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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第百三話「アマゾネスの首領」

第百三話「アマゾネスの首領」 作:イクス

第百三話「アマゾネスの首領」


D1グランプリには、世界各地から数多くのデュエリスト達が参加している。アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアといった、多種多様な人種がデュエリストとしてこの大会に出場している。
デュエリストにとって、人種など些細な問題である。お互いがデュエルをするという意思さえあれば。


「ぐああああっ!」
D1グランプリでデュエルをし、敗北したデュエリストがまた現れた。相手は、数々の武装した女性で、神輿を担いでいる者や虎を鎖で繋いでいる者、大勢いる。だが、いずれも褐色の肌と軽装で、はだけた姿をしている。
その先頭に立つ、派手な装飾をしている女性。他の女性とは違った雰囲気があり、独特な威圧感を持っている。
「ダメだね、アンタもまたアタシのお眼鏡にかなう男じゃあない。出直して来な」
「くっそおおおお! 未開の地からやってきたような、下品な女に負けるなんてえええ!」
「ダメだねえ。女だからどうとか、未開の土地とかどうとか、そういうところばっか気にしているから強くなれないんだよ。オイ、出るよ」
「ハッ、ルージュ様」
ルージュと呼ばれた女性は、女性達が担ぐ神輿に乗って、どこかへと去って行った。
神輿の上でルージュは考える。
「どこにいるんだい、アタシの運命の男は……」


一方その頃、知多はデュエルで連勝を重ねていた。
「『イモータル・デューク』で、ダイレクトアタック!」
「ぐあああっ!」
「よっしゃ! 5連勝じゃん!」
相手が子どもだと相手が油断するのか、知多にはいろいろなデュエリストが挑んできた。だが、それを返り討ちにしている。
(強いヤツを避けて、俺みたいな見た目弱そうなヤツと戦うからこうなるじゃん? それにしても、本戦出場メンバーはこんな奴らばっかなのかじゃん? いくら決勝トーナメント出たいからって……)
「もっと強いヤツ出てこいじゃーん!」
と、知多が叫んだ時だった。
「ほーぅ、少しはできるヤツがいたみたいだねえ」
「おーっと、デュエリストの登場……じゃん!?」
知多の前に現れたのは、数々の武装した女性を引き連れ、神輿に乗った女性だった。
「子どもとはいえ、なかなか骨がありそうじゃないかい」
「な、なぬ!? こんな女性が……デュエリストとして……?」
「アタシの名前はルージュ。この日ノ本より遙か遠く、秘境のアマゾンからやってきた、アマゾネスの首領さ」
「アマゾネスぅ? 女だけしかいないという戦闘民族の……?」
「まあ、デュエリストとしちゃあそこそこやれる方だと思っちゃあいるが、アタシよりも根性ねえ奴らばかりでさ、困ってたところなんだよ。ようやく、骨のあるヤツと出会えて嬉しく思っているのさ」
「お、俺も確かに骨のあるデュエリストと出会えてよかったけれど、こんな女性と出会えるとは思わなかったじゃん……でも、なんでアマゾネスの首領様がこのデュエリスト大会に……」
「アタシがここに来た理由は、主に二つある」
ルージュは神輿から飛び降りて、デュエルディスクをつけて語った。
「一つは、デュエリストとしての本能さ。より強い者と戦いたい。それがデュエリストってもんだろう?」
「まあ、そんなもんじゃん?」
「そしてもう一つは……運命の男と出会うことさ」
「う、運命の男?」
「そう、運命の男さ。アタシにとって唯一無二の男、つまりは婿さ」
「お、お婿さん!? つまり、結婚相手を探しているってことじゃん!?」
「まあ言ってしまえばそうだな。最低でもアタシより強い男じゃなきゃ、婿にはふさわしくないね。かといって、力だけのバカでもダメだ。だからこそ、頭のキレるヤツ、デュエルが強いヤツをアタシは求めているって訳さ」
「へ、へぇ~……」
一見、理屈に合っているのか合っていないのかわからないことを語ったルージュ。知多はそれに対し、うなずくだけだった。
「さて、おしゃべりはここまでにして……デュエルと行こうじゃないか、オチビさん?」
「お、おう、やるじゃん!」


