第114話：熱気溢れしサーキット　作：光芒

　このターンで遊希に求められていること。それは第一にBF T-漆黒のホーク・ジョーを除去することだ。あのモンスターが存在する限り、高レベルのBF―――すなわちBFのシンクロモンスターが何度も蘇る不死の存在となるからだ。
　1ターンに1度とはいえ、特殊召喚されるたびに遊希のライフとモンスターの攻守を800削ってくるノートゥングはいざ知らず、戦闘破壊耐性と相手モンスターの弱体化を可能とする“BF-アーマード・ウィング”も厄介極まりない。そしてホーク・ジョーは自身に対する攻撃を他のBFを身代わりにすることもできる。そのためホーク・ジョーにその効果を発動させない上で撃破する必要がある。
　遊希の初手の手札はレベル8のモンスターを2体出せるものであった。そんな彼女が真っ先に思いついたのは2回攻撃が可能な銀河眼の重力竜による戦闘破壊。

（いや、無理だ。黒田さんの手札には……）

　だが前のターン終了時に真九郎はピナーカの効果で手札にカルートをサーチしていた。カルートはBFの戦闘時に手札から墓地に送ることでその攻撃力を自身の攻撃力である1400アップさせる効果を持っている。そのため、重力竜では2体を連続攻撃で戦闘破壊するどころか返り討ちにされてしまう。
　次に思いついたのが同じランク8の神竜騎士フェルグラントによる戦闘破壊。フェルグラントで事前にホーク・ジョーの効果を無効にしておけばノートゥングを身代わりにされることもなく、そのターンのうちはフェルグラント以外のカードの効果を受けなくなるため、カルートの援護もホーク・ジョーは受け付けない。
　だがそれではノートゥングがフィールドに残ってしまう。もし真九郎の手札にチューナーモンスターがいればそこを起点にさらなる展開の基盤にされてしまう恐れがあった。そのためフェルグラントによる攻略も決してベストではなかった。

（……やっぱりこの子を出すのが一番か）
―――何を迷っている？
（このモンスターの効果は強力よ。ただ最初のターンでいきなり消費してしまうと今後に響くかもしれない）
―――なるほど。
（でも決めた。だって私は本気で勝ちに行くんだから）

　決意の遊希は今ドローしたことにより増えた6枚のカードで瞬時に頭の中でこのターンやるべきことを整理した。

「私は手札から銀河眼の雲篭を召喚！」

　遊希のフィールドに召喚されたのは光子竜の幼体ともいうべき存在である銀河眼の雲篭。攻撃力はわずか300であるが、このモンスターを召喚したということは手札には既にあのモンスターがいるということだ。

「銀河眼の雲篭の効果を発動！ このカードをリリースし、手札または墓地から「ギャラクシーアイズ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚します！」
「君の墓地にはギャラクシーアイズはいない……ということは手札に」
「私が特殊召喚するのは……銀河眼の光子竜！！」

　眩い光を放ちながら光子竜が高らかに咆哮する。かつてその美しさと力強さから多くのデュエリストを魅了したモンスターが、今こうして多くの人の前で再び羽ばたいた。あの時の光子竜および遊希のデュエルを憧れの目線で見ていたであろう観客からより一層大きな歓声が沸く。

「これが銀河眼の光子竜……なるほど、噂に違わない華麗なモンスターだ。だけどそのモンスターだけでは俺のBFを倒しきることはできないよ！」
「はい。だからこうするんです！ 私は手札から魔法カード、銀河遠征を発動！ 自分フィールドにレベル5以上の「ギャラクシー」モンスターが存在する場合、デッキからレベル5以上のギャラクシー1体を特殊召喚します！ 私が特殊召喚するのはレベル8の銀河眼の冥府竜です！！」

　銀河遠征によって遊希のフィールドにはレベル8のギャラクシーモンスターが2体並んだ。

「同じレベルのモンスターが2体……！」
「私はレベル8の銀河眼の光子竜と銀河の冥府竜でオーバーレイ！ 2体のギャラクシーモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築！ エクシーズ召喚！！ “銀河に蠢く漆黒の闇、その顎をもって瞳に映る全てを喰らう。命の光、ここに潰やせ！” 目覚めよ、闇の銀河眼！ 銀河眼の掩蔽竜！！」

　光子竜と冥府竜、2体の光の竜が混じり合い生まれるのは光と相反する闇の銀河竜。漆黒の身体をまるで獲物を狙う蛇のようにくねらせて掩蔽竜は雄叫びをあげた。

「掩蔽竜の効果を発動します。オーバーレイユニットを2つ取り除き、フィールドに存在するカードを2枚まで選んでゲームから除外します！！」
「2枚除外！？」
「除外するのはBF T-ホーク・ジョーとBF-星影のノートゥングの2体です！！ 食らい尽くせ、掩蔽竜！！」

