アフターストーリー：星乃 綾香編・4　作：光芒

「マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラモードでダイレクトアタック！“魔導人形の凱歌（マドルチェ・ヴィクトリー・ソングス）”！」

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラモード　ATK3000

「悪いけど、その攻撃は通させないわ！ リバースカードオープン！ 速攻魔法“スケープ・ゴート”を発動するわ！」


※スケープ・ゴート
速攻魔法（準制限カード）
このカードを発動するターン、自分はこのカードの効果以外ではモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚できない。
(1)：自分フィールドに「羊トークン」（獣族・地・星1・攻/守0）4体を守備表示で特殊召喚する。このトークンはアドバンス召喚のためにはリリースできない。


「私のフィールドに羊トークン4体を守備表示で特殊召喚するわ！」
「スケープ・ゴート……！？」
「モンスターが増えたことで戦闘の巻き戻しが発生するけど、どうする？」
「ッ、攻撃対象を羊トークンに変更します！ 行きなさい、ショコ・ア・ラモード！」

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラモード　ATK3000　VS　羊トークン　DEF0

「トークンは残させません。ホーットケーキ、メッセンジェラート2体、サモン・ソーサレスの順で攻撃です！」

マドルチェ・ホーットケーキ　ATK2000　VS　羊トークン　DEF0

マドルチェ・メッセンジェラート　ATK2100　VS　羊トークン　DEF0

サモン・ソーサレス　ATK2400　VS　羊トークン　DEF0

「そしてクィーンマドルチェ・ティアラミスでダイレクトアタック！“魔導人形の光（マドルチェ・クィーンズ・シャイン）”！」

クィーンマドルチェ・ティアラミス　ATK2700

綾香　LP8000→5300

「……ふぅ、危なかった。スケープ・ゴートを引いていなければ、本当にワンショットキルを決められていたわ」
「……」
「それにしても凄いわ、歩美ちゃん。トゥーンのもくじに閃刀姫を絡めてワンキルを狙える布陣を組み上げるなんて。本当に強くなったのね」
「当たり前です。私は……ずっと、ずっとデュエルのことだけを考えてきましたから。あの日からずっと」

　歩美の言う“あの日”とはもちろん8年前の交流合宿のことを指していた。あの時7歳であった歩美は、デュエル初心者だったこともあって、同じ参加者であった中学生たちに勝つことができなかった。
　もちろんその時に勝てなかったということを歩美は気にしていないのだが、その代わりに彼女の心の中にはある気持ちが残った。それは「憧れ」という気持ち。あの時、自分の先を行く遊希や綾香らアカデミアの生徒たち、そして自分と同じ班になった年上の中学生のデュエリストたち。あの場にいた誰もが、何も知らなかった彼女の目には一際輝いて見えたのである。

「かつての私は気が弱く、自分から人の輪に入っていくことができませんでした。ですが、デュエルを知ったことで変わることができました」
「ええ。あの時は噛み噛みで少し目を離すと何処かに飛ばされていっちゃいそうなくらいで……凄く気を揉んだわ」
「はい。なので私は思ったんです。もっと、もっと……強くなってあなたたちの領域に達したいって。遊希さんのように強く、千夏さんのように真っすぐに、詩織さんのように穏やかに、エヴァさんのように明るく、そして……綾香さんのように優しい。そんなデュエリストになるため、私は一生懸命デュエルの腕を磨きました。だから、このセントラル校に入学して、登校する時に綾香さんの姿を見た時は、凄く……嬉しかったんです……」

　自分の秘めた気持ちを、想いを吐露していた歩美の眼からは玉のような涙が一つ、二つと零れ落ち始める。





―――なのに……ずっと会いたかったあなたは、私のことを覚えてくれていませんでした！ ずっと……ずっと憧れていたのに！！ ずっと、会いたかったのに！！ それで……立派になった私を、褒めて欲しかったのに！！―――





　綾香に返す言葉はなかった。綾香の記憶にある歩美はまだ7歳の少女であり、常に傍にいなければどのようなことに巻き込まれるかもわからない不安定な存在。
　もちろん諏訪部 歩美という名を聞き、その存在を忘れたことはない。それでも身長は8年前と比べて40cm以上伸び、当時の愛らしさをそのままに美しく成長した彼女を見て、瞬時にその美少女が歩美と理解するのはかなり難しい話ではあった。
　もちろん、綾香のその気持ちを理解できない歩美ではないが、それでも自分をデュエリストへの道に導いてくれた綾香であれば、きっとすぐに自分をあの諏訪部 歩美であると気づいてくれるはず。そう信じていたが故に、自分で思っていた以上に、綾香に対する失望感が深まったのである。

