48　星の扉 part2　作：Ales

　ロロナが捨てたカード５枚のうち４枚はモンスターで、合計３種類であった。しかし、いずれにも見覚えがある。


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《メタフィジカ・ドラゴン－チエラルコ/Metafizika Dragon -Ĉielarko》
効果モンスター
星４/闇属性/幻竜族/攻０/守０
（１）：自分フィールド上に幻竜族モンスターが召喚された場合に発動できる。墓地のこのカードをレベル２のチューナーとして特殊召喚できる。この効果を使用したターン、自分は「メタフィジカ」モンスター以外召喚・特殊召喚できない。
（２）：墓地のこのカードを除外して発動できる。手札または墓地で発動したカードの効果を無効にする。この効果は相手ターンでも使用できる。

《メタフィジカ・ドラゴン－ストルモ/Metafizika Dragon -Ŝtormo》
星４/闇属性/幻竜族/攻１８００/守２００
（１）：自分フィールド上に幻竜族モンスターが召喚された場合に発動できる。墓地のこのカードをレベル２のチューナーとして特殊召喚できる。この効果を使用したターン、自分は「メタフィジカ」モンスター以外召喚・特殊召喚できない。
（２）：このカードがこのカード以外の効果で特殊召喚に成功した時に発動できる。フィールド上のカード１枚を破壊する。

《メタフィジカ・ドラゴン－ストーノ/Metafizika Dragon -Ŝtono》
星４/闇属性/幻竜族/攻０/守２０００
（１）：自分フィールド上に幻竜族モンスターが召喚された場合に発動できる。墓地のこのカードをレベル２のチューナーとして特殊召喚できる。この効果を使用したターン、自分は「メタフィジカ」モンスター以外召喚・特殊召喚できない。
（２）：このカードの特殊召喚に成功した時に発動できる。フィールド上のカード１枚の効果を、ターン終了時まで無効にする。
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　「メタフィジカ……でも、ちょっとだけ違う……」

　見れば効果の大半が同じだが、名前は微妙に違う上、何より１ターンに１度の制限がない。

　「ええ、私は元々デッキなんて持ってませんでしたから、これはあなたのカードだったものです。さて、４体の闇属性・幻竜族モンスターを捨てたのでデッキから４体サーチできます。《メタフィジカ・ドラゴン－グラシオ》を３体と《メタフィジカ・ドラゴン－ヌーボ》を１体、合計４体です。確認しますか？」
　「ん……」


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《メタフィジカ・ドラゴン－グラシオ/Metaphysica Dragon -Glacio》
星４/闇属性/幻竜族/攻１９００/守１００
（１）：自分フィールド上に幻竜族モンスターが召喚された場合に発動できる。墓地のこのカードをレベル２のチューナーとして特殊召喚できる。この効果を使用したターン、自分は「メタフィジカ」モンスター以外召喚・特殊召喚できない。
（２）：１ターンに１度、「メタフィジカ」モンスターの特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから１枚ドローする。

《メタフィジカ・ドラゴン－ヌーボ/Metaphysica Dragon -Nubo》
星４/闇属性/幻竜族/攻７００/守１３００
（１）：自分フィールド上に幻竜族モンスターが召喚された場合に発動できる。墓地のこのカードをレベル２のチューナーとして特殊召喚できる。この効果を使用したターン、自分は「メタフィジカ」モンスター以外召喚・特殊召喚できない。
（２）：墓地のこのカードを除外して発動できる。フィールド上のカード１枚を手札に戻す。この効果は相手ターンでも使用できる。
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　「…………は？」

　これまたどこかで見たことのあるステータス。しかし、テキストに書いてあることはかなり危ない内容だ。

　「ふふ……ではまずは、これからいきましょう。グラシオを召喚して墓地のチエラルコ、ストルモ、ストーノの効果を発動、この３体をレベル２のチューナーとして特殊召喚します。グラシオの効果にチェーンしてストーノのフィールド上での効果、相手フィールド上のカードの効果を、このターン終了時まで無効にします。チェーンされますか？」
　「むぅ……」

　これまた厄介な事態になった。もしロロナの操るデッキが自分の持っていた「メタフィジカ」を模倣しているのなら、エクストラデッキにはもっと厄介なモンスターが存在することになる。

