第101話：熱戦の決闘者・2　作：光芒

第101話（番外編第20話）：熱戦の決闘者・2



※氷結界の龍 グングニール
シンクロ・効果モンスター
星7/水属性/ドラゴン族/攻2500/守1700
チューナー＋チューナー以外の水属性モンスター1体以上
1ターンに1度、手札を2枚まで墓地へ捨て、捨てた数だけ相手フィールド上のカードを選択して発動できる。選択したカードを破壊する。


「氷結界の龍 グングニールの効果を発動します！　手札を1枚捨て、歩美ちゃんのフィールドのマドルチェ・チケットを選択して破壊します！」

　グングニールは氷が裂けるようかのな甲高い雄叫びを上げると、その冷気でマドルチェ・チケットを破壊する。これでモンスターのみならず、一切のカードが歩美のフィールドには存在しなくなってしまった。

「グングニールの効果を発動するために墓地に送られた海皇の竜騎隊の効果により、デッキから水精鱗-メガロアビスを手札に加えます。そしてバトルフェイズ、氷結界の龍 グングニールで歩美ちゃんにダイレクトアタック！ “アイス・ザ・グングニル”！！」

氷結界の龍 グングニール ATK2500

歩美 LP8000→5500

「きゃっ！」
「私はカードを1枚セットしてターンエンドです！」


歩美　LP5500　手札：2枚
デッキ：33　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：10　除外：0
結衣　LP8000　手札：3枚
デッキ：26　モンスター：1（氷結界の龍 グングニール）魔法・罠：2　墓地：11　除外：0


☆TURN05


「うう……グングニールさんのこうげきつよいよぉ……でもまけません！ ドロー！ 私は2まいめのマドルチェ・チケットをはつどうします！」
「2枚目があったんですか……まあ竜騎隊の効果を発動できたから無駄撃ちではなかったですが」
「わたしはマドルチェ・エンジェリーさんをしょうかんします！ そしてフィールドまほう、マドルチェ・シャトーをはつどうします！」

マドルチェ・エンジェリー ATK1000→1500

　マドルチェ・シャトーが発動したことにより、歩美の墓地に存在するマドルチェ・マジョレーヌ、マドルチェ・メッセンジェラート、マドルチェ・バトラスクの計3枚の「マドルチェ」モンスターがデッキに戻った。しかし、フィールドには既に天使族のマドルチェ・エンジェリーが存在していたため、マドルチェ・チケットの更なる効果も発動する。

「フィールドにマドルチェのてんしぞくがいると、デッキからてふだにくわえたマドルチェさんをこうげきひょうじでとくしゅしょうかんできます！ わたしはでっきにもどしたマドルチェ・メッセンジェラートさんをとくしゅしょうかん！」

マドルチェ・メッセンジェラート ATK1600→2100

「わたしはレベル4のメッセンジェラートさんとエンジェリーさんでオーバーレイ！ 2たいのモンスターさんでオーバーレイ・ネットワークをこうちく！ エクシーズ召喚！ “おかしのくにのじょおうさま！” クイーンマドルチェ・ティアラミスさん！」

クイーンマドルチェ・ティアラミス ATK2200→2700

「ティアラミスさんのこうかをはつどうします！ おーばーれいゆにっとを1つとって、ぼちのマドルチェさんをデッキに戻してフィールドのカードを2まいまでデッキにもどします！ おーばーれいゆにっととしてぼちにおくったエンジェリーさんとマドルチェ・チケットをデッキにもどしてグングニールさんとわたしからみてみぎがわのカードをデッキにもどしてください！」
「わかりました。グングニールとこのセットカードをデッキに戻します……ですが、戻される前にチェーン発動です！ 永続罠・アビスフィアーを発動し、デッキから2体目のアビスリンデを特殊召喚します！」

　アビスフィアーの効果で特殊召喚されたモンスターはターン終了時のみならず、アビスフィアー自身がフィールドを離れた場合でも破壊される。そのため、ティアラミスの効果でグングニールとアビスフィアーがデッキに戻されたことでアビスリンデは破壊され、その効果が発動する。

