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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第四十五話「血の刻印」

第四十五話「血の刻印」 作:イクス

第四十五話「血の刻印」


・シャインスパークエリア

真薄は見事、プレイヤーキラーを跳ね除けた。そして、真薄の肩には、彼の精霊であるグレイマターが乗っている。
そして、真薄の目の前には、遊太とカリンがいる。2人の後ろには、半透明の『イクスロードナイト』達と、サフィラがいる。それは、以前の真薄には見えていなかったもの。
真薄は、率直に疑問をぶつける。
「遊太君、カリンちゃん。僕の肩に乗っているグレイマターと、君達の後ろにいるソレは一体何なのですか?」
「うん、それはね、僕達の世界とは違う世界の生き物。具体的には精霊って呼んでいるよ」
「違う世界の生き物?」
「はい、そうですわ。別の世界でのんびり暮らしていたのですが、侵略者によって故郷を追われ、流れ着いた咲がこの世界で、同じ姿をしているカードに取り憑いてこと無きを得たのです」
「そういえばさっき、そこのグレイマター君は2回も死にかけたって言っていたけど、それは一体?」
遊太の問いに、グレイマターはぴょんと立ち、講義でもするかのように指を立てて解説する。
「ああ、そのことかい? 襲撃を受けた時、結構ダメージを喰らってしまってね……。危うく死にかけたけど、仲間が回復してくれたよ。そして上手くそっちの『イクスロードナイト』の女神様、イクス様が逃がしてくれたとはいえ、こっちの世界に来たら触れないし通り抜けられないしで、かなり体力を消耗してね……死にかけた時、この子の持っているカードが自分と共鳴してね。うまーくカードに取り憑いてこと無きを得られたのさ。でも、回復には長い時間をかけちゃったから、君達に気づいて貰えなかったんだな」
「それで、サフィラとカリンの祈りを受けて、エネルギーを得られて回復したと」
「まあ、最終的にはそんな感じかな?」
「なるほど」
グレイマターが何故ここにいるのか、今まで気づいてもらえなかった理由を知った遊太とカリンは、その理由に納得する。
それを受けて、真薄はカリンと遊太に質問する。
「それで、先程このグレイマター君をプレイヤーキラーの奴らが狙っていると言っていましたが、その理由については……」
「それはね、この帝国を主催した闇の王が僕達の『イクスロードナイト』達やサフィラを狙っているからさ。それに、この大会に参加している少年少女達は、少なからず精霊を持っているらしいからね……さっき僕と戦ったダークバットも、精霊のカードを沢山持っていたから」
「その理屈で行くと、僕のグレイマター君も狙われている……ということですか?」
「とまあ、そういうことになるね真薄君。実際僕もカリンちゃんも狙われたから」
「そーなのですか……」
「それに、プレイヤーキラーに狩られたら、僕らのエナジーも取られる……。この大会は全国のデュエリストの中で、一番強い奴を決める大会じゃない。闇の王が仕組んだ、内なる侵略と精霊ハンティングでしかないんだ……だから、ここはもう危ない。脱出してほしい!」
と、避難を促す遊太なのだが。
「それは……できません」
「なんで!?」
「精霊を持っている僕達がここに集められたなら、既に逃げ道は封鎖されているはずです。それこそ、狩りつくされるまで……。それに、遊太君とカリンちゃんは、全く逃げようとしていません。それは、何かあるってことですよね……」
「う……確かに、僕はロベルトさんを闇の王に連れ去られたから、助けるためにこの帝国に参加して、闇の王を倒すつもりでいる……カリンちゃんも、精霊を助けるために……」
「やっぱり、何かあるんですよね」
「でも、無関係の真薄君を巻き込む訳には……」
「当に巻き込まれていますし、それに……見過ごすわけにもいきません。僕達、友達でしょう? 友達が困っているなら、僕だって力になれるはずです! それに、そんな奴らをのさばらせておくわけにはいきません! ヒーローに憧れている身としては!」
「そうだぜ? この真薄君だって、さっきプレイヤーキラーを直接倒したんだからな。デュエルの腕前はかなりのものさ。どうせ僕らは巻き込まれたタチなんだ。脱出の為には、協力も惜しまないつもりさ。僕の頭脳と、この子のタクティクスがあれば、奴らに相対しても問題はない。そうだろう?」
「……確かに」
「……遊太君」
「わかった、そこまで言うなら。一緒に行こう」
「うん!」
こうして、真薄も遊太とカリンにに同行することとなった。そして。
「絶斗君」
「……なんかわからんが、ヤバいってことは分かった。とりあえず、俺も隠れている。そっちも、健闘を祈るぜ!」
そう言って、遊太達の元を離れる絶斗。それを見届け終わった後、
「よし、僕達も行こう!」
「ええ!」
「うん!」
遊太と真薄、カリンも走り出す。プレイヤーキラーの毒牙にかかる前に、残りの仲間メンバーの元へ急がなければならない! 


