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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第六十五話「鳥人を食う邪竜」

第六十五話「鳥人を食う邪竜」 作:イクス

第六十五話「鳥人を食う邪竜」


知多が大好きなアイドルユニット「リトルバード」がプラクサスシティに映画撮影にやってきたとのことで、それを見に来た遊太たち。
だが、悪徳プロデューサーから双子であり相方のアオイを守りたいと思っていたヒカリが、ダークネスカードの闇に飲み込まれてしまい、会場は大騒ぎとなってしまう。
それを止めるために、知多がデュエルでヒカリに立ち向かう! 

「ヒカリちゃん! なんでこんなことするじゃん! なんで……!」
「ナニモカモ……メチャクチャニシテヤレ!」
「あちゃあ、やっぱりデュエルじゃなきゃダメじゃん! なら、行くじゃん!」

「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」


1・ヒカリのターン

「アタシノターン!」
「アタシハ手札カラ、永続魔法『ヒステリック・サイン』ヲ発動! コノ効果デ、アタシハデッキカラ『万華鏡-華麗なる分身-』ヲ手札ニ加エル!」
「ソウシテ、手札カラ『ハーピィ・クィーン』ヲ捨テテ、効果発動! デッキカラフィールド魔法『ハーピィの狩場』ヲ手札ニ加エル!」(ヒカリ墓地0→1)
「手札カラ、『ハーピィ・チャネラー』ヲ召喚! 効果発動、手札ノ『ハーピィ・ハーピスト』ヲ墓地ヘ送ッテ、デッキカラ『ハーピィ』ヲ特殊召喚スル! アタシガ特殊召喚スルノハ、『ハーピィ・パヒューマー』!」(ヒカリ手札5→4)(ヒカリ墓地1→2)
「パヒューマーノ効果発動! 召喚・特殊召喚サレタ時ニデッキカラ『ハーピィ・レディ三姉妹』ノテキストガ書カレタカードヲ手札ニ加エル! アタシハデッキカラ『華麗なるハーピィ・レディ』ヲデッキカラ手札ニ!」(ヒカリ手札4→5)
「手札カラフィールド魔法『ハーピィの狩場』ヲ発動サセル! コレデ、フィールドノ鳥獣族モンスターの攻守ガ200アップスル!」(ヒカリ手札5→4)
「ソウシテ、魔法カード『万華鏡-華麗なる分身-』ヲ発動! フィールドに『ハーピィ・レディ』ガイル時、デッキカラ『ハーピィ・レディ』ヲ特殊召喚スル! オラクルトチャネラーハ、フィールド・墓地ニイル時、『ハーピィ・レディ』トシテ扱ウ! デッキカラ『ハーピィ・レディ1』ヲ特殊召喚スル! 『ハーピィ・レディ1』ハ、元々ノカード名ヲ『ハーピィ・レディ』トシテ扱ウ! そして、1ノ効果デ風属性モンスターノ攻撃力ガ300ポイントアップスル!」(ヒカリ手札4→3)(ヒカリ墓地2→3)
「ソシテコノ時、フィールド魔法『ハーピィの狩場』ノ効果デ、フィールドノ魔法・罠ヲ破壊スル!」
「こっちの魔法・罠が1枚もないのに、その効果を……?」
「アタシガ破壊スルノハ、永続魔法『ヒステリック・サイン』!」(ヒカリ墓地3→4)
「自分で自分の魔法を破壊するだって!?」
「リバースカードヲ2枚伏セ、ターンエンドダ。エンドフェイズニフィールドカラ墓地へ送ラレタ『ヒステリック・サイン』ノ効果ガ発動。デッキカラ『ハーピィ』カードヲ3枚手札ニ加エル。デッキカラ『ハーピィ・レディ-鳳凰の陣-』ト『ハーピィの羽吹雪』ト『ハーピィの羽根箒』ヲ手札ニ加エル。サラニ、、墓地へ送ラレタハーピストノ効果デ、デッキカラ攻撃力1500以下ノ鳥獣族モンスター『ハーピィ・ダンサー』ヲ手札ニ!」(ヒカリ手札3→1→5)
「あわわ……どんどん手札を増やされているじゃん!」
「サア、カカッテコイ! アタシノ邪魔ヲスルヤツハ、メチャクチャにシテヤル!」