「……だから、私はあなたをここで倒します。そしてあなただけじゃない、詩織さんだって遊希さんだって倒します。あの小さい舌ったらずの女の子はもういない。ここにいるのは一人のデュエリスト、諏訪部 歩美であることをあなたに証明するために！」
「……そうだったんだ。ごめんね、歩美ちゃんの辛い気持ちをわかってあげられなくて」
「今更……謝られても遅いです。もしここから勝てるのであればともかく。言っておきますが、手を緩める気はありませんよ。メインフェイズ2に移行します。私はリンク3のサモン・ソーサレスと、マドルチェ・メッセンジェラート、マドルチェ・ホーットケーキをリンクマーカーにセット！ 召喚条件は効果モンスター3体以上！ サーキット・コンバイン！」

　リンク3のサモン・ソーサレスの身体が2つの光に変わり、メッセンジェラート、ホーットケーキと共に天空に指し示された4つの矢印に宿る。漆黒の光の中から現れたのは巨大な銃身のような身体を持ったドラゴンであり、頭頂部から伸びた剣のような角がそのモンスターの殺意の高さを伺わせる実に禍々しいドラゴンであった。

「“暗黒に閉ざされし世界を切り裂くのは我が決意！ その弾丸で悲しき過去に決別を！！” リンク召喚！ 吠えなさい！ リンク4“ヴァレル・ソード・ドラゴン”！！」


※ヴァレル・ソード・ドラゴン
リンク・効果モンスター
リンク4/闇属性/ドラゴン族/攻3000
【リンクマーカー：上/左/左下/下】
効果モンスター3体以上
(1)：このカードは戦闘では破壊されない。
(2)：1ターンに1度、攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示にする。
このターン、このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。この効果の発動に対して相手は効果を発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる。
(3)：1ターンに1度、このカードが表側表示モンスターに攻撃宣言した時に発動できる。ターン終了時まで、このカードの攻撃力はそのモンスターの攻撃力の半分アップし、そのモンスターの攻撃力は半分になる。


「ヴァレル・ソード・ドラゴンは戦闘では破壊されません。そして攻撃表示モンスター1体を守備表示に変更できます。仮にあなたが次のターンで高い攻撃力のモンスターを出したところで、このカードを前に戦闘で勝てるとは思わないことですね。私はカードを1枚セット、これでターンエンドです」


綾香　LP5300　手札：2枚
デッキ：39　メインモンスターゾーン：0　エクストラゾーン：0　魔法・罠：0　墓地：1　Pゾーン：青/赤　除外：0　エクストラデッキ：15（0）
歩美　LP8000　手札：5枚
デッキ：26　メインモンスターゾーン：2（マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラモード ORU:0、クィーンマドルチェ・ティアラミス ORU:1）エクストラゾーン：1（ヴァレルソード・ドラゴン）魔法・罠：3（マドルチェ・シャトー、マドルチェ・チケット）墓地：7　Pゾーン：青/赤　除外：1　エクストラデッキ：8（0）


綾香　LP5300　手札：2枚　デッキ：37

　　□□□□□　
　　□□□□□　□
　　　□　ヴ　
□　□□ク□プ
　　□□伏□□

歩美　LP8000　手札：5枚　デッキ：26　


※凡例
ヴ：ヴァレルソード・ドラゴン
プ：マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラモード
ク：クィーンマドルチェ・ティアラミス


☆TURN03（綾香）


（相手フィールドには攻撃力3000で戦闘破壊されないヴァレルソード・ドラゴンにマドルチェ・シャトーの効果で強化されたショコ・ア・ラモードとティアラミス。このターンであの3体を処理できなければ、今度こそ終わり。遊希との約束を守り、歩美ちゃんのために勝つ。両方やらなきゃいけないのは正直きついけど……覚悟はできてるわ！）
「私のターン、ドロー！ 私は手札から魔法カード“強欲で貪欲な壺”を発動！！」


