動できる。
 その戦闘で自分が受ける戦闘ダメージは0になり、戦闘を行ったダメージステッ
 プ終了時に戦闘したモンスターの攻撃力はターン終了時まで、攻撃したそのモン
 スターの攻撃力分ダウンする。


 「属性――ハッ!? 2体のモンスターは白く染められている……!」

 「華景のように人生は一瞬の煌めき――クラッカーとチゴの意志を乗せ、打ち上がれ!」


 花火玉とともに、祭りの稚児は美術館の空を目指して上昇していくと、空に無数の華景が華を咲かせ、煙が晴れるとともに2体のモンスターが空から降って来た。


 「これで光以外の、炎族と魔法使い族の「氏子」が現れる――」

 「チゴの遺志を継ぎ、現れろ《ワッショイ・諷経風車》! そして夜空に“賑やか”なる華を咲かせよ! ハナビダマジシャン……!」


 諷経風車攻撃力200→0 ハナビダマジシャン攻撃力2500→2000→2300。


 「人生は一瞬の煌めき――」

 「打ち上げの前に――まずは風を測るぜ。諷経風車でホワイトインクを攻撃だ!」

 「馬鹿な――自滅を選ぶのか……?」


 数多の経を詠む声で回る風車が吹き流す風が白の奔流に飲まれる中、菊状に広がる火花が遊陽に降りかかる塗料を弾き、新たな氏子を引き連れて来る。


 「攻撃時に墓地のマムフラワーを除外して効果発動! この戦闘でのダメージを無効にして、攻撃モンスターの元々の攻撃力より低い攻撃力を持つ「氏子」をデッキから呼び寄せる! 墨色に五彩あり! 万物を描く水墨画家――現れろ《ワッショイ・セピアペインター》……!」


 セピアペインター攻撃力100→0


 「成程……白き光に対するは、漆黒の闇ということか」

 「俺は書道を履修しているからな! そしてバトルフェイズにセピアペインターをリリースすることで、墓地の諷経風車は攻撃対象にならない効果を身に付けて蘇るぜ」


 現れたばかりの墨を吐く水墨画家が即座に墓地へと送られ、経を詠む風車が羽根を回しながら蘇生したことに、観戦する一同は疑問を抱いた。


 「……遊陽君、なぜ折角呼び出した墨イカを……?」

 「打ち続けた華景もピークを迎える! 行けハナビダマジシャン! ホワイトインクを攻撃……!」


 先程と同じく火花を右の拳に纏わせて、化合物の魔術師は白き塗師へと攻撃を仕掛ける。


 「魔術師の攻撃力は2300――5800のホワイトインクには返り討ちにされるだけです……!」

 「何色にも染まっていないキャンバス――だが様々な色と交錯し、やがてそれは調和の黒へと塗り替わるぜ! 墓地のセピアペインターを除外して効果発動だ!」


 遊陽の墓地から再び現れたイカの水墨画家は、白い塗師に勢いよく接近すると口から墨を吹きかける。

 黒い墨を被った塗師は充填した色の調和が崩れ、それぞれ混ざり合ったのち真っ黒になった塗料が銃から漏れ出して、館内の床に滴り落ち黒く染める。


 「この戦闘の間――ホワイトインクの攻撃力は宿す属性の数×1000ダウンする。そいつの持つパレットには3色の色――そして元々の色である光と合わせて、4000のダウンとなる!」


 ワッショイ・セピアペインター
 効果モンスター
 /闇/レベル3/水/攻撃力100。
 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
 (1):自分フィールドの「ワッショイ」モンスターが破壊され墓地に送られた場合
 に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
 この効果で特殊召喚したこのカードは破壊されたモンスターと同じ属性になる。
 (2):モンスターが戦闘を行うダメージ計算時に、墓地のこのカードを除外して発
 動できる。
 戦闘を行う相手モンスターの攻撃力をダメージステップ終了時まで、相手フィー
 ルドのモンスターの属性の数×1000ダウンする。


