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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第八十三話「エキシビションマッチ」

第八十三話「エキシビションマッチ」 作:イクス

第八十三話「エキシビションマッチ」


アキラによって励まされた遊太。それにより元気を取り戻した遊太は、菊姫たちと再び合流して再びD1グランプリへの予選に意気揚々と再び参戦した。
「よーし! 『イクスロードナイト・アルファ』でダイレクトアタック! ダークロード・ソード!」
「ぐああああっ!」
「よっしゃー! これで勝ちだ!」
「遊太のヤツ、あの後なんかあったのか? 今まで以上に元気になってる気がするな……」
「いや、ホントに……なんかあったとしか思えないじゃん?」
「まあでも、今は良いじゃないですか。元気になって、こうしてD1グランプリへ向けて頑張っているんですから」
「そーだな。なんだかんだいって、アタシたちも一次予選は通過できたしな」
「ですね!」
「じゃん!」
デュエルが終了した時、遊太のデュエルディスクが音を立てた。
「30ポイントに達しました。一次予選通過です」
「よぉーし! これで、僕も一次予選を通過だ! さーってと、みんなこれで予選通過だよね? 菊姫、真薄君、知多君、ユイ、カリンちゃん……みんな予選通過だね!」
「ハイ! 皆サン全員予選通過デス!」
「ここからが……本当の戦いってことか」
「全国の猛者たち相手に、俺たちがどこまで通用できるか……楽しみじゃん!」
「はい! 僕たちも……やってみせます!」
「ワタシも、この大会で何かをつかめるよう頑張りマス!」
「はいはーい、そこまでね」
「烏間さん!」
「そんなあなたたちに、ロベルトさんからプレゼントがあるそうよ?」
「プレゼント?」
烏間が懐から封筒を取り出し、それぞれに手渡す。
「『クリアウィング・シンクロ・ドラゴン』? 新しいシンクロモンスターじゃん!」
「『スターヴヴェノム・フュージョン・ドラゴン』? これ、僕に融合モンスターですか?」
「『ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン』……これ、僕にですか?」
「これ、新しい『古代の機械』モンスターじゃねーか! こんなもんアタシもらっていーの!?」
「ワタシは、これを……」
「ロベルトさんが言ってたの。今までのカードだけじゃ、みんなは多分太刀打ちできないって言ってたから、ささやかだけど強化に使ってと」
「わーありがとうごぜえます! すっげー! こんないーもんもらっていいのかよ!」
「これなら、大分楽になりますね!」
菊姫や真薄たちは喜んでいるが、遊太は少し考えていた。
(これだけじゃまだ足りない。あのJ4だけじゃなくて、その上にいる人と戦うには……今まで以上の『イクスロードナイト』が必要になる)


そうして家に帰った遊太は、テレビをつける。テレビでやっていたのは、リトルバードの二人がやる番組『D1スクープ』であった。
「みんなー! D1スクープの時間だよー!」
「だよ~」
「さて、今日はD1グランプリ一次予選の最終日! みんな30ポイント集めて予選通過できたかな?」
「一応今日が終わるまではまだ予選通過のチャンスはあるから、みんなまだ諦めないでね~」
「さ~て、現在日本でD1グランプリ一次予選通過者の数は、1万人程! お~、みんなすごいね~! こんなにもいるんだね~!」
「さ~て、いよいよ明日D1グランプリ二次予選が始まるけど、みんな頑張ってね~!」
「ま、あたしらも頑張るけどね~」
「ああ~ヒカリちゃん! それまだ言っちゃダメ~!」
「あっそお? じゃあ、明日もみんな頑張れ! 予選通過者の皆さ~ん!」
それを見て、遊太も気合いが入った。
「よーし……僕だって!」