「「ルールはマスタールール3! ライフポイントは8000!」」
「「デュエル!」」


1・知多のターン

「俺のターン!」
「俺は手札から、速攻魔法『イモータルの贄』を発動じゃん。手札・フィールドの『イモータル』1体を破壊して、2枚ドローじゃん。手札の『イモータル・コカトリス』を破壊して、2枚ドロー!」(知多墓地0→2)
「更に、『イモータル』カードで破壊されたコカトリスは、デッキよりレベル4以下の『イモータル』を特殊召喚できる。俺はデッキより、レベル4の『イモータル・ヴォーン』を特殊召喚するじゃん」
「自分フィールドの『イモータル・ヴォーン』を対象として、手札のレベル2チューナーの『イモータル・スパイダー』の効果発動。ヴォーンを破壊して、手札からこのカードを特殊召喚するじゃん。そして『イモータル』カードで破壊されたヴォーンの効果で、このターンのエンドフェイズに墓地から『イモータル』カードを手札に加えられるじゃん」(知多手札5→4)(知多墓地2→3)
「手札より、レベル4の『牛頭鬼』を召喚じゃん。そして効果発動。デッキよりアンデット族モンスター『馬頭鬼』を墓地へ」(知多手札4→3)(知多墓地3→4)
「レベル4の『牛頭鬼』に、レベル2のスパイダーをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル6、光を吸う暗黒の大樹! 『プラントイモータル・ドゥラスロール』!」(知多墓地3→5)
現れたのは、頂点に巨大な黒い花を咲かせた大樹。その花の中には、赤髪の少女らしきアンデットがいる。攻撃力は2500。
「手札からカードを2枚セットして、ターンエンドじゃん。そしてこのターンのエンドフェイズに、破壊されたコカトリスとヴォーンは墓地から蘇る! そしてヴォーンの効果で墓地から『イモータルの贄』を手札に」(知多手札3→1→2)(知多墓地5→2)

知多

ライフポイント8000
手札枚数2枚
モンスター3体
『プラントイモータル・ドゥラスロール』(攻撃表示・攻撃力2500・レベル6・光属性)
『イモータル・ヴォーン』(守備表示・守備力400・レベル4・闇属性)
『イモータル・コカトリス』(守備表示・守備力600・レベル5・闇属性)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数2枚
除外されているカード0枚