　口を大きく開けた掩蔽竜によって、ホーク・ジョーとノートゥングが頭から飲み込まれて消えていった。これでホーク・ジョーによる墓地のBF蘇生およびノートゥングによるバーンダメージとモンスター弱体化の効果は封じることができた。
　しかし、この効果を発動したターンに掩蔽竜は攻撃することができなくなる。遊希はここでこの手を切るかどうか迷ったが、真九郎のフィールドに存在する黒い旋風を残したままというのはデュエルをしていくにあたって避けたいところだった。

「私はギャラクシーアイズと名のついたエクシーズモンスター、銀河眼の掩蔽竜でオーバーレイ！」
「まさか……エクシーズチェンジ！？」
「1体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築！ エクシーズチェンジ！ 目覚めよ、ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン！！」

　先攻1ターン目で2体のBFシンクロモンスターを揃え、万全の態勢を整えた真九郎。しかし、遊希はそれすらもあっさり覆した挙句、攻撃力4000のFA・フォトン・ドラゴンをフィールドに呼び出した。会場のボルテージが最高潮に達する中、真九郎は1人改めて自分と遊希の間にあるデュエルの実力差を思い知らされる形となった。

（こんなにもあっさり攻撃力4000のモンスターを……やはり、俺ではデュエルでは彼女には及ばないか）
「FA フォトン・ドラゴンの効果発動！ オーバーレイユニットを1つ取り除き、フィールドに表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する！ 黒い旋風を破壊します！ “ギャラクシー・サイドワインダー”！！」
「っ……！！」
「そしてメインフェイズ1からバトルフェイズに移行します。ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴンでダイレクトアタック！ “壊滅のフォトン・ストリーム”！！」

ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ATK4000

真九郎 LP8000→4000

「うおおっ！！」

　FA・フォトン・ドラゴンのダイレクトアタックを受けた真九郎のDホイールは大きくバランスを崩し、スピンしながら後退していった。その脇からライフが逆転した遊希の駆るドラグーンが真九郎を追い抜いていく。
　真九郎のファンから悲鳴が上がるものの、真九郎はレースで鍛えた持ち前のドライビングテクニックを駆使してなんとかクラッシュを避ける。しかし、このターンで前を走る遊希に追われる立場から彼女を追う立場へと変わってしまった。

「私はカードを1枚セットしてターンエンドです」


真九郎　LP4000　手札2枚　SC：2
デッキ：32　モンスター：0　魔法・罠：1　墓地：5　除外：2
遊希　LP7200　手札2枚　SC：2
デッキ：35　モンスター：1（ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ORU:0）魔法・罠：1　墓地：5　除外：0


☆TURN03


「俺のターン、ドロー！！」

　真九郎のライフは残り4000。このターンでFA・フォトン・ドラゴンの攻撃を防ぐ手立てが無ければ彼のプロ初デュエルは次のターンで終わる。強力サーチカード、黒い旋風は既にフィールドには存在しない。
　しかし、彼の手札にはFA・フォトン・ドラゴンを撃破するための手立ては既に揃っていた。それを表わすかのように真九郎はDホイールのスピードを急速に上げては遊希の後ろにピタリと食いつく。

真九郎　SC:2→3
遊希　SC:2→3

「攻撃力4000……だけど俺とBFたちの結束はどんな強大な相手だって上回る！」
「それはこのターンでFA・フォトン・ドラゴンを攻略する、ということですか……？」
「そうだ！ まあ、上手くいくかいかないかは君のそのセットカードによるけどね！ 俺は手札から魔法カード、死者蘇生を発動！ 墓地のBF-蒼炎のシュラを特殊召喚する！」
「させません、死者蘇生にチェーンして墓地の銀河眼の掩蔽竜の効果を発動します！ 相手の墓地に存在するカードを2枚まで選択してゲームから除外します！ 除外するのはシュラとゲイルです！！」

　墓地からその身体を伸ばした掩蔽竜の身体が徐々に真九郎のDホイールへと迫っていく。しかし、真九郎はどんな形であっても墓地を活用するための手段を取り揃えていた。

「だったらその掩蔽竜の効果にチェーンしてさらにリバースカードを発動する！」
「掩蔽竜の効果にチェーン！？」
「永続罠、リビングデッドの呼び声を発動！ 墓地のシュラを特殊召喚する！」

　リビングデッドの呼び声→銀河眼の掩蔽竜→死者蘇生の順番でチェーンが組まれる。これにより、リビングデッドの呼び声の効果で除外されるはずのシュラがフィールドに舞い戻った。そして掩蔽竜の効果で墓地に残っているゲイルのみがゲームから除外され、蘇生対象を失った死者蘇生は不発となるのだ。
　掩蔽竜の効果は相手ターンに発動できる効果であるため、確かに強力なのだがフィールド上での効果とは異なり対象を取る効果であるということ、そして今のように別のカードをチェーン発動されてしまえばその効果を存分に発揮することができないのだ。