そして、二次予選の日がやってきた。
「いよいよ、来たね……じゃあ行こうか、みんな」
(ああ、行こう)
デッキの『イクスロードナイト』の精霊たちに声をかけ、玄関に立つ。
「遊太! 世界にお前の名前をとどろかせて来い!」
「頑張ってね!」
「うん!」
「ア~、遊太サン、おいていかないでくだサ~イ……」
父と母にも激励の言葉をもらって、ドアを開けて家を出た。ユイも一緒に。
しばらく歩き、到着したプラクサスアリーナ。そこには、すでに大勢のデュエリストたちがいた。皆同じデュエルディスクを身につけている。
「もうこんなに……」
「よぉ。来たみたいだな、遊太」
「うん。みんなも二次予選通過して、これからだよね」
菊姫、知多、真薄、そして遊太とユイ。五人はそれぞれお目を合わせると。
「大会が始まれば、友人だろうと容赦なんかしねえぞ」
「俺だって、負ける訳にはいかないじゃん!」
「僕もやってみせます!」
「僕だって!」
「ワタシも!」
「んじゃ、会場に着くまでは一緒に歩こうか」
「あくまで、始まるまでは……な!」
五人一緒に、会場へと向かっていく。会場へと向かっていく途中、同じD1グランプリ専用デュエルディスクをつけたデュエリストが多く見かける。大人、子供、プロと思しきデュエリスト、たくさんいた。
「こんなに……」
「ヘッ、相手が多い方がぶっ潰し甲斐があるってもんだ!」
そして、日本におけるD1グランプリ二次予選会場としてたどり着いた場所が、プラクサススタジアム。プラクサスシティにある、陸上もサッカーもできる競技場だ。
競技場の中は、設営されたステージ以外にはデュエリストで埋め尽くされていた。ステージの上では、リトルバードの二人が歌を歌っていた。
「~♪ ~♪」
「やっぱり、公式サポーターの二人が歌を歌ったりしてるんじゃん!」
「しっかしこんなお祭り騒ぎ、アタシたちもワクワクしてくんなあ!」
と、菊姫がウズウズしていた所に現れた、
「おいおい、そんな浮かれ気分じゃ、勝ちに来てるヤツにあっという間にやられちまうぜ?」
「アキラ君!」
「はい、ここには勝ちに来てる人しかいませんから……」
「カリンちゃん!」
「見ろよ、周りの連中。あそこに3人固まっているのが、プロランクトップ3の三人、才羽亮、北海千歳、河合美里……そしてあっちにいるのが、ジュニアでの最強格4人……お前も見たことあるだろ? 遊太」
「うん、僕とデュエルした明石慎之介、まだ実力未知数の桐生比斗志、萌木冴花、石山堅……」
「他にも数多くのデュエリストやプロ……これ全員と戦わなきゃいけないなんて……ツライなあ」
「やるならやるしかねえな!」
「じゃん!」
そして、しばらくした後チャイムが鳴り、デュエリスト一同がステージを向く。
ステージ上のリトルバードの二人が、イヤホンマイクで語りかける。
「みなさーん! 二次予選参加デュエリストが全員集まりましたので、二次予選を開始したいと思いまーす!」
「と、言いたいんだけど~、ここで開催者の世界チャンピオンオグマ・ナロクさんから通達があるそうで~す。えーと、なになに……? えーと今回、日本のデュエリストの皆さんに、サプライズとしてアメリカチャンピオンのラルセイ・ドリーマーを送りました。彼とのエキシビションマッチを行ってください……はい。というわけで、アメリカチャンピオン+アメリカ予選を一番最初に突破した少年デュエリスト、ラルセイ・ドリーマー君です」
ステージの裏から現れたのは、遊太が以前デュエルをしたというアメリカチャンピオン、ラルセイ・ドリーマーが現れた。黒髪に丸メガネの少年だ。
その少年が現れたことに、日本のデュエリストたちはざわめく。
「アイツ……知っとるわ。世界チャンピオン、オグマ・ナロクの養子で、俺らより年下のくせにアメリカの頂点に立った少年……見た感じ、覇気は感じへんのやけどな」
「でも、その中はすっごく闘志であふれてる……かも」
「子供と侮ると、必ず痛い目を見るタイプですね」
「プレイスタイルもド派手だからな」
プロからも、
「あの子供が、アメリカの頂点……前々からデュエルはしてみたいと思っていたがな」
「かぁわいい~すごく素直そうで!」
「だが、デュエリストとしての腕は俺たちと同じくらいか、それ以上って話らしいな。どう思う? 才羽さん」
「……より強い者が勝つ。ただそれだけだ」
「相変わらずで」
そして遊太たちも。
「アイツが、遊太と戦ったアメリカの……」
「うん。あの子は強いよ……」
ざわめきが大分収まった時、ラルセイはマイクを手に取り語る。
「え~、僕がラルセイです。このたびアメリカの代表として、オグマさんから日本でエキシビションマッチをしてこいと言われたので、やってきました。それで、相手ですが……日本のプロデュエル界において最強の名をほしいままにしているという、日本プロランク1位の才羽亮さんを指定します!」
その言葉に、会場はおぉ~っ! っと驚く。
「いきなり日本とアメリカのナンバーワンが対決かよ!」
「こりゃあ、見物だぜ……」
「おい、いきなりご所望だとよ。1位さん?」
「……良いだろう。やってやろうではないか」
多くのデュエリストが、壇上へ向かって歩く亮の道を開け、その真ん中を堂々と歩く。そして壇上に上がれば、二人は向かい合い、にらみ合う。ただにらんでいるだけだが、二人の間には、えも言われぬような緊張感があった。
「こうしてデュエリストとして向かい合うのは、初めてだな」
「はい。僕もあなたとは戦ってみたいと思っていました。日本のプロデュエル界は、常に上位が変動していて激戦区だと聞きました。そこで不動の1位を獲得しているというデュエリストと戦えるだけで、僕は光栄です」
「……礼には及ばん、それはこちらもだ。激戦区という意味では、日本以上とも言えるアメリカだ。そのチャンピオンが、僅か10才の少年になったという話は聞いていたが……。それもつい最近のことだ。俺とて日本で2年以上1位を死守していない。1位を狙って、今まで何人ものデュエリストが俺に挑戦状を叩きつけてきた。だが……俺は全員そのデュエリストを叩き潰してきた。あそこにいる2位と3位も同様だ、例外は無い!」
この言葉には、思わず千歳や美里もため息をこぼす。
「……正直言って、えげつねぇわアイツ。ホント勘弁しろし……」
「はっきり言って怖すぎなのよね~」
と、愚痴をこぼす。
だが、ラルセイは返す。
「確かに、あなたの不動の1位は存じ上げています。ですが、デュエルという一瞬においては、そんな肩書きはあっという間に崩れ落ちてしまうことも、ご存じでしょう? 僕も、それだけはわかっているつもりです。ですから、あなたと戦いたいのです」
「……そうか、なら全力で来い」
「言われずとも」
互いに、D1グランプリ専用のデュエルディスクを装着し、デッキをセットし向かい合う。
「デュエル開始とみて良いですね? あ、一応コレエキシビションマッチなので、10ターン目になったら強制終了でよろしいですか? オグマさんからの通達です」
「よかろう。だが、俺にとって10ターンの猶予など、すぐに片付くぞ?」
「……その言葉、そっくりお返しします。僕も10ターンは、少し長過ぎだと思ってます」


