第177話：次元を越える想い　作：光芒

　



「？……なんだ、今の感覚は……」

　吹き荒れる豪雨と風が窓ガラスをガタガタと揺らす中、竜司はアカデミアの校長室で政府や気象庁と連絡を取りながら生徒たちに避難指示を出していた。
　数十分で吹き荒れる豪雨が快晴へと変わり、その数十分後に快晴が積雪へと変わる。まさに自然の原理を無視したかのような異常気象が野外で巻き起こる中、竜司やミハエルら教職員たちは生徒の安全を第一に考え動いていたのである。
　そんな中、パソコンのEメールで気象庁とやり取りをしていた竜司の頭にほんの一瞬だけ刺すような痛みが走ったのだ。ずっとパソコンの画面を見ていたために起きた脳と目の疲労なのかどうかはわからないが、その一瞬の間に彼の頭はある光景を記憶していた。

「……今のは、遊希君？」

　竜司が見た光景。それは遊希が誰かとデュエルをしている光景であり、銀河眼の光子竜に似たモンスターが巨大なモンスターの攻撃で破壊されるその瞬間だったのだ。
　そんな時、校長室のドアがノックされる。ドアの外からはミハエルが入室を求めている声が聞こえた。竜司はどうぞ、と言うとミハエル、そしてアカデミアの地下で次元転送装置を管理していたジェームズが校長室へと入ってくる。

「ミハエル教頭、ジェームズ君……」
「校長……不可解なことが起きたのですが」
「不可解なこと？」
「……ほんの一瞬ですけど、見えたんです。天都 遊希さんの姿が……」
「君たちもか！？」
「君たちも……校長、あなたも！？」

　竜司は何も言わず頷いた。先の光景を見たのは自分だけではなかった。このことから益々先ほど見た光景の真実味が増してくる。

（……遊希君……）










＊











「……遊希……？ うそでしょ……？ そんな……」

　遊希と光子竜の絆の象徴であり、遊希に残された最後の希望―――銀河眼の光子竜皇がホープ・ザ・ゴッドの攻撃によって破壊されてしまった。光子竜皇の効果を得たホープ・ザ・ゴッドと効果を発動した光子竜皇の攻撃力の差は1000。最も銀河眼の光子竜をオーバーレイユニットにしていなかったため、戦闘ダメージは半分になるのだが、それでも遊希の残りライフは500であり、光子竜皇が破壊された時点で遊希の残りライフは0になる。
　その事実を目の当たりにしてしまった綾香はその場に崩れ落ちた。遊希がこのデュエルに敗れるということは、同時に人間世界の滅亡が確定したも同然のことなのだから。

「嫌……そんなの……」
―――待って、綾香。まだ……終わってない。
「えっ……？」
「……やはり、手は残していたか」

　しかし、精霊皇は自分がまだ勝ったとは思っていなかった。その証拠に遊希は未だその場に立ち続けていた。

遊希 LP1000

「遊希……！？ あのカードは……不滅の銀河！！」

　遊希が最初のターンからずっとセットしていたのは永続罠、不滅の銀河。自分のライフポイントが0になった時、デッキからギャラクシーと名のついたカード1枚を墓地に送ることでライフを1000回復できるカードだ。
　基本デュエルが強く、あまり劣勢になることのない遊希であるが、絶対に負けられないデュエルに臨む時。彼女は普段サイドデッキに控えさせているこのカードをメインデッキに入れる。かつて綾香が遊望に操られて遊希とデュエルをしたあの時のように。

「……なるほど。ライフが0になるたびにそのカードでライフを回復できるのか……その執念、見事だ」
「……」
「……？ 天都 遊希？」

　精霊皇が話しかけても遊希は答えなかった。よく見ると遊希の目に光はなく、ホープ・ザ・ゴッドの一撃による外的ショック、そして自分の切り札である光子竜皇を撃破されたことによる精神的ショックを受け、立ったまま気を失ってしまっていた。
　ただし、今まさに彼女がその場に立ち続けられているのは絶対にこのデュエルに負けたくない、という執念が為すものであった。しかし、仮にホープ・ザ・ゴッドの攻撃を不滅の銀河の効果と執念で乗り切ったとしても、精霊皇のフィールドにはまだ4体のモンスターが残っている。
　
「……まだ私のバトルフェイズは終わっていない」

