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HOME > 遊戯王SS一覧 > 53 さよならトリップ part.2

53 さよならトリップ part.2 作:Ales




『雪と光竜と夢幻世界』第53話
 さよならトリップ -Another view:M.Hoshizaki





 遊貴の部屋にはじめてお邪魔して、早くも数日経ちました。
 私は今、日本が誇る霊峰・富士の麓のサーキットにいます。

 あれから、何があったのか、何であたしが京都を離れて、ここにいるのか。事の顛末をお話ししたいと思います。





 遊貴がオンラインゲームを始めた後、あたしは本を抱えて、結局、スマートフォンでゲームをしていました。いや、折角取り出してくれたのはうれしいんだけどさ、読書ってあたしの性に合わないし、もう少し簡単な本から始めたっていいじゃん。罰ゲームじゃないんだから。
 数十分したらパソコンが不快なエラー音を立てて、びっくりしてそっち見たらさ、『デッキの枚数が規定以上です。切断します。』って出てんの。今まで普通にデュエルしてたんでしょ?なのにカードの枚数が増えるって意味わかんないし。で、意味わかんないから遊貴の肩をつついて、「大丈夫かー?」って聞いてみたの。そしたら遊貴がさ、「美夏、ありがと」って飛びついてくんのよ!

 「え、いやちょっと……」

 って思わず言っちゃったけど、相変わらずちっこくてふわふわで、でもパニックに陥ってるのはあたしでさ。でも、ちょっとの間そうしてたら、壁の向こうでなんか、ドンガラ聞こえんの。暫くして音が止んだかと思うと、今度は足音に変わってて、その後はノックの音になってたかな。
 遊貴が、開いてる、って声を掛けたら、入ってきたのはやっぱり琉枝さんだった。まあそりゃ、この家大きい割には遊貴と琉枝さんしかいないから、当たり前なんだけど。

 「あら美夏ちゃん、いらっしゃい。ちょっと遊貴借りてもいいかしら?」

 って、何でもないように言うけど、遊貴ってばその時まだあたしに抱きついたままでだったのよ!指摘されるまで気付かないって、あんた疲れてんの?って思ったよ、あの時は。

 で、借りるって言った割にはその場で話し始めるし。途中の経過を知らないあたしには何がなにやらさっぱりなんだけど、ふたりがソリッドビジョン上にモンスター(というかやたら白い女の子とやたら背が高い女性)を出して、お話しし始めたのよ。まず琉枝さんが、持ってきていた本の最後の方を開いて、そこを読み始めたんだけど、あの本、あんなに分厚いし紙も薄っぺらいのに、5章ってどれだけ細かいお話なんだろう。そしたら遊貴の出した女性の方が、いきなり大笑いしだしてさ。

 「自分で天才と言うだけあって、見事な推察だ!」

 って言ったの。自分で天才って言って実際に天才な人って見た事なかったけど、琉枝さんが言ったら何となく納得しちゃうかも。で、その琉枝さんが出した方なんだけど、終始俯いててさ。声ちっちゃくて聞こえなかったんだけど、琉枝さんが鍵?権限?なんかそんな感じの話をして、おっきい方がその補足をすると、すっごい驚いてた。なんでも、遊貴だけが持ってると思っていたものが、半分琉枝さんも持ってて、んで半分しか回収できなかったから暴走したとか何とか。さっぱりわからないよ。でもとにかく、遊貴も琉枝さんも無事みたい。

 「提出するレポートは……まあ嘘にならない程度に嘘ついとくから、これからもよろしくね?」

 って言った琉枝さんの笑顔は怖かったけど。



 そうそう、こんな事もあってさ。

 「そういえば遊貴、今晩お話しするとか言ってたわね。ダメじゃないの。彼女連れ込んだりしたら。」

 って琉枝さんがいきなり言い出して、あたしも思わず突っ込んじゃったのよ。

 「それは保護者公認、ってことでいいんですか?」

 って。そしたら琉枝さん、「とりあえずご両親に挨拶しないとねー」って何でもないように言い出したもんだから、あたしも焦っちゃってさ。いや確かに遊貴の事は大好きだし、一緒に居ててすっごく楽しいけどさ。それって友達としてだから……
 なんて足りない頭で考えてたら、遊貴も琉枝さんも出したもの片付けて立ち上がっててさ、晩ご飯の焼き魚の話してるのよ!ちょっと、あたしこんなに心惑わされてんのに、あたしのこの想いは焼き魚と同列か!って文句垂れようとしたら、遊貴がこっち向いて、「家までお見送り……」って言うの。何?焼き魚って何かの暗号?この姉妹、本当に意味わかんないわ。後に訊いたら、お魚買わないとね、って言う話だったらしい。あたしを送った帰りにでもスーパーに行く予定だって。本当に意味わかんないわ……



 帰り道、そういえば遊貴のデッキにカード間違って入れちゃってたみたいなんだけど、って言ったら、遊貴が「そうなんだけど……あれ、どこか行ったみたい……」って申し訳なさそうに返事したの。え?どういう事?ずっと同じ部屋にいたよね?って訊いたら、お返事は、「実はかくかくしかじかで……」だったの。声に出すやつ初めて見たわ!まあ、そんなに重要なカードでもなかったし別にいいんだけど、意外にも役に立ったらしいからそれならそれでいっか。と、今では思ってる。また買えばいいし。