「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」

「先攻後攻は?」
「どちらでも構わん」
「では、僕が先攻を取ります」

1・ラルセイのターン

「僕のターン」
「僕は手札から、魔法カード『コール・リゾネーター』を発動します。デッキから『リゾネーター』モンスター1体を手札に。僕はデッキから、レベル2チューナーの『レッド・リゾネーター』を手札に」(ラルセイ墓地0→1)
「そして手札から『レッド・リゾネーター』を召喚。『リゾネーター』モンスターが召喚に成功した時、手札の『レッド・ウルフ』は攻撃力を半分にして特殊召喚できる」(ラルセイ手札5→3)
「チューナーと、それ以外のモンスターか……シンクロ召喚か!」
「ええ、そうですよ。僕はレベル6の『レッド・ウルフ』に、レベル2の『レッド・リゾネーター』をチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル8赤き王の龍! 『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!」(ラルセイ墓地1→3)
現れた、赤い体に炎を宿す悪魔の龍。攻撃力は3000。
「ほう……これがお前のエースか……」
「そうですよ? ですけど、ここからが僕の強さです。フィールドにシンクロモンスターがいる時、手札のレベル1チューナー『シンクローン・リゾネーター』は特殊召喚できる」(ラルセイ手札3→2)
「レベル8のレッド・デーモンズに、レベル1の『シンクローン・リゾネーター』をチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル9『琰魔竜 レッド・デーモン・アビス』!」(ラルセイ墓地3→5)
レッド・デーモンズが進化し、より赤く染まり筋骨隆々となる。攻撃力は3200。
「シンクロモンスターを、更に高めて来たか」
「フィールドから墓地へ送られた『シンクローン・リゾネーター』は、墓地から同名カード以外の『リゾネーター』を手札に加えられる。僕は『レッド・リゾネーター』を手札に加える」(ラルセイ手札2→3)(ラルセイ墓地5→4)
「僕は、リバースカードを1枚セットして、ターンエンドです」(ラルセイ手札3→2)

ラルセイ

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
『琰魔竜 レッド・デーモン・アビス』(攻撃表示・攻撃力3200・闇属性・レベル9)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数4枚
除外されているカード0枚


この1ターン目に、疑問を遊太に投げかける菊姫。
「なあ、遊太。お前前にアイツと戦ったことがあるんだろ? あんなカードとか、使ってたか?」
「いや、僕と戦った時はあんなもの使ってなかった。やっぱり、あの時は様子見の手抜きだったんだね……今は本気って訳か……」
「一体何をしやがるんだ……」
「だけど、あのプロ1位の人も厄介じゃん? そう簡単には負けないと思うじゃん?」


