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第二十話「僕のヒーローは」 作:イクス
第二十話「僕のヒーローは」
遊太と真薄。二人のデュエルを、観客席から見ている人物がいる。それは、遊太の両親と、知多と菊姫である。彼らは遊太と真薄の様子を、じっと見ている。
「なあ、このデュエル、どっちが勝つと思うじゃん?」
「なんと言っても、遊太が勝つに決まっている! さっきも君に勝った。遊太なら……勝てる!」
「私だって、遊太を勝つと予想するわ。だって、遊太は私達の息子なんですもの」
「あー、やっぱり両親二人は親バカじゃん。自分の息子を応援することしか、考えてないじゃん。ついでに、俺もちょっとディスられたじゃん? んで、菊姫はどっちが勝つと思うじゃん?」
「んー、今は、どっちが勝つとも思えないね。でも、今後の状況から言って、遊太が何かしそうではあるなあ」
「ほら、菊姫君だってこう言っているだろう?」
「幸市さん、いくらデュエル知らないからって、そう簡単に鵜呑みにしちゃダメじゃん?」
「えー、知らないんだから一番経験者の言葉を信じるのは当たり前だろう?」
「でも、お父さんの言っていることも間違いじゃあないわよ。だって私達、デュエルをよく知らないんですから。さっき菊姫君が、この中じゃ一番強いって聞いたけど?」
「ちょっと菊姫ェ! 勝手に自分を最強認定するなあ! まだ誰が一番強いか、まだ決まってないじゃん!」
「一回戦じゃ、遊太がライフ100残して勝って、アタシはライフ7000で勝っている。これは、ライフが多い方が上ってこと良いんじゃねえか?」
「ライフが上か下かなんて、関係ないじゃん! 要はデュエルの内容じゃん!」
そのまま、ギャーギャーと菊姫と口喧嘩を始める知多。それを見て、遊太の両親は微笑む。
「遊太の友達って、こんな楽しい子達なのね……」
「ああ、この子達がいい子で、遊太も楽しそうだな」
観客席で、知多と菊姫が口喧嘩をしているのも知らず、真薄と知多はデュエルをしていた。
5・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札1→2)
「僕は、アルファの効果を再び発動! 自分の墓地から『ロードナイト』を1体デッキに戻す。それにより、デッキ・墓地から『英雄騎士』魔法カード1枚を、手札に加える。僕は墓地のビークをデッキに戻し、デッキから装備魔法『英雄騎士の応急処置』を手札に加える」(遊太手札2→3)(遊太墓地7→6)
「そして、応急処置をそのまま発動! 自分の墓地から『ロードナイト』1体を対象に、そのモンスターを特殊召喚する! 僕は、墓地に存在するマグナを、再び特殊召喚!」(遊太手札3→2)(遊太墓地6→5)
「リバースカード、オープン! 速攻魔法『英雄騎士交代』! 自分フィールドの『イクスロードナイト』を1体エクストラデッキに戻す事によって、エクストラデッキから違う『イクスロードナイト』を、『英雄騎士への覚醒』と同じ効果扱いとして、エクストラデッキから特殊召喚する! マグナをデッキに戻し……新たな『イクスロードナイト』、『イクスロードナイト・ジエス』を攻撃表示で特殊召喚する!」(遊太墓地5→7)
マグナと入れ替わった形で現れたのは、弓矢を持った青き氷の騎士。攻撃力は2600。
「新たな『イクスロードナイト』モンスター……。一体どんな効果を持っているんですか?」
「それは、今から発動! ジエスは特殊召喚された時、相手の魔法・罠の発動を封じる……けれど、今真薄君はカードを1枚も伏せていない……と言っても、今はない。でも、2つ目の効果が本命さ! 僕は、手札から、装備魔法『英雄騎士の剣』をアルファに装備! その効果によって、攻撃力800アップ!」(遊太手札2→1)(アルファ攻撃力2500→3300)
「行くよ、僕はアルファで、アクセラレートを攻撃! ブラック・ロードソード!」
「でも、アクセラレートは自身を除外できます! 除外することによって、攻撃対象はなくり……。そして、攻撃対象がなくなることによって、バトルステップの巻き戻しが起こります。それにより、ゴーストフリークに対象を変更するつもりでしょうが……ゴーストフリークは攻撃対象になりません! これによって、戦闘は行われません!」
「悪いけど、そうはさせない! ジエスのモンスター効果発動! ジエスは1ターンに1度、フィールドのモンスター効果と攻撃宣言を無効にできる! この効果は、フリーチェーン効果! よって、アクセラレートの除外効果は無効! 攻撃続行だ!」
「くっ……!」
ジエスが放った氷の矢が、アクセラレートを氷漬けにする。これにより、アクセラレートは身動きが取れなくなってしまう。そこを、アルファの剣が一閃する!
「うぐっ……」(真薄ライフ7000→6100)(真薄墓地8→9)
「更に、『英雄騎士の剣』の効果で、戦闘で破壊したモンスターの、元々の攻撃力分のダメージを与える!」
「うむむ……やりますね。でも、ゴーストフリークは攻撃対象となりません」(真薄ライフ6100→3700)
「そんなことわかっているさ! 僕はジエスで、『ヒーロー・キッズ』を攻撃! フリージング・アロー!」
「……」(真薄墓地9→10)
「……うん、もう攻撃できない。僕はニードラーを守備表示にして、カードを1枚伏せてターンエンド」(遊太手札1→0)
遊太
ライフポイント5600
手札枚数0枚
モンスター4体
『イクスロードナイト・アルファ』(攻撃表示・攻撃力3300・レベル8・闇属性)
『イクスロードナイト・ジエス』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・水属性)
『ロードナイト・ニードラー』(守備表示・守備力2300・レベル4・闇属性)
『ロードナイト・テラ』(守備表示・守備力2700・レベル4・光属性)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『英雄騎士の防衛拠点』(永続魔法)
墓地の枚数7枚
除外されているカード0枚
6・真薄のターン
「僕のターン、ドローです!」(真薄手札3→4)
「僕は手札より、グレイのモンスター効果を再び発動します。それにより、デッキから『融合』を1枚手札に加えます」(真薄墓地10→11)
「そして手札より、魔法カード『融合』を発動します! アルファの魔法封じは、手札コストを必要としますから、今は発動できない……ですよね」
「……うん」
「では、僕は『C・HERO フライ』と、風属性のワインダーを素材として、『C・HERO スティンクフライ』を攻撃表示で融合召喚!」(真薄手札4→1)(真薄墓地11→14)
融合召喚によって現れたのは、攻撃力2500の緑のハエのようなヒーロー。ブンブンと羽音を響かせて、フィールドを飛び回っている。
(新しいモンスターを出したか……でも、ジエスで効果を無効にできれば!)