　「…………《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》の効果発動、ストーノの効果を無効にして破壊する。」

　効果無効にされればどうせ2100打点のバニラ。それなら、一時的にでも相手の展開を阻害した方が良いだろう。

　「ええ、あなたはそうするしかないでしょうね……ではストーノは破壊、グラシオの効果で１枚ドロー。そしてレベル４の《メタフィジカ・ドラゴン－グラシオ》に、レベル２となった《メタフィジカ・ドラゴン－チエラルコ》をチューニング……原初の白龍、その力で勝利に導け！シンクロ召喚、《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ホワイト・ボディ》！」
　「あれ……？」

　ロロナがシンクロ召喚したモンスターは、遊貴が持っていたものと寸分違わぬものであった。

　「このカード、どうも遊貴さんとの親和性が強いらしいですねぇ……「メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン」モンスターについては、どうやらそのままみたいですよ？さて、ホワイト・ボディの効果、シンクロ召喚に成功した時にデッキから「メタフィジカ」モンスター１体を特殊召喚します。来なさい、《メタフィジカ・ドラゴン－ストルモ》！ストルモの効果、このカードが特殊召喚に成功した時、フィールドのカード１枚を破壊できます。では……そのセットカードを選択します。」
　「むぅ……リバースカードオープン、速攻魔法《スケープ・ゴート》を発動。このターンの召喚・反転召喚・特殊召喚を禁止する代わりに、《羊トークン》４体を守備表示で特殊召喚。」

　遊貴のフィールドに、半透明のカードと羊が現れる。このトークンはステータス的には全くのお荷物だが、トークンが存在する時に破壊耐性を得る「幻獣機」モンスターとは相性がよい。またレベル１であるため、シンクロ召喚のレベル調整にも使用できる。とはいえ実際は速攻魔法であることを活かした壁役として発動されることが大半で、その優秀さから一時期制限カードにまでなったのだから相手にとっては厄介極まりない。

　「あらら……壁を増やされてしまいましたか。まあ、関係ないんですけれど。レベル４の《メタフィジカ・ドラゴン－ストルモ》に、レベル２となった《メタフィジカ・ドラゴン－ストルモ》をチューニング……黄泉の雷、眼前の敵を灼き尽くせ！シンクロ召喚、《メタフィジカ・ドラゴン－トンドロ》！」


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《メタフィジカ・ドラゴン－トンドロ/Metaphysica Dragon -Tondro》
シンクロ・効果モンスター
星６/闇属性/幻竜族/攻２４００/守１０００
幻竜族チューナー+「メタフィジカ」モンスター１体以上
（１）：このカードのＳ召喚に成功した時に発動できる。フィールド上の魔法・罠カードを２枚まで破壊できる。
（２）：このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、以下の効果から１つを選択して発動できる。
・このカードの元々の攻撃力は、破壊したモンスターの元々の攻撃力分アップする。
・自分の手札または墓地のモンスター１体を除外する。その後、フィールド上のカード１枚を破壊する。
（３）：Ｓ召喚によって特殊召喚されたこのカードがフィールドを離れた場合、除外された「メタフィジカ」モンスター１体を特殊召喚する。
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　「では、バトルフェイズに参りましょうか。まずは《メタフィジカ・ドラゴン－トンドロ》で《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》を攻撃。さあ遊貴さん、覚悟はいいですか……？」

　ロロナのその言葉を、すぐには理解できなかった。


《メタフィジカ・ドラゴン－トンドロ》　ATK：2400　　ATK：2100　《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》
　遊貴　LP：7000　→　6700


　「っ！うあっ！」

　閃光に目がくらんだだけではない。全身に電気が走ったような痛みが遊貴を襲ったのだ。

　「あらあら……まだ先は長いのですよ？そんなので大丈夫ですか？まあ、もうダメだと思ってからでも私は投降を受け入れますから、好きなだけ足掻いて下さい。さて、戦闘破壊に成功したトンドロの効果、墓地のストルモを除外して《羊トークン》１体を破壊しますね。更に《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ホワイト・ボディ》で《羊トークン》に攻撃。」