2・才羽のターン

「俺のターン、ドロー」(才羽手札5→6)
「相手フィールドにのみモンスターが存在している時、手札の『サイバー・ドラゴン』は特殊召喚できる」(才羽手札6→5)
手札からいきなり現れた、攻撃力2100の機械のドラゴン。
「機械族……か」
「更に、手札から『サイバー・ドラゴン・コア』を召喚。効果発動、召喚に成功した時、デッキから『サイバー』か『サイバネティック』魔法・罠を1枚手札に加えられる」(才羽手札5→4)
「その効果は、あんまり許せないね。永続罠『デモンズ・チェーン』を発動!」
『サイバー・ドラゴン』の中身は、悪魔の聖域から放たれた鎖に縛られ効果を発動できなかった。
「いきなり効果無効化か。それぐらいやってくれなければ面白くない。俺は手札から魔法カード『エヴォリューション・バースト』を発動! 『サイバー・ドラゴン』がいる時、このターン『サイバー・ドラゴン』の攻撃を封じる代わりに、相手フィールドのカード1枚を破壊する! そのアビスは破壊させてもらうぞ!」(才羽手札4→3)(才羽墓地0→1)
「なるほど、今度はそっちか。だけど、アビスの効果発動! 1ターンに1度、相手フィールドの表側表示カード1枚を対象として、その効果をターン終了まで無効化する! その魔法カードは、無効化!」
アビスのプレッシャーにより、魔法カードは無効化されてしまう。
「2回目か。だが、今のでお前のデュエルスタイルが、大体わかった」
「え?」
「お前のデュエルスタイルは、大型のシンクロモンスターと罠で場を制圧し、最大攻撃力を叩き込む、力のスタイル……」
「確かに、僕はキングを目指しています。だからこそ、このモンスターによるパワーで押し切らせてもらいますよ!」
「ほう、ならば……それ以上の力で押し切ってくれるわぁ!」
「なんですって!?」
「魔法カード『パワー・ボンド』を発動! これは機械族専用の融合カードだ!」
「なにいっ! いきなりあんなカードを使うのかよ!」
いきなり『パワー・ボンド』を使ったことに驚く菊姫。
「アレは菊姫も使ってた……たしか、融合召喚したモンスターの攻撃力を倍加させる、超強力カード……」
「アタシじゃあんまり使いこなせてないあのカードを、いきなり……」
「俺はフィールドの『サイバー・ドラゴン』と『サイバー・ドラゴン・コア』の『サイバー・ドラゴン』モンスター2体で、融合召喚! 現れろ、レベル5『キメラテック・ランページ・ドラゴン』!」(才羽手札3→2)(才羽墓地1→4)
現れたのは、二つの首を持つ機械ドラゴン! 攻撃力は2100と、あんまり高くないが『パワー・ボンド』の効果で倍の4200となる。
「いきなり、アビスの攻撃力3200を上回った!?」
「ランページの効果発動! 融合召喚に成功した時、融合召喚に使用したモンスターの数まで相手の魔法・罠を破壊できる! 『デモンズ・チェーン』を破壊!」(ラルセイ墓地4→5)
「更に、デッキから光属性・機械族モンスターを2体まで墓地へ送ることで、このターンランページ・ドラゴンは攻撃回数を送った数まで増やす! 俺は『超電磁タートル』と『サイバー・ガードナー』を墓地へ送り、このターン攻撃回数を3回に増やす!」(才羽墓地4→6)
いきなりこんなタクティクスを見せたことに、観客たちは驚く。
「攻撃力4200の、3回攻撃だって!?」
「アイツいきなり、このデュエルを終わらせる気かよ!」
デュエル場も、
「いきなりこんなことをするなんて、厄介ですねえ」
「言っただろう、10ターンなど長すぎると。バトルフェイズ! 『キメラテック・ランページ・ドラゴン』で、レッド・デーモンズ・アビスを攻撃! エヴォリューション・デラルト・バースト!」
「ぐぅっ!」(ラルセイライフ8000→7000)(ラルセイ墓地5→6)
「『キメラテック・ランページ・ドラゴン』、第二打ァ!」
「直撃は許さない! 相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札の『バトルフェーダー』を特殊召喚!」(ラルセイ手札2→1)
直接攻撃に対し、手札から特殊召喚されたベルのようなモンスター。ぐるりと回ってベルを鳴らして、バトルフェイズは終了してしまった。
「『バトルフェーダー』が自身の効果で特殊召喚された時、相手のバトルフェイズは終了。メインフェイズ2になります。そして、エンドフェイズになれば『パワー・ボンド』の代償を払わなくてはいけません」
「フン、この俺がそんな凡ミスをすると思うか? メインフェイズ2、俺は手札を1枚伏せて、ターンエンドだ。そしてこのエンドフェイズ、『パワー・ボンド』によるダメージが発生するが、墓地の『サイバー・ガードナー』を除外し、ダメージを0にする」(才羽手札2→1)(才羽墓地6→5)(才羽除外0→1)

