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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第二十五話「真の究極竜と、カオスMAX」

第二十五話「真の究極竜と、カオスMAX」 作:イクス

第二十五話「真の究極竜と、カオスMAX」


プラクサス大会決勝戦、六道遊太対八神アキラのデュエル。お互いに、何かを求めてデュエルをする。
遊太は、ロベルトとの約束を果たすため……アキラは、自ら課した使命を果たすため、この決勝戦のデュエルをしている。
最も、遊太はロベルトとの約束などとっくに忘れているようで、アキラは自分の使命に追い詰められている。そして、遊太には友達、両親と応援してくれる人間がいるのに対し、アキラはたった一人……。
孤独なアキラと、和気藹々としている遊太。二人のデュエル、勝利するのはどちらか。


「行け、遊太! そのまま押し切ってしまえー!」
「相手モンスターは1体だけ……伏せカードも無し。しかも遊太の手札は潤っている! やれるじゃ~ん!」
「頑張ってください、遊太君!」
(遊太ぁ、お前のこの状況、見るからに有利だ。行け、そのまま行っちまえ……!)
観客席から、応援を割れんばかりに浴びせる遊太の友達一堂と父親。それを聞いているのか聞いていないのかわからないが、遊太は笑顔だった。
対するアキラの表情は、とても苦々しいものであった。
(勝ちさえすれば……このデュエルで勝ちさえすれば……! 父さんとの約束を……!)


6・遊太のターン

「僕のターン、ドロー!」(遊太手札3→4)
「君がくれたドラゴノイドトークン1体をリリースして、僕は手札から『ロードナイト・リリアン』を攻撃表示でアドバンス召喚する! リリアンはアドバンス召喚された時、デッキから2体まで、レベル4以下の『ロードナイト』を特殊召喚できる! 僕は『ロードナイト・アーサー』『ロードナイト・ネクロ』を、特殊召喚する!」(遊太手札4→3)
リリアンは糸状の体を解き、デッキから2体のモンスターを引っ張り出してくる。攻撃力は2200。
「ネクロは特殊召喚された時、自分の墓地から『英雄騎士』魔法カードを1枚手札に加えられる。僕は墓地から速攻魔法『英雄騎士への覚醒』を手札に加える」(遊太手札3→4)(遊太墓地13→12)
「それにより、僕は手札から速攻魔法『英雄騎士への覚醒』を発動! 僕はフィールドに存在する地属性のアーサーをリリースして、同じ地属性の『イクスロードナイト』、『イクスロードナイト・ウェイカー』を特殊召喚する!」(遊太手札4→3)(遊太墓地12→14)
再び遊太の場に現れた『イクスロードナイト』は、分厚い鎧と巨大な鉄球を持つ騎士。攻撃力は2700。しかも、それだけではない。
「ウェイカーは相手フィールドに存在する、攻撃力が一番低いモンスターか守備力が一番高いモンスターを破壊できる! だけど、君の場にはモンスターが痛いしかいないので、『パンデミック・ドラゴン』を破壊する! キングダムクラッシャー!」
『パンデミック・ドラゴン』は鉄球に押しつぶされ、簡単に破壊されてしまう。しかし、『パンデミック・ドラゴン』が破壊された跡から何やら変な液が飛び出している。
「『パンデミック・ドラゴン』は破壊された時、フィールドのモンスターの攻撃力を全て1000下げる! これにより、お前らモンスターの攻撃力を下げる! 更に永続魔法『補給部隊』によって、俺はデッキから1枚ドローする」(アキラ手札0→1)(アキラ墓地8→9)
『パンデミック・ドラゴン』によってまき散らされたウイルスによって、遊太のモンスターの攻撃力が下がる。(ウェイカー攻撃力2700→1700)(リリアン攻撃力2200→1200)(ネクロ攻撃力1000→0)
「だが、僕は魔法カード『英雄騎士の再生術』を発動! 自分の墓地から、『ロードナイト』モンスターと『英雄騎士』カードを手札に加える。僕は、墓地から『ロードナイト・ダーク』と『英雄騎士への覚醒』を手札に加える」(遊太手札3→2→4)(遊太墓地14→12→13)
「そして、再び『英雄騎士への覚醒』を発動! 効果を使用したウェイカーをリリースして、『イクスロードナイト・アポロ』を攻撃表示で特殊召喚!」(遊太手札4→3)(遊太墓地13→15)
またしても現れた『イクスロードナイト』。獅子の鎧を着込んだ丸腰『イクスロードナイト』は、攻撃力2500。
「行くよ、バトルだ! 僕はリリアンで、アキラ君にダイレクトアタック! リリアン・ストリング!」
「だが、俺はこの時手札から『護封剣の剣士』を、守備表示で特殊召喚!」(アキラ手札1→0)
遊太も使用した、『光の護封剣』のような剣を持ったモンスターが攻撃を防ぐ! そして、リリアンを破壊する! 
「くっ、なんで僕のモンスターが……!」(遊太墓地15→16)
「『護封剣の剣士』は、相手の直接攻撃宣言時に、このモンスターを手札から特殊召喚できる。更に、攻撃モンスターの攻撃力がこのモンスターの守備力2400より低い時、そのモンスターを破壊できる」
「そうか、だから僕のリリアンが……だけど、アポロの攻撃は防げない! アポロで、『護封剣の剣士』を攻撃! マグヒート・ブレイジング!」
『護封剣の剣士』の守備力、2400を上回った2500の攻撃力によって、『護封剣の剣士』は破壊される。
「……これでがら空きか。『補給部隊』の効果は、1ターンに1度しか使えないからな」(アキラ墓地9→10)
「僕はメインフェイズ2で、カードを1枚セットして、ターンエンド」(遊太手札3→2)