　精霊皇の号令のもと、まだ攻撃していない4体の希望皇が攻撃態勢に移る。その行動から精霊皇の意図を察した綾香は思わず声を荒げた。

「待って……待ってよ！！ 遊希はもう、気を失っているのよ！！ これ以上デュエルしたら遊希は……！！」
「……No.93 希望皇ホープ・カイザーでダイレクトアタック！ “カイザー・ホープ・スラッシュ”！！」

No.93 希望皇ホープ・カイザー ATK2500

「やめ……やめてええぇぇ！！」

遊希 LP1000→0

　帝王の名を持つ希望皇の一撃で再度遊希のライフポイントが0になるが、遊希は不滅の銀河の効果でデッキからギャラクシーカードを墓地に送り、ライフを回復する。気を失いながらも、不滅の銀河の効果を発動し、この攻撃を耐えた。ただ、それは彼女にとって命の灯が消し飛びかねないような衝撃を受け続けることをの証明でもあった。

遊希 LP0→1000

「……まだ抗うか。No.99 希望皇龍ホープ・ドラグーンでダイレクトアタック！ “ホープ・バースト・フレイム”！！」

No.99 希望皇龍ホープ・ドラグーン ATK4000

遊希 LP1000→0

遊希 LP0→1000

「っ……！ No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープでダイレクトアタック！“ホープ・ブレード・ビヨンド・ザ・スラッシュ”！！」

遊希 LP1000→0

　何もできない、その無常感が綾香を襲う。

「あっ……あああ……！！」

遊希 LP0→1000

「なっ……どうしてそうまでして立ち上がる……！？ CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリーでダイレクトアタック！ “ホープ・ブレード・ヴィクトリー・スラッシュ”！！」
「駄目……駄目えええぇぇぇ！！―――」

　綾香の悲痛な叫びが木霊する。それでも勝利を冠する皇の剣は遊希の身体を容赦なく切り裂いた。

遊希 LP1000→0

遊希 LP0→1000

「……なんということか。ここまでする必要など無かった……何故だ、何故そこまで……」
―――私が……彼女の意志に応えたのです……
「……時空竜！？」

　遊希の身体の後ろに影となってぼんやりと現れたのは時空竜だった。光子竜皇が破壊されてしまったことで遊希と光子竜の波動が消える中、その時表に出てきていなかった彼はなんとか意識を保っていられたのである。
　それでも精霊皇との激しいデュエルで傷ついた時空竜は自分に残された最後の力を振り絞ることで、気を失っていた遊希の身体を動かすことができた。

―――……遊望、すまない……君の願いを……叶えることが……でき……

　最後の力を使い切った時空竜の姿が消えていく。それと同時に遊希の身体も糸が切れた操り人形のように力なく倒れた。

「……バトルフェイズを終了。私は……これで……ターンエンドだ」


遊希 LP1000　手札：4枚　
デッキ：17　モンスター：0　魔法・罠：2（不滅の銀河）　墓地：31　除外：3
ホープ LP2100　手札：0枚
デッキ：15　モンスター：5（GNo.39 希望皇神ホープ・ザ・ゴッド ORU:3、No.93 希望皇ホープ・カイザー ORU:2、No.99 希望皇龍ホープ・ドラグーン ORU:2、No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ ORU:0、CNo.39 希望皇ホープレイ・ヴィクトリー ORU:0）魔法・罠：1　墓地：22　除外：5


☆TURN14


　精霊皇の猛攻を不滅の銀河の効果で耐え凌いだ遊希。しかし、数値上では無事でも彼女の身体は違う。時空竜の力も消え去った今、遊希に起き上がるだけの力は当然残されていなかった。

「……全ての力を使い果たしたか。ドローができない以上、デュエルはもう続けられない」
「……待って」

　精霊皇と遊希の間に綾香が割って入った。精霊皇を遊希に近づけさせまいと1人両手を広げる。

「星乃 綾香か、どうした？」
「遊希がここまでしたのに……こんな形でデュエルは終わらせられない！！」
「……ならば貴様がデュエルを引き継ぐか？ 最も、この状態をひっくり返すことができるだけの力が……貴様にあるのであればな」
「っ……！」