・ガイアパワーエリア

「う~、なんか帝国に来てから、首のあたりが痛いじゃん? ちょっと前、シェリルちゃんとデートしてから、首に何か刺し傷みたいな傷ができて……痛くもないから放置してたけど、やっぱりちゃんと薬塗った方が良かったじゃん?」
知多は、今現在ガイアパワーエリアをブラブラしていた。だが、その腕のスターポイントは3つと少ない。なぜなら。
「俺のシンクロデッキは、ちょっとこの帝国ルールじゃ生かしづらいじゃん……フィールドに応じてモンスターが耐性を得るとか、殆ど魔法・罠除去にしか使ってないじゃん……」
実際、知多の主力である『スター・ドラゴン』はモンスター効果で除去するため、デュエルするフィールドによってモンスターに耐性が付与される。例えばここガイアパワーエリアでは、地属性モンスターは地属性モンスターは同じ地属性モンスター以外のモンスター効果を受け付けない。故に、デッキによってはフィールド効果によってモンスター効果を封殺されかねない。
故に、知多のデッキでは苦戦を強いられ、スターポイントの伸びが無いのであった。
ここガイアパワーエリアは、大樹海や神聖なる森といったような、地属性を主体としたアトラクションがある。ここにおいても、デュエリスト達は闊歩していた。
「とりあえず、不利でもやるしかないじゃん? この帝国で一番になるには、例え不利でもやるしかないじゃん!」
と、意気込んだ時であった。
「~……ぶ……」
「ん? 草むらの中から、何か声が聞こえるじゃん? 行ってみるじゃ~ん」
草むらの中に入ってみると、蜂みたいな虫人が草むらの中で体育座りしながらブツブツ喋っていたのだった。
「全く、闇の王様も人使いが荒いぶ~ん。いきなり生み出されて、精霊をデュエルして奪えだなんて、無茶言い過ぎだぶ~ん」
といった具合に、何やら愚痴を言っているようだった。
「あ、あの~、アンタ誰じゃん? つーか、なんでこんな着ぐるみ着てここにいるのかじゃん?」
「ぼくちゃんは着ぐるみじゃないぶ~ん! 闇の王から直接命を仕ったプレイヤーキラー・ワスプだぶ~ん! お前達帝国のプレイヤーを狩るのが仕事なんだぶ~ん!」
「でも、サボっていたってことは、やる気なかったんじゃん?」
「うるさいぶ~ん! こうなったら闇のデュエルを始めてやるぶ~ん! 闇の王様から仕事をサボっていると思われるのやだからじゃないぶ~ん!」
そうして、デュエルディスクを展開するワスプ。それと同時に、知多のディスクも自動的に展開されてしまう。
「伊達に プレイヤーキラーは名乗ってないってか! 良いぜ、やってやるじゃん!」

「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」


「先攻は僕ちゃんがもらうぶ~ん」

1・ワスプのターン

「僕ちゃんは手札から、モンスターを裏守備表示でセット。その後永続魔法『大樹海』を発動させるぶ~ん」(ワスプ手札5→3)
このカードの発動により、辺りがソリッドビジョンによって森の中となる。
「これは……!」
「更に、カードを1枚セットして、ターンエンドだぶ~ん」(ワスプ手札3→2)

ワスプ

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『大樹海』(永続魔法)
墓地の枚数0枚
除外されているカード0枚


