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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第七十六話「不死と再生、イモータル」

第七十六話「不死と再生、イモータル」 作:イクス

第七十六話「不死と再生、イモータル」


D1グランプリに参加するため、烏間に連れられロカクタウンへとやってきた遊太たち。
そこには、遊太たちと同じくD1グランプリをめざしデュエルに励むデュエリストたちがいた。
D1グランプリ出場のため、遊太たちはデュエルをその子たちに挑む! 
まずはデッキを新調した知多が、森野熊五郎と対戦する! 

1・熊五郎のターン 

「オラのターン!」
「オラは手札からモンスターを1体、裏守備表示で召喚。更にカードを2枚セットして、ターンエンド!」(熊五郎手札5→2)

熊五郎

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚

セットのみでターンを済ませた熊五郎に、遊太たちは不思議がる。
「ずいぶんとおとなしいターンだね」
「まずは地ならし……ではないでしょうか?」
「下準備から始めるのも、デュエルの基本ですわ」


2・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札5→6)
「さて、知多君の『イモータル』デッキはどんな動きをするのかな?」
「じっくりと見せてもらいマショう!」
「俺は手札から、『イモータル・グール』を召喚!」(知多手札6→5)
現れたのは、体の腐った緑色のゾンビ。攻撃力は1800。
「ゾンビ! 知多君の新デッキは、アンデット族!」
「アンデットとは、ずいぶんキワモノを使ってきましたわね。そこから、どう出ますかね?」
「俺はフィールドのアンデット族モンスター、グールを破壊することで、手札からレベル1チューナー『イモータル・クロロホルン』を特殊召喚する!」(知多手札5→4)(知多墓地0→1)
そのゾンビの体が爆散して現れた、黒い炎。守備力は0。
「『イモータル』カードの効果で破壊されたこのとき、グールの効果発動じゃん! デッキより、『イモータル』モンスター1体を手札に加える。俺が手札に加えるのは、レベル3『イモータル・マミー』」(知多手札4→5)
「そして手札から速攻魔法『イモータルの贄』を発動! 手札・フィールドの『イモータル』を破壊し、2枚ドローするじゃん! 手札のマミーを破壊し、2枚ドロー!」(知多墓地1→3)
「そして、『イモータル』カードで破壊されたマミーの効果発動じゃん。相手に800ポイントのダメージを与える! まずは先制攻撃じゃん!」
「ぐっ……一発食らっちまっただ」(熊五郎ライフ8000→7200)
「そして手札よりカードを2枚セットして、ターンエンドじゃん」(知多手札5→3)
「なんだよ、知多のヤツもずいぶん静かなスタートじゃねえか」
「このターン攻撃もしてないよね……」
「……フフフ、外野のみんな、『イモータル』はこれで良いんじゃん。ターンのエンドフェイズ、墓地の『イモータル』はフィールドに蘇るじゃん!」(知多墓地3→1)
「えっ!?」
地面を突き破り、先ほどのゾンビと包帯を巻かれたアンデットが墓地からよみがえる。
「コイツは……!」
「『イモータル』モンスターは、破壊されたターンのエンドフェイズに復活する。ま、守備表示限定なんだけどじゃん」

知多

ライフポイント8000
手札枚数3枚
モンスター3体
『イモータル・グール』(守備表示・守備力500・レベル4・闇属性)
『イモータル・マミー』(守備表示・守備力200・レベル3・闇属性)
『イモータル・クロロホルン』(守備表示・守備力0・レベル1・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数1枚
除外されているカード0枚

「破壊されさえすれば、何回でも墓地から復活するモンスターだって!?」
「『イモータル』は不死という意味を持ちますから……まさしくその名にふさわしいモンスターたちですわね」
「それを、向こう側がどう攻略してくるか……だけど」


