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HOME > 遊戯王SS一覧 > 幕間 強化訓練と異界の住人

幕間 強化訓練と異界の住人 作:ジェム貯めナイト

 遊陽達が精霊世界へと旅立つより、時刻は少し遡る。

 深夜となった境階町では、カズがようやくデュエルの特訓を終え、机に広げたカ
ードをそのままに畳に敷いた布団へと寝転がる。


 「一斗、そろそろ就寝しよう」


 カズに特訓を課している豊かな口髭と髪を後ろに撫でつけた男――アルベルトは
、彼の家に泊まり込みで強くなるためのデュエルを教えていた。


 「着実に力を付けている。明日の君は今日より強くなっているはずだ」

 「助かります。師匠の教えを受け強くなれば、必ず遊陽達の力になれる……!」

 「――そう焦らずとも、君達が強くなるまでは、私やモイラが君達を守ると約束
しよう」


 学園を襲った秘号(エンクレーブ)や、その先兵として暗躍した現と再び相対し
ても対抗できるよう、カズや留音は救援として駆け付けたサバスの仲間へと師事し
ていた。

 布団を並べて敷いたカズの部屋で、アルベルトは横になりしばらくして寝息を立
てると、カズも目を閉じて就寝する。

 明日からも特訓は続く。最終目標である師匠への勝利を収めるため、カズや同じ
くサバスの仲間のメイド長――モイラに師事する留音は、明日に備え体を休めるのであった。





 「ハッ……ハッ――」


 アルベルトとモイラによる特訓は、朝の町内3周から始まる。それぞれが課した
通りにカズと留音は起きて早々にランニングへと赴き、途中すれ違いながらも互い
に特訓を完遂することを改めて誓う。

 そして帰宅後の2人は、お互いに農家と漁業を営む家業を手伝い、昼食の後は夏
休み中の課題を進めると、今日は実戦として2人はアルベルトとモイラとのデュエ
ルに挑むのであった。


 「デュエル――私は《ジュラティス・ユースティラノ》を再度召喚……! そし
て一斗を攻撃……!」


 座学も一段落し、実戦で力を身に付けさせようと始まったカズとアルベルトのデ
ュエルでは、終始優勢を保ったアルベルトがカズへと最後の攻撃を行った。


 「私(わたくし)は《レプトメイド・ハスキーゲッコー》に“レプトメイド”を
連携(ユニオン)! ハスキーゲッコーで直接攻撃――」


 一方留音も、特訓を指導するモイラとのデュエルで、彼女が操るモンスターに最
後の攻撃を下されていた。


 「――ふむ、そろそろ休憩としよう」


 日が傾き始めた頃に、双方ともに実戦を終了し、休憩に入った2人はすぐにD・
フェースを起動させ、今日の成果を報告し合う。


 「留音――そっちも頑張ってるか?」

 「ええ。折角の夏休みなのに、殆ど会えないのは寂しいわね――」


 画面の中の留音は、毎日特訓漬けで2人だけの時間が取れないことを憂うも、包
帯を解いた腕に残る微かな傷痕を眺めつつ、続く言葉で改めて特訓に掛けた思いを
吐露する。


 「――それでも、またあの時のようなことは繰り返したくない!」

 「ああ。だから少しでも早く、師匠に追い付き追い越せ! だよな……!」


 互いにこの特訓で強くなるとの決意を確認した2人は、通話を切りそれぞれの師
匠であるアルベルトとモイラの元に向かって行く。

 再び座学の続きから始めた2人は、用意された詰めデュエルの問題やカードの暗
記をこなしていく。

 今度こそは精霊の力持つ遊陽や遊無の力になると、彼らに追い付くことを誓った
2人の特訓は、まだまだ始まったばかりだ。





 その世界は地平線がもやのように薄っすらとぼやけており、ドーム状に丸くカー
ブがかかった空には、西から登った太陽が東の地平線へと沈もうとしていた。

 ここは精霊世界。広大な大森林が広がる最下層――“マースの森”へと重なるよ
うに、森の中心部の大地が隆起し根のように広がった複数の回廊によって、2層の
大地は往来できるようになっていた。