 家に帰ったら、珍しくも玄関先で親父……お父さんが待ってて、普通にふたりを通して、まるで旅行帰りの家族みたいにそのまま食卓に着かせたのはびっくりしたなぁ。その手際の良さ、仕事一徹の無骨な父のイメージが崩れたぐらいだったし。いやだって、打ちのお父さん、生まれてこの方夕食の席でしか見た事なかったんだもん。いやホントに。お父さん、年中仕事してたからさ。それはさておき、そのお父さんが珍しくお酒飲んでるのよ。琉枝さんと。で、琉枝さんのお父さんの話になって、今週末が命日だったよね、って言う話になってさ。うちの親父、宮戸さんのお墓参りはおろか、お葬式にも参列してなかったって。いや友人としてどうなのよ!って言ってやろうかとも思ったけど、一番言いたいだろうふたりが済ました表情で、「いつでも行ってやって下さい」って言うから、あたしも毒気抜かれちゃった。このふたり、ホントに不思議姉妹だわ。

 「今年も命日には行けそうにないから、よかったら美夏、お前が代わりに行ってくれないか?」

 っていきなり話し吹っ掛けられたんだけど、思わず頷いちゃってさ。まあ、遊貴と一緒に旅行ってなんか面白そうだからそれはそれでいっか、って後になってひとりで納得してたんだけど。うちのお父さん、葬式の日にも大事な仕事があって、命日にも仕事で、そんなこんなで結局行く機会を逃したら行き辛くなっちゃったって。わかる気もするけど、友人のお葬式でも休めないってどれだけ大事な仕事だったんだろ?





 そして週末、着いた先がここって訳よ。

 「本当は家の庭にでも建ててもらう予定だったんだけどさ、ファンが猛反対しちゃって……結局、ラリーなんて開催してないここに置かれる事になったのよ。ワークスチームの親会社と名前が似てるからとか何とか……まあ、有名人って共有財産みたいな扱いなのかしらね?」

 琉枝さん、あれだけ長時間ドライブしたのにすっごい余力有り余ってるっぽい。最後に休憩したのってどこだっけ?浜松?うなぎパイ買い忘れたねって言ってたから多分そうなんだけど。あ、あと五平餅が美味しいらしい。

 「でも、その割には今日、人いませんね。」

 命日だし、熱心なファンもそうでないファンもいそうなものなのに、この近辺誰もいないの。

 「ああ、それは命日にはお引き取り願ってるからよ。入れるのは家族と友人だけ。命日に墓参許可した時にさ、ラリーレーサーがうるっさい音立てて来たら鬱陶しいじゃない。あと人と会いたくないし。」

 なんか妙に納得した。特に最後のひとこと。
 そうそう、ここに来る前に、あたしも一応おふたりのこと調べてみたの。そしたらとんでもない人だったみたいでさ。




’’20XX年7月、フィンランド・ユヴァスキュラ。

 この半年間を沸かせた極東の英雄が、土煙を上げて疾走していた。
 いや、この説明には少々語弊がある。
 正確には土煙を上げて疾走しているのは彼の駆る車であり、彼はその車に乗ってグラベルを駆け回っていたのだ。
 遡ること十数年、WRCに登場した六連星のエンブレムを持つ往年の名車の販売元は当時、ワークスチームを解散して久しかった。そんな折に、ドライバーが直接交渉に出向き、自費でラリーツアーへ参戦したのである。要するに、カスタムカーだけ寄こせ、と言ったのだ。
 いくら何でも無茶だろう、と周囲は思った。メーカーにすら数年のブランクがある上、彼は当時、一介の学生に過ぎなかったからだ。下部で順当に戦績を残した訳でもない彼は、いきなり舞台に現れた極東の変人だった。
 しかしその声は、第一戦目の戦場、モナコ公国で早くも消え失せた。彼は何と、その舞台で2位をもぎ取ったのだ。続くラリー・スウェーデンでは吹雪の中を優勝、3月のラリー・メキシコも制したことで一躍話題の人物となった。続くポルトガルでは3着に敗れたが、イタリアでまたも優勝。こうなれば環境保全思考の強かった日本人にも、否が応でも名が知れ渡ることとなった。種目こそ違うものの「『英雄』アイルトン・セナの再来」などと呼ばれた彼は、行く先々で表彰台に上がった。
 規定通りのセッティングは日本人のお家芸だの、助手席に座り制動の指示を飛ばす「コ・ドライバー」がちっこくて軽いから有利だのと色々噂や陰口は絶えなかったが、とにかく彗星の如く現れ、勝利をかっ攫ったことに変わりはない。その年に当のコ・ドライバーと結婚し、子供ができたことで11月以降は不参加だったが、それでも強烈なインパクトを残した。
 さて子供も無事に産まれ、大学も卒業した彼はWRCに注力した。そしてまさに、「アイルトン・セナの再来」に相応しい伝説を、行く先々で残したのだ。