「ジエスでモンスター効果を無効に……と思っているんでしょうが、そうはいきません。スティンクフライは、よくフィールドをうろちょろすることで有名な奴です。それ故、効果の対象とはなりません!」
「むむう……ジエスの効果を使えない」
「行きますよ! 僕はスティンクフライのモンスター効果発動! ハーフ・アシッド!」
スティンクフライの、ネバネバした液がジエスに直撃する。これにより、ジエスは鎧や弓矢が溶けてしまった。
「スティンクフライは、1ターンに1度、相手モンスターの攻撃力・守備力を、ターン終了まで半分にできます。これにより、ジエスの攻撃力は1300にダウン! そして攻撃です! カッターズ・テイル!」
ワイルドマットの鋭い尾の刃状のものによる攻撃が、ジエスに向かって飛びかかって行く! しかし、遊太は。
「この瞬間! 味方のモンスター1体をリリースして、罠カード発動! 『トラップ・リユース』!」
「ここで、罠カードですか!?」
「ニードラーをリリースして、自分の墓地に存在する、通常罠カード1枚を対象に発動! この罠カードは、対象に取った罠カードと同じ効果を得る! 僕は、墓地に存在する『聖なるバリア-ミラーフォース-』を選択する! これにより、相手の攻撃表示モンスターを、全て破壊する!」(遊太墓地7→9)
「そ、そんな形で発動したカードを再利用するものなんですかぁ~っ!?」
再び聖なるバリアが展開され、真薄のモンスターを破壊する! 今、真薄は防御系のカードを持っていない!
「くぅっ……」(真薄墓地14→16)
「よし! これで逆転だ! 真薄君の強力な融合モンスターを、いっぺんに破壊したぞ!」
「確かに、破壊されました。けれど……僕のモンスター、ゴーストフリークを見てください……」
「何……ああっ!?」
ゴーストフリークは、バラバラになってしまっているが……「ギャハハハハ……!」と狂ったように笑っている!?
「これは……あっ! 確か……DVD36話くらいで、バラバラになっても人に取り憑いて、生きながらえていた……! まさか!」
「そうです、ゴーストフリークは破壊された時、相手モンスター1体を対象に、そのモンスターのコントロールを得ることができます。僕は、アルファのコントロールを得ます!」
ゴーストフリークは、バラバラのその体でアルファに取り憑き、アルファが真薄の所へと行ってしまったその眼には、黒い血管が血走っている。
「やられた……!」
「アルファのコントロールを得たため、バトルはまだ続いています! 行きます! 『イクスロードナイト・アルファ』で、『イクスロードナイト・ジエス』を攻撃! ブラック・ロードソード!」
しかし、遊太はここでもしっかり反応する。
「ジエスのモンスター効果、発動! 相手モンスター1体を対象に、攻撃と効果を封じる! フリージング・アロー!」
ジエスが放った氷の矢によって、アルファの攻撃は封じられる。ついでに効果も。
「ふむ……やっぱりそう来ますね」
「生憎、敵に回っても大丈夫な風にはしているのさ」
しかし、内心はというと。
(危なかった……あやうく大ダメージまた喰らうところだった……ここんとこは、ジエスに感謝だな)
「やりますね。リバースカードを1枚セットして、ターンエンドです」(真薄手札1→0)
真薄
ライフポイント3700
手札枚数0枚
モンスター1体
『イクスロードナイト・アルファ』(攻撃表示・攻撃力3300・レベル8・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数16枚
除外されているカード0枚
7・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札0→1)
「僕は手札から、魔法カード『増援』を発動! デッキよりレベル4以下の戦士族モンスターを、手札に加える。僕はデッキより、『ロードナイト・パワード』を手札に加える」(遊太墓地9→10)
「僕はテラを攻撃表示にして、バトルフェイズに入る! 行け、ジエス! アルファに攻撃! 同時に、手札のパワードのモンスター効果発動! 『ロードナイト』が戦闘を行う時、手札からこのモンスターを捨てることによって、バトルフェイズの間だけ、戦闘を行う『ロードナイト』の攻撃力は・守備力は1500アップする! 行け! フリージング・アローレイン!」(遊太手札1→0)(遊太墓地10→11)(ジエス攻撃力2600→4100)
ジエスの氷の矢による雨が降り注ぐ! 攻撃を受けて、アルファに取り憑いたゴーストフリークも消える。そして、遊太の墓地へと戻る。
「くっ……」(真薄ライフ3700→2900)(遊太墓地11→13)
「更に、テラでダイレクトアタック! テラーズアタック!」
「むむぅ……」(真薄ライフ2900→1400)
「僕はこれで、ターンエンド。さあこれで、真薄君のフィールドにはモンスターがいなくなったぞ!」
「やられました……けれど、まだやれます! 罠カード、発動! 『裁きの天秤』! 『裁きの天秤』を除く、自分の手札・フィールドのカードが、相手フィールドのカードより少ない時、その差分だけドローできる! 今遊太君の場には、永続魔法1枚と、モンスターが2体。よって、僕は3枚ドローします!」(真薄手札0→3)(真薄墓地16→17)
「そうきたか……ターンエンド!」
遊太
ライフポイント5600
手札枚数0枚
モンスター2体
『イクスロードナイト・ジエス』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・水属性)
『ロードナイト・テラ』(攻撃表示・攻撃力1500・レベル4・光属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード1枚
『英雄騎士の防衛拠点』(永続魔法)
墓地の枚数11枚
除外されているカード0枚
8・真薄のターン
「僕のターン、ドローです!」(真薄手札3→4)
(やはり、遊太君は凄い……僕が何回君を上回ったとしても、遊太君は更に上を上回っていく……やっぱり、遊太君は、僕のヒーローだ!)
(でも……そんなだからこそ、僕のヒーローだからこそ、勝ちたい! 君より上になりたい! 勝ちたい! 僕のヒーローに!)
「僕は手札より、魔法カード『貪欲な壺』を発動します! 自分の墓地からモンスター5体を選択して、デッキに戻す。その後、デッキから2枚ドローします! 僕はグレイ、フライ、ゴースト、アクセル、スティンクフライをデッキに戻すことによって、2枚ドローします!」(真薄手札4→3→5)(真薄墓地17→12→13)
(……! 来た。この状況で、最高の手札が!)