「いきなり出して来たのは、けったいなゾンビ共かい? 骨がありそうじゃないか。だがねぇ、戦闘民族を舐めんじゃないよ!」


2・ルージュのターン

「アタシのターン、ドロー!」(ルージュ手札5→6)
「手札から、速攻魔法『アマゾネスの叫声』を発動! デッキから、『アマゾネス』と名の付いたカード1枚を手札に加える。アタシはデッキから、レベル3の『アマゾネス王女』を手札に加える」(ルージュ墓地0→1)
(見た目通り、『アマゾネス』デッキか……!)
「手札から、『アマゾネス王女』を召喚! 効果でデッキより、『アマゾネス』魔法・罠1枚を手札に加える。デッキよりフィールド魔法『アマゾネスの里』を手札に加え、そのまま発動! これで『アマゾネス』モンスターの攻撃力は、200アップする」(ルージュ手札6→5)(王女攻撃力1200→1400)
「だが、相手がモンスターを召喚した時、俺のドゥラスロールの効果でライフポイントを500回復するじゃん」(知多ライフ8000→8500)
「構いやしないよ。アタシのフィールドにモンスターがいない、もしくは『アマゾネス』モンスターしかいない時、手札の『アマゾネスの戦士長』は特殊召喚できる。そして特殊召喚時に効果発動。デッキから『アマゾネス』魔法・罠か、『融合』を1枚セットできる。アタシは『融合』を1枚セットする」(知多ライフ8500→9000)(ルージュ手札5→4)
(『融合』!? ということは……!)
「セットされている『融合』を発動! 手札の『アマゾネス女王』と、フィールドの戦士長を融合! 融合召喚! 現れろ、アマゾネスが誇る、誇り高き女帝! レベル8『アマゾネス女帝』!」(ルージュ手札4→3)(ルージュ墓地1→4)(知多ライフ9000→9500)
現れたのは、アマゾネスの女王が巨大な剣と骨の鎧を身につけた姿。攻撃力は2800だが、里の効果で3000となる。
「女帝がいる時、アタシの『アマゾネス』モンスターが首尾モンスターを攻撃した時、攻撃力が守備力を上回った分だけ戦闘ダメージを与え、女帝以外の『アマゾネス』モンスターは戦闘・効果では破壊されない!」
「さあ行くよ、バトルフェイズ! 王女でヴォーンを攻撃! この時、手札を1枚墓地へ送って王女の効果発動! デッキから『アマゾネス』モンスターを1体守備表示で特殊召喚できる。デッキより、『アマゾネス・スカウト』を特殊召喚する」(ルージュ手札3→2)(ルージュ墓地4→5)(知多ライフ9500→10000)
「攻撃を受ける訳には……! 罠カード『ハイレート・ドロー』を発動じゃん! 自分モンスターを2体以上選択して、破壊する。そして破壊したモンスター2体につき、1枚ドローするじゃん! ヴォーンとコカトリスの2体を破壊して、1枚ドローじゃん!」(知多墓地2→5)(知多手札2→3)
「なるほど。なら、攻撃を取りやめて、女帝でアンタのドゥラスロールを攻撃!」
「リバースカード、オープン! 速攻魔法『アンデット・ストラグル』を発動! フィールドのアンデット族モンスター1体の攻撃力を1000上げるか下げることができる! これで、ドゥラスロールの攻撃力を1000アップさせる!」(ドゥラスロール攻撃力2500→3500)(知多墓地5→6)
「チッ、そうくるかい! だがね、こっちだってただやられる訳には行かないんだよ! 女帝が破壊された時、手札・デッキ・墓地から『アマゾネス女王』を特殊召喚できる」(ルージュライフ8000→7500)(知多ライフ10000→10500)
「そして、フィールド魔法『アマゾネスの里』の効果で、破壊された『アマゾネス』よりレベルの低い『アマゾネス』モンスターをデッキから特殊召喚できる。破壊された女帝はレベル8、よってデッキからレベル4の『アマゾネスの剣士』を攻撃表示で特殊召喚する」(知多ライフ10500→11000)
「ぞろぞろ並べてくれたおかげで、俺のライフは結構回復できたじゃん? 今お前の場には4体いるとはいえ、まだまだ攻撃は――」
「何言ってんだい、バトルフェイズはまだ続行中だよ。『アマゾネスの剣士』で、ドゥラスロールに攻撃!」
「なっ……攻撃力の低いモンスターで攻撃!?」
「『アマゾネスの剣士』の効果、このカードの戦闘で受けるダメージは相手プレイヤーが受ける! そして、女王の加護によって、アタシの『アマゾネス』モンスターは戦闘では破壊されない!」
「ぐぅっ……! 痛いじゃん……」(知多ライフ11000→9800)
「このターンは、まず1発だけ……メインフェイズ2に入って、リバースカードを2枚セットして、ターンエンド」(ルージュ手札2→0)
「エンドフェイズ、効果破壊されたヴォーンとコカトリスを特殊召喚し、ドゥラスロールの効果でこのターンに墓地へ送られた『イモータル』モンスターの数まで、レベル2の『暗黒の根トークン』を特殊召喚できる。墓地へ送られたのは2体。よって、2体特殊召喚するじゃん」(知多墓地5→3)


ルージュ

ライフポイント7500
手札枚数0枚
モンスター4体
『アマゾネスの剣士』(攻撃表示・攻撃力1700・地属性・レベル4)
『アマゾネス王女』(攻撃表示・攻撃力1400・地属性・レベル3)
『アマゾネス・スカウト』(守備表示・守備力1100・地属性・レベル2)
『アマゾネス女王』(守備表示・守備力1800・地属性・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード1枚
『アマゾネスの里』(フィールド魔法)
墓地の枚数5枚
除外されているカード0枚