 先の7月の話は、彼-宮戸遊信(みやとゆうしん)が、WRCに参戦して15年目のことである。2人目の子供も3年前に無事産まれ、長女が中学最後の夏休みに、北欧旅行のついでに観戦に来ていたのだ。まだ3歳だった次女を膝に乗せ、正式に稼働したワークスチームのピットで観戦している目の前である。否が応でも気合いの入る場面、しかもここ数年育児に忙しかった往年のパートナー、宮戸瑠実(みやとるみ)をコ・ドライバーとして迎えているのである。何が何でも負けられぬこのラリーで、彼は伝説を作った。
 ジャンピングスポットで60m近くを飛び、最高速度は250km/hに迫り、ブラインドコーナーを何の躊躇いもなく飛ばし、果ては前輪を草に突っ込ませ、路面抵抗の差を利用して強引にコーナーを曲がるなど、常人には及びも付かぬ、無茶苦茶な走法で影も踏ませぬ圧勝を遂げたのだ。地元紙は「勇気ある馬鹿者」「クレイジー」などと書いたが、その走行シーンが長い間様々なCMに使われたことを考えれば波及効果は大きい。それまで日本において、日陰者のような扱いであったラリーに光を当て、それまで苦境にあったスポーツカーやオフロードカーがじわじわ売れ始めたことも加味すれば、まさに日本を、いや世界を変えたと言っても過言ではないだろう。

 その彼らが、短いオフシーズンにトラックと正面衝突するというのは、何という皮肉だろうか。さらに彼の所属したワークスチームも、結局彼以外のドライバーを迎えることなく解散。日本におけるブームも消沈し、再びエコカーが注目されている。
 ブームと言えば、彼らは変わらぬものを残した。表彰台で、彼らは何と陣羽織と十二単という和装で受賞とインタビューをしていたのだ。後援企業には、全て口頭で謝意を述べていた。そのスタイルが逆に受けたのか、彼が「友人の会社から買い付けた」と言う和服は世界中でブームとなった。さらに彼の口から名前が出た企業の業績は、必ず上がったのだからまたとない宣伝となったに相違ない。登場・走法・スタンスのどれもが異質であった彼らは今、生地日本の霊峰に眠り、第二第三のレーサーの誕生を待っている事だろう。’’


 (インターネットサイト・レーサー列伝14『極東のWRCチャンピオン』より)


 あーそっか。うちのお父さんの会社、この人が宣伝してくれたおかげで業績上がったんだ。正直、今も会社の経営状況がいいのかどうかわかんないけど、それならちゃんとお葬式ぐらい出てあげようよ。




 お墓のお掃除して、手を合わせたんだけど……正直、何話したらよかったのかわからなかった。写真って言うか、インターネット上の画像でしか顔も見た事ないし、あちらからすれば誰だお前状態な訳だし。でも何か、不思議な感じだった。あーここにこのふたりのお父さんとお母さんがいるんだなーって思うと、何かこう、あたしまで家族になったみたいで。
 ちょっとだけ、ひとりでお話しさせてもらっていい?って訊いたら、遊貴達はサーキットにいるからご自由にって。何するんだろ?まあとにかく、あたしはお父さんの名代で来てる訳だから、お父さんからの手紙読まないといけないのよ。お父さんも、できればひとりの時に読んでほしいって。





宮戸遊信様、奥方様

拝啓
 初夏の候、梅雨も過ぎ去り吹き付ける風もいよいよ暑くなって参りました。梅の実も熟してきた時分であります。いつも雑事にかまけ、ご無沙汰ばかり致しまして申し訳御座いません。御陰様で、此方は家族共々すこぶる健康に過ごしております。
 さて、本日は先ず、直接伺わずに名代を立てた事、お許し頂きたく存じます。また、葬式への参列並びに年々の墓参へも遂に伺う事が叶わなかった事、重ねてお詫び申し上げます。貴兄らもご存知の通り、当方は多忙であり、それは年を経た今でも変わっておりません。恩を仇で返していると知りつつも、休暇を取って赴こうとしなかったのは、私の不徳の致すところで御座います。

 御陰様で、拙い家業も何とか持ち直して参りました。近年では海外での業績が益々上がっており、輸出国からの信頼も徐々に得ている次第であります。製造業者の方からも厚く愛顧賜っており、産業自体に弾みが付いてくる事と感じております。これも貴兄らの多大なお力添えあっての事、感謝の言葉もございません。

 学生期に在って秀才、職に在っては達人であった貴兄らに会えぬ事は、寂しい限りであります。遺されたご姉妹の無念は、痛恨の極みに存じます。その姉妹ですが、我が娘が以前より交友を深めているとあって、此をこの度ご挨拶を兼ねて送り出した次第であります。愚昧な娘ではありますが、これからもご姉妹共々善き日々を過ごせるよう、私の方からの助力は惜しまぬ次第であります。貴兄らに置かれましても、それについてはご心配召されぬよう、ここにお知らせ致します。

 短くまた拙いものでは御座いますが、したためた筆を此処に置かせて頂きたく存じます。貴兄らの遺されたご姉妹の健勝を、心よりお祈り致します。失礼も顧みずお手紙を差し上げました事、どうかお許し下さい。