ヒカリ

ライフポイント8000
手札枚数5枚
モンスター3体
『ハーピィ・レディ1』(攻撃表示・攻撃力1800・風属性・レベル4)
『ハーピィ・チャネラー』(攻撃表示・攻撃力1900・風属性・レベル4)
『ハーピィ・パヒューマー』(攻撃表示・攻撃力・1900・風属性・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『ハーピィの狩場』(フィールド魔法)
墓地の枚数4枚
除外されているカード0枚


2・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札5→6)
「俺は手札からレベル1チューナーモンスター『ライトスター・ドラッティ』を召喚! 効果発動。手札からレベル4以下の光属性・ドラゴン族モンスター1体を特殊召喚できる。俺は手札から『ライトスター・ドラスト』を特殊召喚するじゃん!」(知多手札6→4)
「そして、ドラストの効果発動。このカードが特殊召喚に成功した時、このモンスターをリリースすることでデッキから同名モンスターを可能な限り特殊召喚できるじゃん! 俺はデッキから、『ライトスター・ドラスト』を2体特殊召喚!」(知多墓地0→1)
「よし、行くじゃん! 俺はレベル3の『ライトスター・ドラスト』2体に、レベル1ドラッティをチューニ――」
「ソウハ行カナイ! 罠カード発動! 『ゴッドバードアタック』! アタシノ鳥獣族モンスター1体ヲリリースシテ、フィールドノカード2枚ヲ破壊スル! アタシはパヒューマーヲリリース、ヨッテオ前ノドラスト2体ヲ破壊スル!」(ヒカリ墓地4→6)
「ええっ!?」
火の鳥となった『ハーピィ・パヒューマー』が、知多のフィールドにぶつかって爆発を起こす。それによってドラストは破壊されてしまった。
「くっ……シンクロ召喚が……」(知多墓地1→3)
「ソウソウシンクロナンテサセナイ!」
「くぅっ、俺はカードを2枚セットして、ターンエンドじゃん!」(知多手札4→2)

知多

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター1体
『ライトスター・ドラッティ』(攻撃表示・攻撃力100・光属性・レベル1)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数3枚
除外されているカード0枚


3・ヒカリのターン

「アタシノターン、ドロー」(ヒカリ手札5→6)
「アタシハ手札カラ、魔法カード『ハーピィの羽根箒』ヲ発動! 相手フィールドノ魔法・罠カードヲ全テ破壊スル!」(ヒカリ手札6→5)(ヒカリ墓地6→7)
ハーピィの羽根箒が、一陣の風を起こして知多の魔法・罠を全て破壊してしまう。
「くぅっ。でも、破壊された罠カード『ドラゴンの宝卵』の効果を発動! デッキからレベル4以下のドラゴン族モンスター1体を特殊召喚できる! 俺はデッキから『仮面竜』を特殊召喚するじゃん! 守備表示!」(知多墓地3→5)
「ダッタラ、装備魔法『継承の印』ヲ発動! 墓地ニ同名モンスターガ3体以上イル時、墓地カラソノウチノ1体ヲ特殊召喚スル! アタシノ墓地ニハ、墓地デ『ハーピィ・レディ』トナルモンスターガ3体以上イル! ヨッテ、墓地デ『ハーピィ・レディ』ノ『ハーピィ・パヒューマー』ヲ特殊召喚スル! ソノ効果デ、デッキカラ『万華鏡-華麗なる分身』ヲ手札ニ加エル!」(ヒカリ手札5→4→5)(ヒカリ墓地6→7)
「ソウシテ、『ハーピィ・レディ』ガ特殊召喚サレタ時、狩場ノ効果デアタシノフィールドニセットサレタ『華麗なるハーピィ・レディ』を破壊!」(ヒカリ墓地7→8)
「破壊されたってことは、また何かあるじゃん!」
「破壊サレタ『華麗なるハーピィ・レディ』ノ効果、デッキカラ『ハーピィ』モンスターノ『ハーピィ・レディ-SB』ヲ手札加エル、ソシテ、ソノママ召喚!」(ヒカリ手札5→6→5)
『パーピィ・レディ』が装備魔法『サイバー・ボンテージ』をまとった状態で現れる。攻撃力は1800だが、狩場と1の効果で2300まで上がる。だが知多は。
(確かに、こう数を並べられちゃ苦しい。だけど、俺の『仮面竜』は戦闘で破壊されても攻撃力1500以下のモンスターを呼び出せる。ドラッティが攻撃されてダメージは食らっても、そう大ダメージは……!)
「防御ヲ固メタッテ、ソンナノハ無駄ダ。アタシハ、3体ノ風属性レベル4モンスターノチャネラー、パヒューマー、SBヲ素材トシテ、エクシーズ召喚! 現レロランク4『ハーピィズペット幻竜』!」
現れたのは、『ハーピィ・レディ』によって鎖につながれたドラゴン。攻撃力は2000。だが、残った『ハーピィ・レディ1』の効果で、2300となる。
「バトルフェイズ! 幻竜ハ相手プレイヤーニダイレクトアタックデキル!」
「なにいっ!?」
「幻竜で、ダイレクトアタック! セイント・ファイアー・メガ!」
「ぐうううっ!」(知多ライフ8000→5700)
「そうして、『ハーピィ・レディ1』デ、ドラッティニ攻撃! スクラッチ・クラッシャー!」
「うああああっ! い、いいてててて……体が……なんで……」(知多ライフ5700→3900)(知多墓地5→6)
知多が感じた、体の痛み。その痛みを感じることに、遊太は知っていた。
「ダークネスカードの影響だよ! そのカードを使うと、なぜかリアルダメージも発生するんだよ!」
「ええっ!?」
「ターンエンド! コノエンドフェイズニ、幻竜ノ素材ヲ取リ除ク。アタシトアオイチャンノ邪魔ヲスルヤツハ、絶対許サナイ!」(ヒカリ墓地8→9)(幻竜X素材3→2)

