第188話：星龍皇覚醒・6　作：光芒

―――“暗黒に染まる空を切り裂く一筋の閃光よ！ 今その姿を白き竜と変え、未来へ繋がる道を切り拓く！ 魂を、命を震わし、世界へ！ 親友の心へ届け！！”―――





―――シンクロ召喚！！―――





―――閃珖竜 スターダスト！！―――





　閃珖の名を享けた白き竜―――閃珖竜 スターダスト。星乃 綾香の元に人間界で目覚めた第3の精霊であり、彼女の右腕として遊希たち、そして人間界の危機を救ってきた精霊であったモンスターだ。素の攻撃力は2500と最上級モンスターにしては決して高くないが、精霊のカードだった過去があるため、未だに高いポテンシャルを秘めているカードである。

「炎竜星-シュンゲイを素材にしたことでスターダストの攻守の値は500ポイントアップするわ！」

閃珖竜 スターダスト ATK2500/DEF2000→ATK3000/DEF2500

「攻撃力が私の星龍皇たちを上回ったか……」
「バトルよ！ 閃珖竜 スターダストで星龍皇 ラスタウィルムを攻撃！“流星閃撃（シューティング・ブラスト）”！」

　遊希のフィールドに存在するのは攻撃力2900のヘスペリウィルム、攻撃力2800のラードゥウィルム、攻撃力2500のラスタウィルムの3体である。その中綾香が真っ先に狙ったのは一番攻撃力の低いラスタウィルムであった。攻撃力の差が最も大きいため、ラスタウィルムを攻撃するのはセオリー通りと言えばセオリー通りなのだが、どれも攻撃力3000に上昇したスターダストで撃破することならできる。
　ただ、ラスタウィルムの守備力はスターダストの攻撃力と同じ3000であり、仮に他の2体を破壊してもラスタウィルムを残せば、ラスタウィルムを守備表示に変えられてしまうと今の綾香では突破することができなくなる。そうして1ターンでも時間を稼がれればすぐに逆転の一手を打ってくるのが遊希というデュエリストだ。そのため1ターンであっても彼女に息を整える隙を与えたくなかったのだ。

閃珖竜 スターダスト ATK3000 VS 星龍皇 ラスタウィルム ATK2500

遊希 LP5800→5300

「ライフもそろそろ心許なくなってきたわね」
「でもまだ5300もある。あんたなら2000程度のビハインドなんてもろともしないでしょ？ これまでもこれからも」
「ええ、少なくともこのまま終わる気はないわ。せっかくの綾香とのデュエルなんだし」
「あら、私とのデュエルなんていつでもできるじゃない」
「そうだけど……いつだって特別だよ。綾香とのデュエルは」

　穏やかな口調ながら、何処か儚げな表情を浮かべる遊希。憂いを帯びたその表情はデュエル中ということもあって普段以上に格別に映えて見えていた。

「……バトルフェイズを終えてメインフェイズ2に移るわ。カードを1枚セットしてターンエンドよ」


綾香　LP7000　手札：1
デッキ：31　モンスター：1（閃珖竜 スターダスト）魔法・罠：2　墓地：9　除外：0
遊希　LP5300　手札：3
デッキ：33　モンスター：2（真星龍皇 ヘスペリウィルム、真星龍皇 ラードゥウィルム）魔法・罠：2（星龍皇翔破）墓地：7　除外：2


☆TURN06


「私のターン、ドローよ。私はフィールドの真星龍皇 ラードゥウィルムの効果を発動。ゲームから除外されているエルタウィルムを墓地に戻し、フィールドに存在するカード1枚を破壊するわ」
「スターダストは1ターンに1度の破壊耐性を任意のカードに与えることができるわ。それで私のカードを破壊しようにも、その効果は無駄撃ちじゃないのかしら？」

　ラードゥウィルムの効果で破壊対象を選択することにチェーンして閃珖竜 スターダストの効果を発動すれば、ラードゥウィルムの効果から破壊対象としたカードを守ることができる。
　この効果は1度しか使えず、かつ破壊から守れるのは1回だけではあるが、シュンゲイの効果でスターダストのステータスが強化されている以上、強化カードを使われない限り2体の真星龍皇にスターダストが戦闘で破壊されることはない。そのためこの効果を発動する意図が綾香にはわからなかった。