敬具

 6月某日

  星崎統也

 追伸 遅れ馳せながら、心よりの哀悼の意を、此処に表します。故人への手紙は初であり、それ故の不徳は散見されるかと思われますが、ご容赦下さるようお願い申し上げます。





 「ほわぁ…………」

 え、なにこれは。友人って言ってたし、もっとフランクなものだと思ってたよ。やばいどうしよう。あたし、こんなフォーマルな言い方とか無理だし。ってかお父さんってやっぱ偉い人だったんだなーって改めて思ったよ。万年筆の字も淀みないし、書き慣れてる感じするし。仕事でこういう文章、書いてきたのかな?
 そう、あたしもちゃんと言いたいことあるんだ。いや、お父さんみたいに堅っ苦しい……いや、ちゃんとした言葉じゃないけどさ。あたしの言葉でいいなら、聞いてほしいなって。
 って、あたし読むために手紙書いたはいいけど、拝啓とか前略とか全くそういう挨拶書いてないし。仕方ないじゃん、授業でこういうの習ってないし、あたしには飾りっ気のある言葉とか思い浮かばないし。お父さんかお母さんに見てもらえば良かったのかな……まあ、今見えてるものでも、お話しすればいっか。





 「えっと…………
 拝啓……で、いいのかな?

 日を追うごとに暑くなってきており、そろそろ長袖では過ごし辛い時節かもしれません。
 早急に用件に入る非をお許し下さい。

 お初にお目にかかります。あたし……私は星崎統也の娘、星崎美夏と言います。おふたりのお子様と交友関係がありまして、その縁で本日、恐縮ながら此処へ来させて頂くこととなりました。
 厚かましいお願いではございますが、もしお許し頂けるのでしたら、私どもの交友関係を続けさせて頂きたく存じます。そしてどうか、友の苦悩にある時に、側にいることを許可頂きたいのです。

 これまで、友人として楽しい時間を頂きましたが、これから諍いや口論がないとは限りません。実際に遊貴さんに怒られたことも何度もあります。でも、その度に反省はしております。お互いにまだ距離感は手探りですけれど、ひとりの友人として、尊敬し、意思を尊重する気持ちだけは絶対に忘れません。何より、私事では御座いますが、私自身が並んで歩いていきたい、そう考えているのです。
 もしお許し頂けるのでしたら、これに越した喜びはありません。拙いながらも精進して参りますので、どうかお見守り頂ければ幸いです。

 短いものでは御座いますが、今後一層のご親交をお願いして、お礼のご挨拶に代えさせていただきます。以上乱筆お許し下さい。

かしこ

 6月某日

  星崎美夏」





 読み終わると、何か変な汗が出てきた。きっと空が晴れて、暑くなってきたからに違いない、うん、きっとそう。
 でも、結局お返事はもらえない訳で。ホントにいいのかな?そのまま無視するってのも居心地悪いし、むしろ何も知らない方が良かったかもしれない。

 そんなときに、人の悩みを嘲笑うかのようにうるっさい音が聞こえた。音的には車か単車の排気音だけど……それにしてもうるさい。

 「バンジャボラー!」

 とりあえず墓前では失礼なので、数歩退いて回れ右して、音のした方を向く。そしてついでに叫んだ。

 「え?あれって……」

 眼下のサーキットに出現したその姿に、見覚えがあった。





 「遊貴、ただいま……早速なんだけど質問いい?」

 猛ダッシュで遊貴のいた観客席に行くと、あたしはそこでぼけーっとしてた遊貴に声をかけた。

 「あ、お帰り……べつにいいけど。」
 「あのさ、あの車って……」

 鮮やかな青に黄色の六連星。そしてウイングに大きく描かれたブランド名。

 「うん、あれパパが乗ってたやつ……」

 そう、その姿はまさしく、インターネットで見た故・宮戸遊信氏の愛車であった。

 「え?あれ何でここに……?ってか、もしかして乗ってるのって……」
 「うん、破棄するにも勿体ないけど保管場所に困るってことで、ここに動体保存されてるのを、毎年琉枝が乗ってる……下手くそだけど。」
 「え?下手なの?」

 数時間琉枝さんの運転する車に乗っていたが、別段そのような印象は受けなかった。

 「ほら……シケインで減速しすぎてるし、縁石使おうとして草に入ってる。」
 「いやそれ、車両感覚の問題とかじゃないのか?」
 「うーん……だったらエイト持ってきて走ればいいのに……」
 「それもそうだね……」

 暫く琉枝さんが車を走らせるのを見て……うん、確かにお世辞にも上手とは思えないかな。その、レーサーの人とかと比べちゃうと。でも琉枝さんは普通の会社員な訳で、職業でやってる人と比べちゃいけないでしょ。大体このサーキット、やたら長い直線の後にヘアピンカーブあるし。そこに300km/h近くで突進していくんだから、そりゃ怖くもなるって。直線でもスピードでたら怖いでしょ普通。



 「あ、あのさ……」

 琉枝さんがピットに入って、エンジン音が途絶えて少しして、あたしはお隣の友人に声をかけた。

 「ん?何?」

 向けてくる目付きとか、仕草とか相変わらず眠たげなのに、それがすっごいかわいくってさ。やっぱあたしには勿体ないかなーって思っちゃう訳よ。でも、言わないと納得できないからさ。

