17　Black and White　作：Ales

　「エクシーズ召喚……？」
　「そう……レベル６の《メタフィジカ・ドラゴン－イグニス》と《メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン－イエロー・ボディ》でオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚。《メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン－ブラック・ボディ》。」

　黒い身体の名に違わず、その竜は黒く、そして大きい。後肢で地に立ったその巨躯は、遙か天を突いている。


---
《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ブラック・ボディ/Metaphysica Genesis Dragon -Black body》
エクシーズ・効果モンスター
ランク６/光属性/幻竜族/攻２５００/守２４００
レベル４以上・同じレベルの「メタフィジカ」モンスター×２
「メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン」モンスターは１ターンに２度までしか特殊召喚できない。
（１）：１ターンに１度、このカードのＸ素材を１つ取り除いて発動できる。このターン終了時まで、このカード以外のフィールド上のカードの効果を無効にする。この効果は相手ターンでも使用できる。
（２）：このカードが「メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン」モンスターまたは「メタフィジカ」ＳモンスターをＸ素材としている場合、以下の効果を得る。
・このカードの（１）の効果を使用する場合、Ｘ素材を取り除く代わりに手札の「メタフィジカ」モンスター１体を墓地に送ることができる。
（３）：このカードがフィールドを離れた時に発動する。デッキ・エクストラデッキ・墓地から「メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン」モンスター１体を、召喚条件を無視して特殊召喚する。
---

　「フリーチェーンの…効果無効！？」
　「そう……バトルフェイズ、《メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン－ブラック・ボディ》で《大戦遺物　マニクール》を攻撃。」


《メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン－ブラック・ボディ》ATK：2500　ATK：2400《大戦遺物　マニクール》
SeaMirror　LP：7300　→　7200


　「……《大戦遺物　ウィンザー》の効果発動、このカードを特殊召喚してデッキの《内部装着　サイプレス》を装備。」
　「ブラック・ボディの効果、エクシーズ素材の代わりに手札のグラシエスを墓地に送って、フィールドのカードの効果を無効にする。《メタフィジカ・ドラゴン－ニクス》で、《大戦遺物　ウィンザー》を攻撃。」


《メタフィジカ・ドラゴン－ニクス》ATK：1600　DEF：0《大戦遺物　ウィンザー》


　「２枚目は引いていないよ。そのままどうぞ。でも、流石だね。」
　「ん、ありがと……《メタフィジカ・ドラゴン－ウンブラ》でダイレクトアタック。」


《メタフィジカ・ドラゴン－ウンブラ》ATK：2000
SeaMirror　LP：7200　→　5200


　「私はこのまま……っ！？」

　ターンエンド、と言おうとした瞬間、嫌な予感が胸を襲った。このままターンエンドすると、マズい。

　「メイン２、レベル４の《メタフィジカ・ドラゴン－ウンブラ》に、レベル２となった《メタフィジカ・ドラゴン－シニス》をチューニング。シンクロ召喚、《メタフィジカ・ドラゴン－トニトルス》。更に魔法カード《ハーフ・ライト》を発動。墓地の《メタフィジカ・ドラゴン－グラシエス》を、レベル・攻撃力・守備力を半分にし、チューナー扱いで特殊召喚。そしてレベル６の《メタフィジカ・ドラゴン－トニトルス》に、レベル２となった《メタフィジカ・ドラゴン－グラシエス》をチューニング。シンクロ召喚、《ステラパルヴィス・ドラゴン》。後は、カードを１枚セットしてこれでターンエンド……」

　何故嫌な予感がしたのかはわからない。しかし、このままターンを渡すと負けてしまうような気がして、デュエルの行方をこの竜に託した。負けて後悔しないように。


---
《ハーフ・ライト/Half Light》
通常魔法
（１）：墓地の「メタフィジカ」モンスター１体を選択して発動する。そのモンスターをチューナー扱いで特殊召喚する。この効果によって特殊召喚されたモンスターのレベル・攻撃力・守備力は半分になり、効果は無効化される。
---



5th.Turn
　TP：SeaMirror

SeaMirror　LP：5200　D：27　H：3　G：9
　F：none

Snow　LP：3900　D：21　H：5　G：10
　F：《ステラパルヴィス・ドラゴン》《メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン－ブラック・ボディ（X素材：２）》
　《幻栄の光》　《幻界突入》《セットカード》



　「僕のターン、ドロー……ふう。」
　「……？」

　ロックを維持できればそのまま押し切れたはずの『SeaMirror』は、それが破られても冷静だった。ライフ差があるとはいえ僅少。手札や墓地といったリソースも、彼が不利を受けているだろう。カードの数によって上昇する攻撃力も、ひとたびブラック・ボディの効果を受ければ０になってしまう。しかし彼には、笑いを漏らす余裕すらある。

　「一体、何が……」
　「手札から、《大戦遺物　スレッジハマー》を召喚。効果で《大戦遺物　ゾスマ》を特殊召喚。さあ行くよ……死なないでネ。」


---
《大戦遺物　スレッジハマー/Warparts SledgeHammer》
効果モンスター/星４/風属性/機械族/攻０/守０
（１）：このカードの攻撃力・守備力は、「大戦遺物　スレッジハマー」以外のフィールド・墓地の「大戦遺物」「大戦場」「内部装着」カードの数×４００ポイントになる。
（２）：墓地のこのカードを除外して発動する。フィールド上の魔法・罠カード１枚を破壊する。この効果は相手ターンでも使用できる。
---


