第25話：精霊の波動　作：光芒

　綾香と手分けしてエヴァを探す遊希であったが、未だにエヴァを見つけられずにいた。そんな時、光子竜が何かを感じ取った。

―――むっ。
（どうしたの）
―――いや、勘違いかもしれない。
（何よ、あんたが何か感じるってそうはないことよ）
―――この街のどこかで……私と近いものの波動を感じた。デュエルモンスターズの……精霊のものだ。





＊





「行きマスヨ。私はレベル4の闇氷竜 ファフニールに、レベル4のチューナーモンスター、闇氷竜 バジリスクをチューニング！“遥かなる北方の世界に目覚めし魔竜よ、大海を支配しその牙で神をも穿て！”シンクロ召喚！ 現れよ、レベル8！“闇氷魔竜 ヨルムンガンド”！！」


※闇氷魔竜 ヨルムンガンド（オリジナルカード）
シンクロ・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻2700/守2300
ドラゴン族チューナー+チューナー以外の「闇氷竜」と名のついたモンスター1体以上
(1)：1ターンに1度、墓地に存在する「闇氷」と名のついたモンスター1体をゲームから除外して発動できる。フィールドに存在するカード1枚を選択して破壊する。
(2)：このカードが戦闘で破壊され、墓地に送られた時、このカードを破壊したモンスターを破壊する。
(3)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は「水」としても扱う。


闇氷魔竜 ヨルムンガンド ATK2700→3000

「闇氷の霊域の効果でヨルムンガンドの攻撃力は300ポイントアップし、霊域の第2の効果で私はデッキからカードを1枚ドローしマス。そしてチェーン2にシンクロ素材にしたバジリスクの効果が発動！ バジリスクをシンクロ素材にしてシンクロモンスターを召喚した時、相手フィールドのモンスター1体を破壊するデス。破壊するのは当然、ジェネクス・ウンディーネ！」

　ヨルムンガンドの眼がギラリと光ると、ジェネクス・ウンディーネの身体は氷に包まれる。そして氷にヒビが入ると同時にジェネクス・ウンディーネの身体は氷もろともバラバラに崩れ落ちた。

「ジェネクス・ウンディーネ破壊。そしてカードを1枚ドローしマス」
「ちっ……だがお嬢ちゃんは召喚権を使い切ってるし、そのモンスター1体じゃゲームエンドまで持ってくことは出来ないぜ！」
「ハイ、なので墓地の闇氷竜たちにはもう一働きしてもらいマス。魔法カード“闇氷の煌めき”を発動しマス」


※闇氷の煌めき（オリジナルカード）
通常魔法
(1)：自分の墓地に存在するチューナー以外の「闇氷竜」と名のついたモンスター1体と「闇氷竜」と名のついたチューナーモンスター1体をゲームから除外することで発動できる。この効果で除外したモンスター2体を素材としてエクストラデッキから「闇氷」と名のついたSモンスター1体をS召喚する。
「闇氷の煌めき」は1ターンに1度しか発動できない。


「このカードは墓地の指定されたモンスターをゲームから除外することでそのモンスターを素材にシンクロ召喚が可能になりマス！」
「墓地のモンスターでシンクロ召喚だと！？」
「私は墓地のファフニールとバジリスクを除外してチューニング！ “大海に鎮座する女神よ、その姿を竜と変え、全てを生み出す母となれ！” シンクロ召喚、降臨せよ！ レベル8！“闇氷魔竜 ティアマトー”！！」


※闇氷魔竜 ティアマトー
シンクロ・効果モンスター
星8/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2200
「闇氷竜」と名のついたチューナー+チューナー以外の「闇氷竜」と名のついたモンスター1体以上
(1)：このカードのS召喚に成功した時、自分の手札または墓地の闇属性・ドラゴン族モンスター1体を特殊召喚できる。この効果を発動したターン、このカードは攻撃できない。
(2)：このカードが相手によって墓地に送られた時、自分のデッキから「闇氷」と名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加える。
(3)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は「水」としても扱う。


闇氷魔竜 ティアマトー ATK2800→3100

「バジリスクの効果はあなたのフィールドにカードが存在しないので発動しませんが、代わりにチェーン2でティアマトーの召喚時の任意効果が発動しマス。ティアマトーがシンクロ召喚に成功した時、攻撃権を放棄することで手札または墓地から闇属性モンスター1体を特殊召喚できマス。私は手札からチューナーモンスターの“闇氷竜 ウロボロス”を特殊召喚デス」


※闇氷竜 ウロボロス
チューナー・効果モンスター
星4/闇属性/ドラゴン族/攻1600/守700
(1)：このカードが「闇氷」と名のついたカードの効果でデッキ・手札から墓地に送られた時、このカードは墓地から特殊召喚できる。
(2)：自分フィールド上にドラゴン族のSモンスターが存在する場合、このカードのレベルは2になる。
(3)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードの属性は「水」としても扱う。