遊太

ライフポイント7000
手札枚数2枚
モンスター2体
『イクスロードナイト・アポロ』(攻撃表示・攻撃力2500・レベル8・地属性)
『ロードナイト・ネクロ』(守備表示・守備力1600・レベル4・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数16枚
除外されているカード1枚


7・アキラのターン

「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札0→1)
「俺は手札から、魔法カード『命削りの宝札』を発動! 手札が3枚になるように、デッキからドローする。そのリスクとして、このターン相手が受けるダメージは0になり、自分は特殊召喚できず、エンドフェイズに手札を全て捨てなければならない!」(アキラ手札0→3)(アキラ墓地10→11)
(ここに来て、手札増強カードを引くとは、相変わらず良い引きしているなあ、アキラ君)
「手札より、魔法カード『トレード・イン』を発動! 手札のレベル8モンスターを墓地へ送り、2枚ドローする! 俺は手札の『青眼の白龍』を墓地へ送り、2枚ドロー!」(アキラ墓地11→13)
「そして、モンスターを1体セット。リバースカードを2枚セットして、ターンエンドだ」(アキラ手札3→0)

アキラ

ライフポイント7000
手札枚数0枚
モンスター1体
(裏守備表示)
魔法・罠ゾーンのカード4枚
発動しているカード2枚
『補給部隊』(永続魔法)
『ドラゴノイド・ジェネレーター』(永続魔法)
墓地の枚数13枚
除外されているカード1枚