「私はデッキから水精鱗-メガロアビスを攻撃表示で特殊召喚します！」
「えっと、マドルチェ・シャトーのこうかもはつどうします！ ティアラミスさんのこうかでデッキにもどるエンジェリーさんをてふだにもどします！ バトルです！ ティアラミスさんでメガロアビスさんをこうげきします！」

クイーンマドルチェ・ティアラミス ATK2700 VS 水精鱗-メガロアビス ATK2400

「かかりましたね、リバースカードオープン！ メガロアビスを対象に罠カード“アビスコーン”を発動します！」


※アビスコーン
通常罠
自分フィールド上の「水精鱗」と名のついたモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで1000ポイントアップする。
また、セットされたこのカードが墓地へ送られた時、相手フィールド上のモンスター1体を選択して墓地へ送る。


「このカードの効果の対象となった水精鱗1体の攻撃力は1000ポイントアップします！」

水精鱗-メガロアビス ATK2400→3400

「ふぇっ！？」
「メガロアビス！ ティアラミスを返り討ちにしなさい！」

クイーンマドルチェ・ティアラミス ATK2700 VS 水精鱗-メガロアビス ATK3400

歩美 LP5500→4800

　アビスコーンの力によって強化されたメガロアビスに反撃に遭い、ティアラミスは返り討ちにされてしまった。歩美の戦法は決して悪くはなかったのだが、素の攻撃力でティアラミスに劣るメガロアビスを攻撃表示で特殊召喚した時点で結衣は何かを仕掛けている。少なくともアカデミアの学生ならその策に引っかかることはなかっただろう。
　しかしいくらこの2日で成長したとはいえ、彼女はまだデュエルを始めたばかりの小学2年生。結衣の策に気付かないのも無理はないし、それを見抜けないのも当然なのかもしれなかった。

「これで……ターンエンドです」


歩美　LP4800　手札：1枚
デッキ：34　モンスター：0　魔法・罠：2（マドルチェ・シャトー、マドルチェ・チケット）墓地：8　除外：0
結衣　LP8000　手札：3枚
デッキ：25　モンスター：1（水精鱗-メガロアビス）魔法・罠：0　墓地：13　除外：0


☆TURN06


「私のターン、ドロー」

　コンバットトリックを決めた結衣はこのまま押し切ってしまいたいところだったが、彼女の手札には前の自分のターンにサーチしたメガロアビスを特殊召喚するために必要なモンスターが足りなかった。

（通常召喚できるモンスターこそいますが、このモンスターを下手に召喚して無下に消費するくらいなら、このままメガロアビスで攻撃するだけ！）
「私はメガロアビスでダイレクトアタック！ シャーク・アビス・ブレード！」

水精鱗-メガロアビス ATK2400

歩美 LP4800→2400

「私はこれでターンエンドです」


歩美　LP2400　手札：1枚
デッキ：34　モンスター：0　魔法・罠：2（マドルチェ・シャトー、マドルチェ・チケット）墓地：8　除外：0
結衣　LP8000　手札：4枚
デッキ：24　モンスター：1（水精鱗-メガロアビス）魔法・罠：0　墓地：13　除外：0


☆TURN07


（やっぱり結衣おねえちゃんはとってもつよい……わたしじゃかてない。でもわたしはあきらめないよ！）

　結衣にコンバットトリックを決められ、戦意を喪失しかけた歩美であったが、彼女はすぐに立ち直った。この2日間で歩美は自分よりずっと年上の少女たちのデュエルを見てきた。まだ小学生なので難しい戦略などは完璧に理解していないが、そんな歩美にもわかったことがある。
　それは最後のドローまで皆がデュエルを諦めていないことだった。結衣も、美夏も、凛も、心も、ベアトリスも。皆が自分のデッキを信じてドローをする。そんな彼女たちの姿が歩美に前に進む勇気を与えてくれたのだ。

「わたしのターン、ドロー！……このカードは……綾香おねえちゃんが……」



＊



「歩美ちゃん、このカードは入れないの？」
「……マドルチェさんはあまりぼちにいかないから……」
「でもあるとないとでは違うと思うわ。騙されたと思って入れてみて？」



＊



「わたしはこのカードをはつどうします！ まほうカード、ししゃしょせい！」
「死者蘇生！？」

　マドルチェはその性質上、墓地にモンスターがたまりにくい。そのため墓地のモンスター1体を蘇生する万能カードの代表格である死者蘇生が入らないことも多いのだが、マドルチェ以外のモンスターも採用した歩美は綾香のアドバイスを受けてこのカードをデッキに入れていたのである。