ヒカリ

ライフポイント8000
手札枚数5枚
モンスター2体
『ハーピィズペット幻竜』(攻撃表示・攻撃力2300・風属性・ランク4・X素材2つ)
『ハーピィ・レディ1』(攻撃表示・攻撃力1800・風属性・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード1枚
『ハーピィの狩場』(フィールド魔法)
墓地の枚数9枚
除外されているカード0枚


この言葉を聞いた、デュエルを見ていた相方のアオイはというと。
「アタシのために!? なのに、なんでこんなことするの! ホントに、アタシのこと思っているなら……」
「ウルサイ! アオイチャンハ、アタシニ任セテイレバイイ!」
「ヒカリちゃん……!」
この声を聞き、知多は思う。
(ヒカリちゃんのためにも、アオイちゃんのためにも、俺がやるしかないじゃん!)


4・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札2→3)
「俺は手札から、魔法カード『ドラゴンズ・シフト』を発動じゃん! このカードは、手札と墓地から同じ属性を持つレベル4以下のドラゴン族モンスターを特殊召喚できるじゃん! 俺は手札からレベル4チューナーの『ライトスター・グレイス』を特殊召喚して、墓地からレベル3ドラストを特殊召喚するじゃん!」(知多手札3→1)
「行くぜ、俺はレベル3のドラストに、レベル4のグレイスをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル7『ライトスター・ドラゴン』!」(知多墓地6→8)
黄色に光り輝くドラゴンが、現れる。攻撃力は2500。
「ライトスターの効果、フィールドのカード1枚を対象として、そのカードの効果を無効化できる!」
「ダケド、幻竜ハエクシーズ素材ヲ持ッテイル限リ、自分ノ『ハーピィ』モンスターハ攻撃・効果ノ対象ニハナラナイ!」
「俺が無効化するのは、お前のモンスターじゃなくて、フィールド魔法『ハーピィの狩場』! その後、ライトスターの効果が再びじゃん! このモンスターのシンクロ召喚に使用したモンスターが全て光属性だった時、チューナー以外のモンスターの数までフィールドのカードを選んで無効化できる! この効果は対象を取る効果じゃないから、ヒカリちゃんの幻竜じゃ無効化できないじゃん!」
「ナニッ!?」
「シンクロ召喚に使用したモンスターは全て光属性! よって、ライトスターの効果が再び発動して、ヒカリちゃんの『ハーピィ・レディ1』の効果が無効化されるじゃん!」
「!!!」
「そして、ライトスターの第2の効果が発動! ライトスターの効果で無効化したカードの種類によって、ライトスターは様々な効果を得るじゃん! モンスター効果を無効化したとき、相手モンスターに攻撃したときに1000ポイントのダメージを与える。魔法を無効化したらこのモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊した時もう1回攻撃できる。罠を無効化した場合、元々の攻撃力が倍になる。ライトスターの効果で無効化したのは魔法とモンスター。よって2つの効果が適用される!」
「バトルフェイズ! 俺は『ハーピィ・レディ1』に攻撃! この瞬間、ライトスターの効果が適用され、相手に1000のダメージを与える! ライトスター・バニッシュ!」
「クゥッ」(ヒカリライフ8000→7000)
「そして、戦闘ダメージが入る!」
「ギッ」(ヒカリライフ7000→5800)(ヒカリ墓地9→10)
「そうして、相手モンスターを戦闘で破壊したとき、もう1回攻撃ができる! 幻竜に攻撃! ライトスター・バニッシュⅡ!」
「ガアッ」(ヒカリライフ5800→4800→4300)(ヒカリ墓地10→13)
「カードを1枚伏せて、ターンエンド! よし、同着じゃん!」(知多手札1→0)