3・熊五郎のターン

「オラのターン、ドロー!」(熊五郎手札3→4)
(なるほど、毎ターン復活するモンスターか……確かにすごいモンスターだけど、ソレが命取りだよ!)
「オラ手札から、『デスマニア・デビル』を召喚!」(熊五郎手札4→3)
熊五郎が召喚したのは、タスマニアデビルみたいなケモノモンスター。攻撃力は1700。
「バトルフェイズ! オラは『デスマニア・デビル』で、マミーを攻撃!」
「来るか! けれど、俺が何のためにチューナーを召喚したか、わかってないみたいじゃん! 永続罠『イモータルの輪廻』を発動! このカードはフィールドのアンデット族モンスターを素材にして、アンデット族のシンクロ召喚を行える! 俺はレベル4のグールに、レベル1のクロロホルンをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル5『スカイイモータル・ドゥネイル』!」(知多墓地1→3)
現れたのは、巨大な蛾の化け物。攻撃力は2400。
「シンクロだか! だけど、攻撃は続行だよ! デスマニアでマミーを攻撃!」
「破壊されたので、このターンのエンドフェイズに復活する効果が適用されるじゃん!」(知多墓地3→4)
「こっちも効果発動だ! デスマニアが相手モンスターを破壊した時、レベル4以下の獣族モンスター1体を手札に加えられる。オラはデッキから、レベル4の『レスキューラビット』を手札に加える」(熊五郎手札3→4)
「なら、こっちもドゥネイルの効果発動じゃん。自分フィールドのアンデット族が破壊された時、ドゥネイルは自分フィールドにレベル3の『ラーバトークン』を1体特殊召喚できる」
ドゥネイルが、体から芋虫みたいなモンスターを生み出す。その光景に、思わずみんなが。
「うげっ、気持ち悪ぅ!」
「蛾の産卵じゃねーか!」
「というか、芋虫を直接生み出してますよね、これ……」
「い、いいじゃんいいじゃん! 更に、相手のカード効果が発動したことにより、永続効果毒蛾の鱗粉が発動して相手ライフに400のダメージを与える!」
ドゥネイルの羽根から、鱗粉が直接飛んで熊五郎にダメージを与える。
「ぐぅぅぅ。だけど、オラはカードを1枚セットして、ターンエンドだ!」(熊五郎ライフ7200→6800)(熊五郎手札4→3)
「このターンのエンドフェイズ、マミーは自身の効果でフィールドによみがえるじゃん!」(知多墓地4→3)

熊五郎

ライフポイント6800
手札枚数3枚
モンスター2体
『デスマニア・デビル』(攻撃表示・攻撃力1700・地属性・レベル4)
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード3枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚


4・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札3→4)
「俺は手札から、速攻魔法『イモータルの渇き』を発動! フィールドのアンデット族モンスター1体を破壊して、墓地より『イモータル』モンスター1体を特殊召喚する! 俺はドゥネイル自身を破壊して、墓地からグールを再び特殊召喚するじゃん!」(知多手札4→3)(知多墓地3→4)
「なにっ!? 自分でシンクロモンスターを破壊するだって!?」
「いや、違う。アイツにとってはこれで良いんだろ?」
「その通りじゃん、菊姫! ドゥネイルも破壊された時、墓地から特殊召喚できるじゃん。ただし、シンクロモンスターの『イモータル』は、即座に復活できるじゃん!」(知多墓地4→3)
墓地より翼を広げて再び飛び上がる蛾の化け物。周りもこれには遊太たちも驚く。
「何度もよみがえる。アンデットらしいデッキですね」
「破壊されりゃ何度でも特殊召喚されるんだから、場持ちもかなり良い。かなりやべえんじゃねえのか?」
「これが知多君の新たなデッキ……!」
遊太たちが感心していると、剣太郎たちが横やりを入れる。
「確かに、あの子のデッキも強いけれど。ウチのクマゴローちゃんも強いのね」
「そうだぜ、アイツは確かに地味なヤツだが、このままやられるとは思えないな」
「僕も結構、熊五郎には苦戦させられたからね!」
「そう、なの……?」
まだ信じられない様子の遊太たち。デュエルに戻ると。
「俺は手札から『ゴブリンゾンビ』を召喚! そして、墓地のクロロホルンの効果発動。フィールドのアンデット族モンスターを破壊して、墓地から特殊召喚できる! 俺は『ゴブリンゾンビ』を破壊して、墓地から特殊召喚するじゃん!」(知多手札3→2)
「そのモンスター、墓地からも特殊召喚できるだか……」
「『イモータル』チューナーが特殊召喚できるのは、手札からだけじゃない。墓地からも、フィールドのアンデット族を破壊することで特殊召喚できるじゃん! 更に、フィールドから墓地へ送られた『ゴブリンゾンビ』の効果、発動じゃん! デッキより守備力1200以下のアンデット族モンスター1体を手札に加えるじゃん! 俺はデッキよりレベル2チューナー『イモータル・バット』を手札に加えるじゃん! 更に、フィールドのアンデット族が破壊されたことでドゥネイルの効果でフィールドにラーバトークンを特殊召喚! 更に、永続罠『イモータルの輪廻』の効果発動。自分フィールドのアンデット族が破壊された時、デッキから『イモータル』モンスター1体を特殊召喚できる!レベル3チューナー『イモータル・クロウ』を特殊召喚する!」(知多手札2→3)
「そして、フィールドのラーバトークン1体を破壊し、手札のバットを特殊召喚する!」(知多手札3→2)
「知多のフィールドにモンスターが並んだ!」
「来るか!?」
「俺は レベル3のクロウに、レベル3のマミーをチューニング! シンクロ召喚! レベル6『スノーイモータル・ガルム』!」(知多墓地3→5)
今回現れたのは、体が雪のように白い狼のようなアンデット。攻撃力は2500。
だが、そのままやらせる熊五郎ではない。
「罠カード『奈落の落とし穴』を発動! 相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時、ソイツを破壊し除外するだ!」(熊五郎墓地0→1)
「そのカードは!」
「おめのモンスターは、墓地から復活するモンスターが多いだよ。それに破壊しても墓地から復活するなら、こうして除外すれば、おめのモンスターを無力化できるだよ?」