 「これからも、友達でいさせて……下さい。」

 思い切って頭下げて言ったら、遊貴ってば笑うんだもん。でも、笑い方がまた可愛いんだよ。

 「ふふ……勿論。私の方こそ、よろしく……」



 6月某日・富士山麓。
 今日も太陽は輝いていました。





 -Another view:M.Hoshizaki End





 ---





 ロロナとの決着から数日後、VDCβは突然のメンテナンスに入った。
 製品版に向けての機能調整のためのアップデート等と言われたが、それなら告知があって然るべきものである。そんな中、公式にアップロードされたのは謝罪文であった。事情を知るものからすれば明らかに宮戸琉枝の仕業だとわかるのだが、知らぬものは突然に告知されたのだから驚きである。

 モンスター同士を関連付ける、あるいはモチーフとなった神話に基づいた行動を指示するAIスクリプトが異常な行動を起こし、ユーザーに深刻な被害が及ぶ可能性があるためこれらのプログラムを削除、また修正するものである。

 以上が運営側の報告である。
 要するに第二第三のロロナが出ないように修正したのだが、被害を被っていない一般ユーザーからすれば何のことやらである。

 その渦中にあった宮戸遊貴と新田征は後日、校長室に呼び出されてこっぴどく叱られた。曰く、私は危険を冒すなと云々、何かあってからでは遅い云々。但し調査を任せた自分にも責任が有るとして、謹慎等の罰は一切なかった。製品版の導入も見直すようである。海馬コーポレーションにしてみれば元々無料の製品であることだし、教育機関への導入が宣伝材料となるような商品ではない。結局はアカデミア側が導入のための資金を用意せずに済んだ訳である。とはいえ、安定して稼働するようならまた検討するのだろうが。技術革新の早い昨今の世界事情を鑑みれば、遊貴達が卒業する前には導入されているかもしれない。



 「はぁ……疲れたわ。」

 放課後、宮戸遊貴は紅茶を淹れるという優雅な振る舞いをしていた。といってもパックのものを適当なマグカップに淹れるだけであるが、それでも字面だけなら妙に優雅に感じるものである。

 「お疲れ様です……」

 適当な時間茶葉を抽出してカップを差し出した相手は、文学部部長の籐篠朱理である。彼女はどうやら週末に家の事情でさる場所へ出向いていたようである。

 「家業継ぐ気はないって言ってわざわざ京都くんだりまで来たっていうのに……どうしてこう、面倒になるのかしら。」

 何でも父の代理で出向いたとのことだが、さて高校生の身分で務まる代理というのも不思議である。それほどまでに、籐篠先輩が優秀ということだろうか。

 「宮戸さん、今度からあなたが行ってくれないかしら……ああ、冗談よ。ところであの話、もう一度詳しく聞きたいのだけれど。」
 「ええ、わかりました。」

 『あの話』というのは、ロロナに絡んだ一連の事件のことである。新聞部に脅迫されて存続の危機となっていた文学部は、活動のアピールとして論文の公開を余儀なくされていたのだが、その題にこの事件を持ってきたのである。ロロナという電子の精霊が何故出現したのか、また自称「神」のSophiaやらカード書き換え事件やら、謎は多分にある。だがこちらもさしたるもので、朱理はあっけからんとこういうのだった。

 「この論文では、この事件のこの点について深く考察するものである、とか書いておけばいいのよ。そうすれば都合の悪いところは無視できるわ。」

 なるほど、そうすれば「以前は触れなかったあの件ついて~」などということで論文のネタが増える訳で、継続的な活動ができる訳である。

 「ちょっとSFチックよね、この話。宮戸さん、SFは読んでいる?」
 「いえ……『アンドロイドは電気羊の夢を見るのか』ぐらいしか読んだことないです。」
 「そう。実は私もあまり読んでいないのよね……じゃあ、今日の読書はそれでいきましょうか。」
 「はい。」



 こうして少女達は、青春を謳歌するのであった。



 『雪と光竜と夢幻世界』・夢幻世界編 完





---
《あとがき》

毎度のご愛読ありがとう御座います。作者のAlesです。
この話を持ちまして、『雪と光竜と夢幻世界』・夢幻世界編は終了となります。
今後の展開としましては、まず茶番、キャラクター詳説を挟みまして新章、という流れを予定しております。

さてこの夢幻世界編、数多くの謎を残したまま終了した、と思われる方が多いと思われますが、心苦しいながらも全ての問いに解答を与えられるほど細部ま書けておりません。話の流れの都合もありますが、読者の皆様に置かれましては納得のいかぬところも多いと予想します。
そこで次回の茶番では、そのような謎を可能な限り解決すべく、キャラクター達が皆様の質問にお答えする、とのことです。コメントを下されば、可能な限りでお答えいたします。その際、箇条書きで頂ければ作者としては楽です。但し、以下の点についてはお答えできない場合が御座いますので、予めご了承下さい。

・キャラクターの設定(数値的な部分)
 歳にしてはものっそいちっちゃい(遊貴)、流線型超特急(和那)など、そもそも具体的な数値については全く設定がありません。

・2部以降で明らかになる設定
 ここでは特に、朱理に関連する謎が多いと思います。この理由によりお答えできないものも多いかと思われますが、予めご了承願います。

・作者の個人的なお話
 どのアニメが好きか、とかぐらいなら構いませんが、訊かれて気分の良いことではありませんので……あ、ちなみに紅茶はそもそも飲まない派です。


例)
Q:質問が来なかった場合どうするんですか?露骨な尺稼ぎするんですか?
A:遊貴 「『ロロナ戦をいろんな作家風に書いてみた』という誰特企画を用意しています。質問の過多によってそっちの方が削られていきます。」