2・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札5→6)
「俺は手札から、魔法カード『調和の宝札』を発動! 手札の攻撃力1000以下のドラゴン族チューナーモンスター1体『アーススター・ドライ』を墓地へ送り、2枚ドローじゃん!」(知多墓地0→2)
「更に、手札から魔法カード『竜の霊廟』を発動! デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。それが通常モンスターなら、もう1枚送れる。『ヘルカイザー・ドラゴン』は効果モンスターだけど、墓地では通常モンスターとして扱うデュアルモンスターの効果を持つため、もう1枚送れる。『亡龍の戦慄ーデストルドー』を墓地へ送るじゃん」(知多手札6→5)(知多墓地2→5)
「そして、俺は手札から魔法カード『思い出のブランコ』を発動! 墓地から通常モンスター1体を、特殊召喚するじゃん。ただし、この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに自壊する……。でも、そんなの関係無いじゃん! 俺は『ヘルカイザー・ドラゴン』を特殊召喚!」(知多手札5→4)
「更に、俺は『ヘルカイザー・ドラゴン』をリリースして、アドバンス召喚! 出ろ、レベル6『ストロング・ウィンド・ドラゴン』!」(知多手札4→3)(知多墓地5→6)
アドバンス召喚によって現れたのは、如何にもな風のドラゴン。攻撃力は2400。
「『ストロング・ウィンド・ドラゴン』の効果、ドラゴン族をリリースしてアドバンス召喚した時、リリースしたモンスターの攻撃力の半分攻撃力をアップさせる! ヘルカイザーは攻撃力2400、よって攻撃力1200アップの3600じゃん! でも、ストロングは風属性だから攻撃力は500ダウン……」(S・W・ドラゴン攻撃力3600→3100)
「でも、いきなり凄いのが出てきちゃったぶ~ん」
「更に、相手の守備力を攻撃力が越えていれば、その分だけダメージを与えることも出来るじゃん! 喰らえ、ドラゴン・スクリュー!」
竜巻による突貫攻撃が、伏せ守備モンスターを破壊する。それにより、守備力1300から1800にアップした昆虫でも受けきれない、超過ダメージが起こる。
「ぐぅ~、いきなり凄いダメージだぶ~ん……!」(ワスプライフ8000→6400)(ワスプ墓地0→1)
「だけど、戦闘で破壊された『共鳴虫』の効果を発動するぶ~ん! 戦闘で破壊された『共鳴虫』は、デッキから攻撃力1500以下の昆虫族モンスターを、デッキから特殊召喚できるぶ~ん。ぼくちゃんはデッキから、『共振虫』を特殊召喚するぶ~ん」
鈴虫のようなモンスターが出てくるが、守備力は700。一応地属性なので攻撃力・守備力は500アップするが、それでも1200としょっぱい。
「更に、ぼくちゃんは『大樹海』の効果を発動するぶ~ん。このカードはぼくちゃんの昆虫族が破壊される度に、破壊された昆虫族と同じレベルを持つモンスターを手札に加えられるぶ~ん。『共鳴虫』はレベル3だから、同じレベル3の『アリジバク』を手札に加えるぶ~ん」(ワスプ手札2→3)
「なら、リバースカードを2枚伏せてターンエンドじゃん」(知多手札3→1)
(……向こう側は地属性を中心に固めたデッキ。耐性を突破できるモンスターがこっちに1枚しかないのなら、直線的な攻撃にならざるをへないじゃん)

知多

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
『ストロング・ウィンド・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力3100・風属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数6枚
除外されているカード0枚


3・ワスプのターン

「ぼくちゃんのターン、ドローだぶん」(ワスプ手札3→4)
「魔法カード『孵化』を発動するぶ~ん。自分モンスター1体をリリースすることで、墓地へ送ったモンスターよりレベルが1高い昆虫族を特殊召喚するんだぶ~ん。墓地へ送ったのはレベル4『共振虫』。よって、レベル5昆虫族の『ヴァリュアブル・アーマー』をデッキから特殊召喚するぶ~ん!」(ワスプ手札4→3)(ワスプ墓地1→3)
虫が蛹となって、突き破って生まれたのは攻撃力2350のカマキリモンスター。地属性なため、フィールド効果で2850となる。
「強力なモンスター……だけど、攻撃力なら俺の方が上じゃん!」
「墓地へ送られた『共振虫』の効果発動。デッキからレベル5以上の昆虫族1体を手札に加えるんだぶ~ん。ぼくちゃんが手札に加えるのはレベル8『デビルドーザー』だぶ~ん」(ワスプ手札3→4)
「更に、墓地の昆虫族2体『共鳴虫』『共振虫』を除外することで、さっき手札に加えたレベル8『デビルドーザー』を特殊召喚するぶ~ん!」(ワスプ手札4→3)(ワスプ墓地3→1)(ワスプ除外0→2)
2体の昆虫をムシャムシャと喰らって現れたのは、巨大なムカデモンスター! 地属性故に、ガイアパワーのフィールド効果を受けて攻撃力は2800から3300にアップする。
「更に、除外された『共鳴虫』の効果を発動するぶ~ん。デッキから昆虫族モンスター1体を墓地へ送るぶ~ん、墓地へ送るのは『ゴキポール』だぶ~ん。更に、墓地へ送られた『ゴキポール』の効果発動、デッキからレベル4の昆虫族モンスター、『甲虫装甲騎士』を手札に加えるぶ~ん」(ワスプ手札3→4)(ワスプ墓地1→2)
「更に、『ゴキポール』で手札に加えたモンスターが通常モンスターだった場合、手札から特殊召喚できるんだぶ~ん。手札に加えた『甲虫装甲騎士』を特殊召喚するぶ~ん。更に、この効果で手札から特殊召喚したモンスターの攻撃力以上のモンスターを1体、破壊できるんだぶ~ん! 『甲虫装甲騎士』の攻撃力はフィールド効果も含めて2400。よって、お前の『ストロング・ウィンド・ドラゴン』を破壊するぶ~ん!」(ワスプ手札4→3)
突如『ゴキボール』が知多のフィールドに降り注ぎ、『ストロング・ウィンド・ドラゴン』が破壊されてしまった。
「クソ……!」(知多墓地6→7)
「モンスターは消えた! ダイレクトアタックできるぶ~ん! バトルフェイズ! 『ヴァリュアブル・アーマー』で、ダイレクトアタック! ヴァリュアブル・デスサイズ!」
「カウンター罠『攻撃の無力化』! これでモンスターの攻撃を無効にして、バトルフェイズを終了させるじゃん!」(知多墓地7→8)
「む~、簡単には攻めさせてくれないぶ~ん。モンスターを1体伏せて、ターンエンドだぶ~ん」(ワスプ手札3→2)