闇氷竜 ウロボロス ATK1600→1900

「ぐっ、次から次へと……」
「おっと、これもシンクロ召喚になるのでカードをさらにドローしますネ」

　男はエヴァの操る【闇氷】モンスターの展開力に圧倒されつつあった。シンクロ召喚やエクシーズ召喚は強力なモンスターを召喚できる反面、手札消費が激しいという欠点がある。
　しかし、エヴァの闇氷デッキはフィールド魔法である闇氷の霊域の効果でシンクロ召喚に成功するたびにデッキからカードを1枚ドローできるため、シンクロ召喚で失った手札が簡単に補充される。補充された手札で闇氷の煌めきのようなフィールド外からのシンクロ召喚を可能にすることで、さらに手札を増強する。そのため手札が中々減らないのだ。

「……へっ、大層なモンスターだが今そのティアマトーとかいうモンスターは攻撃権を放棄することで他のモンスターを呼び出した。それじゃ攻撃力3100も形無しだな！」
「むむむ、確かにその通りデスネ」
「せっかくだから教えてやるよ！ 俺の手札には“邪帝ガイウス”と“怨邪帝ガイウス”の2枚が存在している！ 次のターン俺のスタンバイフェイズで黄泉ガエルを蘇生させてそいつをリリースしてガイウス、さらにそのガイウスをリリースして怨邪帝を出せば嬢ちゃんの闇属性モンスターは除外された挙句に2000のダメージを受けるんだぜ！」
「なるほど2枚のガイウスですか……じゃあますますこのターンで終わらせないといけないデスネ！」

　しかし、終わらせようにもフィールドに存在する攻撃可能なモンスターは攻撃力3000のヨルムンガンドと攻撃力2100のウロボロス。その2体で攻撃しても男のライフは2900残るのだ。男はそれだけ残れば逆転できる、と踏んでいた。

「えーっと、相手のカードのテキストが確認できるのであれば先にしておくべきデス。闇氷竜のチューナーモンスターは自分フィールドにドラゴン族のシンクロモンスターが存在する時、レベルは2になるんデスヨ？」
「なっ……」
「つまりこういうことデス。カードを1枚セット。そして私はレベル8のドラゴン族モンスター、闇氷魔竜 ティアマトーにレベル2となったチューナーモンスター、ウロボロスをチューニング！ “灼熱の炎より生まれし三つ子の竜！ 目に写る全てを破壊し、世界を紅に染め上げよ！” シンクロ召喚！ 怒り狂うのデス！ レベル10“トライデント・ドラギオン”！！」


※トライデント・ドラギオン
シンクロ・効果モンスター
星10/炎属性/ドラゴン族/攻3000/守2800
ドラゴン族チューナー+チューナー以外のドラゴン族モンスター1体以上
このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。
このカードがシンクロ召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のカードを2枚まで選択して破壊できる。このターン、このカードは通常の攻撃に加えて、この効果で破壊したカードの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。


「トライデント・ドラギオンがシンクロ召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のカードを2枚まで選択して破壊できマス！ 私が破壊するのは闇氷の霊域と今セットしたカードデス！」

　トライデント・ドラギオンの吐き出す炎によって闇氷の霊域が焼き払われる。これによりヨルムンガンドの攻撃力は元の2700に戻るが、これでトライデント・ドラギオンはこのターンのみ3回まで攻撃が可能となった。

「攻撃力3000の3回攻撃だと！？」
「行きます、バトルフェイズ！ まずはヨルムンガンドでダイレクトアタックデス！“ダーク・アイス・ウエーブ”！！」

闇氷魔竜 ヨルムンガンド ATK2700

男 LP8000→5300

「ぐっ！？ だが、俺がダイレクトアタックを受けた瞬間、手札の“トラゴエディア”の効果が発動する！！」


※トラゴエディア
効果モンスター
星10/闇属性/悪魔族/攻？/守？
(1)：自分が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2)：このカードの攻撃力・守備力は自分の手札の数×600アップする。
(3)：1ターンに1度、手札からモンスター1体を墓地へ送り、そのモンスターと同じレベルの相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。その表側表示モンスターのコントロールを得る。
(4)：1ターンに1度、自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。このカードのレベルはターン終了時までそのモンスターと同じになる。


「俺の今の手札の枚数は4枚。よってトラゴエディアの攻守は2000だ」

トラゴディア ATK/DEF→2000/2000

「トライデント・ドラギオンでトラゴエディアを攻撃しマス！ “トライデント・メガフレア”！ 第1打！」

トライデント・ドラギオン ATK3000 VS トラゴエディア DEF2000

「トラゴディアを破壊したことで壁が無くなりましたネ。これで終わりデス！ トライデント・ドラギオンでダイレクトアタックデス！ “トライデント・メガフレア”！ 一斉掃射！！」

トライデント・ドラギオン ATK3000×2

男 LP5100→0






＊






「っ……この感覚は……」
―――お前も感じたようだな、遊希。
「ええ。取り敢えず綾香に連絡してから向かいましょう」

　遊希は光子竜の導きの下、一目散に駆けだした。