「確かに痛い攻撃は食らっちゃったけど、まだ俺のライフは9800も残っているじゃん!」
「フン、問題ないよ。そのくらいどうとでもなるさ」
「やってみろじゃん!」


3・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札3→4)
「フィールドの暗黒の根トークンを破壊して、墓地の『イモータル・スパイダー』を特殊召喚するじゃん」(知多墓地3→2)
「レベル4のヴォーンに、レベル2のスパイダーをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル6『スノーイモータル・ガルム』!」(知多墓地2→4)
「そして手札より、レベル4の『ゴブリンゾンビ』を召喚。そしてガルムの効果、自分フィールドのアンデット族モンスターを任意の数だけ破壊することで、破壊した数まで相手フィールドの表側表示カードを無効化できるじゃん! 俺は『ゴブリンゾンビ』、コカトリス、暗黒の根トークンを破壊して、剣士、女王、里を無効化じゃん!」(知多墓地4→6)(知多手札4→3)(女王攻撃力1400→1200)(剣士攻撃力1700→1500)
「そして、フィールドから墓地へ送られた『ゴブリンゾンビ』と、破壊されたコカトリスの効果発動じゃん! 『ゴブリンゾンビ』の効果で、デッキから守備力1200以下の『イモータル・グール』を手札に加えて、コカトリスの効果でデッキより『イモータル・ハウンド』を特殊召喚じゃん」(知多手札3→4)
「よーし行くじゃん! ドゥラスロールで、『アマゾネス王女』を攻撃じゃん!」
「その攻撃宣言時、罠カード発動! 『アマゾネスの弩弓隊』! アタシのフィールドに『アマゾネス』モンスターがいる時、相手フィールドのモンスターの攻撃力は500ダウンし、攻撃表示となって全てのモンスターで攻撃しなければならない!」(ガルム攻撃表示2500→2000)(ドゥラスロール攻撃表示2500→2000)(ハウンド攻撃力1600→1100)
「だが、それだけじゃお前のモンスターがやられるだけじゃん!」
「速攻魔法『アマゾネスの秘術』を発動! このカードは、『アマゾネス』専用の融合魔法カード! 手札・フィールドの『アマゾネス』融合モンスターによって決められた素材を墓地へ送り、融合召喚する! 王女と女王を素材として、融合召喚! 現れろ、アマゾネスペットの中で、最も獰猛にして凶暴なモンスター! レベル9『アマゾネスペット虎獅王』!」(ルージュ墓地5→9)
現れたのは、隻眼で鎧を身につけた巨大な虎! 攻撃力は2900と、とても高い。
「虎獅王の効果、このモンスターがモンスターゾーンに存在する限り、相手はこのモンスターしか攻撃できない!」
「マジか! さっき使わなかったのは、コレのため!?」
「さあ、攻撃の時間だよ! 『アマゾネスの弩弓隊』の効果で、アンタは虎獅王を攻撃しなければいけない! 全てのモンスターでね!」
「ぐっ……ガルムで、虎獅王を攻撃! ぐっ!」(知多ライフ9800→8900)
(『イモータル』シンクロモンスターは破壊された時、即座に復活できる効果を持つ……だけど、ここで復活してしまったら、またダメージを受けてしまう……ここは、復活しないでおく!)(知多墓地4→5)
「ドゥラスロールで、虎獅王を再び攻撃! ぐっ!」(知多ライフ8900→8000)(知多墓地5→6)
「最後に、ハウンドで攻撃! ぐぅっ!」(知多ライフ8000→6200)(知多墓地6→7)
「フン、『アマゾネス』の戦いは甘くはないよ。こうやって返り討ちにすることもできるんだからね」
「うう……手札の速攻魔法『イモータルの贄』を発動し、グールを破壊し、デッキから2枚ドローする。そして、破壊されたグールはデッキから、ステップスを手札に加える」(知多墓地7→9)(知多手札4→5)
「更に、カードを2枚伏せてターンエンド。このターンのエンドフェイズ、ハウンドとグールは特殊召喚される」(知多手札5→3)(知多墓地9→7)