　綾香は両手を力強く握りしめる。悔しいが、精霊皇の言うことは最もであり仮に綾香が遊望の時の遊希と同じようにデュエルを引き継いだとしても勝てる保証などどこにもなかった。

「……ここまで激しいものになるとは思わなかったが……デュエルはこれで……ん？」

　綾香を避けて遊希に近づこうとした精霊皇だったが、彼は倒れた遊希の身体がうっすらと光のようなものに包まれているのに気が付いた。まるでこれ以上遊希に触れさせはしない、と言わんばかりのオーラのようなものが彼女を守っていたのだ。










＊












「あれ……私……」

　遊希は光の中で目覚めた。自分は今まで何をしていたのか、記憶が朧げな中、遊希は精霊皇とのデュエルのことを思い出した。

「っ、デュエルは……！ デュエルはまだ終わっていない……！！」

　今自分がどのような立場に置かれているのか気づいた遊希であったが、どれだけ念じても身体が言うことを聞かない。闘志の炎こそ消えていなかったのだが、もはやその意志を貫くだけの力が身体に残っていなかったのだ。

「なんで……なんで、立てないの……？ 立ってよ、立ってよ、私の身体……」

　涙を流しながら自分の脚を叩き続ける遊希。それでも顔をあげて手を動かすだけで精一杯であり、上半身を起こすこともできなかった。しばらくそうしている間に彼女はそのまま大地に顔を突っ伏す。

「光子竜……？ 時空竜……？ どこにいるの……助けて！ 助けてよ……！！ みんながいないと……私……！！」

　精霊皇を倒し、人間界を救う―――そう大見得を切った遊希であったが、精霊皇の前にこのまま膝を屈するしかないのか。自分はなんと無力な存在だったのか。考えれば考えるほど彼女の頭の中にはネガティブな感情が水中から生じる泡のように浮かんでくる。


「みんな……ごめん……私……私……駄目だった……守れなかった……」


　絶望し、全てを諦めかけたその時だった。










―――遊希君！！―――










「えっ……今の声は……校長先生……？ なんで……？」

　遊希の脳裏に響いたのは人間界にいるはずの竜司の声であった。子どもの時からプロの舞台で緊張する彼女を優しく励ましてくれた暖かい声。どんなに辛い時であっても、自ら優しいその手を遠ざけた時も、決して忘れなかった人の声。

―――遊希君、私の声が聞こえるかい？

「校長先生、どうして……」

―――私もわからない。だが、君の姿が見えたんだ。必死に戦う君の姿が……

「なんで……なんで……？」

―――やれやれ。無様だな、天都 遊希。それでも私を超えた天才デュエリストか？

「……教頭先生！？」

―――僕もいるよ。

「ジェームズ……」

―――遊希さん、君が何故戦っているのか、今何と戦っているのかまでは僕たちには
わからない。でも僕たちは君を応援しているよ。

「僕たち……？」



　遊希は目を閉じて耳を凝らしてみる。すると竜司、ミハエル、ジェームズ以外の人々の声が少しずつではあるが聞こえるようになってきた。



―――遊希、いつかお前がまたプロの世界に戻ったら俺とデュエルしような！ 俺の真紅眼たちもお前とデュエルしたがってるぜ！

―――お父様共々、あなたを応援していますわ！！



「雄一郎さん……藤堂先輩……」



―――天都、お前は俺たちアカデミア1年の誇りだ！ だから……そう簡単にあきらめるな！

―――遊希ちゃん！ アイドルに大事なのは最後まで笑顔でステージに立ち続けること！ そうすればみんなが笑顔になるんだよ！！

―――……魔導書廊エトワールの正位置。それが指し示すのは“希望”だよ。負けないで、天都さん。

―――遊希ちゃん、あなたは一人じゃないわ。いつだって私たち仲間がついているわ。それを忘れないで。私はオカマだけど。



「……火野君、神内先輩、占部先輩、花沢先輩……」



―――遊希さん、私……今度プロデュエリストの試験を受けたいと思っています。いつになるかはわからないけど、あなたのようなプロデュエリストになります！ だから……絶対に帰って来て下さい！