8・遊太のターン

「僕のターン、ドロー!」(遊太手札2→3)
「僕は手札から、魔法カード『英雄騎士の人員整理』を発動。自分の手札から、『ロードナイト』を任意の数だけ捨てて、捨てた枚数+1枚ドローする。僕は手札のサイレとダークを捨てて、3枚ドロー!」(遊太墓地16→19)
「そして、僕はフィールドのネクロをリリースして、手札から『ロードナイト・シーマイン』をアドバンス召喚する!」(遊太手札3→2)(遊太墓地19→20)
また再び現れたのは、波の剣と意匠を身に着けた騎士。攻撃力は2400。
「これにより、僕は墓地からレベル4以下の『ロードナイト』を2体まで特殊召喚できる! 僕は、墓地からネクロとダージを特殊召喚する!」(遊太墓地20→18)
「更に、ネクロは特殊召喚された時墓地から『英雄騎士』魔法カードを手札に加えられ、ダージはデッキから1枚ドローできる。そしてそのカードが『ロードナイト』だった時、特殊召喚できる。僕は墓地から『英雄騎士への覚醒』を手札に加え、1枚ドロー! ……このカードはモンスターじゃない」(遊太手札2→3→4)(遊太墓地18→17)
「手札を、モンスターコンボで倍にしてきたか……だが、そうはさせねえ! 罠カード『パワーバランス』を発動!」
「このタイミングで、カードを発動させるのか!?」
「『パワーバランス』は、手札が0の時発動可能な罠カード。相手は手札を半分捨て、俺は捨てた枚数をドローすることができる! さあ、4枚ある手札の半分を捨てろ」
「……わかった」
(折角手札に良いカードが加わったのに……もったいないなあ)(遊太手札4→2)(遊太墓地17→19)
「そして、俺はデッキから2枚ドローする」(アキラ手札0→2)(アキラ墓地13→14)
「だけど、任意のカードを捨てさせたのが間違いだったね。僕は手札から、速攻魔法『英雄騎士への覚醒』を発動! 僕は風属性『ロードナイト』のダージをリリースして、風属性『イクスロードナイト』、『イクスロードナイト・シルフィー』を、攻撃表示で特殊召喚する!」(遊太手札2→1)(遊太墓地19→21)
またしても現れた『イクスロードナイト』。今度は風車のような武器を持った白き騎士。アキラの魔法・罠ゾーンにカードが並ぶこの状況だからこそ、このモンスターは力を発揮する! 
「そして、シルフィーのモンスター効果発動! フィールドの魔法・罠を、全て破壊する! ヴェイパー・ヘビーストーム!」
しかし、破壊効果にチェーンできるカードはある。
「罠カード、『破壊輪』を発動! 相手フィールドのモンスター1体を対象に発動。そのモンスターを破壊し、破壊されたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを、俺が受けた後お前に与える!」
「ここで、そのカードを出してくるなんて!」
「俺は、シルフィーを破壊し、元々の攻撃力2700のダメージを、お互いに与える!」
「更に俺は、罠カード『融合準備』を発動! エクストラデッキの融合モンスターを、相手に見せる。そしてその融合モンスターに記された名前を持つモンスターを、デッキから手札に加える。俺は、お前に『青眼の究極竜』を見せて、融合素材の『青眼の白龍』をデッキから手札に加える」(アキラ手札2→3)
「そして、『破壊輪』の効果でお互いにダメージを受ける! ぐわっ!」(アキラライフ7000→4300)
「ぐうっ! だが、シルフィーの効果は続行! フィールドの魔法・罠を全て破壊!」(遊太ライフ7000→4300)(遊太墓地21→22)
「……」(アキラ墓地14→18)
「続けてバトルだ! 僕は、攻撃力2400のシーマインで、伏せ守備モンスターを攻撃! シードロップ!」
この時モンスターが裏返り、現れたモンスターは仮面をつけたようなドラゴン。守備力は1100なのであっさり破壊されるが。
「戦闘によって破壊された『仮面竜』のモンスター効果、発動! デッキから攻撃力1500以下のドラゴン族を1体、特殊召喚できる。俺はデッキから、再び『仮面竜』を特殊召喚!」(アキラ墓地18→19)
「くそ、リクルーターで後続を続けられたか……! 僕はメインフェイズ2に入り、カードを1枚セットして、ターンエンド」(遊太手札1→0)

遊太

ライフポイント4300
手札枚数0枚
モンスター2体
『ロードナイト・シーマイン』(攻撃表示・攻撃力2400・レベル8・水属性)
『ロードナイト・ネクロ』(守備表示・守備力1600・レベル4・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数21枚
除外されているカード1枚