※強欲で貪欲な壺
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1)：自分のデッキの上からカード10枚を裏側表示で除外して発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。


「デッキトップ10枚を裏側表示で除外し、2枚ドローよ！ 私は更に魔法カード“ワン・フォー・ワン”を発動！」


※ワン・フォー・ワン
通常魔法（制限カード）
(1)：手札からモンスター1体を墓地へ送って発動できる。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。


「手札の“ダンディライオン”を墓地に送り、デッキからレベル1の“ジェット・シンクロン”を特殊召喚するわ！」


※ジェット・シンクロン
チューナー・効果モンスター
星1/炎属性/機械族/攻500/守0
「ジェット・シンクロン」の(1)(2)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1)：このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「ジャンク」モンスター1体を手札に加える。
(2)：このカードが墓地に存在する場合、手札を1枚墓地へ送って発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。


「そして墓地に送られたダンディライオンの効果を発動！」


※ダンディライオン
効果モンスター（制限カード）
星3/地属性/植物族/攻300/守300
(1)：このカードが墓地へ送られた場合に発動する。自分フィールドに「綿毛トークン」（植物族・風・星1・攻/守0）2体を守備表示で特殊召喚する。
このトークンは特殊召喚されたターン、アドバンス召喚のためにはリリースできない。


「自分フィールド上に綿毛トークン2体を守備表示で特殊召喚するわ！」
「モンスターが3体……しかも自己蘇生ができるチューナーまで……」
「さっきのターンの歩美ちゃんの展開は凄かったわ。だから私も同じようにさせてもらうわ！ 現れなさい、未来を切り拓くサーキット！ 召喚条件はチューナーモンスターを含むモンスター2体！ 私は綿毛トークンとジェット・シンクロンをリンクマーカーにセット！ サーキットコンバイン！ リンク召喚！ 現れなさい！ リンク2“水晶機巧-ハリファイバー”！！」


※水晶機巧-ハリファイバー
リンク・効果モンスター
リンク2/水属性/機械族/攻1500
【リンクマーカー：左下/右下】
チューナー1体以上を含むモンスター2体
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)：このカードがリンク召喚に成功した場合に発動できる。手札・デッキからレベル3以下のチューナー1体を守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、このターン効果を発動できない。
(2)：相手のメインフェイズ及びバトルフェイズにフィールドのこのカードを除外して発動できる。EXデッキからSモンスターのチューナー1体をS召喚扱いで特殊召喚する。


「リンク召喚に成功したハリファイバーの効果を発動するわ！ デッキからレベル3以下のチューナーモンスターである“グローアップ・バルブ”を守備表示で特殊召喚！」


※グローアップ・バルブ
チューナー・効果モンスター
星1/地属性/植物族/攻100/守100
このカード名の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1)：このカードが墓地に存在する場合に発動できる。自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、このカードを墓地から特殊召喚する。


「そして墓地のジェット・シンクロンの効果を発動！ 手札1枚をコストに自身を墓地から特殊召喚するわ。この効果で特殊召喚されたジェット・シンクロンはフィールドを離れた場合ゲームから除外される。私もこのカードの力に頼らせてもらうわ！ 私は水晶機巧-ハリファイバーとジェット・シンクロンをリンクマーカーにセット！ サーキットコンバイン！ 現れなさい！ リンク3、サモン・ソーサレス！」
「ハリファイバーもジェット・シンクロンも同じ機械族……サモン・ソーサレスの効果は強力ですが、私のモンスターの布陣を超えられるモンスターなど……！」
「ええ。並大抵のモンスターではヴァレルソード・ドラゴンおよび2体のマドルチェを超えることはできない。でも歩美ちゃん、世界にはまだあなたの知らないカードがある。それを見せてあげるわ！ レベル1の綿毛トークンにレベル1のチューナーモンスター、グローアップ・バルブをチューニング！“漆黒の翼に隠すは雨に濡れし小さき刃。雨中の空に鮮やかに舞い、全てを斬り裂け！”シンクロ召喚！“A BF-雨隠れのサヨ”！」


※A BF-雨隠れのサヨ
シンクロ・効果モンスター
星2/闇属性/鳥獣族/攻800/守100
チューナー＋チューナー以外のモンスター1体
(1)：「BF」モンスターを素材としてS召喚したこのカードはチューナーとして扱う。
(2)：このカードは1ターンに2度まで戦闘では破壊されない。