才羽

ライフポイント8000
手札枚数1枚
モンスター1体
『キメラテック・ランページ・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力4200・闇属性・レベル5)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数5枚
除外されているカード1枚


「マジかよ……いきなりデュエルを終わらせかねないモンスターを繰り出して、『パワー・ボンド』の代償を帳消しにしやがった」
「これがプロのデュエル……」
「だが、先制リードは才羽が奪ったみたいじゃん」
「ここからどうなるか、見物ですね……」


3・ラルセイのターン

「僕のターン、ドロー」(ラルセイ手札1→2)
「僕は手札から、カードを1枚伏せて……ターンエンドです」(ラルセイ手札2→1)

ラルセイ

ライフポイント7000
手札枚数1枚
モンスター1体
『バトルフェーダー』(守備表示・守備力0・闇属性・レベル1)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数6枚
除外されているカード0枚

「どうした! 一発やられただけでもう手詰まりか!?」
「……今は動く時ではないだけですよ。デュエルは動くだけじゃなくて、止まるのもたまには良いのですよ」
「ほう……だが、俺はお前が止まった分、前に進ませてもらうではないか!」


4・才羽のターン

「俺のターン、ドロー!」(才羽手札1→2)
「俺は手札から、魔法カード『サイバー・リペア・プラント』を発動。墓地に『サイバー・ドラゴン』がいる時、デッキから光属性・機械族モンスター1体を手札に加えるか、墓地の光属性・機械族1体をデッキに戻す。俺はデッキから光属性・機械族の『サイバー・ドラゴン』を手札に加える」(才羽墓地5→6)
「そして俺は、ランページの効果を発動してデッキから機械族・光属性の『サイバー・ドラゴン・ヘルツ』と『サイバー・ドラゴン・ドライ』を墓地へ送り、このターン3回攻撃を可能とする!」(才羽墓地6→8)
「そして墓地へ送られた『サイバー・ドラゴン・ヘルツ』の効果で、デッキ・墓地より『サイバー・ドラゴン』を1体手札に加えられる。俺は墓地の『サイバー・ドラゴン』を手札に」(才羽手札2→3)(才羽墓地8→7)
「更に手札より、魔法カード『融合』を発動! 手札の『サイバー・ドラゴン』2体で、融合召喚を行う! 現れろ、レベル8『サイバー・ツイン・ドラゴン』!」(才羽手札3→0)(才羽墓地7→10)
『サイバー・ドラゴン』の体が、2つ首となったモンスター。攻撃力は2800。だが、それだけではない。
「サイバー・ツインは、2回攻撃を可能とする」
これには、外野も遊太たちももっと驚く。
「ウソでしょ……!? 攻撃力4200の3回攻撃ですら驚異的なのに、更に2回攻撃のモンスターまで……!?」
「力が……すぎる!」
と、遊太たちが言えば。
「相変わらず、えげつない程の真っ向勝負だな」
「怖いわ~、相手の同じ土俵に立って真っ向勝負だなんて、恐ろしすぎるわ~」
と、プロランク2位と3位、千歳と美里が愚痴る。
盤面に戻れば、ラルセイが。
「これが……日本プロランク1位の実力ですか。パワーで来るなら、それを上回るパワーで真っ向勝負ですか?」
「これが俺の信条だ。行くぞ、バトルフェイズ――」
「その前に、永続罠『スクリーン・オブ・レッド』を発動します。このカードがある限り、相手は攻撃できません」
「……受け流されたか。仕方ない、ここはターンエンドだ」

才羽

ライフポイント8000
手札枚数0枚
モンスター2体
『サイバー・ツイン・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2800・光属性・レベル8)
『キメラテック・ランページ・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力4200・闇属性・レベル5)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数10枚
除外されているカード1枚