では、ごご感想・質問お待ちしております。
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ドクダミ2号
お、お、お疲れ様でした!!新章かぁ〜、今度は遊貴ちゃんに彼氏でもできるのかな?あ、遊貴の彼氏は俺k(殴
やっぱりAlesさんの文は見ていてすごいですねぇ、と言うより色々と博識ですね。馬鹿な俺とは違うなぁ。とにもかくにもお疲れ様でした!ゆっくり休んで下さいね!俺も頑張らにゃぁな………。 (2016-05-19 06:40)
光芒
夢幻世界編、完結お疲れ様でした。ロロナの企みを防いだことで無事大団円を迎えられたようですが、あのデュエルの後当事者のロロナがどうなったかどうか描かれていないあたり、その辺りは今後の話で明かされるんでしょうね。どちらにせよ数回読み直した程度では把握しきれないくらいの伏線が敷いてある(?)ものと思われるので、今後それらが回収されることを心待ちにしております。

そしてそんな夢幻世界編の最終話となるこの話では宮戸家と星崎家の繋がりが明かされましたが、確かにこんな理由があれば統也さんは遊信さんに感謝してもしきれないでしょうね。それでも手紙の内容から見るに、2人はビジネスのみの関係ではないということがわかります。
しかし、幼い娘の見ている前で揃って事故を起こしてしまう、というのは多感な時期の宮戸姉妹に少なからず影響を及ぼしているのでしょうね。かくいう自分も当時幼稚園に入るか入らないかの歳でしたが、アイルトン・セナの事故死にショックを受けた記憶がありますし。
それでも結構難しい内容の手紙を自分なりにアレンジして改めて遊貴との絆を再確認した美夏の言葉に胸打たれるものがありました。美少女同士の友情はやはり美しいですね(え

質問コーナーですか……いざ改めて聞かれると何を問えばいいのかわからなくなってしまうというね。ただ気になっている点としましては遊貴のメタフィジカをはじめ、多数のオリカが登場しましたが、それだけのオリカを何処からヒントを得て作れるのかな、というのは気になっています。二次創作ならともかくゼロから作るのはどうにも不得手なので……後、もし可能であればでいいのですが、Alesさんのその文章力や表現力は何処で磨かれたのか、というのも気になっているのでそれについても教えて頂ければ幸いです。
(2016-05-19 16:38)
Ales(from SP)
無事に終わって、ひとまずほっとしております。
2部のプロット、あと少しなのにアイデアが……うごごご

ドクダミ2号さん
無事終わりました。なんかもう、まともな手紙書くのとか10年近くやっていなかったので実際ヤバレカバレです。ネタバレしますと、一太郎ってSUGEEEEってオチになるんですけど。
そちらのお話も楽しみにしておりますので、無理のない程度に頑張って下さい。

光芒さん
ロロナについてはまあ……のっけから全開と言いますか、琉枝さん全開ルートと言いますか……そんな感じです。
一番怖いのは、自分でもどこにどんな伏線を張ったのか覚えていない事なんですよね。ネオサイタマならセプクものでございます。

>手紙の内容から見るに、2人はビジネスのみの関係ではないということがわかります
そうですね。一応学生時代の同期という設定がありました。結局活かすことは出来ませんでしたが。

>結構難しい内容の手紙を自分なりにアレンジして改めて遊貴との絆を再確認した美夏の言葉に胸打たれるものがありました
書いていて、「あ、美夏絶対こんな事言わないよな」と思いましたが、言わないからこそ書くのかと考えると、それはそれでいいんじゃね?と思いゴーサインを出しました。

質問の件、承りました。
これで茶番が少し減ります(ワーイ) (2016-05-20 00:37)