「行きますよ、遊太君! 僕は遊太君の場にいるジエスを対象に、速攻魔法『禁じられた聖杯』を発動します! これにより、対象となったモンスターは攻撃力が400上がり、効果は無効化されます!」(真薄手札5→4)(真薄墓地13→14)(ジエス攻撃力2600→3000)
「これで、ジエスの効果は使えなくなったってわけか」
「ええ、攻撃だけじゃなく、効果すら無効化してしまうそのモンスターは、厄介ですからね」
「そして手札より、魔法カード『融合』を発動します! これにより、手札の『C・HERO ヒート』と、『C・HERO スワンプ』を融合素材として、エクストラデッキより『C・HERO ヒートブラスト』を、攻撃表示で融合召喚します!」(真薄手札4→1)(真薄墓地14→17)
融合によって融合召喚されたのは、あの時、遊太と初めて戦った時、初めて融合召喚された、炎の融合モンスター! 攻撃力は2500だが、それを補う程の効果を持っている。
「行きますよ! ヒートブラストの、モンスター効果発動! 自分の墓地から、モンスター1体を除外することにより、そのモンスターの攻撃力分、攻撃力を上げることができます! 僕が除外するのは、攻撃力2400のアクセラレート! よって、攻撃力は2400アップの4900!」(真薄墓地17→16)(真薄除外0→1)(ヒートブラスト攻撃力2500→4900)
「……くそ!」
「行きますよ! 僕はヒートブラストで、『イクスロードナイト・ジエス』を攻撃! 火炎放射(ヒートブラスト)!」
ヒートブラストの火炎攻撃が、テラを直撃する。この圧倒的な攻撃により、テラは破壊される。
「ぐっ……」(遊太ライフ5400→3500)(遊太墓地11→12)
「そして、特殊効果発動! 戦闘で破壊した、相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを、相手プレイヤーに与えます!」
「やっぱり、そう来るよね……くっ!」(遊太ライフ3500→900)(遊太手札0→1)
「よし。これで……遊太君に痛手を負わせることができました。僕は、メインフェイズ2でカードを1枚伏せて、ターンエンドです」(真薄手札1→0)
(……この伏せカードは、遊太君も使った罠カード、『聖なるバリア-ミラーフォース-』……もし、遊太君が攻撃してきた場合、このカードで返り討ちにする!)
真薄
ライフポイント1400
手札枚数0枚
モンスター1体
『C・HERO ヒートブラスト』(攻撃表示・攻撃力2500・レベル7・炎属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
『聖なるバリア-ミラーフォース-』
発動しているカード0枚
墓地の枚数16枚
除外されているカード1枚
9・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札0→1)
このピンチの中、遊太は自身がドローしたカードを見る。そのカードは、このピンチを抜け出す為には、絶好のカードであった。
(よし、これなら……まだやれる!)
「僕は手札から、魔法カード『英雄騎士の兵力増強』を発動! 自分の墓地から、『ロードナイト』モンスター3体をデッキに戻すことによって、デッキから2枚ドローできる。この時、手札が0枚だった時、デュエル中1度だけ、デッキから3枚ドローできる! 僕は墓地から、ビーク、アルファ、パワードをデッキに戻すことで、僕はデッキから3枚ドローする!」(遊太手札0→3)(遊太墓地12→9→10)
そして、ドローしたカードを見てみる遊太。そのカードは、今この状況を、覆すことのできるカード達だった。
「……真薄君、このデュエル、お互い全力で戦って、頑張ってきたよね」
「はい。僕にとって、遊太君は強者であり、憧れでした。こういっちゃ何ですが、僕にとって、遊太君はヒーローと言っても、過言じゃありませんでした」
「僕が、真薄君にとってヒーロー? 大げさだなあ」
「はい、大げさかもしれません。けれど、僕にとってはそれだけ……憧れた人なんです。そう、あの時から……初めて会ったあの時から……」
「そ、そこから?」
「ええ。だからこそ、今こうして遊太君とデュエルできているのが、凄く楽しいです! できるなら、ここで勝ちたい! そう思っています」
「うん。僕も……このデュエルは楽しいと思っている。けれどね、真薄君。どうやら今回は、君の勝ちたいって願い事に応えるのは、ちょっと無理っぽい」
「え、それはもしかして……!」
「うん、今回勝つのは、僕の方さ! 行くよ! 僕は手札から、速攻魔法『英雄騎士への覚醒』を発動! 自分フィールドの、『ロードナイト』モンスター1体を対象に発動。そのモンスターをリリースして、リリースしたモンスターと同じ属性を持つ、『イクスロードナイト』を特殊召喚する! 僕がリリースするのは、光属性のテラ。これにより、同じ光属性の『イクスロードナイト・マグナ』を、攻撃表示で特殊召喚する!」(遊太手札3→2)(遊太墓地10→12)
ここで遊太が特殊召喚したのは、黄金の盾鎧を持つ『イクスロードナイト』! 攻撃力は1500と、攻撃表示で出すモンスターには見えないが。
「ここで、そのモンスターを出してくるのですか!?」
「行くよ、真薄君。バトルフェイズだ! 『イクスロードナイト・マグナ』で、ヒートブラストを攻撃! そして、これが僕の切り札だ! 速攻魔法『決闘融合-バトル・フュージョン』! このカードは、僕の融合モンスターが攻撃をする時に発動可能! 相手モンスターの攻撃力分、融合モンスターの攻撃力をアップさせる! よって、マグナの攻撃力は2500アップの、4000だ!」(遊太手札2→1)(遊太墓地12→13)
「そんな、カードが……! マグナの効果は、戦闘・効果では破壊されず、マグナの戦闘によって受けるダメージも、0……ということは……」
「その通りだよ、真薄君」
「僕の、負け……です……」
マグナの攻撃が、ヒートブラストにクリーンヒット。その攻撃力の差分が、真薄に加わったのであった。(真薄ライフ1400→0)
「やったー! 遊太がまた勝ったぞー!」
「やったわね、お父さん」
遊太が勝利したことを受けて、喜びに沸き立つ遊太の両親。それを、「やれやれ」といった感じで見守っている菊姫と知多。
そして、遊太と真薄はというと。
「遊太君……やっぱりまだまだ君には、敵いませんね」
「そんな……さっきも言ったと思うけど、大げさだよ。僕だって、意外といっぱいいっぱいだったんだよ? あそこでアレが引けなきゃ、手詰まりだったというか……とにかく、結構追い詰められてたってところかなあ。でも……楽しかったでしょ?」
「うん、楽しかったです。遊太君みたいな人とデュエルするの、凄く楽しかったです!」
「僕だって、楽しかった。やっぱり君の『C・HERO』……色んな融合モンスターが現れて、凄く良いデッキだよね!」
「ありがとうございます。次勝てば……遊太君は準決勝ですね」
「うん、次に来るのは恐らく、あのカリンちゃん。Aブロックでも戦ったけど、かなりの強敵だね」
「大丈夫ですか?」
「Aブロックで戦った時から、デッキの内容、戦いのスタイルはわかっている。今度は苦戦はしないと思うよ」
「そうですか。では……頑張ってくださいね! 僕はもうここまでですが、応援しています!」
そう言って、真薄は観客席へと戻って行った。途中、こんなことも思いながら。