ワスプ

ライフポイント6400
手札枚数2枚
モンスター4体
『ヴァリュアブル・アーマー』(攻撃表示・攻撃力2850・地属性・レベル5)
『デビルドーザー』(攻撃表示・攻撃力3300・地属性・レベル8)
『甲虫装甲騎士』(攻撃表示・攻撃力2400・地属性・レベル4)
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『大樹海』(永続魔法)
墓地の枚数2枚
除外されているカード2枚


4・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札2→3)
「レベル1チューナー、『アーススター・ブレイド』を召喚! さらに、召喚時効果を発動! 自分の墓地から地属性レベル4以下のモンスター1体を特殊召喚するじゃん! 俺は墓地から『アーススター・ドライ』を特殊召喚するじゃん!」(知多手札3→2)(知多墓地8→7)
「更に、『アーススター・ドライ』は1ターンに1度、レベルを倍に出来る! ドライはレベル3。故にレベルは6になるじゃん!」
「そして、俺はレベル6となっているドライに、レベル1のブレイドをチューニング! シンクロ召喚! 大地に根差す竜よ、今こそ深き眠りより目覚めよ! レベル7『アーススター・ドラゴン』!」(知多墓地7→9)
岩の体とコンクリートの翼を持つドラゴンが現れる。攻撃力は2500と、その程度だが地属性であるため、攻撃力が500アップして3000となる。
「『アーススター・ドラゴン』の効果発動じゃん! フィールドのカードを1枚、墓地へ送る! さらに、シンクロ素材としたモンスターが全て地属性だった時、追加でチューナー以外の素材としたモンスターの数までカードを墓地へ送れるじゃん! 俺は『デビルドーザー』を墓地へ送り、伏せカードを追加で墓地へ送るじゃん!」
「ぶ~ん……それにチェーンして、罠カード『ダメージ・ダイエット』を発動するんだぶ~ん。自分の受けるダメージを全て半分ににするぶ~ん」(ワスプ墓地2→4)
「更に、アーススターは自身の効果で墓地へ送ったカードの種類により、追加効果を得られるじゃん! モンスターなら墓地へ送ったモンスター1体の攻撃力分だけ相手モンスターの攻撃力・守備力を下げる。魔法なら対象耐性を持つ。罠なら全体攻撃を得られる! 墓地へ送ったモンスターは『デビルドーザー』だから、相手フィールドの攻撃力は2800ダウンする! そして、罠カードを墓地へ送ったから全体攻撃を得られる!」
「つまり、ぼくちゃんのモンスターは全て攻撃力が0に、更にモンスター全滅の危機!?」
「そういうことじゃん? バトルフェイズ! アーススターで、相手の全モンスターへ攻撃! アース・グランドアタック!」
「ぶぶぶぶ~ん!」(ワスプライフ6400→3400)(ワスプ墓地4→7)
「よっしゃあ! 今度はこっちが大逆転だ!」
「だけど、いい気になるんじゃないぶ~ん! 永続魔法『大樹海』の効果も同時に発動しているぶ~ん! 破壊された『甲虫装甲騎士』と同じ、レベル4の『ジャイアントワーム』を、さっき裏守備表示で破壊されたレベル2の『ゴキポン』と同じレベル2の『寄生虫パラノイド』を手札に加えるぶ~ん」(ワスプ手札2→4)
「更に、戦闘で破壊された『ゴキポン』は攻撃力1500以下の昆虫族1体を手札に加えられるんだぶ~ん! 攻撃力1000の『代打バッター』を手札に加えるぶ~ん」(ワスプ手札4→5)
「あっという間に、手札のアドバンテージを増やされたじゃん……! でも、ここまでやられちゃキツイのがあると思うじゃん? カードを1枚セットして、ターンエンドじゃん」(知多手札2→1)

知多

ライフポイント8000
手札枚数1枚
モンスター1体
『アーススター・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力3000・地属性・レベル7)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数9枚
除外されているカード0枚