知多

ライフポイント6200
手札枚数3枚
モンスター2体
『イモータル・ハウンド』(守備表示・守備力300・闇属性・レベル4)
『イモータル・グール』(守備表示・守備力500・闇属性・レベル4)
魔法・罠ゾーンのカード2枚
発動しているカード0枚
墓地の枚数7枚
除外されているカード0枚


4・ルージュのターン

「アタシのターン、ドロー!」(ルージュ手札0→1)
「墓地の『アマゾネス霊術師』の効果発動。フィールドの『アマゾネスの里』を手札に戻し、このカードを墓地から特殊召喚する」(ルージュ手札1→2)(ルージュ墓地9→8)
「そして、特殊召喚された霊術師はデッキより『融合』を手札に加えられる」(ルージュ手札2→3)
「虎獅王の効果、フィールドの『アマゾネス霊術師』を対象とし、墓地の『アマゾネス王女』を対象とし効果発動! 『アマゾネス・スカウト』を破壊し、墓地の『アマゾネス王女』を特殊召喚! そして特殊召喚された王女は、『アマゾネス』魔法・罠を1枚デッキから手札に加えられる。デッキより『アマゾネスの叫声』を手札に」(ルージュ手札3→4)
「魔法カード『アマゾネスの叫声』を発動。デッキより、ペンデュラムモンスター『アマゾネスの銀剣使い』を手札に」(ルージュ墓地8→9)
(な、なんかメチャクチャにカード出されているじゃん……)
「魔法カード『融合』を発動! フィールドの『アマゾネス王女』と、『アマゾネスの剣士』を素材として、融合! 『アマゾネス王女』は、カード名を『アマゾネス女王』としても扱えるから、エクストラデッキより『アマゾネス女帝』を融合召喚!」(ルージュ手札4→3)(ルージュ墓地9→12)
現れたのは、『アマゾネス女王』がさらなる進化を遂げた女帝様。攻撃力は2800。
「『アマゾネス女帝』がフィールドに存在する時、アタシの『アマゾネス』モンスターは戦闘・効果では破壊されない。更に、『アマゾネス』モンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える!」
(こ、コイツはなかなかヘヴィじゃん……!?)
「魔法カード『戦士の生還』を発動! 墓地から戦士族モンスターを1体手札に加える。『アマゾネスの戦士長』を手札に加える。そして戦士長を特殊召喚! デッキより永続罠『アマゾネスの拝謁の間』をセットする」(ルージュ手札3→2)
「最後に、手札からフィールド魔法『アマゾネスの里』とペンデュラムモンスター『アマゾネスの銀剣使い』をペンデュラムスケールにセット! これにより、アタシの『アマゾネス』モンスターは攻撃力が200アップし、更に自身のレベル×100アップする!」(ルージュ手札2→0)(女帝攻撃力2800→3800)(虎獅王攻撃力2900→4000)(戦士長攻撃力1900→2500)
「あっ、ヤバイ……!」
「いくよ、バトルフェイズ! 戦士長で、ハウンドを攻撃!」
「リバースカード、オープン! 罠カード『イモータルのざわめき』! 自分フィールドのアンデット族モンスターを任意の数破壊して、破壊した数まで手札・デッキ・墓地からレベル4以下の『イモータル』モンスターを特殊召喚できるじゃん! ハウンド、グールを破壊して、デッキよりレベル3チューナーの『イモータル・ビー』とレベル3の『イモータル・スケルトン』を特殊召喚するじゃん!」(知多墓地7→10)
「チェーン発動! Pスケールの銀剣使いを破壊して、墓地から速攻魔法『アマゾネスの秘術』を手札に加える!」(ルージュ墓地12→11)(ルージュ手札0→1)(戦士長攻撃力→)(女帝攻撃力3800→3000)(虎獅王攻撃力4000→3100)(戦士長攻撃力2600→2100)
「なら、破壊されたグールの効果でデッキよりレベル1チューナーの『イモータル・クロロホルン』を手札に加え、ハウンドの効果で墓地からヴォーンを特殊召喚するじゃん!」(知多手札3→4)(知多墓地10→9)