知多

ライフポイント3800
手札枚数0枚
モンスター2体
『ライトスター・ドラゴン』(攻撃表示・攻撃力2500・光属性・レベル7)
『軍隊竜』(守備表示・守備力800・風属性・レベル2)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数8枚
除外されているカード0枚


5・ヒカリのターン

「アタシノターン……」
ヒカリの心の中で、一つの思いが渦巻いていた。だが、それは心の中にとりついた闇によって、ゆがめられていた。
(アタシがアオイちゃんを守らなきゃ。悪いプロデューサーのヤツから守らなきゃ。悪いファンから守らなきゃ。悪い奴から守らなきゃ。全部全部から、アタシが守らなきゃ……!)
(そのためには、何もかもメチャクチャにしなきゃ。だからこそ、メチャクチャにしなきゃ!)
「ドロー!」(ヒカリ手札5→6)
「キタ! アタシガコノカードヲ使エバアオイチャンヲ守レル!」
その時、ヒカリのデッキから黒い瘴気があふれ出る。その瘴気に、遊太たちは見覚えがあった。
「これは……まさか!」
「ダークネスカードデスか!?」
「ダークネスカード、発動ゥッ! デッキの『ハーピィズペット竜』ヲ除外シテ、『ハーピィズ邪竜』ヲ、特殊召喚スル!」(ヒカリ手札6→5)(ヒカリ墓地13→14)(ヒカリ除外0→1)
現れたのは、『ハーピィズペット竜』をトゲトゲしくして、黒くしたようなドラゴン。攻撃力は2000。だが! 
「『ハーピィズ邪竜』ノ攻撃力・守備力ハ、フィールド・墓地ノ『ハーピィ・レディ』ノ数×1000アップスル! 今アタシノ墓地ニハ『ハーピィ・レディ』ガ6体! よって6000アップスル!」(邪竜攻撃力2000→8000 守備力2500→8500)
「こ、これがダークネスカードの威力じゃん!?」
「攻撃ダ! 邪竜デ、ライトスターニ攻撃! ダーク・ファイアー・デス!」
見るからに強烈な黒い炎が、知多のライトスターに襲いかかる! これには遊太たちも。
「だ、だめだ! この攻撃を食らったら、一撃でやられてしまう!」
「避けろ! 知多ァー!」
だが、当然知多も対策はしていた。
「罠カード発動! 『ガード・ブロック』! 戦闘ダメージを0にして、デッキから1枚ドローする!」(知多手札0→1)(知多墓地8→10)
知多の前に張られたバリアが炎を無効化し、攻撃を止める。なんとかダメージは受けずに済んだ。
「あ、危なかったじゃん……!」
「ど、どうにか首の皮一枚つながったみたいだね……」
「だが、あのモンスター……ただ攻撃力を上げただけじゃなさそうだな……なんかあるぞ、絶対」
「うん……じゃん!」
「防イダカ、ダケド、次ハ絶対仕留メル! カードヲ1枚セットシテ、ターンエンド!」(ヒカリ手札5→4)

ヒカリ

ライフポイント4300
手札枚数4枚
モンスター1体
『ハーピィズ邪竜』(攻撃表示・攻撃力8000・闇属性・レベル10)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード1枚
『ハーピィの狩場』(フィールド魔法・無効化)
墓地の枚数14枚
除外されているカード1枚