(遊太君、やっぱり君は僕のヒーローだ。自然と応援したくなって、それでいて、目指したくなっちゃう。デュエルも、性格も、みーんなひっくるめて、僕のヒーローなんだよね)
実は、遠巻きから遊太と真薄のことを見ていた人物がいた。そうそれは、恐らく遊太の次の対戦相手となるであろう、榊原夏鈴であった。
二人の会話を、ちょっと小耳にはさんだカリンは、自分の持っていたカードをそっと握り、呟く。
「やっぱり、遊太君には精霊だけじゃなく、何か特別なものがあるのかもしれませんわ。きっと、言葉にはできないような、そんな何か」
「となると……アキラ君の問題も、遊太君なら解決できそうですね」
そう呟き、カリンは去っていったのであった。
第二十話。終わり。
遊太と真薄。二人のデュエルを、観客席から見ている人物がいる。それは、遊太の両親と、知多と菊姫である。彼らは遊太と真薄の様子を、じっと見ている。
「なあ、このデュエル、どっちが勝つと思うじゃん?」
「なんと言っても、遊太が勝つに決まっている! さっきも君に勝った。遊太なら……勝てる!」
「私だって、遊太を勝つと予想するわ。だって、遊太は私達の息子なんですもの」
「あー、やっぱり両親二人は親バカじゃん。自分の息子を応援することしか、考えてないじゃん。ついでに、俺もちょっとディスられたじゃん? んで、菊姫はどっちが勝つと思うじゃん?」
「んー、今は、どっちが勝つとも思えないね。でも、今後の状況から言って、遊太が何かしそうではあるなあ」
「ほら、菊姫君だってこう言っているだろう?」
「幸市さん、いくらデュエル知らないからって、そう簡単に鵜呑みにしちゃダメじゃん?」
「えー、知らないんだから一番経験者の言葉を信じるのは当たり前だろう?」
「でも、お父さんの言っていることも間違いじゃあないわよ。だって私達、デュエルをよく知らないんですから。さっき菊姫君が、この中じゃ一番強いって聞いたけど?」
「ちょっと菊姫ェ! 勝手に自分を最強認定するなあ! まだ誰が一番強いか、まだ決まってないじゃん!」
「一回戦じゃ、遊太がライフ100残して勝って、アタシはライフ7000で勝っている。これは、ライフが多い方が上ってこと良いんじゃねえか?」
「ライフが上か下かなんて、関係ないじゃん! 要はデュエルの内容じゃん!」
そのまま、ギャーギャーと菊姫と口喧嘩を始める知多。それを見て、遊太の両親は微笑む。
「遊太の友達って、こんな楽しい子達なのね……」
「ああ、この子達がいい子で、遊太も楽しそうだな」
観客席で、知多と菊姫が口喧嘩をしているのも知らず、真薄と知多はデュエルをしていた。
5・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札1→2)
「僕は、アルファの効果を再び発動! 自分の墓地から『ロードナイト』を1体デッキに戻す。それにより、デッキ・墓地から『英雄騎士』魔法カード1枚を、手札に加える。僕は墓地のビークをデッキに戻し、デッキから装備魔法『英雄騎士の応急処置』を手札に加える」(遊太手札2→3)(遊太墓地7→6)
「そして、応急処置をそのまま発動! 自分の墓地から『ロードナイト』1体を対象に、そのモンスターを特殊召喚する! 僕は、墓地に存在するマグナを、再び特殊召喚!」(遊太手札3→2)(遊太墓地6→5)
「リバースカード、オープン! 速攻魔法『英雄騎士交代』! 自分フィールドの『イクスロードナイト』を1体エクストラデッキに戻す事によって、エクストラデッキから違う『イクスロードナイト』を、『英雄騎士への覚醒』と同じ効果扱いとして、エクストラデッキから特殊召喚する! マグナをデッキに戻し……新たな『イクスロードナイト』、『イクスロードナイト・ジエス』を攻撃表示で特殊召喚する!」(遊太墓地5→7)
マグナと入れ替わった形で現れたのは、弓矢を持った青き氷の騎士。攻撃力は2600。
「新たな『イクスロードナイト』モンスター……。一体どんな効果を持っているんですか?」
「それは、今から発動! ジエスは特殊召喚された時、相手の魔法・罠の発動を封じる……けれど、今真薄君はカードを1枚も伏せていない……と言っても、今はない。でも、2つ目の効果が本命さ! 僕は、手札から、装備魔法『英雄騎士の剣』をアルファに装備! その効果によって、攻撃力800アップ!」(遊太手札2→1)(アルファ攻撃力2500→3300)
「行くよ、僕はアルファで、アクセラレートを攻撃! ブラック・ロードソード!」
「でも、アクセラレートは自身を除外できます! 除外することによって、攻撃対象はなくり……。そして、攻撃対象がなくなることによって、バトルステップの巻き戻しが起こります。それにより、ゴーストフリークに対象を変更するつもりでしょうが……ゴーストフリークは攻撃対象になりません! これによって、戦闘は行われません!」
「悪いけど、そうはさせない! ジエスのモンスター効果発動! ジエスは1ターンに1度、フィールドのモンスター効果と攻撃宣言を無効にできる! この効果は、フリーチェーン効果! よって、アクセラレートの除外効果は無効! 攻撃続行だ!」
「くっ……!」
ジエスが放った氷の矢が、アクセラレートを氷漬けにする。これにより、アクセラレートは身動きが取れなくなってしまう。そこを、アルファの剣が一閃する!
「うぐっ……」(真薄ライフ7000→6100)(真薄墓地8→9)
「更に、『英雄騎士の剣』の効果で、戦闘で破壊したモンスターの、元々の攻撃力分のダメージを与える!」
「うむむ……やりますね。でも、ゴーストフリークは攻撃対象となりません」(真薄ライフ6100→3700)
「そんなことわかっているさ! 僕はジエスで、『ヒーロー・キッズ』を攻撃! フリージング・アロー!」
「……」(真薄墓地9→10)
「……うん、もう攻撃できない。僕はニードラーを守備表示にして、カードを1枚伏せてターンエンド」(遊太手札1→0)
遊太
ライフポイント5600
手札枚数0枚
モンスター4体
『イクスロードナイト・アルファ』(攻撃表示・攻撃力3300・レベル8・闇属性)
『イクスロードナイト・ジエス』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・水属性)
『ロードナイト・ニードラー』(守備表示・守備力2300・レベル4・闇属性)
『ロードナイト・テラ』(守備表示・守備力2700・レベル4・光属性)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『英雄騎士の防衛拠点』(永続魔法)
墓地の枚数7枚
除外されているカード0枚
6・真薄のターン
「僕のターン、ドローです!」(真薄手札3→4)
「僕は手札より、グレイのモンスター効果を再び発動します。それにより、デッキから『融合』を1枚手札に加えます」(真薄墓地10→11)
「そして手札より、魔法カード『融合』を発動します! アルファの魔法封じは、手札コストを必要としますから、今は発動できない……ですよね」
「……うん」
「では、僕は『C・HERO フライ』と、風属性のワインダーを素材として、『C・HERO スティンクフライ』を攻撃表示で融合召喚!」(真薄手札4→1)(真薄墓地11→14)
融合召喚によって現れたのは、攻撃力2500の緑のハエのようなヒーロー。ブンブンと羽音を響かせて、フィールドを飛び回っている。
(新しいモンスターを出したか……でも、ジエスで効果を無効にできれば!)