「防いだ!」
「だけど、あくまで一時しのぎにしかならないと思うじゃん……あの人の猛攻は、それすら通り抜けていくはずじゃん!」
「目が離せませんね……」


5・ラルセイのターン

「僕のターン、ドロー」(ラルセイ手札1→2)
「魔法カード『マジック・プランター』を発動して、僕のフィールドの永続罠『スクリーン・オブ・レッド』を墓地へ送って2枚ドロー」(ラルセイ手札1→3)(ラルセイ墓地6→8)
「手札から、『レッド・リゾネーター』を召喚して、効果発動。手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚する。手札のレベル1チューナー『変容王 ヘル・ゲル』を特殊召喚する」(ラルセイ手札3→1)
「ヘル・ゲルの効果発動。フィールドのモンスター1体を対象に、ヘル・ゲルのレベルを対象としたモンスターのレベルと同じにします。僕が対象とするのは、レベル5のキメラテック・ランページ。そして、ヘル・ゲルは対象としたモンスターのレベル×200ポイントライフを回復します。よって1000ポイントライフを回復します」(ラルセイライフ7000→8000)
「そして、レベル1の『バトルフェーダー』に、レベル5となっているヘル・ゲルをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル6『レッド・ライジング・ドラゴン』! 『バトルフェーダー』は自身の効果で特殊召喚された時、除外されます」(ラルセイ墓地8→9)(ラルセイ除外0→1)
そうして現れた、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』の姿をしたような炎のドラゴン。攻撃力は2100。
「『レッド・ライジング・ドラゴン』の効果、墓地の『リゾネーター』1体を特殊召喚します。僕は『シンクローン・リゾネーター』を特殊召喚します」(ラルセイ墓地9→8)
「そして、レベル6の『レッド・ライジング・ドラゴン』に、レベル2の『レッド・リゾネーター』をチューニング! シンクロ召喚! 赤き炎が、仇なす敵を焼き尽くす! 現れろレベル8『琰魔竜 レッド・デーモン』!」(ラルセイ墓地8→10)
そうして現れた、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』と同じ姿をしながらも、細部に違ったモノを持つドラゴン。攻撃力は3000。
「出したか、新たなレッド・デーモンズ……何かこの状況を打開する効果を持っていると言うのか?」
「その通りです。『琰魔竜 レッド・デーモン』は、このモンスター以外の攻撃を放棄する代わりに、フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する! いくら攻撃力が高くても関係ない。この赤き炎で、焼き払ってくれます! 真紅の地獄炎!」
フィールドを赤い炎が覆い尽くす。それにより、才羽のモンスターは全て破壊される。
「ぐぅっ……」(才羽墓地10→12)
「行きますよ、バトルフェイズ! 琰魔竜で、ダイレクトアタック! アブソリュート・ヘル・ジャッジ!」
「そう簡単に直撃を食らってたまるか! リバースカードオープン! 罠カード『パワー・ウォール』! 相手モンスターの攻撃によるダメージを、ダメージが0になるようにデッキの上からカードを墓地へ送る。1枚につき500ポイント、お前のモンスターの攻撃力は3000、よって俺は6枚墓地へ送ってダメージを0にする!」(才羽墓地12→19)
琰魔竜の炎をデッキから現れたカードが防ぐ。ダメージはこれで0となった。
「防がれましたか……」
「ただ防いだだけではない。デッキから墓地へ送られた『サイバー・ドラゴン・ヘルツ』の効果で、墓地から『サイバー・ドラゴン』である『サイバー・ドラゴン・フィーア』を手札に加える『サイバー・ドラゴン』と名のついたモンスターは、フィールド・墓地で『サイバー・ドラゴン』としても扱うことができる。ゆえにこれだ」(才羽手札0→1)(才羽墓地19→18)
「またしても……僕はメインフェイズ2にカードを1枚伏せて、これでターンエンドです」(ラルセイ手札1→0)

ラルセイ

ライフポイント7000
手札枚数0枚
モンスター1体
『琰魔竜 レッド・デーモン』(攻撃表示・攻撃力3000・レベル8・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数10枚
除外されているカード1枚


「また……逆転したぜ」
「しかもライフはあの時のままだ……」
遊太と菊姫が唖然としている中、千歳やJ4たちは。
「すげえな、ライフが初期状態のまま、戦況だけが入れ替わり立ち替わってやがる。ド派手じゃねえのに、プロの凄味ってやつを感じるぜ」
「ライフ回復したのはええんか?」
「初期ライフそのままだから、別にいいかも……」
といった具合に、ライフがほぼ減らずデュエルの状況が変わり続けることに驚きを隠せない。