6・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札1→2)
「コノドローニチェーンシテ、永続罠『ヒステリック・パーティ』ヲ発動! 手札ノ『ハーピィ・ダンサー』ヲ1枚捨テテ、墓地から『ハーピィ・レディ』ヲ可能ナ限リ特殊召喚スル!」(ヒカリ手札4→3)(ヒカリ墓地14→15)
「えっ、可能な限り!?」
「墓地カラ『ハーピィ・クィーン』『ハーピィ・パフューマー』『ハーピィ・ハーピスト』『ハーピィ・レディ1』ヲ攻撃表示デ特殊召喚!」(ヒカリ墓地15→11)
「ソシテ、1ノ効果デアタシノ風属性モンスターノ攻撃力ハ300アップ! 更ニ、手札カラ新タナ『ハーピィ・レディ』ガ墓地へ送ラレタコトデ、邪竜ノ攻撃力ガ更ニ1000アップ」(クィーン攻撃力1900→2200)(パフューマー攻撃力1400→1700)(ハーピスト攻撃力1700→2000)(レディ1攻撃力1300→1600)(邪竜攻撃力8000→9000)
「更ニ更ニ、特殊召喚サレタパフューマーノ効果デ、デッキカラ『ハーピィ・レディ三姉妹ト名ノ付イタカードヲデッキカラ手札ニ加エル! ダケド、アタシノフィールドニレベル5以上ノ『ハーピィ』ガイレバ手札ニ加エルノハ2枚ニナル! 『ハーピィの羽根休め』ト『魅惑の合わせ鏡』ノ2枚ヲ手札ヘ!」(ヒカリ手札4→6)
「一気にフィールドにモンスターを並べられた……でも、攻撃できるのは自分ターンだけ。まさか、並べることに意義があるのかじゃん!?」
「……手札から魔法カード『サンダー・ボルト』を発動! 相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」(知多手札2→1)(知多墓地10→11)
「ココデ邪竜ノ効果発動! 1ターンに1度、フィールドノ『ハーピィ・レディ』ヲリリースシテ、相手ノモンスター効果・魔法・罠ノ発動ヲ無効化シテ破壊スル! パフューマーヲリリースシテ『サンダー・ボルト』ヲ無効化スル!」(ヒカリ墓地11→12)
「くっ、フィールドにモンスターを並べたのはこのためかじゃん!」
(でも、このカードは使える。先にあっちを使ったおかげでこのカードに無効化は使えないからじゃん)
「魔法カード『同鏡の宝札』を発動! 自分墓地から、墓地に存在する同名モンスター3体を除外して、2枚ドローするじゃん! 墓地のドラスト3体を除外して、2枚ドロー!」(知多手札0→2)(知多墓地11→8→9)
「よし! フィールドのシンクロモンスターのレベルを1下げることで、手札のレベル1チューナーモンスター『ファイアスター・チック』を特殊召喚するじゃん!」(知多手札2→1)(ライトスターレベル7→6)
「レベル6のライトスターに、レベル1のチックをチューニング! シンクロ召喚! 現れろ、レベル7『ファイアスター・ドラゴン』!」(知多墓地9→10)
炎をかたどった翼を持つドラゴンが現れる。だが守備表示で現れ、守備力は2000。
「シンクロ召喚に成功した、ファイアスターの効果発動じゃん! 相手フィールドのカード1枚を破壊する! そして、破壊したカードの種類につき、様々な効果を得る! 俺が破壊するのは、お前の邪竜! そうして、モンスターを破壊した時は、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える! 元々の攻撃力は2000! その分のダメージを受けてもらうじゃん!」
「どうじゃん! これで切り札は……」
「手札ノ罠カード『ハーピィの羽根吹雪』ヲ発動! 相手ノモンスター効果ヲ無効化スル!」
「えっ、ええっ!? 手札から罠だって!?」
「『ハーピィ』ガイル時、コノカードハ手札カラ発動デキル!」(ヒカリ手札4→3)(ヒカリ墓地14→15)
「くそっ、守備表示にしといてよかったじゃん! ……1枚カードを伏せて、ターンエンドじゃん」
(打つ手はこれだけじゃん……!)


知多

ライフポイント3800
手札枚数0枚
モンスター2体
『ファイアスター・ドラゴン』(守備表示・守備力2000・炎属性・レベル7)
『仮面竜』(守備表示・守備力1100・風属性・レベル3)
魔法・罠ゾーンのカード1枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数10枚
除外されているカード3枚