5・ワスプのターン

「ぼくちゃんのターン、ドローだぶん!」(ワスプ手札5→6)
「手札から『代打バッター』を召喚して、魔法カード『闘虫仮装』を発動するぶ~ん! このカードは手札から昆虫族モンスター1体を捨てて、デッキから昆虫族モンスターを手札に加えるぶ~ん! 手札の『アリジバク』を墓地へ送って、デッキから『鋼鉄装甲虫』を手札に加えられるぶん。その後、フィールドの昆虫族1体を破壊するぶ~ん! ぼくちゃんが破壊するのは、召喚した『代打バッター』!」(ワスプ手札6→5→4→3→4)(ワスプ墓地7→10)
「更に! 『代打バッター』がフィールドから墓地へ送られた時、手札から昆虫族1体を特殊召喚できるんだぶ~ん! さっき手札に加えた『鋼鉄装甲虫』を、特殊召喚するぶ~ん! さらに、破壊されたレベル4昆虫族と同じレベル4の『ネオバグ』を手札に加えるぶ~ん!」(ワスプ手札4→3→4)
「バトルフェイズ! 『鋼鉄装甲虫』で、アーススターを攻撃! メタルアーマードアタック!」
「罠カード発動! 『シンクロ・アウトブレイク』! 相手モンスターの攻撃宣言時、シンクロモンスターをエクストラデッキへ戻し、シンクロ素材としたモンスターを墓地から特殊召喚する! ドライとブレイドを特殊召喚する。そしてその後、バトルフェイズを終了させる」(知多墓地9→7→8)
「う~! いい加減ちゃんと攻撃させろぶ~ん! 攻撃無効化うざったいぶ~ん!」
「別に反則行為じゃねえし、問題ないじゃん! 対策していない方が悪いんじゃん!」
「む~! カードを1枚セットして、ターンエンドだぶ~ん!」(ワスプ手札4→3)

ワスプ

ライフポイント3400
手札枚数3枚
モンスター1体
『鋼鉄装甲虫』(攻撃表示・攻撃力3300・地属性・レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『大樹海』(永続魔法)
墓地の枚数10枚
除外されているカード0枚


6・知多のターン

「俺のターン、ドロー!」(知多手札1→2)
「手札から、レベル3『アーススター・クラッシュ』を召喚!」(知多手札2→1)
「行くぜ、レベル3ブレイドとレベル3クラッシュに、ドライをチューニング! 再びシンクロ召喚! レベル7『アーススター・ドラゴン』!」(知多墓地8→11)
「アーススターの効果発動! フィールドのカード1枚を墓地へ送る! その後、シンクロ素材としたモンスターが地属性だったとき、チューナー以外のシンクロ素材としたモンスターの数までフィールドのカードを墓地へ送れる! 故に、お前のフィールドのカードを全て墓地へ送る!」
「……この時を待っていたぶん、手札の『寄生虫パラノイド』の効果を発動するぶ~ん! 手札からこのカードを装備カードとすることで、装備モンスターを昆虫族にするぶ~ん!」(ワスプ手札3→2)
「なっ!?」
アーススターの体に、突如寄生虫が中から食い破って現れる。それにより、行動を制限されてしまう。
「こ、これは……!」
「『寄生虫パラノイド』に寄生されたモンスターは、昆虫族モンスターを攻撃できなくなり、昆虫族を効果対象とした効果を無効化するぶ~ん。よって、『鋼鉄装甲虫』を対象とした効果は無効になり、その後の効果発動もできなくなるぶ~ん。よって、そのモンスターは無駄になったぶ~ん!」
「や、やられた……折角の対抗手段を、こんな形で封じられるなんて……!」
「さあ、攻撃できない効果も発動できない。こんな状態でどうするぶ~ん……!」
「た、ターンエンドだ……!」

知多

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
『アーススター・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力3000・地属性・レベル7)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数11枚
除外されているカード0枚