9・アキラのターン

「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札3→4)
ドローしたカードをチラ見するアキラ。そして、不敵に微笑む。
(来た……! これで揃った! そのためには、まず出してしまった『仮面竜』が邪魔だな……)
「俺は手札から、速攻魔法『神秘の中華鍋』を発動! 俺のフィールドに存在するモンスターをリリースして、その攻撃力か守備力分のライフを回復する。俺は『仮面竜』をリリースして、その攻撃力1400ライフを回復する」(アキラ手札4→3)(アキラライフ4300→5700)(アキラ墓地19→21)
ここまで均衡を保っていたライフに、初めて優劣が生じる。それを見て、観客席の菊姫は。
「……ライフが動いた、優劣は……今アキラが上になった! 何かが来るぞ、遊太!」
「え、菊姫、何か言ったじゃん?」
「何かが起こるぞ、知多」
そうして、盤面のアキラ。
「手札から、魔法カード『闇の量産工場』を発動! 自分の墓地から、通常モンスター2体を手札に加える。俺が墓地から手札に加えるのは、当然2体の『青眼の白龍』」(アキラ手札3→2→4)(アキラ墓地21→19→20)
(今、アキラ君の手札には『青眼の白龍』が3体……ということは!)
「アキラ君、どうやらまた究極竜を融合召喚するみたいだね! 確かに、あのモンスターは強力無比だけど……僕だってそれが来ることくらい予想しているさ!」
「確かに、究極竜は融合召喚する。だが、俺が融合召喚するのは前に出した究極竜じゃねえ。俺の究極竜には、違う姿が存在する! 進化した存在がな!」
「何!? あれだけでも凄かったのに、これ以上上があるっていうの!?」
「見せてやるよ、進化した新たな究極竜を! 俺は手札から、魔法カード『融合』を発動! 手札に存在する、3体の『青眼の白龍』を融合素材として……! 今こそ現れろ! 『真青眼の究極竜』!」(アキラ手札4→0)(アキラ墓地20→24)
現れたのは、あの時現れた『青眼の究極竜』を彷彿とさせる三つ首のブルーアイズモンスター! 攻撃力は普通の究極竜と同じ4500。
「……なんか、違う。あの時対戦した『青眼の究極竜』とは違う何かが、このモンスターにはある!」
「その通り、コイツが出た以上、もう勝負は終わらせたも同然だ。行くぞ! ネオ・アルティメットで、シーマインを攻撃! ハイパー・アルティメット・バーストォ!」
究極の竜から放たれる、強力な光線が遊太のモンスターを襲う! しかし、遊太は慌てない。
「この瞬間! 罠カード『ガード・ブロック』を発動! 相手が攻撃してきた時、戦闘ダメージを0にして、1枚ドロー!」(遊太手札0→1)(遊太墓地21→23)
「残念だったね、これで攻撃は防いだぞ!」
「……フン、甘いな……! ネオ・アルティメットのモンスター効果、発動! エクストラデッキから、『青眼の究極竜』を、墓地へ送る! これにより、ネオ・アルティメットは追加攻撃できる!」(アキラ墓地24→25)
「何!? 圧倒的パワーだけじゃなく、攻撃回数を増やすだって!?」
「これにより、俺はネクロを攻撃!」
「ぐっ、2回目……!」(遊太墓地23→24)
「ネオ・アルティメットは、自身の効果を2回まで使える。これにより、俺は再び『究極竜』を墓地へ送って、3回目の攻撃を行う! 3回目の攻撃! それはお前へのダイレクトアタック! これで、終わりだ! ハイパー・アルティメット・バーストォ!」(アキラ墓地25→26)
遊太のライフは4300。攻撃力4500の『真青眼の究極竜』の攻撃を喰らえば、当然ライフポイントは0になる! それを見かねてか、観客席の遊太応援団達は声を上げる! 
「ゆ、遊太ァ! これを喰らったら、負けるぞ!」
「遊太君! 危ないです!」
「遊太ァ!」
「遊太~!」
菊姫、知多、真薄、幸市の四人が一斉に声を上げるので、その声は当然遊太に届く。
(み、皆……! わかっているさ、これを喰らったら、負けちゃうってことぐらい! だから、僕はこのカードを使う!)
「墓地から、『ロードナイト・グロウ』のモンスター効果発動! このカードが墓地に存在し、相手の直接攻撃宣言時に、墓地のこのカードを除外して効果発動! 相手モンスターを、全て守備表示にする!」(遊太墓地24→23)(遊太除外1→2)
「な、何!?」
墓地からグロウが湧き出て来て、モンスターをひっくり返してしまう。ネオ・アルティメットは守備表示になってしまった。
「く、クソ……これで仕留めるはずだった……!」
「いやあ、本当に仕留められそうだったよ。流石、真の究極竜だね。高い攻撃力と、連続攻撃なんて……! 『死のデッキ破壊ウイルス』喰らってなかったら、今頃本当にやられていたなあ……! ホント、凄いよ。ハハハ!」
「なんだよ、何がおかしい!?」
「いやさあ、そこまで苦労して出したモンスターを、どうやって倒そうかと思うと、楽しくなってきたんだ! こんな強敵、簡単に倒せる相手じゃないからね!」
「くっ……どこまでおちょくりやがって」
「おちょくってなんかないよ。ホントに、デュエルが楽しいんだ! それに比べて、なんかアキラ君、相当追い詰められているのかな……?」
「うるせえ! くだらない話で間をつなぐんじゃねえ! 俺はこれでターンエンドだ!」