6・才羽のターン

「俺のターン、ドロー」(才羽手札1→2)
「手札から魔法カード『貪欲な壺』を発動。墓地のモンスター5体をデッキに戻し、2枚ドローする。『キメラテック・ランページ・ドラゴン』、『サイバー・ツイン・ドラゴン』『サイバー・ドラゴン・ヘルツ』2体、『サイバー・ドラゴン・ドライ』をデッキに戻し、2枚ドローする!」(才羽手札1→3)(才羽墓地19→15)
「相手フィールドにのみモンスターが存在する時、墓地の『サイバー・ドラゴン・コア』を除外し効果発動。デッキより『サイバー・ドラゴン』モンスター1体を特殊召喚する。俺はデッキより『サイバー・ドラゴン』を特殊召喚する」(才羽墓地15→14)(才羽除外1→2)
「そして『サイバー・ドラゴン』が召喚・特殊召喚に成功した時、手札の『サイバー・ドラゴン・フィーア』を特殊召喚する」(才羽手札3→2)
「魔法カード『融合回収』を発動。墓地から融合召喚に使用したモンスターと『融合』を1枚手札に加える。俺は『サイバー・ドラゴン』と『融合』を手札に加える」(才羽手札1→3)(才羽墓地14→13)
「そう力を示してくるなら、俺も上回るパワーで行くしかあるまい! 俺は『融合』を発動! 手札、フィールドの『サイバー・ドラゴン』2体とフィールドで『サイバー・ドラゴン』として扱うフィーアを素材として、融合召喚! 現れろレベル10『サイバー・エンド・ドラゴン』!」(才羽手札3→1)(才羽墓地13→17)
そうして現れた、『サイバー・ドラゴン』が3つ首となったモンスター! 攻撃力4000の、超大型モンスター! 
「攻撃力4000ですって!?」
「力で来るなら、それを上回る力で迎え撃つだけだと言っただろう! バトルフェイズ! 行け、エターナル・エヴォリューション・バーストォ!」
「直撃を受けるわけには……! 罠カード『オーバー・ゲイン』発動! 僕のモンスター1体の攻撃力を1000アップさせる! これで琰魔竜の攻撃力は3000から4000に!」(ラルセイ墓地10→11)(琰魔竜攻撃力3000→4000)
「むぅ……これでは相打ちか!」
「迎え撃て、琰魔竜! リターン・アブソリュート・フォース!」
『サイバー・エンド・ドラゴン』の強烈な攻撃を、同じくらいの威力で迎え撃つ琰魔竜。攻撃が双方にぶつかり、互いのモンスターは消滅した。
「……本来なら、こっちのターンで使いたかった」(ラルセイ墓地11→12)
「ぬう……逃げ場をなくすつもりが、逆に迎え撃たれてしまった……なら、メインフェイズ2でリバースカードを1枚伏せて、ターンエンド」(才羽墓地17→18)(才羽手札1→0)

才羽

ライフポイント8000
手札枚数0枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数18枚
除外されているカード2枚


7・ラルセイのターン

「僕のターン、ドロー」(ラルセイ手札0→1)
「僕も手札から、魔法カード『貪欲な壺』を発動。墓地のモンスター5体、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』、琰魔竜、『レッド・ライジング・ドラゴン』、アビス、『レッド・ウルフ』をデッキに戻し、2枚ドロー」(ラルセイ手札0→2)(ラルセイ墓地12→8)
「『レッド・スプリンター』召喚。このモンスターは召喚・特殊召喚された時、自分フィールドに他のモンスターがいない時、手札・墓地からレベル3以下の悪魔族チューナー1体を特殊召喚できる。僕は墓地からレベル1の『変容王 ヘル・ゲル』を特殊召喚する」(ラルセイ墓地8→7)
「そして再び、ヘル・ゲルの効果を発動して『レッド・スプリンター』と同じレベル4にして、ライフを800回復します」(ラルセイライフ8000→8800)
「そして、レベル4の『レッド・スプリンター』に、レベル4となっているヘル・ゲルをチューニング! シンクロ召喚! 再び現れろ、レベル8『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!」(ラルセイ墓地7→9)
再びラルセイのフィールドに現れるエースの『レッド・デーモンズ・ドラゴン』。才羽のフィールドはがら空きだ。
「行きますよ、バトルフェイズ! レッド・デーモンズで、ダイレクトアタック! アブソリュート・パワー・フォース!」
「させるか! リバースカード、オープン! 罠カード『ガード・ブロック! 戦闘ダメージを0にして、1枚ドローする!」(才羽墓地18→19)(才羽手札0→1)
「またしても……僕はリバースカードを1枚伏せて、ターンエンドです」(ラルセイ手札1→0)

ラルセイ

ライフポイント8800
手札枚数0枚
モンスター1体
『レッド・デーモンズ・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力3000・レベル8・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数9枚
除外されているカード1枚