7・ワスプのターン

「ぼくちゃんのターン、ドローだぶ~ん!」(ワスプ手札2→3)
「リバースカード、オープン! 速攻魔法『超進化の繭』! 装備カードを装備した昆虫族モンスターをリリースすることで、デッキ・手札から昆虫族モンスターの召喚条件を無視して特殊召喚するんだぶ~ん! パラノイドを装備したお前のアーススターをリリースして、デッキから現れるんだぶ~ん! レベル8『究極完全態・グレート・モス』!」(ワスプ墓地10→12)(知多墓地11→12)
ドラゴンが繭に包まれると、それを突き破って現れたのは、巨大な蛾のモンスター! 攻撃力が3500もあり、地属性なため、ガイアパワーのフィールド効果を受けて攻撃力4000となる! 
「俺のモンスターを使って、あっという間に攻撃力3000以上のモンスターを!?」
「更に、装備状態で墓地へ送られた『寄生虫パラノイド』の効果も発動だぶ~ん! 手札からレベル7以上の昆虫族モンスターを特殊召喚できるぶ~ん! さっきドローで手札に加えたのは、レベル7『究極変異態インセクト・女王』! それを攻撃表示で特殊召喚するんだぶ~ん!」(ワスプ手札3→2)
そして、寄生虫が成長して現れたのは、刺々しい体を持つ女性の体の意匠を持った虫の女王! 攻撃力は2800から、攻撃力3300にアップする! 
「い、いきなり上級モンスターを2体も特殊召喚するなんて!?」
「フフフ、もう逃げ場は無いぶ~ん。今お前に残されているのは、伏せカード1枚のみだぶ~ん。さあ、バトルフェイズだぶ~ん! グレート・モスで、ダイレクトアタック! モス・パーフェクトストーム!」
グレート・モスの羽根から放たれた突風攻撃が、がら空きの知多のフィールドを襲う! 4000ものダメージが、知多に直撃する! 
「ぐっ、ああああ!?」(知多ライフ8000→4000)
初期のライフを、一瞬で半分持って行くダメージを、知多は喰らってしまう。それを受けてか。
「ぐっ、うあああ……! 痛い……なんだよこの痛みはぁ……!」
知多の体には、カマイタチのように刻まれた傷跡がついた。鋭い刃物で斬られたような、そんな傷跡。
「フフフ、これは闇のデュエルだと言った筈だぶ~ん。デュエルのダメージはそのままリアルのダメージとなって帰って来るんだぶ~ん!」
「ま、マジか……よ……!」
「続けて攻撃だぶ~ん! インセクト女王で、更にダイレクトアタックだぶ~ん! 喰らえ、インセクト・デッドリーブレス!」
「ぎゃあああ!」(知多ライフ4000→700)
今度は酸を浴びて肌が焼けこげる。ただれた肌による、ジリジリとした痛みが、知多に襲い掛かる。
「い、いてえ……これが、闇のデュエル……!」
「さて、ラストだぶ~ん。これで終わりだぶ~ん! 『鋼鉄装甲虫』で、ダイレクトアタックだぶ~ん! メタル・アターック!」
巨大な鋼の虫による、強力な体当たりが知多に襲い掛かる。これを喰らえば、ライフは愚か命も……! 
「さあ、大人しく贄になるぶ~ん!」
「伏せカード、オープン!」
「ぶん!?」
「罠カード『ガード・ブロック』! 戦闘ダメージを、1度だけ0にする!」(知多墓地12→13)
「ぶーん!?」
体当たりを、張られたバリアで防ぐ知多。そして、デュエルディスクにはめられたデッキの周りが光る。
「その後、『ガード・ブロック』の効果で、デッキから1枚ドロー……できるじゃん!」(知多手札2→3)
そして、引いたカードはというと。
「よし……! デッキから手札に加わった『彩宝龍』は、相手に公開することで……特殊召喚できるじゃん! レベル5チューナー『彩宝龍』を、守備表示で特殊召喚……するじゃん!」
青い海竜がそこに現れる。守備力は2600と、意外に高い。
「さあ、攻撃がまだ残っているなら……攻撃してくるじゃん!」
「……ぼくちゃんは、カードを1枚伏せてターンエンドだぶ~ん」(ワスプ手札2→1)

ワスプ

ライフポイント3400
手札枚数1枚
モンスター3体
『鋼鉄装甲虫』(攻撃表示・攻撃力3300・地属性・レベル8)
『究極完全態・グレート・モス』(攻撃表示・攻撃力4000・地属性・レベル8)
『究極変異態・インセクト女王』(攻撃表示・攻撃力3300・地属性レベル8)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『大樹海』(永続魔法)
墓地の枚数12枚
除外されているカード2枚


「チッ、クソ……!」
知多は今、立っているのもやっとな状態だった。体は切り傷と、酸による焼けただれた肌。並大抵の少年では、痛みによって気絶していてもおかしくない傷。
しかし知多は立っていた。
「ぶ~ん? お前意外としつこい奴だぶ~ん。闇の王様曰く、勝った他の奴は皆精霊の加護があったから、ダメージを最低限に抑えられたって言ってたけど、お前もそれなのかぶ~ん?」
「精霊……? なんのことじゃん?」
「……持ってないのかぶ~ん? たまに変な声とか、聞こえたりしないのかぶ~ん?」
「しないじゃん……」
「それなのにまだ立っていられるなんて……何かされた人間みたいだぶ~ん」
「何かされたって……うっ!?」
知多は突如、首を手で抑える。それは、先程知多が気にしていた傷。古い刺し傷。そこが突如痛み始めたのだ。
「痛い……痛い……なんで、こんな時……! ホントは腕とか足の方が痛いはずなのに……! なんで首の傷が……!」
首の傷を抑えている手の間から、何かが溢れてくる。慌てて確認したそれは、ドロリとした赤黒い液体。それは紛れもなく血。
「ち、血……!? 一体、なにが……」
抑えても抑えても、あふれ出てくる血。すると、知多は足に力が入らなくなり、座り込んでしまう。瞼も、何もかもが重い。痛いのは首筋。本当は体中痛いはずなのに、首筋だけが痛い。
「うう……力が入らない……なんでこんな時、こんな時にっ……! ううっ……!」
遂に知多は、その場に倒れてしまう。倒れた知多は、そのまま瞼を閉じてしまう……。
「…………」
「あれ? 勝手に倒れちゃったぶ~ん。まいっか。取りあえずエナジー貰うぶ~ん」