アキラ

ライフポイント5700
手札枚数0枚
モンスター1体
『真青眼の究極竜』(守備表示・守備力3800・レベル12・光属性)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数26枚
除外されているカード1枚


少々危ない場面もあったものの、見事ネオ・アルティメットの攻撃を耐えきった遊太に安堵の表情を浮かべる遊太応援団一堂。
「危なかった……全く、遊太の奴、ヒヤヒヤさせやがって! でも、安心した」
「本当ですねえ。でも、見てくださいよ! 今のアキラ君には、ブルーアイズ以外のカードがありません! 攻め込むなら、今しかないですよ!」
「そうじゃんそうじゃん!? やれるじゃん!? 一気に行けるじゃん!?」
「そうなのか? 優勢なのか遊太! 行け! そのまま一気に、突き進んで行け!」
「ここまで嬉しそうに遊太のこと応援するお父さん、一体いつぶりかしら……」


10・遊太のターン

「僕のターン、ドロー!」(遊太手札1→2)
「『ロードナイト・ファントム』は、墓地から除外することによって、墓地から『ロードナイト』を特殊召喚できる! 僕はファントムを除外して、墓地からネクロを特殊召喚する!」(遊太墓地24→22)(遊太除外1→2)
「そして、僕はネクロの効果によって、自分の墓地から『英雄騎士』魔法カードを1枚手札に加える。『英雄騎士への覚醒』を、再び手札に!」(遊太手札2→3)(遊太墓地22→21)
「速攻魔法『英雄騎士への覚醒』を発動! 闇属性のネクロをリリースすることで、エクストラデッキから闇属性の『イクスロードナイト』、『イクスロードナイト・ドゥフト』を、攻撃表示で特殊召喚する!」(遊太手札3→2)(遊太墓地21→23)
今度は、羅針盤を左手に、フルーレを右手に持った『イクスロードナイト』。遊太曰く、百戦錬磨の策士らしいが……? 
「僕は、ドゥフトの効果を発動。手札1枚を捨てることで、デッキ・墓地から『英雄騎士』罠カードを1枚フィールドにセットできる。フィールドに、『英雄騎士』罠カードを、セット! 僕はこれで、ターンを終了する!」(遊太手札2→1)(遊太墓地23→24)

遊太

ライフポイント4300
手札枚数1枚
モンスター1体
『イクスロードナイト・ドゥフト』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数24枚
除外されているカード2枚


11・アキラのターン

「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札0→1)
「俺の前に、そんなモンスターを攻撃表示だと……! 舐めるなよ、俺のネオ・アルティメットなら、そんなモンスター粉砕できる! ネオ・アルティメットを、攻撃表示に変更! そして、バトルフェイズ! ネオ・アルティメットで、ドゥフトを攻撃! ハイパー・アルティメット・バースト!」
またしても、ネオ・アルティメットの重い一撃が遊太のモンスターに向かって発射される! しかし。
「迂闊だよ、アキラ君! 『ロードナイト』が相手モンスターと戦闘を行うこの瞬間、罠カード『英雄騎士の爆発力』を発動! 僕の『ロードナイト』に、相手モンスターの元々の攻撃力を加算する!」(遊太墓地24→25)
「何!?」
「ネオ・アルティメットの攻撃力は4500。4500の攻撃力が、加算される! これにより、ネオ・アルティメットは破壊される!」
ドゥフトが、ネオ・アルティメットの攻撃を避け、その攻撃を掻い潜ってネオ・アルティメットを破壊する! それにより、ネオ・アルティメットは破壊されてしまった……。
「……おのれ……!」(アキラライフ5700→3100)(アキラ墓地26→27)
「アキラ君、君何をそんなに焦っているのさ。わざわざデッキからセットしたんだ。これが危ない罠カードだって言うのを、普通ならわかるでしょ?」
「……俺はこのメインフェイズ2に、魔法カード『貪欲な壺』を発動。俺の墓地から5体モンスターをデッキに戻し、2枚ドローする。俺は究極竜2体と、ネオ・アルティメット・『パンデミック・ドラゴン』・『ジャイアント・ウイルス』をデッキに戻し、2枚ドロー!」(アキラ手札1→0→2)(アキラ墓地26→21→22)
「俺は、カードを2枚場にセットして、ターンエンドだ……」