8・才羽のターン

「俺のターン、ドロー!」(才羽手札1→2)
(来た! このカードは、俺の中で最大級のパワーを得られるカード……!)
「俺は手札から魔法カード『オーバーロード・フュージョン』を発動! 自分フィールド・墓地から闇属性・機械族の融合モンスターの素材となるモンスターを除外し、融合召喚を行う! 俺は『サイバー・ドラゴン』3体と、『サイバー・エンド・ドラゴン』『サイバー・ドラゴン・フィーア』『サイバー・ドラゴン・ツヴァイ』『プロト・サイバー・ドラゴン』『サイバー・ドラゴン・ドライ』『サイバー・ジラフ』『サイバー・オーガ』の10体を除外し、『キメラテック・オーバー・ドラゴン』を融合召喚する!」(才羽手札2→1)(才羽墓地19→10)(才羽除外2→12)
そうして現れた、三つ首……いや、首が10 本もある機械のドラゴン! 攻撃力は……。
「『キメラテック・オーバー・ドラゴン』は、融合召喚に使用したモンスターの数×800ポイント攻撃力をアップする。今回融合償還に使用したのは10体、よって攻撃力は8000となる!」
ここにきて、更に攻撃力の高いモンスターを出したことに驚きを隠せない 観客たち。
「マジっすか!?」
「相手を力でねじ伏せるって言ってもほどがあるだろ~!」
「力ありすぎ!」
ラルセイは唖然とする。
「力といっても、ここまでやりますか?」
「俺の信念は真っ向勝負。この攻撃力を必ず叩き込んでくれるわぁ! 行くぞ! 『キメラテック・オーバー・ドラゴン』で、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』を攻撃! エヴォリューション・レザルト・バースト!」
「ここで僕も罠カード『ガード・ブロック』を発動! ダメージを0にして、1枚ドローします!」(ラルセイ手札0→1)(ラルセイ墓地9→11)
(防がれた……キメラテック・オーバーは連続攻撃を持つが、モンスターへの攻撃だから連続攻撃はできない……)
「リバースカードを1枚伏せ、ターンエンド」(才羽手札1→0)

才羽

ライフポイント8000
手札枚数0枚
モンスター1体
『キメラテック・オーバー・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力8000・レベル9・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数10枚
除外されているカード12枚


9・ラルセイのターン

「僕のターン、ドロー!」(ラルセイ手札1→2)
「相手フィールドにのみモンスターが存在する時、手札の『バイス・ドラゴン』は攻撃力を半分にして特殊召喚できる」(ラルセイ手札2→1)
「そして手札からレベル3チューナー『ダーク・リゾネーター』を召喚!」(ラルセイ手札1→0)
「レベル5の『バイス・ドラゴン』に、レベル3の『ダーク・リゾネーター』をチューニング! シンクロ召喚! 再び現れろ、レベル8『琰魔竜 レッド・デーモン』!」(ラルセイ墓地11→13)
「またしても現れたか、そのモンスター!」
「琰魔竜の効果、フィールドの攻撃表示モンスターをすべて破壊!」
「ぬぅっ!」(才羽墓地10→11)
「琰魔竜で、ダイレクトアタック! 力に傾倒しすぎて、守りが疎かですよ!」
「舐めるな! リバースカード、オープン! 速攻魔法『サイバーロード・フュージョン』! フィールド・除外ゾーンから『サイバー・ドラゴン』を素材とする融合モンスターによって決められた素材をデッキに戻し、融合召喚を行う! 俺は除外されている『サイバー・ドラゴン』3体をデッキに戻し、2体目の『サイバー・エンド・ドラゴン』を融合召喚する!」(才羽墓地11→12)(才羽除外12→9)
異次元の彼方より現れた、『サイバー・エンド・ドラゴン』! その攻撃力4000では、琰魔竜は攻撃できない。
「くっ……僕はこれでターンエンドです」

ラルセイ

ライフポイント8800
手札枚数0枚
モンスター1体
『琰魔竜 レッド・デーモン』(攻撃表示・攻撃力3000・闇属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数13枚
除外されているカード1枚


10・才羽のターン

「俺のターン!」
「はいそこまで! エキシビションマッチはここで終了で~す!」
リトルバードの二人から、マッチの終了が告げられて、デュエルは終了となった。
「ぬう……ここからが良い所だと言うのに……」
「仕方ありませんよ、勝負は本戦でつけるとしましょう」
悔しがる才羽に対し、ラルセイはさっさとステージから降りた。途中、遊太とすれ違うと
「上で待っているよ」
とだけつぶやいてどこかへ行ってしまった。
「ラルセイ君……?」
だが、会場を盛り上げるには、エキシビションマッチは効果的であった。
「開幕から面白いモノ見せてもらったぜ!」
「あれが日本とアメリカのトップなのかよ……!」
「すげえな!」
と、盛り上がる一同。
J4やプロランク2位3位たちも、静かに闘志を燃やしていた。
そして、遊太も……。
(ラルセイ君……上で待っているって言ってた。なら、僕もこの戦いを勝ち抜いていかなきゃ、いけないね!)
と、闘志を新たに燃え上がらせ、決意を固めるのだった。


第八十三話。終わり。
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