「わたしはぼちのクイーンマドルチェ・ティアラミスさんをとくしゅしょうかんします！ マドルチェ・シャトーのこうかでこうげきりょくがあがります！」

クイーンマドルチェ・ティアラミス ATK2200→2700

「くっ……！」
「でもティアラミスさんではたたかいません！」
「えっ……？」
「わたしは、ティアラミスさんでオーバーレイ・ネットワークをさいこうちくします！ “おかしのくにのおひめさま！ かわいくゆうがにおどってください！”ランク5！ “マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード”さん！」


※マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/地属性/天使族/攻2500/守2200
地属性レベル5モンスター×2
このカードは自分フィールドのランク4以下の「マドルチェ」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。
(1)：1ターンに1度、自分の墓地の「マドルチェ」カード1枚を対象として発動できる。そのカードをデッキに戻す。
(2)：このカードが「マドルチェ・プディンセス」をX素材としている場合に自分の墓地の「マドルチェ」カードがデッキに戻った時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。デッキから「マドルチェ」モンスター1体を表側攻撃表示または裏側守備表示で特殊召喚する。


マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ATK2500→3000

「攻撃力3000！？」
「ショコ・ア・ラ・モードさんのこうかをはつどうします！ ぼちのマドルチェカード1まいをデッキにもどします！ わたしがもどすのはメッセンジェラートさんです！ でもマドルチェ・シャトーのこうかでマドルチェモンスターさんのこうかでデッキにもどるばあい、デッキじゃなくててふだにもどせます！」

　ショコ・ア・ラ・モードの効果は墓地のマドルチェをデッキに戻す、というシンプルな効果であるが、その効果がコンボの起点となる。

「そしてぼちからてふだにマドルチェさんがもどったときにマドルチェ・チケットのこうかもはつどうします！ デッキからマドルチェさん1たいをてふだにくわえます！ でもわたしのフィールドにはてんしぞくのショコ・ア・ラ・モードさんがいるからそのモンスターさんをてふだにくわえないでとくしゅしょうかんできます！」

　ショコ・ア・ラ・モードの効果で墓地のメッセンジェラートがデッキに戻るが、マドルチェ・シャトーの効果でデッキではなく手札に戻る。そしてショコ・ア・ラ・モードの効果はマドルチェ・チケットの発動条件も同時に満たし、デッキから2体目のメッセンジェラートを手札に加える。さらにマドルチェ・チケットの後半の効果を発動するためにはフィールドに「天使族」のマドルチェが必要なのだが、ショコ・ア・ラ・モードもまたティアミス同様に天使族のマドルチェである。そのため、今手札に加えようとしたメッセンジェラートがフィールドに特殊召喚された。

マドルチェ・メッセンジェラート ATK1600→2100

「わたしはマドルチェ・エンジェリーさんをしょうかん、そしてエンジェリーさんのこうかをはつどうします！ エンジェリーさんをリリースして、デッキからマドルチェ・ホーットケーキさんをとくしゅしょうかんします！」

マドルチェ・ホーットケーキ ATK1500→2000

「そしてホーットケーキさんのこうかをはつどう！ ぼちのエンジェリーさんをゲームからじょがいして、デッキから2たいめのマドルチェ・メッセンジェラートさんをとくしゅしょうかんします！」

マドルチェ・メッセンジェラート ATK1600→2100

　結衣のターンの終了時にはマドルチェ・シャトーとマドルチェ・チケットの2枚しか存在しなかった歩美のフィールドには攻撃力3000のショコ・ア・ラ・モードをはじめとした4体のマドルチェが居並ぶようになっていた。
　見た目こそファンシーなモンスターたちであるが、4体のモンスター全ての攻撃力が2000を上回っており、4体の攻撃力の合計は9200にまで達していたのである。

「まさか、手札1枚からここまでモンスターが……！！ ですが、全モンスターで攻撃しても私のライフはまだ残ります！」
「でもこれで結衣おねえちゃんのライフをおおきくけずれます！ バトル！ マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モードさんでメガロアビスさんをこうげきします！ “おかしのくにのぶとうかい”！」