「ですが……シュラを蘇生したところでどうするんですか？ カルートの効果を使ってもシュラの攻撃力は3200。FA・フォトン・ドラゴンには届きません！」
「そうだね。でもこいつがそれを可能にしてくれる。自分フィールドにBFが存在する時、BF-疾風のゲイルは手札から特殊召喚できる！！」
「2枚目！？」

　かつては制限カードに指定されるほど強力なモンスターであったBF-疾風のゲイル。チューナーモンスターかつサポートカードの豊富な闇属性ということもあって幅広いデッキで汎用チューナーとして使用されることの多いモンスターだが、そんなゲイルはやはりBFデッキで使ってこそ真価を発揮する。

「疾風のゲイルの効果を発動！ 相手フィールドに存在するモンスター1体の攻守を半分にする！！」

ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ATK4000 DEF3500→ATK2000 DEF1750

「FA・フォトン・ドラゴンの攻撃力が……！！」
「バトルだ！ BF-蒼炎のシュラでギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴンを攻撃！」

BF-蒼炎のシュラ ATK1800 VS ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ATK2000

「本当はこんな形で使いたくありませんでしたが……リバースカードオープン！ 永続罠、ギャラクシー・ジャベリンをFA・フォトン・ドラゴンを対象に発動します！ これでこのカードの攻撃力は800ポイントアップします！」

ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ATK2000→2800

「だったら俺はダメージステップ時に手札のBF-月影のカルートを墓地に送ってその効果を発動する！」


※BF-月影のカルート
効果モンスター
星3/闇属性/鳥獣族/攻1400/守1000
(1)：自分の「BF」モンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時からダメージ計算前までに、このカードを手札から墓地へ送って発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで1400アップする。


BF-蒼炎のシュラ ATK1800→3200

BF-蒼炎のシュラ ATK3200 VS ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン ATK2800

　カルートの力を受けたシュラの一撃がFA・フォトン・ドラゴンの鋼鉄の鎧もろともその本体を袈裟懸けに切り裂く。小さなカラスが自分の何倍も巨大な竜を引き裂くその様はライディングデュエルということも相まって凄まじい迫力であった。

遊希 LP7200→6800

「っ……FA・フォトン・ドラゴン……！！」
―――こうもあっさり処理してくるとはな。見事としか言えん。
「戦闘で相手モンスターを破壊した蒼炎のシュラの効果発動！ デッキから攻撃力1500以下のBF1体を特殊召喚する！ 特殊召喚するのはレベル3のチューナーモンスター“BF-隠れ蓑のスチーム”！」


※BF-隠れ蓑のスチーム
チューナー・効果モンスター
星3/闇属性/鳥獣族/攻800/守1200
「BF-隠れ蓑のスチーム」の(2)の効果はデュエル中に1度しか使用できない。
(1)：表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合に発動する。自分フィールドに「スチーム・トークン」（水族・風・星1・攻/守100）1体を特殊召喚する。
(2)：このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードをS素材とする場合、他のS素材モンスターは全て「BF」モンスターでなければならない。


「君のフィールドはがら空きだ！ 隠れ蓑のスチーム、疾風のゲイルでダイレクトアタック！」

BF-隠れ蓑のスチーム ATK800

遊希 LP6800→6000

BF-疾風のゲイル ATK1300

遊希 LP6000→4700

「っ……ちまちまと……」
「君のように一度に大きなダメージは与えられないかもしれない。だけど小さな力でも積もり積もればいずれ山となるのさ！」

　真九郎のこの言葉にはかつての経験が物を言っていた。彼はアイドルとしてデビューし、成功を収めてきたがそのデビューに至るまで彼は必死に努力を重ねてきた。それはアイドルを辞めてレーサーに転身してからも変わらないことであり、何かにチャレンジするにあたって彼はまさにこのBFたちと同じように小さなことをコツコツとこなしてきたことが今の真九郎を作り上げてきたのである。

「バトルフェイズからメインフェイズ2に移行する。俺はレベル4のBF-蒼炎のシュラにレベル3のチューナーモンスター、隠れ蓑のスチームをチューニング！ “黒き疾風よ、天空へ駆け上がる翼となれ！” シンクロ召喚、舞い上がれ！ “BF-アーマード・ウィング”！！」