「……勘違いしないで」
「えっ？」
「誰が綾香のカードを破壊するって言った？ 私が破壊するのは……ラードゥウィルム自身よ！！」

　ラードゥウィルムは左右2つの首で自分の身体に食らいついた。中央の首が断末魔の叫びをあげるのも厭わず、2つの首は自身の身体を食らい尽くし、やがてラードゥウィルムは自壊する形で消滅する。

「なんでラードゥウィルム自身を……」
「破壊されたラードゥウィルムの効果を発動！ 墓地の星龍皇モンスター1体を自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚するわ！」
「っ、その手が……」
「蘇りなさい、星龍皇 エルタウィルム！！ そして特殊召喚に成功したエルタウィルムの効果を発動！ このターンの終了時までフィールドの星龍皇の数×600ポイント自分フィールド上の星龍皇モンスターの攻撃力をアップさせる！」

星龍皇 エルタウィルム ATK3000→ATK4200
真星龍皇 ヘスペリウィルム ATK2900→ATK4100

「2体の攻撃力がスターダストを上回った……」
「バトルよ！ 真星龍皇 ヘスペリウィルムで閃珖竜 スターダストを攻撃！ ヘスペリス・ブレイドダンス！！」

真星龍皇 ヘスペリウィルム ATK4100 VS 閃珖竜 スターダスト ATK3000

　ヘスペリウィルムが戦闘で相手モンスターを破壊して墓地に送った場合、ドロー効果もしくはデッキから他の星龍皇モンスター1体を特殊召喚する効果のいずれか1つを発動することができる。綾香がここでスターダストの効果を発動せずにスターダストを戦闘破壊した場合、攻撃力の上昇したエルタウィルムとデッキから特殊召喚した星龍皇の直接攻撃で綾香のライフを限りなく削ることができるのだ。
　綾香は千夏とのデュエルでヘスペリウィルムの強さは十分認識しているため、確実にここでスターダストの効果を発動するだろう。しかし、それも遊希の計算通りのことである。仮にスターダストの効果でヘスペリウィルムによる戦闘破壊を防いだとしても、次のエルタウィルムによって戦闘破壊してしまえばスターダストの元々の攻撃力分のバーンダメージを与えることができるため、どちらにしても綾香にとっては痛手となり、遊希の勝利がぐっと近づくのだ。

「ねえ、遊希。デュエリストが絶対にしちゃいけないことってわかるよね？」
「……どうしたの、いきなり」
「デュエリストがしちゃいけないこと。それは相手にまだ残された手があるのに勝ちを確信しちゃうことだよ」

　この攻撃によってデュエルを決定付けると思っていた遊希であるが、彼女は大事なことを見落としていた。それは綾香のフィールドにセットされたカードの存在である。

「リバースカードオープン！ 閃珖竜 スターダストを対象に速攻魔法、イージーチューニングを発動！！」
「イージーチューニング！？」
「墓地のチューナーモンスター1体をゲームから除外し、対象のモンスター1体にそのチューナーモンスターの攻撃力を加えるわ！ 除外するチューナーモンスターはカメンレオン！！」

閃珖竜 スターダスト ATK3000→ATK4600

「攻撃力……4600……」
「迎撃してスターダスト！ 流星閃撃！！」

真星龍皇 ヘスペリウィルム ATK4100 VS 閃珖竜 スターダスト ATK4600

遊希 LP5300→4800

「っ……私としたことが……」
（遊希……）

　普段の遊希ならば絶対に犯さない初歩的なミス。詩織、千夏、エヴァと連戦を重ねてきたことによる精神と身体の疲労が皮肉にも遊希の集中力と判断力を鈍らせることとなってしまったのだ。

「ごめんね。でも、これもデュエルだから……相手のミスには徹底的に付け込ませてもらうよ」
「バトルフェイズを終了する。メインフェイズ2に星龍皇翔破の効果を発動し、墓地のラスタウィルムを手札に戻すわ。これでターンエンドよ」
「ターン終了時にエルタウィルムの効果は切れて攻撃力は元に戻る。そうよね？」
「……ええ」

星龍皇 エルタウィルム ATK4200→3000


綾香　LP7000　手札：1
デッキ：31　モンスター：1（閃珖竜 スターダスト）魔法・罠：1　墓地：9　除外：1
遊希　LP4800　手札：5
デッキ：32　モンスター：1（星龍皇 エルタウィルム）魔法・罠：2（星龍皇翔破）墓地：7　除外：1