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122 19 奏で続ける旋律 1159 4 2016-03-10 -
70 20 中身は豚さ♪ 1323 2 2016-03-12 -
87 21 馬鹿め嘘だ、馬鹿め嘘だ 1309 4 2016-03-14 -
112 22 I got ’pig iron’♪ 1167 2 2016-03-16 -
113 23 Get your ticket 1183 2 2016-03-18 -
88 24 She once was a… 1155 2 2016-03-20 -
136 25 if you really try 1264 2 2016-03-22 -
140 26 虹の橋を越えて 1218 2 2016-03-24 -
126 27 gray sand 1222 2 2016-03-26 -
109 28 lonely words 1084 2 2016-03-28 -
129 29 Build a fortress 1162 2 2016-03-30 -
106 30 自由に歩いて 1132 2 2016-04-01 -
113 31 気持ち隠して 1148 2 2016-04-03 -
131 32 シャボン玉ひとつ 1159 0 2016-04-05 -
72 33 その日まで 1034 2 2016-04-07 -
88 34 少しずつ埋めるように 1132 2 2016-04-09 -
130 35 碧の道に沿うように 1201 2 2016-04-11 -
79 36 信じた夢を目指して 1078 2 2016-04-13 -
173 37 Revive → 1291 2 2016-04-15 -
136 38 道標を探すのなら… 1151 2 2016-04-17 -
100 39 Element of SPADA1 1186 2 2016-04-19 -
133 40 さよならトリップ・1 1070 2 2016-04-21 -
120 41 In the Zone・1 1188 2 2016-04-23 -
77 42 In the Zone・2 1067 2 2016-04-25 -
59 デッキ詳説:XD (最終稿?) 1113 0 2016-04-26 -
128 43 星の扉・1 1071 2 2016-04-27 -
93 44 F.A.T.E. part1 1233 2 2016-04-29 -
68 45 F.A.T.E. part2 1192 2 2016-05-01 -
162 46 笑顔の訳 1215 4 2016-05-03 -
93 47 Element of SPADA2 1224 2 2016-05-05 -
71 48 星の扉 part2 1185 2 2016-05-07 -
64 49 Wings of Tomorrow 1260 2 2016-05-09 -
79 閑話休題 ゆきみかりんのパーフェクトry 1325 2 2016-05-11 -
120 50 In the Zone・3 1073 4 2016-05-13 -
83 51 星の扉 part3 1196 4 2016-05-15 -
113 52 星の扉 part4 1306 5 2016-05-17 -
119 53 さよならトリップ part.2 1236 3 2016-05-19 -
93 閑話休題2:座談会 1221 2 2016-05-21 -
120 第2部予告・キャラ紹介 1421 0 2016-05-23 -
119 54 開幕前の旋風 1286 2 2016-05-26 -
124 55 コピーとオリジナルとコピー 前編 1231 2 2016-05-29 -
67 56 コピーとオリジナルとコピー 中編 1126 2 2016-06-01 -
105 57 コピーとオリジナルとコピー 後編 1146 2 2016-06-04 -
83 58 螢火の幽霊娘 1191 2 2016-06-07 -
131 59 Brave Sword 1256 4 2016-06-10 -
126 60 Braver’s Soul 1212 2 2016-06-13 -
127 幕間 久実のだらだラジオ01 1223 0 2016-06-14 -
96 61 紙一重の差で 1269 2 2016-06-16 -
89 62 Beyond the fate 1135 2 2016-06-19 -
122 63 一点突破! 1193 2 2016-06-22 -
103 64 交わされた約束 1050 2 2016-06-25 -
128 65 狂イ咲ケ焔ノ華 1246 2 2016-06-28 -
115 66 光と焔 1214 2 2016-07-01 -
120 67 Rifling fate 1163 2 2016-07-04 -
66 68 Gunslinger in... 1117 2 2016-07-07 -
128 幕間 久実のだらだラジオ02 1118 2 2016-07-10 -
52 69 Extra-Zero 8 1098 2 2016-07-13 -
135 70 軍靴の鳴動 1053 2 2016-07-16 -
146 71 休憩の過ごしかた 1142 2 2016-07-19 -
131 72 激戦の予感 1328 2 2016-07-22 -
110 10000閲覧感謝特番(特番とはry) 1129 2 2016-07-25 -
128 73 幻竜と隼 1141 2 2016-07-28 -
108 74 薄氷 1079 2 2016-08-01 -
133 【告知】一万閲覧感謝祭について【重点】 1278 7 2016-08-02 -
110 74 バード・ストライク 1044 2 2016-08-04 -
116 75 革命と終端 1091 2 2016-08-07 -
124 76 Soldier’s Ballad 1017 4 2016-08-10 -
119 77 Full Boost! 1033 2 2016-08-13 -
130 78 Dead heat 1146 2 2016-08-16 -
130 79 フューチャー・リビジョン 1087 2 2016-08-19 -
119 幕間 久実のだらだラジオ03 1118 2 2016-08-22 -
130 80 それぞれの「加速度」 972 2 2016-08-25 -
60 81 EDEN 1061 4 2016-09-01 -
66 82 闇夜の錦 1039 2 2016-09-05 -
129 83 月影 1256 2 2016-09-09 -
95 84 宵待桜と日照の龍 1082 2 2016-09-13 -
118 85 Sakura Sunrise 1207 2 2016-09-18 -
87 閑話休題:お詫びとおまけ 1095 2 2016-09-22 -
55 86 宵闇に舞え、幽玄の桜 1061 4 2016-09-26 -
88 87 ‘‘fascination’’ 1017 4 2016-10-05 -
57 88 曙光の歌 890 2 2016-10-13 -
93 89 夜露に濡れた朝陽 1153 2 2016-10-18 -
169 90 9.A.M. 1237 2 2016-10-26 -
131 幕間 久実のだらだラジオ04 1169 2 2016-11-01 -
116 91 Gwin to run 1005 2 2016-11-09 -