「ジエスでモンスター効果を無効に……と思っているんでしょうが、そうはいきません。スティンクフライは、よくフィールドをうろちょろすることで有名な奴です。それ故、効果の対象とはなりません!」
「むむう……ジエスの効果を使えない」
「行きますよ! 僕はスティンクフライのモンスター効果発動! ハーフ・アシッド!」
スティンクフライの、ネバネバした液がジエスに直撃する。これにより、ジエスは鎧や弓矢が溶けてしまった。
「スティンクフライは、1ターンに1度、相手モンスターの攻撃力・守備力を、ターン終了まで半分にできます。これにより、ジエスの攻撃力は1300にダウン! そして攻撃です! カッターズ・テイル!」
ワイルドマットの鋭い尾の刃状のものによる攻撃が、ジエスに向かって飛びかかって行く! しかし、遊太は。
「この瞬間! 味方のモンスター1体をリリースして、罠カード発動! 『トラップ・リユース』!」
「ここで、罠カードですか!?」
「ニードラーをリリースして、自分の墓地に存在する、通常罠カード1枚を対象に発動! この罠カードは、対象に取った罠カードと同じ効果を得る! 僕は、墓地に存在する『聖なるバリア-ミラーフォース-』を選択する! これにより、相手の攻撃表示モンスターを、全て破壊する!」(遊太墓地7→9)
「そ、そんな形で発動したカードを再利用するものなんですかぁ~っ!?」
再び聖なるバリアが展開され、真薄のモンスターを破壊する! 今、真薄は防御系のカードを持っていない!
「くぅっ……」(真薄墓地14→16)
「よし! これで逆転だ! 真薄君の強力な融合モンスターを、いっぺんに破壊したぞ!」
「確かに、破壊されました。けれど……僕のモンスター、ゴーストフリークを見てください……」
「何……ああっ!?」
ゴーストフリークは、バラバラになってしまっているが……「ギャハハハハ……!」と狂ったように笑っている!?
「これは……あっ! 確か……DVD36話くらいで、バラバラになっても人に取り憑いて、生きながらえていた……! まさか!」
「そうです、ゴーストフリークは破壊された時、相手モンスター1体を対象に、そのモンスターのコントロールを得ることができます。僕は、アルファのコントロールを得ます!」
ゴーストフリークは、バラバラのその体でアルファに取り憑き、アルファが真薄の所へと行ってしまったその眼には、黒い血管が血走っている。
「やられた……!」
「アルファのコントロールを得たため、バトルはまだ続いています! 行きます! 『イクスロードナイト・アルファ』で、『イクスロードナイト・ジエス』を攻撃! ブラック・ロードソード!」
しかし、遊太はここでもしっかり反応する。
「ジエスのモンスター効果、発動! 相手モンスター1体を対象に、攻撃と効果を封じる! フリージング・アロー!」
ジエスが放った氷の矢によって、アルファの攻撃は封じられる。ついでに効果も。
「ふむ……やっぱりそう来ますね」
「生憎、敵に回っても大丈夫な風にはしているのさ」
しかし、内心はというと。
(危なかった……あやうく大ダメージまた喰らうところだった……ここんとこは、ジエスに感謝だな)
「やりますね。リバースカードを1枚セットして、ターンエンドです」(真薄手札1→0)
真薄
ライフポイント3700
手札枚数0枚
モンスター1体
『イクスロードナイト・アルファ』(攻撃表示・攻撃力3300・レベル8・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数16枚
除外されているカード0枚
7・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札0→1)
「僕は手札から、魔法カード『増援』を発動! デッキよりレベル4以下の戦士族モンスターを、手札に加える。僕はデッキより、『ロードナイト・パワード』を手札に加える」(遊太墓地9→10)
「僕はテラを攻撃表示にして、バトルフェイズに入る! 行け、ジエス! アルファに攻撃! 同時に、手札のパワードのモンスター効果発動! 『ロードナイト』が戦闘を行う時、手札からこのモンスターを捨てることによって、バトルフェイズの間だけ、戦闘を行う『ロードナイト』の攻撃力は・守備力は1500アップする! 行け! フリージング・アローレイン!」(遊太手札1→0)(遊太墓地10→11)(ジエス攻撃力2600→4100)
ジエスの氷の矢による雨が降り注ぐ! 攻撃を受けて、アルファに取り憑いたゴーストフリークも消える。そして、遊太の墓地へと戻る。
「くっ……」(真薄ライフ3700→2900)(遊太墓地11→13)
「更に、テラでダイレクトアタック! テラーズアタック!」
「むむぅ……」(真薄ライフ2900→1400)
「僕はこれで、ターンエンド。さあこれで、真薄君のフィールドにはモンスターがいなくなったぞ!」
「やられました……けれど、まだやれます! 罠カード、発動! 『裁きの天秤』! 『裁きの天秤』を除く、自分の手札・フィールドのカードが、相手フィールドのカードより少ない時、その差分だけドローできる! 今遊太君の場には、永続魔法1枚と、モンスターが2体。よって、僕は3枚ドローします!」(真薄手札0→3)(真薄墓地16→17)
「そうきたか……ターンエンド!」
遊太
ライフポイント5600
手札枚数0枚
モンスター2体
『イクスロードナイト・ジエス』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・水属性)
『ロードナイト・テラ』(攻撃表示・攻撃力1500・レベル4・光属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード1枚
『英雄騎士の防衛拠点』(永続魔法)
墓地の枚数11枚
除外されているカード0枚
8・真薄のターン
「僕のターン、ドローです!」(真薄手札3→4)
(やはり、遊太君は凄い……僕が何回君を上回ったとしても、遊太君は更に上を上回っていく……やっぱり、遊太君は、僕のヒーローだ!)