「だったら、ガルムの効果発動! 自分フィールドのアンデット族を任意の数破壊することで、破壊した数だけフィールドの表側表示のカードを無効化できる! 俺はグールを破壊して、罠カード『奈落の落とし穴』を無効化する! デッドリー・ブリザード!」(知多墓地5→6)
ガルムが口から吐いた氷の息で、『奈落の落とし穴』は凍り付き無効化されてしまった。
「やるだな、おめえ……」
「ドゥネイルの効果で、ライフを400削る!」
「くっ……」(熊五郎ライフ6800→6400)
「更にグールの効果で、デッキから『イモータル』モンスターをデッキから手札に加えるレベル4の『イモータル・スケルトン』を手札に!」(知多手札2→3)
「そして破壊されても後続をサーチ……無駄がねえだ」
「行くぜ、バトルフェイズ! ガルムで『デスマニア・デビル』を攻撃! デス・アイスブラスト!」
空中で氷柱を発生させ、攻撃の準備をするガルム。だが、熊五郎もこのままでは終わらない。
「罠カード『キャトルミューティレーション』を発動! 自分フィールドの獣族モンスター1体を手札に戻し、手札から戻したモンスターと同じレベルを持つ獣族モンスター1体を特殊召喚するだ! オラは『デスマニア・デビル』を手札に戻し、手札から同じレベル4の『アサルト・ガンドッグ』を特殊召喚するだ!」(熊五郎墓地1→2)
「モンスターを変えてきたか……でも、俺はバトル続行! ガルムで『アサルト・ガンドッグ』を攻撃! デス・アイスブラスト! ガルムと戦闘するモンスター効果は無効化され、そしてドゥネイルの効果で400のダメージ!」
「ぐっ」(熊五郎ライフ6400→6000)
氷柱に貫かれ鱗粉に焼かれる、が。
「『アサルト・ガンドッグ』、効果発動! 戦闘で破壊されたこのモンスターは、デッキから同名モンスターを任意の数だけ特殊召喚できるだ! 同名カードをデッキから、2体特殊召喚だ!」(熊五郎墓地2→3)
「モンスターが、2体に増えた!」
「だったら、ドゥネイルで400のダメージを与え、伏せ守備モンスターをドゥネイルで攻撃! クラウド・パーフェクトストーム!」
ドゥネイルの羽根から起こした竜巻が、伏せ守備モンスターを破壊する。裏返ったモンスターは、ちょこまかと動き回るハムスターだった。
「リバースした『素早いビッグハムスター』の効果、発動だ! このカードがリバースした時、デッキからレベル3以下の獣族モンスターを裏守備で特殊召喚できるだ! オラはデッキよりレベル2の『子狸たんたん』を裏守備で特殊召喚するだ! ダメージは受けるが、問題ねえ!」(熊五郎墓地3→4)(熊五郎ライフ6000→5200)
「くっ……」
攻撃したのに、モンスターが逆に増えるという事態に、戸惑う知多。
「くそっ、なら追撃だ! 永続罠『イモータルの輪廻』の効果でレベル5のドゥネイルに、レベル2のバットを――」
「罠カード発動! 『猛突進』! 自分フィールドの獣族モンスター1体を破壊し、相手フィールドのモンスター1体をデッキに戻す! オラは『アサルト・ガンドッグ』を破壊し、おめえのドゥネイルをデッキに戻す!」(熊五郎墓地4→6)
「な、なにっ!」
「さっきも同じだけど、おめえのモンスターは破壊することで効果を発揮する。よってデッキに戻したりすれば、おめえのサイクルが途切れるはずだ!」
「ぐっ……! やられた……!」
「更に、自分フィールドの獣族モンスターが効果で破壊されたことで、1000ライフを支払って手札から『森の番人グリーン・バブーン』を手札から特殊召喚するだ!」(熊五郎手札3→2)(熊五郎ライフ5200→4200)
「なにっ!?」
『猛突進』によって、モンスターを除去しただけではなく、それによって攻撃力2600のモンスターを召喚した! これは無視できない。
「やられたじゃん……! 俺はバトルフェイズを終了し、ターンエンド……このエンドフェイズ、グールは復活する!」(知多墓地6→5)