―――あ、あの……えっと……ゆ、遊希おねえちゃん、がんばってー！！

―――遊希さん、今度みんなであたしの地元に旅行に来てくれるって約束したよね？ 今のあたしには、何もできないけど……遊希さんが勝ってくれるって信じてるよ！

―――遊希さん！ ボクたちに出会いを、強い絆を結んでくれた遊希さんなら必ず勝てます！！

―――僕も凛ちゃんと同じです。遊希さんには、成長した僕を見てほしいんです！ だから……負けないで！

―――国は違いますが、フランスから遊希さんのことを応援しています。どうか、この豊かな自然と大地と……みんなのことを守ってください！！



「……結衣、歩美ちゃん、美夏、凛、心くん、ベアトリス……」



―――遊希さん、あの時は負けてしまったけど今度はそうはいかない。また待ってるよ、ライディングデュエルの世界で！



「黒田さん……」



―――遊希ちゃん。私じゃ、本当のお母さんの代わりにはなれないけど……私にとってあなたは娘のようなもの。今度美味しいご飯を作ってあげるから……帰って来てね。



「綾瀬さん……みんなの声が聞こえる……みんなの声が……力をくれる！！」

　遊希は苦痛に顔を歪めながらも、痛みと身体に走る倦怠感を堪えながらゆっくりと立ち上がった。






―――遊希。
―――遊希。






「えっ……」

　最後に遊希の脳裏に響いたのは2人の男女の声。もう二度と聞けないと思っていた2人の声。


―――遊希、今まで俺たちのせいで辛い思いをさせてしまって済まなかったね。
―――私たち、ずっと謝りたかったの。毎日泣いていたあなたを助けてあげられなくて……ごめんね、遊希。


「あっ……あああ……」


―――遊希、お前は俺たちの自慢の娘だ。だから、いつまでも俺たちのことで悔やむ必要はないぞ。
―――ええ。あなたは……何も悪くない。だから、あなたはあなたの人生を生きて。他の誰のものでもない、あなたの人生を……


　声の主の姿を探し、周囲を見回す遊希。すると、そんな彼女の身体を後ろから誰かがそっと抱きしめた。優しく柔らかいその温もりの主が遊希の身体をゆっくりと包み込む。次元の壁を越えて、皆の想いを伝えたのは消滅したことで人知を超えた存在へと変化した遊希にとって最愛の人間の力であった。



―――どうやら……私はまだ眠れないようです。お父様とお母様に追い返されてしまいました。来るのが早すぎるって。



　優しくも愛らしいその声。一度消滅してしまったその声の主だったが、彼女の魂は結局あの世へと行くことはなかった。自分でも理由はわからないが、戻ってきたその魂は人間界を、精霊界を、そしてあの世をも繋いでいた。



「……っ！！」
―――皆さんのあなたに対する想いを伝える。それが私のすべきこと……あんな別れ方をしたというのにこんなに早く戻ってきてしまいました。ムード……台無しですよね……？
「そんなこと……ない！！」


　遊希は思い切り首を振りそれを否定する。そして後ろを振り向くと、遊希を抱きしめていたその者と向かい合っては互いに強く抱きしめあった。もう二度と、二度と離してなるものか、という想いを込めて。



―――ただいま戻りました……お姉様……



「―――おかえり、遊望」











＊











「なんだと……まさか……」
「遊希！！」

　遊希を包んでいた光が取り払われると同時に、遊希はゆっくりと立ち上がった。かつて消滅したはずの遊望を精霊として横に伴って。

「……待たせてしまってごめんなさい。ちょっと、長話をしていたから」
「……いや、構わない。私としてもいくらデュエルとはいえ、あのような終わり方は迎えたくなかったからな」
「そう……変なの」
―――お姉様。
「うん……私のターン―――ドロー！！」

　この時、遊希と遊望。2人が重なってカードをドローしたかのように綾香には見えた。そしてその2人の想いに、デッキは最高の形で応えた。

「……私がドローしたカードは……RUM-七皇の剣！！」
「七皇の剣……！！」
「ドローフェイズに通常のドローでドローしたこのカードを公開し続けることでメインフェイズ1の開始時に発動できるわ！ 墓地またはエクストラデッキからNo.101から107までのいずれかを含むモンスターを特殊召喚し、そのモンスターの上にCNo.101からCNo.107までのいずれかのエクシーズモンスターを重ねて特殊召喚するわ！ 来て！ No.107 銀河眼の時空竜！！」