「壁を増やしたのかい? だけどねえ、女帝達の前じゃそんなもん意味ないよ!」
「それだけじゃないじゃん! 永続罠『イモータルの輪廻』を発動! このカードは2つの効果を持ち、1つ目の効果発動じゃん! 自分フィールドのアンデット族モンスターを素材として、『イモータル』シンクロモンスターをシンクロ召喚するじゃん! レベル4のヴォーンに、レベル3のビーをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル7、大地を血で濡らす吸血鬼! 『ダークイモータル・バロニス』!」(知多墓地9→11)
現れたのは、黒マントに身を包む高貴な吸血鬼。攻撃力は2800。
「そんなモンスター出されたら、戦士長じゃ攻撃はできないねえ。なら、虎獅王でバロニスを攻撃!」
「バロニスの効果、バロニスは自分フィールドのアンデット族モンスターを破壊することで、相手フィールドのカードを破壊できるじゃん! スケルトンを破壊して、お前の女帝を破壊するじゃん! 女帝は破壊耐性を他の『アマゾネス』に与えるけれど、自身には適用されないじゃん! バロニスが戦闘では破壊されても、戻ってくるじゃん!」(知多墓地11→12)
「そうはいかないねえ! 『アマゾネス・スカウト』をリリースし、効果発動! このターン、アタシの『アマゾネス』は相手の効果対象とはならず、効果破壊もされない!」(ルージュ墓地12→13)
「更に速攻魔法『アマゾネスの秘術』を発動! フィールドの女帝と戦士長を素材として、更に融合召喚! 密林に住まう戦闘部族の長よ! 今、新たな力を得て猛々しき戦士となれ! 現れろ、レベル10『アマゾネス女帝王』!」(ルージュ手札1→0)(ルージュ墓地13→16)
女帝がさらなる進化をした姿は、荒々しい戦闘部族の女王。攻撃力は3200だが、里の効果で3400となる。
「女帝王の効果、融合召喚に成功した時、デッキから『アマゾネス』を特殊召喚できる。デッキから『アマゾネス女王』を特殊召喚する」(アマゾネス女王攻撃力2400→2600)
「くっ、これじゃあバロニスの効果が適用されないじゃん!」
「『アマゾネス』の戦闘技術は甘くないよ! 攻撃続行! 虎獅王で、バロニスを攻撃! 獰猛なる烈爪!」
「ぐっ……だが、『イモータル』シンクロモンスターは、破壊された時即座に復活できるじゃん! 守備表示!」
「だが、そんなもんでは防ぎきれないよ! 女王で、守備表示のバロニスを攻撃!」
「ぐっ……!」(知多墓地12→13)
「アンタの場はがら空き、女帝王で、ダイレクトアタック! アマゾネス・ダイナミック・スラッシュ!」
「相手モンスターの直接攻撃宣言時、手札の『イモータル・ステップス』は特殊召喚できるじゃん! 守備表示!」(知多手札3→2)
前に立ち塞がったのは、影に潜むアンデット。守備力は700だが、それでも壁には十分。
「女帝王は、女帝と違って貫通効果は得られない……だがいいよ、攻撃!」
「ぐっ……」(知多墓地13→14)
「だが、これで終わらせるつもりもないよ。女帝王は、アマゾネスの女王か女帝を素材として融合召喚した時、2回攻撃できる!」
「2回攻撃!?」
「もう一回だよ! 行け、ダイレクトアタック!」
「ぐぅぅぅっ! じゃん!」(知多ライフ6200→2800)
「それじゃ、これでターンエンドだねえ。だけど、アタシの場には攻撃を誘導する虎獅王と、効果対象・効果破壊を防ぐ女帝王、さらには戦闘破壊を防ぐ女王の3体! この鉄壁の布陣を超えられるものなら、やってみな!」
「だ、だけど……このターン破壊されたスケルトン、グール、ハウンド・ステップスは守備表示で特殊召喚できるじゃん!」(知多墓地14→10)