(でも……そんなだからこそ、僕のヒーローだからこそ、勝ちたい! 君より上になりたい! 勝ちたい! 僕のヒーローに!)
「僕は手札より、魔法カード『貪欲な壺』を発動します! 自分の墓地からモンスター5体を選択して、デッキに戻す。その後、デッキから2枚ドローします! 僕はグレイ、フライ、ゴースト、アクセル、スティンクフライをデッキに戻すことによって、2枚ドローします!」(真薄手札4→3→5)(真薄墓地17→12→13)
(……! 来た。この状況で、最高の手札が!)
「行きますよ、遊太君! 僕は遊太君の場にいるジエスを対象に、速攻魔法『禁じられた聖杯』を発動します! これにより、対象となったモンスターは攻撃力が400上がり、効果は無効化されます!」(真薄手札5→4)(真薄墓地13→14)(ジエス攻撃力2600→3000)
「これで、ジエスの効果は使えなくなったってわけか」
「ええ、攻撃だけじゃなく、効果すら無効化してしまうそのモンスターは、厄介ですからね」
「そして手札より、魔法カード『融合』を発動します! これにより、手札の『C・HERO ヒート』と、『C・HERO スワンプ』を融合素材として、エクストラデッキより『C・HERO ヒートブラスト』を、攻撃表示で融合召喚します!」(真薄手札4→1)(真薄墓地14→17)
融合によって融合召喚されたのは、あの時、遊太と初めて戦った時、初めて融合召喚された、炎の融合モンスター! 攻撃力は2500だが、それを補う程の効果を持っている。
「行きますよ! ヒートブラストの、モンスター効果発動! 自分の墓地から、モンスター1体を除外することにより、そのモンスターの攻撃力分、攻撃力を上げることができます! 僕が除外するのは、攻撃力2400のアクセラレート! よって、攻撃力は2400アップの4900!」(真薄墓地17→16)(真薄除外0→1)(ヒートブラスト攻撃力2500→4900)
「……くそ!」
「行きますよ! 僕はヒートブラストで、『イクスロードナイト・ジエス』を攻撃! 火炎放射(ヒートブラスト)!」
ヒートブラストの火炎攻撃が、テラを直撃する。この圧倒的な攻撃により、テラは破壊される。
「ぐっ……」(遊太ライフ5400→3500)(遊太墓地11→12)
「そして、特殊効果発動! 戦闘で破壊した、相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを、相手プレイヤーに与えます!」
「やっぱり、そう来るよね……くっ!」(遊太ライフ3500→900)(遊太手札0→1)
「よし。これで……遊太君に痛手を負わせることができました。僕は、メインフェイズ2でカードを1枚伏せて、ターンエンドです」(真薄手札1→0)
(……この伏せカードは、遊太君も使った罠カード、『聖なるバリア-ミラーフォース-』……もし、遊太君が攻撃してきた場合、このカードで返り討ちにする!)
真薄
ライフポイント1400
手札枚数0枚
モンスター1体
『C・HERO ヒートブラスト』(攻撃表示・攻撃力2500・レベル7・炎属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
『聖なるバリア-ミラーフォース-』
発動しているカード0枚
墓地の枚数16枚
除外されているカード1枚
9・遊太のターン
「僕のターン、ドロー!」(遊太手札0→1)
このピンチの中、遊太は自身がドローしたカードを見る。そのカードは、このピンチを抜け出す為には、絶好のカードであった。
(よし、これなら……まだやれる!)
「僕は手札から、魔法カード『英雄騎士の兵力増強』を発動! 自分の墓地から、『ロードナイト』モンスター3体をデッキに戻すことによって、デッキから2枚ドローできる。この時、手札が0枚だった時、デュエル中1度だけ、デッキから3枚ドローできる! 僕は墓地から、ビーク、アルファ、パワードをデッキに戻すことで、僕はデッキから3枚ドローする!」(遊太手札0→3)(遊太墓地12→9→10)
そして、ドローしたカードを見てみる遊太。そのカードは、今この状況を、覆すことのできるカード達だった。
「……真薄君、このデュエル、お互い全力で戦って、頑張ってきたよね」
「はい。僕にとって、遊太君は強者であり、憧れでした。こういっちゃ何ですが、僕にとって、遊太君はヒーローと言っても、過言じゃありませんでした」
「僕が、真薄君にとってヒーロー? 大げさだなあ」
「はい、大げさかもしれません。けれど、僕にとってはそれだけ……憧れた人なんです。そう、あの時から……初めて会ったあの時から……」
「そ、そこから?」
「ええ。だからこそ、今こうして遊太君とデュエルできているのが、凄く楽しいです! できるなら、ここで勝ちたい! そう思っています」
「うん。僕も……このデュエルは楽しいと思っている。けれどね、真薄君。どうやら今回は、君の勝ちたいって願い事に応えるのは、ちょっと無理っぽい」
「え、それはもしかして……!」
「うん、今回勝つのは、僕の方さ! 行くよ! 僕は手札から、速攻魔法『英雄騎士への覚醒』を発動! 自分フィールドの、『ロードナイト』モンスター1体を対象に発動。そのモンスターをリリースして、リリースしたモンスターと同じ属性を持つ、『イクスロードナイト』を特殊召喚する! 僕がリリースするのは、光属性のテラ。これにより、同じ光属性の『イクスロードナイト・マグナ』を、攻撃表示で特殊召喚する!」(遊太手札3→2)(遊太墓地10→12)
ここで遊太が特殊召喚したのは、黄金の盾鎧を持つ『イクスロードナイト』! 攻撃力は1500と、攻撃表示で出すモンスターには見えないが。
「ここで、そのモンスターを出してくるのですか!?」
「行くよ、真薄君。バトルフェイズだ! 『イクスロードナイト・マグナ』で、ヒートブラストを攻撃! そして、これが僕の切り札だ! 速攻魔法『決闘融合-バトル・フュージョン』! このカードは、僕の融合モンスターが攻撃をする時に発動可能! 相手モンスターの攻撃力分、融合モンスターの攻撃力をアップさせる! よって、マグナの攻撃力は2500アップの、4000だ!」(遊太手札2→1)(遊太墓地12→13)
「そんな、カードが……! マグナの効果は、戦闘・効果では破壊されず、マグナの戦闘によって受けるダメージも、0……ということは……」
「その通りだよ、真薄君」
「僕の、負け……です……」
マグナの攻撃が、ヒートブラストにクリーンヒット。その攻撃力の差分が、真薄に加わったのであった。(真薄ライフ1400→0)
「やったー! 遊太がまた勝ったぞー!」
「やったわね、お父さん」
遊太が勝利したことを受けて、喜びに沸き立つ遊太の両親。それを、「やれやれ」といった感じで見守っている菊姫と知多。
そして、遊太と真薄はというと。
「遊太君……やっぱりまだまだ君には、敵いませんね」
「そんな……さっきも言ったと思うけど、大げさだよ。僕だって、意外といっぱいいっぱいだったんだよ? あそこでアレが引けなきゃ、手詰まりだったというか……とにかく、結構追い詰められてたってところかなあ。でも……楽しかったでしょ?」
「うん、楽しかったです。遊太君みたいな人とデュエルするの、凄く楽しかったです!」
「僕だって、楽しかった。やっぱり君の『C・HERO』……色んな融合モンスターが現れて、凄く良いデッキだよね!」
「ありがとうございます。次勝てば……遊太君は準決勝ですね」
「うん、次に来るのは恐らく、あのカリンちゃん。Aブロックでも戦ったけど、かなりの強敵だね」