知多

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター3体
『スノーイモータル・ガルム』(攻撃表示・攻撃力2500・水属性・レベル6)
『イモータル・バット』(守備表示・守備力400・闇属性・レベル2)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『イモータルの輪廻』(永続罠)
墓地の枚数5枚
除外されているカード0枚


5・熊五郎のターン

「オラのターン、ドロー」(熊五郎手札2→3)
「オラは裏守備表示のモンスターを、攻撃表示に! レベル2『子狸たんたん』! このリバース効果により、デッキからレベル2の獣族モンスター1体を特殊召喚するだ! オラはレベル2の『森の聖獣 カラントーサ』を特殊召喚するだ!」
「獣族モンスターの効果で特殊召喚されたカラントーサは、フィールドのカードを1枚破壊破壊するだ! オラは、おめえの永続罠『イモータルの輪廻』を破壊!」
「なら俺は、それにチェーンしてガルムの効果発動! グールを破壊して、カラントーサの効果を無効化じゃん! そして、『イモータル』の効果で破壊されたグールの効果で、デッキから『イモータル・ヴォーン』を手札に! 更に、輪廻の効果でデッキからレベル5の『イモータル・コカトリス』を特殊召喚するじゃん!」(知多墓地5→6)(知多手札2→3)
「なら、オラはレベル2の獣族モンスター2体『子狸たんたん』カラントーサで、エクシーズ召喚! 現れろランク2『No.64 古狸三太夫』!」
現れたのは、将軍のような格好をした狸。守備力は1000。
「このモンスターはオラのフィールドに他の獣族がいる限り、戦闘・効果では破壊されねえだ!」
「守りを固めてきた? けれど、俺には通用しねえぞ!」
「問題ねえ! オラは手札から『レスキューラビット』を召喚! 効果発動。このモンスターを除外し、デッキからレベル4以下の同名通常モンスターを2体特殊召喚するだ! オラはレベル4の『暗黒の狂犬』を2体、デッキから特殊召喚!」(熊五郎手札3→2)(熊五郎除外0→1)
「そして、オラはレベル4の『暗黒の狂犬』2体で、エクシーズ召喚! 現れろランク4『恐牙狼 ダイヤウルフ』!」
そして現れたのは、ダイヤモンドのような体をした巨大オオカミ。攻撃力は2000。
「ダイヤウルフ、効果発動だ! このモンスターのエクシーズ素材を1つ取り除き、自分フィールドの獣族・獣戦士族・鳥獣族1体と相手フィールドのカード1枚を破壊する! オラは『アサルト・ガンドッグ』を破壊し、おめえの永続罠『イモータルの輪廻』を破壊するだ!」(熊五郎墓地6→8)
「なら、俺はそれにチェーンして『イモータルの輪廻』の効果発動! フィールドのアンデット族モンスターを素材としてアンデット族のシンクロ召喚を行う! 俺はレベル5のコカトリスに、レベル2のバットをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル7『ダークイモータル・バロニス』!」(知多墓地6→9)
現れたのは、タキシードにマントのイケメン吸血鬼。攻撃力は2800。
「でも、破壊されたことで相手ターンのシンクロがなくなっただ! オラはこの時を待っていただ! オラは三太夫のエクシーズ素材を1つ取り除き、モンスター効果発動! 自分フィールドに『影武者狸トークン』1体を特殊召喚するだ! このトークンの攻撃力は、特殊召喚された時にフィールドで一番攻撃力が高いモンスターの攻撃力を得るだ! 今フィールドで一番攻撃力が高いのはバロニスの2800。よって『影武者狸トークン』の攻撃力は2800になるだ!」(熊五郎墓地8→9)
「なにっ!?」
「バトルフェイズ!」
「……バロニスの効果発動! 自分フィールドのアンデット族モンスターを任意の数破壊して、その数だけ相手フィールドのカードを破壊するじゃん! 俺はバロニス自身とガルムを破壊して、お前のグリーン・バブーンとトークン1体を破壊するじゃん! だが、この2体は即座に復活できるじゃん! ブラッドランス!」
アンデットを生け贄にして、赤黒いとげに貫かれる。
「ぐっ……だが、グリーン・バブーンは獣族の破壊に応じて、1000ライフを支払って特殊召喚できるだ!」(熊五郎ライフ4200→3200)(熊五郎墓地10→11)
「そして、オラはグリーン・バブーンでガルムを攻撃! ハンマークラブ・デス!」
「ぐっ……」(知多ライフ8000→7900)(知多墓地11→12)
「そして速攻魔法『グリード・グラード』を発動し、その効果で2枚ドロー」(熊五郎手札1→3)(熊五郎墓地11→12)
「このターンのメインフェイズ2で、オラはカードを1枚セットして、ターンエンド」(熊五郎手札3→2)
「エンドフェイズ、グールは自身の効果で復活するじゃん」(知多墓地12→11)