☆TURN07


「私のターン、ドロー！ 私は手札から魔法カード、調律を発動するわ」

　綾香は調律の効果でデッキからジャンク・シンクロンをサーチし、デッキトップ1枚を墓地に送る。墓地に送ったカードを確認した綾香はこのデュエルの流れが確実に自分に来ていることを悟った。しかし、前のターンでまだ何も決まっていないのに勝利を確信することは足元をすくわれるということを遊希に言ったばかりであるため、ここで気を緩めないように必死に自分を律する。

「そして手札からチューナーモンスター、ジャンク・シンクロンを召喚。墓地のレベル2以下のモンスター、水竜星-ビシキを守備表示で特殊召喚するわ！」
「レベルの合計は……5」
「私はレベル2の水竜星-ビシキにレベル3のチューナーモンスター、ジャンク・シンクロンをチューニング！“星に宿りし自然の力よ、今1つとなりて更なる進化の源となれ！！” シンクロ召喚！ 星の源より光来せよ、シンクロチューナー！ 源竜星-ボウテンコウ！」

　遊希が拉致されている間、綾香のデッキの新しい戦力となったモンスターがこのシンクロモンスターかつチューナーモンスターである源竜星-ボウテンコウだ。人間界に帰還してから今の今まで遊希は綾香とデュエルをしてこなかったため、このモンスターと直接相対するのは正気の状態では初めてのこととなる。

源竜星-ボウテンコウ DEF2800

「特殊召喚に成功したボウテンコウの効果を発動！ 自分のデッキから竜星カード1枚を手札に加えるわ。私が手札に加えるのは竜星の九支よ」
「竜星の九支……確かカウンター罠だったかしら」
「さあ、どうだったかしら？ ちなみにボウテンコウはビシキをシンクロ素材にしているから罠カードの効果では破壊されないわ。バトル！ 閃珖竜 スターダストで星龍皇 エルタウィルムを攻撃！ 流星閃撃！！」

閃珖竜 スターダスト ATK4600 VS 星龍皇 エルタウィルム ATK3000

遊希 LP4800→3200

「エルタウィルムまで……」
（流れは確実にこっちにある。だけど、遊希がこのまま終わるなんて思えない）
「私はカードを1枚セット。これでターンエンドよ」


綾香　LP7000　手札：1
デッキ：27　モンスター：2（閃珖竜 スターダスト、源竜星-ボウテンコウ）魔法・罠：2　墓地：12　除外：1
遊希　LP3200　手札：5
デッキ：32　モンスター：0　魔法・罠：2（星龍皇翔破）墓地：8　除外：1


☆TURN08


（今セットしたカードはたぶん、竜星の九支。カウンター罠カードだったから早めに消費させたい）
「私のターン、ドロー！ 私は手札のモンスター1体を墓地に送り、魔法カード、ワン・フォー・ワンを発動するわ！」

　遊希の狙いは魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を阻害する竜星の九支を使わせることだった。カウンター罠はスペルスピード3であり、カウンター罠の発動にチェーンできるのはスペルスピードの関係上、同じカウンター罠だけなのである。そのため、カウンター罠が相手の手中にあるのとないのではこちらの取れる動きも大きく変わってくるのだ。

「ワン・フォー・ワンにチェーンするカードはないわ」
「だったら私はデッキからレベル1の星龍皇 ウィルムサーフィを特殊召喚する。そして自分フィールド上に他のモンスターが存在しないことでウィルムサーフィの効果を発動！ このカードをゲームから除外し、デッキから星龍皇モンスター2体を特殊召喚するわ！」
「じゃあその効果にチェーンしてリバースカードを発動！ カウンター罠、竜星の九支！ 自分フィールド上に竜星モンスターが存在する時、魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にしてデッキに戻すわ！」