121 92 ライトニング・マイル 995 4 2016-11-15 -
141 93 双振 1061 2 2016-11-20 -
50 94 鉛と金と 957 2 2016-11-25 -
110 95 剣と牙 1043 2 2016-11-29 -
115 96 剣戟連閃 *ミス有・未修正 1123 4 2016-12-04 -
120 97 Follow Tomorrow 1110 6 2016-12-06 -
71 幕間 久実のだらだラジオ05 1012 3 2016-12-07 -
69 番外編1-1 plan 8 to B 1032 3 2016-12-11 -
119 番外編1-2 †渚の大魔王† 1070 5 2016-12-15 -
158 番外編1-3 灼熱<(ヮ)> 1107 4 2016-12-18 -
119 番外編2-1 籐篠塾・開講? 984 5 2016-12-21 -
99 番外編2-2 実践?籐篠塾 1112 3 2016-12-23 -
119 そぴあちゃんのくり(ry 1208 3 2016-12-25 -
129 番外編2-3 対面する者たち 1105 3 2016-12-30 -
76 番外編2-4 集結と収束 959 7 2017-01-03 -
106 番外編2-5 勝負の鍵は右端に・1 1037 3 2017-01-05 -
135 【番外編の】閑・話・休・題【番外編】 1159 2 2017-01-10 -
97 番外編2-6 勝利の鍵は右端に・2 1055 5 2017-01-13 -
141 番外編2-7 因縁と銃弾と一瞬の隙・1 1077 2 2017-01-15 -
113 番外編2-8 因縁と銃弾と一瞬の隙・2 966 4 2017-01-18 -
133 番外編2-9 因縁と銃弾と一瞬の隙・3 1049 4 2017-01-22 -
122 番外編 2-10 山場と御山と一撃必中1 1175 9 2017-01-27 -
68 番外編 2-11 山場と御山と一撃必中2 1139 8 2017-01-31 -
124 番外編2-12 服と感性と(pt.1) 978 4 2017-02-04 -
117 番外編2 前半終了の幕間 1078 9 2017-02-06 -
134 番外編2-13 服と感性と(pt.2) 933 2 2017-02-10 -
137 幕間 論争、宇宙まで 994 2 2017-02-14 -
124 番外編2-14 服と感性と(pt.3) 991 2 2017-02-16 -
123 【緊急?更新】今後の方策について 1064 2 2017-02-18 -
109 番外編2-15 服と感性と(pt.4) 1051 10 2017-02-21 -
126 番外編2-16 漁火と陣風と(pt.1) 1171 2 2017-02-26 -
138 番外編2-17 漁火と陣風と(pt.2) 1022 2 2017-03-03 -
103 番外編2-18 Symphonic…1 1129 2 2017-03-14 -
116 【こいついつも】閑話☆休題【休んでんな】 1012 2 2017-03-20 -
118 番外編2-19 Symphonic…2 829 3 2017-03-27 -
91 番外編2-20 新乱気流…pt.1 905 2 2017-04-05 -
147 番外編2-21 新乱気流…pt.2 949 2 2017-04-16 -
132 番外編2-22 新乱気流…pt.3 961 2 2017-04-21 -
102 番外編2-23 Waltzic...p1 941 2 2017-04-26 -
127 番外編2-24 Waltzic...p2 1021 2 2017-05-02 -
109 番外編2-25 Waltzic...p3 1094 6 2017-06-03 -
87 番外編2-26 Waltzic...p4 855 3 2017-06-11 -
112 番外編2-26 Waltzic...p5 973 4 2017-06-24 -
156 98 Drawback 1107 2 2017-07-10 -
137 99 Silhouette 939 2 2017-09-22 -
130 Where is my No.100!? 1082 4 2017-11-19 -
95 番外編File-X 静かな夜に? 1025 2 2017-12-25 -
109 Over the Period -御品書 950 2 2018-06-14 -
65 OtP0 Boat 820 2 2018-07-07 -
87 OtP02 Serenade 854 0 2018-07-14 -
76 OtP03 Dirge 827 0 2018-09-01 -
86 OtP04 Requiem 831 2 2018-09-17 -
101 OtP05 Period 849 2 2018-09-24 -
60 幕間りたーんず01 新・メタフィジカ 762 0 2018-09-28 -
128 OtP06 Anthem 868 2 2018-10-14 -
109 OtP07 Perfectly 969 2 2018-10-19 -
65 OtP08 Possession 736 2 2018-11-02 -
56 OtP09 Bloomin’ 879 2 2018-11-22 -
93 OtP10 Danger! 850 2 2018-12-09 -
115 OtP11 Vidofnir 984 2 2018-12-22 -
90 OtP12 Sigmund 787 2 2019-01-01 -
61 OtP13 Quantum 862 2 2019-01-11 -
104 OtP14 Vicious 868 2 2019-01-25 -
95 OtP15 Quantize 812 3 2019-01-29 -
89 OtP16 Fragments 913 2 2019-02-04 -
76 OtP17 Nornir 744 2 2019-02-15 -
87 OtP18 Beyond the End 756 2 2019-02-20 -
74 OtP第三幕 コラボ企画おしながき 711 2 2019-02-24 -
103 OtP19 Deflect 795 2 2019-03-01 -
61 OtP20 Jokulhaups 720 2 2019-03-11 -
63 OtP21 Expedition 788 2 2019-03-15 -
60 OtP22 Lindwurm 807 2 2019-03-19 -
53 OtP23 Swords 718 2 2019-03-24 -
69 【OtP】決戦前特番嘘ですごめんなさい 770 2 2019-04-01 -
126 OtP24 Charge 789 2 2019-04-08 -
119 OtP25 Manque 762 2 2019-04-21 -
71 OtP26 Lightning 686 2 2019-05-03 -
72 OtP27 Blaze 795 2 2019-05-22 -
71 OtP28 Prelude 913 2 2019-09-29 -
91 OtP29 Phantom 757 0 2021-01-02 -
59 OtP30 mare-Nectaris 604 2 2023-01-22 -
48 OtP31 Enclosure 416 1 2023-11-06 -

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