ルージュ

ライフポイント7500
手札枚数0枚
モンスター3体
『アマゾネスペット虎獅王』(攻撃表示・攻撃力3100・地属性・レベル9)
『アマゾネス女帝王』(攻撃表示・攻撃力3400・地属性・レベル10)
『アマゾネス女王』(攻撃表示・攻撃力2600・地属性・レベル6)
魔法・罠ゾーンのカード0枚
発動しているカード1枚
『アマゾネスの里』(フィールド魔法)
墓地の枚数16枚
除外されているカード0枚


「少しはやるかと思っていたんだけどねえ。これじゃあアタシを満足させることはできないねえ。今までやってきた相手と同じだね。ここでアンタは負けて、失格となるんだよ。アタシの婿にもなれない」
「婿さんはまだしも、ここで負ける訳にはいかないじゃん! まだ、やり遂げていない。仲間と戦うために、そして、あの子が感じている何かから、この世を守るため!」
「この世を守るため? なんだってそんなけったいなこと言うんだい?」
「今はまだ、その時じゃないかもしれないじゃん。だけど、ここで終わる訳にはいかないじゃん!」


5・知多のターン

「俺のターン、ドローじゃん!」(知多手札2→3)
「グールを対象として、墓地のスパイダーの効果発動じゃん! グールを破壊して、このカードを墓地から特殊召喚するじゃん!」
「そして、『イモータル』カードの効果で破壊されたこのカードはデッキから『イモータル』モンスターを手札に加えられるじゃん! デッキからレベル3『イモータル・マミー』を手札に加える」(知多手札3→4)
「行くぜ、レベル6のステップスに、レベル2のスパイダーをチューニング! 不死の輪廻にその身を宿し竜よ、紅き月の道しるべに従い、飢えた牙で渇きを満たせ! シンクロ召喚! レベル8『吸血竜ーノワールヴァンプ・ドラゴン』!」(知多墓地10→12)
知多の切り札モンスター、黒い体に赤い線が走った、2つの大きな牙が特徴のモンスター。攻撃力は3000。
「攻撃力は、アタシの虎獅王よりは低いみたいだね。さあ、どうする?」
「俺は……更にマミーを召喚! そして手札より、クロロホルンの効果発動じゃん! マミーを破壊して、このモンスターを特殊召喚するじゃん! そして破壊されたマミーの効果で、相手に800ポイントダメージを与えるじゃん!」(知多手札4→3)(知多墓地12→13)
「チッ」(ルージュライフ7500→6700)
「そして、墓地から『馬頭鬼』を除外することで墓地からアンデット族モンスターを特殊召喚できるじゃん! 墓地から、ガルムを特殊召喚するじゃん!」(知多墓地13→11)(知多除外0→1)
「確か、そのモンスターはフィールドのカードを無効化するモンスター!」
「……準備は整ったじゃん。まずはガルムの効果で、ハウンドとガルム自身を破壊して、お前の虎獅王と里を無効化するじゃん! そして、ガルムは自身の効果で復活!」(知多墓地11→12)
「行くぜ、ノワール・ヴァンプで、女帝を攻撃するじゃん!」
「攻撃力が劣っているモンスターで攻撃? まさか!」
「その通りじゃん! ノワール・ヴァンプが戦闘を行う時、効果発動じゃん! 互いに戦闘ダメージは受けず、戦闘破壊はされないじゃん!」
「……」
「そして、相手モンスターの攻撃力を0にして、相手モンスターの元々の攻撃力分のライフを俺は回復し、その分のダメージを相手に与えるじゃん!」
「女帝王の攻撃力は3200。それがアタシに直に来るってことかい!?」
「その通りじゃん!」(知多ライフ2800→6000)
「ぐぅっ!」(ルージュライフ7500→4300)
「そして、ガルムで攻撃力が0となっている女帝王を攻撃じゃん!」
「これで、ガルムの攻撃力が直にアタシのライフに入る……ハッ、女王の効果……! アタシの『アマゾネス』は戦闘では破壊されない。ってことは!」
「その通りじゃん!」(ルージュライフ4300→1800)
「ここで、永続罠の効果でシンクロを行うじゃん! レベル6のガルムに、レベル1のクロロホルンをチューニング! シンクロ召喚! 現れろレベル7『ストーンイモータル・カーミラ』!」(知多墓地12→14)
攻撃力2600の蛇女が現れ、勝負は決した。
「アタシの、負け……!」
「その通りじゃん。カーミラで、女帝王を攻撃! クイックサーペント!」
「ああああっ……」(ルージュライフ1800→0)