7・ヒカリのターン

「アタシノターン、ドロー!」(ヒカリ手札3→4)
「言っとくけど、『仮面竜』は戦闘で破壊されれば攻撃力1500以下のモンスターを特殊召喚できる。それは『仮面竜』とて例外じゃないじゃん。加えてファイアスターも守備表示これで、その攻撃力は生かせないじゃん!」
「ナラ、コレデケリヲツケル! 魔法カード『ハーピィ・レディ -鳳凰の陣-』ヲ発動! フィールドノ『ハーピィ・レディ』ガ3体以上ノ時、ソノ数マデ相手モンスターヲ破壊! オマエノ『仮面竜』トファイアスターヲ破壊スル!」(ヒカリ手札4→3)(ヒカリ墓地15→16)
「なにいっ!?」
『ハーピィ・レディ』による、鳳凰の陣によって知多のモンスターは壊滅した。更に! 
「鳳凰ノ陣ハ、破壊シタモンスターノ中デ一番攻撃力ガ高イモンスターノ攻撃力分ノダメージヲ与エル!」
「ぐああああっ!」(知多ライフ3800→1300)(知多墓地10→12)
「ら、ライフが……あっという間に……!」
「ダガコノターン、アタシハバトルフェイズヲ行エナイ。コノターンハ手札カラ『魅惑の合わせ鏡』ヲ発動シテ、他ノ『ハーピィ・レディ』ヲ守備表示ニシテターンエンドダ」(ヒカリ手札3→2)

ヒカリ

ライフポイント4300
手札枚数2枚
モンスター4体
『ハーピィズ邪竜』(攻撃表示・攻撃力8000・闇属性・レベル10)
『ハーピィ・ハーピスト』(守備表示・守備力600・風属性・レベル4)
『ハーピィ・レディ1』(守備表示・守備力1300・風属性・レベル4)
『ハーピィ・クィーン』(守備表示・守備力1200・風属性・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード3枚
『ヒステリック・パーティ』(永続罠)
『魅惑の合わせ鏡』(永続魔法)
『ハーピィの狩場』(フィールド魔法・無効化)
墓地の枚数16枚
除外されているカード1枚