「そしてサモン・ソーサレスの効果を発動！ リンク先に存在するサヨと同じ鳥獣族のモンスター1体を特殊召喚するわ。特殊召喚するのは“BF-隠れ蓑のスチーム”よ！」


※BF-隠れ蓑のスチーム
チューナー・効果モンスター（制限カード）
星3/闇属性/鳥獣族/攻800/守1200
「BF-隠れ蓑のスチーム」の(2)の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1)：表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。自分フィールドに「スチーム・トークン」（水族・風・星1・攻/守100）1体を特殊召喚する。
(2)：このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したこのカードをS素材とする場合、他のS素材モンスターは全て「BF」モンスターでなければならない。


「レベル2のA BF-雨隠れのサヨにレベル3のチューナーモンスター、BF-隠れ蓑のスチームをチューニング！“星に宿りし自然の力よ、今1つとなりて更なる進化の源となれ！！” シンクロ召喚！ 目覚めよ、シンクロチューナー！“源竜星-ボウテンコウ”！」


※源竜星-ボウテンコウ
シンクロ・チューナー・効果モンスター
星5/光属性/幻竜族/攻0/守2800
チューナー＋チューナー以外のモンスター1体以上
自分は「源竜星-ボウテンコウ」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1)：このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから「竜星」カード1枚を手札に加える。
(2)：1ターンに1度、デッキから幻竜族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードのレベルは、墓地へ送ったモンスターと同じになる。
(3)：表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動できる。デッキから「竜星」モンスター1体を特殊召喚する。


「シンクロ召喚に成功したボウテンコウ、フィールドから離れた隠れ蓑のスチームの効果が発動！」


チェーン2（綾香）：源竜星-ボウテンコウ
チェーン1（綾香）：BF-隠れ蓑のスチーム


「チェーン2のスチームの効果で私のフィールドにスチーム・トークン1体を守備表示で特殊召喚。そしてボウテンコウの効果でデッキから“竜星の軌跡”を手札に加えるわ。ちなみに私はまだ通常召喚をしていない。私は手札から“魂喰いオヴィラプター”を召喚！」


※魂喰いオヴィラプター
効果モンスター（制限カード）
星4/闇属性/恐竜族/攻1800/守500
「魂喰いオヴィラプター」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから恐竜族モンスター1体を選び、手札に加えるか墓地へ送る。
(2)：このカード以外のフィールドのレベル4以下の恐竜族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。その後、自分の墓地から恐竜族モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。


「魂喰いオヴィラプター！？」
「元々私のデッキには入っていなかったカードだけど、遊希が昔使っていたデッキから着想を得たのよ。シンクロ召喚にも繋げやすいしね。召喚に成功した魂喰いオヴィラプターの効果で私はデッキから“幻創のミセラサウルス”を墓地に送る。続いてボウテンコウの2つ目の効果を発動！“炎竜星-シュンゲイ”を墓地に送り、このカードのレベルを4にするわ！」

源竜星-ボウテンコウ　星5→4

「そしてレベル4の魂喰いオヴィラプターに、レベル4となった源竜星-ボウテンコウをチューニング！“集いし願いが新たに輝く星となる！ 光指す道となれ！！”シンクロ召喚！ 飛翔せよ！“スターダスト・ドラゴン”！」

　綾香のフィールドに舞い降りたのは、世界で綾香一人だけが持つと言われるモンスター“閃珖竜スターダスト”に酷似した白いドラゴン。かつて大学リーグを席巻した綾香が、その実力で勝ち取ったスターダスト・ドラゴンである。


※スターダスト・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
星8/風属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
チューナー＋チューナー以外のモンスター1体以上
(1)：フィールドのカードを破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードをリリースして発動できる。その発動を無効にし破壊する。
(2)：このカードの(1)の効果を適用したターンのエンドフェイズに発動できる。その効果を発動するためにリリースしたこのカードを墓地から特殊召喚する。


スターダスト・ドラゴン　DEF2000

「スターダスト・ドラゴン……相手にするのは初めてのカードですが、その攻撃力ではどうしようもありませんね」
（しかし、守備表示でシンクロ召喚。ヴァレルソードの効果を警戒しているのか、それとも……）
「ボウテンコウが墓地に送られたことで2つ目の効果を発動。デッキから竜星モンスターの“風竜星-ホロウ”を特殊召喚するわ！」