熊五郎

ライフポイント3200
手札枚数2枚
モンスター2体
『森の番人 グリーン・バブーン』(攻撃表示・攻撃力2600・地属性・レベル7)
『恐牙狼 ダイヤウルフ』(攻撃表示・攻撃力2000・地属性・ランク4・X素材1つ)
『No.64 古狸三太夫』(守備表示・守備力1000・地属性・ランク2・X素材1つ)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数11枚
除外されているカード1枚


6・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札3→4)
「俺は手札から、『イモータル・ヴォーン』を召喚」(知多手札4→3)
「リバースカード、オープン! 罠カード『イモータルのざわめき』を発動! フィールドのアンデット族モンスターを任意の数破壊して、デッキ・手札より破壊した数だけレベル4以下の『イモータル』を特殊召喚できる! 俺はグールとヴォーンを破壊して、デッキからレベル2チューナーの『イモータル・スパイダー』とレベル4の『イモータル・ハウンド』を特殊召喚するじゃん!」(知多墓地11→14)
しずくに手足と猫の耳が生えたようなモンスターとグールが破壊されれば、デッキよりクモと犬獣が現れる。その異形さ、まさにアンデット。
「そして、破壊されたグールの効果でデッキから『イモータル・ステップス』を手札に加え、ヴォーンの効果でこのターンのエンドフェイズに墓地から『イモータル』カード1枚を手札に加えられる」(知多手札3→4)
「そして、フィールドのアンデット族が破壊された時、墓地に存在する『イモータル・コカトリス』は特殊召喚できるじゃん」(知多墓地14→13)
「レベル5のコカトリスに、レベル2のスパイダーをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、死者を操りし人形遣い! レベル7『マスターイモータル・ラタストク』!」(知多墓地13→15)
そしてまたまた現れたシンクロ『イモータル』。白装束に赤い髪、白い肌の人外じみたモンスター。手には鞭を持っている。攻撃力は2600。
「ラタストク、モンスター効果発動! フィールドのアンデット族モンスターを破壊し、その数だけ相手モンスターを対象としてコントロールを得る! ただし、この効果でコントロールを得たモンスターは攻撃できず、効果は無効化される。あ、リリースもできないじゃん」
「なにい……」
「俺はハウンドを破壊して、三太夫のコントロールを得る! 操り師の糸!」
ラタストクの手から、ピアノ線のような糸が出て三太夫を操る。(知多墓地15→16)
「だが、エクシーズはシンクロにできないだよ?」
「たしかにね、だけどこの効果でコントロールを得たモンスターはアンデット族となる!」
「ウソだか!? ということは、その効果でコントロールを得たということは、バロニスの効果にも……!」
「その通り、バロニスのモンスター効果発動! 自分フィールドのアンデット族モンスターを任意の数だけ破壊し、相手フィールドのカードを破壊する! あ、ついでに破壊されたハウンドの効果が発動して、墓地からレベル4以下の『イモータル』を特殊召喚できるじゃん。俺はマミーを特殊召喚するじゃん。俺は三太夫とマミー、ラタストクを破壊し、お前のバブーンとダイヤウルフ、伏せカードを破壊するじゃん! あ、ラタストクは自身の効果で復活するけど」(知多墓地16→17)
「ぐっ、オラのモンスターを奪っただけじゃなく、オラのモンスターを破壊するとは……だが、オラも簡単にはやられねえだ! 伏せカード発動! 罠カード『ホーリーライフバリアー』! 手札を1枚コストとして、このターンオラのダメージは0となるだ」(熊五郎手札2→1)(熊五郎墓地11→18)
「防がれたか……」
(伏せカードを伏せようにも、手札はモンスターが一杯で伏せられないんだよな。魔法カードが戻ってくるのもエンドフィズだし……)
「俺はこのターンで、エンドじゃん。このターンのエンドフェイズ、ヴォーンの効果でエンドフェイズに速攻魔法『イモータルの贄』が手札に加わるじゃん。そして、グールとヴォーン、ハウンドを特殊召喚できる」(知多手札4→5)(知多墓地17→14)