　彼の目から光が消えたのを、遊貴は見逃さなかった。

　「え……？」
　「レベル４の《大戦遺物　スレッジハマー》にレベル４の《大戦遺物　ゾスマ》をチューニング。暴風集いて災禍を起こス。終焉の雷撃を受けロ！シンクロ召喚、《ボルトストーム・ドラゴン》！」

　風が渦巻き、落雷が発生した。その中から飛び立った竜が、遊貴めがけて突進した。


　「《ボルトストーム・ドラゴン》の効果、デッキの上から３枚除外までしテ、その数だケフィールドのカードを破壊すル。モンスター２体トセットカードを破壊すル。『ライトニング・ブラスター』！」

　風を纏って突進した竜が、摩擦の熱と静電気を帯びて更に加速した。

　「っ！《ステラパルヴィス・ドラゴン》の効果発動、このカードを除外する事でカードを破壊する効果を無効にする！『フラッシュティア』！」


---
《ボルトストーム・ドラゴン/Voltstorm Dragon》
シンクロ・効果モンスター/星８/風属性/ドラゴン族/攻２８００/守１６００
チューナー＋チューナー以外のモンスター１体以上
このカードはフィールド上のカードの効果を受けない。
（１）：このカードのＳ召喚に成功した時に発動する。デッキの上からカードを３枚まで除外し、その数だけフィールド上のカードを破壊する。

《ステラパルヴィス・ドラゴン/Stellapulvis Dragon》
シンクロ・効果モンスター
星８/光属性/ドラゴン族/攻２５００/守２０００
チューナー+チューナー以外のモンスター１体以上
このカードはルール上、「メタフィジカ」モンスターとしても扱う。
（１）：自分フィールド上のモンスターを破壊する魔法・罠・モンスター効果が発動したとき、このカードを除外して発動する。その発動を無効にする。この効果は相手ターンにも使用できる。
（２）：（１）の効果で除外されたこのカードは、次のスタンバイフェズに自分フィールド上に特殊召喚できる。
（３）：このカードの（２）の効果で特殊召喚に成功したとき、相手フィールド上のカード１枚を選択して発動する。そのカードを墓地に送る。この効果に対して、相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない。
---


　突進した雷竜を光が包み、そのまま弾き飛ばした。

　「へェ。でも、破壊はしないんダ。バトル、《ボルトストーム・ドラゴン》デ《メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン－ブラック・ボディ》ヲ攻撃。『インディグネイト・ジャッジメント』！！」

　雷竜が飛び上がった空がにわかに曇り、巨大な稲妻が黒竜を貫いた。

《ボルトストーム・ドラゴン》ATK：2800　ATK：2500《メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン－ブラック・ボディ》

　Snow　LP：3900　→　3600

　「っ……かはっ。」

　閃光に、思わず声が出た。

　「フィールドを離れたブラック・ボディの効果、エクストラデッキから《メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン－ホワイト・ボディ》を特殊召喚！」

　白き身体の名に違わぬ白竜は、先の竜と同じ大きさで空に舞った。


---
《メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン－ホワイト・ボディ/Metaphysica Genesis Dragon -White body》
シンクロ・効果モンスター
星６/光属性/幻竜族/攻２０００/守２０００
幻竜族チューナー+「メタフィジカ」モンスター１体以上
「メタフィジカ・ジェネシス・ドラゴン」モンスターは１ターンに２度までしか特殊召喚できない。
（１）：このカードのＳ召喚に成功した時に発動できる。デッキから「メタフィジカ」モンスター１体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは、レベル２のチューナーとして扱う事ができる。
（２）：墓地のこのカードを除外して発動できる。このカード以外の除外された「メタフィジカ」モンスターをＸ素材として、「メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン」Ｘモンスター１体をＸ召喚する。この効果はデュエル中１度だけ使用できる。
---


　「そんな竜デ……何をするつもりだイ？」
　「……」
　「ハハッ、まあいいヨ。僕ハこのままターンエンド。さあ、楽しませてヨ。」



5th.Turn
　TP：Snow

Snow　LP：3600　D：21　H：5　G：12
　F：《メタフィジカ・ジェネシス･ドラゴン－ホワイト・ボディ》
　　《幻栄の光》　《幻界突入》《セットカード》

SeaMirror　LP：5200　D：27　H：1　G：9
　F：《ボルトストーム・ドラゴン》



　「私のターン、ドロー。」

　直感は、結果的に正しかった。もしあのままターンを終えてれいれば、《ボルトストーム・ドラゴン》の効果でフィールドのモンスターは全滅し、直接攻撃でライフを大幅に削られたいた。
　ともかく、あのカードを出す前後から彼の態度が変わった。言葉からは丸みが消え、代わりに棘が散見される。

　「スタンバイフェイズ、自信の効果で除外した《ステラパルヴィス・ドラゴン》をフィールドに戻す。効果で相手フィールドのカード１枚を墓地に送る事が出来るけど……」
　「《ボルトストーム・ドラゴン》はフィールドのモンスターの効果を受けなイ。残念だったネ。」
　「ん……そうでもない、かな。」
　「へぇ。倒せるモンスターガいなくてモ、随分余裕なんだネ。」

　単純に打点勝負で負けはしない。ましてや、2800程度の打点が超えられない訳がない。それに、高打点を叩き出すのは何も全てのモンスターでなくても良いのだ。一瞬だけでも、１体でも爆発的な火力を持たせれば、それを起点に全てのモンスターで攻撃出来る。
　彼の虚勢は、所詮砂上の楼閣だ－




---
《？次回予告？》

Snow　「そういう……事か……」
SeaMirror　「さあ、どうするノ？もっト楽しませてヨ！」


Snow　「私は……負けない……」
SeaMirror　「っ！このモンスターは……！？」


次回、「Earth is round.」
光と嵐、その終端は。