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ATK3000 VS 水精鱗-メガロアビス ATK2400

結衣 LP8000→7400

「セットカードはありません！ マドルチェさんたちでいっせいこうげきです！！」

マドルチェ・メッセンジェラート ATK2100
マドルチェ・メッセンジェラート ATK2100
マドルチェ・ホーットケーキ ATK2000

結衣 LP7400→1200

「きゃああっ！！」
「バトルフェイズをおわりにして、メインフェイズ2にうつります。わたしはレベル4のメッセンジェラートさんとマジョレーヌさんでオーバーレイ！ 2たいのモンスターさんでオーバーレイ・ネットワークをこうちく！ エクシーズしょうかん！ クイーンマドルチェ・ティアラミスさん！」

クイーンマドルチェ・ティアラミス ATK2200→2700

「わたしはこれでターンエンドです！」

　歩美の猛攻で8000あった結衣のライフが一気に1200まで削られる。仮に歩美の墓地にマドルチェカードが1枚でも残っていれば、バトルフェイズの前にメッセンジェラート2体でティアラミスをエクシーズ召喚し、その効果でメガロアビスをバウンスすることができていた。
　そしてティアラミスを2体目のショコ・ア・ラ・モードにエクシーズチェンジしてバトルフェイズに移れば3体のモンスターの攻撃で結衣のライフをちょうど0にすることが可能だったのである。この時ばかりは結衣も運がよかったと言わざるを得ない。


歩美　LP2400　手札：1枚
デッキ：30　モンスター：3（マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ORU:1、クイーンマドルチェ・ティアラミス ORU:2、マドルチェ・ホーットケーキ）魔法・罠：2（マドルチェ・シャトー、マドルチェ・チケット）墓地：7　除外：1
結衣　LP1200　手札：4枚
デッキ：24　モンスター：0　魔法・罠：0　墓地：14　除外：0


☆TURN07


「私のターン、ドロー！」
（確かに私のフィールドは盤石じゃなかった。しかし、わずか1ターンでここまで覆されるとは……）

　もし昨日までの自分だったらここで勝負を諦めていただろう。しかし、このイベントを通して成長したのは歩美だけではない自分だってそうだ。

（強くなった、逃げない姿を……遊希さんに見てほしい！）
「私は手札から貪欲な壺を発動します！ 墓地の水精鱗-アビスリンデ、海皇子 ネプトアビス、深海のディーヴァ、海皇の重装兵、海皇の竜騎隊をデッキに戻して2枚ドロー！……私は海皇子 ネプトアビスを召喚します！」

　今のドローで引いたカードの1枚がネプトアビスだった。深海のディーヴァと違ってネプトアビス自体は制限カードとなっておらず、デッキに3枚まで入れられるため引き当てることは決して難しくない。しかし、本当にデッキを自分のものにしたデュエリストの思いにデッキは応えてくれる。
　この局面で待ち望んでいたカードであるネプトアビスを引き当てられた、ということは結衣はこの海皇水精鱗というデッキを自分のものとしていることの証明であるといえた。

「ネプトアビスの効果！ デッキから海皇モンスターである“海皇の狙撃兵”を墓地に送り、デッキから海皇の重装兵を手札に加えます！ そして手札の水精鱗-メガロアビスの効果を発動！」

　結衣は手札の水精鱗-アビスグンデと海皇の重装兵の2体を墓地に送り、メガロアビスの効果を発動した。フィールドには手札からメガロアビスが特殊召喚され、自身の効果で特殊召喚されたメガロアビスの効果が発動する。歩美はこの光景を先ほどの結衣と美夏のデュエルで目に焼き付けていたため、結衣がどのような行動をしてくるかある程度理解していた。

（結衣おねえちゃんのコンボ！ これが……！）
「私はチェーン3のメガロアビスの効果でデッキからアビスケイル-ミヅチを手札に加え、チェーン2のアビスグンデの効果で墓地のリードアビスを特殊召喚！ そしてチェーン1の海皇の重装兵の効果でマドルチェ・シャトーを破壊します！」

マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ATK3000→2500
クイーンマドルチェ・ティアラミス ATK2700→2200
マドルチェ・ホーットケーキ ATK2000→1500