※BF-アーマード・ウィング
シンクロ・効果モンスター
星7/闇属性/鳥獣族/攻2500/守1500
「BF」チューナー＋チューナー以外のモンスター1体以上
(1)：このカードは戦闘では破壊されず、このカードの戦闘で発生する自分への戦闘ダメージは0になる。
(2)：このカードがモンスターを攻撃したダメージステップ終了時に発動できる。そのモンスターに楔カウンターを1つ置く（最大1つまで）。
(3)：相手フィールドの楔カウンターを全て取り除いて発動できる。楔カウンターが置かれていた全てのモンスターの攻撃力・守備力をターン終了時まで0にする。


「シンクロ素材としてフィールドから離れた隠れ蓑のスチームの効果を発動！ 自分フィールドにレベル1のスチーム・トークン1体を特殊召喚する！ そしてそのスチーム・トークンにレベル3の疾風のゲイルをチューニング！ “その身体を友に託し、全てを砕く拳となれ！” シンクロ召喚、起動せよ！ “アームズ・エイド”！！」


※アームズ・エイド
シンクロ・効果モンスター
星4/光属性/機械族/攻1800/守1200
チューナー＋チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に装備カード扱いとしてモンスターに装備、または装備を解除して表側攻撃表示で特殊召喚できる。
この効果で装備カード扱いになっている場合のみ、装備モンスターの攻撃力は1000ポイントアップする。
また、装備モンスターが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。


「アームズ・エイドの効果を発動、このカードを装備カード扱いとしてフィールド上のモンスター1体に装備する。アームズ・エイドを装備カード扱いとしてBF-アーマード・ウィングに装備する！」

BF-アーマード・ウィング ATK2500→3500

「攻撃力3500のアーマード・ウィング……」
「俺はこれでターンエンドだ！」


真九郎　LP4000　手札0枚　SC：3
デッキ：30　モンスター：1（BF-アーマード・ウィング）魔法・罠：2（アームズ・エイド、リビングデッドの呼び声）墓地：8　除外：3
遊希　LP4700　手札2枚　SC：3
デッキ：35　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：6　除外：1


☆TURN04


「私のターン、ドロー！！」

遊希　SC:3→4
真九郎　SC:3→4

　遊希と真九郎のスピード・ワールドにスピードカウンターが4つ貯まった。これで2人はスピードカウンターを4つ消費して発動できるドロー効果をいつでも発動できるようになった。

（うーん……）
―――どうする？
（どうするもこうも、攻撃力3500で戦闘で破壊できないモンスターよ？ 野放しにしておくわけにはいかないでしょう。だから賭けに出る）
「私は私のスピード・ワールドに乗ったスピードカウンター4つを取り除き、その効果を発動します！」

遊希 SC:4→0

　スピードカウンターが減ったことにより、遊希のドラグーンがわずかに減速する。スピードカウンターが乗れば乗るほどスピード・ワールドの効果が増幅し、それに対応してDホイールの速度が上がるようになるのだ。

「デッキからカードを1枚ドロー！！……よし」
（……いいカードを引いたようだね）
「私は手札から魔法カード、ギャラクシー・トレードを発動！ 手札のギャラクシーモンスター、銀河新星を墓地に送ってデッキからカードを2枚ドロー！ そして手札から墓地へ送られた銀河新星の効果でデッキからギャラクシーと名のついた魔法・罠カード1枚を手札に加えます。私が手札に加えるのは魔法カード、銀河再誕です！」

　スピードカウンター4つ消費のドロー効果、そしてギャラクシー・トレードと銀河新星の効果で遊希の手札は5枚にまで増えていた。傍から見れば42枚のうちの5枚のカードであり、この5枚のカードでできることなど高が知れていると言ってもいいかもしれない。
　しかし、そのたった5枚のカードでこの状況を容易に覆すことができる者こそがデュエリストの中のデュエリストであり、遊希や真九郎のようにプロの舞台に立つことのできるデュエリストなのである。

「私は手札からチューナーモンスター、銀河の戦乙女を召喚！」
「チューナーモンスター？ まさか君のギャラクシーはシンクロ召喚も使うというのか？」
「シンクロ召喚は、何もあなただけの特権ではありませんから」

　召喚に成功した銀河の戦乙女の効果で墓地のレベル4以下のギャラクシー、銀河新星が特殊召喚される。遊希のフィールドにもチューナーと非チューナー、2体のモンスターが揃った。

「私は、レベル4の銀河新星にレベル4のチューナーモンスター、銀河の戦乙女をチューニング！！ “銀河に煌めく灼熱の星よ、その力をもってあらゆるものを滅せ。そして何物をも残すな！” シンクロ召喚！ 目覚めよ、銀河眼の火球竜！！」

　2台のDホイールが疾走するサーキットは熱気で溢れ返る。経過ターンこそまだ4ターン目ながら、ライディングデュエルという特殊なデュエルということも相まってその緊迫感は通常のスタンディングデュエルの数倍以上にまで膨れ上がっていたのだ。