 「キョキョーッ……!」


 夕焼けの中を飛行する背中から黒褐色の翼を生やした若者の翼人は、目の前で一
筋の光が大森林へと落ちていく様を目の当たりにすると、黒縁メガネをクイっと上
げて隆起した大地に建った一軒の家の前へと降りていく。


 「大変だよダーナ!」

 「なんだい。あんた、これから出勤だろ? 扶鷹(ふよう)――」


 家の前で他の精霊達とともに、干していた洗濯物を取り込んでいたエプロンを着
けた小太りの中年の女性は、訝しげな目で宙に滞空する黒縁メガネの翼人を見上げ
た。


 「さっきの見たか!? イーサ様が森の方へ堕ちていったんだよ……!」

 「そりゃあ本当かい!? もし森の魔物にでも襲われたりしたら……!」


 翼人――扶鷹からイーサの危機を知らされたダーナと呼ばれた女性は、血相を変
えて周囲の精霊達を呼び寄せる。


 「あんた達! 集落中の迫狗群(はくぐぐん)に伝えな! イーサが危機だって
……!」


 彼女の一声で精霊達は作業を中断し、慌ただしく非常事態だと知らせるため動き
出すと、ダーナは未だ宙を漂う扶鷹を見上げ、何をしていると再び大声で叫んだ。


 「ボーっとしてないで! あんたも早く“将軍様”に伝えに行きな……!」


 大勢の精霊達と同じく、扶鷹もダーナに背を向けて空へと急上昇したのち、森の
中心部に隆起した大地の上に、更に2層も重なった人口構造物の層を目指して飛ん
でいくのであった。





 「――ええ。彼女と扶鷹の報告に、間違いはないとのことです。精霊長――」


 精霊世界に重なった4層の大地のうち、頂点の層に構えた荘厳な王宮内では、背
中から白い翼を生やし右目にモノクルを掛けたスーツ姿の翼人が、謁見の間で玉座
に座る灰色のローブに身を包んだ老人の精霊の傍らで囁きかけていた。


 『ふむ――イーサより知らせは届いておるか? 御仰(ぎょこう)――』

 「いいえ。自分は元より、この度の訪問を知る者は、未だに名乗り出ておりません……」


 精霊長――アラウンに御仰と呼ばれた翼人の男は、その傍らに控える灰色の精霊
犬が遠吠えをするとともに再び前を向き、謁見の間に繋がる大扉が開くとともに中
へと入って来た2人の獣人の姿を見据える。