※風竜星-ホロウ
効果モンスター
星1/風属性/幻竜族/攻0/守1800
「風竜星-ホロウ」の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1)：自分フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから「風竜星-ホロウ」以外の「竜星」モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。
(2)：1ターンに1度、相手のメインフェイズ及びバトルフェイズに発動できる。自分フィールドの「竜星」モンスターのみをS素材としてS召喚する。
(3)：このカードをS素材としたSモンスターは、魔法カードの効果を受けない。


「歩美ちゃんならわかっていると思うけど、スターダスト・ドラゴンで終わるつもりはないから」
「やはりそうでしょうね。でも、戦闘で破壊できないヴァレルソードにシャトーで強化されたマドルチェたちを超えることなど並大抵のモンスターではできません！」
「ええ、わかってるわ。並大抵のモンスター……ならね。じゃあその並大抵じゃないモンスターを見せてあげる！ 私は墓地のグローアップ・バルブの効果を発動！ デッキトップを墓地に送り、このカードを特殊召喚するわ！ そしてレベル1のスチーム・トークンに、レベル1のチューナーモンスター、グローアップ・バルブをチューニング！“集いし願いを胸に秘め、見果てぬ道を切り拓け！”シンクロ召喚！ 走破せよ！ シンクロ・チューナー“フォーミュラ・シンクロン”！！」


※フォーミュラ・シンクロン
シンクロ・チューナー・効果モンスター
星2/光属性/機械族/攻200/守1500
チューナー＋チューナー以外のモンスター1体
(1)：このカードがS召喚に成功した時に発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。
(2)：相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。


フォーミュラ・シンクロン　DEF1500　※魔法無効

「ホロウを素材にシンクロ召喚されたモンスターは魔法カードの効果を受けない。そしてシンクロ召喚に成功したフォーミュラ・シンクロンの効果を発動！ デッキからカードを1枚ドローするわ！」
「シンクロチューナーということは更なるシンクロ召喚に繋げる気ですね。ですが、仮に高レベルのシンクロモンスターを召喚したところで……」
「ヴァレルソード・ドラゴンの対処、よね。手札からヴァレルソード・ドラゴンを対象に速攻魔法“禁じられた聖杯”を発動！」


※禁じられた聖杯
速攻魔法
(1)：フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。


「……ヴァレルソードの効果を無効にすれば、確かに戦闘破壊が可能になります。ですが、元々高い攻撃力を更に上げるとは」

ヴァレルソード・ドラゴン　ATK3000→3400　※効果無効

「ヴァレルソードを倒せないなら、そもそもこのカードを使わない。歩美ちゃん、見せてあげる。これが今の私の全力よ！ 私はレベル8のシンクロモンスター、スターダスト・ドラゴンにレベル2のシンクロ・チューナー、フォーミュラ・シンクロンをチューニング！！」

　天空に舞い上がったスターダスト・ドラゴンを二つの輪に変化したフォーミュラ・シンクロンが包み込んでいく。次の瞬間、フォーミュラ・シンクロンによって力を与えられたスターダスト・ドラゴンの周りには竜巻が現れ、凄まじい風がフィールド中に吹き荒れる。
　目を開けるのも辛いような風が吹き荒れる中、綾香はじっと目を見開いていた。その目に宿るのは教師として生徒と向き合い、デュエリストとして目の前のデュエルに全力で挑まんとする強い意志。そんな意志が宿ったかのような強い力が周囲に迸った。

（な、なに……この力……身体が、痺れる……あのモンスター、一体……！）
（遊希、あんたから託されたこのカード！ 使わせてもらうわ！！）











―――“集いし夢の結晶が新たな進化の扉を開く。我が強き意志よ、決意よ！ 流星となりて暗黒の世界を突き破れ！！”―――










―――アクセルシンクロ！！―――










―――生来せよ！―――










―――“シューティング・スター・ドラゴン”！！―――










　竜巻を突き破ったその白き風の竜は、天空より光を放ちながら舞い降りる。無二の親友より託されたその命は、光と共に翔ける流星のように輝いていた。










○あとがき
アフターストーリー：星乃 綾香編は次回で完結となります（本当はこの話で終わらせたかったんですけどね……）