「大丈夫ですか?」
「Aブロックで戦った時から、デッキの内容、戦いのスタイルはわかっている。今度は苦戦はしないと思うよ」
「そうですか。では……頑張ってくださいね! 僕はもうここまでですが、応援しています!」
そう言って、真薄は観客席へと戻って行った。途中、こんなことも思いながら。
(遊太君、やっぱり君は僕のヒーローだ。自然と応援したくなって、それでいて、目指したくなっちゃう。デュエルも、性格も、みーんなひっくるめて、僕のヒーローなんだよね)
実は、遠巻きから遊太と真薄のことを見ていた人物がいた。そうそれは、恐らく遊太の次の対戦相手となるであろう、榊原夏鈴であった。
二人の会話を、ちょっと小耳にはさんだカリンは、自分の持っていたカードをそっと握り、呟く。
「やっぱり、遊太君には精霊だけじゃなく、何か特別なものがあるのかもしれませんわ。きっと、言葉にはできないような、そんな何か」
「となると……アキラ君の問題も、遊太君なら解決できそうですね」
そう呟き、カリンは去っていったのであった。
第二十話。終わり。
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127 | プロローグ「出会いは突然に」 | 1894 | 3 | 2018-01-27 | - | |
176 | 第一話「六道遊太、デュエルと出会う」 | 1532 | 1 | 2018-01-28 | - | |
101 | 第二話「六道遊太、デュエルスタンバイ!」 | 1411 | 3 | 2018-01-30 | - | |
147 | 第三話「ロードナイトVSC・HERO」 | 1230 | 1 | 2018-02-05 | - | |
83 | 第四話「大会にて」 | 1021 | 1 | 2018-02-11 | - | |
136 | 第五話「カリンとカードの精霊の話」 | 1139 | 1 | 2018-02-14 | - | |
124 | 第六話「戦いの幕開け」 | 1044 | 1 | 2018-02-18 | - | |
220 | 第七話「大鴉の特訓」 | 1136 | 1 | 2018-02-22 | - | |
89 | 第八話「知多泉、デュエルスタンバイ!」 | 1001 | 0 | 2018-02-25 | - | |
183 | 第九話「儀式降臨のサフィラ」 | 1058 | 0 | 2018-03-02 | - | |
96 | 第十話「驚きの予選会」 | 1163 | 1 | 2018-03-05 | - | |
84 | 第十一話「ペンデュラムと、英雄騎士達」 | 1196 | 2 | 2018-03-10 | - | |
94 | 第十二話「プラクサス大会スタート!」 | 1062 | 0 | 2018-03-13 | - | |
156 | 第十三話「恐怖のロックバーン」 | 1159 | 2 | 2018-03-17 | - | |
174 | 第十四話「カリンとサフィラ」 | 1028 | 0 | 2018-03-24 | - | |
154 | 第十五話「アキラ君の思い」 | 1182 | 2 | 2018-03-29 | - | |
76 | 第十六話「楽しむ心、やるべき心」 | 970 | 2 | 2018-04-03 | - | |
86 | 第十七話「本戦開始!」 | 963 | 0 | 2018-04-06 | - | |
143 | 第十八話「知多と遊太」 | 980 | 0 | 2018-04-13 | - | |
142 | 第十九話「僕のヒーロー」 | 1074 | 0 | 2018-04-17 | - | |
148 | 第二十話「僕のヒーローは」 | 1043 | 0 | 2018-04-21 | - | |
151 | 第二十一話「対決! 遊太VS菊姫!」 | 1133 | 2 | 2018-04-25 | - | |
134 | 第二十二話「菊姫の切り札」 | 978 | 2 | 2018-04-29 | - | |
107 | 第二十三話「覚醒を封じられた先に……!」 | 999 | 2 | 2018-05-09 | - | |
145 | 第二十四話「プラクサス大会、決勝戦!」 | 1026 | 0 | 2018-05-12 | - | |
88 | 第二十五話「真の究極竜と、カオスMAX」 | 1046 | 2 | 2018-05-16 | - | |
144 | 第二十六話「決着、そして……!」 | 1056 | 2 | 2018-05-18 | - | |
82 | 第二十七話「ロードナイトの話」 | 1027 | 0 | 2018-05-26 | - | |
99 | 第二十八話「カリンと遊太」 | 1008 | 2 | 2018-05-28 | - | |
97 | 第二十九話「日傘の女の子」 | 951 | 0 | 2018-06-07 | - | |
161 | 第三十話「ヒーローショーを見に行こう!」 | 991 | 0 | 2018-06-11 | - | |
130 | 第三十一話「忍び寄る侵略の影」 | 986 | 0 | 2018-06-23 | - | |
109 | 第三十二話「侵略の一手」 | 834 | 0 | 2018-06-24 | - | |
168 | 第三十三話「帝国への招待状」 | 1086 | 0 | 2018-07-03 | - | |
130 | 第三十四話「いざ、帝国へ!」 | 974 | 0 | 2018-07-12 | - | |
236 | 遊戯王EXSキャラ紹介 その1 | 1423 | 2 | 2018-07-14 | - | |
133 | 第三十五話「GAME START」 | 943 | 0 | 2018-07-22 | - | |
84 | 決闘者の帝国における、特殊ルール | 918 | 2 | 2018-07-22 | - | |
169 | 第三十六話「まずは一つ」 | 1058 | 0 | 2018-07-29 | - | |
97 | 第三十七話「菊姫とアキラ」 | 1002 | 0 | 2018-08-05 | - | |
99 | 第三十八話「実力勝負!」 | 941 | 0 | 2018-08-12 | - | |
138 | 第三十九話「エンジョイデュエル!」 | 1044 | 0 | 2018-08-23 | - | |
90 | 第四十話「プレイヤーキラー、動く!」 | 856 | 0 | 2018-09-07 | - | |
80 | 第四十一話「闇を打ち砕け、遊太!」 | 927 | 0 | 2018-09-15 | - | |
116 | 第四十二話「ユニオンロボ&宇宙のヒーロー | 936 | 0 | 2018-09-29 | - | |
87 | 第四十三話「侵攻するワーム」 | 999 | 0 | 2018-10-06 | - | |
132 | 第四十四話「ヒーロー覚醒!?」 | 955 | 2 | 2018-10-14 | - | |
213 | 第四十五話「血の刻印」 | 1145 | 2 | 2018-10-27 | - | |
71 | 第四十六話「二つの竜」 | 837 | 2 | 2018-11-08 | - | |
170 | 第四十七話「共鳴、そして目醒め」 | 1019 | 2 | 2018-11-19 | - | |