 「将軍――クイネ。ただいま到着いたしました」

 「同じく将軍――フンド。到着いたしました。精霊長――」


 頭頂部から犬耳を生やし、胸元に勲章が付いた軍服風の装いをした少年と少女の
獣人の精霊は、尾ていから伸びる犬の尾をピンと立たせたまま精霊長へと軽く敬礼
する。


 『既に伝えられておるだろうが、森へとイーサらしき光が堕ちていくのを見たと
、出勤途中の将軍代理が申しておる』

 「扶鷹が……?」

 「精霊長。早急な捜索隊の編成が必要かと思われます」


 少女の獣人――クイネが訝しげな表情へと変わる中、彼女より小柄な獣人の精霊
――フンドは眉一つ動かさず、冷静に精霊長へとイーサ捜索を具申する。


 『よかろう。クイネは我が迫狗群を率いてマースの森に急行せよ! 王宮内の精
鋭達についても委任する。フンドはここに残り有事に備えよ!』

 『承知いたしました。精霊長――』


 2人の獣人の精霊は精霊長へと一礼し、踵を返して謁見の間から駆け足で飛び出
していった。


 「フンド! 玉水(ぎょくすい)で逐一連絡して……!」

 「分かった。くれぐれも気を付けて、姉ちゃん――」


 駆け足で王宮内を走るクイネの要請に、二つ返事で答えたフンドは通路の分かれ
道で姉と分かれると、将軍に与えられた執務室へと急行する。


 「キョキョッ! フンド将軍――」


 既に執務室で公務を始めていたヨタカの精霊――扶鷹は、部屋へと飛び込んでき
たフンドの姿を見て、思わず黒縁メガネをずり下ろす。


 「姉ちゃんが森に急行する! 玉水の準備を……!」

 「りょ――了解であります! 本官が玉水でサポート致します……!」


 新たに椅子を持ち出してきた扶鷹は、フンドの真横へと着席し、彼とともに執務
机の中央に置かれた水盆へと自らの霊力を注ぎ込む。


 「……ところで、イーサ様からは何も聞かされてないんだよね?」

 「ハッ! 本官へのイーサ様からの知らせは無いであります」


 彼らが玉水と呼ぶ水盆は、霊力を注がれたことで水面を波打たせ、外の光景を映
し出す。


 「おかしい――こんなことは初めてだ」


 注ぎ込む霊力を調整しつつも、フンドは実際に目撃した扶鷹からもイーサ来訪の
知らせが無いことを不可思議に思い、犬耳を折り曲げ尾もうなだれた。

 イーサは何かを隠している。説明のつかないイーサの行動に、フンドは自慢の嗅
覚と知能、洞察力を利かせて1つの結論を導いた。

 やがて玉水が森へと続く回廊を駆け下りる複数の精霊の兵士と、多数の灰色の犬
の精霊――迫狗群を率いて疾走するクイネの姿を映し出すとともに、フンドは水盆
に口を近付けクイネへと指示を送る。


 「姉ちゃん――イーサ様は“何者”かといるかもしれない。発見しても警戒を緩
めないで――」


 マースの森まであと少し――森へと続く回廊を兵士と迫狗群を率いて駆け下りる
クイネは、傍らで走る精霊犬から伝わるフンドの声を聞き応答する。


 ――了解。少しでも怪しい者がいたら、このクイネが成敗してやるわ……!


 イーサともう一人の遊無の力で遊陽達が精霊世界へ到着して早々に、精霊世界は
彼らを歓迎するばかりか警戒を高める結果となってしまった。

 彼ら将軍と迫狗群は臨戦態勢へと入り、遊陽達を早急に発見、連行しようとして
いる。そんな事は露知らず、遊陽達はようやく目を開け、視野に飛び込んできた精
霊世界に感嘆の声を上げたのであった。





 「俺、カズと――」

 「私、留音が送る――」

 『ビナリウス回顧録!』


カズ「師匠達の下で強くなるため、俺と留音はデュエルの特訓に勤しんでいた」

留音「でもまだまだ、師匠達をデュエルで倒すことは叶わないわね」

カズ「ああ……デュアルモンスターが中心の“ジュラティス”や、ユニオンモンス
ターを軸にした“レプトメイド”ともに、今の俺達じゃ太刀打ちできないぜ」

留音「でも次の章には、必ず師匠達に勝って遊陽君や遊無ちゃんの元に駆け付けて
みせる!」

カズ「そんじゃ次回は、精霊世界とやらに到着した遊陽達は、来て早々に3人の精
霊と出くわす。遊陽の使用カード2体に……その侍か武士みたいな精霊はまさか…
…!?」


 『次回! 遊戯王Binarius(ビナリウス) -精霊世界 マースの森で-』


フンド「姉ちゃん。イーサ様は何かを隠している。それは精霊世界の理に背くもの
かもしれない――」

クイネ「何を企んでいようと、クイネ達将軍が率いるこの犬達からは逃れられない
っ! 大人しく連行されなさい……!」
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