アキラ

ライフポイント3100
手札枚数0枚
モンスター0体
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数22枚
除外されているカード1枚


アキラのお粗末なプレイに、思わず観客席の菊姫も怪しく考える。
「アイツ、わざわざデッキからセットしたカードに見向きもせず、そのまま突っ込んで行っちまうなんて……そりゃあ確かに、ドゥフトは自分の魔法・罠を1回だけ守れるとはいえ、あんな不用意に突っ込んでいくものか? アキラにしては、らしくねえな」
「確かに、目に見えている地雷をそのまま踏みぬくなんて、普通じゃありませんよ」
「アイツには、アキラは今、伏せカードも見えてないのかじゃん?」
「確かに、目に見えている地雷を踏みぬくなんて、アイツがいつもやるプレイじゃあねえ。アイツ、何かがおかしい」
「アネゴの言う通りですね」
「見えている罠カードに、そのまま引っ掛かるなんて……」
「その理由は、私がお教えしましょう」
「あ、お前……カリン!? どうしてここに!?」
「やっぱり、目標を目の前にすると、皆焦るものなんですわね。お父さんとの約束に」
「いやいやいやいや、質問の答えになってねーぞカリン。アタシは、お前にどうしてここにいるのかって、聞いたんだ」
「こちらの方が、何やら楽しそうだったので……ちょっと来てしまいましたわ」
「ほーん」
カリンがいきなり現れたことに納得した菊姫。しかし、次は知多と真薄がカリンに質問をする。
「なあなあカリンちゃん、さっき目標を目の前にするとって言っていたけど、それってさっきのアキラと何の関係があるじゃん?」
「それに、お父さんとの約束って……?」
「それなら、お話しましょう。アキラ君が何故あんなに焦っているのか……」
カリンはそのまま、遊太の友達一堂にアキラがなぜ焦っているのかを、遊太に言ったことそのままに話した。当然、遊太の両親もそれを聞く。
「なるほどな……」
「それの焦りで、あんなプレイをしてしまったのか……なんか、納得できるじゃん?」
「そして、この大会を優勝したら、デュエルを止めるなんて……!」
「私がお話したことは、全て事実です」
「しかし、いくらお父さんの会社を継ぐからといって、そこまで自分を追い詰めていいものなのかねえ」
「おいおい……なんでそこで遊太のオヤジさんが出てくるんだよ」
「だってさあ、子供はもう少し自由でも良いと、私は思うんだ。思いっきり遊べるうちに遊んでおかないと、後で絶対後悔すると思う。現に遊太だって、前の場所でもいっぱい遊んでいたし、友達だっていた」
「大企業の息子さんってだけでも、違う所があるかもしれない。けれど、子供は自由に遊んでも良いと思うんだ。自分で自分を縛ったって、良いことなんて何も無いのだから……」
「ほえー」
「遊太のお父さんにしては、良いこと言うじゃん?」
「さっきまで遊太スキーの親バカお父さんってしか思ってませんでした。すいません」
「おいおい……酷いなあ」
「確かに、お父さんは貴方たちから見れば単なる親バカにしか見えないけれど、遊太のことを誰よりも、何よりも思っているんですからね。勿論、私も……だけど」
「よーし、そんなお父さんお母さんの為に、いっぱい遊太を応援してやろうじゃん? 遊太が勝てるように!」
「そうだな、やるか!」
「「おーっ!」」
この風景を見て、カリンは考える。
(遊太君……良いお友達を得ましたね……)