　マドルチェ・シャトーが破壊されたことにより、歩美のフィールドのマドルチェを強化する効果が失われる。こうなってしまえば、素のステータスが低いマドルチェモンスターは戦闘での優位性を失ってしまうのは誰の目に見ても明らかなことであった。

「私はアビスケイル-ミヅチをメガロアビスに装備し、メガロアビスの効果を発動します！ フィールドに表側攻撃表示で存在する水属性モンスター1体を墓地に送り、このターン、このカードの2回攻撃を可能にします！」

水精鱗-メガロアビス ATK2400→3200＋このターン2回攻撃が可能

「そして水属性モンスターの効果を発動するために墓地に送られたネプトアビスの効果で墓地の海皇モンスター1体を特殊召喚します！ 特殊召喚するのは海皇の狙撃兵です！」


※海皇の狙撃兵
効果モンスター
星3/水属性/海竜族/攻1400/守0
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、デッキから「海皇の狙撃兵」以外のレベル4以下の「海皇」と名のついた海竜族モンスター1体を特殊召喚できる。
また、このカードが水属性モンスターの効果を発動するために墓地へ送られた時、相手フィールド上にセットされたカード1枚を選択して破壊する。


「さあ、バトルです！ メガロアビスでクイーンマドルチェ・ティアラミスを攻撃！ シャーク・アビス・スラッシュ！ 第1打！！」

水精鱗-メガロアビス ATK3200 VS クイーンマドルチェ・ティアラミス ATK2200

歩美 LP2400→1400

「もう一撃！ メガロアビスで今度はマドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モードを攻撃！ シャーク・アビス・スラッシュ！ 第2打！！」

水精鱗-メガロアビス ATK3200 VS マドルチェ・プディンセス・ショコ・ア・ラ・モード ATK2500

歩美 LP1400→700

「これで……最後です！！ リードアビスでマドルチェ・ホーットケーキを攻撃！ ジャイアント・アビス・ブレード！！」

水精鱗-リードアビス ATK2700 VS マドルチェ・ホーットケーキ ATK1500

「リードアビスさんとホーットケーキさんののこうげきりょくのさは……そっかぁ……わたし、またまけちゃうんだ……」

　歩美は右手の袖で目元をそっと拭う。しかし、そのまま泣きじゃくることなく、少し目を赤くしながら堂々と前を向いた。

「でも、このデュエル！ すっごくたのしかったよ！！ ありがとう、結衣おねえちゃん！」
「歩美ちゃん……はい、私もです！」

歩美 LP700→0





＊





「歩美ちゃあああん！！」

　デュエルが終わったばかりの歩美の下に全速力で駆けつけた綾香は彼女を全力で抱き上げた。だっこされる形となった歩美は何が何やらわからない様子で困惑した様子を浮かべる。

「ど、どうしたの綾香おねえちゃん……」
「いや……おねえちゃん感動しちゃったの。歩美ちゃんがこんなすごいデュエルができるなんて……」
「な、なんで？ だってわたしまけちゃったんだよ？」
「確かに結果は残念だった。でもデュエルの内容やプレイングじゃ負けてなかった！ そうよね、みんな！」

　綾香の問いかけにその場にいた歩美以外の全員が深く頷いた。

「あうあう……はずかしいでしゅ。あっ、またかんじゃった……」

　顔を真っ赤にしながら歩美は綾香の胸に顔をうずめるのであった。そんなほんわかとした空間が広がる中、戦いの気勢はそれを待ってくれない。

「私も……結衣ちゃんや歩美ちゃんに負けないデュエルをしなきゃ」
「はい、その通りですね」

　1人決意を新たにする心の肩に彼より身長が20センチ近く高いベアトリスが手を置いた。突然手を置かれたことに驚いた心は素っ頓狂な悲鳴を上げた。

「きゃっ！ ベ、ベアトリスさん！？」

　驚く心に対してベアトリスはきょとん、とした顔で首を傾げる。

「あら、どうしました？ 心くん」
「い、いえ……なんでもないです」
「そうですか。では私たちもデュエルの準備をしましょうね」

　戸惑う心とどこか飄々としたベアトリス。そんな2人のデュエルの火蓋が切って落とされようとしていた。





※4/5　23：00　修正致しました。ご指摘頂きありがとうございました。