8・知多のターン

「俺のターン……」
(あの邪竜の効果で、1ターンに1回効果を無効化されるじゃん。それに、あのモンスター……なんかもう一つ効果を持っているかもしれないじゃん。だから……ここで決めにいかないと、負ける……!)
(だけど、たとえファイアスターをもう一回出したとしても、決めきれる自信がない……! 恐らく、他のでも、ダメ……!)
(決められるとしたら、あのときワスプに使ったあのカードしかないけど……今、この状況で出すことは……。でも、ヒカリちゃんを助けるには、アレを出すしか……!)
「痛っ!?」
またしても感じる首の痛み。ズキズキと、痛みが止まらない。そして、血があふれ出る。これを見て、遊太たちは驚く。
「知多君! く、首から血が……!」
「大丈夫デスか!?」
「な、なんでこんな……あのときみたいに……!」
そう、この現象は2度目。あのときワスプと戦った時、感じた痛み。
そうして聞こえる、誰かの声。
「もう、全く……誰に対してニヤニヤしているのよ。知多君」
「ま、また……同じ声……!」
「あなたの首筋にある、その血の刻印……それがあるのにあの子にデレデレしちゃって……まあ、今回は事情が事情だから、力を貸してあげる。だけど、本命はアタシ。あなたはアタシの物……それを忘れないでね?」
すると、首筋から赤い光が漏れる。まるで、血のように紅い、深紅の光。
「こ、これは……!?」
遊太の『ロードナイト』たちも、何かを感じる。
(遊太……! これは奴らとは違う闇の力……!?)
「……い、行くじゃん! ドロー!」(知多手札0→1)
「罠カード発動! 『無謀な欲張り』! 次のドローフェイズを2回スキップする代わりに、2枚ドローする!」(知多墓地12→13)
「ドローハサセナイ! 邪竜ノ効果デ、フィールドの『ハーピィ・ハーピスト』ヲリリースシテ、無効!」(ヒカリ墓地16→17)
「……だったら、手札から魔法カード『三戦の才』を発動! 自分メインフェイズに相手がモンスター効果を発動していた時、3つの効果から1つを選択して発動できる! 1つはデッキから2枚ドロー、2つめは相手モンスターのコントロールを得る。3つめは相手の手札を1枚デッキに戻す!」
(とはいっても、コントロールを得たところであの邪竜を倒せる訳ないし……手札を戻したって今はなんにもならない! だったら)
「俺は2枚ドロー!」(知多手札0→2)(知多墓地13→14)
(……来たっ!)
「俺は手札から、魔法カード『埋葬呪文の宝札』を発動! 墓地から魔法カード3枚を除外して、2枚ドロー! 『三戦の才』『同鏡の宝札』『ドラゴンズ・シフト』を除外して、2枚ドロー!」(知多手札2→3)(知多墓地14→11→12)
「俺は手札から、『ブラック・ホール』を発動! フィールドのモンスターを、全て破壊するじゃん!」(知多手札3→2)(知多墓地12→13)
フィールドに現れたブラックホールによって、ヒカリのモンスターは全て破壊されてしまう。
「ヤラレタカ……ダケド、邪竜ハ墓地へ送ラレル、モシクハ除外サレタ時、墓地ノ『ハーピィ・レディ』ヲ除外シ、特殊召喚デキル!」(ヒカリ墓地17→20→19)(ヒカリ除外1→2)(邪竜攻撃力9000→8000)
突如、墓地から口を出した邪竜が、『ハーピィ・レディSB』を丸かじりし、復活の糧としてしまう。その光景は、見るととてもグロテスクであった。
「コノ効果ハ、回数制限ハ無イ。墓地ニハーピィがイル限リ、何度デモ邪竜ハ蘇ル!」
「……やっぱり、二つ目の効果を持っていたじゃん。でも、ここまでじゃん! 手札からレベル1チューナー『シンクロン・ドラゴン』を召喚じゃん! このモンスターが召喚に成功した時、墓地からドラゴン族シンクロモンスター1体を特殊召喚できるじゃん! 俺は墓地から、『ファイアスター・ドラゴン』を特殊召喚じゃん!」(知多手札2→1)(知多墓地13→12)
これを見て、遊太たちは驚く。
「レベル合計8!?」
「馬鹿な! 知多のエクストラには、レベル7シンクロしかいないはずだ!」
「どういうことなんですか!?」
「レベル7の『ファイアスター・ドラゴン』に、レベル1の『シンクロン・ドラゴン』をチューニング! 不死の輪廻にその身を宿し竜よ、紅き月の道しるべに従い、飢えた牙で渇きを満たせ! シンクロ召喚! レベル8『吸血竜ーノワールヴァンプ・ドラゴン』!」(知多墓地12→13)
漆黒の体を持ち、体中に紅い線を持つ竜。体にある紅い線は、血管とも、したたる血にも見える。そして、黒の中にある紅い瞳は、まるでルビーのよう。攻撃力は3000。
「なっ……これは……!」
「今まで知多が使っていた『スター・ドラゴン』とは全然違う!」
「このモンスターは、一体!?」
「バトルフェイズに入り、ノワール・ヴァンプで邪竜に攻撃! そして、効果発動! ブラッドリー・ファング!」
明らかに攻撃力が劣るにも関わらず、攻撃をする。だが、戦闘では破壊されず、ノワール・ヴァンプは邪竜に牙を突き立てた! 
「ここからが、ノワール・ヴァンプの本領発揮じゃん! ノワール・ヴァンプは相手モンスターと戦闘を行う時、効果を発動できる。互いのモンスターは戦闘では破壊されず、ダメージも0になる。そして、相手モンスターの攻撃力を0にして、0にしたモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に相手に与え、俺はその分回復するじゃん!」(知多ライフ1300→3300)
「クアァッ! コ、コレハ……! ダガ、ソレダケジャアタシハ倒セナイ!」(ヒカリライフ4300→2300)(邪竜攻撃力8000→0)
「じゃあ、こうするじゃん。速攻魔法『デストラクション・ドロー』を発動! 自分フィールドのモンスター1体を破壊して、デッキから1枚ドローできるじゃん! 俺が破壊するのは、ノワール・ヴァンプ!」(知多墓地14→16)
「ええっ!?」
「自分で自分のモンスターを破壊するだと……!?」
「だが、破壊されたノワール・ヴァンプは、500ポイントライフを支払うことで、墓地から特殊召喚できるじゃん!」
突如墓地から現れた、ノワール・ヴァンプの魂といえる黒い竜の形をした煙が、知多の首筋にかみつく。ズルルと、まるで血を吸っているかのような音を立てて、その煙は実態を持ち、ノワール・ヴァンプは復活する。(知多ライフ3300→2800)(知多墓地16→15)
「ふ、復活したというのか……!?」
「バトルフェイズ中に特殊召喚されたモンスターは、攻撃の権利を残す! ということは……!」
「ノワール・ヴァンプで、攻撃力が0となっている邪竜に攻撃! ブラッドリー・ブレス」!
ノワール・ヴァンプの口から放たれた、紅い光線が邪竜を貫く。これにより、3000ものダメージが直接加わる! 
「キャ、キャアアアアア!」(ヒカリライフ2300→0)
「俺の勝ちじゃん!」