12・遊太のターン

「僕のターン、ドロー!」(遊太手札1→2)
「僕は場からドゥフトの効果を発動して、デッキより『英雄騎士』罠カードを1枚セットする」(遊太手札2→1)(遊太墓地25→26)
「そして、バトルフェイズ! ドゥフトで、アキラ君にダイレクトアタック! さらに、手札から『ロードナイト・パワード』のモンスター効果、発動! 『ロードナイト』が戦闘を行う時、このカードを手札・フィールドからリリースすることによって、対象となったモンスターの攻撃力・守備力を1500アップさせる! これにより、ドゥフトは攻撃力4100となり、君のライフは0になる!」(遊太手札1→0)(遊太墓地26→27)
ドゥフトの攻撃が、アキラに目前に迫る。それを見て、アキラは……! 
(嫌だ……折角優勝を目の前にして、ここで負けることなんかできない! 父さんとの、約束を……果たせなくなるわけにはいかない!)
「速攻魔法『コマンド・サイレンサー』を発動! 相手の攻撃宣言時、バトルフェイズを終了させる」
怪しげなトーテムポールから音波が出されると、ドゥフトはその音波に邪魔されて、攻撃を中止させられてしまった。
「更に、『コマンド・サイレンサー』は効果を発動した後、デッキから1枚ドローできる」(アキラ手札0→1)(アキラ墓地22→23)
「くっ……防がれたか……あとちょっとだったのになあ……!」
「くっ、俺は負けねえ……!」
「一先ず、手札は無い。僕はこれで、ターンエンド」

遊太

ライフポイント4300
手札枚数0枚
モンスター1体
『イクスロードナイト・ドゥフト』(攻撃表示・攻撃力2600・レベル8・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数27枚
除外されているカード2枚