デュエルが終わり、族長が負けたことに動揺するアマゾネスの女性達。だが、ルージュは手を上げ、それを黙らせた。
「いやあ負けたよ。まさか女王の効果を利用されるとは思ってなかったねえ」
「でも、多分女王がいなかったら後続を倒せず反撃をくらっていたかもしれないじゃん。そこは俺の運が良かった……というより、そっちが固めるということをしてくれたおかげじゃん」
「ったく、鉄壁の布陣としたつもりなのに、それが逆に仇になるなんてねえ」
「んで、アンタは俺をお婿さんに迎えるつもりなのかじゃん?」
「いや、さすがに子どもを婿に迎えたりなんかしないよ。それに、アンタは既に誰かのお婿さんみたいだしねえ」
(え、わかるのかじゃん?)
「さーてと、敗者は去るのみってところかね。おうお前ら、帰るよ! 婿探しは一旦止めだ」
「ハッ、ルージュ様!」
ルージュは神輿に乗って、知多のもとから去って行った。
「ルージュさん、ひょっとしてシェリルちゃんみたいに……おっと、それ以上にまだデュエルは終わってないじゃん!」
知多もまた、他の場所へと向かっていった。
そして、ルージュは大群をぞろぞろ引き連れ、どこかへと向かっていた。
「全く、婿探しは一旦帳消し。すぐにでもアマゾンへ帰って、またやりなおしだねえ」
「ですが、こんな都会地方にそんな人がいたのでしょうか? 来たのは無駄骨にも思えるのですが……」
「だからいーんだよ! 力だけあってもソイツは強い男じゃないのさ。心も頭も強くないとねえ。なーんてこと言ってたら、怪しいヤツが来たみたいだねえ」
「なにっ!?」
ルージュ達の後ろには、いつの間にか大会関係者とは思えない、フードを被った何者かがいた。
「何モンだい、アンタ? 見たところ、大会の人とは思えないけどねえ」
「いえいえ、私は大会関係者ですよ。その上で、大きなことをやるための準備をしているのですよ。ですから、あなたもその準備に付き合ってください」
そう言って何かを取り出した何者か。
「さあこれで……うっ?」
だがそれと同時に、気を失ってその場に倒れ込む。その後ろには、吹き矢を持った同じアマゾネスがいた。
「サンキュー。よからぬことをする相手には、眠り薬が一番だねえ。しかし、コイツは一体なんなんだい? こんなモノ使って……」
ひょいと神輿から降りて、何者かが持っていた何かを持ち上げるルージュ。それはカメラのようにも見えるが、レンズの部分は小さく、後ろには水晶のような何かが埋め込まれていた。
それを見て、驚く人物が現れた。
「あ、あなた、それは!」
「ん? なんだいアンタ?」
「この男から、それを取り上げたんですか?」
「ああ。なんかよからぬことを企んでいたみたいだから、先制パンチをお見舞いしただけさ。アンタ……コイツと何か関わりがあるのかい?」
「いえ、大会に参加して敗北したデュエリスト達が、次々に倒れていることを聞きつけ、探っていたのですが……まさか、そんな物を使っていたとは……」
「コレ、なんかあんのかい?」
「私には、まだわかりません。ですが、この大会で何かが起ころうとしているのはわかっています。それを調べて、未然に防ごうと思っています。あの……筋違いなお願いだとは思いますが、どうか協力してくれませんか?」
「へぇ、そんなことがね……よし、ちょうどいいや。どうせ帰るまで手持ち無沙汰してたんだ。コイツらも一緒に付き合うよ。アタシに対してなにかしようとした借りは、返さないといけないからね」
「ありがとうございます。私の名前は、ロベルト・フランシスと言います。あなたの名前は?」
「ルージュ。アマゾネスの首領さ」

第百三話。終わり。
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