デュエルには勝った。だが、ダークネスカードの脅威は終わらない。
「イヤダ……イヤダ……! アオイチャンハ、アタシガマモラナキャダメナノォッ!」
体の中から出てきた黒いカードから、ぶわっと黒い瘴気があふれだし、知多を吹き飛ばそうとする。
「な、なんでこんな……」
「だめだ……ユイがやってたあの力じゃなきゃ、あのダークネスカードは……!」
(うざったいわね。これはもう)
遊太たちに聞こえた、謎の声。女性……というより、女の子の声……? 
「えっ、これはいったい……?」
「誰かの……声だった気がするじゃん……でも、わかんないじゃん!」
(こんなカードでこの世界を浸食しようだなんて、全く愚かしいことと捉えるわ。消えなさい、偽りの闇)
突如、ダークネスカードがヒカリから離れ、宙に浮かぶと、何者かの黒い手がぐしゃっと握りつぶし、消してしまった。
「あ、あああ……」
そうして、まるでつきものが落ちたかのように倒れたヒカリ。
「ヒカリちゃん!」
倒れたヒカリに、駆け寄るアオイ。眼を冷ますと。
「あ、アオイちゃん……?」
「よかった……よかったぁ~、元に戻って……!」
「あ、アタシ……ひどいことしちゃった……! これじゃあ、もう、仕事はできないね……」
「何言ってんの! こんなになるまでどうしてほっといたの!」
「え……?」
「アタシを守るって……うわごとのように言ってたよ? あんなになるまで、アタシのこと気にかけて、苦悩して、抱え込んで……! もうっ!」
「もしかして……知ってたの?」
「全部知ってるよ! 悪いプロデューサーさんのあれやこれを自分だけにして! 無理難題だって一人でやって! エロと金しか能の無いスケベじじいに媚び売ったりして……! そういうの、全部一人でやってたの、知ってるんだから!」
「……」
「そうして、たまりにたまったあれやこれが、今日爆発しちゃって……! もうっ!」
「……ごめん」
そうして、避難していた監督たちも、それを見て考えた。
「ひょっとしたら……彼女。実は結構いろいろ抱えたままこの撮影に挑んだんじゃ……? 結構心的疾患を抱えていたのかもしれない……」
「……仕方ない。皆さん、今日の撮影は中止で~す! 皆さん、今日はお集まりいただいてありがとうございますが、すいません!」
金田も。
「チッ、あの子はもう使い物にならないな。他の金の卵を探さないとな……」
こうして、今日の撮影は中止になった。
帰り道、遊太たちは。
「なあ、これからリトルバードはどうなるじゃん?」
「あれだけ迷惑かけちゃったからね~。謹慎くらいで済めばいいけど、結局は引退じゃない?」
「そ、そんな~」
「ま、仕方ないんじゃない? ダークネスカードの影響とはいえ、あんなことしでかしたんじゃ……」


数日後。
「あれから何日か立つけど、全然リトルバードの音沙汰がないじゃん……。ひょっとして、本当に引退かなあ……?」
すると、ニュースが流れてきた。
「ニュースです。以前、映画の撮影中に騒ぎを起こしたリトルバードのヒカリさん――」
「ええっ!?」
「の、プロデューサー金田一郎が、数々の問題行動が明らかとなり、懲戒解雇となりました」
「え、ええ~!?」
「プロデューサーとして活躍していましたが、プロデュースしたアイドルに対して、売れないと枕営業を要求したり、売春行為をさせるなどして違法な資金調達を行っていたことで、逮捕されました。映画の撮影中に騒ぎを起こしたのも、それらによる精神的ストレスによって起こされたものだとわかり、ヒカリさんは入院し、新たなプロデューサーと契約を結んだようです」
「は、はぁ~。よかったじゃん……。これなら、またあの二人の活躍が見れるじゃん! バンザーイ! ……イテッテッ!」
またしても首筋が痛くなる。
「う~。なんで、こんな……」


一方、ここはどこかの古城。そのベランダで、バラ風呂に入りながら紅い月を眺めていた。
「シェリル、入るわよ。この間のアレ……どうだった?」
「全く、私がいるのにアイドルの女の子にデレデレしちゃって、全く……」
「でも、血の刻印を与えたって、それは身体的つながりを与えているだけで、あの子の心はまだつかめてないと思うわよ?」
「これからよ。血だけじゃなく、心だって、私のものにするんだから」
「まあでも、それは結構先の話になるとは思うけどね」


第六十五話。終わり。
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