13・アキラのターン

(負けるものか……! 俺は父さんとの約束を果たすために優勝する! そして、父さんの仕事を手伝うために、デュエルを止める……俺は、そのために……!)
「俺のターン、ドロー!」(アキラ手札1→2)
「俺は手札から、魔法カード『逆境の宝札』を発動! 相手フィールドに特殊召喚されたモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターがいない時、デッキから2枚ドローできる!」(アキラ手札2→1→3)(アキラ墓地23→24)
「……よし、これなら! 俺は手札から、魔法カード『魂の解放』を発動! 互いの墓地から5枚までカードを選択し、ゲームより除外する! 俺は自分の墓地から『エクリプス・ワイバーン』を除外し、お前の墓地から、『イクスロードナイト』のシルフィー・ウェイカー・ジエス・アポロを除外する」(アキラ手札3→2)(アキラ墓地24→23→24)(アキラ除外1→2)
「僕の墓地から、『イクスロードナイト』を除外して、戦力を削ぐつもりか」(遊太墓地27→23)(遊太除外2→6)
「いや、本命を使う為に除外し、そのついでをやっただけだ。俺は、墓地から除外された『エクリプス・ワイバーン』の効果発動! このカードは墓地へ送られた時、デッキからレベル7以上の光・闇属性のドラゴン族を除外できる。しかし、墓地へ送られたこのカードが墓地から除外された時! 除外されたモンスターを、手札に加えられる!」(アキラ手札2→3)
「俺が除外していたカード、それはネオ・アルティメットに次ぐ、いやネオ・アルティメットを越すかもしれない『ブルーアイズ』だ!」
「何!? あのネオ・アルティメットすら越えるモンスターだって!?」
「俺は手札より、儀式魔法『カオス・フォーム』を発動! このカードは、カオスと名の付いた儀式モンスターを儀式召喚する時に、必要な儀式魔法! これにより、俺は儀式召喚! 降臨せよ、レベル8『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』!」(アキラ手札3→1)(アキラ墓地24→23→24)(アキラ除外1→2)
現れ出たのは、今までのどのブルーアイズとも違う、その鎧のような姿は、独特の威圧感を感じさせる。まるで、力の権化のような、その姿。
「なんだ……このブルーアイズは……! アレ、おかしいぞ。儀式召喚には、手札・フィールドからレベル分のモンスターをリリースしなければいけないはず。なのに、なんでアキラ君の手札が1枚残っているんだ!? 普通なら、儀式召喚には3枚くらいカードを使うはずなのに!」
「『カオス・フォーム』は、必要なリリースの代わりに、墓地の『青眼の白龍』を除外することにより、必要なリリースとすることができる! カオス・MAXのレベルは8、よって、墓地から『青眼の白龍』を除外することにより、儀式召喚した!」
「だけど、いくら強力なモンスターでも、効果を発動される前に、倒されちゃあ意味ないよね! 僕は罠カード『英雄騎士の進軍』を発動! 僕のフィールドの『ロードナイト』の数だけ、相手フィールドのカードを選んで破壊できる! 今僕のフィールドにいるのはドゥフト1体! よって、君のカオス・MAXを破壊する! これで、カオス・MAXは……!」(遊太墓地23→24)
カードより放たれた雷撃が、カオス・MAXに直撃する。しかし、カオス・MAXは平然としていた。
「な、なんで……!」
「効かねえな。カオス・MAXは、相手の効果の対象とはならず、相手の効果で破壊されない。お前のそれは対象を取らない効果だったようだが、破壊はされねえ」
「く、くそ……!」
「更に、俺は速攻魔法『エネミーコントローラー』を発動! 相手フィールドの表側表示モンスター1体の、表示形式を変更! 攻撃表示から守備表示に!」(アキラ手札1→0)(アキラ墓地24→25)
妙なコントローラーによって、ドゥフトにプラグが差し込まれると、たちまちのうちにドゥフトは守備表示になる。しかし、遊太は。
「何故、ダメージが与えられる攻撃表示から、守備表示に……まさか、貫通ダメージを……!」
「行くぞ、バトルフェイズ! 俺はカオス・MAXで、守備表示のドゥフトを攻撃! 混沌の・マキシマム・バーストォ!」
カオス・MAXの体から、無数のレーザーが発射される! そんな圧倒的な攻撃に、当然ドゥフトが耐えられる筈がなく、ドゥフトはあっさり破壊されてしまう。しかし、そのダメージは大きなものがあった! レーザーが遊太にも飛び火する! 
「うわああっ! な、なんで、こんな大きな……4200のダメージを……!」(遊太ライフ4300→100)(遊太墓地24→25)
「カオス・MAXは、守備表示モンスターを攻撃した時、相手に倍の貫通ダメージを与える! そして、これで終わりだ! 罠カード発動! 『破壊神の系譜』! 守備表示モンスターを破壊した時、レベル8のモンスターを対象に発動! そのモンスターは、2回攻撃ができる! つまり、お前へのダイレクトアタック!」(アキラ墓地25→26)
「な、何!?」
「これで、今度こそ終わりだ! 沈め、遊太ァ!」
カオス・MAXの、4000の攻撃力によるダイレクトアタックが遊太を襲う! 遊太の場に、伏せカードは0。モンスターもいない。
観客席の遊太応援団は。
「ゆ、遊太ァ! これを喰らったら、負けるぞ!」
「遊太くーん!」
「遊太! なんとかして防ぐじゃーん!」
「遊太ー!」
無情なダイレクトアタックが、遊太に襲い掛かる! 果たして遊太は!? 


第二十五話。終わり。
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ター坊
ブルーアイズ祭じゃい!
社長よりもブルーアイズを使いこなしている感がありますね。ライバル格だけあってあっさりと決着とはいきません。
ネオやカオスMAXが登場し、とうとうトドメという場面ですが…主人公が勝っても負けても面白い展開が期待できそうです。 (2018-05-17 07:30)
イクス
ター坊さんへ。
ブルーアイズ祭りは、このデュエルが終わってから始まる予定です。
ブルーアイズは、アキラ君とは一心同体ですからね。ゆくゆくは本当にライバル格になる予定ですよ。
ブルーアイズの中でも強力な、2種類のブルーアイズモンスター。突破も難しいこのモンスターの前にどちらが勝つのか、このデュエルの行方を、しっかりと見届けてください。 (2018-05-17 21:00)

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