137 | 第四十八話「思わぬ敵」 | 970 | 2 | 2018-12-02 | - | |
101 | 第四十九話「救いと絶望」 | 945 | 0 | 2018-12-09 | - | |
149 | 第五十話「ロベルトを救う者」 | 988 | 0 | 2018-12-17 | - | |
134 | 第五十一話「決戦! 闇の王と遊太」 | 994 | 0 | 2019-01-17 | - | |
101 | 作者よりお知らせ | 826 | 0 | 2019-01-27 | - | |
83 | 第五十二話「突き抜ける意志」 | 781 | 0 | 2019-02-05 | - | |
99 | 第五十三話「神帝現る」 | 947 | 0 | 2019-02-12 | - | |
95 | 第五十四話「帝国の終焉」 | 852 | 0 | 2019-02-22 | - | |
115 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』1 | 1024 | 0 | 2019-03-07 | - | |
143 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』2 | 891 | 0 | 2019-03-14 | - | |
89 | 特別編『超次元! 世界を越えた絆』3 | 909 | 0 | 2019-03-22 | - | |
82 | 第五十五話「休息の時」 | 803 | 0 | 2019-04-07 | - | |
78 | 第五十六話「彼女との再会」 | 744 | 0 | 2019-04-20 | - | |
102 | 第五十七話「マダムの危ない罠」 | 764 | 0 | 2019-05-01 | - | |
69 | 第五十八話「ストアブレーカー」 | 790 | 0 | 2019-05-19 | - | |
73 | 第五十九話「闇のカード」 | 836 | 0 | 2019-06-04 | - | |
111 | 第六十話「変わり始める生活」 | 791 | 0 | 2019-07-18 | - | |
69 | 第六十一話「ユイのデュエル」 | 723 | 0 | 2019-08-04 | - | |
76 | 作者よりお知らせ2 | 733 | 0 | 2019-08-11 | - | |
93 | 第六十二話「プラクサスの怪人」 | 726 | 0 | 2019-09-11 | - | |
69 | お詫びとお知らせ | 493 | 0 | 2020-02-19 | - | |
147 | 第六十三話「暴走! 怪人クロウリー」 | 778 | 0 | 2020-02-19 | - | |
83 | 特別編『ブルーアイズVSブルーアイズ』 | 844 | 0 | 2020-02-22 | - | |
90 | 第六十四話「闇に落ちる小鳥」 | 784 | 0 | 2020-03-22 | - | |
70 | 第六十五話「鳥人を食う邪竜」 | 672 | 0 | 2020-04-18 | - | |
91 | 第六十六話「ダークヒーロー!ヴェンデット | 695 | 0 | 2020-05-09 | - | |
87 | 第六十七話「堕ちたヒーロー」 | 719 | 0 | 2020-05-23 | - | |
78 | 第六十八話「視える未来(ビジョン)」 | 852 | 0 | 2020-05-30 | - | |
97 | 第六十九話「突入、アポカリプトのアジト」 | 758 | 0 | 2020-06-12 | - | |
64 | 第七十話「登場! 世界チャンピオン!」 | 729 | 0 | 2020-06-14 | - | |
62 | 第七十一話「デートじゃん!」 | 675 | 0 | 2020-06-27 | - | |
76 | 第七十二話「不死者は少年を好く」 | 775 | 0 | 2020-06-28 | - | |
64 | 第七十三話「最強デュエリストのいとこ」 | 671 | 0 | 2020-07-07 | - | |
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58 | 作者からお知らせ4 | 460 | 0 | 2021-09-17 | - | |
74 | 特別編「冥界の王(ファラオ)と決闘!?」 | 552 | 2 | 2021-10-17 | - | |
59 | 第九十五話「最終予選1 友達VS友達」 | 486 | 0 | 2021-12-18 | - | |
64 | 第九十六話「最終予選2 竜姫神と青眼」 | 465 | 0 | 2022-01-04 | - | |
69 | 第九十七話『最終予選3 約束のために』 | 563 | 0 | 2022-01-10 | - | |
61 | 第九十八話「最終予選4 VSJ4最強」 | 669 | 0 | 2022-02-01 | - | |
53 | 第九十九話「異変」 | 514 | 0 | 2022-02-27 | - | |
72 | 第百話「D1グランプリ、本戦開始!」 | 412 | 0 | 2022-04-09 | - | |
74 | 第百一話「プロの実力」 | 424 | 0 | 2022-05-07 | - | |
62 | 第百二話「デストーイ・デコレーション」 | 514 | 0 | 2022-06-04 | - | |
45 | 第百三話「アマゾネスの首領」 | 374 | 0 | 2022-07-10 | - | |
41 | 第百四話「プロ辞めます!」 | 461 | 0 | 2022-08-28 | - | |
39 | 第百五話「強襲! 梁山泊デュエル!」 | 338 | 0 | 2022-10-16 | - | |
48 | 第百六話「鉄屑と星屑」 | 554 | 0 | 2022-11-27 | - |
更新情報 - NEW -
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- 12/23 10:36 評価 10点 《早すぎた埋葬》「無条件で蘇生可能な装備魔法 《聖騎士の追…
- 12/23 09:15 デッキ 炎の剣士
- 12/23 08:49 SS 第40話:詰み
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- 12/23 00:19 掲示板 オリカコンテスト(R)計画処
- 12/23 00:07 評価 9点 《鎖付き真紅眼牙》「 《天球の聖刻印》とは相性がよく、出した攻…
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- 12/22 22:00 評価 10点 《深淵に潜む者》「バグースカの身代わりで禁止。墓地封殺がフリ…
- 12/22 21:54 デッキ 俺の真の最強のライゼオル
- 12/22 21:19 掲示板 オリカコンテスト投票所
- 12/22 21:19 掲示板 オリカコンテスト投票所
- 12/22 21:18 一言 深淵が禁止は個人的に悲し過ぎますわ…。デスサイズが制限止まりで果た…
- 12/22 19:24 掲示板 オリカコンテスト投票所
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