目を閉じた知多。目の前にあるのは真っ黒の闇。目を閉じているのか開けているのか、わからない程真っ暗な闇。
すると、声が聞こえる。
「やっぱり、貴方に血の刻印を与えたのは、正解だったようね。知多君」
「……?」
女の子の声。どこかで聞いたような声だが、今の知多には、声の主が誰なのかわからない。
「誰……?」
「流転する運命、この世界の危機……丁度ど真ん中にいる君だからこそわかること……。異形の存在である、私が与えた、首筋の刻印……」
「大分苦戦してるみたいね。しょうがない、ちょっとだけ手を貸してあげる。貴方を見初めた、私からの贈り物よ……!」
「えっ……!」
「受け取って、私の愛しい人。いつかまた、一緒に遊びましょう?」
「……!」
光が見える。暗闇を切り裂き、見えてくる光。

知多は目を覚ます。未だデュエルの途中。首筋の血は、止まっている。
「まだ、やれるじゃん!」
「ぶ~ん!? 起きちゃったぶ~ん! エナジー奪取は失敗しちゃったぶ~ん! じゃあ、デュエルでカタをつけるぶ~ん!」
改めて、デュエルディスクを構えるワスプ。それに応じて、知多もディスクを構える。

8・知多のターン

「俺の、タァーン!」(知多手札2→3)
知多は今、内なる声を聞いていた。自分のデッキからこみあげてくる、女の子の声を。
(今こそ、解き放つのよ。血の刻印のモンスターを……!)
(待っていろよ、今出してやるじゃん……!)
「俺は手札から、レベル3『ウィンドスター・ライド』を召喚! そして、俺はシンクロ召喚を行う!」(知多手札3→2)
「ぶん!? レベル8のシンクロモンスター!?」
「俺はレベル5の『彩宝龍』に、レベル3のライドをチューニング!」
「不死の輪廻にその身を宿し竜よ、紅き月の道しるべに従い、飢えた牙で渇きを満たせ! シンクロ召喚! レベル8『吸血竜ーノワールヴァンプ・ドラゴン』!」(知多墓地13→15)
「ぶ、ぶ~ん!?」
漆黒の体を持ち、体中に紅い線を持つ竜。体にある紅い線は、血管とも、したたる血にも見える。そして、黒の中にある紅い瞳は、まるでルビーのよう。攻撃力は3000。
しかし、ワスプが驚いているのはそんなことではない。ワスプは感じていた。このドラゴンから感じる力を。
(こ、これは……闇の力!? なんでちっぽけなガキが、こんなカードを持っているんだぶ~ん!? てゆっか……そもそもこのカードから感じる力は、僕らの闇の力とは全然違うぶ~ん!?)
「なんでかわかんないけど、このカードを出せって気になったから出した身! 当然、このカードで決めに行くじゃん!」
「で、でも、その程度除去してしまえば問題無いぶ~ん! 罠カード『煉獄の落とし穴』を発動するんだぶ~ん! このカードは、攻撃力2000以上のモンスターを相手が特殊召喚した時発動! そのモンスターの効果を無効化して、破壊するんだぶ~ん! これで、たとえ破壊耐性があってもお前のモンスターは墓地行きだぶ~ん!」
起死回生の思いで特殊召喚されたヴァンプドラゴンも、落とし穴に落とされて消え去ってしまう。知多の場には、モンスターがいなくなってしまう。(知多墓地15→16)
「…………」
「折角良いモンスターを出したのに、あっけなく破壊されるとは、残念だったなぶ~ん?」
「……いや、残念だけどそんなんで不死の竜を倒したとはいえないじゃん?」
「何!?」
突如、墓地から竜のような煙が出てくる。その煙は、突如知多の首筋に噛みつき、血を吸い取る。
「こ、これは……!?」
「ヴァンプドラゴンは破壊された時、500ポイントライフを支払うことで、墓地から特殊召喚できるじゃん! この程度じゃ、不死の竜は死なないじゃん?」(知多ライフ700→200)(知多墓地16→15)
「た、確かにその程度じゃ倒されないとはいえ、ぼくちゃんのモンスターは倒せないぶ~ん! さらに、女王様の効果でぼくちゃんの昆虫族は相手の効果の対象にはならず、効果では破壊されないぶ~ん! 戦闘以外では、どうやっても破壊されないぶ~ん! それに、攻撃力ではどうやっても勝てないし、ガイアパワーのフィールド効果で、ぼくちゃんのモンスターはそもそも地属性モンスター以外のモンスター効果を受け付けないぶ~ん!」