 ホワイトインク攻撃力5800→1800。


 『ハナビダマジシャンの攻撃力が上回った……!』

 「まさか……付与した属性を活用するとは――」

 「これで最後だ! 融かせ――コンパウンド・マジック……!」


 化合物の化学反応による火花を散らせ、魔術師が拳を振り被り塗師を殴打すると、飛び散る火花が衝撃を増幅させて、白い塗師は後方へと吹き飛ばされて消滅する。


 「ぐっ――あぁっ……!」 須浦LP2600→2100。


 「そしてホワイトインクが消滅したことにより、ハナビダマジシャンは効果を取り戻した! 相手モンスターを戦闘で倒したことで、そのレベル×300ダメージを与える!」

 「ホワイトインクのレベルは7だから――与えるダメージは須浦のLPと同じ2100……!」


 倒した白い塗師のレベルと同じ7つの花火玉が出現させると、化合物の魔術師が拳に纏う火花を振り撒いて着火させ、7つの花火玉が次々と打ち上げられていく。


 「……遊陽先輩が見せる一瞬の煌めきは、僕の心にも深く刻まれ、その瞬間は永遠となる――」


 須浦が見上げる中、破裂した花火玉は美術館の上空に火花を色鮮やかに映え、見事な華景を生み出していく。

 降り注ぐ火花を浴びながら、須浦は敗北を悟りつつも、悔いのない戦いだったと満足げに笑みを浮かべるのであった。


 「……フッ――」 須浦LP2100→0。





 「そんなことがあったのですね……」


 帰宅した遊陽はリビングで図書室で借りた本を読み漁り、この世界についての理解を深めるのを日課と化していた遊無に、美術部との出来事を伝える。


 「芸術は《真炎の爆発》だ! なんて言ってたぜ」

 「そうですか。須浦君、最近クラスでも元気無さそうだったので――」

 ――きょうのマスター、おいらやうじがみさまがでなくても、つよいあいてにかったんだってね――。

 「それ程までに強くなったのですね。大変喜ばしいことです」


 ヨリマシとともにに喜ぶ遊無を見て、自分よりデュエルの腕が立つ遊無から認められたと胸を高鳴らせた遊陽は、帰り際にカズから言われた言葉を思い出す。


 ――今のお前なら、あの遊無ちゃんにも勝てるかもな――。

 「あ……あのさ遊無。俺で――俺で良かったら……」


 俺とデュエルしてほしい――その一言が中々言いだせず喉につっかえるも、勝利の勢いに乗じて遊陽は必死に遊無へとデュエルを申し込もうとする。


 「……実は私も、遊陽さんに“付き合って欲しい”と考えていました」


 思わぬ遊無の返事に拍子抜けて、言いかけた言葉を飲み込んだ遊陽は言葉の意味を反芻する間もなく、立ち上がった遊無が目の前に近付いてくるのを呆然と眺める。


 「……!? ゆ――遊無……?」

 「お願いします。遊陽さん、私と一緒に“付き合って”くれませんか?」


 真剣なまなざしの遊無に、思わず視線を逸らした遊陽は恐る恐ると聞き返す。


 「そ……その、俺と“付き合って”欲しいと――」

 「はい。貴方以外には考えられません」

 「……分かった。実は俺――お前に“デュエル”を申し込みたかったんだ!」

 「……!? 私と組んでくれないのですか!?」

 「えっ――」


 どうにも話が嚙み合わないことに遊陽が困惑する中、遊無はD・フェースを操作し、遊陽達が先程までいたカードショップのお知らせを見せる。


 「帰宅中に演劇部の千夜さん達から聞いたのです。私と組んで“付き合って”ください! この“タッグデュエル大会”に……!」





 「遊陽と――」

 「僕、藤次の――」

 『ビナリウス回顧録!』


遊陽「今回のゲストは、俺と激闘を繰り広げた須浦だ。よろしくな!」

須浦「改めて遊陽先輩とのデュエルを振り返るのですね? あれは実に素晴らしい一戦でした。先輩もそう思いませんか?」

遊陽「須浦ってこんなに饒舌だっけ? 今回俺が新たに使用したのは、祭りと言えば花火! ということで、花火を元にした“華景”シリーズだ」

須浦「ロッキーや遊陽先輩の新しい切り札――ハナビダマジシャンで様々な種類の“華景”を対象に取ることで、着火した花火玉が打ち上げられ効果を発動する動きが特徴ですね」

遊陽「対して須浦は手札の融合をコストに、相手モンスターを巻き込んだ融合を可能にするヌーベル・ペインティング・マジックや、相手モンスター全てを光に染め上げ効果を奪い取る切り札――ホワイトインクが強敵だったぜ」

須浦「マーカーにカードの書き換え、ホワイトインクの召喚口上と、ちゃっかり聞き覚えのある単語も入っています」

遊陽「前回共々、学園の仲間が部活に勤しむ姿を見て“自分の好きを大事にする”というのが身に染みたぜ。この戦いで更に強くなった今の俺なら、あの遊無にだって勝てるはず――」

須浦「意気込む遊陽先輩でしたが、刹那からの誘いで彼女とタッグを組み、タッグデュエル大会に出場することに」

遊陽「白熱する大会の中、勝ち上がるカズと塰里が戦う相手は――」


 『次回! 遊戯王Binarius(ビナリウス) -タッグデュエル大会 開幕!-』

須浦「先輩達が戦うのは、騒がしいけど面倒見のいい“あいつ”とその姉か。気に
なるのなら、次も見てみるといいだろう」
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43 21Turn 岡と浪花 花よりたい焼き 321 0 2023-03-21 -
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62 27Turn 魘夢の魔族 287 0 2023-06-10 -
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33 29Turn 聖夜のマノン 308 0 2023-06-25 -
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33 30Turn 狂課金(ミダース) 254 0 2023-07-10 -
57 31Turn 舞い上がる不死鳥の輪舞 359 0 2023-07-14 -
43 32Turn 巻き上げる関捩 308 1 2023-07-17 -
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