知多

ライフポイント7900
手札枚数5枚
モンスター5体
『ダークイモータル・バロニス』(攻撃表示・攻撃力2800・闇属性・レベル7)
『マスターイモータル・ラタストク』(攻撃表示・攻撃力2600・闇属性・レベル7)
『イモータル・ヴォーン』(守備表示・守備力400・闇属性・レベル4)
『イモータル・ハウンド』(守備表示・守備力500・闇属性・レベル4)
『イモータル・グール』(守備表示・守備力500・闇属性・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数14枚
除外されているカード0枚

「ここまで一方的にやられてるのね、熊五郎ちゃん」
「なあチヨちゃん、本当に大丈夫なの?」
「なあに、クマの反撃はここからだろ?」
「熊五郎は強いよ!」
「ホントにぃ?」
「窮鼠猫を噛むっていうから、そうなるのね」


7・熊五郎のターン

「オラのターン、ドロー!」(熊五郎手札1→2)
「魔法カード『貪欲な壺』を発動! 墓地のモンスター5体をデッキに戻し、2枚ドロー! オラは『アサルト・ガンドッグ』2体と、ダイヤウルフと三太夫と『暗黒の狂犬』をデッキに戻し、2枚ドロー!」(熊五郎手札1→3)(熊五郎墓地18→13→14)
「……よぉし来ただぁ! オラのフィールドにモンスターがいねとき、魔法カード『魔獣の懐柔』を発動できっだ! このカードは、デッキからレベル2以下の獣族モンスターを3体特殊召喚できるだ! オラは『森の聖獣 ヴァレリフォーン』と『森の聖獣 ユニフォリア』と『素早いモモンガ』を特殊召喚するだ!」(熊五郎手札3→2)(熊五郎墓地18→19)
「なにっ、いきなり3体も!? でも、バロニスの効果発動! 俺のアンデット族を3体破壊し、お前の特殊召喚した3体を破壊するじゃん! ブラッドランス!」(知多墓地14→17)
またしても破壊される熊五郎のモンスター。だが! 
「使ってくれるこのときを待っていただよ。速攻魔法『魔獣の再生』を発動! 獣族が破壊された時、破壊された獣族モンスターを可能な限り墓地から特殊召喚するだ! オラはさっき破壊された3体を墓地から特殊召喚! そして獣族の破壊に応じて、グリーン・バブーンはライフを1000支払い特殊召喚できるだ!」(熊五郎手札2→1)(熊五郎ライフ3200→2200)
「更に、魔法カード『三戦の才』を発動! 自分メインフェイズに相手モンスター効果が発動した時、3つの効果から1つを発動できるだ! オラはデッキから2枚ドロー!」(熊五郎手札1→2)(熊五郎墓地19→20)
「こっちも、『イモータル』が破壊されたことで墓地のコカトリスを特殊召喚して、デッキから『イモータル・ゴーレム』を手札に加える」(知多手札5→6)(知多墓地14→13)
「なら、こっちは手札より『獣王アルファ』を特殊召喚だ! このモンスターは、相手モンスターの攻撃力の合計が自分のモンスターより低い時、手札から特殊召喚できるだ」
現れたのは、なんと攻撃力3000を誇るライオンのごときモンスター。これには知多も驚く。
「攻撃力3000!?」
「それだけじゃね。アルファは自分フィールドの獣族・獣戦士族・鳥獣族を任意の数手札に戻すことによって、相手モンスターを任意の数だけ手札に戻せるだ!」
「なにっ!? 破壊じゃないじゃん!?」
「オラはヴァレリフォーンとユニフォリアを手札に戻し、おめえのシンクロモンスター2体を手札に……いや、エクストラに戻すだ!」(熊五郎手札2→4)
「くっ、これじゃあ……!」
「オラは『森の聖獣 ヴァレリフォーン』を召喚し、効果発動。手札1枚をコストに、墓地からレベル2以下の獣族モンスター1体を攻撃表示か裏守備表示で特殊召喚できるだ。オラは墓地から『森の聖獣 カラントーサ』を特殊召喚!」(熊五郎手札4→2)
「獣族モンスターの効果で特殊召喚されたカラントーサの効果で、おめえのフィールドのコカトリスを破壊!」
「ぐっ……」(知多墓地13→14)
「さあ、これでおめえのフィールドはがら空きだよ。といっても、アルファは効果を使ったターン直接攻撃できねえだがな。だが、こうすりゃ問題ねえ! オラはレベル8のアルファに、レベル2のヴァレリフォーンをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル10『神樹の守護獣 牙王』!」(熊五郎墓地20→22)
シンクロによって現れた先ほどのアルファにも劣らない獅子のモンスター。攻撃力は3100。
「そして再び、レベル2獣族モンスターでエクシーズ召喚! ランク2『No.64 古狸三太夫』! そして、三太夫の効果、エクシーズ素材を1つ取り除き、フィールドの中で一番攻撃力が高いモンスターの攻撃力を持つ影武者狸トークンを特殊召喚するだ! 今攻撃力が高いのは3100の牙王! よって影武者狸トークンの攻撃力は3100に!」(熊五郎墓地22→23)
「こ、こりゃあやばいじゃん……!」
劣勢だったと言うのに、いつの間にか相手フィールドには攻撃力2000以上のモンスターが3体。そして自分フィールドにはモンスターもカードもなし。
これには遊太たちも驚く。
「あ、あの状況からこの挽回を見せるなんて!」
「つええ! なんてヤツだ!」
「これが、プラクサスの外のデュエリスト!」
驚く遊太たちとは対照的に、自慢げなロカクタウンのデュエリストたち。デュエルに集中していて気づかなかったが、周りの子供たちの声もうるさくなってきた。
「さあ、行くだよ。オラはグリーンバブーンで、ダイレクトアタック! ハンマークラブ・デス!」
「くっ、直撃を受ける訳には……! 手札の『イモータル・ステップス』の効果、発動! 相手の攻撃宣言時にこのカードを手札から――」
「速攻魔法『横槍封じ』! バトルフェイズ中の相手の効果発動を無効化する!」
「なに、いいいい!」(知多ライフ7900→5300)
「行けえい! オラのモンスター! 影武者狸トークンと牙王で、ダイレクトアタック! 牙王の牙・二連!」
「おおおおっ!」(知多ライフ5300→0)


「知多が、負けた……!?」
「あのデッキを相手に、勝っちまったのか!?」
「うう、負けたじゃん……!」
「よーし! まずは一勝だな、熊五郎!」
「やっただ!」
「強い……これが、アタシらの知らないデュエリスト!」
遊太たちは戦慄する。自分たちの知らない所に、こんなにも強いデュエリストがいたのかということに。
「いや~、やられたじゃん? まだデッキを初めて使ったばかりだからなれてなかったのもあるけど、あそこから勝つなんて……」
「伊達にここで強くはねえだよ」
「俺も、デッキを調整してもっと強くならないといけないじゃん?」
「んだ!」
とりあえず知多の対戦が終わったことで、次の戦いに移行する遊太たち。
「次はあたしの番なのね。次はあなたが相手してくれるのね?」
「もちろん、望むトコロデス!」
二戦目、雨崎千代対六道ユイ、デュエル開始! 


第七十六話。終わり。
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