「じゃあ、俺は永続魔法『エレメント・シェア』を発動じゃん! このカードは、自分フィールドのモンスター1体を対象に発動! それにより、フィールドのモンスター全てを対象としたモンスターの属性にする! ヴァンプドラゴンの属性は闇、よってフィールドの属性を全て闇にするじゃん!」(知多手札2→1)
「ぶ~ん!?」
ヴァンプドラゴンの闇の瘴気が、フィールドを包み込む。それにより、フィールドのモンスターは闇属性になってしまう。
「ぶん!?」
「行くぜ、バトルフェイズ! 『吸血竜ーノワール・ヴァンプドラゴン』で、グレート・モスを攻撃! ブラッドリー・ファング!」
「ぶん!? 攻撃力4000のグレート・モスに、攻撃力3000のモンスターで攻撃!? 自滅行為だぶ~ん!」
「勿論、対策もしているさ! ヴァンプドラゴンのモンスター効果発動、戦闘を行うダメージステップ開始時、お互いのモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージは0になる!」
「それでも、ダメージは……!」
「どうかな!」
ヴァンプドラゴンは、突如グレート・モスに牙を突き立てて噛みつく。
「効果を発動したヴァンプドラゴンは、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力を0にする! そして、0にしたモンスターの元々の攻撃力分だけ自分のライフを回復して、回復した分だけ相手にダメージを与える!」
「ぶ~ん!? グレート・モスの攻撃力は3500、よって……!」
「ヴァンプドラゴンは、戦うモンスターの生気を吸い取り、宿主の命とする! そして、吸い取った命の分だけ、相手にダメージを与える!これが俺の新たなモンスターじゃん!」(知多ライフ200→3700)
「そ、そんな……!」
「行くぜ、ダメージ! ブラッドリー・ブレス!」
「あ、ああ……!」
ヴァンプドラゴンが吸い取ったエナジーは、そのまま紅きブレスとして放出され、ワスプにダメージを与える! 3500ものダメージが、ワスプを襲う! 
「ぶ~ん! せ、せめて1人くらいプレイヤーをキルしておけばよかったぶ~ん……」(ワスプライフ3400→0)
紅きブレスによって、ワスプは塵になって消えてしまう。断末魔すら与えられず、ただただ塵となって。
「ふう……なんとか勝てたじゃん……?」


知多はデュエルで勝った。それと同時に、何故か体の傷も何故か癒えていた。
それと同時に、いつの間にかエクストラにあったカード『吸血竜ーノワール・ヴァンプドラゴン』を見る。
「なんで、このカードはいつの間に俺のエクストラに……? さっき受けた傷も、このカードの効果で治っていたし……それに、あの時聞こえた声……何処かで聞いたことはあった……けれど、誰の声だったのか……」
そのカードをエクストラに戻し、立ったまま考える知多。
「一体、この帝国で何が起きているじゃん? プレイヤーキラーといい、さっきの声といい……明らかに普通じゃないじゃん!」
知多も、この帝国の異常さに気づく。しかし、今は……どうしたら良いのかわからない。
「と、とりあえず……遊太や皆と合流するじゃん……。皆に限って、リタイアとかは無いだろうけど……心配じゃん!」
知多は、ゾーンを出る為に走り出した。


ここは、遊太達が今いる日本とは違う場所。紅い月が昇り、照らすのは古城。その古城の窓から、外を見る女性が一人。
「やはり、侵略者は既に行動を開始していたようね……。知多君、貴方はそれに巻き込まれてしまった……」
「でも、大丈夫よ。他の皆と違って、貴方は守られているわ」

「イモータルの、私によって」

透き通るような白い肌、それに映える金髪。そして、紅い瞳。
彼女は、ベランダから眺める。紅い月の向こう側を。


第四十五話。終わり。
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ター坊
知多くんには精霊とは違った変化が起きましたね。回復しつつダメージとはエグいう。 (2018-10-28 20:16)
イクス
ター坊さんへ
流石に精霊だけではなく、精霊とは違った変化を持たせました。そして、ノワール・ヴァンプドラゴンの効果は考えた自分でも中々にエグイと思っていますよ~。 (2018-10-28 21:14)

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