チェーン2（綾香）：竜星の九支→星龍皇 ウィルムサーフィ
チェーン1（遊希）：星龍皇 ウィルムサーフィ


「チェーン2の竜星の九支の効果でチェーン1のウィルムサーフィの効果の発動は無効。デッキに戻させてもらうわ。ちなみに竜星の九支は発動後、フィールドの竜星カード1枚を選択して破壊する。対象は源竜星-ボウテンコウよ」
「でもボウテンコウはビシキを素材にしているから罠カードである竜星の九支では破壊されない」
「そう。だから実質ノーコストのカウンター罠、ってことになるわね」
「効果が無効化されてしまったから、ウィルムサーフィの特殊召喚もドロー効果も発動できない。でも、これで安心して他のカードの効果を発動できる！ 私は墓地の星龍皇 ウィルムゼクンドと星龍皇 ウィルムヴァインをゲームから除外し、手札から星龍皇 ラスタウィルムを特殊召喚するわ！ そして特殊召喚に成功したラスタウィルムと星龍皇によってゲームから除外されたウィルムゼクンドとウィルムヴァインの効果が発動！」

　ラスタウィルムの効果は相手フィールドのカードの効果を無効化し、さらにこのターンのカードの効果の発動を一切許さない効果である。ラスタウィルムの効果をそのまま通せばスターダスト自身の効果はもちろん、イージーチューニングによるスターダストの強化効果は失われるため、スターダストの優位性が失われてしまう恐れがあった。

「だったらラスタウィルムの効果にチェーンしてスターダストの効果を発動するわ！ 自身を対象に1度の破壊耐性を与えるわ！」


チェーン4（綾香）：閃珖竜 スターダスト
チェーン3（遊希）：星龍皇 ラスタウィルム
チェーン2（遊希）：星龍皇 ウィルムゼクンド
チェーン1（遊希）：星龍皇 ウィルムヴァイン


「これでスターダストは1ターンに1度だけ破壊されなくなるわ！」
「チェーン3のラスタウィルムの効果で相手フィールドのカードの効果は全て無効化される。でも、一度発動したスターダストの効果は適用されるけどね」

閃珖竜 スターダスト ATK4600→ATK2500

「でも無駄よ。チェーン2のウィルムゼクンドの効果で相手フィールドのモンスター1体を裏側守備表示に変更する！ 対象はスターダストよ！」
「……裏側表示になることでスターダストの効果は適用されなくなる」
「チェーン1のウィルムヴァインの効果でデッキから星龍皇魔法・罠カード1枚を手札に加える。私が手札に加えるのはカウンター罠の“星龍皇雷（ライトニング・ドラグリステル）”よ」

　お返しとばかりにカウンター罠カードをサーチする遊希。綾香の危惧していた通り、わずか1ターンで戦況は逆転してしまった。

「バトルよ！ 星龍皇 ラスタウィルムで裏守備モンスターを攻撃！“ラスタバン・スーパーセル”！！」

星龍皇 ラスタウィルム ATK2500 VS 閃珖竜 スターダスト DEF2000

　煌めく風の刃がスターダストの身体を細切れにする。スターダストはまさにその名が示す通り、星屑となって消えていった。

「スターダスト！！」
「バトルフェイズを終了するわ。私はカードを1枚セットしてターンエンドよ」
「じゃあエンドフェイズにリバースカードを発動させてもらうわ！ 永続罠、竜魂の幻泉！ 墓地のモンスターを種族を幻竜族にした上で表側守備表示で特殊召喚するわ！」
「させない！ 竜魂の幻泉にフィールドのラスタウィルムの効果を発動！ このカードをゲームから除外し、魔法・罠・効果モンスターの効果の発動を無効にするわ！」


チェーン2（遊希）：星龍皇 ラスタウィルム→竜魂の幻泉
チェーン1（綾香）：竜魂の幻泉


「ラスタウィルムの効果で竜魂の幻泉の発動を無効にするわ。そしてゲームから除外されているウィルムゼクンドを特殊召喚する。特殊召喚に成功したウィルムゼクンドの効果でデッキから星龍皇 ウィルムダシクを手札に加えるわ。そしてターン終了時にラスタウィルムはフィールドに、ウィルムゼクンドはデッキにそれぞれ戻るわ」


綾香　LP7000　手札：1
デッキ：27　モンスター：1（源竜星-ボウテンコウ）魔法・罠：1（竜魂の幻泉）墓地：14　除外：1
遊希　LP3200　手札：4
デッキ：31　モンスター：1（星龍皇 ラスタウィルム）魔法・罠：3（星龍皇翔破）墓地：8　除外：2