　天空に七つの星が光を描き、時空竜の真の力を解放させる。










＝＝＝“逆巻く銀河を貫いて、時の生じる前より蘇れ！ 永遠を超える竜の星！！ 我が魂に宿りし想いよ、絆よ！ 今命を得て飛翔せよ！！”＝＝＝










＝＝＝顕現せよ！！ CNo.107 超銀河眼の時空龍！！＝＝＝










　遊希のフィールドには黄金に輝く時空の龍が降臨した。遊望から受け継いだ七皇の剣であったが、遊希はそのカードを遊望同様完璧に使いこなしていた。

―――遊望……
―――時空龍、また私と共に戦ってくれますか？
―――ああ！

　遊望のその言葉に応えるように雄たけびを上げる時空龍。しかし、どれだけ強力な力を持っている超銀河眼の時空龍であっても攻撃力ではホープ・ザ・ゴッドには及ばず、かつ彼の持つ無効効果のタイム・タイラントも全ての効果を受け付けないホープ・ザ・ゴッドには通用しないのだ。

「時空龍……だが、お前であっても私には届かない」
―――その通りです、精霊皇。だが……私だけではない、ということをお忘れではありませんか？
「何？ しかし、光子竜の波動は消えたまま……他に誰がお前と共に轡を並べると言うのだ？」
―――お姉様。私に力を貸してください。
「……うん」

　そう言って遊望の身体は光の粒となって消えていく。そして彼女が一度消滅した時に残した白紙のカードへと遊望が変化した光が宿り、白紙のカードに新たな命の炎を灯した。

「そのカードは……！？」
「私は手札から魔法カード、死者蘇生を発動！！ 墓地のモンスター1体を蘇生する！ 蘇りなさい―――銀河眼の光子竜！！」
「光子竜……！」
―――遊希……お前は……
「……光子竜、話は後よ。今は……目の前のことに集中しましょう！」
―――……ああ、そうだな！
「手札から魔法カード、銀河遠征を発動！ デッキからレベル5以上のギャラクシーモンスター1体を表側守備表示で特殊召喚するわ！ 来て、銀河の雷光竜！ そして特殊召喚に成功した銀河の雷光竜の効果を発動！ 雷光竜のレベルを光子竜と同じ8にするわ！！」

銀河の雷光竜 星5→8

「そして墓地のギャラクシーモンスター2体をゲームから除外し、銀河の冥府竜を自分フィールド上に特殊召喚する！」
「レベル8のモンスターが3体……何をする気だ！！」
「同じレベルのモンスターを複数体揃える……決まっているじゃない。逆に他に何があるの？ 私は―――レベル8の銀河眼の光子竜、銀河の冥府竜、銀河の雷光竜で―――オーバーレイ！！」

　3体の銀河竜が咆哮をあげ、光となって天空へと昇っていく。遊希の手にはかつて遊望が遺していった白紙だったカードが握られていた。

―――お姉様！！
（遊望……お願い、力を貸して！！）
―――はい！！










―――3体のギャラクシーと名のついたモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築！ エクシーズ召喚！！―――












　3つの銀河竜の命が1つとなる時、その光は人の形を成す。光から生まれた麗しき少女の身体には銀河の力を持つ光と時の竜をあしらった鎧と翼が生成されていく。











―――“私の希（のぞみ）とあなたの望（のぞみ）！ 今2つの“のぞみ”は“希望”となりて舞い降りる！！ 銀河竜を導きし女神よ！ 今、この混沌の世界に光をもたらせ！！”―――











―――エクシーズ召喚！！ 降臨せよ！！―――










　天都 遊希。
　天都 遊望。



　常に“希望”を持ち続けてほしい、という想いを込めて名付けられた姉妹の想いが今、希望へ続く橋を架けようとしていた。















―――“銀河眼の希望女神（ギャラクシーアイズ・ホープフル・ゴッデス）！！”―――