　《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ホワイト・ボディ》ATK：2000　　DEF：0　《羊トークン》


　「メインフェイズ２に移行します。レベル６の《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ホワイト・ボディ》と《メタフィジカ・ドラゴン－トンドロ》をオーバーレイ、2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚！《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ブラック・ボディ》！」
　「ブラック・ボディ……むぅ。」

　「黒い身体」の名を持つこの竜は、１ターンに１度フリーチェーンでフィールドのカードの効果を全て無効にしてしまう。しかも今回は「メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン」モンスターをエクシーズ素材としているため、手札の「メタフィジカ」モンスターを捨てることでその効果を発動することもできるようになっている。遊貴にとっては厄介極まりないカードであり、また【メタフィジカ】の主力でもあった。

　「私はこれでターンエンドです……さあ、足掻いて下さいね？」

　酷薄な笑みを湛えるロロナは、月の逆光に入って一層不気味に見える。



3rd.Turn
　TP：Snow

Lolona　LP：8000　D：28　H：4　G：7
　F：《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ブラック・ボディ（ORU：2）》
Snow　LP：6700　D：35　H：2　G：6
　F：《羊トークン》×２



　「私のターン、ドロー。むぅ……」

　ドローしたカードは、確かに相手のデッキに対して有効であると言える。しかし今は返しのターンに敗北しない程度には展開しないといけない。そう考えると、このカードは現状、あまり有用とは言えない。

　「《幻獣機ブルーインパラス》を召喚。ブルーインパラスはシンクロ召喚に使用する際、シンクロ召喚するモンスターは機械族に限定され、他のモンスターは「幻獣機」モンスターに限定される代わりに、手札のモンスターも素材とすることが出来る。手札のレベル４の《幻獣機テザーウルフ》に、レベル３の《幻獣機ブルーインパラス》をチューニング……シンクロ召喚、《カラクリ将軍　無零》！無零のシンクロ召喚に成功した時、デッキから「カラクリ」モンスター１体を特殊召喚できる……チェーンは？」

　意趣返しといわんばかりに、遊貴はロロナに訊ねた。ブルーインパラスのシンクロ召喚の制限と手札の「幻獣機」もシンクロ召喚に使用可能となる効果は効果外テキストに該当するため、ブラック・ボディで無効にしても無零はシンクロ召喚可能だったのだ。まさにルールの穴をついた展開である。

　「そうですね。これ以上モンスターを増やされても困りますから、ここは無効にしておきましょう。オーバーレイ・ユニットを１つ消費して、フィールドの全てのカードの効果を無効にします。」
　「ん……バトルフェイズ、《カラクリ将軍　無零》で《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ブラック・ボディ》を攻撃！」


《カラクリ将軍　無零》　ATK：2600　　ATK：2500　《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ブラック・ボディ》
　Lolona　LP：8000　→　7900


　「くっ……しかしここでフィールドを離れたブラック・ボディの効果発動、デッキ・エクストラデッキ・墓地から「メタフィジカ・ジェネシス」モンスター１体を召喚条件を無視して特殊召喚します。《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－イエロー・ボディ》を特殊召喚！」

　転んでもただでは起きないと言わんばかりに、ロロナが展開したのは、通常モンスターながら攻撃力2600を持つ竜だった。

　「でも、これで一番厄介なカードは除去できた……」

　そう、遊貴が駆っていた【メタフィジカ】において、最も強力な効果を持つモンスターは、この《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ブラック・ボディ》である。破壊こそしないもののフィールド上のカードの効果を問答無用で無効にするその効果は、どのデッキにも刺さる強力無比な効果だ。
　しかしロロナは、全く気にしていない様子である。

　「あら、本当にそうでしょうか……」
　「…………？」

　前ターン終了時と同じく薄い笑みを浮かべ、ロロナは声を出す。

　「それは、次のターンのお楽しみ、ですよ。ふふふ……」





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《？次回予告？》


？？？　「あなたが落としたのは……」
フランツ　「何も落としていない！」

ナレーター　「この間わずか0.2秒」



次回、「Wings of Tomorrow -Another view：F.Viktor」
高く飛ぶための翼で、明日へ－