☆TURN09


「私のターン、ドロー！」
（遊希のフィールドのセットカード2枚のうち1枚はカウンター罠……さっきの遊希じゃないけど、早めに使わせなきゃいけない。でもボウテンコウの効果は無効化されているから……）
「私は手札から魔法カード、貪欲な壺を発動。墓地のモンスター5体をデッキに戻して2枚ドローするわ。チェーンはある？」
「どうしようかしら……そうね、チェーンはないわ」
「……じゃあ効果処理に移るね。私は墓地のスターダスト、ジャンク・シンクロン2体、シュンゲイ、ビシキの5体をデッキに戻して2枚ドロー！ 手札から地竜星-ヘイカンを召喚！ そしてレベル3の地竜星-ヘイカンにレベル5のチューナーモンスター、源竜星-ボウテンコウをチューニング！“鉄塊に宿るは命の鼓動。鋼鉄の翼と意志をもって曇天の空に舞い上がれ！！”シンクロ召喚！ 咆哮せよ、スクラップ・ドラゴン！！」
「スクラップ・ドラゴン……そのモンスターは見過ごせないわ！ リバースカードオープン！ カウンター罠、星龍皇雷を発動！」


※星龍皇雷（ライトニング・ドラグリステル、オリジナルカード)
カウンター罠
(1):自分フィールド上に「星龍皇」と名のついたモンスターが表側表示で存在する場合に以下の効果から1つを選択して発動できる。
●自分または相手がモンスターの召喚・特殊召喚・反転召喚をする際に発動できる。それを無効にして破壊する。
●魔法・罠カードが発動した時、その発動を無効にして破壊する。
(2):自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外して発動できる。自分フィールド上に「星龍皇トークン」（幻竜族・闇・星1・攻0/守0）1体を表側守備表示で特殊召喚する。この効果は相手ターンでも発動できる。
「星龍皇雷」は1ターンに1枚までしか発動できず、「星龍皇雷」の(2)の効果はこのカードが墓地に送られたターンには発動できない。


「モンスターの召喚・特殊召喚・反転召喚、魔法・罠カードの発動を無効にして破壊するわ！ スクラップ・ドラゴンのシンクロ召喚を無効にして破壊する！」
「墓地に送られた源竜星-ボウテンコウの効果を発動！ デッキから竜星モンスター1体を特殊召喚するわ！」
「その効果にチェーンしてラスタウィルムの効果を発動！」


チェーン2（遊希）：星龍皇 ラスタウィルム→源竜星-ボウテンコウ
チェーン1（綾香）：源竜星-ボウテンコウ


「ラスタウィルムを除外してボウテンコウの効果を無効にするわ。そして除外されているウィルムヴァインを特殊召喚。ちなみに除外されている星龍皇モンスターはもういないからウィルムヴァインの効果は発動しないけど」
「……ラスタウィルムは攻撃力こそ低めだけど、その効果はとても鬱陶しいわね……」
「まあ綾香の【竜星】には刺さっている効果かもしれないね」
「私はカードを1枚セットしてターンエンドよ」


綾香　LP7000　手札：1
デッキ：28　モンスター：0　魔法・罠：2（竜魂の幻泉）墓地：13　除外：1
遊希　LP3200　手札：4
デッキ：30　モンスター：1（星龍皇 ラスタウィルム）魔法・罠：2（星龍皇翔破）墓地：9　除外：1


☆TURN10


「私のターン、ドローよ。私のフィールドに星龍皇モンスターが存在する時、手札から星龍皇 ウィルムダシクは特殊召喚できるわ」

星龍皇 ウィルムダシク ATK2400/DEF2800→ATK1200/DEF1400

「レベル8のモンスターが2体……」
「ラスタウィルムの効果は今は発動できない。それなら攻めに転じさせてもらうわ！ 私は星龍皇翔破の効果を発動し、墓地のドラコニスウィルムを手札に……まあ戻せないからエクストラデッキに戻す。そして私はレベル8の星龍皇 ラスタウィルムと星龍皇 ウィルムダシクでオーバーレイ！ 2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築！ エクシーズ召喚！！ もう一度我が元に舞い降りよ！ 真星龍皇 ドラコニスウィルム！！」

　遊希のフィールドには彼女の最も得意とする戦法であるエクシーズ召喚の力を宿した龍皇であり、彼女のデッキにおいて守りの要ともいえる真星龍皇 ドラコニスウィルムが再臨する。しかし、守りの要でありつつドラコニスウィルムの攻撃力は3000。綾香のフィールドにモンスターはいない。綾香はまたしてもここで正念場を迎えつつあった。